『……以上が、セイバートロン星で起きた騒動だ。』
「なるほどな……JS事件を隠れ蓑にコソコソ動いていた連中が動き出したという訳か。」
スタースクリームからの報告を聞き、オレはそう言葉を漏らす。やれやれ、蒼凪恭文と柾木がいてくれる事に感謝だな。今の状況でその『プレダコンズ』とかいう連中と戦闘する事になれば……六課内から死人がでないとも限らん。
もっとも、そんな事にはオレがさせんがな……あいつらをこの手で護り抜く、そう決めたんだからな。
「それでだスタースクリーム、他の連中にこの事は?」
『既に、各惑星の代表には伝えてある。だが……ザラックコンボイから気になる事も聞かされた。』
「気になる事?」
『あぁ……キャプテンシャークとアイアンレインを覚えているか?』
「……また懐かしい名前が出てきたものだな。」
――オレがまだデストロンの破壊大帝を襲名したばかりの頃、たった2人でデストロンに喧嘩を売ったTF達が居た。それが、キャプテンシャークとアイアンレインだ。
ただ命を賭けた戦闘を味わいたいという理由だけでいくつもの戦場に介入し敵味方問わず破壊しつくしたというその傍若無人な振る舞いでTF内ではかなり恐れられていた二人だったのだが、ギガトロンを倒したオレからすれば意にも介さない程度の存在だった為、手加減する必要もなくおもいっきり蹴散らしたのであった。
その後は傭兵みたいな形でデストロンに参加していたのだが、プラネットフォースを巡る戦いと同時期に突如行方を眩ませた。まぁ、元々が根無し草のような存在だったので気にもとめていなかったが……なぜそこでそいつらの話が出てくる?
『……未摘発だったガジェットプラントのうち、既に破壊されたプラントに残されていた監視カメラの映像からキャプテンシャーク達の姿が発見されたからだ。
奴等が個人的に動いているのならまだいい。だが、もし奴等がディセプティコンかプレダコンズと強力しているというのなら……』
「……厄介だな。下手をすれば、地上本部の二の舞となるか。」
――ガジェットが奪われるという事は、AMFの機構等が解析されるという事だ。もしそれを、ガジェットよりも協力な兵器に搭載されでもすれば……今の管理局では対抗できまい。
『……とにかくだ、奴等がミッドチルダに現れる可能性はないとは言えない。既にザラックコンボイや地上本部に話はつけているが、こちらの復興が終わり次第六課に戦力を送る。』
「それはまた、ずいぶんと思い切った事をするな?」
『JS事件の被害が一番大きいのはミッドチルダだ。戦力を整えておいて損はない。それに、ちょうど惑星ガイアという星から親善交流部隊がこちらに来ているからな……建前などいくらでも作れるさ。』
――それからしばらくした後、オレとスタースクリームの通信は終わった。しかし、親善交流部隊か……またずいぶんとタイミングがいい時に来たものだな?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
惑星ガイア、ガイアサイバトロン地上基地――
「……という訳で、さすがの私も怒っちゃった訳なのよ。」
「さいですか……」
「だからと言って、僕達にあたるのはやめて欲しいムーン!!」
アルテミスの話を聞きながら、とりあえず俺はため息をつくしかなかった。駄目だ、相変わらず過ぎて力が抜けちまうよホント……
――さて、ここでアルテミスについて詳しく説明しておこうか。といっても、俺もあまりよく知らないんだけどな。
アルテミスは、惑星ガイアが誕生したと同時に生まれた意志集合体……ようは、惑星ガイアそのものらしい。で、まだ環境が整ってない頃はほとんど赤ん坊のような状態で過ごしていたんだが……ある時、惑星ガイアに強大なエネルギーが降り注いだ為に環境が急速に変化し、アルテミスも“自我”が芽生えたんだそうな。
この降り注いだエネルギーというものがアンゴルモアエネルゴンで、その時にプライマスとも出会ったらしい。
なんでも、プライマスとユニクロンが激しい闘いを繰り広げていた頃に、ユニクロンの“力”の一部が別次元へと飛んでいき、それがアンゴルモアエネルゴンへと変化したんだとか……
そして、アンゴルモアエネルゴンを惑星ガイアのライフサイクルに取り込む事で浄化するのと引き換えに、いざという時行動する為にアンドロイドボディを手に入れたという訳だ……ちなみに、この事からアルテミスの年齢を指摘したバルゴラは一週間は悪夢に苛まれたそうな(AIにも悪夢とかあるんだな)。
「まぁ、私達の話はこれくらいにして……さっきから気になっている事があるんだけど聞いてもいいかな?」
「ん、なんだ?」
「ジン、気づいてないムーン?前は青色だったのに、とても綺麗な橙色の瞳になっているムーン!!」
……………………………………………………はい?
