「なぁジイさん、あんた“超越大帝”とか名乗って恥ずかしくないのかおい?オレ様こそがこの宇宙で最強に決まってんだろコラ」

「……ふん。 小僧 こわっぱ ごときが調子にのるなよ?貴様なぞ、ただ力が有り余ってるだけの大馬鹿者ではないか」





『ハッハッハッハッハ……………………




























 テメェ、表にでやがれぇっ!!このオレ様直々にたたきつぶしてやる!!
 (貴様、表にでろっ!!この儂直々にたたきつぶしてくれようっ!!)』











 ――なぁ、カオスプライム?あれ、止めなくていいのか?


「もう 50回 ほどは同じやりとりをやってるんだぞ?
 あれはベクターメガトロンとドラゴマグナスなりのスキンシップなんだろう……それだけ、お互いを認め合っているという事だ。」



 お前、もっともらしい事言ってるけど……ただ単に止めるのがめんどくさいだけだろ?



「そうとも言うな」

≪開き直ったぞおい?≫

「まぁ、スキンシップとはいえ実力のあるTF同士の喧嘩だから――生半可な覚悟では止めきれないわよね。放置しておくに限るわ」


 ……ヴェルヌスさんや、どっからそのティーセットを持ち出してきたんでしょう?というか、どこかで見た事あるような……


≪見た事あるもなにも、あれはハイ・マスターのティーセットだぞ?≫

「……………はぁっ!?お前、それどっから持ち込んだっ!!」



 先生の遺品は全部、ミッドの家においてきたんだぞっ!?それが、惑星ガイアにあるはずが…………って、まさか?































「あ、ちゃんと持ってこれたんだ〜♪でも、よく置き場所分かったわね?」

















やっぱりあんたかアリス姉ぇぇぇぇぇっっっっ!?!?



「もちろんよ。ジンの記憶を読み取ったから、あの家にあるもので私が知らない物はないわ……もちろん、隠していたエロ本もね?」

「……ジン君……」


 うん、何こわい事言ってんのコイツッ!?あとクレア、そんな蔑んだ目で見ないでくれるかなっ!?男の子だもの、そういう事に興味を持ってもいいじゃないかっ!!


「……うわ、コイツ開き直ったよ……お前、クレアの半径3m以内に近づくなよ?」

「とは言っても、年頃の男性にしては異常なほどに少なかったけどね……どういう事かしら?」

≪まぁ、マスターは妹達や駄目な姉貴分の世話をしている為に女性というものに対しての幻想を粉々に打ち砕かれているがな……≫

「メイルもライラもそこに居るアリスも、小僧や俺だけだと普通に下着姿でうろつくからな……ちょっとやそっとじゃ欲情したりしないから安心しろ。むしろ、生半可な色仕掛けには反応しなくなってるな。」



 あの、なんで俺のハートが粉々に打ち砕かれてるの?というかそれ、女の子に話す内容じゃないよね?いや、マジでやめてくださいお願いします。



「……うん、そうだよね……男の子なんだもの、そういう事に興味はあるよね……だからジン君、土下座はやめてくれないかな?なんかこっちが困るんだけど……」

「いいのよクレア。おとなしく謝罪を受け取っておきなさい?」


 おい こら、ちょっと待て事の元凶!?元はと言えば、お前が変な事を言い出したりするから――




※ここからアイコンタクトです


 あら、言っていい事と悪い事の区別はついているつもりよ?それとも、時々あなたが見ている『あの夢』の内容まで言った方がいいかしら?あの内容はすごいわよねぇ……思わず私も赤面して――


 生意気いってスイマセンでした。お願いですからそれはクレアさんとイリアスさんには内密にして頂けるとありがたいです。

 
 ――つまらないわね。まぁ、その新激な態度に免じて許してあげるとしましょうか。

※アイコンタクト終わり




「……あらあら、すっかり尻に敷かれているみたいね?」

「まぁ、小僧の事は置いておこう――だがアリス、なぜこいつらをミッドチルダに連れて行った?」

「ん〜と、クレアちゃん達のミッドでの身分を証明する為によ。あった方が色々便利でしょ?」

≪レリスちゃんに掛けあって、色々手続きしてもらったの≫



 ……あ、そっか。その事すっかり忘れてたわ。いやはや、 たまには アリス姉も気がきくなぁ……






「あと、せっかく可愛い子ばかりなのに服が少ししか無いのも変じゃない?だから、 ジンのお金 で色々買っちゃったっ♪」




 ……ちょっと待て、なに人の金を勝手に使ってやがる!?というか、俺の口座番号なんて教えて……あ、ヴェルヌスの仕業かっ!?



