――長い、夢を見ていた――















「……済まない、アイ。君を一人にしてしまう……私達を、許してくれ。」

≪いえ……皆さんがお目覚めになる日まで私はずっと、ガイア・サイバトロンとしてこの星を守っていきます。だから、安心して……眠りについてください。≫







 ――アンゴルモアエネルゴンの影響から逃れる為に、守るべき仲間を置き去りにして眠りについたあの日。








「あんたは……?」

「私はガイア・サイバトロン総司令官、ゴッドファイヤーコンボイだ……教えてくれ少年よ。今、この星では……何が起きている?」







 ――突然の目覚めと、この星を襲う危機――






≪やめて下さいゴッドファイヤーコンボイ!!そんな事をしたら、あなたの体は……≫

「だが、奴を倒すにはこれしかないんだっ!!ガイアの意志を束ねるマトリクスよ……今、新たな守護者達に新たな力をっ!!」







 ――託したのは、英知と希望――









「……絶対、絶対アンタを起こすから!!」

「そうか……楽しみにしているぞ――ジン。」







 ――約束と、訪れる永遠の眠り――









――目覚めるのだ、炎の勇者よ――




 ――だが、眠りを妨げるように……声が聞こえた。




――眠りの時は終わった。新たな力と共に、この世界を守る為……目覚めるのだ――












 ――そして、声と共に私の意識は覚醒する。視界に入ってきたのは、眩しいほどの光。そして――





































≪ゴッドファイヤーコンボイ!!≫









































 ――流せるはずのない大粒の涙を零しつつ、笑みを浮かべる……アイの姿だった。













とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜

とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典

Another strikerS






第2話『蘇る炎神〜その名は、ファイヤーマグナス〜』











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



新暦75年10月。
惑星ガイア軌道上衛星『エトワール』、ガイア・サイバトロン基地本部――




 


「えっぐ、ひっぐ……アイちゃん、よかったねぇぇっっ!!」

「グス、ヒック……うぅ、本当によかったですぅぅっっ!!」

「あらあら、メイルは泣き虫さんですね。」

「スタンピー、あなたも少し落ち 着きなさい。」



 アイとゴッドファイヤーコンボイの感動の再会にメイルとスタンピーは感動のあまり号泣しており、ライラとエアラザーも二人を落ち着かせようとしているが、その瞳は若干潤んでいる。そんな光景を作り出せた事が俺は嬉しくて、思わず拳を握り締め――




「……ところでさプライマルコンボイ、なんでいきなりでっかくなってるジャン?」

「ゴッドファイヤーコンボイのスパークを一時的に私が預かっていたら、突然こうなった。」

「でもさぁ、これだとゴリラじゃなくてメカゴリラだよね。しかも、ビーストモードはブサメンだし。」

「先輩、それは俺も思っていた所だぜ。」

「本当だよなぁっ!!」

「……お前ら、ぶっ飛ばすよ?」

「少しは空気読めゴラァァァァッッッッ!!!!」



 ――後ろで漫才を繰り広げている馬鹿達にツッコミながら叫んだ。


「さすがジン君、長年僕達と関わってきて鍛えられたツッコミ力(ぱぅわぁ〜)は健在なんだな。」

「冷静に状況を分析している暇があったらツッコむの手伝ってくださいよっ!?」


 つか、湿っぽい雰囲気が嫌だから明るく騒いで盛り上げようとするのはいいんだがネタが不謹慎だろ流石にっ!?なんだよイボンコペッチャンコってっ!?その言い方だとライオコンボイやゴッドファイヤーコンボイも当てはまるんだからなっ!?


≪さすがマスター。悪ノリの意図を読み切り、かつ問題点を指摘するとは……腕が上がったな。≫

「ジン、ガイアに永住しないか?お前のようなツッコミが出来る人材は貴重なんだ。」



 バルゴラは少し黙れっ!!それと、そんな真剣な瞳で勧誘しないでくれライオコンボイ!?酷いのは分かったけど、俺にだって生活があるんだよっ!!



「やれやれ。シリアスが長続きしない連中だな……ゴッドファイヤーコンボイ、体に違和感とかはないか?」

「少し反応が鈍いが、今の所は問題ないな……だが、また君達に会えるとは思ってもいなかった。」

「礼なら小僧に言え。9年前の約束を果たす為に色々と努力をしてきたんだ……まぁ、まだまだ半人前だがな。」


 なんでそこはシリアス続けてるのさっ!?つか、半人前とはなんだ半人前とはっ!!


