≪尊き誓いを翼に変えてっ!!≫

流星 ほし の絆で未来を創るっ!!」

≪この魂、炎のごとく!!≫

『栄光合体、グローリーコンボイ――いざ、降臨っ!!』







「そ、そんなっ!?あの攻撃をくらって生き残っているなんて……」

「しかも、クローンTF達を一撃で消滅させるとは……恐ろしい威力だにゃ。」


 ブラックアラクニア達が驚きの表情に包まれているが、私は内心笑みを浮かべながらモニターを眺めていた。




 ――そうだ、そうでなくては。かつて、サイバトロンとデストロンが連合となって『私』に挑む要員となった貴様でなくては、我が好敵手は務まらないのだよ。



「――ナビ子、クローンTFをさらに射出しろ。それでも足りなければ、残ったオムニコンを出しても構わん。」

≪いいんですかぁ?あの子達じゃ、あのTFは止められませんよぉ?≫

「構わん。どうせいくらでも量産できる……その間に、ファントムアークの転送準備を始めておけ。」

≪わかりましたぁ〜♪≫






 ――さぁ、貴様はどう動く?『スタースクリーム』――












とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜

とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典

Another strikerS






第6話『天貫くは、焔纏いし栄光の流星』




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「……うわぁ、これは想像以上に厄介な事になっていますねぇ……」




 私達の前に突如現れたのは、オレンジ色の装甲を持つ謎のTFだった。くっ、未だマスターは気絶したまま……コイツが敵なら、為す術はない。

 ――こんな時ほど、デバイスである自分の身がもどかしく感じる。ハイ・マスターが病魔に苦しんでいる時も、マスターが荒れていた時も……私は見ている事だけしかできなかった。強大な力などいらないが、せめてマスター達を守れるだけの体があれば……




≪……あ、あなたは誰なんですかっ!?まさか、プレダコンズの……≫

「あ、そう警戒しないでください。僕はあなた達の味方ですよ?それに、早く処置を行わないと――そこの人はともかく、TFの方々は死にますよ?」

≪くっ……≫



 確かに、オレンジ色のTFの言う通りだ。今にも、あの3体のTFから感じられる反応が小さくなっている。だが、どうすれば――










「――馬鹿やってないで、さっさと助けるムーン!!」

「あいたっ!?」






 ――その時、オレンジ色のTFを背後から何者かが吹き飛ばす。その存在は、どことなくウサギを思わせるような真っ白な姿で……って待て。


≪……ムーン?≫

「あ、その声はバルゴラだムーン!!ひっさしぶりなんだムーン♪」



 かつて、ハイ・マスターがこの惑星ガイアに来る時に出会ったムーンが、オレンジ色のTFの上に乗っかっていた。どうやら、オレンジ色のTFを蹴り飛ばしたのはこいつらしい。


「と いうかムーン、なんでここに来てるのさっ!!アルテミス様に説教されてたんじゃないのっ!?」

「甘いムーン。そんなの、隙をついて逃げ出してきたに決まって……」














「甘いのはどっちなのかしら。そんな簡単に逃げ切れると思った?」





 ――そして、まるで壊れかけたロボットのように首を後ろに向けたムーンとオレンジ色のTFの視線の先には、両手を腰に当ててとても可愛らしい笑みを浮かべた、緑色の髪を持つ少女……惑星ガイアの意志を司るアンドロイド、アルテミスが立っていた。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





≪――という訳で、なんやかんや起きた後、今の状況に至るという訳だ。≫

「いや、全然分からないぞ?なんだよなんやかんやって。」

≪なんやかんやは……なんやかんやだっ!!≫



 ……だから、状況が分からないんだよ。さっきはノリで名乗りを挙げたけど、気がついたらこの状況だったしなぁ……というか、なんで俺はマトリクスエヴォリューションした時のテイマーみたいな状況になっているんだ?さすがに裸ではないけどさ、なんか感覚も一体化しているみたいだし……ゴッドリンクの時とはまた違うぞこれ?