「言ったでしょう?あなたの事で知らない事はないって……まぁ、心配要らないわよ?アリスと使い込んだ分は、 色々やって 1000倍にして返したから」


































































 ――ヤスフミ、今頃何してるかなぁ……?


≪マスター、予想外なのは分かるが現実逃避しても何も変わらんぞ。まぁ、お金が増えたのは喜ばしい事じゃないか……かなり違法臭い匂いはするがな?≫





 ……うん、ヴェルヌスが黒い笑みを浮かべてるもんなぁ……触れない方がいいなこれは。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 季節は11月も半ば。あと少し経てば、色づいた落ち葉が町を色づき始めるそんな時期。







 アタシは、ゆっくりと紅茶を飲む……うん、美味しい。








 オープンテラスで上りきった太陽の光を浴びながら、ゆったりと紅茶を飲む美女二人……うん、いい絵だわ。











「アリサちゃん、そういうのは自分で言う事じゃないよ……」



「いいじゃない別に。てか、アイツみたいなツッコミしないでよ。せっかくの紅茶が台なし」












 今、アタシに話しかけたこの子は、アタシの友達。







 紫がかった暗めの青い髪。それを、白いヘアバンドが彩る。



 この子の名前は、月村すずか。小学校一年からの大親友。アタシと同じく、現在大学生。







 ……もう10 年以上になるのよね。すずかと、あともうひとりとの付き合いも。












「そうだね。でも、ホントにあっという間。アリサちゃんやなのはちゃんと出会って……うん、あっという間だよ」











 どこか遠い所を見るような目をするすずか。








 まぁ、ホントにそうよね。そこにフェイトやはやてが加わって、なのはの魔法の事とかケガとかがあって。



 そのリハビリが終わった直後くらいに、あのチビスケがこの街に来て、友達になって、いろいろあったけど……楽しい時間だった。











「そうだね……特になぎくんが来てからは、もっと楽しくなった。

 ほら、中学に上がってからは、私達女子校だったから、男の子の友達できにくかったし」



「まーね。


 でもすずか、アンタは間違いなくアイツだけじゃないでしょ」



「………………うん」







 あたしの問いに、すずかは笑顔でうなずいてみせた。











 ………………うん。本当にイイ笑顔で。












「えっと……柾木ジュンイチ、だっけ? ホント、あんなののどこがいいのよ?

 こないだミッドでユニクロンをブッ飛ばした後、祝勝会で少し話したけど、ほとんどチンピラじゃない」



「うん。それはそうだね。

  揚げ足は取るし 屁理屈はこねるし 仲間でも平気でハメるし ツッコミは容赦ないし 朴念仁だし」








 否定しないんかい。それにすずかもすずかで容赦ないわね。







「でもね、それでも、本当に大変な時はちゃんと助けてくれるんだよ。

 それって、私達の事をちゃんと見守っていてくれてるって事だよね?」



「そういうものかしら?」



「そうだよ。


 ジュンイチさんがあぁなのは……あの人が、基本的に他人を試す人だから」







 他人を……試す……?







「うん。

 ほら、さっき言ったみたいに、ジュンイチさん、態度がムチャクチャでしょ?

