「……小僧、冗談も大概にしておけ。敵に惚れて組織を裏切る悪の女戦士なんぞ、絶滅危惧種といったレベルだぞ?」

『いや、それが事実なんだよ。俺だって驚いてるし……
 とにかく、さっさと来てくれない!?マジで貞操の危機なんだけど俺はっ!?』

「そんな事俺が知るか。むしろ経験のないお前には好都合だろう?きっとフィーネもあの世で喜んでいるからおとなしく(性的な意味で)食われろ。」

『いや、そんな簡単に片付けないでっ!?お願いだから、通し――』





 世迷言を抜かしてきた小僧からの通信をむりやり閉じると、俺はため息をつく。

 ――小僧の奴、いつの間にフラグメイカーになったんだ?あれか、朱に交われば赤くなるという奴か。
 なにせ、フラグメイカーな奴は 2人も いるからな……












「――こんな所にいたかカオスプライムよ。」




 すると、上空からベクターメガトロンが舞い降りてくる……その装甲には所々傷がついている事から、つい先程までドラゴマグナスとやりあっていた事が見て取れる。



「貴様がただのTFに傷をつけられるとはな……腕が鈍ったか?」

「フン、遊びとはいえ儂と互角に戦える奴が『ただのTF』であってたまるものか……我が宿敵とまではいかないものの、なかなかに楽しめそうだ。」

「……珍しいな、貴様が他者を褒めるとは。」

「儂とて昔のままではいられんという事だ……それより、気づいたか?」

「……あぁ。」


 ベクターメガトロンの言葉に頷き返すと、俺は胸部のハッチから漏れ出す赤い光――エナジーウェポンの放つ輝きに視線を向ける。






 エナジーウェポンには、『ユニクロン』という存在が生み出した力に反応して輝きを増すという奇妙な特性が備わっている。それがこうも反応するという事は――






 「――少し、マズい状況かもしれないな。」












 ……小僧、頼むから巻き込まれているなよ?






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













「『いやぁ、イヤ〜な予感というものは当たるんですね。これにはびっくりしました。」』






 ――それは、唐突だった。

 話しあおうとした矢先に猛獣のように目をギラギラさせて飛び掛ってきたレヴィアタンの動きをどうにか止める事に成功(ちなみにその方法は、ヴェルヌスがどこからか取り出したロープで縛りあげるというものなのだが……なぜかSMのような縛り方で、よけいにレヴィアタンのテンションが上昇しているのはどういう事なんだろうか?)してほっと一息をついたその時、そいつは現れた。




「『でも、レヴィアタン先輩……いくら先輩がその手の事に詳しいとは言っても、野外SMプレイはさすがに引いちゃいますよ?」』

「あら、私は問題ないわよ?むしろ、その方が興奮………… ヤバ、ちょっと濡れてきちゃったかも♪」







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、そこの変態は放置で。






「ちょっとっ!?さすがに今のは冗談よっ!!」

≪で、君はどこの誰だ?まぁ、レヴィアタン嬢を知っている事からプレダコンズ に関係のある事は分かるが……≫

「いや、本気で放置プレイっ!?そんな、この私がMに回るなんて……うん、ゾクゾクしちゃうわぁん♪」

「『僕が誰かなんてどうでもいいだろう?そんな事より、最近の仮面ライダーについて語り合わないかい?
  僕としては、さらば電王が続編フラグにしかみえなくて若干感動が薄れちゃったんだよね。いや、あの一斉変身はかっこ良かったけどね?NEW電王も、これからどんどん活躍してほしいものだよ。」』

「奇遇だな、NEW電王については俺も同感だよ。あと、幽汽についてはびっくりしたな。牙王からパーツを流用しているが、あの海賊っぽく見えるデザインには渋さを感じたぜ。」