「事実だろうが。」

「……そうか。あれから9年も立つのか……大きくなったな、ジン。」


 そう言うと、ゴッドファイヤーコンボイはゆっくりとこちらに視線を向ける。それがなんだか照れくさいのと、またゴッドファイヤーコンボイに出会えた事が嬉しくて……










「おかえり、ゴッドファイヤーコンボイ。」










 ――ただ、そんな言葉を返す事しかできなかった。









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 やれやれ、こういう雰囲気はどうも苦手だな――なぜか、『彼ら』を思い出してしまう。



 しかし、ゴッドファイヤーコンボイの新たな体……なぜ、『アレ』が此処にある?



「――柾木鷲悟、少しいいか?」

「ん、どうかしたか?」

「ゴッドファイヤーコンボイの体についてだ……アレは、お前達が開発したのか?」



 ――ちょうどお気楽連中が騒いでいるので、声を抑えつつ俺は柾木鷲悟に話しかける。俺の問いかけに柾木鷲悟は若干目を見開くと、頭を掻きながら口を開いた。



「……い や、ジュンイチがプライマスから預かった奴って聞いてるぜ?なんでも、“炎の勇者”に渡して欲しいって頼まれたとか……だから、ジンからゴッドファイヤーコンボイの事を相談された時に母さんがピンときたんだ。でも、なんでそんな事聞くんだ?というか、よく俺達の造ったものじゃないって気がついたよな。」

「少し、気になる事があってな……」


 ――そう答えつつ、俺は改めてゴッドファイヤーコンボイの新たな体を眺める。頭部こそコンボイタイプのものに変わっているが、その真紅の巨体を構成するパーツは、かつて『私』が新たな姿となった時にコンボイが装備していたキャノン砲と似通っている部分が多い。つまりあれは、『私』が元居た世界と同一のモノか、それを元に改めて造り直された可能性が高い。


 だが、この仮説が正しいとしたら――なぜプライマスはそれをゴッドファイヤーコンボイの新たな姿として柾木ジュンイチに託した?ただでさえ小僧のトランステクターが『私』の世界に居たジェットファイヤーと同一の姿で俺とゴッドリンクする事ができた。ならば、あれも俺とリンクアップする事が可能という訳だが……これ以上、俺達に力は必要ないはずだ。






























  それとも……その力が必要になる時がくるというのか?











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「え〜、という訳で今後の我々の活動方針を説明したいんだが――」



「はい、お疲れさんでした〜」

「おっつ〜♪それじゃ、徹マンでもやるジャン!!」

「それイイっすねっ!!今度は負けませんぜ先輩!!」

「あ、面子足りないなら俺も参加するぜ〜!!」



「あなた達、またトンファーの餌食になりたいようですね?」

『すいませんでしたぁっ!!』


「うむ、済まないなエアラザー。」



 ――ゴッドファイヤーコンボイが復活した翌日、プライマルコンボイから大事な話があるという事でミーティングルームに呼び出された俺達は椅子に座って話を聞こうとした。けれど、プライマルコンボイがそう言葉を告げたその時、チータスやラットルを中心とした面々がいきなり帰ろうとしたが、エアラザーがトンファーを見せると全員が土下座して再び席に座った……そんな様子を見て、鷲悟さんがコソッと喋りかけてくる。



「なぁ、ここのメンバーはいつもこんな調子なのか?」

「……恥ずかしながら。」

「そうか……ま、面白いからいいんだけど。ところで、最近ライラが俺を見る目付きがなんというか、その……やけに怖く感じる時があるんだが、お前何か知らないか?」


 ……ライラが?


≪なんだ、鷲悟殿もフラグを立てたのか?このロリコンめ!!≫

「バルゴラ、少し黙ってようか……鷲悟さん、それ本当ですか?」

「あぁ……俺には心当たりはないから、兄貴であるお前なら何か知ってるんじゃないかと思ってな……」


 ……う〜ん、俺から見たらライラは普通なんだけどな。それに、心当たりなんて……あ。



「お、心当たりあるのか?」

「……多分、鷲悟さんの気のせいだと思いますよ?でも、確かに気になるんでこっちでも様子を見てみます。」

≪どうしたマスター?やけに汗を掻いているが……≫

「いや、なんでもない。」


 冷や汗を流しつつ、俺は鷲悟さんから目を逸らしながらそう答えた……言えない。鷲悟さんには絶対言えない。




『一生と共にしたい男性が居たら己の気持ちに素直になって、ライバルすらも巻き込んでその男性を捕まえなさい……それが、フレイホーク家の女としての恋愛術です。そう……鮫のように慎重かつ大胆に行動して、気がつけば結婚していたというような状態に持ち込むのよ。私もフレイホーク家に嫁ぐ前にお父さんと付き合っていた頃、お祖母様にそうやって教えられて……お父さんをゲットしたんだからね♪』





