「こういったデカブツを叩くのにもっとも有効な手段……
 それは内部に突入しての、内側からの攻撃……!」

 つぶやき、マスターギガトロンはデスランスを放り投げ、真紅に輝く“ゆりかご”の駆動炉をにらみつけた。

 艦内のシステムをユニクロンに掌握され、そのユニクロンとつながっていたケーブル類も失い、行き場を失ったエネルギーが駆動炉の中で出口を求めて暴れ回る――狙い通りの展開に笑みがこぼれる。

「神だかなんだか知らないが……相手が悪かったな。

  フォースチップ、イグニッション!」

 咆哮し、再度フォースチップをイグニッション――マスターギガトロンの胸部装甲が開き、そこに2門の収束エネルギー砲が姿を現す。

 その内部にエネルギーが収束――埋め込まれた今の自分の“命”、“レリック”に負荷が走り火花が散るが、それでもかまわずにチャージを完了する。

 大した出力はいらない。今や“ゆりかご”の駆動炉はパンク寸前。後はほんの一押ししてやるだけでいいのだから――

「たかだか神が……」
 



「このオレの支配する世界に、手を出すなぁぁぁぁぁっ!」
 



 マスターギガトロンの主砲――ギガスマッシャーが火を吹いた。




 駆動炉から解き放たれ、荒れ狂ったエネルギーは大爆発を引き起こしマスターギガトロンをも飲み込もうとする。だが、マスターギガトロンは己の行動に後悔などせず、笑みを浮かべたままその光の中に――





















































  ――飲み込まれる事はなかった。



「……なん……だと……?」


 紫色の障壁が爆発を完全に遮断し、荒れ狂う爆発が周囲の外壁を飲み込みつつ外部へと解き放たれるのを、マスターギガトロンは驚きと共に眺めていた。
















「――やれやれ、真破壊大帝ともあろう者が自己犠牲とはな。予想外過ぎてついつい手をだしてしまった。」


















 すると、後ろから響いてくる声にマスターギガトロンはゆっくりと振り返る。そこに立っていたのは――黒や紺を基調とし、メタリックパープルのアクセントが入った装甲を纏ったTF。その右手には巨大なロケットランチャーが構えられており、左手には淡い紫に輝くエネルギー状の剣。あちこちから火花が飛び散る体をなんとか動かしつつ、マスターギガトロンは戦闘態勢を整えようとする。



