「申し訳ありません!!私の監督不届きでしたっ!!」

『ほんとにごめんね〜?まさか私も、システムを突破されるとは思ってなかったから……ナビ子、びっくり♪』

「もういいぞ二人とも。どんな計画にも想定外の事態というものは存在する……大切なのは、それにどう対応していくかだ。」



 ――報告を聞いて頭が痛くなったが、逆にヴェルヌスに対して賞賛の気持ちも浮かんでいた。

 ナビ子が管理するファントムアークのメインシステムは、並のシステムとは比べものにならない程優秀だと自負できる。仮にブラックアラクニアの隙をついて逃げ出せたとしても、ファントムアークからの脱出は不可能のはず……それをヴェルヌスは、いとも簡単にやってのけた。

 さらに、ヴェルヌスが向かった先は惑星ガイア……ならば、十中八九ヴェルヌスはガイア・サイバトロンの――いや、ジン・フレイホークの元にいるはずだ。フフフ、実に面白い少年だな彼は……






「――ブラックアラクニア、“彼女達”はどうしている?」

「今は訓練中のはずですが……まさかっ!?」

「そう、彼女達には初めての実戦を行ってもらうとしようか。」











 さぁ、もっと私を楽しませてくれよ――ジン・フレイホーク君?
















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




























『……ファーヴニル、ダークコマンダー様からの命令だ。』

「あぁ?また唐突だなぁおい……まぁいいか、訓練でこいつらを相手にすんのは飽きてきたしよぉ……」




 地面に転がっている奴等の残骸を蹴り飛ばしながら、オレはモニターに映る奴にそう答える。

 ホント、つまんねぇよなぁ?こいつら、弱ぇしよ……確か、スカなんとかってのが作ったガジェットだったか?これだったら、まだレヴィアタンの方が強いぜ。




「……それで?もっとマシな奴とは戦えるんだろうなぁ?」

『さぁな……命令は脱走したヴェルヌスの回収――もしくは破壊だ。』



 ――へぇ、アイツここから逃げ出せたのか。だったら、少しは楽しめるか……?
















とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜

とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典

Another strikerS






第10話『新たな“ 霊子融合 ソウル・ユニゾン ”!!その名は、ダークナイト・ゼロッ!!』











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





















 ――なんだろう?今、変なフラグが発生した気がする。




≪……マスター、頼むからいきなり電波な発言はやめてくれ。≫

「そうね、見てて気味が悪いわ……ところでバルゴラ、これでチェックメイトよ。」

≪ぬぉっ!?まさか、あのナイトはこの手への伏線だったのか……見事な腕前だ。≫

「あら、あなたもなかなかのプレイヤーだったわよ?ここまで追い詰められたのは久しぶりだったわ。」



 ……うん、なんでお前らは意気投合してるんだ? あと、現在進行形でネタに走っているお前らに言われたくないわっ!!


「あら?別にネタに走ってる訳ではないわよ?ただチェスをしているだけじゃない。」

≪そうだぞマスター。ただ、我々はチェスをしているだけなのだからなっ!!≫

「……クレアさん、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”ってこんなのばっかりなんですか?」

「つ〜ん」

「……ク、クレアさん?」

「つつ〜ん」

「…………ク、クレア…………?」

「何かなジン君?」







 ……この人、霞澄さんの同類かっ!?






『……クレア、別に呼び方ぐらいどうだっていいだろ?まだ知り合ったばかりなんだから敬語使っててもいいじゃないかよ。』

「もう、フィーは黙っててよっ!!」


 ……フィー?どこをどう略したらイリアスって名前からそんなあだ名が生まれるんだ?