「……おい、小僧。いつまでグダグダ喋っているつもりだ?」

≪確かに、カオスプライムの言う通りだ……どうやら、敵も動き出したようだぞ。≫



 すると、頭の中に響くようにカオスプライムとファイヤーマグナスの声が聞こえてくる。そして、視界には空に浮かぶ黒い戦艦から、わらわらとユニクロンの眷属達が射出される。さらに、俺達の周囲を取り囲むようにあの量産型TFまで現れた。そして、量産型TF達は変形すると俺達へと襲いかかり――

















「スパークハリケーン!!」

「ブリザードファイヤー!!」












 俺達の背後から放たれた雷を纏った竜巻と、炎を纏った吹雪によって吹き飛ばされ、大爆発を起こす。そして、俺達の前には……2体の大型TFが並んだ。


 1体は右半身が黄色、左半身が緑の装甲に包まれており、左腕に装備された巨大なドリルと、右腰のクレーンが目を引く。

 もう1体は右半身が青、左半身が赤となっており、右腕のミキサーが変形したガトリング砲と、左腕に装着されたダンプの荷台部分が目立つ。




「ガイア・サイバトロン剛腕闘士、ワイルドジェミナス!!過激に復活!!」

「ガイア・サイバトロン機動戦闘員、マッハジェミナス!!戦闘行動を開始する!!」




 そう名乗りを挙げた大型TF――ワイルドジェミナスとマッハジェミナスは量産型TF達を蹴散らしていく。さすがは、古代ガイア・サイバトロンの戦士ってか?



≪ワイルドジェミナス、マッハジェミナス!!ここは任せたぞ!!≫

「あぁ、そうだな……一気に、本陣を叩くっ!!行くぞ、小僧っ!!」


「おぉっ!!」

 

 その掛け声と共に、背中から展開されていた光り輝く翼――エナジーウェポンの新たな形態、グローリーウィングが輝きを増して巨大化する。そして、脚部のジェットエンジンを点火させて――俺達は、空へと舞い上がった。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 ……やれやれ、ゴッドファイヤーコンボイ――いや、今はファイヤーマグナスだっけか?まぁ、どっちでもいいか。相変わらず、ウチのボスは変わっちゃいねぇな。


「そういやよぉ弟よ。ウチの末っ子はどうした?」

「そろそろ来るとは思いますが……」




 そんな事を話していると、俺達を囲んでいる連中の一角が次々と吹き飛ばされていく。そして現れたのは、胸に獣の顔を象った飾りを備えた、白と赤を基調とした――騎士のような大型TFだった。



「待たせたなぁ兄貴達っ!!スピードブレイカー改め――ガイア・サイバトロン超爆走騎士、キングエクスブレイカーただいま参上っ!!」


「おいおい、末っ子のくせにずいぶん派手な登場だなっ!!」

「兄上、そこは大した問題ではない気がしますが?」

「うるせぇっ!?こちとら兄としてのプライドがあるんだよっ!!」


 襲いかかってくる敵を左腕のドリルで蹴散らしながら、俺はマッハジェミナスにそう答える。だってよぉ、俺達二人はいかにもサポート系な姿じゃねぇかっ!!なんで末っ子のキングエクスブレイカーが主役っぽい姿なんだよっ!!普通長兄である俺がそのポジションにいるべきだろうがっ!!


「それはあいつらに言えよっ!!俺達は気がついたらこの姿になってたんだからさぁっ!!」


 ……あいつら?



「ショルダーアタック!!」


 キングエクスブレイカーが剣で指し示した方向に視線を向けると、あのビルドボーイとかいう奴が敵に突撃している所だった。しかし、よく見ると姿が若干違う。全体的にでっかくなっており(というか、赤いクレーン車と黄緑色のパワーショベルが脚部を、ダンプカーが腕部を形成している)、右腕にはクレーンが変形したようなライフルが、左腕には黄緑色のショベルアームが装備されている。



 ……あの野郎、合体できたのかっ!?







「撃つべし、撃つべし、撃つべしっ!!」

「ラットルちゃん、いっきま〜す!!」

「ハンドビュート!!」

「オラオラオラァァァァッッッッ!!」

「ミー達もいくザンスよっ!!」

「ブーン。僕ちゃん、頑張るブーン!!」

「ごぉぉぉっっっつんこぉぉぉぉっっっっ!!」




 さらに、なんか訳の分からん奴らが次々と現れて、敵のTF達に攻撃を浴びせる……あの少年の仲間か?そんな事を考えていると、空からオレンジ色とメタリックカラーの装甲が目立つTFが降りてくる。なんだか、ゴリラみたいな奴だな……よし、コイツは『ゴリさん』だな。