「おっと、警戒しないでくれるか?私は君と敵対するつもりは無いんだ。」

「フッ、それほどの武装で現れておいてか?まだ、オレの命を狙いに来たと言う方が信じられるなっ!!」

「ならば――無理矢理にでも連れて行くだけだ。」

「……なっ!?」



 黒いTFが左手の剣を掲げると、黒いTFとマスターギガトロンを紫の光が包み込む――光が収まると、そこには静寂の空間のみが広がっていた。























『命の“力”を、なめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』




 ――直後、外部から放たれた“力”がユニクロンを飲み込み……その存在を、跡形もなく消し去った。
























とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜

とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典

Another strikerS






第3話『親善交流部隊、強襲!!〜行き先は、セイバートロン星!?〜』











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




数ヵ月後
惑星ガイア軌道上衛星『エトワール』、ガイア・サイバトロン基地本部――








「……メイルさん、ライラさん?いつになったら離れてくれるんでしょうか?」

「「もう少しだけお願い(します)っ!!」」

「……はぁ。」

≪モテモテだな、マスター。≫

「いや、実の妹達だからその言い方はおかしいからなバルゴラ?」

「むぅっ!!メイルは妹キャラだよっ!!だから、お兄ちゃんのお嫁さんになっても問題ないもんっ!!」

≪……という風にあなたのマスターはおっしゃっていますが、実際の所はどうなんでしょうガネット?≫

≪無理ですね。≫

「ガネットとエーデルがひどいっ!?」

「……いや、人に抱きつきながら漫才をしないでくれ頼むから……というか、ライラは本当にうれしそうだなおいっ!?」

「だってしばらくは兄さんの温もりを感じる事ができないんですもの……これくらい、許してください♪」













「……カオスプライム、あれはどうするべきなんだ?」

「放っておけ。ヤツらのパートナーが来れば自然と離れる……それに、下手に絡めば――」

「下手に絡めば?」

「――以前、似たような状況になったのでチータスやラットルが絡んだら、ガイア・サイバトロンの半数が行動不能になるほどの大惨事になった。そっから察してくれ。」

「……分かった。」


 ファイヤーマグナスにそう説明しつつ、俺はエアラザーとスタンピーに現在の状況をメールで報告して部屋を後にした。恐らく、10分もしないうちに飛んでくるだろうな。


 ――いくら魔導師として活動を行っていても、その内面はまだまだ子供。特にライラとメイルはその出自もあってか小僧に依存している部分が目立つ。だからこそ、プライマルコンボイも二人の成長の為に親善交流部隊に組み込んだんだろうが……出発前日に小僧のベッドにもぐりこんで夜を過ごすとは思わなかった。まぁ、小僧が手を出す事はないので安心してはいる(特に片方は“実の妹”だ。手を出す方がおかしい)し、今はソファーに3人仲良く座ってはいるが……やはり、将来が心配になるなあれは。




「……だが、兄妹の絆か……私は弟とはああいう風に触れ合えなかったからな、少し羨ましいではあるな。」

「む?――お前、弟がいたのか?」


 すると、ファイヤーマグナスがそんな事を呟く。その瞳にはどこか寂しげな輝きが宿っていたが、とりあえず俺はその話を聞く事にした。


「……あぁ、ゴッドマグナスといって――実に豪快な奴だった。まぁ、私とは考え方の違いから幾度となく衝突していたんだが……ある大きな戦いで私が瀕死の重傷を負った時に、自らの命も顧みずに救ってくれた。その結果が、“ゴッドファイヤーコンボイ”としての姿だ。」

「なに?」


 ……あの姿は元々の姿ではなく……リンクアップした姿だったというのか?しかも、弟との“絆”の……


「……その後、どうなった?」

「私達は完全に一体化し、新たな存在――『今の私』となった。だからこそ、『私』という存在が居る限りゴッドマグナスの意志も残る。その点では君達に感謝しなくてはいけないな私は……あのままではいずれ、アンゴルモアエネルゴンに侵食されて朽ち果てていくのが関の山だったからな。」

「なるほど、お前が“ファイヤーマグナス”という名前を名乗った理由が気になっていたが……それが理由か。」

「そうだな……私なりに新たな世界で生きる決意を込めた名だ。“コンボイ”の名と同じくらいに重いが……精一杯背負っていくつもりだ。」

「……頼りに してるぞ?」

「こちらこそ。」



 そして、俺とファイヤーマグナスは互いの拳を軽くぶつけ合う。なぜこんな話を突然したのかは理解できんが……それなりに信頼するという事だろうか?ならば、その信頼には答えないとな……













「きゃああああああぁぁぁぁっっっっ!?!?」





「……カオスプライム。エアラザーの悲鳴が聞こえたようだが大丈夫なのか?」

「問題ない、いつもの――」



 待て、エアラザーの悲鳴?ふむ、嫌な予感がするな……俺は通信モニターを開くと、ライオコンボイを呼び出した。



「――ライオコンボイ、少しいいか?」

『どうしたいきなり?というか、こっちも聞きたい事があるんだが……』

「……確かお前達、今の時間はヒューマンフォームの設定をしていたよな?エアラザーが小僧達の部屋に居るんだが……」

『だったらすぐに呼び戻してくれ。エアラザーの奴、アンタからのメールを見てヒューマンフォームのまま飛び出していったんだ。まったく、チータス達が余計な事を言うから……』

「余計な事?」

『あぁ。エアラザーとスタンピーのヒューマンフォームを見る機会がないからって、見せろ見せろとうるさくてね。ようやく収拾をつけたと思ったら今度はエアラザーがヒューマンフォームを解除せずに飛び出していって……』