『あぁ、クレアの奴は昔から意味の分からんあだ名を付けるのが得意でさぁ……最近は自重してるみたいだけど、あたしみたいな古馴染みに対してはついつい昔のあだ名で呼ぶ時があるのさ。』

「そ、そうなのか……それで、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”ってのはあんなんばっかなのか?」

『……いやぁ、あそこまではっちゃけてるのはそうそう居ないぞ?
 それに、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の中でもあたし達みたいな“ 融合型 ユニゾンタイプ ”かつ“ 人型 ヒューマノイドモデル ”ってのはむちゃくちゃ数が少ないんだ。まして、“ 属性付与型 エレメント・エンチャンター ”となるとさらに少なくなる。』


 ……よし、ひとまず話を整理しようか。

 まず、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の中でも“ 融合型 ユニゾンタイプ ”は少ないんだったよな?そして、その中でもイリアスやそこでチェスをしているヴェルヌスとかみたいな人型はもっと少なくて……


「で、その“ 属性付与型 エレメント・エンチャンター ”ってのは?」

「簡単に言っちゃえば、炎や氷なんていった属性を最初から備えている“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の事だよ。
 昔は色々と重宝したらしいけど、今じゃあ擬似的に属性を付与するエレメントメモリっていうのが出回ってるから移民船団で暮らすのならあんまり意味のない能力かな?」

『ちなみにあたしは土属性で、そこのゴスロリっ娘は闇属性だな。ま、この惑星ガイアみたいな場所だったら話は別なんだけどよ……例えば、お前らに仕掛けた攻撃とかな?』


 ……なるほど。こういった自然の多い場所ではその能力が最大限に活かせる訳か。




 ちなみに、俺達は今クレアの宇宙船に乗ってガイア・サイバトロン地上基地へと向かっている。とりあえず、クレアさんについては報告しておいたけど……さっきから、妙に首筋がピリピリときてるんだよなぁ、なんでだ?




『……しっかしよぉ、いつまでここでじっとしてなきゃいけないんだ少年?』


 物思いにふけっていると、格納庫にいるエクスブレイ カーから通信が入る。おい、まだ出発して10分も立ってないぞ?どんだけ我慢弱いんだよお前はっ!!


『いや、どうも一箇所に留まるのは性分に合わないんだよ。』

「そう言われてもなぁ……このスピードだとあと30分ぐらいはかかるぞ?」

『遅いっ!!この船には速さが足りないっ!!』


 いや、輸送目的の船に速さを求めるなよ……ん?そういえば、この船には……


「クレア、この船の格納庫に搭載されていたスペースジェットはなんなんだ?」


 現在エクスブレイカーが居る格納庫にはもう一つ、黒いスペースジェットが鎮座している。その独特なフォルムはこなたのカイザージェットによく似ていて、だからこそ気になっていたんだが……


「あぁ、あれ?あれは僕が趣味で造ったものだよ。こう見えて、機械いじりは得意だからね〜♪」

『そこんとこはじいさんにそっくりだよな。』


 へぇ……だったら、俺の妹と話があうかもな?


「ん、ジン君妹がいるの?」

「あぁ、ライラとメイルって言うんだ……ほら、ここに写ってる二人だよ。」


 そして俺は、みんなで撮った写真を見せる。けっこう前にジュンイチさん達の所へ遊びに行った時に撮ったもので、お守りがわりに持っておけと言われたんだが……まぁ、そこは気にするな。


「へぇ……なかなか可愛い子達だね。でも、こっちの子は血が繋がってるようには見えないけど?」

「まぁ、色々あってさ……でも、2人とも俺の大事な家族だよ。」

「ふぅん……なかなかいいお兄さんしてるんだね。」


 そんな事を言いながら、クレアは俺に笑みを向けてくる……ヤバい、なんか顔が熱くなる。


「あらあら、意外とうぶなのねぇ?」

≪まぁ、彼女いない歴=年齢だからな。面倒見はいいのだがそれが仇となっていいお友達で終わるパターンが多いんだ。といっても、それほど女友達が多い訳でもないがな?≫

『バルゴラ、映像を回せるかっ!?』

≪もちろんだとも!!≫


「うるせぇぞそこっ!?」


 というか、いつエクスブレイカーとバルゴラは通信をつなげやがったっ!?