≪メイルとライラもヤスフミのおかげでハマってたしな。惑星ガイアに居るにもかかわらず、わざわざ地球にまで観に行ったのはいい思い出だ。≫

「……あの、本当に放置は止めて?お姉さんちょっと切ないから。ウサギみたいに寂しさで死んじゃいそうだから。」

「『しかし、キバの方は残念だね。電王の後番組じゃなければもう少し評価されるんじゃないかな?キャラクターや設定の良さを生かしきれてないのがとても残念だよ。」』

「おいおい、そこまで俺と同意見とは……恐れいった、お前とはいい友達になれそうだ。」

「『本当?それじゃあ、僕と君はこれから友達だね。初めての友達ができて、とてもうれしいなぁ……」』

「ねぇ、お願いだから反応してくれないかしらっ!?」














 ――なんなんだこいつ、訳がわかんねぇ。













 それが、俺が目の前の少年に感じた感想だった。少しオーバーな身振り手振りをしたり、表情もコロコロ変わっている。
 
 けれど、声にはいっさい感情がこもっていない。下手くそな役者が棒読みで台詞を読んでいるかのような『違和感』が、常につきまとっている。

 それがどうしようもなく不快で、それなのになぜか親近感を覚え、同時に恐怖を感じる。さらに言えば、どこの渚カヲルだといわんばかりの銀髪に赤い目……二次創作界ではチートキャラによくあるアルビノ体質と、ジュンイチさんに似た顔つきが俺の『違和感』を加速させている。

 ……いや、マジでジュンイチさんそっくりなんだけど。鷲悟さんも入れると3人目か?どこのもやしもんだよおい。



 そして、もう一つ疑問に思うのは先程からヴェルヌスが一言も喋ってないという事。

 いや、正確には――憎々しげに、目の前の少年を睨みつけていた。



「『おやおや、そこに居るのはヴェルヌスちゃんじゃないか。しばらく見ないうちに随分綺麗になったね。僕は惚れちゃいそうだよ。」』

「――私は、二度とあんたには会いたくなかったわね、“ Χ カイ ”。」

「『そんな事言わないでくれよヴェルヌスちゃん。元パートナーとしては、寂しいなぁ……」』


 元パートナー、だと?


「心配しないでジン。あなた以上のパートナーはこの世界のどこにも存在しないわ。そもそも、あいつと私の相性は最悪なのよ。」

「いや、そんな事はっきりと言われてもなぁ……それに、相性が最悪ってどういう事だ?」










「『それはね……こういう事さ」』






――“ 霊子 ソウル ――

―― 融合 ユニゾン ”!!――












 そして、まばゆい光がそいつの身体を覆い尽くし――金色の光を放つチューブが各部に備えられた白銀の鎧を纏った、戦士が現れる。









「『シャイニングウォーリアー・ゼロ。それが、この姿の名前さ。」』








































 ――どうやら、プライマスとユニクロンとアルテミスじゃない方の神様は俺の事が嫌いらしいな。いや、ユニクロンには好かれたくもないけど。





















とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜




とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典



Another strikerS













番外編その4『激突!!光と闇の『ゼロ』!!』







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「チィッ!!こいつら、どっから湧いてきやがったっ!?」

「兄上、そんな事を言ってる場合ではありませんっ!!せっかく完成したスペースブリッジなのです……これを壊されては、彼らに申し訳がたちませんっ!!」

「そんなのは分かりきってんだよっ!! スパーク、ハリケェェェェンッッ!!」



 それは、ドラゴマグナスとベクターメガトロンのオッサンがいつもの喧嘩を終えた後片付けをしている時だった。

 妙な感覚を感じたかと思うと、地面から半透明な緑色の化物が現れて無差別に破壊活動を行い始めた。

 何が何だか分からなかったが、とにかく俺達はせっかく完成したスペースブリッジを守る為に少ない人数で必死に防衛戦を行っているって訳だ。



 ……今考えると、非常にタイミングがマズいのかもしれねぇなこりゃ。
 
 ゴリさんが連れてきたルーキー達のおかげで戦力が増えたようにみえるが、親善交流部隊に多くの人数を割いた上に、ガイア・デストロンの連中はギガストームの旦那に誘われてこの星を離れているからなぁ……














