「行くわよ、ライテウスッ!!」
これまでのガンガンヴァーサスDは!!
「まだあいつらと戦おうとする人間が残っているとは思わなかったわ」
「……お前なんかに……未亜の気持ちは解らない……」
「エクスデス様! まだ私がここにいます!」
「当真未亜よ。貴様は英雄共との戦いの中で名誉の戦死を遂げるのだ。ファファファ……」



「うるさいッ! 何でお兄ちゃんの召喚器をあんたが持ってるのッ!?
 未亜からお兄ちゃんを奪ったくせにッ! お兄ちゃんを死なせたくせにィッ!!」

 とうとうリリィはトレイターを奪われてしまう。

「待ちなさい、未亜! 待ちなさい!!」

 リリィの声に一度は振り返るが、結局未亜は去って行った。
 そのリリィの前に魔獣が迫る。

「危ないッ!!」

 だが、咄嗟に真弥が割って入り、そのまま魔獣を倒した。

「大丈夫ですか、リリィさん」


 一方太助はダウニーと戦っていたが、苦戦を強いられていた。
 そんな時、ダウニーに向かって銃弾が撃ち込まれる。

「剣!?」
「お前を助けたなんて思うなよ、こいつらの方がトレイターについて詳しいみたいだからな」
「前置きが長いんだよ、お前」

 エクスデスもダウニーに合流する。

「おのれ、ディエンド! 邪魔者がしゃしゃり出てきおって!!」
「ひねりつぶして差し上げましょう!!」

 かくして戦いは2対2のチーム戦に持ち込まれた……。


ガンガンヴァーサスD
第二十九話「Justice to Believe」



 だが、破滅の主幹とビッグディザスターの大幹部。
 数が同じになっただけで楽に戦わせてくれるほど甘い連中ではない。

「剣、どうにかしろよ!」
「言わなかったか? 俺に命令するなってさ」

 その言葉に太助は「提案」を口にする。

「……相手が破滅なら、こっちは宇宙の戦士だ」
「ハハッ、それは良い趣味だな」
『HERO RIDE RATIX CRAWD FATE』

 すかさず剣はヒーローライドで英雄を召喚する。
 ラティクス、クロード、フェイトの三人はダウニー、エクスデスを相手に互角の勝負を演じてみせる。

「またな」
『ATTACK RIDE INVISIVLE』

 剣は姿を消し、太助もダメージでふらつきながらその場から去った。

「太助君、大丈夫ですか!? 捕まってください!」


 その頃、レザードは剣に接触していた。

「ツルギ、貴方の目的はトレイターではなかったのですか?」
「今のところは太助の邪魔をすることと、半々だな」

 その言葉に、レザードは反応した。

「邪魔では足りませんね。
 もし、ディケイドを倒してくれるのであれば、これを差し上げましょう」

 そう言ってレザードが取り出したのは……。

「ディエンドのパワーアップカードか」
「その通り。だがこれが欲しいのなら……」

 その言葉を最後まで聞かずに剣はカードを奪った。

「使ってやろうじゃないか」
「……何としてでもディケイドを倒すのだ!」
「どうだろうな、その前に!」

 剣はディエンドライバーをレザードに突きつける!

「あんたを倒したっていいんだぜ? ……冗談だよ」

 そう言って去っていく剣。
 レザードがその態度にどんな感情を抱いたのかはわからない。


 そして、太助とシャオはフローリア学園の保健室にいた。
 太助の傷の治療の為である。

「いいんでしょうか……? この学園もビッグディザスターに乗っ取られてるんですよね?」
「『灯台下暗し』ってね。……痛ッ! もういいよ、掠り傷だからさ」

 太助は立ち上がろうとするが、シャオはそれを押しとどめる。

「駄目です! 小さな傷でも用心しなくちゃ! ……翔子さんから聞いたんですよ」
「何を?」
「……私が死にかけたとき、命を分け与えてくれたんですよね」

 太助は苦い顔で「あのお喋り……」と呟く。

「……あんまり無茶しないでください。太助君が傷ついたら、私だって悲しいんです……」
「シャオ……」

 見つめ合うシャオと太助。
 その時、廊下の方から足音がした。

「誰か来る!」

 警戒する太助とシャオ。
 足音は保健室にどんどん近づいてくる。
 そして、扉を開けて入ってきたのは……!