≪……言われてみると、確かにそうだな。≫
≪ほんと、まるで太陽みたいだよねぇ♪≫
「……ほら、鏡でも見なさいよ。」
そして、アリス姉がどこからともなく出した鏡を眺めると……確かに、俺の瞳は鮮やかな――まるで、太陽を思わせるかのような橙色に輝いていた。
………………………………………………いったい俺の身に何が起きたっ!?
とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜
とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典
Another strikerS
第7話『ひとまずの休息〜待ってはくれない大騒動!?〜』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
数日後――
『……なるほど、それは私の魔力光変換と同じ現象ですね。』
「はぁっ!?」
とりあえず、いくら考えても分からなかったのでライラに連絡した所、そんな言葉が返ってきた。
――魔力光変換ってのは俺達の母方の一族が極稀に発現したっていう能力の事だ。まぁ言葉の通り、魔導師の操る魔力光が変化するというだけの事。
それ以外にはなんら付加効果もなく、Aランク以上の魔力量を持つ人間にしか発現しない為、管理局にもレアスキル認定されていないというあまり意味のない能力だ。
……もっとも、これはあくまで“一般例”であり、魔力変換能力を持つやつなら恐ろしい事になるんだけどな。ちなみにライラは『炎熱』、『凍結』、『電気』の魔力変換能力を持つから幅広い戦闘が出来る。
≪……だがライラ、確かマスターではこの能力を発現させる事はできないのではなかったか?≫
そうなんだよなぁ……俺って管理局が定めるランク上ではA-だけど、実質的な魔力量はBランクにすら届かないしなぁ……徹底的に効率化した魔力運用や処理能力と先生達にしごかれた戦闘スキルでなんとか生き残れてきたようなもんだし……
『えぇ。だからこそ聞きたいんですが――兄さん、あなたまた無茶しましたね?』
……うん、えっと……ライラさん?なんだか背後からゴゴゴゴゴゴゴ……って文字が黒いオーラと一緒に見えるんですが?つか、なんでモニターごしにオーラが伝わるんだっ!?
「えっと、そのだな……ライラ、ともかく落ち着け?」
『あら、何を持って落ち着けと言うんでしょう?本来兄さんには縁のない魔力光変換が発現したという事はバカでかい魔力かそれに相当するエネルギーを体内に取り込んだという事でしょう?つまり、そんな状況にならざるを得ない事態が発生した――違いますか?さぁ、怒らないからきちんと話してください。えぇ、怒ってはい・ま・せ・ん・よ?』
あらぁ……見事に看破されちゃってるなぁこれ……
――結局、俺は今回起きた出来事を洗いざらい喋らされ、ライラに説教されただけではなくたまたま話を聞いていたメイルをなだめなくてはならなくなった。
……ちきしょう、俺の平穏はどこにあるんだよ?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
時空管理局本局――
≪マスター、どうかしましたか?≫
「いえ、何か面白そうなトラブルが発生したような感じがしたんですが……主にフレイホーク君の所で。」
≪……またですか。彼もトラブルに巻き込まれやすい体質ですからね……≫
まぁ、見てる分には面白いんですけどね。あの子無自覚にフラグを立てる事も得意ですし、ラッキースケベも時折発動しますし。
あぁ、本当なら私も惑星ガイアに行きたかったんですが……仕事が多すぎですよ常識的に考えて。これでは、ライを愛でる事ができないじゃありませんかっ!!
≪……………………差し出がましい発言かもしれませんが、マスターはもう少し弟君と距離を置くべきだと思われます。≫
なにを言うのですかカペル。ライを愛でる事は私の唯一の癒しなんですよっ!?
