これまでのガンガンヴァーサスDは!!
「追っかけなくて良いのか?」
「べつにいいんじゃないか?」
「俺達はディケイドを倒す為に来たんだぞ!」
「我が輩は、我が輩を無くしてしまったのであります……」
「ディケイド殿……。そなたには申し分けないでござるが、拙者達も
ここで倒れるわけにはいかぬ!」
「随分正当派っぽい声だな。じゃあこっちも!!」
ディメンションシュートで吹っ飛ばされて、地面に叩きつけられたケロン人(in真弥)
そんな彼に剣君がこっそり近寄ります。
「やりすぎた、か?」
そう言って様子を見ようと膝をつこうとしたその瞬間!
ケロン人はビームサーベルを振り上げます!
「おっと、危ない危ない」
全然そう思っていない調子で、剣君は後退します。
「で、俺の物になる気になったか?」
「誰がお前なんかに……!」
ふらつきながらも拒絶の意志を示すケロン人に剣君は呆れ顔です。
「忘れるなよ、お前にはもう「自分」は存在してないんだ。お前は
「誰でもない者」なんだからな」
『ATTACK RIDE INVISIBLE』
姿を消して立ち去る剣君。
ケロン人はしばらくあたりを警戒していましたが、剣君が本当に立ち去ったのだと
確信してその場に倒れ込んでしまいます。
「我が輩は……、どうすればいいのでありますか…………」
ガンガンヴァーサスD
第十五話「超ケロロ軍曹爆誕!! であります」
「ということなんですけど……、わかりました?」
「ああ、だいたいはね」
自信満々に言いきる太助だが、翔子は知っていた。
こいつは、話が長くなったり面倒くさくなったりすると、こう言って話を
切り上げようとする癖があることを。
「俺達と戦っていた三人を向かえに来たのがクルル。
そして君が、彼らの家主の日向家の…………春樹君だったっけ?」
「冬樹です、日向冬樹」
冬樹君に謝る太助君を見ながら、ギロロ伍長がクルル曹長に質問します。
「それでクルル。ディケイドでなければ、誰があのモンスターを送り込んでいたのだ?」
「クックック〜! そのことなら「誰が」じゃなく「どこから」ならもう少しで
わかりそうだぜ〜」
「本当ですか!?」
「ああ。隊長がアイツらを倒したとき僅かだが転移反応が観測できた。こいつを
辿ればあのモンスター共がどこから来たのか突き止められるぜ〜」
「おお!」
ボルテージがあがる三人。ですが。
「ただ、そこらの雑魚を倒しても意味はねえ。一体だけだがデカブツがこっちに来てる。
コイツを倒す必要があるぜ」
「そ、そうか……」
そんな四人を見ている太助君達に、冬樹君が話し掛けてきました。
「あの……、太助君達は軍曹にあったんだよね?」
「軍曹? 名前は知りませんけどケロン人なら確かにもう一人会ってますよ」
「あたしらの仲間の身体を乗っ取って飛び出していったきりだけどな」
「そうなんだ……」
そう言って落ち込んだ様子を見せる冬樹君。
「心配しなくて良いよ冬樹君。俺もそろそろ真弥さんを迎えに行こうと思ってたからさ」
「でも太助君。真弥さんがどこにいるのか解らないんですよ?」
「大丈夫。適当に歩き回っていれば見つかるさ。単純馬鹿は目立つから」
その頃、自分の知らないところで悪口を言われていたケロン人は、公園に来ていました。
剣君と戦ったときに出来た傷を水で洗いに来たみたいです。
「まったく……、酷い目にあったであります」
そう言いながら、傷口に水をかけるケロン人。その途中ポツリと。
「ごめんであります」
そう呟く彼に後ろから声をかける人がいました。太助君です。
「なあ、そろそろその身体を返してくれないか?
いい加減に怒りそうな人がいるからさ」
「それは……無理であります。でも、終わったら必ず出ていくであります」
そう言うケロン人に太助君は呆れた態度で言います。
「君の仲間……いや、部下かな? が言ってたぞ。
こっちに来ている大物を倒せたら、奴等の出所を突き止められるって」
「本当でありますか……? あーーーーッ!!」
いきなり大声を出すケロン人。ちょっと、どうしたんですか?