「君達は古代ガイア・サイバトロンの戦士だなっ!?私はプライマルコンボイ、ガイア・サイバトロンの現総司令官だっ!!詳しい事は後で説明するから、今は我々と協力してこいつらを撃退するのを手伝ってくれ!!」



 ……マジか?俺達、いつの間にか『古代』とつくぐらい大先輩になっていたのか。そう考えると、感慨深いものだな。



「――心配しなさんなゴリさん。俺達だってこいつらにはむかついてるんだ……」

「ゴ、ゴリさん!?というか、なんだこのエネルギーは!?」



 ドリルに全エネルギーを集中させると、そのエネルギーが渦を巻いて巨大なドリルへと変貌する。さぁ……派手に暴れる ぜっ!!


「お前ら、巻き込まれたくなかったら必死に避けろよっ!! アトミック、クラッシャァァァァッッッッ!!!!」


 エネルギーが後方で爆発し、巨大なドリルの塊となった俺は敵の軍勢めがけて突撃する!!……ヤベェ。ドリルとはこんなにいいものだったのかっ!?惚れたぜ相棒っ!!


「だああぁぁぁぁっっっっ!?!?」


 視界の端にとっさに回避する弟達の姿が見えたが、俺は気にせずに敵の軍勢を蹂躙していく。エネルギーが拡散したので地面を滑りつつ止まると……地面はエネルギーの余波でアホみたいにえぐれており、酷い有様になっていた。さすがの俺も、この光景にはちょっと冷や汗が流れる。
















「……………………やりすぎたか?」

「今更遅いっ!!」




 ……ま、地上は一掃できたしどうにかなるだろ。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「邪魔だあああぁぁぁぁっっっっ!! グローリーソード!!」


 空中へと飛翔した俺は、ユニクロンの眷属に向かってエネルギーを纏った手刀を振り下ろす。すると、エネルギーは光の刃となってユニクロンの眷属達を斬り裂いていった。ふむ、この技はなかなか使い勝手がいいな。



≪……LODなガイキングの挿入歌が似合いそうだな。≫

≪いや、確かにそうかもしれんけどそれは口にだすなよ!?≫

「やかましいぞ小僧。」


 中でバルゴラと言い争いをしている小僧に呆れながら、俺は両手にグローリーソードを展開し、ユニクロンの眷属達を一蹴する……妙だ。なぜあの戦艦は攻撃を行ってこない?こいつらでは俺達を止められないのは分かっているはずだ。可能性があるとすれば、俺達を一撃で粉砕する兵器のチャージを行っているか、もしくは――



≪――!?カオスプライム、あの戦艦を中心に空間の歪みが発生しているっ!!≫

≪まさか、逃げる気かっ!?≫


 ――ちぃっ!!やはりこいつらは時間稼ぎだったかっ!!


「小僧、ファイヤーマグナス。一気に仕留めるぞっ!!ここで奴等を逃せば――どうなるか分からんっ!!」

≪けどっ!?そうしたら洗脳されている奴等が……≫

≪心配しないでくれジン君。推進部を狙えば戦艦の動きのみを止められるっ!!≫


 ――その大きさが仇になったな。今の俺達なら……余裕で撃ち抜けるっ!!いくぞ小僧、ファイヤーマグナス!!






≪≪「フォースチップ、イグニッション!!」≫≫




 俺達が叫ぶと同時――サイバトロンとデストロンのマークが刻まれたフォースチップが姿を現し、胸部アーマーが展開して露出した専用スロットへと装填される。それと共に、ファイヤーマグナスが変形したキャノン砲の砲身が展開し光を収束し始め、グローリーウィングの輝きが激しさを増す。





 行くぞ……これが、俺達の切り札だっ!!