≪いえ、弟君の将来を考えたまでです。確かに弟君は可愛らしい……というか、もはや『男の娘』と呼ぶべき身体的特徴を持っていますが、それでもやはり愛玩動物のような扱いは控えるべきかと……だいたい、もう弟君は18ですよ?≫
「だからどうだと言うんです。ライがいくつになろうと可愛いものは可愛いのですっ!!」
≪……えぇ、そうでしたね。マスターはそういう人でした。ですが、弟君もいずれは将来を共にする伴侶と出逢うはずです。その時が来たらどうなさるおつもりですか?≫
「その時は……その時考えますよ。いくら私でも、ライには幸せになってほしいですからね……まぁ、ライに相応しい人物でなければ認めませんがね?」
≪やれやれ……マスターは相変わらずですね。≫
む、どういう意味ですかカペル?
≪いえ、他意はありませんよ……それより、そろそろお時間では?≫
「そういえばそうですね、少し急ぎますか。」
――考えて見れば、この会話普通に廊下でしていたんですよね……誰も来なくてよかった。
私は小走りで廊下を進むと、目的の場所へと辿りつく。入り口には近代的な本局の内装とは合わないどことなく重厚な雰囲気を漂わせる木目の扉が存在し、そこの警備端末のスイッチを押して、応答した女性へと私は話しかけた。
『はい、こちら無限書庫です』
「時空管理局執務官のレリス・ストライフです。頼んでおいた資料を受け取りにきたのですが……」
『少々お待ちください……確かに確認しました。それでは、中へどうぞ。』
扉が開くと、私はその中へと飛び込んでいく……目の前に広がるのは、無重力の世界。薄暗い中では縦横無尽に本の山が浮かんで……
「……カペル、私の目がおかしいんでしょうか?」
≪いいえ、あの光景ははたから見れば異常に見えますが、マスターは正常です。≫
「そうなんですか……」
……なんでテント村が出来ているんですか。あれですか、司書の皆さんはもはや泊り込みの生活という事なんですかっ!?これ、労働基準法とかに違反しますよねっ!?大丈夫なんですか管理局はっ!?
「すいませんストライフ執務官……お見苦しい所を見せてしまいました。」
そう言いつつ私の前に降りてくるのは……若干19歳にしてこの無限書庫の司書長となった、ユーノ・スクライア司書長だった。
「……まさか司書長自らおいでになるとは思いもしませんでした。そんなに今の無限書庫はひどいんですか?」
よく見れば、周りで本を検索している司書達も疲れが抜けているようには見えない……本気で大丈夫ですかねこれ。
「今日はまだマシな方ですよ?クロノ……あ、失礼。ハラオウン提督が緊急で資料請求を行ってくる時はもっとひどい状況ですし。」
「……あの人ですか……それはご愁傷様です。」
しかし、さすがにこれは見過ごせませんね。無限書庫は全次元世界の情報が集まっているとも言える場所です。スクライア司書長が来てからはだいぶ改善しているとはいえ、未だに管理局内ではその立場を軽視している輩が多い……ただでさえ今の管理局は危ういというのに、彼らが倒れた場合どれだけの機能が麻痺するか分かっているんですかね?
「……スクライア司書長、無限書庫の現状を教えてもらえませんか?」
「は?どうしてそんな事を……」
「いえ、単純な興味です。さすがにこんな状態を放置しておけるほど私はひねくれてませんからね。なんでしたら、しばらくは無限書庫の運営を手伝いましょうか?」
「えぇっ!?そんな、ストライフ執務官にもお仕事というものが……」
「問題ありません。最近は特に大きな事件も担当していませんし……それに、フレイホーク君から聞いていますがここは魔力運用と術式詠唱の訓練としては非常に効果があるそうですね?えぇ、任せてください。そういった事は大得意ですから。」
フフフッ♪久しぶりに全力でいけそうですね……腕がなるというものですっ!!
