これまでのガンガンヴァーサスDは!!
「Yes! プリキュア5!!」
「この世界の宝、「奇跡の青い薔薇」は俺が頂いたよ」
「貴方……いったい誰なの……!」
「……ヘ・ン・シ・ン……」
「誕生してしまった……! この世界にもディケイドの敵が……!」
学校からの帰り道。
のぞみはナッツハウスへの道を歩いていた。
「この世界はディケイドによって侵略されている……」
「え……?」
いきなり声が聞こえたので振り返るのぞみ。
そこにいたのはレザードだった。
「ディケイドはこの世界を葬る……。奴を倒さなければ、未来は死に絶える……」
「貴方、誰!?」
その問いかけには答えずに、レザードは次元壁の中へ消えた。
そして次元壁が消えた後には、一人の少年が立っていた。
たしか名前は……。
「太助……君?」
「また会ったね。たしか……夢原のぞみだっけ?」
世界を旅する通りすがりを自称したこの少年にのぞみは聞いてみたくなった。
「太助君。……ディケイドって知ってる?」
「伝説の戦士プリキュアに知られているとは、光栄だね」
知られている以上、太助に隠す理由はなかった。
「じゃあ、貴方がこの世界を侵略しているのは本当なの?」
「侵略? 俺はそんなことしていないし、する気もない。……というより、俺も俺が
果たすべき本当の役割を知らないんだ。だから、そういう質問には答えられない」
『いや、貴様の侵略はすでに始まっている……。貴様自身の存在によってだ』
いつの間にか、二人の間にレザードが現れていた。
「よくもまあ、何度も何度も……こんなにしつこいといっそ誉めてやりたいよ」
「ならば旅を止めろ。あのような存在を生み出さぬようにな」
そう言ってレザードが指差した先には異形の超戦士「ホシイナーディエンド」が存在していた。
「おい! あれはどう考えても剣のドジのせいだろ!」
「まだわからないというのか?」
のぞみはキュアドリームに変身して、ホシイナーディエンドと戦う。
その間もレザードは太助に言葉を叩きつける。
「奴を見ろ! 貴様がこの世界に存在することによって世界は侵されていくのだ!!
そのせいでこうして、存在するはずのなかった「ディケイドの敵」が生まれてしまった……。
貴様の存在そのものが世界を狂わせる!! この世界だけではなく、貴様が旅をしてきた全ての世界もそうだ!!」
レザードの話は、太助を探してやってきたシャオにも聞こえていた。
今まで太助が英雄達とともに倒してきた敵。
それらは全て太助自身が「自分が倒すために世界に生み出させた」ものだとレザードは言っているのだ。
「そして最後に世界は葬られる!! わかるか? ディケイド。
世界を救いたいというのなら、旅を止めることだ」
言うだけ言ってレザードは消えていった。
そして、ホシイナーディエンドを追い払ったキュアドリームもこちらにやってくる。
「あれはもうホシイナーじゃない……」
「そうさ、あれはもう超戦士だ」
「太助君……貴方、誰なの?」
「あいつの同類さ。通りすがりの超戦士だからね」
「通りすがりの超戦士ですって!?」
その声はキュアドリームの後ろから聞こえてきた。
「さては貴方、あの泥棒の仲間ね!? 薔薇を返しなさい!!」
太助に掴み掛るくるみ。
そこに、シャオが割って入った。
「太助君は泥棒なんかじゃありません!
本物の泥棒はもう太助君が捕まえてます!」
「本当!?」
「はい! だから煮るなり焼くなり好きにしてください!!」
かなりひどいことを言っているが、シャオも剣に相当腹を立てているのだろう。
その後七梨家にて。
剣が寝転がっているソファーの周りには、翔子と真弥。
くるみから連絡を受けた、りん、うらら、こまち、かれんにココとナッツ。
そして今帰ってきた太助、シャオ、のぞみ、くるみと、実に13人もの人間が集まっていた。
「もう逃げられないわよ! さあ、観念して薔薇を返しなさい!」
早速掴み掛るくるみ。だが、剣の返事は至ってシンプルだった。
「いやだ」
「あんたねえ……いい加減に……!!」
この期に及んでふてぶてしい態度を崩さない剣にますます怒るくるみ。
だが、それを止めたのはココだった。
「落ち着くんだミルク」
「ココ様!?」
くるみに代わってココが剣に話しかける。
「剣といったね。ここは取引をしないか?
君は大事なものを取られてしまっているんだろう?