 でもね……ジュンイチさんも、自分のそんなところをわかってる。わかってるから、自分のそういうところを知って、自分についてくるかどうかは相手に任せてるの」




「自分のムチャクチャについてこれるならついてくればいい。受け入れられないならついてこなくてもいい……そういう事?」







 聞き返す私に、すずかは笑顔でうなずいてみせた。







「その代わり、ついてくる人にはすごく優しいんだよ。

 どこにいても、どれだけ私達を振り回していても、ちゃんと私達の事を見守ってくれてる……

 お父さんみたいに、私達を優しく包み込んでくれる人なんだよ」




「『お父さん』って……アレが?」







 ごめん、すずか。あたしにはその感覚は理解できない。



 だって、祝勝会の時、なのはの教え子の……スバルだっけ。あの子に狙ってた肉を取られ て本気でブッ飛ばしてたのよ。どう考えても「お父さん」の反応じゃないわよ。











 そんな事を考えながら紅茶をまた一口……うん、美味しい。












 アタシの名前はアリサ・バニングス。現在大学生。











 今は、すずかの家のオープンテラスで二人してまったりお茶をしながら、友達を来るのを待っている。








 大事な……すごく大事な友達を。











「あ、来たみたいだよ。ホラっ!」











 すずかが、そう言って、立ち上がりながらある一点を指差す。




 その先は、この家の庭。そこに、大きな光の柱が立っていた。







 普通なら驚くようなこの光景も、アタシやすずかにとってはもう見慣れたもの。







 その光の柱が消えると、その中から人が現れた。だけど、それはひとりじゃない。







 それを確認してから、アタシとすずかはそこへと走り寄る。友の名前を呼びながら。












「フェイトちゃーんっ!」











 その声に、アタシ達の大親友のひとり、フェイト・テスタロッサ・高町がこちらを向く。



 ……次の瞬間、すっごくうれしそうにこちらへ駆け出してくれた。












「アリサ、すずかっ! 二人とも、久しぶりだね。元気にしてた?」











 手をつなぎ合って、再会を喜ぶ……と、後ろから残りの面々が近寄ってきた。








「お久しぶりです。アリサさん、すずかさん」



「ご無沙汰しています」







 そう言いながらお辞儀をするのは、6月になのは達が仕事で連れてきた、そしてこないだのユニクロンとの戦いで再会した子供達。



 フェイトが保護者をしていて、なのはが魔法での戦い方を教えている子供達、エリオ・モンディアルに、キャロ・ル・ルシエの二人だ。







「うん、久しぶりだね。二人とも元気だった?」




『はいっ!』



「二人とも、背がちょっと伸びたんじゃないの? ……あ〜あ、もうエリオとは一緒にお風呂入れないわねぇ〜」







 アタシがそうからかい気味な口調で言うと、エリオの顔が赤くなって『いや、その、それはあの……』などとパニくりだした。



 それを、キャロがきょとんとした顔で……いや、ちょこっとにらんでる。え、なんか色んな変化が起きたのっ!?



 なら、あんまからかっちゃ悪いわね。








「そーだよ。いたいけな少年をいじめないでほしいね。エリオは未来の騎士さまだよ?」



《そうです。マスターのように道を踏み外したらどうするつもりですか?》



「そうそう……ってっ! 僕がいつ道を踏み外したっ!?」



《まぁそれは置いておいて》



「おいとくなっ!」








 ……アンタ達、ホントに相変わらずよね。色んな意味で。特にアンタよアンタ。また身長伸びてないし。







「久しぶりねナギ。あ いかわらずチビスケね。でも、アンタも元気そうじゃないのよ。

 つか、メールでも言ったけど、連絡取れなくなって心配したのよ?」



「あはは……ごめん。ちょっとばかりヤボ用で一ヶ月ほど姿隠してたから」



「……いや、それはリンディさんやアルフから聞いてるけど。アンタ、本当に何やったのよ」




「いや、普通に戦ってた」







 なるほど、『普通じゃない状況』で戦ってたワケね。こいつは本当に……







「ま、元気そうで安心したわよ。ここにいるって事は、当然勝ったんでしょ?」



「もちろん」




「圧勝でしょうね?」



「とーぜん」







 小さな胸を張って、自身満々に言うナギを見て、私は安心した。



 本当に変わってない。これなら、これ以上言う必要はないかなと思ったから。







「ならいいわよ。これで負けてたらボコボコにしてるとこだったけどね」




「……というか、久しぶりだねアリサ。

 相変わらずツンデレだね。そして、クギミー的なのも変わってなくて素晴らしいよ」



「いきなりそれっ!? そういう事を言う口は、この口かしら〜」



「い、いひゃいひょー!」







 この、アタシより身長の低い男の子の名前は、蒼凪恭文。アタシは愛称で『ナギ』と呼んでいる。




 ……まぁ、アタシにとってはあれよ。アタシの方が年上だし、子分というか弟みたいな感じかな。







《そう言って、度々マスターの世話を焼いてくださって、本当に感謝しています。

 あ、遅れましたがお久しぶりです。アリサさん》



「はい、アンタも久しぶりねアルトアイゼン。相変わらずナギのサポートで大変なんじゃないの?

 コイツ、相当やらかしたみたいだし」



《それはかなり。ですが、問題はありません。マスターですから》




「そっか。なら納得だわ」







 ナギが胸元からかけている青い宝石は、ナギのパートナーでデバイスのアルトアイゼン。



 なんか、こいつとは昔からウマが合うのよね。ナギのいないところでいろいろ話をしたりもするし。



 でも、なのはのレイジングハートやフェイトのバルディッシュは、この子みたいには話さない……無口な子なのかしら?