「いや、あの……ストライフ執務官?」
≪スクライア司書長、諦めてください。こうなったマスターは止められませんから。≫
ついでに司書の皆さんについても調査して、ライやゼフィウス先生に頼んで、魔力運用と術式詠唱、そして処理能力をサポートするデバイスの構築でもやってもらうとしましょうか。どうせ必要最低限しか使わない給料なんて余りに余ってるんです。こんな所で散財してもむしろ投資と考えれば好都合っ!!後々楽になるから問題ないですっ!!
「……うわぁ、なんだかエライ事になりそうだなぁ……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
機動六課――
「だが、見方を変えれば、その資格の出番がないということは、それだけテスタロッサが困っていない、ということではないか。
本来ならば喜ぶべきところだと思うがな」
……………………え?
突然の声は談話室の入り口から――聞き覚えのないその声に、僕は思わずそちらに視線を向ける。
そこにいたのは、20代終盤くらいの年頃の、黒髪を背中まで伸ばした長髪の男がひとり。
「イクト兄さん!?」
「帰ってきたんですか!?」
その姿に、エリキャロが驚きの声を上げるけど……えっと、どちらさま?
「あぁ、そうか。恭文くんは面識なかったね。
この人は炎皇寺往人さん。元々はお兄ちゃん達ブレイカーの敵だった人で、今は頼れる仲間兼お兄ちゃんのライバル……ってところかな?
で、エリオくんやキャロちゃんにとっては、頼れるお兄さん分でもあるんだよ。
イクトさん、この子がお兄ちゃんの友達の……」
「そうか。貴様が蒼凪恭文か。
今柾木あずさから紹介に預かった、炎皇寺往人だ。呼ぶ時は“イクト”でいい。敬称は好きにしろ」
「は、はい……」
あずささんの紹介を受けて、イクトさんが右手を差し出してきた。対して、僕も握手を返すけど……
………………うん。勝てる気がしない。
こうして向き合ってるだけでもわかる。この人は……すごく強い。
たとえ、今この瞬間にアルトをセットアップして斬りかかったとしても、この人に一撃を入れられるイメージが浮かばない。
もう、この一瞬で僕とイクトさんの上下関係は決まったと言ってもいいかもしれない。
「………………ん? どうした?」
「あ、いえ……」
「ま、待ってくださいよ、イクトさん!」
と、そこに再び新たな声が――けど、こっちの声には覚えがあった。
「フェイト…………?」
「あぁ、恭文、それにみんなも。
ただいま……それから、顔出せなくてごめんね」
そう、フェイトだ。僕の上げた声でこちらに気づき、少し申しわけなさそうにそう答えてくる。
「なんだ、テスタロッサ。お前、この集まりに出る予定だったのか?
だったらオレの迎えになど来なくてもよかったんだぞ」
「何言ってるんですか。
イクトさんをひとりで行動させたら、一生かかっても六課までたどり着けないじゃないですか」
「ひどい言われようだな……否定できんが」
えっと……どういうこと? あずささん。
「あのね、あのイクトさんって、とんでもなく強いんだけど……実は、とんでもない方向音痴でもあるんだよ。たとえ地図を持っていても、ひとりじゃ絶対に目的地にたどり着けない、ってくらいにね。
その上、機械音痴でもあるから、ナビを持たせても壊すだけ……結局、誰かが道案内するかないんだよ。
“JS事件”中なんか、この六課の隊舎やアースラの中でもしょっちゅう道に迷ってたんだから」
…………まぢですか。
で、そんなイクトさんを無事に六課まで連れてくるために、フェイトが……ってことか。
「面目ない。
おかげで、お前らからテスタロッサを取り上げる形になってしまったな」
「そ、そんなことないですよ!」
「イクト兄さんは悪くないですから!」
言って頭を下げるイクトさんに対して、エリオやキャロもあわててフォローの声を上げる。
「二人の言うとおりですよ、イクトさん。
私達は、好きでイクトさんのお手伝いをしてるんですから」
そして、フェイトもだ――エリオやキャロの肩に手を置き、イクトさんに向けてフォローの言葉をかけるけど……
えっと……なんか、距離感近くないですか?
心根の優しいフェイトが周りの人を気遣うのはいつものことだけど……なんか、いつにも増して献身的な気が……
「あー、そうだね。
イクトさんとフェイトさん、けっこう仲がいいんだよねー」
え!? スバル、それどういうこと!?
