「……ファイヤーマグナス、異常はどこにもなかったんダナ。やっぱり気のせいだと思うんだけど……」

「……そうか。済まなかったなライノックス、無理を言ってしまって。」

「別にいいんダナ。こうやった無事に異常がなかった事を確かめられただけでもよかったよ。」



 医療ポッドから出た私に、メンテナンスをしてくれたライノックスがそう言葉をかける。腑に落ちない点はあったが、私はそのままライノックスと共に医療ルームを後にした。


 ……カオスプライムやジンとゴッドリンクしてから、急激に体の力が抜ける事態が発生するようになった。始めはまだこの体になれてないからかと思ったが、こうも長く続くと流石に不安になってしまう。そこで、ライノックスに頼んで内密にメンテナンスを行ってもらったのだが……結果はご覧の通りだった。


 だが、実はライノックスに伝えていない事がある。急激に体の力が抜ける時、必ずと言っていいほど……私のスパークに痛みが生じるのだ。それが意味するものはいったいなんなのだろうか?























 それとも、お前なのか?
















 ――ゴッドマグナス――










とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜

とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典

Another strikerS






第9話『来訪者は熱血騎士と僕っ娘コンビ!?』






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












「……妙な反応?しかも、宇宙から?」

「そうなんダナ。なんか気になるから、ジン君とエクスブレイカーには調査に向かってほしいんダナ。」



 それは、ちょうどヤスフミと会話をしてから三日後ぐらいだった。いやはや、まるで どっかの神様がタイミングを合わせたみたいに トラブルが舞い込んできたなぁ……



「ちょい待ちサイのおっさん。なんで俺も探索任務の方なんだ?こういう時は、チータスとかの方が向いてるだろ。」

「……チータスとラットル、それにコラーダはプライマルコンボイと一緒にお出かけ中なんダナ。」

「お出かけぇっ!?いったい何処にっ!!」

「それは……」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「さぁお前達っ!!まだ見ぬ仲間が私達を待っているぞぉぉぉっっっ!!ほら、進め進めっ!!」


 ……プライマルコンボイったら、やけに張り切ってるジャン?ちょ〜暑苦しいんですけど。


「ほんとだよねぇ……なんでオイラ達まで一緒に行動しなくちゃならないのさ?これだったら、スペースブリッジ建設の方に参加してゲルシャークをからかってる方が何万倍もマシなんだけどぉっ?」

「……いや、先輩。ゲルシャークのおっさんが俺達の事を連れてけって頼んだらしいですよ?」

「マジかよっ!?あのおっさん、ろくな事しねぇなおいっ!!」

「ほらほらお前達、喋るのは後にして歩く歩くっ!!さぁ、バナナ が私を待っているぞぉぉぉっっっ!!」



「「「いや、趣旨がずれてるからっ!!というか、どっからバナナが出てきたっ!?」」」










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 ……だいたい分かった。つか、なんか想像が容易に出来るぞおい。


「後、しばらくはローテーションで作業を進めるようになったからそんなに人手がいらないんダナ……という訳で、よろしく〜♪」

「いや、やけに軽いですよ言い方がっ!?」















 ――とまぁ、こんな感じで俺とエクスブレイカーはその妙な反応が現れた地点へと向かう事になったとさ。
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆























 アリスちゃん、調子はどぉ?


『問題ないわよ〜。むしろ、ほとんど生身と変わらないからビックリしてるんだけど。』

「ほんとぉっ!?それじゃ、今度はこっちの調整をお願いっ!!」

≪……うわぁ、なんかすごい事になってる……≫

「その気になったら、レムレースにもボディを用意できるムーン。」

≪ほんとっ!?だったら、アイちゃんみたいなアンドロイドタイプがいいっ!!≫

≪わ、私みたいなですか?≫


 あ〜、それも面白そうねぇ……片手間で作っちゃおうかしら?






「……あの、アルテミス様?一体何をしていらっしゃるんでしょうか?」




「え。なにって……工作?」

「工作ってレベルじゃないですよねそれっ!?どう見てもTFですしっ!!」

「も〜、ビルドボーイはうるさいなぁ……少しは静かにしていてよっ!!」

「だったら納得のいく説明を要求しますっ!!大体、あなたは本来おいそれとこの世界に関わっていいような存在では……」





「それを決めるのはこの私よっ!!」

どどんっ!!