 ――そんな事を、昔母さんが言っていたなんて。でも、まさかなぁ……ライラはそんな事知らないはずだし……いや、本能としてインプットされているのか?そうすると、ライラが鷲悟さんの事を好きって事になるし……いやいや、ライラに限ってそんな事は……でも、年頃の女の子はそういった事に敏感だしなぁ……ちょくちょくカイザーズの面子と連絡をとっているみたいだし、そういった情報はいくらでも入ってくるかも……待て待て、話がずれた。大事なのは、ライラが鷲悟さんを好きなのかどうかであって……人柄は問題ないし、俺としても問題ないんだが……やっぱり、世間体を考えるとあと2年は待ってほしいなぁ……






「……え〜、それでは本題に入ろうか。ライオコンボイ、エアラザー、スタンピー、ブレイク。君達を親善交流部隊として任命する。ライラ君やメイル君と一緒に、ミッドチルダやセイバートロン星、地球に赴いて現地の人間やTFと交流を深めてほしい。」



































『……ええええぇぇぇぇっっっっ!?!?』







 ――そんな事を考えていると、プライマルコンボイの発言に全員がびっくりした。いきなり何を言い出すのこのゴリラはっ!?


「……まぁまぁ、みんな落ち着くんだな。プライマルコンボイだって何か考えがあるはずなんだな。」

「その通りだ。まず、これを見てくれ。」




 そういってプライマルコンボイがモニターに映し出すのは……エトワールから撮られたと思われる宇宙の写真。その中央には、巨大な戦艦が――



「ダイナザウラーだと?」

「これはジン君達が来る前日に撮られたものだ。敵意がないようなのでゲルシャークに特使として向かってもらったんだが、どうやら彼らはジン君達と同様にこの次元にやって来たTF達の集団らしい。そして、彼らが提唱していたのが、“真スペースブリッジ計画”というものだ。」



 ……へぇ、ゴッドファイヤーコンボイの件も含めて色々動いてたんだなぁプライマルコンボイ……ただのバナナ好きなゴリラと思ってごめんなさい。





「……プライマルコンボイ、まさかとは思うがそれに参加する気か?止めておいた方がいいぞ。」

「そうですね。ギガストーム達が提唱している“真スペースブリッジ計画”は彼らが勝手に言っているものであって、第97管理外世界出身のギャラクシーコンボイが提唱した“新スペースブリッジ計画”が正式なものです。どうせなら、正式な方に参加した方がいいんじゃないかと……」

「いや、私はこの機会にミッドチルダやセイバートロン星等の星々と交流 し、惑星ガイアをさらに発展させていきたいと考えている。その一環として、ライオコンボイ達を派遣したいんだ。」


 ――確かに、惑星ガイアは発見されて9年が立つとはいえ、他の世界との交流は少ない。そもそも、元々はハインラッドが造ったゲートでカオスプライムと俺が飛ばされたのが始まりで、今でも俺達が惑星ガイアに来るのはそのゲートを使っている。だから、惑星ガイアの事を知っているのは俺の知り合いくらいまでで世間一般からすれば未発見の次元世界と変わりないしなぁ……



「ちょっと待つジャン!?なんで俺らがそのメンバーに入ってないジャン!?」

「オイラ達だって、他の世界に行ってみたいんだけどっ!?」

「……チータスとラットル、ライノックスはガイア・デストロンの連中と一緒に惑星ガイアの探索に赴いてもらう。この地にはまだ私達が知らない仲間達がいるはずだ。これから忙しくなるからな……人手は多い方がいい。」

≪でしたら、古代ガイア・サイバトロンのメンバーも起こした方がいいですね。防護フィールドも量産できるようになりましたし、彼らならチータスさん達と仲良く出来るでしょうから……≫

「……そうだな。アイ、頼むぞ。」

≪任せてくださいっ!!≫

「待ってくれプライマルコンボイ。僕よりも、ゴッドファイヤーコンボイの方がそういった事に向いているんじゃ……」


 戸惑いを見せるライオコンボイに対し、プライマルコンボイとゴッドファイヤーコンボイは互いに視線を交わすと、今まで会議に参加していなかったゴッドファイヤーコンボイが口を開いた。