「いきなり大声を出すな!」
「あいつ! あそこの人に、なんかスゴイのが入っていった!!」
そう言うケロン人が指差す先には、自転車に乗った子供がいました。
「追いかけるぞ!」
「ちょっと! ここは我が輩が仕切るところでしょ!?」
子供を追いかける二人。
なんとも都合の良いことに、その子供は人気のないところへ入っていきます。
「おっと、ここは通行止めだぜ?」
「周りには取り憑ける人間はいないでありますよ?」
勝ち誇る二人でしたが、取り憑ける人間はいなくても仲間はいるぜ。
とばかりに、あちこちから狼やら、首無し騎士やらが出てきます。
「ゲロ!? 追い込んだつもりが誘い込まれたでありますか!?」
「だったら、罠ごと食い破るまでだ!」
『HERO RIDE DECADE』
雄々しい宣言と共にディケイドに変身する太助君。
ブッカーソードを抜くと、手近な敵に斬りかかっていきます。
「そうでありますな!」
ケロン人もビームサーベルを抜いて、敵に斬りかかります。
ですが、いかんせん数が違いすぎます。
『FINAL ATTACK RIDE DEDEDEDECADE』
ブッカーガンを構えて、必殺の砲撃を放つべく銃口をケロン人……
と戦っているモンスターに向けます。
「避けてみろよ!」
「えっ? ゲロ〜〜〜ッ!?」
何のことかと振り返ってみれば目の前には砲撃が。
慌てて必死に避けるケロン人。
「ちょっと!! 危ないじゃないの!!」
「当たらなかっただろ。過ぎたことをうじうじ言うな」
そんな風に言い合う二人の目の前で少年の身体から砂がこぼれ落ちて
巨大な竜、ダークドラゴンが出現します。
「デカッ!? 何よコレ!?」
「見ての通りのデカブツじゃないか」
「限度ってあるでしょ!?」
そんなことを言ってる間にもダークドラゴンは尻尾で二人をなぎ払います。
吹っ飛ばされて呻くケロン人。
そんな彼に止めを刺そうとダークドラゴンが歩み寄ります。
「ここまでで……ありますか……。自分を取り戻せないまま……無念であります」
ダークドラゴンが爪を突き立てようと振りかぶり……、
割っては言った太助君がそれを受け止めます。
「諦め良すぎだろ! 子供だって欲しい物があるときはもっとみっともなく
だだをこねて粘るぞ!!」
説教をしながら、ブッカーガンを連射してダークドラゴンを押し返します。
「思い出せないのなら、自分で作ってしまえば良いだけだろう!!」
「そんな無茶苦茶な……」
「無茶じゃない!」
弱音なんか聞く耳持たずで、太助君が叫びます。
「今こうしていることだって、歴とした思い出なんだからな!」
『HERO RIDE IN-PEI』
電子音と共にいきなり、三つの人影がダークドラゴンに挑みかかります。
「しばらく頼むぜ。俺の兵隊さん達」
「剣か……」
太助君の言うとおり、やってきたのはディエンドに変身した剣君です。
「さーてケロン人君。わがままは止めて俺の物になってもらうぜ。
そうすれば実体を取り戻す必要なんて無くなるしな」
「あんたねえ、しつこいよ!?」
自分を客観的に見ていない発言に怒るケロン人。
「何が不満なんだよ? ただの宇宙人が最高のお宝に変われるんだぞ。
俺はお宝が手に入ってハッピー、君も新しい自分が手に入ってハッピー。それでいいじゃないか」
「ただの宇宙人……ですと?」
「そうさ。自分を無くして存在すらも危うい、た〜だ〜の、幽霊だ」
剣君にくってかかろうとするケロン人。それを、太助君が引き留めます。
「言っておくぜ剣。こいつはただの宇宙人なんかじゃない。
こいつは……、馬鹿だ!」
「あんですとぉ!?」
「でもただの馬鹿でもない。取り憑いた人間の身体を気遣うぐらいの優しさは持っている」
「気遣う……? あ!」
そう言われてケロン人は公園で自分が言ったことを思い出したようです。
「実体なんか無くったってこいつはここに存在している。他ならぬ俺が知っているんだからな。
そうだろう? ……ケロロ軍曹」
ケロロ軍曹。
その名前を聞いたとき、ケロン人の脳裏にいろんな人が浮かびました。
小隊の仲間達、彼らがお世話になっている地球人のみんな。
そして、自分の大切な…………友達。
『FINAL FORM RIDE KKKKERORO』
真弥君の身体から飛び出た光の玉から、手足が伸び、胴体には黄色い星が輝き、
頭が飛び出たとき、そこにいたのは!
「皆様! お待たせいたしました、ケロロ軍曹、大復活であります!!」
太助君の力で、八頭身の身体を得たケロロ軍曹でした!!