「もう嫌だこの神様……」


 ちょっと、なんで泣き崩れるのよ?あれ、ひょっとしてあれかな?私の言葉に感動しちゃったとか?


「まぁ、 今回の アルテミスの行動には一応ちゃんとした訳があるムーン。」

「……本当ですか?」


 あれ、なんでスルーするかな?


「あそこでアリスちゃんが調整をしているのは、アルテミスがジンのトランステクターを解析し独自の方法で造り出した、いわば“擬似トランステクター”だムーン。」

「……なるほど。確かトランステクターは、レリックとかいう代物を守る為の自律型ガードシステムでしたっけ?」

「そうなんだムーン。まぁ、あの擬似トランステクターはどちらかと言うとパワードスーツ的な代物なんだけど……」



 ……いいわよいいわよ。そっちが無視するんだったら、私は読者向けの説明をするんだからっ!!

 といっても、これを造り出した理由は超簡単なんだけどねぇ……









人間に造れたものが、この私に創れないはずがあるかぁぁぁっっっ!!!!

きゅぴ〜 んっ!!






















「……あれ、どうします?」

「スルーだムーン。」

≪その方がいいですね。で、アリスさん何か要望はありますか?≫

『……どうせならさ、合体機能つけない?ほら、ロボット物の王道でしょ?』

≪さすがマスター、ネタに走る事だけは止めないね。≫






 え、ちょっと。誰かツッコんでよっ!!さすがに寂しいんだけどっ!?
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




















「……それでよぉ少年、ちょぉっと聞きたい事があるんだがいいか?」



 ――ビークルモードのエクスブレイカーに乗って妙な反応が発生した地点まで向かっている途中(見た目はスポーツカーなのにどんな悪路も乗り越えていっているのは単純にすごいと思う)、エクスブレイカーがこちらに話しかけてきた。というか、あんたら三兄弟は俺の呼び方『少年』で固定なのな。あと2年ほどで通用しなくなる気がするけど。


「まぁ、俺らからしたら何時まで経っても少年は少年だぜ?……とまぁ、それはおいといてだ。少年には彼女とかいないのか、ん?」


 ……アンタはどこのオヤジだっ!?


≪残念だがエクスブレイカー。マスターにはそのような存在は居ないな……現在もまだ彼女いない歴=年齢のままだ。≫

「ってっ!?お前は余計な事喋るんじゃねぇよっ!!」

≪あれだ。年上好きのクセして実際にマスターの交友関係で年上の女性なのはアリスとレリス、ヒロリスに八神嬢ぐらいだからなぁ……あぁ、エアラザーも一応年上扱いか?それとあれだ……マスターの場合、『あの人いい人だよね♪』で終わるタイプだ。≫

「なるほどなぁ……あ、アイちゃんには手を出すなよ?アイツは俺達のアイドルなんだからな……ま、ラッキースケベくらいなら許してやろう。」 

≪ん?マスターは既にアイちゃんに対してお姫様抱っこというなんとも胸キュンなイベントを発生させたぞ?≫

「なにぃっ!?」


 つか、バルゴラは個人情報をペラペラ喋るんじゃねぇっ!!そして、あれはしょうがないだろうがっ!!


≪さらについでだ、マスターの女性との交友関係を述べていこうか。まず、メイルとライラは妹(義妹も含む)だろ?八神嬢とアリス、ヒロリスは姉貴分、レリスはどストライクだがいかんせん友人止まり、カイザーズの面子とエアラザー、アイちゃんは仲間だろ?……あぁ、ジュンイチ繋がりならもう少しいるが、あそこはジュンイチ狙いだからなぁ……あずさに至ってはようやく恋が実ったらしいし。≫

「だから、個人情報を喋るなってんだろうがっ!?そして、その情報網はどっから仕入れてきてるんだお前はっ!!」




≪無論、霞澄殿からだっ!!マスターが柾木家に居候してからずっと彼女とは良き友人として交流しているぞっ!!≫



 ……マジでなにしてんだあの人っ!?
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




































『――という訳でぇ、ディセプティコンの連中は密輸されたレリックを追 いかけるらしいっすよ?』

「そうか……タランス、お前はそのままディセプティコンの動向を見守れ。くれぐれも管理局やサイバトロンに見つかるような真似はするなよ?」

『ウヒャヒャヒャヒャ、それはもちろん分かっているっすよ♪それじゃあ、アタチは任務にもどるっす。』




 タランスからの通信が途切れると、私は送られてきた情報に目を通す。そこには、ディセプティコンの動向や彼らが雇った傭兵のデータ、そしてレリックについての詳細なデータが纏められていた。

 ……さて、できる事なら介入を行ないたいが……アンゴルモアエネルゴンは十分な量を確保できておらず、戦力も補充出来ていない。なにより、マスターギガトロンはこちらの介入を嫌うだろうな。やれやれ、命の恩人に対する態度とは思え……









≪ダークコマンダー様、大変大変大変なの〜!?≫



 ――その時、ナビ子からの緊急通信が入ってくる。一体何が起きたというのだ?