「真弥さん!」
「シャオちゃん、太助君!」

 リリィを背負った真弥だった。


 シャオの治療を受けるリリィから、あれから二人がどうなったのかを太助は聞いた。

「そうか……。未亜さんはトレイターを……」
「情けない話よね……。あたしは結局、未亜にとって「お兄ちゃんを奪った敵」でしかなかった。
 そんなに仲良くしていた記憶はないけど、それでも……少しは仲間だって思ってたんだけどね……」

 そう言うリリィの声には覇気がない。
 聞いていた太助たちは声をかけられなかった。
 リリィと未亜が、「お兄ちゃん」を挟んでどんな関係だったかはわからない。
 だが、もしかしたら、未亜は兄を「兄」としてだけでなく「男」として……。
 そこまで考えを巡らせたとき、太助は保健室の棚に未亜が使っていたのとよく似た石が置いてあるのを見つけた。

「あれは……」
「それは幻影石ね」
「幻影石?」
「風景を記憶していつでも映し出せるマジックアイテムよ」

 リリィの説明を聞きながら、あちこち弄り回していると偶然再生機能を起動させてしまったらしく
 ある映像が映し出された。
 それは未亜が学生服に身を包んだ男性と一緒に笑顔で映っている姿だった。

「この人の着ている服……俺が着ていたのと同じ……」
「大河……」

 リリィの呟きに、懐かしさだけではない何かをシャオは感じたが、口に出すことはしなかった。
 そして一同は、再び近づいてきた足音に気付かなかった。

「……! お前達!」

 入ってきたのは身の丈ほどの大剣を背負った金髪の青年。

「セルビウム!」
「知り合いってことはこの人も?」
「ううん、こいつは傭兵科の生徒よ。ただ大河とは仲が良かったし、未亜に
 ほれてたみたいだけど」
「ッ! リリィ=シアフィールドォッ!!」

 セルビウムはリリィの姿を認めるや否や大剣を引き抜いて切りかかろうとする。

「待ってください、俺達はただ傷の手当てをしていただけです」
「お前達もこいつの仲間か!?」

 太助はセルビウムに幻影石の映像を見せた。

「貴方は大河さんや未亜さんと仲が良かったんですよね? 少なくともリリィさんよりは。
 この映像の未亜さんは今より遥かにいい笑顔で笑っている……。
 その理由を貴方は考えたことがありますか?」
「実は、未亜さんはトレイターを奪ったんです」
「……当たり前だ! 救世主は、世界を自分の思い通りに作り変えようとする悪魔だ!!」
「違うわ! 本当に世界を作り変えようとしているのはビッグディザスターの方よ!」
「うるせぇ! あんたは未亜さんを傷つけた最低のクズだ!
 そんな人間の言うことなんて信じられるか!!」

 セルビウムの大声を聞きつけたのか、さらに大勢の足音が聞こえてくる。
 太助は幻影石をセルビウムに押し付けると、シャオ達と一緒に逃げ出した。
 駆け付けた戦闘員たちは太助たちを追っていくが、セルビウムは幻影石を握りしめたまま動けなかった。

「未亜さん……」


 その頃。
 未亜はトレイターを持ったまま、町をさまよっていた。
 あの時は兄の召喚器を、兄を死なせた女が持っていることが我慢できなかった。
 その一心でトレイターを奪ったものの、トレイターを必要としているビッグディザスターは
 最初から自分を使い捨ての駒にするつもりだった。
 その事実が、未亜の心に重くのしかかっていた。

 兄――当真大河は唯一の家族だった。
 互いに、どんな時も一緒だった。
 異世界に来てもそれは変わらない。
 当真未亜の世界には、当真大河が永遠に存在していればそれでいい。
 だが、自分たちはリリィ=シアフィールドに出会ってしまった。
 彼女は、兄に強い対抗心を持ち、ことあるごとに張り合った。
 そんな彼女と兄の姿は、未亜にはまるで長年の親友のように見えた。
 もし、その対抗心が、兄への好意に反転してしまったら……。そうなってしまうことを未亜は恐れた。
 奪われる前に奪ってしまおうとするまで追い詰められた。
 だが、そうなる前に兄は戦いの中で行方不明になってしまった。
 しかも、二人を守って。