「ほら、フェイトさんはエリオやキャロの親代わりだし、イクトさんはお兄さん代わりじゃない?」
思わずスバルに詰め寄った僕にはティアナが答えてくれた。
「そういう立ち位置なせいか、二人ってけっこう一緒に動くことが多いのよ。
特に、“JS事件”でエリオ達と初対面だったイクトさんにとっては、フェイトさんは心強いアドバイザーな感じでさ」
あ、あー……そっか。
二人とも、エリキャロにとっては家族みたいなものだもんね。そういうつながりか。うん。
「そうだよ。
前にイクトさんが落ち込んだ時なんか……」
「ちょっ、バカ!」
え? ティアナ?
いきなりスバルを止めてどうしたの?
「い、いや! 何でもない! 何でもないから!」
い、いや、そんな必死になられたら余計気になるんですけど……
「まー、大したこっちゃないわな。
ただ、ちっとした因縁の浮上でブルーになったイクトを励まそうと、フェイトがイクトとデートしたくらいで」
「ジュンイチさぁぁぁぁぁぁんっ!?」
…………………………え?
ジュンイチさん……今、何て?
「いや、だからフェイトとイクトが――」
「このおバカぁぁぁぁぁっ!」
しかし、ジュンイチさんがもう一度僕に説明してくれることはなかった。
瞬時に愛用の戦斧型デバイス“レッコウ”を起動させたあずささんが、ジュンイチさんを一撃の元にしばき倒したからだ。
「お兄ちゃんだって恭文くんの気持ちは知ってるでしょうがっ! なんだっていつもいつもそーやって波風立てるような言い回ししちゃうかなっ!?
そんなに人間関係荒立てたいのか、このバカ兄はっ!」
しかも、一撃では飽き足らず、何度も何度もジュンイチさんを打ち据える――あわててスバル達が止めに入るけど、僕にはもうその喧騒も耳には入っていなかった。
だって……ジュンイチさんの言ってたことが本当なら……
フェイトが……イクトさんと……
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
サイバトロニア近郊――
「やぁぁぁろぉぉぉぉぅぅぅぅぅどもぉぉぉぉっっっっ!!キバって働けぇぇぇぇっっっ!!」
『がってんだっ!!』
――目の前では、スペースブリッジ建設の為にさまざまなTFが動き回っている。しかし、なかなか見られない光景だなこの光景は……
「……で、お前はなぜここでサボっているんだ?」
「おいおいオーバーロード、しばらくは勘弁してくれ。これでも病み上がりだぞ?」
「フッ、たった一人で俺とギガストーム、そしてデスザラスを相手取った奴の台詞とは思えんな。」
……懐かしい話だな。あの時も俺は敵と間違えられて……いかん、思い出したら気分が沈んできたな。
「まぁ、お前の姿はよくある“闇の力で生み出されたコピー戦士”のような姿だからな……パッと見ただけでは味方には見えんさ。」
「……攻撃されるこっちの身にもなってみろ。最初から友好的に接してくれたのは少なかったぞ?」
つい最近も攻撃してきた小娘が居たしな……
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「くしゅんっ!!」
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「おっかしいなぁ、風邪をひくような事はしてないんだけど……誰かが噂しているのかしら?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……まぁ、それはともかくだ……」
「おらおらぁっ!!俺のドリルが火をふくぜぇぇぇぇっっっっ!!」
「兄上、少し落ち着いてくださいっ!?」
「オラオラァッ!!俺達も負けてられないぜっ!!」
「僕ちゃん、肉体労働は向いてないブーン。」
「喋ってる暇があったらさっさと働くザンス。」
「ごっつんこ。」
「しっかし、エクスブレイカーもなかなかいける口ジャン?」
「いやぁ、チータスやラットルだってなかなかのもので。」
「そ、そっかな?」
「貴様ら、何をサボっておる!?」
「あ、うるせぇオヤジがきた……どうします先輩?」
「もちろん決まってるジャン?……逃げるんだよぉぉぉぉっっっっ!!」
「待たんかお前らぁぁぁぁっっっっ!?!?」
「……奴等はいつもあんな感じなのか?」
「まぁ、そんな所だな。」
――とりあえずフォローに回るか。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
――さて、気がつけばミッドの暦上では11月になろうとしている。その間、色々な事があった。
アリス姉にしごかれたり、リハビリも兼ねてスペースブリッジの建設を手伝ったり、アリス姉にしごかれたり、アルテミス達に振り回されたり、アリス姉にしごかれたり、アイちゃんの手伝いをしたり……ってあれ?アリス姉にしごかれるの多くね?