「――私は過去のTFだ。このような形で復活したとはいえ、新しい世代である君達の成長を妨げるような事はしたくない。君とプライマルコンボイは私のガイア・マトリクスを受け継いだ……いずれガイア・サイバトロンを率いるものとして、経験を積んで欲しいというのが、私とプライマルコンボイの考えだ。」

「ゴッドファイヤーコンボイ……」

「いや、『コンボイ』の名は返上した。今の私は――炎の闘士、ファイヤーマグナスだ。」

「……分かりました。『コンボイ』の名に恥じないように努力しますっ!!」



 そして、ライオコンボイとゴッドファイ――いや、ファイヤーマグナスはゆっくりと握手を交わす。それを見て、なんだか俺は……目頭が熱くなった。












「……そういや、俺とカオスプライムはどうすりゃいいんだ?」

「あぁ、君達はファイヤーマグナスと一緒に私の補佐をしてくれ。なにせ、貴重なツッコミ役であるライオコンボイとエアラザーがしばらくこの地を離れるんだ……頼りにしてるぞ?」

「……マジですか!?し、鷲悟さんは……」

「え、俺はもう用事が終わったから明日には帰るぞ?」

「この薄情者ぉぉぉぉっっっっ!?!?」

「……だったら、挨拶に行くのもいいですね……将を射んと欲すればまず馬を射よとも言いますし♪」








 ……ちなみにこの後、鷲悟さんが第108管理外世界に帰った時にライラも一緒についていき、 「鷲悟さんと結婚を前提にお付き合いさせてください」 と柾木家で盛大にカミングアウト(しかも鷲悟さんの知り合いに手当たりしだいに通信を繋ぎまくって)をした為、霞澄さんが満面の笑みで大暴走したのは……内緒だったりする。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ー二週間後ー



「え…………何?」



 紹介の 段階でいきなり転げ落ちるという醜態――正直、周りからの視線が痛かった。

 もっと言うと、オレンジとピンクの視線が痛い。

 そんな微妙な空気の中で声をかけてきたのは、僕よりも背の低い、けれどどこか偉そうな男の子。

 うん。面識のない顔です。向こうも僕の名前を確認してきたし、初対面っていうのは間違いないと思う。



“…………アルト”

“照合しています。
 …………出ました。フォワード部隊所属のトランスフォーマー、マスターコンボイですね”



 はい?

 トランスフォーマー、って、あの子が? どう見ても人間……あ、プリデンターってヤツか。



“えぇ、そうです。
 ジャックプライムやスタースクリーム、ブリッツクラッカーがやっていたでしょう。アレですよ”

“そっか……”



 思い出した。

 前にリインがメールで言ってたっけ……部隊に入ってくれたトランスフォーマーのヒューマンフォームをデザインしてあげたって。

 カワイイ男の子に仕上げてあげたって自慢してたから、きっと彼がそうなんだろう。

 …………にしても、コンボイでその姿かい。

 立たせてもらって気づいたけど、僕よりも背が低かった。うん。きっと気にしてるに違いない。なんていうか、他人事って気がしない。



“まぁ……彼については後でいいでしょう。
 とりあえずは今ですよ。どうするんですか? この空気”



 やかましいっ! 考えないようにしてたんだから、ツッコんでこないでよ!

 しょっぱなからこんな大ポカやらかして……どうしろっていうのさ!? なんかいきなり先行き不安なんですけどぉーっ!?





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………ふむ。

 蒼凪恭文を立たせ、オレは未だ立ち直りきっていないヤツを残して列の中に戻った。



 そして――考える。

 今とったヤツの腕、筋肉のつき具合は申し分なかった。

 これは……ヤツの実力はそれなりに期待できそうだな。

 ヴィータ・ハラオウンの弟子ということで低めに想定していた評価も、この分なら早々に修正することになりそうだな。



 だが、それだけに引っかかる。

 “JS事件”は解決した。普通に考えれば、ここで武官を引き入れる理由はない。戦う理由が消滅したも同然なのだから。

 それなのに蒼凪恭文はこの六課にやってきた……これが何を意味するのか?