「いや、それは前にも言ったけど、アルトアイゼンが特別だからだよ。普通は、インテリジェントデバイスでもここまでの対話能力はないから」



「じゃあ、これは何よ? 普通にしゃべりまくってるじゃないの」



「なんというか……ヤスフミやあの人のパートナーだったからかな? ごめん、そうとしか説明できないよ」







 ……よくはわかんないけど、そういうものらしい。ナギの剣の先生は、コイツ以上にアクが強いらしいから。







「ユニクロンを倒した後の祝勝会以来か。


 息災なようで何よりだ、月村」



「うん。

 イクトさんも元気そうでよかったです……あ、またナビとか壊してないですか? 壊してるならすぐ直しちゃいますけど」



「……………………後で頼む」







 で、すずかはと言えば一緒に来ていたイクトさんと話 してる。こっちもこっちで付き合い長いし、話弾んでるみたい。








 そして……







「アンタも久しぶりね、マスターコンボイ。

 相変わらず、ナギに勝るとも劣らないチビっぷりね」



「ナギとは恭文の事か?

 どうでもいいが、恭文もろとも大きなお世話だ」








 あたしが声をかけたのはヒューマンフォームのマスターコンボイ。あたしの言葉にギロリとにらみ返してくるけど……あれ、なんかナギを引き合いに出した事に怒ってる?







「あぁ、それには理由があるでござるよ」







 理由? 何よ、シャープエッジ。







「恭文とマスターコンボイ、友達になったんだよ。


 マスターコンボイにとってはまさに“初めての友達”ってヤツでね……おかげでちょっと過保護気味なんだよ。めんどくさいよねー」







 ちょっ、友達って……アイゼンアンカー、それホント?



 マスターコンボイに友達って、しかもそれがナギって……







 というか、それで過保護気味って……いや、こっちはわからないでもないか。



 マスターコンボイって、“GBH戦役”の、マスターメガトロンだった頃から、それなりに縁のあったなのはに対してはどこか甘いところがあったし。








 そっか……マスターコンボイに友達ねぇ……







「…………おい、アリサ・バニングス。

 その気に入らないニヤニヤ笑いを今すぐ止めろ」







 さーて、どうしようかしらねー?












「………………オメガ」



《ボス、何怒ってるのさ?

 ミス・アリサはただ、ボスとミスタ・恭文の関係を 暖かく見守ろうとしてるだけじゃないの》



「『生』がついてる時点で気に入らんのだっ! 『生』がっ!」




《二人のカップリングで本を作ろうとしたミス・はやてよりはマシでしょうが》



「確かにそうなんだけどなっ!」







 …………ナギ、その話マヂ?







「………………まぢ。

 なお、話を聴いた瞬間僕とマスターコンボイで部隊長室に突撃かけて、なんとかネームの時点で阻止したんだけどね」








 まったく、はやてもはやてで相変わらずってワケか。



 でもナギ、はやての事だから、きっとぜんぜん懲りてないわよ?







「あー、やっぱりそう思います?

 今度またガサ入れしなきゃダメかなー……?」








 うん。ダメでしょうね。絶対まだ原稿どこかに隠し持ってるわよ。







「ったく、あのタヌキめ……

 僕とティアナやらスバルやらのカップリング本なんか書こうとしたアリシアもだけど、二人してちっとも懲りないなー、ホント……」







 ……アリシアはそっち方向なワケね。








 まぁ……苦労してるのはわかったから、その単色モノクロの瞳はやめときなさい。アン タ一応旅行中でしょう?











 とにかく……うん、いこっか。










とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜




とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典



Another strikerS













番外編その3『嵐の前の静けさってよく言うけど、来るのが超特大の台風だから全然静かじゃないよ』





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



移民船団『イグザイルス』、中央政府大会議室――
















【――以上が、惑星ガイアの現状だ。願わくば、君達と手を取り合える日を楽しみにしている。】

「……これが、中継ポイントを経由して惑星ガイアから送られてきたメッセージの全てです。」

「信じられん……我らが祖先の悲願を、果たせる時が来るとは……」

「大統領、すぐに返答のメッセージを作成しましょう!!これは市民たちも喜びます!!」

「我々スペースガードも、全力で協力しましょう!!」

「うむ、情報局はただちに動いてくれ!!」















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「……って事で、お姉ちゃん達情報局はてんやわんやなワケ?」