 そこまで考えを巡らせたとき、未亜は自分の前に、人が立っているのに気が付いた。
 その相手――エクスデスは、何も言わずに未亜を見下ろしていた。


 数分後、未亜はエクスデスによってダウニーの前に連れてこられていた。

「未亜さん。トレイターを奪ったというのなら、何故すぐに持ってこなかったのですか?」
「それは……その……不安だったんです。ビッグディザスターが私を受け入れてくれるのか……」

 それは本心だった。
 だが、ダウニーは優しい声で言った。

「心配することはありませんよ、我々が貴方を見捨てるはずがありません」
「ビッグディザスターは、お前を遺して消え去ることはない……」

 ダウニーとエクスデスの言葉に、未亜はおずおずとトレイターを差し出す。
 それを手にしてダウニーはニヤリと嗤った。

「確かに本物だ……。これで貴方を神の器にする準備は整った!」
「どういうことですか?!」

 問いかける未亜にダウニーは答える。

「我々「破滅」は悲劇をばら撒くことで、それを憎むもの……それを許す「この世界」を憎む者を
 生み出し、世を救わんとする者へと導くことが役割なのですよ、未亜さん」
「そんな……!?」

 未亜は耳を疑った。
 それが本当なら、破滅の役割とはつまり、「救世主になろうとする意志」を人々に植え付けるということになる。
 「世界はこんなはずじゃないことを許す」ということを思い知らせることによってだ。

「そして、救世主とは神の力を奮い、不完全な世界をより完全に近づけるための器なのです!」
「人間は……人間はどうなるんですか?!」

 未亜の問いに答えたのはエクスデスだった。

「世界を救う者が、世界の付属物に過ぎぬ人間を救う義務や義理が有るのか?」

 その言葉にショックを受けて崩れ落ちる未亜。
 それを冷ややかに見つめながらダウニーは配下に未亜を連れて行くように促した。


 一方、どうにか七梨家に戻ってきた太助たち。
 だが、そこは既に滅茶苦茶にされていた。

「酷いな……、これもビッグディザスターの仕業なのか……」

 シャオは奥へ向かい、リリィは呟く。

「これで、アジトも無くなった訳か……。本当に、あたしはこの世界に拒絶されたのね……」

 奥から戻ってきたシャオが言う。

「翔子さんも璃瑠さんも居ません!」
「こうなると、山野辺と璃瑠を見つけてこの世界を去った方がいいかもな……。
 リリィさんはどうします?」
「この世界に拒絶されたのなら、僕達と一緒に新しい世界を旅してもいいんじゃないかな?」

 リリィにこの世界を去ることを進める真弥と太助。
 だが、シャオはそれに異を唱えた。

「本当にそれでいいんでしょうか? 太助君が大河さんの格好をしていたってことは
 未亜さんをお兄さんと一緒の時みたいな、生きてることを楽しくできる人に戻してあげるべきじゃないですか?」
「だとしても、未亜さんはまだビッグディザスターを信じてる。……何故信じようとしているのかは
 わからないけど」
「その未亜さんだけど、大変なことになってるみたいだぜ」

 そう言いながら現れたのは、剣だった。


 未亜は、手術台に縛り付けられていた。

「離して! 離してったら!」

 もちろん、それを聞く人間はいない。

「この薬を撃てば、お前の理性は弱まり感情のままに動けるようになる」
「もっと喜べ。このろくでもない世界を破壊できるんだぞ」
「嫌! 私、そんなこと思ってない!」
「何を言っている。お前は召喚器に選ばれただろう。それがお前がこの世界を憎ん――」

 唐突に、男の言葉が途中で途切れた。
 よく見ると、この二人ではない誰かが、気絶させたらしい。

「あいにくだけど、人間はそう割り切れやしないんだよ」
「助けに来ましたよ、未亜さん」

 男を気絶させたのは太助と真弥だった。

「貴方たち……。それより大変なの……!」

 未亜は、真弥と太助に話した。
 ダウニーの目的が自分を救世主という名の神の器にすること。
 そして、その力でこの世界をリセットしようとしていることを。

「なるほど……。ビッグディザスターめ」
「太助君、どうする?」

 そう聞いてくる真弥に太助は言った。

「話からすれば、儀式についてはダウニーしか知らないみたいですから、ダウニーを
 倒せば儀式を止められるでしょう。それは俺がやります。真弥さんは未亜さんを安全なところに」
「うん……わかったよ」