 旧知の仲であるなのはやフェイト・T・高町などは「一緒に仕事ができる」と素直に喜んでいたが、違和感に気づいてしまった今、ヤツらのようには考えられない。

 なぜ蒼凪恭文は機動六課にやってきた? 予測される戦闘能力を考えれば、明らかに戦力として呼ばれているはずだ。

 しかし、この機動六課の戦力は十分に強力なメンバーが顔をそろえている。今さら……



 と、そこで気づいた。



 “今さら”ではない――“今だから”蒼凪恭文は呼ばれたのだ。

 確かに機動六課のメンバーはエース級、ストライカー級がゴロゴロしている、かなりの充実ぶりだ。



 しかし、現状に目を向けた場合、話は大きく違ってくる。



 機動六課の実戦メンバー、その大半が先日までの戦いで傷つき、その傷も癒えていない状況だ。

 さらに言えば、周辺の状況も悪い。“JS事件”の影響で地上本部はズタズタ、かろうじて機能を維持している現場も、オレ達同様に先日の戦いで深く傷ついている。

 特に事実上のトップだった最高評議会、ヤツらが今回の事件の実質的な首謀者だったのが大きく響いている。おまけに最後に悪あがきをした結果評議会の連中は全員が討たれ、現在地上本部のトップは不在。それによって生じる指揮系統の混乱も、だいぶ下火になったとはいえ完全になくなったワケではない。



 そんな状況で事件が起きれば、傷ついてはいても強力な戦力のそろったウチに話が回ってくるのは確実――しかも、このお人よしどもは自分達がどれだけ傷ついていても迷わず周りの者達を守ろうとするだろう。

 蒼凪恭文を派遣してきた者、おそらく部隊の者の身内の誰かだろうが、そいつはそんな事態に備えようとしたのだろう。

 傷ついたこいつらにさらなる負担をかけることをよしとできず、彼女達を守る“力”として蒼凪恭文を呼び寄せた……出向というのは単なる建前か。やってくれる。



 だが……オレとしてもそういった配慮はありがたい。

 まともに戦えるメンバーのことを考えると、正直頭が痛かったのだ。オレ達フォワード陣はある程度負傷も軽かったからいいが、なのはやヴィータ・ハラオウンのダメージが深い。二人とも退院こそしているが、万全の状態とは程遠いのだ。

 おそらく、蒼凪恭文もそういった点を理解していたからこそ六課への出向を承諾したのだろう。合意の上なのだから、せいぜいがんばってもらうことにしよう。



 後は……



 トラブルなくすごしてくれるかどうか、だな。

 せっかく事件が解決したのだ。ここから先はのんびりとさせてもらいたいのだ、こちらとしては。









 だが――オレはこの時点ですでに、それが儚い願いになるだ ろうと考えていた。

 蒼凪恭文の参入によって、六課がますますにぎやかに――せわしなくなるであろう予感を、オレはこの時すでに感じていたのだ。



 そして――











 これがオレと蒼凪恭文の、切りようのない腐れ縁の始まりになるであろう予感も……


(第3話に続く)










次回予告っ!



ライラ「という訳で、霞澄さん……いえ、お義母様の承認の元、晴れて婚約者として認めてもらう事になりました♪」

鷲悟「ちょっと待てぇぇぇぇっっっっ!?!?そういう事は勝手に決めちゃ……」

ジン「家のライラの何処が気に入らないんだアンタはぁぁぁぁっっっっ!?!?」

鷲悟「そういう問題じゃねぇよっ!?!?」

カオスプライム「……とりあえず、少し落ち着け。」



第3話「親善交流部隊、強襲!!〜行き先は、セイバートロン星!?〜」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






あとがき


という訳で、AS第2話です。恭文が六課に来る2週間の間に、惑星ガイアではこんな事が起きていました。

次回からは、親善交流部隊がセイバートロン星や地球で色々やらかす……のかなぁ?ギガストームとプライマルコンボイのやりとりも書いてみたいし……というか、勝手に出しちゃいましたけど大丈夫ですかねぇ?




管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 ゴッドファイヤーコンボイ、ファイヤーマグナスとして復活!……ゴッドマグナスはいない子扱いですかそーですか(苦笑)。

 ツッコミ要員の不在を補うためにガイア居残りが決定してしまったジン。ご愁傷様(チーンッ)。
 結果として『とまコン』本編介入はますます先送りに……戻ってこれるのは電王編かセカンドシーズンかドキたまかっ!?
 まぁ、当分は妹さん達に大暴走していただく、ということで。とりあえず、予告的に犠牲者第1号になりそうなスタースクリーム、がんばれ(爆)。