「いや〜。世話になったでありますな。あ、そういえば名前を聞いてなかったであります」
「通りすがりの超戦士だ、覚えなくていい」
「ゲロ? では、聞かないことにするであります」
素っ気ない返事に軍曹ちょっと戸惑っているみたいです。
「真弥さん、大丈夫ですか?」
「う〜。何かカエル型の宇宙人に体を動かされた夢をみてたような……」
目を覚ました真弥君。目の前にいるダークドラゴンを見て……。
「ええええええーッ!!? 何あれ!? どうなってんのこれ!?」
「軍曹、説明。二言で」
「ちょ、何よその無茶ブリ!!?」
地味にお前のせいだと言わんばかりの無茶苦茶に軍曹も怒りますが、
それでも一生懸命考えて……。
「あいつを、倒すのであります!!」
「はい、合格。真弥さん解りましたか?」
「いまいちよく解らないけど……解った」
そう言って十三騎士の力を纏う真弥君。
『FINAL ATTACK RIDE KKKKERORO』
ファイナルアタックライドカードを使うと、軍曹の姿が再び変化して
今度は緑色のボールになりました。
手に収まったそのボールを太助君は敵に投げつけると同時にジャンプ。
敵に当たって上に跳ね返ったところで、オーバーヘッドキックで再び敵に蹴り当てます。
『痛ーーッ!! いきなりなにすんの!?』
「効いてはいるけど、もう一押し必要だな」
太助君。軍曹の抗議は完全に無視してます。
と、太助君と真弥君の目が合いました。
「…………何?」
「…………(スッ)」
無言で真弥君のファイナルフォームライドカードを取り出す太助君。
『FINAL FORM RIDE SISISISINYA』
右手にシンヤアガートラームを、左手にケロロボールを構える太助君。
「サッカーが駄目なら野球だ!!」
『『えええええーッ!!?』』
両サイドから聞こえる叫びを完全に無視して、太助君ケロロボールを上に投げて
シンヤアガートラームを振りかぶります。
「必殺、俺の必殺技……」
そして、打ったーーッ!!
「G×Aバージョン!!」
太助君の必殺技が炸裂して、ダークドラゴンは大爆発を起こしました。
「……案外こういうのも楽しいな」
「ありがとな、隊長。おかげでゲートの場所を割り出せそうだぜ。……っと出たぜ。
あ〜ん? ここは……秘密基地のリビングだな」
と、ケロロ小隊のみんなの声を聞きながら、太助君達は七梨家に帰ってきました。
「帰ってきて良かったんでしょうか……? 軍曹さん達の問題は結局解決してませんよ?」
「そっちはあいつらが自分達で解決しなくちゃいけないんだろ。
カードに力が戻ったってことは、俺の役目はすでに終わったってことだしな」
リビングのソファーでは、真弥君が完全にダウンしています。
「今回は本当に酷い目にあったよ……」
そして、いつのまにか本に絵が浮かび上がっていました。
天に向かって突き上げられた拳、その腕輪にはZの文字が刻まれています……。
というところで、皆さん、どつかれさーん!!
データファイル
ケロロハットウシン
ケロロ軍曹のファイナルフォームライド。
本当は、ケロロロボへとファイナルフォームライドするはずだったが
ケロロに自分を取り戻させる為にカードの力が変化した。
必殺技は、さらにケロロボールへと変化させ、シンヤアガートラームで打つ
「ディケイドホームラン」
ダークドラゴン
その名の通り闇色の体色をした巨大なドラゴン。
デカブツ、スゴイの、という形容がピッタリの強敵である。
ナレーター
アニメ『ケロロ軍曹』でお馴染みの語り部。
今回と前回は地の文を担当してもらいました。
日向冬樹
ケロロ軍曹の「友達」
一人飛び出していった軍曹を心配していた。
後書き
今回は、本家にならって「ケロロRPG本編に続く」というかたちでのエピローグになりました。
といっても、番外編で書いたりはしませんよ。
コメディリリーフにはしないと宣言しつつも、今回真弥は微妙に不幸な目にあってるような気がしますが……。
まあ、ユウスケに比べたらそう酷くはないでしょう。
管理人感想
ダークレザードさんからいただきました!
ケロロ八頭身……想像して吹いた(笑)。
真弥から出てきたなら元の頭身でいいでしょうになんで頭身だけ維持しているのやら。何がお前にそうさせる(爆)。
そして次回は……モリビトの予想通りだとしたらまた懐かしいものがきそうですね。
こうして考えてみると、ガンガンって歴史あるよなぁ……