僕たちがそれを取り返す。だからそれと交換しないか?」
さすがは一国の王といったところか。
こんな泥棒相手にここまで譲歩するとは。
と、傍で見ていた翔子は思った。
だが。
「い・や・だ」
ここまで譲歩してくれたのに、剣の態度は変わらない。
というかそもそも全面的に剣が悪いはずなのに、この態度。
「じゃあ、俺はこれで。
ああ、そうそう。プリキュアのみんなは知らないだろうけど、この七梨太助は実は
世界を葬る大悪党なんだ。んで、実はこのカメラこそが……そのための爆弾なのさ。
はいパス!」
大嘘をついて、カメラをうららに投げた剣。
「ば……」
「爆弾ーーッ!?」
嘘を真に受けて大騒ぎになる一同。
のぞみとうららはパニックになり、かれん、こまち、りんはそれを落ち着かせようとして
ココとナッツは衝撃で妖精の姿に戻ってさらに場を混乱させる。
その隙に剣は逃げてしまった。
なおもギャーギャー叫んでいるみんなを前に、ついにシャオは切れた。
「いいかげんにしてくださいッ!!」
「「あ……」」
「シャオ……?」
シャオが本気で怒ったことで、みんな沈黙する。
「どうして、どうして太助君が居たらいけないんですかッ!?
太助君はただ私たちに笑顔でいて欲しいだけなのに……。
そんな太助君がどうして悪魔だなんて言われて、拒絶されなくちゃいけないんですか!?
何も知らない人のことを勝手に決めつけて傷つけるのがそんなに楽しんですかッ!!」
シャオはただ悲しかった。
家族がいない太助は、感情のままにふるまうということとは無縁の人間だった。
彼と暮らすようになってから、シャオはそれに気づき、彼と我儘を言いあえるような関係に……。
「家族」になろうとずっと頑張ってきた。
そんな中で、彼が「誰かの笑顔の為に頑張る」ことのできる人間だと知って行った。
何故、ただそれだけの為に戦ってきた太助が、こうも拒絶されなければならないのか。
シャオはそれだけが悲しかった。
「…………」
一同が黙り込んだとき、ココが邪悪な気配を感じ取った。
「なんか出たココ!!」
「それって……!」
「あいつ……!?」
ホシイナーディエンドが暴れているのだと直感した6人は七梨家を出ていく。
だが、太助は動こうとしなかった。
「太助君、僕たちは行かないでいいの?」
「この世界は……プリキュアが守ってます……。俺達が無理にかかわる必要はありません……。
もしかしたら、今までの世界もそうだったのかもしれない……。
俺達は、問題解決の手助けをしているつもりで、問題をもっと大きくしていたのかも……」
「…………」
レザードの言葉が答えていたらしく、太助は完全に気持ちがなえていた。
「ルォォォォッ!!」
街中で暴れまわるホシイナーディエンド。
だが、いつまでも好き勝手が続くはずがない。
そう、のぞみ達が駆け付けたのだ!
「貴方が何者でも、これ以上はやらせないッ! 行くよみんな!!」
「「「「「ええッ!!」」」」」
「「「「「プリキュア! メタモルフォーゼ!!」」」」」
「スカイローズ! トランスレイト!!」
この世界を守る戦士たちが降臨し、戦いが始まった。
七梨家。
太助はソファでうなだれ続けていたが、真弥はそわそわしていた。
「…………太助君ごめん! 僕行ってくる!!」
そう言って真弥は飛び出していった。
だが、太助はまだ動こうとしない。
6人がかりでもホシイナーディエンドは全く揺らがない。
それどころか。
『EVIL RIDE KIMERA IDEA TETUSI』
なんとイービルライドで異世界の敵「キマイラ」と「イーデア、テツシ」を呼び出し、差し向けてきた!!