「そうなの。本当なら、こうやってアンタと話す時間も惜しいくらいね」

「ひっどぉいっ!!」




 ――とりあえず家に帰った私は、妹のローリと話をしながら荷物の準備を始めていた。うぅ、徹夜はお肌に駄目なんだけどなぁ……




「ところでローリ、あんた今日はコビー君とデートじゃなかったの?」

「知らなぁいっ!!ところでさぁお姉ちゃん、お姉ちゃんは惑星ガイアからのメッセージ見たんでしょ?どんな感じだった?」 



 あぁ、コビー君ったらまたこのじゃじゃ馬娘の制御に失敗した訳ね?道理でさっきからムスッとしてると思った。



「……言っとくけど、アンタが興味を持ちそうなものは……なくもないわね。教科書に載っていた伝説のサイバトロン戦士達が、姿は変わってるけど今でもいるみたいだし。」

「ブレイブロディマスが目標にしていたあの『レジェンズ』達がっ!?なにそれすっごい!!」

「興味を持つのはいいけど、コビー君とは早いうちに仲直りしなさいね。喧嘩したままで遠距離恋愛はイヤでしょう?」

「べ、別に喧嘩なんか……って、遠距離恋愛?どういう事お姉ちゃん!!」


 ……さすがに自分の事になると食いついてくるわね。まぁ、どちらにしろローリにはここを離れていけないんだけど……


「まだおおっぴらには言えないんだけどね……惑星ガイアへの調査を兼ねた交流団の設立が進んでいてね、そのスタッフに選ばれたの。
 だから、あんたには私と一緒に来るか中継ポイントの父さん達の所へ行くか決めてもらわないといけないの。」

「そんなっ!?が、学校はどうなるのよっ!?」

「私と一緒に来るなら、政府からの特例で留学扱い。月イチにレポート提出って所かしらね?父さん達の所に行くなら転校……あ、ここに一人で残るって考えはナシよ?アンタはまだ未成年で、保護者が必要なんだから。」

「…………………イヤよ…………………ここを離れるなんて、絶対イヤだからねっ!!」

「あ、ちょっとローリッ!?」



 うつむいて話を聞 いていたかと思うと、ローリは家を飛び出していく……無理もないけど、さすがにこれはどうしようもないのよね……


 私は腰に付けていた端末を取り出すと、端末の中央に備えられたスイッチを押す。すると、端末からは妖精のような格好をしたオレンジ色の小人が出てきた。

 ――これが、私のパートナーである“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”のアーシー。属性は電気で、私とコンビを組めば情報戦は向かう所敵なしとなる。

 10年前、政府の中枢にハッキングをされ“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の情報が奪われて以来、政府は情報戦に長けた能力の持ち主を重宝するようになった。私もその一人で、ハイスクールを卒業してすぐ情報局へと入局した。まぁ、普段は広報の仕事を主にやってるんだけどね……


「――アーシー、ローリの事お願いできるかな?」


 私の問いかけにアーシーは笑顔で頷くと、再び端末の中へと消えていった。









 さぁってと。どうせローリが行く場所は分かってるんだから、あらかじめ手を回しておきますか。






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「コビー、今日もローリと喧嘩したのかい?」

「べ、別に喧嘩した訳じゃ……」

「そーそー、兄ちゃんったらローリとのデート忘れて機械いじりに夢中でさぁ?気がついたら一時間遅れでやんのっ!!」

「バ、バド!!」

「だって、事実じゃん?」

「だからといってお店に来るのは止めて欲しいんだけどなぁ……これといってアドバイスできる訳でもないし……」



 ――あ、自己紹介が遅れました。僕の名前はブラッド、みんなからはラッドと呼ばれています。この移民船団「イグザイルス」では、友人のカルロスと一緒にTFのメンテナンスを行う会社をやっています。もっとも、個人経営なのでTFだけじゃなく普通の電化製品の修理なんかも受け付けていて、ようやく名前が知られるようになってきたという所だけど……



「えぇ〜、ラッド兄ちゃんとカルロス兄ちゃんのアドバイスはけっこう参考になるよ?」

「確かに。やっぱり、アレクサさんもあんなだったの?」

「……まぁ、さすが姉妹といった所かな?」



 今僕と話をしている兄弟はコビーとバド。彼らの父親がモトクロスを嗜んでおり、その縁でここに来るようになったお得意さんだ。
 兄のコビーはメカニックの知識がこの歳にしては豊富で、最近では簡単な仕事だったら手伝ってもらったりしている。弟のバドは映画監督になるのが夢で、時々カメラを持ち出しては撮影を行ったりしている。まぁ、将来が楽しみな二人なんだ。



「おいおいラッド!!お前らがコビー達の歳ぐらいの時はもっと悪ガキだったろうが!!
 ガキンチョ三人でスペースガードの基地に忍びこんでさんざんイタズラしてまわってたのがついこの間のように感じるぞ?まぁ、今じゃあすっかり大人になっちまったがな!!」

「……ハハ、勘弁してよデバステイター。今じゃあすっかり反省してるんだからさ……」



 ――僕の言葉に反応して笑いながら声をかけてきたのは、これまたお得意さんの一人であるTFのデバステイター。幼い頃から面倒を見てくれていて、僕達にとってはもう一人の父さんという感じだ。