 けど、弱音を吐いてる場合じゃねぇ。こいつらがなんだか知らねぇが――












「――これは、俺達の絆の証だ。てめぇらなんかに、壊されてたまるかぁぁぁっっっ!!」






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







≪――っ!?アンノウンの反応、さらに増殖してます!!いったいなんなんですかこれはっ!?≫

「アイちゃん、嘆くのは後!!今はとにかく、サポートに徹するんダナ!!」

≪は、はいっ!!≫



 ――それはそうと、妙なんダナ。こいつら、プレダコンズにしては行動がバラバラすぎる……まるで、動物みたいなんダナ。







「二人とも、応援に来たわよっ!!」







 すると、司令部に険しい顔をしたアルテミスが入ってくる……アルテミス、この状況どうなってるか分かるかなっ!?







「もちろんよ。あのエネルギー体……アンゴルモアエネルゴンが暴走した結果で発生してるわ。だから、原因をどうにかしないかぎり無限に湧いてくるわよ?」

≪そんなっ!?≫

「……これに関しちゃ、私にも落ち度はあるわ。まさか、『アレ』が短期間で『2度』もこの星に持ち込まれるなんて思ってもいなかったもの……」




 ――ちなみに聞くけど、その持ち込まれた『アレ』って……なんのことかな?












「――アンゴルモアエネルゴンのオリジナルともいうべき超物質……ユニクロンのプラネットフォースよ。
 まったく、10年前に消滅したんじゃなかったのっ!?ガセネタとか本気で恨むわよプラちゃんっ!?こうなったら……ムーン、『ノヴァシリーズ』の発進準備をっ!!」

『無茶言うなムーンッ!?ライノスとクーガーの最終調整は終わってないし、なによりパイロットが居ないムーン!!』

「エレファントとホークにさえパイロットが入れば、『ノヴァストライカー』のスペックはほとんど発揮できるわっ!!なにより……





ぶっつけ本番で起動させてこその、王道ロボットアニメよっ!!ま、これは小説だけどねっ!!」

『現実とアニメをごっちゃにしつつメタ発言するなぁぁぁっっっ!?』





 あ〜、アイちゃん?アルテミス達は放っておいて、クレアちゃんとアリスちゃんに連絡するんだな。


≪はい。お二人とも準備は出来ているようです。≫


 それじゃ……いっちょ、やってみるんダナ!!










◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





「……イリアス、この状況ってどう思う?」

「まぁ、移民船団に居た頃だと絶対味わえない展開だよな。ヴァルキリーはスペースガードの関係者しか乗れないし、ましてや人造TFとも言える機体に乗るなんてな……」

「やっぱりそうだよね……僕達は、井の中の蛙だったみたいだよ。」


 パイロットスーツに身を包み、コックピットの中でイリアスと会話しながら僕は今までを思い返す。

 本当に、この星に来てからは驚いてばっかりだった。ジン君と出会い、魔導師という存在を知った。伝説の女神様は、文献とは違い威厳もへったくれもない性格だった。自分の常識が、音を立てて崩れていくのを感じていた。










 ……でも、なんだかこの星を嫌いにはなれないんだよね。あれかな、おじいちゃんがこの星のことを熱く語ってくれたからかな?



「そうじゃねぇよクレア。この星はすっごくでっけぇんだ。“大地”の力を使うアタシには分かる……子供を抱く母親みたいな優しさに包まれている。だからこそ、お前らの先祖はこの星に“惑星ガイア”って名前をつけたんだろうな」



 ――そういえば、アルテミスさんも言ってたねそんなこと。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












「惑星ガイアの名前の由来はなにかって……そんなの、私は知らないわよ?」


「え、アルテミスさんは惑星ガイアの神様なんですよね?
 そんな方が“ガイア”と呼ばれるようになったの理由を知らないなんて……」


「だって、この星のことを“ガイア”と呼ぶようになったのは、あなた達のご先祖が始まりだもん。別にひどい名前って訳でもないから、そのまま使わせてもらってるだけなのよ。」













◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「それだけ、僕達の御先祖様はこの星を大事に思ってたってことだよね。」



 おじいちゃんも、惑星ガイアのことになるとまるで子供みたいにはしゃいでいたっけ……この星で過ごしたことがないはずなのに、あそこまではしゃげるのはびっくりだったけど。




「まぁ、なんにせよだ……クレアにはアタシがついてる。だから、思いっきり暴れようぜっ!!」



 分かってるよフィー。この戦いは、『守るため』の戦いなんだ……そんな戦いにまで、怯えてなんていられないっ!!



『それでは――ノヴァホーク発進、どうぞっ!!』

「了解しました。ノヴァホーク、クレア・ランスロット――行きますっ!!」




 アイさんの声と共にハッチが開くのを確認すると、強烈な加速と共に僕の乗っているノヴァホークが射出される。そして、ノヴァホークに続いて3台のマシンが射出される。




『クレアちゃん、出し惜しみはなしよっ!!一気に行きましょうっ!!』

「分かりましたアリスさんっ!!」




―MAXIMUM-FORMATION―


―NOVA-STRIKER―





 アリスさんの言葉に答えると、コクピットのメインモニターに文字が浮かび上がる。そして――僕達は、合体に必要なキーワードを叫ぶ!!







『ノヴァシリーズ、ゴッドリンク!!』




 すると、まずアリスさんの乗る重装備の戦車――『ノヴァエレファント』が人型に変形を開始する。

 次に、その左右を陣取っていた銀と黒の戦車がそれぞれノヴァエレファントの脚部に合体すると、ノヴァエレファントの膝と肩アーマーが展開しより力強さを増す。

 そして……僕の乗るノヴァホークが変形し頭部を形作ると、ノヴァエレファントの両手がノヴァホークを鷲掴みし、ヘルメットを被るように合体させる。その瞬間、僕の身体は光に包まれて……意識が機体の中に溶けこんでいく。







「超!星!神!

ノヴァ!!ストライカァァァァァッッッッ!!」












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 えっと……どうなってるんだあれはっ!?


 空中で盛大に名乗り、地面に降り立ったノヴァストライカーを眺めながら、僕は通信モニターを開いた。



「――何やってるんですかアルテミス様っ!?
 ノヴァストライカーはまだ未完成で、どんな影響が起きるか分からないから合体させるなって言いましたよねっ!?個別運用するって話じゃなかったんですかっ!?」

『甘いわよビルドボーイ!!成功率なんてのは、ただの目安……』



「今の僕はビルドキングですっ!!
 あと、そんな台詞は、シミュレーションを行ってから言ってくださいっ!!
 ノヴァストライカーは合体のシミュレーションすら行ってないでしょうがっ!!」




『ま、まぁ合体できた訳だから結果オーライということで……あとさビルドボーイ、急いでみんなを退避させてくれない?今のあの子達、こっちじゃ止められないから。』

「はぁっ!?いったい、どういう……」


 

 ――そこまで言いかけて、嫌な予感がしたので再びノヴァストライカーの方へと顔を向ける。ノヴァストライカーは全身に備えられていた砲塔を展開し、それをエネルギー体の群れに向けて構えていた。






「――ッ!?総員、直ちにエネルギー体から離れてくださいっ!!」





「マキシマム――インフェルノォォォォッッッッ!!」






 僕が叫ぶのと同時に、ノヴァストライカーから放たれた無数の光線がエネルギー体を焼き尽くし、大爆発を引き起こしていく。それは、アルテミス様本来の性格である慈悲深い姿とは一転した……まさに破壊の王という具合だった。








「……いくらなんでも、威力が過剰じゃないですか?」








 地表から漂う黒煙の中、赤い瞳を輝かせて佇むノヴァストライカーを眺めて……僕はそう思う。




























 アルテミス様……あなたはいったい、何と戦う気なんですか?