「……けど、おしゃべりしていていいのかしら?どうやらお客さんが来たようだけど……」

「「『≪は?≫』」」

『おいおいマジかよ……敵襲だっ!?』


 ヴェルヌスがいつの間にか飲んでいたティーカップを置いて呟くと、警報が鳴り響きイリアスがそう叫ぶ。さらに操縦席のモニターに映し出されたのは……


「……え?」



 ――それは、赤い人影だった。まるでスパロボに出てくるロボットみたいなアーマーに身を包み、両腕は上下をトンファーのようなもので挟んだマシンガンらしき武器に包まれている。そして、その赤い人影はこちらへと両腕の銃口を向け……次の瞬間、閃光が俺達の視界を覆い尽くす。




















「――仕方ないわね、これは貸一つよ?」
















 ――その瞬間、ヴェルヌスの声と指を弾く音が聞こえ……オレの視界は、まばゆい光の上から漆黒の闇が覆い尽くしていった。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「……ファーヴニルの奴、勝手な事をして……」

「まぁまぁハルたん、少しは落ち着きなよ?」

「ハルたん言う なっ!?」


 え〜?それは無・理♪だって、ハルたんからかうの面白いんだもん♪


「……分かった、お前がとてつもなく性悪だという事は十分に分かった。だが、ダークコマンダー様の命令は果たしてもらうぞ?」

「あぁ、それはもちろん。」



 でもぉ、私もファーたんと同じように腕試しをしたいから……あんまり敵が居ないと困っちゃうな〜♪




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「あたた…………っ!
 かがみ、つかさ、大丈夫……?」

「大丈夫……
 とっさにクーガーがバリア張ってくれたから……」

「ビックリしたぁ……」

《マスターコンボイは大丈夫ですか?》

「この程度でオレが倒れるものか」



 よかった。マスターコンボイはともかく、かがみやつかさも無事か。

 突然僕らに向けて降り注いだ雷撃。なんとか僕らは防御が間に合ったけど……ったく、ジャマしてくれたのはどこの誰だよ?



《かなり高出力の雷撃でしたね。
 魔法ではなくスパークのエネルギーによるものでした。となると、相手はトランスフォーマーのようですが……》











「その通りだ」











 そうアルトに答えた声は頭上から。

 見上げると、そこには1体の大型トランスフォーマー……待て待て。まったく気配感じなかったんですけど。



 というか、アイツは……っ!





「ちょっ、冗談でしょ……っ!?」

「お姉ちゃん……っ!」



 柊姉妹の声もかすれてる。まぁ、ムリもないか。相手が相手だ。

 データで見ただけ、顔を知っているだけの僕ですら、全身の細胞が危険を訴えかけている。



「…………蒼凪恭文」

「何?」

「覚悟……決めるしかなさそうだぞ」



 ………………だよね。



 ごめん、シャマルさん。また疲れ、ためることになりそうです。

 あー、くそっ、なんでいつもこーなるのさっ!?







 こんな最悪のタイミングで出てきたこと、本気で恨むからなっ!





















 ディセプティコン・リーダー……マスターギガトロンっ!











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 ……い、いたたたた……腰打っちゃったかも……


「クレア、大丈夫かっ!?」

「イリアス……うん、僕は大丈夫。」


 心配そうに寄り添ってくれていたイリアスの頭をなでると、僕は操縦席を確認する。計器は全て死んでおり、窓の外には森林地帯が広がっている……どうやら、墜落したみたいだね。

 そして周りを見渡せば、操縦席の天井は 内側から爆発したように ひしゃげており……内側から?


 ……そうだ、ジン君達はっ!?



「あぁ、あいつらなら……」



 イリアスが言葉を紡ごうとしたその時、船内を振動が襲い私達に影が覆いかぶさる……まさかっ!?