「なんなのこいつら!?」
いきなり増えた敵に戸惑いながらも迎え撃つ六人。
だが、隙を突かれて、レモネードはキマイラに踏みつぶされてしまう。
「きゃあッ!」
身動きの取れなくなったレモネードに、キマイラは、炎、冷気、毒のブレスを浴びせようと
三つの首をレモネードに向ける。
だが、次の瞬間、キマイラは猛烈な勢いで殴り飛ばされた。
駆け付けた真弥が間一髪で、殴り飛ばしたのだ。
「手伝いに来た! ……いらないかもしれないけど!」
「そんなことありません! ありがとうございます!」
「ええ、助かるわ!」
真弥を快く受け入れ、プリキュア達は怪人軍団に立ち向かう。
一方七梨家。
太助がうなだれている横で、人間形態に戻ったココ、ナッツと翔子が話していた。
「そうか……。それじゃあ、シャオや翔子も留守を守る立場なんだね」
「まあ、戦えない以上仕方ねえけどな」
「いや……。それでも平常心で待つことができるのは見事だ……」
「一度ならず二度までも、のぞみ達を巻き込んでしまった上に、僕達はこうして
のぞみ達が無事に帰ってくるのを待つことしかできない……。
わかってるけど、不安でしょうがない時がある……」
そう言うと、ココはうなだれてしまう。
「……帰る場所を守るのも戦いさ」
そう言ったのは今まで項垂れていた太助だった。
「ただいまを言える人がいる。おかえりなさいを言ってくれる人が待っている。
それだけで人は、何があっても帰ろうって思えるものさ。
俺がそうだから……」
「太助君……」
そう言いながら太助は立ち上がる。
「あいつが「俺の敵」だっていうんなら、しっかり俺が相手をしなくちゃいけないもんな」
そして、プリキュア、ローズ、真弥達。
『ATTACK RIDE BLAST』
一瞬のすきを突かれ、ディエンドブラストで7人全員がダメージを負う。
さらにカードを装填しようとするホシイナーディエンドだが、それはできなかった。
左手に、どこからか飛んできたカードが刺さって邪魔をしたからだ。
無論、それを投げたのは、この男。
「まったく……、主役の登場を盛り上げすぎじゃないか?」
超戦士ディケイド。
七梨太助だ。
「どんな世界でも、七梨太助は常に七梨太助の物語の主役だ!」
「なんか……ハイになってない?」
真弥の突込みには答えず、ブッカーソードでホシイナーディエンドと切り結ぶ。
切り結びながら、ドリームに話しかける。
「倒れてる暇はないぞドリーム! 君にだって、大切な人がいるんだろう!?」
「えっ!?」
「だったら、心配し過ぎるくらいは許してやれ! 彼だって戦ってるんだ!
君が……君たちが帰ってこないんじゃないかっていう不安とさ!!」
「うん……わかってる!」
「そうだと思ったよ」
立ち上がり、太助のもとに全員が集まる。
「太助君、私たちは貴方を葬世者だなんて思ってないよ」
「理由は?」
「無いよ」
「無いのかよ」
思わず突っ込む太助に、苦笑しながらルージュとアクアが言う。
「あいにく、これがドリームなのよね」
「そう。でもなぜか信じられるの。不思議でしょ?」
「世界がどうとか知らないけど、私たちは貴方を追い出すつもりなんてないよ」
「嬉しいこと言ってくれるけど、俺はこの世界に居つくつもりはないよ。
何しろ俺は、通りすがりの超戦士だからね!!」
「ウォォォッ!!」
『HERO RIDE SIGNAL』
今度はヒーローライドでシグナルを召喚するホシイナーディエンド。
8対4の大乱戦が今、始まった。
だが、心を一つにした戦士達には邪悪なる者達など敵ではない!!
「プリキュア! ファイヤーストライク!」
「プリキュア! サファイヤアローッ!!」
「ミルキィローズ! ブリザードッ!!」
ルージュ、アクア、ローズの三人がテツシを。
「プリキュア! プリズムチェーン!!」
「プリキュア! エメラルドソーサー!!」
「クロスクルセイドリバースデリンジャーッ!!」
レモネード、ミント、真弥の三人がそれぞれキマイラを仕留める。
そして、ホシイナーディエンド、シグナルと戦うドリームと太助。
『SINYA COUD RUMINA HARMEL SIGNAL JUDE NANASI KERORO ALICIA FINAL HERO RIDE
DECADE』
『SIGNAL HERO RIDE CODE』
コンプリートフォームに変身、シグナルコードを召喚する太助。
ホシイナーディエンドも必殺技を放とうとする。
『FINAL ATTACK RIDE DIDIDIDIEND』
『FINAL ATTACK RIDE SSSSIGNAL』
だが、太助のファイナルアタックライドの方がはやかった。
素手とナイフクローのダブルパンチがホシイナーディエンドとシグナルを吹き飛ばす。
シグナルは消滅したが、ホシイナーディエンドはまだ立っている。
すると、太助の手の中で新たなカードが力を得た。
そこには、少し違うが、ドリームの姿が描かれている。
『DREAM HERO RIDE SHINING』
これが勝利の鍵だ。
そう信じて、太助はカードを使う。
すると、胸部の紋章が英雄達を召喚した時と同じように、プリキュアのエンブレムで統一される。
そして、ドリームの姿が変わった。
衣装の色は白く、背には巨大な純白の翼。
手には、五つの花を象ったフルーレ。
それは、奇跡の姿。
世界の壁を越えて集まった人々の思いが生んだ新しい力。
想いを咲かせる奇跡の光。シャイニングドリーム。
「行くぞ、シャイニングドリーム」
「うん!」
『FINAL ATTACK RIDE DDDDREAM』
スターライトフルーレとブッカーソードから五つの光が放たれる。
「「プリキュア!」」
そして、シャイニングドリームは翼を広げ、コンプリートディケイドと共にジャンプ。
「「スターライト……ソリューションッ!!」」
そして二人は、無数の光となってホシイナーディエンドを貫いたッッ!!!