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










「ふむ、これは予想外だったな。まさか、ユニクロンのプラネットフォースがこのような現象を引き起こすとは……」

≪本当だよね、ナビ子もびっくりぃっ♪≫


 惑星ガイアに仕掛けた監視ロボットからの映像を、私はブラックアラクニアやナビ子と共に眺めていた。

 しかし、あれは戦力としては不適合だな。敵味方の区別なく見境に攻撃を仕掛けてくる上に、制御もできないのであれば利用価値は薄い。それならばまだ、量産型TFやノイズメイズ達のコピーを生産した方が効率がいい。


「私としては、“ Χ カイ ”を回収した方がよいと思われるのですが……」

「いや、“ Χ カイ ”には実戦経験を積んでもらおう。インセクトロン達だけではデモンストレーションにもならなかったからな……単独でのスペックを確かめるにはいい機会だ。」


 それに、ヴェルヌスにも成長してもらわなくては……あの“ダークナイト・ゼロ”とかいう融合体ではその能力を最大限に活かす事は不可能だし、ましてや“ Χ カイ ”に勝つのは不可能だ。

 素体であるジン・フレイホーク君の素質が延びる気配がない以上、ヴェルヌスが自らの力をコントロールできるようにならなくてはならないというのに――これでは、何の為に脱走を見逃したのかが分からなくなる。まぁ、ここで消えるようならば計画を修正するだけの話だが……できれば、私を楽しませてくれよ?



























≪ところでさぁダークコマンダー様。キャプテンシャーク達とハルピュイアが勝手に出撃しちゃってるんだけど、それはどうする?≫

「――はぁっ!?なにをしてるのよあいつらはっ!?」




 ……ふむ、これは予想外だったな。さて、どうしたものかな?アサルトジャガーとファントムクローはタランスの方へと派遣した為、今は私とブラックアラクニア、そしてナビ子しかいないのだが……









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







「オラオラオラオラオラオラァァァッッッ!!」

「KILLKILLKILLKILLKILL――KIIIIIIIIIIILL!!」





 ……さて、とりあえず状況を整理しようか。

 まず、レヴィアタンを探す際に2手に別れた方が効率がいいという事で、俺と新入りはそれぞれ別々に行動をした。

 それでレヴィアタンを探していたら、妙な気配と共にいきなり地面から気持ち悪い色したエネルギー体の化物が現れたって訳だ。とりあえず邪魔だから蹴散らそうと思った訳だが……いきなり、サメのオッサンと機関車のオッサンが空から降ってきやがった。




「……おい、サメのオッサンに機関車のオッサン。なんであんたらがここに居るんだよ?」

「あぁっ!?そりゃ決まってんだろ……殺しても殺してもいくらでも湧いてくる敵ってのが気に入ったからだよっ!!
 ここんとこつまんねぇ依頼ばっかで暴れたりねぇからな……鬱憤はらさせてもらうぜ!!」

「DEATHDEATH!!」



 そんな事を叫びつつ、オッサン達は化物の群れを蹴散らしながら突っ込んでいく……よし、ここはあのオッサン達に任せておくか。下手に手を出してこっちにまで襲い掛かられちゃたまったもんじゃねぇ。



 それより、さっさと新入りの所にいくか。あの野郎、誰かと戦ってるみたいだからな……さっさと止めなきゃ、ここら一帯が消し飛んじまいそうだからな。











































『ぎゃああああぁぁぁぁっっっっ!?!?』













 その直後だった。

 どこからか放たれた無数の光線に、サメのオッサン達はエネルギー体もろとも巻き込まれたんだがな?いやはや、ガイア・サイバトロンにもあれ程の威力を持った兵器があるって訳か。




 ――なかなか、面白くなってきたぜ。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 はぁ〜い、ただいま絶賛放置プレイ中のレヴィアタンよ♪もう、さっきから身動き取れなくて困っちゃうぅ♪


