≪そ、それがさ……≫

「もうしわけありませんダークコマンダーさまぁぁぁぁぁっっっっっ!!」



 ――ナビ子が話そうとしたその時、ブラックアラクニアが艦長室へと飛び込んでくる。


 やれやれ、なかなか面白そうな事態が起きたようだな。











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 ……感じる。私と同じ“力”があそこにいる。


 ……そして、私のパートナーとなるべき存在の鼓動を感じる。


 その存在ならきっと、私を……











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆























 ……ん?なんだろ今の感じ……





『クレア、どうかしたか?』

「ううん、何でも無いよフィー。」

『そうか……ところでさ、船に近づいてくる反応があるぜ?一つはTF、もう一つは……人間だなぁこりゃあ。』





















 へぇ、人間ねぇ……







































………………………………人間っ!?






『しかも、なかなか面白そうな奴等だなぁ……よしクレア、ちょっと体貸してくれ♪』





 えぇっ!?ちょっ、止め……







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 さて、妙な反応があったポイントへと来た訳なんだが……
























「……どうみても、宇宙船だよな。」

「あぁ、確かに宇宙船だな。」



 俺達を待っていたのは、巨大な宇宙船だった。外装に目立った損傷はなく、特に武装がついている訳でもない……漂流者か?




≪軽くスキャンしてみたが、中に生体反応は無し。居住区等はあるから、恐らく外へとでたのだろう。だが、燃料等はまだ余裕があるようだから、エンジントラブル等でこの星に不時着したという可能性は少ないな。≫

「……とりあえず、お客さん扱いでいいのかねぇ?」

「バルゴラ、他に気になった点はないか?」

≪……しいて言うならば、居住区が船の大きさにあってない程小さいという事と、ちょうど大型TFに変形しそうな位のスペースジェットが格納されているぐらいか?≫



 ……前者はまぁオートメーション化されてるからだと考えられるけど……後者はよく分からん。というか、お前のスキャンはどこまで高性能なんだよっ!?プライバシーもあったもんじゃないなっ!?



≪はっはっは、そんなに褒められると照れるぞマスター?≫

「いや、全然褒めてないから。むしろお前の場合、その高性能さを限りなく無駄な事にしようしそうで怖いから。」

≪大丈夫だぞマスター。私はマスターをからかう為にならこのハイスペックな機能を最大限に使用するつもりだが、乙女のプライバシーはちゃんと守る。ハイ・マスターとの約束だからなっ!!≫








 そうか、なら安心………………できるかボケ!?




「おいおい、そんな事言ってないで……!?」


 エクスブレイカーが俺達をなだめようとしたその時、地面から拳のような形をした柱が生えてきて俺達に襲いかかってくる。とっさにバリアジャケットを展開してそれを回避し、エクスブレイカーは武器のソードを取り出してそれを 切り裂くが……その柱は形を槍のように変えてさらにこちらへと襲いかかってきた。



「ちっ、プレダコンズの襲撃かっ!?」


 エクスブレイカーは柱の攻撃を防ぎながらそう叫んでいるが……この攻撃には殺気が感じられない。まるで俺達を試しているような……近くにあった大樹の枝に乗りながら、俺は周囲を見回していた。



「バルゴラ、敵の居場所は分かったか?」

≪もう少し待ってくれ……10時の方向、距離200メートル先だマスター!!≫

「エクスブレイカー、もうしばらく持ちこたえてくれっ!!」

「……なるべくさっさと戻ってこいよっ!!」



 エクスブレイカーに笑みを浮かべると、俺は柱を大樹の幹を蹴って加速しながら敵が居る場所へと向かう。そして敵の居場所へ近づくと、俺はバルゴラを構え……エッジフォルムへと変形させる。