≪≪「――グローリースター……インフィニットマグナバースト!!」≫≫






 轟音と共に青白く輝いた閃光が解き放たれ、黒い戦艦へと襲 いかかり――


























「――ジュデッカディザスター!!」





 ――戦艦を守るように現れたダークガイストが放つ紫色の閃光によって、受け止められた。



≪なにっ!?≫

「慌てるな、まだ力で押しきれる!!」

≪そうだ……いっけぇぇぇぇっっっっ!!≫


 ――拮抗したのはほんのわずかだった。俺達の意志に答えるかのように青白い閃光が紫の閃光を押し返してダークガイストを飲みこみ、大爆発を起こす。




















































「……フ……フフ……まさか、ギガンティックテクターを破壊されるとは思ってもいなかったぞ?」










 ……だが、声が聞こえてくると共に爆煙が晴れ、ダークコマンダーの姿が顕になる。その増加装甲はボロボロで、所々本来の装甲が見えていた。



「だが、賭けはこちらの勝ちだな……」



 その言葉と共に、黒い戦艦とダークコマンダーが霞のように消えていく。空間転移が発動したか……これ以上追う事は不可能か。









――それでは諸君、ごきげんよう――





 そして、完全に黒い戦艦とダークコマンダーが消え去り……この長い一日が、ようやく終わりを告げた。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「それじゃあ恭文、気をつけて帰ってね」

「うん、見送りありがとうねスバル。それと……」



 スバルがきょとんとした顔でこちらを見る。



 ……よろしくね。



「え?」

「よろしくねって言ったんだよ。まだ言ってなかったしね」



 ホントは目をそらしたいけど、少しだけ恥ずかしい気持ちをガマンして、ニッコリと笑ってみる。


 少しだけ、スバルの反応が怖かった。でもスバルは……





「うんっ! 恭文、これからよろしくねっ!」





 満面の笑みで、そう答えてくれた。



 でも、お願いだから、そんなむちゃくちゃいい笑顔浮かべながらこっちをじっと見ないでほしい。



 ……なんか顔が熱い。





「あ、それと、あたしのトレーニングウェア、そのまま使ってくれてもかまわないから。
 また模擬戦とかする時に必要でしょ?」



 イヤだ。



「えー! どうしてっ!?
 だってあたしと恭文って身長ほぼ同じだし、サイズだってピッタリだから問題はないでしょっ!?」

「待て、豆柴」



 スバルが何やら『また犬扱いするー』とか言ってるけど気にしない。

 模擬戦が始まる前に、スバルから借りたトレーニングウェアは、今僕の手の中にある(袋に入れて梱包済み)。



 一応しっかり洗濯して返そうと思ったのだ。



 でもこの子、何ていうか、恥じらいとか男に自分が着てたもの着られるのがイヤとかっていうのはないの?
 僕はともかく、ジュンイチさんとかギンガ姉さんが泣くよ。



 で、その二人の一方、ジュンイチさんは……あ、 頭抱えてる。



 そんな“お兄ちゃん”の気持ちを代弁する意味も込めて、スバルにひとつ質問。



「スバル、わかってるとは思うけど、僕……男だよ?」

「え? あぁ、そういうことか」



 そうそう、そういうことなんですよ。わかっていただけて嬉しいです。



「恭文のエッチ」

「はいっ!?」

「あたしの服着て、変な事考えてたんでしょ?……えっち」



 スバルがからかうようにそう口にする。ニヤニヤと笑みを浮かべながら……ついでにこなたもニヤニヤしながら。

 いやいやいやいや! そんな事考えてないからっ!



 ……そりゃあ胸の辺りがブカブカだなぁとは思ったけど。



「ほら、考えてるし。
 ……ま、仕方ないかー。さっきは『彼女とか興味ない』って言ってたけど、それでも恭文だって男の子だもんね。
 そういうこと考えるのは普通だと思うし、元気でいいことだよ〜♪」

「いや、待ってスバル。ちゃんと話を……」

「それじゃあ恭文、また明日ね〜♪」



 そう言ってスバルが僕に手を振りながら、こなたと二人で隊舎へと戻っていく。

 ……本当に姉と同じで人の話を聞かない子だなおい。



 残された僕は呆然とする。なんで? なんでたった一日でこんなよくわかんない状況になってるの?



 というか、全部が全部スバル絡みってどういうこと?



《……強く生きてください。私はいつでもあなたの味方ですから》



 ありがとね。嬉しすぎて涙がでるわ。





 と言うか始めからこんな調子で大丈夫か僕っ!?