「おっ、目が覚めたみたいだな……ちょうどお前さんを運ぼうと思っていた所なんだ。ほれ、俺の手に乗りな。」

「エ、エクスブレイカーさん……驚かさないでくださいよ。」




 慌てて天井に目を向けると、そこには……エクスブレイカーさんが私達に手を差し伸 べていた。その手に乗ってしがみつくと、エクスブレイカーさんはゆっくりと私達を船外へと出してくれた。


「幸い、積荷などに影響はないみたいだが……エンジンがやられちまってる。本格的な修理ができないこの状況じゃこいつはここに置いていくしかねぇな。」

「……そっか……ところで、ジン君は?」

「あぁ……少年なら……あそこだ。」


 そういうと、エクスブレイカーさんはもう片方の手で宇宙船より少し離れた場所にある大樹の根元を指差す。

 そこには――8頭身になったヴェルヌスが、ジン君に膝枕をしていた。


「……なに、あの状況?」

「まぁ、ちょっとややこしくてなぁ?ま、あそこに行ってからだな。あ、嬢さんのスペースジェットは外に出しておいたぞ。」

「あ、ありがとう……よかったぁ、あれまで壊れてたら大変だったなぁ……」


 ともかく、私達はエクスブレイカーさんに連れられて大樹の根元に降り立った。


「あら、予想通り無事だったのね。」

「予想通りって……それより、状況を説明してもらえない?」

≪それがだな……マスターが目覚めないのだよ。≫


 ジン君が目覚めないって……どういう事?


「過剰適合よ。それについては、あなた達の方が詳しいんじゃないかしら?」

「「過剰適合っ!?」」



 ――過剰適合とは、“ 融合型 ユニゾンタイプ ”の“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”とそのパートナーにごくまれに発生する異常の事。

 “ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”とパートナーの相性が過剰に高くなってしまい、両方に悪影響を与えてしまう……理論上で聞いた事はあるけど、本当に発生するなんてっ!?



「まったく、貸しを作ろうと思ったのにとんだ事になってしまったわ……相性が良すぎるというものも考えものね。おかげで、こんな体になってしまったし……あちこちが重く感じるから疲れるわ。」



 そう言いながら、ヴェルヌスはどこからか取り出したティーカップに口を付ける……でも、そこまで重そうには見えないけどなぁその体……あ、特にどことは言わないよ?



「……問題は、船を襲った奴らが近づいているという事ね……しかも、全員が“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”を連れているわ。」

「なら、追い払う必要があるね。エクスブレイカーさん、手伝ってくれる?」

「もちろんだ。うっし、腕がなるぜ!!」

「……けしかけておいてなんなのだけれど、敵はあなたよりも強いのよ?それでも戦うのかしら……」


 エクスブレイカーさんと一緒に作戦を練ろうとすると、ヴェルヌスはそんな事を告げてくる。

 ……やっぱり、敵の正体に心当たりがあるんだ。でも……


「……君も“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”なら知ってるでしょ?“ 融合型 ユニゾンタイプ ”の“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”とそのパートナーには背負うべき名前――“ 志名 ゆきな ”がある事。」




 それは、己の在り方を示し、信念として背負うべき称号。誰かに決められるのではなく、自分の中に浮かび上がる名前。

 ……まぁ、 僕の周りには他に“ 融合型 ユニゾンタイプ ”を持っている人が居なかったから、厨二病とか言われてたけど……それでも僕は、その名前に誇りを持っている。



「イリアス、いくよっ!!」

「おうっ!!」



――“ 霊子 ソウル ――

―― 融合 ユニゾン ”!!――





 ――僕とイリアスは一つになって、光に包まれる。すると、僕の纏っていた衣服が分解されて肌があらわになる。その上を黒いインナースーツが包んでいき、さらに丸みを帯びた鎧が包んでいく。そして、僕の頭部を騎士が被る兜のようなヘルメットが包みこむと、光が収まって鎧が鈍い輝きを放つ。


 まぁ、本当は一瞬にして行われているんだけど……こ、今回だけだよ説明するのはっ!?