「ジャック……カーバー!!」



 バルゴラを振り抜くと共に解き放たれた魔力の斬撃は、大樹の間をすり抜けながら敵が居るはずの場所へと向かい……爆煙を引き起こす。




















「へっ、なかなかやるじゃん……面白いなお前らっ!!」








 すると、そんな声が聞こえ……爆煙の中から敵がその姿を現す。




 ボディに密着した黒と銀のアンダースーツの上から、カッパーに似た色合いの装甲が各部を覆っており、頭部はバイザー付きのヘルメットも合わせて騎士を思わせる外観をしている……一番分かりやすいのは、デジモンのマグナモンだな。あれの肩アーマーがちっさくなった感じだ。


 ……しかし、ジュンイチさん達の“ 装重甲 メタル・ブレスト ”に似てるなこれ……



「……さて、なんで俺達に攻撃を仕掛けた?返答によっちゃ……ただじゃ済まさないぜ?」

「あぁ、悪かったな。なんとなくおたくらが強そうだったからちょっと試してみたんだよ。けど、予想以上に強いみたいだからもう終わりにする……降参だ。」



 そんな事を言いつつ、目の前の鎧男――じゃなかった。体つきからすると女かこいつ――は頭の横に両手を挙げる。まったく、こっちとしてはいい迷惑なんだが……



『……イリアス、そんな理由で“ 霊子融合 ソウル・ユニゾン ”したの?』

「ぬおっ!?お、落ち着けよクレア……ちゃんと人間が居る事は確認できただろ?ほら、今後の行動が楽になるじゃん……」



 ……すると、どこからか少しエコーがかかった声が聞こえ、目の前の鎧女がとたんに怯え始める……なんか、嫌な予感がするのは気のせいか?


≪奇遇だなマスター、私も同じ事を考えていた。≫

「おい、こっちは終わった……って、どうした?」



























『……ふざけんなあああぁぁぁぁっっっっっっ!?!?』

「ご、ごめんなさぁぁぁぁいっっっっ!!!!」





 ――そして、大音量のハウリングボイスが周囲に響き渡った。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 しかし、臨海空港ね……



「そういえば ……スバルがなのはと出逢ったのも、別の臨海空港だったそうだな。
 しかも、やはり“レリック”がらみで」

「らしいね。
 4年前の空港火災の時に会ったんだってさ――僕はその場にいなかったから、なのはやスバルからの話でしか知らないけど」

「なんだ、貴様はその時いなかったのか?
 貴様の性格なら、フェイト・T・高町に会おうと全力で出向いてきそうなものだが」

「………………クロノ提督の報告書地獄が」

「……当事からあんな調子だったのか? あの男は……」



 そんなことを話しながら、僕とマスターコンボイは空港に到着。今はマスターコンボイもヒューマンフォームになって、問題の物流ターミナルに向かってるところ。



 ……なんだけど、最初から職員の人に話して職員通路使わせてもらえばよかったかも。

 現在、旅客ターミナルのロビーのド真ん中。人ごみの中で思いっきり後悔してたりする。



「だが、職員通路では遠回りになる。
 ここを突っ切った方が早い」

「この人ごみをかき分けて進んでたら、むしろロスタイムになると思うんだけど」

「そこは心配ない」



 そう告げると、僕の前を進むマスターコンボイはふと足を止めた。

 どうしたのかと見ていると、その肩が震え始めて――



「………………オレ達の体型なら、すき間をすり抜けるのに苦労はないからなっ……!」

「泣くくらいなら提案するんじゃないよ……」



 いや、泣きたくなる気持ちはわかるんだけどさ……



《まぁ、今さら言っても仕方ありません。
 今は一刻も早く物流ターミナルに向かうことを考えましょう》

《ボスだって忘れたワケじゃないだろ? さっきの話》

「むぅ、わかっているが……」



 アルトやオメガが言っているのは、空港までの道中で詳細な情報を問い合わせていた時に聞いた話。

 なんでも、“JS事件”の時に“レリック”を巡って六課やスカリエッティ達と争っていたトランスフォーマーの一派、ディセプティコンがミッドチルダに戻ってきてる、というような話があるらしい。

 ジュンイチさんが霞澄さんからその話を聞いて、はやても裏づけを指示してその結果待ちということだけど……マスターコンボイはどう思う?