 ――嫌な予感は当たったな。小僧の奴、昔からラブコメのようなトラブルに見舞われるからな……耐性のなかったエアラザーにラッキースケベが発動してぶん殴られたか。まぁいい、しばらくすれば落ち着くだろう。






 ……そういえば、今日は蒼凪の奴が機動六課という部隊に出向する日だったな。なにかやらかしてなければいいが……




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆















「恭文さん! あなたを生まれ変わった機動六課隊舎見学ツアーにご招待に来たです〜♪」

『……はい?』



 はやてとついハモってしまった。



「はいですっ! 私、祝福の風・リインフォースUが責任持ってガイドするですよっ!」

「あぁ、つまるところオリエンテーション言うワケやな?」

「ですです♪」



 待てまてマテっ! 見学ツアーって、みんなが仕事してる中を跳梁闊歩するワケですか? それはないって……

 といいますか、僕は小学生ですかっ!?



「見た目はそうだろう?」



「うるさいよっ!」



 余計な口をはさんできたのはビッグコンボイ。後で覚えてろよちくしょうめ。



「恭文くん、そう言わないであげて。
 リインちゃんったら、恭文くんに早く六課に慣れてもらうんだって言って、昨日までアレコレ考えてたのよ?」

「そうなん? 私は全然知らんかったんやけど」

「申し訳ありません主。
 リインに当日まで秘密にしておくようにと頼まれましたので」



 なるほど、そういうことですか。

 でも、はやてだって僕がらみで予定を立てていただろうし、いきなりそんな話をされて「はいそうですか」と納得するワケが――



「まぁ、そういうワケなら仕方ないなぁ。恭文、部隊長命令や。見学ツアー行っとき」

「ありがとうですっ!」

「納得したっ!? つーか即決だねおいっ!
 部隊長、一応確認……仕事はいいの?」



 みんなから白い目で見られるのとか、イヤだよ? いや、真面目な話よ。



「別に今日一日くらいやったらかまわんやろ。
 どっちにしてもオリエンテーションは必要やしな」



 さいですか。素晴らしい英断に感謝します。

 でも、ニヤニヤするのはやめて。なんかムカつくじゃないのさ。



「というワケでリイン。
 見学ツアーそのものはかまわへんけど、恭文を連れて改めて主要メンバーにあいさつさせてな。
 さっきはアレやったし、何事も最初が肝心や」

「はいですっ!」

「あの、二人して少しばかり子ども扱いなのが気になるんですけど」

「あきらめろ。蒼凪」

「そうそう、あなたは女の子の尻にしかれるタイプなんですもの」

「それでなくても、はやてもリインも仲間内では妹分扱いの立ち位置だ。たまには姉貴風を吹かせてやってくれ」



 ちくしょう、来て早々なのにまた泣きたくなってきたぞ。でも、こうなったら腹をくくろう。



「わかったよ。
 リイン、ガイドよろしくね」

「はいです♪」



 ……そういや、リインと一緒に来たってことはシャマルとザフィーラさんもツアー参加者?



「いいえ、私達は違うわよ」

「別の用件だ」

「別の?」

「恭文さんへのあいさつですよ」



 リインがそこまで言うと、シャマルさんとザフィーラさんが僕の 方を向いて、柔らかい表情でこう切り出した。



「恭文くん、機動六課へようこそ。あなたを新しい仲間として歓迎します。
 そして……来てくれてありがとう」

「まさか休みを返上してまで来てくれるとは思わなかったぞ。
 フォートレスやアトラスも、ここには来れなかったが本当に感謝していた。
 これから色々とあるとは思うが……何かあればいつでも言ってくれ。必ずや我らが力になる」