光が、再び二人の姿になるのと同時にホシイナーディエンドは大爆発を起こした。
「やったー!」
「すごいじゃないか、太助君!」
二人の健闘を仲間たちも称える。
そこに、空気を読むつもりのない泥棒が一人。
「ありがとうな太助。俺の為に頑張ってくれてさ」
「剣……」
ディエンドライバーに手を伸ばし拾おうとしたその瞬間!
ミルキィローズがディエンドライバーを拾い上げて言った。
「取引よ。薔薇と交換で、貴方に返してあげる」
「む……ッ」
「剣。いい加減観念しろよ」
そうするしかないと分かったのか、渋々と、本当に渋々と剣は、薔薇の鉢植えを差し出した。
「ん……?」
戦い終わって七梨家に帰ってきた太助は玄関先に座り込んでいるシャオを見つける。
「シャオ。こんなところで、どうしたんだい?」
「……私はいつも、いつでも待ってます。どこの世界に行っても太助君が安心して帰ってこれるように。
私は太助君の『家族』ですから……。だから……、おかえりなさい」
「……うん、ただいま」
「で、このシュークリームの山は何?」
シャオと一緒に入ったリビングのテーブルの上にはたくさんのシュークリームが積まれていた。
「その……太助君やのぞみさん達を待っている間にココさん達とつくったんですけど……、
作り過ぎちゃいました」
「あはは……でもおいしいわよ」
今日の晩御飯はいらないかもしれないな。
そう思う太助の傍らで、本に新たな絵が浮かび上がる。
カプセルの中で眠る青い戦士。
伝説を塗り替える「X(未知)」の名を持つ戦士。
データファイル
ココ
妖精の世界「パルミエ王国」の国王候補。
かつてナイトメアに滅ぼされた故郷を甦らせるために人間界に訪れ、のぞみと知り合った。
人間界で生活するために「小々田 コージ」というイケメン男性に変身しているが
強い衝撃を受けると元の姿に戻ってしまう。
妖精としての姿はクリーム色のスピッツ犬に似ている。
ナッツ
ココと同じくパルミエ王国の国王候補。
人間に変身した時は、金髪クールの少し色黒なイケメンの姿になるが、ココとは違い人間としての名前は不明。
何事にも真摯に向き合う性格ゆえに、歯に衣着せぬ厳しい物言いが多い。
シャイニングドリーム
キュアドリームのパワーアップ形態。
本来は特別な道具を通して集まった人々の想いの力で変身する。
ディケイドの力で変身した今回はスペックダウンしていると思われる。
後書き
……やっちゃったよ。
だしちゃったよシャイニングドリーム。
原作を意識するなら、キュアフルーレを持たせてレインボーローズエクスプロージョンに混ざらせるとか
させた方がよかったんだろうけど、……いいよね、スペシャルだし。
ちなみに、プリキュア達の戦いぶりに関しては実際に本編DVDを見て確かめてください。
特に劇場版なんて「お前らZ戦士や聖闘士とも戦えるだろ」と言いたくなるほど派手ですから。
管理人感想
ダークレザードさんからいただきました!
『プリキュア』の世界の戦いも決着。
原作『ディケイド』と同じく“帰る場所・待っている人達”がテーマとなった今回の事件。ディエンドライバーが剣の元に戻ったのも、それがディエンドライバーの“帰る場所”、剣が“待っている人”だったのかもしれませんね。
それにしても。
いや、ホントにライダーと絡ませても違和感ない人達だなぁ。うちでもそのうちクロスやるかな?