「なにそれなにそれっ!!まるでスパイ映画みたいじゃん!!」

「おう、俺も聞いた時は驚いたぞ?アレクサが基地のコンピューターにハッキングをかけて監視網を無効化し、カルロスが基地内を逃げまわってかく乱、その間にラッドが司令官室に忍びこんで……って所まではよかったんだが、ヒートロディマスの奴とたまたま鉢合わせてな?そのまま芋づる式に捕まって大目玉を食らってたな!!」

「……よ、よく怒られただけですんだねラッドさん達……」

「いや、こいつらのイタズラでセキュリティの穴が洗い出されたからな、むしろ『いくら“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の助けがあったとはいえ、子供に翻弄されるとは何事だぁっ!?』ってスペースガードの連中が怒られてたなぁ……その縁でアレクサが情報局へ務めるきっかけになったりしたんだよ。」

「デバステイター、他に面白いエピソードはないのっ!?」

「さぁて、何があったかなぁ……」


 ――デバステイター、あまり変な事吹きこまないでね?なんか、バドの目がやけにキラキラしてるから。


『……ラッド、アレクサからメールだよ』

「え、アレクサから?」


 すると、腰に付けていた端末から相棒の“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”であるウィーリーの声が聞こえてくる。でも、アレクサからメールってなんだろ……















「コビー!!」

「ロ、ローリ!?」






 ……あぁ、なんか変な事に巻き込まれそうだなぁ……















親愛なる友人、ラッドへ

そっちにローリが来ると思うから、いろいろ理由をつけて引き止めておいてくれない?

――多分、コビー君達やラッドにも関係してくる事だと思うから。カルロスにも連絡しておいて。

それじゃ、また後で。


            アレクサ




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「それでライノックス、調査結果はどうなっている?」

「……結論から言うと、移民船団の人達が今の惑星ガイアを訪れても問題はないね。
 “ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の持つ“力”がアンゴルモアエネルゴンの発する力場に干渉して無効化しているんダナ。」

「そうか、クレア君が防護フィールド無しで外にいた事からまさかとは思っていたんだが……」

「言っとくけど、私“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”にはまったく関わってないわよ?
 あの頃はアンゴルモアエネルゴンの異常活性化を防ぐので精一杯だったんだから。」

 


 ――だが、偶然にしては出来すぎている。まるで、こうなる事を運命づけられているかのように……これは、何かの意志が働いてるのか?































「……プライマルコンボイ、あんまり深読みしすぎても駄目だと思うよ?
 どうせ、 書いてる途中で設定のミスに気がついた作者が、それっぽい理由を後付けしたに決まってるんダナ」

「……ライノックス、それは私も思ったが口に出しては駄目だろう? これでは、作者の自虐ネタにしかならないじゃないか!!」

「……どっちもどっちだと私は思うけどねぇ……?」



 
 ――む、そういえばそのクレア君はどうしたんだ?また、フィールドワークにでも出かけたのか?


≪クレアさんなら、訓練場でアリスさんと組み手をしてますよ?≫



 ……組み手、だと?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「はあああぁぁぁっっっっ!!」

「はいはい、足元がお留守よ?」

「うわぁっ!?」



 ――アリスさんに頼み込んで組み手を始めてから30分程。僕はアリスさんに一撃すら入れる事もできずに、足払いをかけられて地面に背中を打ち付けていた。


≪……これでちょうど300回目だね≫

「………少し休憩入れる?」

「……ハァッ……ハァッ……お願い……します……」

「それじゃあ……よいしょっと。」



 ――アリスさんに抱えられながら、僕は訓練室の横に備えられたベンチへと運ばれる……見た目は細いのに、どこからこんな力が出るんだろう?



「ほいよクレア、お疲れ様。」

「……ありが……とう……」

「まぁ、始めた頃よりはだいぶ良くなってるわね。でも、やっぱりクレアちゃんは戦うの向いてないと思うわよ?……人を殴るのに躊躇してるの、すぐ分かるもの」

「……やっぱり……ですか……?」


 イリアスから受け取ったドリンクを飲みつつ荒い息を整えながら、アリスさんの指摘に耳を傾ける

 ……移民船団に居た頃は、諍いがあってもルールに則った『試合』で決着を付けていた。その時は、遠慮無く人に向かって攻撃できてたんだけど……こうやって生身の組み手をしていると、なぜだか相手を傷つける事に戸惑ってしまう。



「……でもまぁ、別にいいんじゃない?」

「……え?」

「世の中には自分がどれだけの力を持っているか理解できずにその力を振るってるのも多くてねぇ……それよりは、“力”に対して臆病な方がいいのよ。自分が傷つけられる痛みを知ってるから、なるべく相手を傷つけたくない……それはそれで、必要な想いなの」