「……こちらこそ、また面倒かけるとは思いますがよろしくお願いします」



 そうして、まず最初のあいさつを無事にすませた僕は、はやて達に見送られリイン先導のもと、機動六課隊舎見学+あいさつ参りツアーへと向かった。





















 ……あのさ、リイン。










「何ですか?」

「これからよろしくね。で、もし何かあったら……がんばろ」

「……もちろんです。
 リイン達が力を合わせれば、どんな理不尽も、きっと覆していけるですよ」

「うん」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





機動六課再始動一週間前――




「……という訳で惑星ガイアのTF達がこちらに来るんだが、情報をよこせ。」

『また、いきなりだなぁ……というか、俺は株取引で忙しいんだけど?』

「それは自業自得だろうが。こちらとしては、万全な体勢で彼らを出迎えたい……どうせ貴様の事だ、彼らにも関わっているんだろう?」

『なんだよその言い方。それじゃまるで、俺が誰と知り合いでもおかしくないみたいじゃないか。』

「少なくともここ最近のお前はそうだろうが。」


 目の前の通信モニターに映る――柾木に対し、オレはため息をつきながら睨みつける。貴様のおかげで、どれだけ振り回されてると思ってるんだいったい……


 おっと、自己紹介が遅れたな。オレの名はスタースクリーム、現在はセイバートロン・トランスフォーマーの総司令官代行を務めている。本来ならばもっと相応しい人材が居るんだが……ソイツには断られたからな、“コンボイ”の名を返上した今でも代行を続けているという訳だ。


『……でもさ、今回ばかりはあまり役に立てないぜ?俺だって惑星ガイアには行った事がないんだ。ただ、あっちのサイバトロンに強力している魔導師……ジン・フレイホークって奴とそのパートナーが身内ってだけだ。』

「別に構わん。そのフレイホークという人物に、書類面だけでは分からない各TFの性格等を……待て、フレイホークだと?」



 柾木との会話中、ふと引っ掛かりを覚えた名前を確認する。はて、つい最近聞いた覚えが……あぁ、そうだった。



「確か、貴様の兄に出来た婚約者の苗字もフレイホークだったな……関係者か?」

『うわ、そこに触れるのかよ。勘弁してくれ……ただでさえ母さんが暴走して厄介だってのに、俺にまで矛先が向いてこっちはいい迷惑なんだけど?だいたい、俺の事好きになるようなもの好きなんてそうそう居る訳が……って、どうかしたか?』

「いや、気にするな。本当に気にしなくていいぞ?」


 ……頭が痛い。コイツ、自分の状況を分かってないのか?いや、分かってたらこんな発言はしないな。




 やれやれ――コイツに惚れた女は大変だな。

















 ちなみに、後日きちんと資料は送ってもらったぞ?






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「……本当に、すみませんでしたっ!!」

「いや、不可抗力とはいえ俺も悪い部分があった訳で……というか、もうこの話は終わりにしようぜエアラザー。このままじゃ堂々巡りだ。」

≪そうそう、マスターのラッキースケベが発動したのが悪いって事で終了って事にしておけ。≫



 頬に綺麗な紅葉をつけながら、俺はエアラザーを落ち着かせようとする。バルゴラの言い方にはムカつくけど、実際俺が悪いしなぁ……




 ちなみに何があったかというと、メイル達に抱きつかれて動けなかった俺の所にエアラザーが来て、メイル達を引き剥がそうとしたんだ。ここまではいい……けど、この後が問題だった。


 その理由の一つとして、エアラザーはヒューマンフォームのテストをしていた段階で飛び出してきた事にある。その時のエアラザーは――というか今もだけど――腰まで届きそうなロングヘアーの黒髪をストレートにし、モデルとまではいかないまでもそこそこグラマラスな清純っぽい少女の姿になっていた。

 それで、いつものようにメイル達をエアラザーが引き剥がそうとしたんだが……たまたま俺の顔がエアラザーの胸元につっこむ形になってしまった。そこ、何をどうやったらそんな事になるんだとか言わない。俺の方が驚きなんだから……ともかく、そんな状況になってしまった為エアラザーは悲鳴と共に俺の頬をひっぱたいたというのが不幸の真相だ。まだヒリヒリしてるけど俺が全面的に悪いので仕方がない。