「おそらくは戻ってきているだろうが……今回の“レリック”に、果たして食いついてくるかどうか……といったところだな」

「根拠は?」

「ディセプティコンの首魁とは個人的にも面識があるが……基本的によほどの大一番でもない限りは勝てる戦しかしない男だ。
 柾木ジュンイチが柾木霞澄から連絡を受けたのが昨日の話だろう? 移動を含めた昨日の今日で、いきなり動きを見せるような男ではない。
 仮に今回の“レリック”を追ってきたとしても、こちらに一度腰を落ち着けてから奪取に動く算段だったはずだ」

《つまり……今回の“レリック”をディセプティコンが追っていたとしても、空港のチェックに引っかかったのは彼らにとっても想定外ということですか》

「そういうことだ。
 まぁ、エージェントを仕立てている可能性もないワケではないし、早く動くに越したことはない。アルトアイゼンの言うとおり、一刻も早く物流ターミナルへ……」









「マスターコンボイ?」

「え? マスターコンボイくん?」












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「……本当にごめん。も う二度とこんな事をしないように、イリアスには きぃぃっっちりと 説教しておくから……」

「いえ、こっちももう気にして無いですから……」

≪それに、ソイツよりも遥かに厄介な バトルマニア と戦闘をした事があるからな……それに比べるとかなりマシな方だ。≫

「……お前ら、どんだけなんだよ……」



 はははは……ヴィータさんとザフィーラさんはまだ教導って感じでマシだったけど、シグナムさんとブレードさんは本当に怖かったなぁ……あと、ヤスフミも何気にバトルマニアの気があったし……器用貧乏な俺にどう対処しろと!?



 ――ともかく、バーベキューセットの上で焼かれているおいしそうな肉の匂いを嗅ぎながら(エクスブレイカーも近くの岩に腰掛けている。最近味覚機能を復活させたから、お肉を食べてみたいらしい)、俺達はそんな会話を繰り広げていた。


 ちなみに、バーベキューの準備をしてくれているマリンブルーの髪をショートカットにしている女性はクレア・ランスロットさんといい、さっき戦っていたあの鎧女の『中の人』である。

 なんでもおじいさんが古代ガイア人の血をひいており、おじいさんの惑星ガイアに移住したい(既に亡くなっている為せめて骨だけでも埋めたいらしい)という夢を叶える為に自力で宇宙船やら食料を用意してここまで来たという、なんとも行動力のある人だった(ちなみに、その話を聞いてエクスブレイカーは号泣していた。俺はどうかって?……これは汗だ、汗なんだっ!!)。


 ……え、性格が全然違うって?それには訳があるんだよ……













『クレア、ここから出してくれぇぇぇっっっ!?あたしもお肉を食べたいんだよぉぉぉぉっっっっ!!』

「イリアスはもう少し反省しててっ!!」







 ……クレアさんの腰に巻かれたベルトに収まっている、携帯型端末から聞こえてくる涙ぐんだ声がその理由――イリアスだ。





 イリアスは“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”と呼ばれる存在で、なんでもこの宇宙全体に散らばる“力”を集めて生み出された……精霊のようなものらしい。
 クレアさんが住んでいた移民船では“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”を日常生活のパートナーとして誰もが持ち歩いており、時には揉め事の解決策としてきちんとしたルールに則り戦わせたりもするらしい。


 さらにイリアスはその中でも特殊なタイプで、パートナーと融合してさらなる能力を付与する“ 融合型 ユニゾンタイプ ”らしい。その融合形態が先程見せたあの鎧姿らしいのだが……まぁ、比較的平和で揉め事も“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”同士の戦いで解決する事が出来る世の中では、その能力を最大限に発揮する機会は少ないようだ。


 ……まぁ、俺達のデバイスやジュンイチさん達のプラネルに似たような存在と考えればいいか。



 ちなみに先程の場合、強制的に融合した為にクレアさんの意識が気絶したのでイリアスの意識が全面的に支配していたようだ……どこのイマジンだよおい?



「あ、そうだ……ジン君、だっけ?別に敬語は使わなくていいよ。見たところ、そんなに歳が離れてる訳でもなさそうだし……僕、まだ20歳だからさ。」

「え?い、いやでも……」

「いいからいいから、ね?」

「……あ、はい。」


 ……なんというか、そう純真な笑み を見せられると……顔が熱くなってくる。



≪マスター、フラグが立ったか?≫

「んな訳ねぇだろっ!?なんでもかんでもそっち方面の話に結びつけるなっ!!お前ははやて姉かっ!?」

「さすが少年、1級の恋愛フラグ建築士だな。」

「あんたはどっからそんな知識を得てきたんだよっ!?」

『……こいつら、やっぱり面白いな。』

「そうだね……けど、魔法にデバイスか……やっぱり、世界はまだまだ広いね。あ、お肉焼けたよ♪」




「「『おおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!』」」




 ……な、なんだこの肉はっ!?まるで宝石のように輝いているぞっ!?やべぇ、すっごくウマそうだっ!!