 ……………………………うん、やめよ。誰も反応してくれなきゃ面白く無いもの。

 というかねぇ……












「『フフッ……なかなか面白いね、君達はっ!!」』

「棒読み口調で笑われても、いまいち伝わりにくいがなっ!!」

『ほんと、むかつくからマジで死んでくれないかしら?あぁ、そうじゃないわね……今すぐ殺してあげるからおとなしくしてなさい。』

【いや、何こわい事言ってんのこの子っ!?後、俺の身体だって事忘れないでねお願いだからっ!!】










 ダーリンが“ Χ カイ ”と絶賛バトル中なものだから、ツッコミを入れてくれる人が居ないのよね。

 ……まぁ、ダーリンが“ Χ カイ ”の攻撃から私を守ってくれてるのは囚われのお姫様みたいな感じで嬉しいけど?

 そして、悪者を退けたダーリンと私は一緒にめくるめく官能の世界へ……


























































「――お前はいったい、何を言ってるんだ。」








 すると、私の身体を縛り付けていたロープが一瞬で斬り裂かれる。しかも、私の服には一切のダメージがなく。

 こんな芸当ができるのは……




「いったい何がどうなったらあんな格好でいることになるんだ……?」

「助かったわぁ、ハルたん♪」

「………………………………………むやみやたらに抱きつくな。そして、撫で回すなっ!?」



 案の定、私の後ろには剣を持ったハルたんが呆れた表情でこっちを見ていた。

 そんなハルたんに私は抱きつくと、思う存分その身体を撫で回す。ふっふっふ……そんな身体をしてるハルたんが悪いのよっ!?






 まぁ、ハルたんはスレンダーって言ったほうがいい体系だけど、その性格と合わせてなんともいえない魅力を引き出すのよっ!!

 …………むぅ、前より大きくなってるわね…………これは、マッサージが効いてるのかしら?



「な、なにが……ぅぅ……はぁ……ぁぁっ……だか……胸は止め……っっ…… いい加減に、しろぉぉっっ!?」

「あいたぁぁっ!?!?…………なによ、ちょっとしたスキンシップじゃない。」

「この状況でよくそんなことが言えるな……
 まぁいい、“ Χ カイ ”が奴を引きつけている今がチャンスだ。さっさと離脱してファントムアークに戻るぞ?」








 ぶっきらぼうにそう言うハルたんだけど、その言葉の裏には私に対する優しさが感じられる。事実、こちらに被害がこないように頑張っているとはいえダーリン達の戦闘は激しくなってるものね……


 うん、本当にハルたんはいい子よ。私が男だったら、惚れちゃってるし、ハルたんがダーリンのことを好きなら、一緒に頑張りたいって思うくらい。


 でも――




「悪いけどハルたん、それは……!?」



 けれど、その言葉を最後まで告げることはできなかった。































































「『残念ですよレヴィアタン先輩――こんな所で、あなたを失うことになるなんてね?」』





















――ナゼナラ、アカイイロニソマッタテガ……ワタシノムネカラツキデテイタノダカラ――














◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 ――目の前の光景が、理解できなかった。




 レヴィアタンが胸から血を流しながら、ゆっくりと崩れ落ちる。その背後には、フレイホークとついさっきまで戦っていたはずの“ Χ カイ ”が右腕を紅く染めて佇んでいる。








「…………“ Χ カイ ”…………お前は…………いったい何を…………?」

「『何って、裏切り者の粛清ですよ?ほら、僕達は悪の組織なんですから、そういう所はしっかりしな――」』


  なぜだ?なぜ、お前は……そんなことを笑って言えるんだ?