「ところでライオコンボイ、どうしてそうイライラしてるんだ?」

「あの、怖いですよ?」

「……あぁ、済まない。話を聞いてたら、なんかこう気分が悪いというか……」







「……確かにエアラザーさんのヒューマンフォームは可愛いけど、それだけでライオコンボイがイライラするのはおかしいだろ。ひょっとしてヤキモチか?」

「かも知れませんね。ライオコンボイがガイア・サイバトロンに加わってから二人はずっと一緒にいましたし、そもそもガイア・サイバトロンに加わるよう説得したのはエアラザーだと聞いていますから……」

「よかった。じゃあ、メイルのライバルは少ないんだね!!目指せお兄ちゃんのお嫁さん!!」

「……メイル、それは難しいんじゃないかな……?」








 ……そこ、ヒソヒソ話をするならもう少し離れてからやりなさい。ライオコンボイとエアラザーが首をかしげているから。



“なるほど。無自覚とはいえ自分が好意を持つ女性が他の男とラブコメ展開をしていたらそれは気分が悪いだろうな。昔のマスターがカオスプライムに対してヤキモチを妬いていたのと一緒だ。”

“……その話は持ち出すな。”


 あの頃は、俺もまだまだガキだったんだよ……あぁもう、今思い出すと恥ずかしいなおい!!



「ふむふむ、なかなか面白い事になっているんだなぁ。これは、僕も来たかいがあるってもんなんだなぁ♪」

「いや、お前が面白がると余計に話がこじれ――」



 待て、聞こえるはずのない声がしたぞ?



「みんな、久しぶりなんだなぁ♪」


 俺が後ろを振り向くと、そこには『酒』と書かれた白い徳利と『通』と書かれた宿帳を持ち、腹に時計を仕込んだ 巨大なタヌキ がこちらに笑顔を向けている。ソイツを見た俺は何も言わず――
















「ふんっ!!」

「甘いんだなぁっ!!」






 ――瞬時にレオーを装着して蹴り飛ばそうとするが、見た目とは裏腹な素早い動きでタヌキは俺の蹴りを避ける。


≪……ハインラッド、何しに来たんだ?≫

「え?君達が面白そうな事をしているから様子を見に来たに決まってるんだなぁ♪」

「よし、すぐ帰れ。今すぐ帰れ。」



 ……コイツの名前はハインラッド。9年前に俺とカオスプライムが惑星ガイアに来る事となった原因で、TFの神であるプライマスの直属の部下らしい。だが、俺はコイツが嫌いだったりする。理由?そんなの無いけどとにかく嫌いなんだ。



「……小僧、諦めろ。こいつに何を言っても意味が無いからな。」

「それには同感だけどさ……それでもムカツクんだ。」

「なんか、扱いが酷いんだなぁ。」


 やかましい、お前が絡むとろくな事にならないんだよ……ぜったいトラブルが起きる。そう、これはヤスフミがなんやかんやで事件に巻き込まれるくらいに確実な事だっ!!


「……なんの騒ぎだこれは?」

「まったく、ちょっと騒ぎすぎなんダナ。」


 すると、プライマルコンボイとライノックスが部屋に入ってきて……って、ライノックス。語尾が若干変わってるぞ?


「あぁ、ハインラッドと区別する為に尾をカタカナ表記にしたんダナ。ほら、同じひらがなだとどちらか分からないでしょ?」

「メタメタな理由だなおいっ!?」



「……コホン、それはともかくだ。ハインラッド、出来れば君も親善交流部隊に参加してくれるか?」

「もちろん、そのつもりで来たんだなぁっ!!」

「ちょっ、プライマルコンボイ!?」



 おもわず止めようとした俺を、ライノックスが無言で引き止める。その瞳はなぜか、深刻そうな色が浮かんでいる。よくみれば、プライマルコンボイもライノックスも妙にそわそわしている……何があったんだ?