「……で、そっちも色々あったって事か。」
『まぁねぇ……でも、ジンにも驚きだよ。なんなのさそっちの状況は?』
「そんなの俺が聞きたいぞ……」
――ともかくまぁ、俺は今最近連絡の取れていなかった友人達にいろいろ連絡してまわっている所だった。今モニターに映っているのは、俺の長年の友人でもある蒼凪恭文って奴(俺は親しみを込めてヤスフミって呼んでる)だ。最近じゃあ、知り合いの頼みでなぜか機動六課に出向しているらしい……ってそういや、ジュンイチさんも六課にいるんだっけか。世間は狭いねぇ……後ではやて姉やビッグコンボイにも連絡するか。
ちなみにヤスフミの現状は、本人に知らされず休みを取る事になって明日はあのサンクト・ビルデ魔法学校を見学するんだそうな……お前の方が大変そうだぞ?
「……ま、元気そうでよかったよ。前に会った時はお互い大変だったもんな……」
『――あぁ、アレは思い出したくもないね。』
……ちょうどJS事件の時にたまたまヤスフミと出くわす機会があったんだが……その時もなかなか大変だった。まぁ、いろいろあったとだけ告げておこう。本家様がそこら辺に触れてないから作者もどう書いていいのか分からないってのは内緒だ。
「ともかくだ、俺も状況が落ち着いたらそっちに遊びにいくからさ……そん時はよろしく頼むぜ?」
『普通に会いに来る分は別にいいよ……トラブルの火種さえ持ち込まなければね』
……そっか、お前はそういうパターンもあったな。ま、多分大丈夫だろ……多分。
「それじゃ、また連絡するよ」
『ん、それじゃあ』
≪――しかし、マスターとヤスフミに安息の日が訪れる事はない。運命の波はマスター達の元へ近づいているのであった。≫
バルゴラ、不吉なナレーションをいれんなっ!?
(第8話に続く)
次回予告っ!
ジン「……で、結局タイトルと話の内容が一致してない気がするんだが?」
バルゴラ≪それは仕方ないかもな。作者は適当にタイトルを決めてから話を書くクセがあるからな……ま、大騒動がマスターを待ってくれないのは当然だろう。≫
ジン「なぜそう断言できるっ!?」
バルゴラ≪アホなのかマスター?魔法バトル物の主人公がトラブルに巻き込まれないでどう話が動くと言うんだ。≫
ジン「実にメッタメタな理由だなおいっ!!」
第8話「ひとまずの休息ぱ〜と2〜たまにはだらだらのんびりと過ごしたい〜」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あとがき
……はい、という訳でタイトルと内容がずれている感じがするお話でした。いや、本当はもっと不穏な空気を出したかったんですけど、いかんせん他のネタを優先したらこうなっちゃって……個人的には某姉妹が出せただけでもよかったかなと。とま守(コン)での登場を期待しますよモリビトさん?
そしてJS事件の裏で恭文とジンが巻き込まれたトラブル。これもまたモリビトさん頼みという(マテ
……仕方ないんですよ。現状で恭文がJS事件時にどういった行動をしていたのかが分からないから、こっちだって絡ませようにも絡ませられないんですって。
という訳で(?)、また次回でお会いしましょう。
管理人感想
DarkMoonNightさんからいただきました!
バトルがないのにぜんぜん平和な感じがしない。というか落ち着ける空気じゃない。
そんなワケで、バルゴラの最後のセリフが冗談に聞こえない。ジンくん、お疲れ様(苦笑)。
某姉妹は……なんとかして出したいんですけどねぇ。機会がなかなか。
オリジナル編で引っ張り出せるかな? 出せるといいなぁ〜……うん、がんばれ自分。