「…………あー、恭文」



 そんな僕に声をかけてくるのは、当然この場に残ったジュンイチさんだ。



 ……うん。思いっきり疲れた顔していらっしゃる。さっきからのスバルの恥じらい0な態度がよっぽどこたえたみたいですね。



「あー、そうだよ。
 あのバカ、こういうことには頓着しないからなー」



 答えて、ジュンイチさんはポリポリと頭をかいて――



「……あー、その、何だ……
 ………………すまなかったな、恭文、アルトアイゼン」

「へ?」

《どうしました? 急に。
 スバルさんのことでしたら……》

「いや……出向のこと」



 あぁ、そっちか。



「ユニクロンのことを除けば、事件のほとんどはオレが裏で糸を引いてたようなもんだから……だから、お前が出向するハメになったのも、そもそもの元凶はオレにあるワケで。
 だから……ごめん」



 言って、ジュンイチさんは僕達に対して頭を下げた。



 こういうところはジュンイチさんってすごいと思う。相手が誰であれ、仮に敵であっても、頭を下げるべき時は素直に下げる。素直になれない時でも頭だけは絶対に下げる。

 うんうん、どこぞのプチ狸も見習ってほしいものですよ。



「別に、気にしてないよ」



 だから……僕もそれに応えて素直な本音を返すことにする。



「そりゃ、あの無茶振り提督親子のせいでモモ達のクライマックスを見にいけなかったのは頭にきたけどさ。その分、返ってくる対価は大きそうだし」



 それはスバルとの模擬戦で実感した。

 スバルとマスターコンボイ……本当に強かった。戒めを外さなきゃ勝てなかったほどに。

 そんなみんなとこれからガッ ツリ模擬戦とか訓練とかしていけるんだ。僕の修行的な意味でもこの出向の話に乗ったのは“アタリ”だったと思うワケですよ。



《それにマスターの新しい恋も見つけられそうですし》

「あー、それもあるな。
 恭文、アルトアイゼンの口先三寸じゃなくて、ちゃんとお互い惚れ合っての交際ならスバルと付き合ってOKだぞ」



 いや、そっちについては考えてないから。ジュンイチさんもノらないでよ。

 ってーか、僕がフェイト一筋だってわかってるよね? わかった上でツッコんできてるよね?

 あー、もうっ、弟子が弟子なら師匠も師匠だよっ!





 なぜだろう? 帰りに、なんとなしに見上げた街のネオンの光が滲んで見える、そんな10月末の夜だった。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



















「ジン、あ〜ん♪」





 ……うん、目の前の状況がさっぱり分からん。




「もう、ノリが悪いなぁ?こんな美人が世話をしてあげているのに、少しは嬉しそうな顔をしなさいよ。」

≪……マスター、自分で美人って言うのは痛いよ?≫

≪まぁ、百歩譲ってアリスが『美人』というカテゴリーに入るとしても……市販品であ〜んをやられてもな?そこは普通手作りの代物を……って無理か。≫

≪そうだよバルゴラ。マスターは未だに家事が全滅なんだから。食事なんて、サバイバルみたいなもんだし……本気で女を捨ててるよね。≫

「ん〜、アンタ達は少し黙ってよっか?」

≪≪だが、断る!!≫≫

「こ、こいつら……」


 ――さて、とりあえず紹介はしておくか。


 この人はアリス・スノウレイド。先生の妹さんで、俺やライラ達の(書類上ではあるが)身元引受人でもある。年齢は27歳で、職業は一応俺と同じ嘱託魔導師なんだが……ほとんど放浪生活みたいなのを続けているから、俺もめったに会う事はない……はずなんだよなぁ。



「ところで……誰か状況を説明してくれないか?全然訳が分からないんだが。」

≪ん?そういえばマスターは今の今まで眠っていたばかりだったな。とりあえず、あの後から説明するか……≫




 ――そして、バルゴラによる説明が始まった。プレダコンズの戦艦が空間転移した後、俺とカオスプライム、ファイヤーマグナスはいきなり合体解除してぶっ倒れたらしい。大慌てで基地に戻って検査をした所、ただでさえダメージが残っていた俺達が自分達の限界を超えた合体をしてしまったのが原因だそうだ。



「……という事は、グローリーコンボイの姿は封印か?」

≪カオスプライムとファイヤーマグナスも医療ポッドの中だから判断できんが……奴等の戦力が底知れぬ事を考えると、使えるように訓練をしていた方がいいかもしれんな。≫

「そっか……で、アリス姉はなんで居るんだ?」

















「……ジンに会いに来たって理由じゃ駄目、なのかな?」




























 ――はいはい、そうですか。じゃ、もう十分でしょ?さっさと帰ってくださいよ。




「ぬなっ!?この乙女っぷりが全開のポーズでささやくように言っても顔を赤らめる事すらしないのかあんたはっ!?」

≪無理だろうな。君がどれだけマスターの前でグータラな姿勢を見せているというん だ?柾木家から戻ってきた後のマスターを連れ回して旅にでた時なんか、羞恥心のカケラもなかっただろうが。≫

