これまでのガンガンヴァーサスDは!!
「通りすがりの超戦士だ、覚えておけ!!」
「そもそも、世界を巡るのは俺の役目なんだよ」
「太助君の家族の世話になった貴方がここにいるということは貴方も……?」
「お前……、世界を巡っているなら知ってるんじゃないのか? ディケイドのことを」
「貴様とディケイドは決して相容れぬ存在……! いずれ滅ぼしあう!」
「この世界の物語は、この世界の英雄が紡ぎ続けるから」
どうも、ガンガンヴァーサスDを読んでくれている皆さん。はじめまして。
えっ? 私ですか?
私、ナレーターと申します。
今回の世界は色々と「特別」ですので、私も出演と言うことになりました。
おや? 早速太助君達は、手がかりを求めて町を歩いているようですねえ。
「今度の七梨は……どっかの学生みたいだな」
「学校の制服……。とりあえず、この制服の学校に行けっていうことか」
そう言う太助君が着ている制服は……、なるほど、吉祥学園中等部の制服ですね。
いやー、さすが現役の中学生。実に様になっています。
と、そんな太助君の後ろから光の玉が近づいてきて……。
「ッ!!」
なんと太助君の体の中に入ってしまいました!
「太助君?」
「どうした?」
どうやらシャオちゃんと翔子ちゃん、真弥君は何が起こったのか見ていなかったようです。
そこに人が通りかかりましたが……、なんと太助君はその人に掴みかかっちゃいました!
「こらーッ!! さっさと出てくるであります!!」
「な、なんですかぁ〜!?」
「太助君!? なにを……」
言いかけて、シャオちゃん達も気付いたみたいです。
太助君が脅かしている人の身体から、砂がこぼれ落ちていることに。
そしてなんと! その砂が熊の怪物になってしまいました!
「出てきたでありますな……」
そう言って太助君が取り出したのはディケイドライバー……ではなくて、ビームサーベル。
よーく見ると、額と胸に星のマークが浮かび上がっていたり、瞳が緑色だったり……。
いったい、太助君に何が起こったんでしょう……?
ガンガンヴァーサスD
第十四話「侵略者の物語」
「いくぜいくぜいくぜーッ! であります!」
ビームサーベルを振り回して怪物を圧倒する太助君。
今の太助君が強いのか、怪物がそんなにたいしたことなかったのかは解りませんが、
さほど時間もかからず決着はつきました。
「………はぁ」
でも太助君は勝ったのに嬉しそうじゃありません。
そのままどこかへ行こうとしています。
「太助君……ですよね?」
「どうしちゃったんだよ!?」
「………あーッ!! もういい加減に……」
シャオちゃんと真弥君を怒鳴りつけようとする太助君ですが、それは出来ませんでした。
何故なら、翔子ちゃんがシャオちゃんを後ろから突き飛ばして、太助君の
口をふさいでしまったからです。
「しょしょ翔子さん!! 何するんですか!?」
「いやー。お約束だろ?」
「お約束ってなんですか!!」
シャオちゃん、さすがに翔子ちゃんに文句を言ってます。
『お約束って、そういうのはもっとロマンチックにやるもんでしょー!?』
ほらほら、被害にあったひとからも文句がでてますよ?