「そうか……ライオコンボイ、そちらは任せたぞ?」

「分かった。プライマルコンボイもお気をつけて……みんな、行くぞっ!!」

『はいっ!!』



 そして、ライオコンボイ達が転送用のトランスポーターに乗ると、部屋を光が包みこみ……ライオコンボイ達の体が徐々に薄れていく。





















「「それじゃあお兄ちゃん(兄さん)――行ってきますっ!!」」










 メイルとライラはこちらに笑顔を向けて――その姿が、完全に光となって消えた。俺は、二人を安心させる為に笑顔で見送る。










「……それで、いったい何があったんだ?」



 親善交流部隊が無事に転送を終えたのを確認すると、俺とカオスプライム、ファイヤーマグナスはプライマルコンボイ達に向き直る。すると、プライマルコンボイはゆっくりとその口を開いた。





「……合流ポイントに向かったチータス達から、襲撃を受けたとの報告があった。現在、先行していたガイア・デストロンや異世界のTF達と協力して迎撃にあたっている。」

「敵は、アサルトジャガーが引き連れた量産型TFの軍勢なんだな。」



 ――その言葉に、俺達の意識は一気に戦闘体勢へと入る。それは、俺達が懸念していた存在が活動を再開した事を意味しているのだから。



≪やれやれ、しばらくおとなしくしていたと思ったら……戦力を整える為に雲隠れしていたのか。≫

「ライオコンボイ達に伝えなかったのは、下手にこちらに意識を向けさせない為か?」

「あぁ。彼らには自らの任務に集中してもらいたかったからな……それで、すぐに準備はできるか?」

「もちろんさ。その為に――俺達はここにいるんだからな。」



 ――今年の初め頃、突如惑星ガイアで起きた事件……魔獣大帝クライオテックの復活と、アンゴルモアエネルゴンを結晶化して武器とする量産型TFの出現。なんとかみんなの力を合わせて乗り切る事は出来たが、裏で操っていた黒幕には逃げられた。俺達が惑星ガイアを行動の拠点にしていたのは、ソイツに対抗できるのが俺らだけしかいないのも理由になる。





「――今度こそ、アイツを俺達の力でぶっ 倒してやる。」




 拳を握りしめた俺は、強い決意と共にそう呟く――これ以上、アイツの好きにさせてたまるかっ!!




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



セイバートロン星、転送ポート前――




 プライマルコンボイ達に見送られてセイバートロン星へとやってきた僕達の目の前に広がっていたのは、僕達TFの故郷と言われているセイバートロン星の街並みに――




「……いったい、なんだってんだよっ!?」

「なんでですか――どうして平和なはずのセイバートロン星で……戦闘が起きているんですかっ!?」



 空中を光線が飛び交い、あちこちで炎が舞い上がる光景だった。ブレイクはその光景に憤りを見せ、スタンピーに至ってはショックで腰を抜かしている。



「……!?ライオコンボイ、あれをっ!!」

「どうやら、厄介事のようなんだなぁ……」



 エアラザーが指差す先を眺め、ハインラッドが普段は見せない真剣な眼差しを見せる。そこにいたのは、白い装甲を持つTF達。そして、その中心には……




















「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!さぁ、やってしまうっす!!」








 ――蜘蛛のような姿を持ち、高笑いを続けているTF……以前見た時より姿が変わっているが、あれは間違いない――タランスだっ!!



「……全員、戦闘態勢に入れ。これより我々ガイア・サイバトロン親善交流部隊は現地のTF達と協力し、敵を撃退するっ!!」

『了解っ!!』



 僕の指示に意識を切り替えたみんなはそれぞれ武器を構える。できれば、ハインラッドにはメイルとライラを安全な場所に連れて行って欲しいんだけど……



「――まさか、私達を仲間はずれにする気じゃないですよね?」

≪それは心外です。私達だって、親善交流部隊の一員ですからね?≫

「さすがに、メイルもこれには怒ってるんだよ。あいつらは――許さないっ!!」

≪まぁ、派手に暴れるとしましょうか。≫

「……とりあえず、フォローはするんだなぁ。」


 ……既に二人は、戦闘態勢に入っていた。

 メイルは真紅のジャケットとパンツと、足元を覆うアンカージャッキが付いたメタリックレッドのブーツに、体躯に合わせた鈍い銀色の両刃剣。

 ライラはメイルと同じデザインで落ち着いた銀色のジャケットに、これまたメイルが装着しているのと同タイプであるガンメタリックのブーツ。そして、両腕を包むのはブーツと同じカラーリングのガントレット。