≪マスター、完全に女として見られてないよね。≫


 確かに、アリス姉を恋愛対象として見る事はできないわな。家事はほとんど俺に任せっきりだったし、普通にグータラしていたし、お風呂上りとか前を隠そうともしなかったし。あの頃はどれだけ苦労したことか……おかげで、アリス姉の行動に対しては耐性がついたな。



「……つまり、とりあえずジンにツバつけとこうと思って行動した事が裏目にでたって事か。でも、まだ諦めるには早いわよね……」

「それで、俺の質問には答えてないよな?なんで惑星ガイアに来たんだよ。」

「ん?……ライラが気になったからよ。あの子、 婚約宣言 をしたそうじゃない?レリスから聞いて驚いたのなんの……という訳で、さすがに忠告しとこうかなぁってこっちに来た訳。」



 ちょうどライラ達と入れ違いじゃねぇか。タイミングが悪いなぁ……というか、レリスさんもわざわざ連絡してくれたのか……今度差し入れでも持っていくかな?



≪……ライラ達なら親善交流部隊としてセイバートロン星に向かったぞ。追いかけるのか?≫

「何言ってるのよ。ジンが心配だからしばらくはこっちに残るわよ。それに、ここで端末を借りたらライラとは連絡取れるでしょ?」







 アリス姉が……珍しくまとも……だと!?天変地異の前触れかっ!!



「……ちょっと?」

≪自分が今までやってきた事を考えろ。≫

≪ホント、自業自得だよね〜♪≫

「あらら、思ったより元気そうねぇ……まぁ、よかったわ。」

「ホントだムーン♪」



 そうそう、今までのアリス姉の事を考えると……って待て!?



 明らかに声が増えていたのでその方向を見ると、緑色の髪の女の子と白いウサギみたいな動物が椅子に座ってのんびりお菓子を食べていた。





「あ、久しぶりねジン君。」

「どうかしたムーン?」

「……なんでアルテミスとムーンが居るんだ?」







 はぁ……まだまだ騒動は続きそうだな。







(第7話に続く)

















次回予告っ!




ジン「……考えてみりゃ、ようやく一日が終わったのか。ずいぶん長かったなぁ……」

バルゴラ≪まぁ、マスターはこれからも騒動に巻き込まれるんだろうな。≫

アルテミス「それじゃ、次回は『なぜなにアルテミス』の回ねっ!!」

ムーン「僕がマスコットだムーン?」

ジン「いやいやいやいや、勝手に決めんなっ!!」

アルテミス「え?作者さんはゴーサインだしてるわよ。」

ジン「マジかっ!?」



第7話「ひとまずの休息〜待ってはくれない大騒動!?〜」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




あとがき


ようやく惑星ガイアの長い一日が終わりました。けっこう長かったなぁ……最後らへんの展開は色々詰め込みたい事が増えてどれを削除するか悩みました。

とりあえず一区切りしたので、今回の話までに登場したモチーフが分かりにくいキャラクターを簡単に紹介していきたいと思います。


・ダークコマンダー→シャドーコマンダー(非公式のパーツを装着したユニバース版ネメシスプライム)

・ダークガイスト→ダイノガイ スト

・ファントムアーク→ジェイアーク

・ワイルドジェミナス、マッハジェミナス→超竜神、撃龍神

・キングエクスブレイカー→キングエクスカイザー


え〜、今後の展開が若干予測できる感じもしますが気にしないでください。


それでは、また次回でお会いしましょう。


管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 前回のあとがきでの予告通り、今回はまさに勇者シリーズ祭り。
 この配役だと……最後にはキングエクスブレイカーとの決闘に敗れたダークガイストは太陽に特攻コースですか?(苦笑)

 ともあれ、山場を乗り切ったジン達ですが……うん。うるさいのが増えた(爆)。
 次回は休息編のようですが……この分ではジンが休めないのは確定ですね。合掌(チーンッ)。