 太助が言った後で、未亜は気になっていたことを聞いた。

「あの……リリィは来てないんですか?」
「リリィさんは……」


 七梨家にて。
 帰りを待っていたシャオとリリィのもとに真弥と、何故かセルビウムが駆けこんできた。

「真弥さん、どうしたんですか?!」
「大変だ! 未亜さんが一人でトレイターを奪い返しに行くって……」
「未亜が!?」

 続けて、セルビウムが語る。

「未亜さんは……、リリィと本当の仲間になるために行くって言ってた……。
 あの人はあの人なりのやり方であんたと向き合おうとしているんだ。
 ……俺は、本当は大河の代わりに未亜さんに教えなくちゃいけなかった。
 あんたに未亜さんを助ける義理がないのは解ってるけど……」

 そこまで言ったとき、リリィは言った。

「セルビウム。あんた、あたしが未亜やこの世界を見捨てると思ってるの?」
「え……」
「アヴァターはもう、あたしの世界よ。あんたに言われなくったって守ってやるわよ」

 そういうリリィの眼には、炎の如き意志が甦っていた。


 ダウニーとエクスデスは儀式の準備を行っていた。

「もう少しだ……。もう少しで、この世界を滅ぼすことができる!」

 歓喜に打ち震えるダウニー。
 しかしッ! 滅亡を許さぬものも、この世界には存在するッ!!

「ダウニィィィッ!!」
『FINAL ATTACK RIDE DEDEDEDECADE』

 変身した太助が、ディメンションキックでダウニーに襲いかかる!!

「小賢しいッ!!」

 ダウニーもディスパイアーを抜いて、ディメンションキックに対抗するッ!!
 激しく火花を散らす、二人。

「うぉぉぉぉッ!!」
「ぬぅぅぅぅッ!!」

 やがて、どちらも後方に吹き飛んだ。
 ダメージが大きく起き上がれない太助。
 ダメージは軽いが、ディスパイアーを破壊されたダウニー。

「お……おのれ、ディスパイアーをよくも……!」

 その隙をついて、未亜は祭壇からトレイターを持ち出す。
 リリィとセルビウムが駆け付けたのはちょうどその時だった。

「未亜!」
「! 危ないッ! 未亜さん!!」

 セルビウムの言葉に振り返る未亜。
 そこには、エクスデスが放った真空波が迫っていた。
 咄嗟にセルビウムは未亜をかばって真空波を代わりに受ける。

「ぐあッ……」
「セル君ッ!!」

 倒れたセルビウムにリリィと未亜が駆け寄る。

「へへ……初めて愛称で呼んでくれましたね……、未亜さん……」
「どうして……? どうしてこんなことを……?!」
「惚れた女を守るのに……理由なんか必要ありませんよ……」

 傷を負った体を押して、セルビウムは言葉を続ける。

「未亜さん……。未亜さんにとっての大河が何だったのか……、俺も最近わかってきました……。
 大河が死んじまって……どうしたらいいか解らなくて……楽な方を選んじまうのも……、分かります。
 でも、未亜さんはまだ生きてるんです……。
 だったら生きてることを、自分で楽しくしなくちゃ……駄目なんです……」
「でも……、私は……」

 お兄ちゃんがいないのならそんなこと出来ない。
 そう続けようとしたとき、リリィが言う。

「私は、あんたのことを大切な仲間だと思っている……。それじゃ駄目かしら?」
「リリィさん……」

 だが、立ち上がったダウニーはそれを嘲笑する。

「そしてまた裏切られる。ビッグディザスターの世界に安住していればいいものを……」

 太助も立ち上がり、ダウニーの言葉に返す。

「お前たちの作ったこの世界は最悪だ!! 人が人を疑い、誰も信じられなくなった世界……!
 けど、この人たちは違う!! この最低な世界を見捨てなかったし、人を愛することを忘れなかった……!
 だから、こうして真の絆を結びあうことができたんだ!!」

 そして、問いかけてくるダウニーにいつも通りに名乗る。

「貴様……何者だ?」
「通りすがりの超戦士だ、覚えておけ! 変身!!」
『HERO RIDE DECADE』
「今度こそ決着をつけてやるわ!」

 リリィも加わり、今度は太助対ダウニー、リリィ対エクスデスの構図になる。
 召喚器の力を借りても、力はエクスデスの方が上だ。

「怒りや憎しみで私を倒すことはできん!!」

 だが、エクスデスの言葉にもリリィは動揺しない。

「あいにくだけどね……この力は!!」

 そして放たれる炎球、氷塊、雷撃、そして懐に入り込んで…ッ!