 次の瞬間、“ Χ カイ ”は凄まじいスピードで接近したフレイホークに蹴り飛ばされる。

 そして、フレイホークはそのままレヴィアタンを抱き抱える……すると、レヴィアタンの胸部には黒い包帯のようなものが巻かれ始めた。




「――くっ、傷が深すぎる。一刻も早く医療設備の整っている場所に連れていかねば……」

『貴方達は医療魔法を持ってないのかしら?』

「マスターの持つ医療魔法はあくまで応急処置レベルだ。時間稼ぎにしかならん上に――奴がその隙を与えてくれるとも思えん。」

「『――よく分かってるじゃないか。」』

 




 その言葉の通り――“ Χ カイ ”は無傷の状態で佇んでいた。もはや、私は何が何だか分からなくなり――





  「お、おいっ!!待……!?……力が……抜ける……?」

  『なっ!?』


「アアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッッッ!!」





 ――気がつけば、味方であるはずの“ Χ カイ ”へと斬りかかっていた。





「『あれ、ハルピュイア先輩も裏切るんですか?じゃあ仕方がない――あなたも、ここで死んでください。」』




 しかし、その刃は簡単に弾かれてしまい、カウンターの要領で右腕が手刀となって襲いかかってきた。そしてそれは、吸い込まれるように私の胸元へと伸びていく。








































 ――だが、私が痛みを感じることはなかった。


































「『……………………あれ?」』




 なぜならば、“ Χ カイ ”の右腕は――私の胸を貫くよりも早く、何者かによって斬り落とされていたのだから。

 そして、カチャリと何かの金属音が響き、衝撃と共に“ Χ カイ ”が横に吹き飛ばされる。
















『――ほんと、余計なことしてくれたわね……』



 ――そこでようやく、私は“ソイツ”の存在に気がついた。



 ダークブルーのアンダースーツに、紺色の鎧。目元にバイザーが装着されたフルフェイスのヘルメットからは、表情は一切読み取れない。

 なにより眼を引くのはその右手に握り締められたライフルで、銃身の下部に備えられたコンテナから鈍い輝きの刃が顔を出している。だが、ライフル全体にヒビが入っており、時折火花が飛び散っていた。

 そして“ソイツ”の脇に浮かんでいたのは――止血の施された、レヴィアタンだった。



『ハルピュイア、レヴィアタンを連れてさっさと逃げなさい。このままじゃ、あなた達も巻き込まれるわ――それは、ジンが望むことじゃない。』

「ヴェル……ヌス……?じゃあ、そいつは……フレイホーク……なのか?」

『そうよ。どこぞの馬鹿がトラウマを刺激するようなことをやらかしてくれたから、私の力に飲み込まれて……っ!?止めなさいジンッ!!それを使っては――』




 ヴェルヌスの声に耳を傾けず、フレイホークはゆっくりとライフルを“ Χ カイ ”が吹き飛ばされた方向へと構える。

 すると、上空から舞い降りてきた禍々しい光を放つ“ナニカ”がライフルへと突き刺さり、ライフルに入っていたヒビから強い光が漏れ出す。




 あれは、まさか……ユニクロンのプラネットフォースッ!?な、なぜフレイホークがユニクロンのプラネットフォースを……









「『――どうやら、僕も少しばかり本気を出さないといけないようだね。」』






 すると、ボロボロになった“ Χ カイ ”もまた、左手に“牙”のようにも見える、身の丈程の大剣を杖代わりにして立ち上がる。右腕は再生を始めているものの、動かせる状態ではない。




「『アインスアームド・ファングストライザー。そして、 プラネットフォース・アニマトロス、イグニッション。
  冥府の果てに沈め――ケルヴェロス・ファング!!」』












































 ――そして、禍々しい二つの輝きがぶつかり合い、私達は光に包まれた。












◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

















「なんだ、これは……っ!?」

「これが……ユニクロンの力とでもいうのか……?」






 ――目の前の光景は、想像を絶するものだった。

 地図上では湖があったはずの場所は、『穴』と呼ぶにふさわしいクレーターが出来上がっており、アンゴルモアエネルゴンの結晶が放つ輝きによって……まるで、地獄に誘い込まれているかのような感覚に陥ってしまう。

 

「……カオスプライム、アレを見よ。」

「……っ!?」



 ふと、ベクターメガトロンが指さした先を見て、俺は――始めての“恐怖”に包まれた。

 そこには――ボロボロになった、小僧のトランステクターと龍の姿をしたトランステクターらしき物体が存在していたのだから。



 まさか………………まさかっ!?