 さらに、二人の後ろにはトランスフォームしたハインラッドが徳利と宿帳を組み合わせたライフルを構えていた――止めても無駄か。


「……エアラザー、スタンピー。二人はメイルとライラのサポートに回れ。ブレイクとハインラッドは僕と一緒に先陣を切るぞ。」


 そうみんなに指示を出しつつ、僕は両腕のライオンクローを展開する……どうしてタランスが此処に居るのかは知らないが、これ以上は好きにさせない。みんなも同じ気持ちのようで、僕の指示に軽く頷いてくれた。



 後は――部隊の指揮官らしく、行動するだけだっ!!



「ガイア・サイバトロン、 戦闘行動開始 ミッションスタート !!」






(第4話に続く)










次回予告っ!



ブレイク「という訳でなんだかすごいことになってるんだけどよ……なんか足りなくねぇか?」

スタンピー「そういえば、そうだね……えっと、なんだろう……?」

ハインラッド「二人とも、忘れてるのはアレなんだなぁ。」

コラーダ「……シクシクシクシクシク……同じネオ出身の仲間にまで忘れられるなんて……」

二人「「……あ。」」

ハインラッド「ちなみに、作者が素で忘れたらしいからコラーダはガイア・デストロンの監視を兼ねて一緒に行動している事になってるらしいんだなぁ。ビーストモードがコブラだから、違和感はないんだなぁ。」

二人「「ちょっ!?それコラーダが気にしてる事だから言わないであげてぇぇぇぇっっっっ!?!?」」



第4話「激突!!ガイア・サイバトロン対プレダコンズ!!〜動き出した黒幕〜」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





あとがき



という訳で第4話なんですが……うん、おかしい。もっとまったりするはずだったのになぜかシリアスになってしまった。これでとま守(コン)との温度差が激しくなるのかなぁ……?いや、モリビトさんがオリジナル展開でガチバトルがあるって言ってたから、その前哨戦と考えればいいんだ(マテ


ちなみに、冒頭は意図的に『GM』〜『MS』準拠の書き方にしています。個人的にボロボロの状況でどうやってマスターギガトロンが脱出したのか(しかも、直後にスターライトブレイカーが襲いかかってくるので実質逃げる時間は殆どない気がする)気になっていたので、『第三者による手引きがあったのでは?』と考えこういった形にしました……言質はとっているけど大丈夫ですかねこれで?

まぁ、今回の描写だけでマスターギガトロンを助けた『第三者』の正体が分かったらびっくりだよなぁ……見た目が原作とは違うし、そもそもイメージしているTFが 非正規品 の奴なので知ってる人少ない(と思う)し……『影の指揮官』を英訳してググったりすると見た目は分かるかも♪あと、『第三者』も一応マイクロン伝説のTFですよ〜……って、これはヒント出しすぎか?


それでは、また次回でお会いしましょう。



管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 マスターギガトロン生存の経緯が明らかに!
 しかしもう出番があるとは。『とまコン』本流での再登場はまだ先なのに、なんて贅沢な奴なんだ(笑)。
 そして彼を助けた第三者。読者に優しくないのでさっさと名乗りなさい(ムリゆーな)。

 セイバートロン星に現れた敵はタランスですか。例の独特の笑いも健在ですね。
 果たして次回どんなやられっぷりを見せてくれるのか。CGビースト出身キャラの場合、星になるだけでなくフルボッコでスクラップ化というオチもあるから油断できません。
 特にコイツ、『ビーストウォーズ』じゃ敵味方問わずバラバラにされてばっかりだったからなぁ(苦笑)。