「こ、こりゃあスゲェぞっ!?」

『頼むクレア、もう反省したから出してっ!?こんなの見せられて食べれないなんて生殺しだっ!!』

≪くっ!?こういう時はこのデバイスという体が恨めしい……≫

「みぃ。確かに美味しそうなのです♪」

「……く、クレアさん。ホントにいいんですかこんなお肉?」

「だから、敬語はナシだって。それに、僕とイリアスだけで食べきれるようなものでもないからさ……どうぞ、召し上がれ。」






 後光だ……クレアさんに後光が見える……よし、それじゃあお言葉に甘え……って待てぇっ!?


 
≪どうしたマスター、いきなり大声を出して?≫

「そうだぜ坊主。こんなウマそうな肉を目の前にして……」

「あ〜、やっと出れた……んで、どうかしたのか?」

「ジン君、どうかした?」

「みぃ、うるさいのですよ。」



 やっぱり一人多い。というか、なんでさっきから田村ゆ○りボイスが 耳元で 聞こえてくるんだっ!?……ん、耳元?




 恐る恐る横に顔を向けると……俺の肩に、なんか変なのが居た。



「にぱ〜♪どうかしたのですか、ジン?」





 ――イリアスと同じくらいの大きさ(ぶっちゃけ3頭身ぐらいの大きさだ)で、紺色のストレートにどこかゴスロリっぽい服装、さらに黒いネコミミ+尻尾を備え付けている田○ゆかりボイスのそいつは、にっこりと俺に微笑みかけてきた。


 なんなのこの梨花ちゃんモドキっ!?









「むぅ、何気に失礼なのです…… まぁ、ここで猫を被ってもしょうがないわね――私はヴェルヌス、あなたのパートナーとなる“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”よ。あなただけにはヴェルンという愛称で呼ばせてあげるわ、感謝しなさい――ジン・フレイホーク」











 ハハハハハハ……ヤスフミの不運っぷりが感染したかこれ?











(第10話に続く)

















次回予告っ!



カオスプライム「……さて、今回は俺の出番がなかった訳だが……」

ヴェルヌス「心配要らないわ混沌の勇者。どうせ次回はバトルが繰り広げられるのだからあなたの出番はいくらでもあるわよ。」

カオスプライム「む、そうか?」

ヴェルヌス「それに、新しい仲間も登場するようね……次回も楽しみにしておきなさい。」

ジン「いや、何お前は勝手にしきってるっ!?」


第10話「新たな“ 霊子融合 ソウル・ユニゾン ”!!その名は、ダークナイト・ゼロッ!!」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき

次回はバトルっぽい話だというのに、ネタにしか見えないタイトル。もちろん、バルゴラが暴走します。

ちなみに、今回登場の新キャラはイメージCVが以下のようになっています。


クレア・ランスロット:沢城みゆき

イリアス:伊藤静

ヴェルヌス:田村ゆかり


……というか、当初はイリアスのポジションはロディマスっぽいTFで、ヴェルヌスの出番はなかったはずなのに……あれ、おかしいぞ?

という訳で(?)、また次回でお会いしましょう。



管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 ゴッドマグナスが名前だけとはいえ存在が示され、何やらダークコマンダーとマスターギガトロンの間の因縁が示唆されたりといろいろイベントフラグが立ち始めていますが……そんなフラグを吹き飛ばす勢いで登場した新ヒロイン・クレア嬢。
 バルゴラではないですが、ジンとのフラグに期待大。さぁさぁ、遠慮することなくくっつくがよいっ! 『とまコン』本編に出てきたらそれをネタに恭文達にいぢってもらうから(ヲイ

 その一方で新要素“霊子生命体 ソウル・ファクター ”が登場。
 なんか本家『とまと』とクロスしてる某作品に似たようなのが大量にいたような気がしますが(苦笑)……とりあえず中の人的にヴェルヌスと某魔王を会わせてみたい今日この頃(ニヤソ)。

 あと、プライマルコンボイは少し自重しましょう。バナナだけでは栄養バランス悪いですよ?(そーゆー問題ではナイ)