「ま、取り敢えず助かった……。山野辺、後で話がある」
「太助君、大丈夫?」
『ええい! やっとみつけた身体、手放してなるものかぁー!!』
光の玉が諦めずに太助君に襲い掛かりますが……。
「真弥さん、ごめんなさい!」
ドン! とシャオちゃんが真弥君を太助君の前に突き飛ばしてしまい……。
「ちょっとー! なに邪魔してくれちゃってんのさー!」
緑の瞳になった真弥君がシャオちゃんにくってかかろうとして太助君に押さえ込まれています。
「まあまあ。ちょっと話を聞かせてくれないか? ケーキをごちそうするからさ」
ケーキという単語に、反応したのか真弥君は暴れるのをピタッとやめて。
「……スターフルーツは……ないっすか?」
七梨家で。
真弥君……いや、真弥君に憑いた何者かは出されたスターフルーツをつまみながら
色々と話してくれました。
「つまり、君はケロンスターという星から地球侵略にやってきた宇宙人なんだね」
太助君が真弥君にとりついた宇宙人ーーケロン人の話を要約しています。
「ところが、数日前に何でか知らないけど人魂みたいになっちゃって、人から人へ
乗り移っていた、と」
「元はどういう姿だったんだ?」
質問する翔子ちゃんに、ケロン人は落ち込んだ様子で答えます。
「それが……こうなってしまったときから、忘れてしまったのであります……。
我が輩は、我が輩を無くしてしまったのであります……」
残っていたスターフルーツを纏めて口に放り込むとケロン人は勢いよく立ち上がります。
「だから、アイツらを全部ぶっとばすのであります!」
そう言うと、ケロン人は勢いよく出ていってしまいました。
「なんか騒がしいやつだったな……。七梨、追っかけなくて良いのか?」
「べつにいいんじゃないか? 俺達がどうこうしなくても」
「でも、真弥さんのほうが心配ですよ。あのケロン人さんから変な影響受けたら
どうするんですか?」
「…………。それもそうだな」
というわけで、三人はケロン人を探して、再び町に探索に出ました。
「七梨。お前今回は何をすればいいんだろうな?」
「さあ……。取り敢えず数日前の何かに係わることになりそうだけどな……」
写真を撮りながら歩いていた太助君でしたが、いきなり立ち止まってしまいました。
「太助君どうしたんですか? まさかまた人魂に!?」
「人魂ではないでござる」
「…………ござる?」
妙な語尾を付けて話し始めた太助君。
その目は水色になり、額には手裏剣のマークが浮かび上がっています。
「拙者達は話を「おいドロロ! 貴様何やっとるんだ! 俺達はディケイド
を倒す為に来たんだぞ!」
話してる途中で、赤い目にドクロのマーク、そしてかなりダンディな声に変わりましたよ?
「ギロロ先輩の言うとおりですよぉ。僕達がこんなことになっちゃった原因が
ディケイドにあるに違いないってあの人も言ってましたよ?」
今度は黒い目に若葉マークですか? 一体何人ついてるんでしょう?
「しかし、いきなり悪魔呼ばわりして倒すのはどうかと……」
一周して元に戻ったみたいです。
おや、何か震えていますね太助君。
「い・い・か・げ・んに……しろーーッ!!」
なんと! 気合い一発、太助君三人を追い出してしまいました!
「人の身体で好き放題しやがって……」
「大丈夫か?」
太助君と翔子ちゃんの目の前に、追い出された三人が降りてきます。
「俺達を追い出すとは、さすがディケイドといったところか」
「お褒めの言葉ありがとう。じゃあ殴らせろよ」
「あら〜。やる気満々ですねぇ〜。じゃあ、僕達も身体を用意しないといけねえなぁ!」
そう言うと三人は、なんとシャオちゃんに取り憑いてしまいました!
「お前ら……、もう絶対に許さん!!」
『HERO RIDE DECADE』
太助君、完全に怒っちゃいました。
シャオちゃんの身体だってこと解ってるんでしょうかねえ?
一方、出ていったケロン人はというと……。
「おお〜! こんな所にMG RX−93νガンダムが! こっちにはサザビーも!」
ちょっと! モンスター退治はどうしたの!?