「怒りでも……憎しみでもないのよッ!!」

 さらに止めのヴォルテカノンでエクスデスを吹っ飛ばす。

「では、なんだと……」

 そのまま、エクスデスは次元壁の中に消えた。


 一方、太助対ダウニー。
 ディスパイアーが無くなってもダウニーは強い。
 流石は破滅の主幹ということか。
 そこに、剣も現れる。

「おい、トレイターを奪うつもりか?」
「いくら俺でも、形見に手を出すほど外道じゃない」

 どうだか、と思う太助。
 だが、この場は信じておこう。

「ここには、俺の新しい力を試しに来たのさ」
『ATTACK RIDE ILLUSION』

 ディエンドイリュージョンでダウニーを圧倒する剣。
 そして、その隙に太助はケータッチを取り出す。

『SINYA COUD RUMINA HARMEL SIGNAL JUDE NANASI KERORO ALICIA FINAL HERO RIDE DECADE』
『JUDE HERO RIDE ARMS』

 ジュードを召喚し、剣と共にカードを切る。

『FINAL ATTACK RIDE JJJJUDE』
『FINAL ATTACK RIDE DIDIDIDIEND』

 かつてNEOミクトランを倒した同時攻撃だったが、今回はあえてダメージを与えるにとどめる。

「最後は、貴方が決めてください」

 そう言って先ほど力を得たカードを使う。

『FINAL ATTACK RIDE LLLLILY』

 太助に答えて、リリィは両手を天に掲げ、力を集めていく。
 それが最大限まで高まったとき、リリィは言葉と共にそれを叩きつけるッ!!

「バルス・ロアァァァァッ!!」

 ダウニーはなすすべなく光に呑まれていった……。


 そして、戦いが終わり、リリィ達と別れて太助たちは七梨家に戻ってきた。
 リリィと未亜はこれからは一緒に戦い続けるそうだ。

「この世界は、まだ混沌の支配が続くだろうけど……あの人たちなら大丈夫さ」
「仲間がいる限り、リリィさんは戦い続ける……。
 僕も戦い続けるよ、太助君やシャオちゃんがいる限り」
「太助君は?」
「俺は……「シャオがいる限りずっと、だろ?」」

 振り向くと、なんとそこには剣がいた。

「おい、なんでお前がここにいるんだよ」
「居てあげているんだよ、感謝しな」

 そして、璃瑠も話に加わってくる。

「私が安住の地に行くときは真弥も一緒だからね!」
「私、思うんです。私たちのこの旅には何か、大きな意味があるんじゃないかって」
「旅の答えは旅の果てにのみ存在する……なんてな」

 七梨太助、月小燐、山野辺翔子、弓樹真弥、璃瑠、そして、石川剣。
 この旅の中で、奇妙な縁で結びついた六人。
 だが、旅とはいつか終わるもの。
 次なる世界。
 それは九人の英雄達が、たった一人の葬世者に立ち向かう世界。
 英雄大戦のはじまりとなる世界。



データファイル

セルビウム=ボルト
元フローリア学園傭兵科生徒。
女好きのスケベで当真大河とは似た者同士の親友。
未亜には本気で惚れ込んでいるが、同時に未亜と大河の絆も良く知っている。
その為に大河を守りきれなかったリリィのことを良く思っていなかった。
ちなみに大河と同様に女好きだが大河よりも下限守備範囲が広い。


後書き
後半限定でセル君登場。
彼にも見せ場を与えたいと思ってこんな展開に。
ちなみに死んではいません。


管理人感想

 ダークレザードさんからいただきました!

 セル、まさかの登場。
 決して若本ボイスの人造人間ではありません(爆)。

 そして次回はいよいよ原作『ディケイド』のTVシリーズ最終世界。ここから劇場版ルートに入るワケですね。
 ということは、二人でひとりなお方の登場ですか。果たして誰がその役を務めるのか。
 “二人でひとり”という条件だとスクエニ作品にこだわってる余裕はなさそうな……『ウルトラマンA』とか?(せめて等身大ヒーローを挙げろよ)