 う〜ん、そういうものなのかな……よく分からないや。僕は結局、イリアスに力を借りなきゃ何もできないし……



「ま、明確な答えはないからクレアちゃんが自分で見つけるしかないわね……それじゃ、休憩もできたようだしもう一丁いってみますか!!」

「…………はいっ!!」






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
















「『ねぇねぇファーヴニル先輩、レヴィアタン先輩は何処に行ったんでしょう?」』



 ――定期メンテナンスが終わった直後。メンテナンスルームでくつろいでいた俺に、新入りの野郎が声をかけてきやがった。



「あぁん?知るかよそんな事。なんか用でもあるのか?」

「『う〜んと、イヤ〜な予感がするんですよね……なんかこう、ビビッと来るような……」』





 ったく、ダークコマンダー様からの命令じゃなかったら新入りのお守りなんざやらねぇんだがな……ここで放っておいたら、こいつが何しでかすか分かんねぇし……





「……テメェが気になるってんなら探すの手伝ってやるよ。それで?ファントムアークにはいねぇのか?」

「レヴィアタンの奴なら、トランステクターを持ち出して惑星ガイ アに向かったぞ。」



 すると、ハルピュイアの奴が疲れた表情でメンテナンスルームに入ってくる……あぁ、次のメンテナンスはお前の番だったな。



「悪いが、私の代わりにあいつを連れ戻してきてくれるか?ガイア・サイバトロンに見つかったら面倒な事になりそうだしな……」

「『分かりましたハルピュイア先輩。大丈夫、僕に任せてくださいっ!!」』

「そうか……頼りにしてるぞ?」



 そう言うと、ハルピュイアは新入りの頭を撫でてメンテナンスポッドの中に入る。




 ……新入り、あまり派手な事はするなよ?


「『大丈夫ですよ。今日はガルファーしか持ち出さないつもりですし……まぁ、何とかなりますって。」』




 あれを見てなきゃこう不安にはならねぇんだがな……結局、インセクトロンの奴らはあの土地ごと消滅しちまったし。















 ――まぁ、レヴィアタンが馬鹿な事をしでかさなければどうにかなるだろ。












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 正直、最近の俺は某時の列車なライダーの主人公並に不運だと思う。


 なんとなく気晴らしでもしようと思って、最近まともに使ってなかったジェットシャトラーを動かしたんだ。そしたら――























『逃さないわよだぁぁぁりぃぃぃぃんっっっっっ!!』














 ――数分もしないうちに、白とクリアーブルーのカラーリングに彩られた翼のはえた龍○王モドキなドラゴン相手に逃げ回る羽目になるっておかしいよなっ!?

 しかも、ドラゴンの頭部に備えられているキャノピーからはあのレヴィアタンとかいう奴が乗ってるのが見えるし……なんなんだよこの状況はっ!?あと、誰がダーリンだ誰がっ!?






≪いやはや、事実は小説より奇なりと言うがまさにその通りだな。≫

「お前、絶対面白がってるよなっ!?こっちは色々ピンチなのにさぁっ!!」

「もちろん面白がるに決まってるじゃない。こんなコメディみたいな展開、そうそうないわよ。」


 ってヴェルヌスっ!?いつの間にジェットシャトラーに乗り込んだんだお前はっ!?


「そんな事言ってる場合じゃないわよ?ほら、ちゃんと攻撃を避けなさい。」

「ぬぎゃああぁぁぁぁっっっっ!?!?」



 モニターを見れば、○星王モドキなドラゴンは口から青白い光線をこちらへと放ってくる。ちょっ、撃ち落とす気まんまんかよっ!?



「レヴィアタンの思考は分かりやすいから……とりあえずトランステクターを撃墜して、動けなくなった所を捕獲して18禁な展開に持ち込もうとしているって感じかしらね?」

『ヴェルヌス、大正解っ!!』

「なんで会話が成立してんのっ!?こっちの声聞こえてるはずないだろうがっ!?」

『ところがどっこい……そっちの声はまるでテレパシーのように筒抜けよっ!!これも、愛の力という事かしらねっ!?』

「嫌な愛の力だなぁおいっ!?」

≪ところでレヴィアタン嬢に質問なのだが、そちらの目的はマスターの貞操を奪う……というか、マスターと恋仲になる事でいいのだな?≫



 バルゴラ、お前何普通に会話してんのっ!?少しはおかしいとか 思えよ常識的に考えてっ!?