「ああ、ここにいたのかケロン人君」
「む? 何者でありますか?」
振り返ったケロン人の前にいたのは、石川剣君でした。
「興味があるんだよな、お前に。ケロン軍驚異のロボット、きっとそのどれかに
ファイナルフォームライドしてくれると思ってるんだよ」
「な、なんかカッコイイ響きの言葉でありますが……何のことであります?」
「すっごく欲しいんだよな」
「ねえ、人の話聞いてる!?」
「実体を無くしたお前にとってもいい話だと思うぜ? 新しい姿が手に入るんだからな。
さ、ロボットくれよ」
「お断りであります!」
まあ、こんな言い方されたらそれも当然ですよね。
「そうか。じゃあ仕方がない」
そう言って、剣君はディエンドライバーとカードを取り出して。
「変身!」
『HERO RIDE DI-END!』
「な、なんと! 変身ヒーローとは! だが負けるわけにはいかないであります!」
ケロン人もビームサーベルを取り出して構えます。
対する剣君は、カードを取り出しました。
「お前には、こいつが丁度良いだろ」
『HERO RIDE ASHTON』
そう言って剣君が召喚したのは、赤と青の竜を背中に背負った
薄幸っぽい二刀流の剣士です。
「どこが丁度良いのか見せてもらおうであります!」
一方、太助君対ギロロ達は……。
「どうした! その程度では戦場で生き残れんぞ!」
Gシャオの弾幕に圧倒される太助君。
ですが、今の太助君はその程度では止まりません。
「下手な鉄砲数撃ちゃ無駄撃ちって言葉知ってるか!?」
『HERO RIDE CISQUA』
太助君が変身したのは、前の世界で真弥君がお世話になったあの女性に似た姿です。
『ATTACK RIDE FULLBURST』
「これでもくらっとけぇ!!」
怒号と共に手持ちの武器を撃ちまくる太助君。
さすがのギロロもミサイルまで飛んできたのには驚きです。
「どこに持ってたんだそんな物!!」
つっこみながらも全段撃ち落とすのはさすがギロロ。
でも、太助君の狙いは別にありました。
「お前、ボコボコにするけどいいよな? 答えは聞かねぇけど!」
そう、このシスカさんの最大の武器は徒手格闘。
ギロロのような遠距離タイプにとっては天敵です。
それにしても太助君、相当怒っているのか、シャオちゃんの体を本気で殴っています。
「(お、怒ってくれるのは嬉しいですけど、少しは加減してください〜!)」
次の瞬間、シャオちゃんが太助君のパンチを受け止めました。
「!?」
「選手交代ですぅ!」
そう言うシャオちゃんの額には、若葉マークが浮かんでいます。
「オラオラオラァ!!」
なんか凄い形相で殴りかかってきます。
「(私の身体でそんな顔しないでくださいー!!)」
が、タママはそんなことお構いなし、距離を取った太助君に向けて。
「タママインパクトォー!!」
エネルギー波を撃ちました。
太助君の姿は煙で見えなくなってしまいます。
「やったですか……?」
「おいおい、その台詞は失敗フラグだぜ!?」
『HERO RIDE ROWEN+KUEA』
今度は鎖の付いたアームソードを装備し、白い甲冑を身に纏っています。
「強さにも色々ある……。ちなみに俺の強さは……泣けるぞ?」
鎖は、まるで意識があるかのように自在に動き、Tシャオを縛り上げてしまいます。
「さぁ、たっぷりと泣いてもらおうか……?」
なんか、どっちが悪者なのかわからなくなってきたような……。
「ッ!!」
次の瞬間、光が走ると共に、鎖が切り捨てられて、短刀を握りしめて
額に手裏剣のマークを浮かばせたシャオちゃんが立っていました。
「ディケイド殿……。そなたには申し分けないでござるが、拙者達も
ここで倒れるわけにはいかぬ!」
「随分正当派っぽい声だな。じゃあこっちも!!」
『HERO RIDE COUD+REN』
最後の姿は、紅い甲冑に翠の刃を持った姿です。
「空賊らしく、勝利を盗ませてもらうぜ」
所変わって、ケロン人対アシュトン、剣。
竜の首からのブレスと剣の技にも負けずアシュトンと互角に戦っています。
ですが剣君。相手が自分に背を向けてるのを良いことに
何やら怪しい動きをしてますよ……?
『HERO RIDE ERNEST』
召喚したヒーローは、鞭を使ってケロン人を背中から打ち据えました!