「――僕の“ 志名 ゆきな ”は、『大地の守り手』グラン・ブレイダー……守る事にかけては一級品だよ!!」



 さぁ……悪い子達に、オシオキだっ!!



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆














 ……さぁって、オレが撃墜した宇宙船が墜落したのはこのあたりだったよなぁ?この程度で死んでもらっちゃ困るんだが……




「ファーヴニルッ!!」

「やっほ〜ファーたん♪」





 ――すると、後方から知っている声が聞こえてきた。視線を向けると、森の奥から背中と頭部にウィングバインダーを備えた淡い緑色の鎧に包まれた奴と、腰部と脚部にスラスターを備えた蒼と水色の鎧に包まれた奴が出てくる。


 


「ハルピュイア、レヴィアタン……遅かったじゃねぇか。」

「――どういうつもりだ?」


 あん?何がだよ。というか、なんでそんなに怒ってるんだ?


「我々の目的はヴェルヌスの回収だったはずだぞ?なぜいきなり攻撃を仕掛けているっ!?」

「あの程度でヴェルヌスがどうにかなる訳ないだろ?むしろ、邪魔になりそうな輩を片付けれただけ楽で……!?」





 その時、地面から盛り上がったかと思うと巨人の姿を型取り、こちらへと拳を振り下ろしてくる。

 ……ちっ、めんどくせぇっ!!


 オレは両腕のナックルバスターを構えると、巨人に向かって攻撃を浴びせる。その攻撃を受けて巨人はその体を崩れさせていくが……



「オオラァァァァッッッッ!!」


 巨人の影から、白と赤を基調としたTFが襲いかかってくる!!コイツは確か……エクスブレイカーだったかっ!?

 だが……



「なめんじゃねぇぇぇっっっ!!」


 ナックルバスターに意識を集中させると、右腕が炎に包まれる。そしてオレは、右腕をエクスブレイカーの拳へと叩きつける。ぶつかり合った瞬間、衝撃波が放たれオレ達は吹き飛ばされるが……へっ、燃えてきたぜ。


「ファーヴニルッ!!」

「ハルピュイア、レヴィアタンッ!!手を出すなよ……コイツはオレがやるっ!!きやがれ、アグニトレイダー!!」


 オレが叫ぶと足元に転送用の陣が浮かび上がり、そこからモスグリーンの4×4トラックが現れる。試すのは初めてだが……問題はねぇよなぁっ!!



「ゴッド、オン!!」


 そう叫ぶのと同時、オレの身体は光に包まれてアグニトレイダーへと吸い込まれる。そして、アグニトレイダーの車体が展開されると中から腕部と脚部が飛び出し、巨大な人の形となる。


「ブローン、トラ ンスフォーム!!」



「んだとぉっ!?まさか……テメェもゴッドマスターかっ!?」

「おうよっ!! 紅蓮の闘士ファーヴニルとその愛機ブローン!!それがオレだっ!!さぁ、楽しいバトルを始めようぜっ!!






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












≪……しかしヴェルヌス、どうするつもりだ?彼女達だけでは……≫

「えぇ、負けはしないでしょうけど勝つ事もできないわね。」


 そもそも、追手として差し向けられているのは私の弟妹にあたるあの子達……完全に戦闘用として生まれたあの子達と、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”のパートナーとしての月日は長いかもしれないけどスポーツ感覚で戦ってきたクレアでは……その差が激しすぎる。


「――仕方ないわね。バルゴラ、あなたにも手伝ってもらうわよ?」















 感謝しなさいジン。あなたに『力』をあげるわ――あなたが持つ『魔法』とは違う、『誰かを守る為の力』をね?














◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「上等だっ!!こい、エクスローダー!! フォームアップ!!キング、エクスブレイカァァァッッッ!!」

「そっちもパワーアップかっ!?おもしれぇ、かかってきやがれ!!」



 ……あらあら、ファーたんったら相変わらず突っ走って行くわね。



「……あの大馬鹿、作戦をなんだと思ってるんだ……うぅ。」

「ハルたん元気出して?そんなんじゃ、せっかくの美人さんがだいなしよ?」

「だから、ハルたん言うなっ!?」


 よしよし、元気がでたようね……それじゃ、お客さんの相手をしましょうか?


「なんだ、気づかれてたんだ。」


 そして森の奥から現れたのは、銅色に輝く鎧に身を包んだ騎士……あらあら、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”がヴェルヌス以外にもいるなんてね……予想外だわ。


「――君達が、僕の船を壊した人達で……間違いないんだよね?」

「そうだと言ったら?」


 あ、ハルたんもやっと本調子が出てきたわね……まぁ、無理もないか。相手は右手に巨大な剣を構えてるんだもん……少し真剣にならないとまずいしね。


「なんとなく狙ってるものが何か分かったから……ここで君達を倒す、それだけだよ。」

「……貴様にできるか?」

「ほんと、同じ“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”持ちだからってずいぶんと余裕ねぇ?……でも、そうでなくちゃ面白くないかも♪」



 そして、私は先端が三叉にわかれた槍を、ハルたんは刃がビーム状になったレイピアを構える。うん、今までずっと機械相手だったから……楽しみだわっ♪




「大地の守り手、グラン・ブレイダー……突貫するっ!!」

「雷迅の騎士、ハルピュイア……参るっ!!」

「極氷の舞姫、レヴィアタン……“ 演目開始 オンステージ ”よっ!!」





 さぁ、あんま りつまらないとコワしちゃうから……せいぜい私達を楽しませてよね?






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 ――どこだ、ここ?まるで、闇につつまれているみたいだ……俺、一体どうなって……







「何をしている小僧?貴様の居るべき場所はここでは無いはずだ。」





 すると、闇の中から声が聞こえる――あんた、誰だよ一体?



「儂の事などどうでもいい……それよりいいのか?貴様を守る為に戦っている者が居るというのに、こんな所で寝ていて……」



 ――どういう意味だっ!?



「それは貴様の瞳で確かめろ……ほれ、ちょうど迎えも来た事だしな。」




 そして、俺は闇の中に居るにもかかわらず、より漆黒の『闇』に包まれていく……なんだこれ!?




―大丈夫よ、私に総てをゆだねなさい……そうしたら、あなたに『力』をあげるから―



 この声は……




――“ 霊子 ソウル ――

―― 融合 ユニゾン ”――








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「アハハハ八ッ♪どうしたのかしら、あれだけ啖呵切っておいて、その程度っ!?」

「くぅっ!!」



 水色の女の子が放ってくる攻撃を避けながら、僕は地面に拳を叩きつける。すると、僕を中心に大地が盛り上がり、巨大な壁を創りだす。



「無駄だ…… ライトニングリッパー!!」

「うわああぁぁぁっっ!?!?」


 けれど、その壁も緑色の騎士が放ってくる斬撃でいともたやすく切り裂かれ、僕にまで斬撃が及ぶ。そして、僕はそのまま吹き飛ばされ――イリアスとの 融合 ユニゾン が解除されてしまった。


「大丈夫かクレアっ!?」

「な、なんとか……」



 甘かった……まさか、ここまで強いなんてっ!?