「……小僧っ!!」

「待て、カオスプライム!!」





 ベクターメガトロンの静止を振り切り、俺はクレーターの最下層へと突入していく。先程からバルゴラにも通信を繋げようとしているが、返事はない。







「小僧、生きているなら返事をしろっ!!小僧っ!!」

































 ――それから数分後、俺はそれを見つけた。



 ドーム状になった淡い紫のフィールド内に見える3つの影。そのうち2つは、ボロボロになって地面に横たわっている2つの影。




 そして、最後の1つは……銃身が吹き飛び、ヒビ割れたバルゴラを右手に持ち……それでも、後ろに横たわる影達を守るようにフィー ルドに手をかざしている影。

 そいつはゆっくりと俺へと顔を向けると、その手を下ろし……ヴェルヌスと小僧の姿に分かれると、ゆっくりと地面に倒れこんだ。





「小僧っ!!ヴェルヌス!!しっかりしろっ!!」






































 ――そして、俺は知らなかった。


















「ようやく、計画を第3段階へ進められそうだな……」



























それが、オワリを告げるハジマリだったのだと






(番外編その5に続く)







次回予告っ!





クレア「……えっと、何がどうなってるんですかっ!?僕達の方は勝利なのに、なんでジン君はボロボロッ!?」

イリアス「作者、ノープランで展開決めすぎだ!!どうすんだよ今後!?」

バルゴラ≪そして、本家とまとの拍手ネタを使いたいからって私を粉砕させないでくれるかっ!?非常に迷惑なんだがっ!!≫

ハルピュイア「……なぜ、私まで裏切ったような形になっているんだ?」

アルテミス「あれね、これを一言で表すとしたら…………なんというカオスって感じよね!!」

カオスプライム「いや、カオスにも程があるだろうがっ!?」



番外編その5「えくすとら・えくすとら〜守護者へ繋がる道〜」



あとがき


――どうしてこうなった、ぱぁとつぅかな?途中まで難産だったというのに、超星神ネタとかラストとか思いついて書き進めたら……なぜにハルピュイアまで離脱してるし?

あと、パワーインフレが激しいですね。本当にどうしてこうなった?ジンの設定は努力する凡人という感じだったのに、ASじゃあBONJINじゃないですか。

まぁ、今回出てきたジン+ヴェルヌスの新しい姿(本来の姿ともいうべき?)は封印確定ですね。いくら“ Χ カイ ”との釣り合いを取るためとはいえ、あれはヒドイ。

そして、今回ものの見事にぶっ壊れたバルゴラさんですが……えぇ、改修後の姿はもう決めておりますよ。某パニッシャーで決まりです。やったねジン!!ガンアクション楽しみだぜっ!!

もっとも、武器のデザインに惚れたから当てはめてるだけで原作ちゃんと読んだことないけどねっ!!(マテ

……という訳で、あくまで本作で登場予定の「バルゴラ・パニッシャー(仮)」は見た目こそ某パニッシャーですけど原作とは大幅にかけ離れた代物になるはずのでご了承ください。

それでは、今回はこの辺で失礼します。





管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 ノヴァストライカーが某超獣機神(二代目)な点は、まぁおいといて(苦笑)。

 

 レヴィアタンに続いてハルピュイアまで造反フラグ。まぁ、エロリストと違ってこっちはいい子なのでむしろウェルカム。このままダークコマンダーの下で苦労し続けるのは不憫すぎる。

 

 そしてコルタタさんちでいろいろあった結果粉砕されたバルゴラ……うん、がんばれ。
 それでなくてもこのシリーズ、本家も『とまコン』もデバイスの立場が強いんだから、ひとりくらい苦労する子がいなくては(生贄かい)。