「ゲロッ!?」
ペースを崩されてしまい、戦いの主導権は剣に握られてしまったケロン人は
とうとう地面に膝をついてしまいます。
「苦しいのは嫌だろ? 早くファイナルフォームライドするって言ってくれないか?」
「それは、出来ないであります……!」
ふらつきながらもケロン人は立ち上がります。
「我が輩には、友達がいたのであります! 顔も思い出せないでありますが……、
きっと我が輩のことを心配してくれているはずであります!
だから、お前の物にはなれないであります!」
ケロン人の啖呵に、剣君はニヤッっと笑って言いました。
「いいねぇ。お宝を手に入れるにはそれぐらいの苦労がなくっちゃ」
一方、太助君とドロロの戦いは……。
「はあぁぁぁっ!!」
「せえぇぇぇいっ!!」
どちらも一歩も譲らぬ名勝負です。
ですが、いよいよ決着が付こうとしています。
『FINAL ATTACK RIDE CCCCOUD』
「(この身体に負担をかけてしまうが……いたしかたないッ!)」
ファイナルアタックライドを発動させた太助君を見て、Dシャオも奥義を
発動することを決意します。
「エウロスループッ!!」
「零次元斬!!」
お互いの必殺技がぶつかり合い、その衝撃で太助君のクード君への変身が解けてしまいます。
「…………ディケイド殿」
「何だよ……?」
太助君の質問にDシャオは刀を仕舞って頭を下げました。
「お主を悪魔と疑い戦いを挑んだこと、
そしてお主の友の身体を使ったこと申し訳なかったでござる」
「なに?」
相手がいきなり謝ったことに、太助君も戸惑いを隠せません。
「刃を交えて解った。お主の攻撃には、拙者達に対する純粋な怒りしかなかったでござる」
「それは……」
「拙者の勘でござるが、今起こっていることとお主は無関係なのではござらんか?」
『ドロロ先輩の言うとおりだぜぇ、ク〜クックック』
突然、嫌〜な感じの声があたりに響いた直後、上空からどこかで見たような感じの
飛行機が降りてきます。
「クルル殿!」
『ディケイド。あんたと仲間達も乗りな。まずは情報交換といこうじゃねえか』
再び、ケロン人対剣側です。
もういい加減に説得なんて無駄だと解ったのか、剣君も止めを刺そうとしています。
『FINAL ATTACK RIDE DIDIDIDIEND』
ヒーロー二人をエネルギーに戻して放たれたディメンションシュートが、ケロン人を
吹っ飛ばします。
「ゲ〜〜ロ〜〜〜ッ!!」
あわれケロン人はビルの上から真っ逆様。
一体どうなってしまうんでしょうか!?
データファイル
ケロン人
本名不明の宇宙人。
崩壊の影響で、元の姿や記憶のほとんどを無くしてしまった。
ギロロ、タママ、ドロロ
レザードによって「貴方達がそうなってしまったのは、ディケイドのせいなんです」と
吹き込まれて太助を倒しに来たが、自分達の器としてシャオを選んでしまった為
余計に太助の怒りを買った。
クルル
どうやら基地に一人残って情報収集をしていたらしい。
後書き
電王の世界=ケロロ軍曹の世界になりました。
…………って、ああっ、石は、石はやめて!!
実は「チームあり、笑いあり」の作品が思いつかなかったんですよ。
悩みながら「ケロロRPG 騎士と武者と伝説の海賊」をプレイしていたところ「してんりん」
というアイテムを入手したんです。
「支」じゃなくて「使」でしたけど、説明文を読む限りどう考えてもシャオの「アレ」としか
考えられませんでした。
「あれ? これケロロだよね? 角川とバンナムだよね?」と思いましたが、
「ケロロだし」と考えてよし「GvsD」に参戦させちゃえと決めました。
作品コンセプトの+αはこの「ケロロ編」の存在あってのことです。
管理人感想
ダークレザードさんからいただきました!
前回の『エレメンタルジェレイド』に続きスクエニを離れたところの作品が来ましたね。ますます広がる『GvsD』ワールド。
まぁ、『電王』の世界に該当する本エピソードではこの上なくハマり役ですが。
…………ん?
ということは、次回は真弥が……?(ニヤリ)