≪いや、身内に非常識の権化が居るのに常識で物事を図るなど不可能だろう?
 それに、常識とはその個人が自らの経験を元に判断するものだ。故に、真の意味では『常識』というものは存在しないという事が言えるな。≫

「何無駄にかっこよく言ってんのっ!?かなりムカつくんですけど!!」

『それには同意できるわねっ!!常識があるから行動するのではなく……私自身が常識を作るのよっ!!
 ちなみに、質問の答えはイエスよっ!!とりあえずその子とイチャイチャラブラブ出来れば私は文句ないわっ!!』


「そして、アンタも同意すんなっ!?」



 自分の欲望に忠実すぎるのも考えものだよなぁおいっ!?ダークコマンダーの奴、どういう教育してんだっ!?



「多分、教育係のブラックアラクニアも予想外だったでしょうね。同じ教育を施したはずなのに、片方は委員長タイプの真面目キャラ、もう片方はエロリストと呼ぶに相応しい肉食系女子に育つなんてね?」

「うん、今回だけはあのクモ女に同情するな。俺だって泣きたいもん。」

≪マスター達は置いといて、レヴィアタン嬢にひとつ提案があるのだが――





































――プレダコンズを裏切って、こちらの味方になる気はないか?≫












『………………………………はぁっ!?』
















 お前なぁ……ふざけんのも大概にしろっ!?




≪いや、しごく大真面目だが?あちらは合法的にマスターと接触できる機会が四六時中できる上にレリスのコネを使えば罪が表に出ない段階で自由の身となれるし、こちらはプレダコンズの情報と戦力の強化ができる。
 これだけメリットが生まれるのだから、問題ないだろう?ついでにマスターにも彼女ができるし。マスターがうまく制御すれば、あのエロリストな性格を矯正してデレデレになってくれるぞ?≫

「俺の意志はっ!?」

≪アホかマスター。イケニ……もとい、人身御供となる存在に肯定否定の意志があったら面倒なだけだろ。≫

「言い直す意味ないよなっ!?そして、生贄扱いか俺はっ!!」

「一理あるわね。政略結婚と考えれば問題ないし……諦めなさいジン。まっとうな恋愛がしたければ第二夫人としなさい。レヴィアタンを本妻にしておけばきっと文句言わないから。」

『……まぁ、あまりいい思いはしないけどそれだけ魅力的だという事だしね……むしろ、3(ピー)とか○ズプレイとか色々できるかしら?……そう考えると問題ないわね。むしろ、どんとこい?』



 はい、伏字になってない問題発言は止めましょうねっ!?というか、何なのこの状況!?


≪という訳で、この提案に賛成ならば武装解除して降下してくれ。そこで、改めて交渉しようじゃないか。≫

『そうね。ちゃんと話し合う必要があるわ……じゃ、こっちに来なさい。』



 そして、龍星○モドキのドラゴンとジェットシャトラーはたまたま眼下にあった湖の傍へと着陸する事になった。

































……いや、なんで トントン拍子に話が進んでるのっ!?















(番外編その4に続く)

















次回予告っ!





ジン「……誰か、俺を助けてください。」

カオスプライム「諦めろ。」

ジン「あっさり否定されたっ!?」


番外編その4「激突!!光と闇の『ゼロ』!!」












あとがき


 ……うん、どうしてこうなったとしが言いようがない。

 なんでレヴィアタンの造反イベントが発生してるんだろう……このままだと、とまコンにジンが参戦した時におもいっきりレヴィアタンも味方として登場するじゃないかっ!?

 まぁ、モリビトさんならきっとうまく扱ってくれるだろう……という訳でモリビトさん、宜しくお願いしますね♪(マテ


管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 ………………あの暴走特急エロリストの面倒をこちらで見ろと?(爆笑)

 とまぁ、そんな感じでまたもやキラーパスをもらってしまったワケですが、それでやる気になっちゃう自分がなんかイヤ(笑)。

 

 それはともかく、レヴィアタンの造反フラグ……同じ主人公にベタ惚れ状態でも自分の立場を堅持したまま想い人をGetしようとする万蟲姫とはえらい違いですな。

 とりあえず次回はバトルを期待して良さそうですな。ジンのことですからちゃんと仲間に連絡入れてそうですし、こっちは仲間総出でフルボッコ……と安心できそうにないのがまた怖い。前回のあの暴れっぷりがあるからなぁ……

 

 

 …………しかし、この話の時点で本流がライトニング旅行編ということは、作中時間で年明けになる(ネタバレフィルター作動)への参戦は十分間に合う計算に……
 例の「数ヶ月後」発言も、2ヶ月目以降は十分「数ヵ月」と言えるワケですしね(ニヤリ)。