「嬢ちゃんっ!?」

「よそ見している暇が……お前にあるのかよっ!?」

「くっ!!」


 エクスブレイカーさんも足止めされているし……これは、ヤバいかも。



「……なるほど、確かに防御力だけは我々を遥かに超えているな。そして『守り抜く』という意志も十分だ……だが、それだけでは我々には勝てない。」

「ただの人間が、戦闘機人である私達に叶う訳ないでしょう?まぁ、ただの人間にしてはやる方だったけど♪」


 戦闘……機人?それはいったい……



「おしゃべりはここまで。それじゃハルたん、後はよ・ろ・し・く♪」

「だから、ハルたん言うなと……まぁいい―― フォースチップ、イグニッション」

「なっ!?」



 緑色の騎士が右腕の剣を頭上に掲げると、上空からカギのようなものが現れて騎士の胸部に差し込まれる。すると、騎士の装甲が展開して放熱板らしきものが露出し……



「う、うそだろ……力が、跳ね上がりやがったっ!?」

「感謝する。お前との戦闘は我々に大きな影響を与えた……その例 として、私の最大の一撃で葬ってやる。」

「それじゃあ、バイバ〜イ♪」

「嬢ちゃん、逃げろっ!?」





 ――あぁ。僕、ここで終わるんだ……せっかく、惑星ガイアに来たってのに……おじいちゃんの夢を、叶えられると思ったのに……悔しいなぁ。





「テンペスト――ギガクロス!!」



 そして、十字に振り抜かれた斬撃が――僕に、襲いかかる。





 嫌だ……こんな所で、終わりたく……ないっ!!








「まだ……死にたく、ないよぉっ!!」








































「その願い、しかと聞き入れたっ!!」
























 ――あ、あれ?痛みが……襲ってこない?


 恐る恐る目を開くと、僕は抱き抱えられた――いわゆるお姫様抱っこの状態で、何かに包まれていた。



「なん……だと……?」

「わぁお♪」



 そして、僕を抱き抱えていた存在が……ゆっくりと立ち上がる。



 紺と紫のアンダースーツの上から纏った、黒曜石のようなアーマー。そして、頭部を包み込んでいるフルフェイスの――表情が一切わからないマスクと、全身を包み込むマント。


『やれやれ……これは貸一つよ?』



 その声は――ヴェルヌス!?じゃ、じゃあ……



「まさか、貴様がのこのこ現われるとはな……」

「ひっさしぶりねぇヴェルお姉様?」

『えぇ、久しぶりねハルピュイア、レヴィアタン……でも、今の私は……そうじゃない。』

「そう、今の『私』は――」




















「『暗黒の勇者――ダークナイト・ゼロだ(ダークナイト・ゼロよ)っ!!』」













(第11話に続く)

















次回予告っ!



ジン「え、なんでバルゴラが主体になってんのっ!?」

ヴェルヌス「それについては次回明かされるわ……多分。」

バルゴラ≪はっはっは、私が主役だっ!!≫

ジン「違うわボケッ!?」

カオスプライム「……作者、次は俺も出るんだろうな?」

ヴェルヌス「あら、拗ねてるの?」

クレア「というか、僕ヒロインのはずなのにかませ役なんて……うぅ」

イリアス「大丈夫だクレア。きっと、パワーアップするからっ!!」

???「まぁ、その前に次回はオレ様が登場するんだがなっ!!」

ヴェルヌスとカオスプライムを除く全員全員『……だれっ!?』


第11話「激闘、激闘、大激闘!!〜友情合体、ドラゴエクスブレイカー見参っ!!〜」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



あとがき


……いかん、色々暴走してる。というか、今回出てきたキャラ達はどんどんイメージが変化していくなぁ……

ちなみにイメージCVは以下のようになっています。

ファーヴニル:中井和哉

ハルピュイア:富樫美鈴

レヴィアタン:斎藤佑圭


まぁ、元ネタはロックマンゼロのボスキャラだったり……節操ねぇな自分(汗


という訳で、次回もお楽しみに〜♪


管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 本家『とまと外典』でいろいろな意味でモリビトの度肝を抜いたダーク・ゼロがバージョンアップしての堂々後輪っ!……じゃない、降臨っ!(爆)
 そうか……アレはジンの“なりたい自分”だったワケか(微違)。

 過剰適合……ユニゾンデバイスの暴走事故のようなものかな?
 となると、全力全開手加減抜きの砲撃でジンを叩き起こすのが最善か! さすがはユーノくん、わかりやすいっ!(ユニゾン解いてるっちゅうねん)