「……それでヴェルヌス、何があった?あのハルピュイアとかいう奴はまだいいが……レヴィアタンという奴は胸部の傷が深く、小僧も昏睡状態。
 頑丈さが自慢の1つだったバルゴラに至っては、全体にヒビが入っている上に銃身が吹き飛んでいるという体たらくだ。」


「それに、気になる所は他にもある……そこにいる惑星ガイアの守り神が言うには、惑星ガイア全域に発生したエネルギー体はユニクロンのプラネットフォースにより暴走したアンゴルモアエネルゴンだという……
 だが、儂とカオスプライムはあの場所で 2つの プラネットフォースの反応を確認した。唯一目を覚ましたのが貴様である以上、否が応にも喋ってもらうぞ。」

「という訳で、キリキリ吐いて?」



 あの戦いから数時間後。意識を取り戻した私が運ばれたのは、ガイア・サイバトロンの面々が集結している会議室だった。


 カオスプライムとベクターメガトロン、そしてアルテミスが威圧感たっぷりにこちらへと質問を投げかけるけど……さて、どう答えたものかしらね?






 けれど、もう時間はないのかもしれない。

 私と“ 霊子融合 ソウル・ユニゾン ”したジンがユニクロンのプラネットフォースを使ってしまった今、プレダコンズの計画は再び動き出すはず……ならば、プレダコンズを止める為には協力者が必要だ。







「……そうね、私が知っていることを全て話そうかしら。もっとも、持っている情報が古いから今はどうなっているか分からないけどね……」













◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









「『――いやぁ、参りましたよ。ヴェルヌスが真の力を発動するなんて予想外でした。」』

「だが、レヴィアタンとハルピュイアを失ってもなお有り余る価値を得た……
 “ Χ カイ ”、君も消耗が激しいだろう?今は休んでおけ。ブラックアラクニアが医療カプセルを研究室に用意している。」

「『分かりましたダークコマンダー様。それじゃ、僕は失礼します。」』








 “ Χ カイ ”が艦橋を後にすると、私はブラックアラクニアが纏めたデータを眺める。

 ――覚醒したプラネットフォースはアニマトロス、スピーディア、ミッドチルダの3枚。チップスクウェアの修復にはまだ時間がかかるとして……あとはギガロニアと地球のプラネットフォースだけか。








≪けどさぁダークコマンダー様?ハルピュイアとレヴィアタンを切り捨てる必要はあったの?特にハルピュイアは、ようやくトランステクターの調整が終了したのに……≫

「気にする必要はないぞナビ子?なんなら、ハルピュイアのトランステクターは奴等にくれてやっても構わんさ……元々、あの2体は戦闘用に創った訳ではないからな。」

≪……どういう事?≫

「そもそも、“ 霊子生命体 ソウル・ファクター ”の運用テストを行うのならばファーヴニルだけでも十分なのだよ。事実、オメガルファーには彼の戦闘データを重点的に詰め込んであるからな。」

≪それじゃあ、ハルピュイアとレヴィアタンを創った理由は?あの二人も、戦力としてみるなら十分だと思うけど……≫

「それならば、わざわざ戦闘機人の技術を用いているのに女性型で創る意味はないさ。女性型での運用は既にジェイル・スカリエッティが確立しているからな。」






















 ――そう、ハルピュイアとレヴィアタンが女性型である必要性はたった1つしかない。

 ジン・フレイホークへの好意を刷り込ませることで、彼にとっての“枷”とすること。性格や容姿はブラックアラクニアの好きにやらせたが……基本コンセプトは、変わっていない。

 あわよくば、彼のトラウマを刺激することでヴェルヌスの覚醒を促せるつもりだったが……想定以上に効果を発揮したという訳だ。まさか、破損していたプラネットフォースを復活させるとはな……







≪……とりあえず、ダークコマンダー様は外道ということでおっけぃ?≫

「一応とはいえ私も“ 破壊神 ユニクロン ”の一部だからな……人権などといったことに興味は薄いのだよ。」




 ――さて、問題はここからだ。プラネットフォースの修復がある程度進んでいるとはいえ、肝心の戦力が心許ない。

 量産型TFやノイズメイズたち、ガジェット等の生産は進めているが――完全に戦力が整うには時間が足りない。となると――








「……タランス、調子はどうだ?」

『ウヒャヒャヒャヒャ!!どうしたっすかダークコマンダー様?こっちは言われた通り潜伏中っすよ?』

「……ガイア・サイバトロンの親善交流部隊はどうなっている?」

『あぁ、あいつらならアレっすよ?なんか上が動いているらしくて、機動六課に出向が決まったらしいっす。』

「そうか……ならば、次の指令だ。脱獄を手助けしてやったクロスフォーマーや、それなりに有能な傭兵たちに連絡を取り次いでおけ。資金ならどれだけばらまいても構わん。そして、ディセプティコンの監視も強めておけよ?」

『ウヒャヒャヒャヒャ♪なんか面白そうっすねぇ……何をしでかすっすか?』

「今はなにもしないさ。何事にも、タイミングというものがあるからな……」

『あ〜、そうそう。なんか最近、コソコソ動いている奴等がいるっすよ?そいつらはどうするっすか?』

「……一応、監視を放っておけ。こちらの監視にどう反応するかで利用価値が高まるからな……」

『了解っす!!』





















 そう、手駒はいくらでもあった方がいい――






























 私の計画を、実行するためにはな……












とある魔導師と機動六課の日常×魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜




とある魔導師と守護者と機動六課の日常・外典



Another strikerS













番外編その5『えくすとら・えくすとら〜守護者へ繋がる道〜』









◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








「…………ん…………ここ…………は…………?」




 気だるい感覚が身を包む中、私はゆっくりと目を開ける。視界には、真っ白な天井が映り込む。


 あれ、私ってどうしたんだっけ……




















「ようやく、目が覚めたみたいだな。」

「……ハル……たん……?」

「無理をするな。さっきまで医療カプセルの中で眠っていたんだからな……思うように身体が動かないはずだ」


 ふと横から声をかけられたので顔をゆっくりとそちらへと向けると、そこにはベッドの横に備えられた椅子に座ってリンゴの皮を剥いているハルたんの姿があった。

 …………その光景があんまりにもおかしくて、私は思わず吹き出してしまったけれども。


「……何がおかしい?」

「だって、ねぇ……?その格好、まるで普通の女の子みたいでとても似合ってるんだもの。ハルたんの魅力が存分に引き出されててびっくりよぉ?」


 ……そう、今のハルたんの格好はあまりにも普通だった。

 シンプルなデザインのTシャツに少し大きめなカーキ色のズボン。胸元にかかるくらいの長さである深いエメラルドグリーンの髪は、邪魔にならないようにと後ろで一括りにされている。

 けれど、そのシンプルさがハルたんの性格を絶妙に表現しており、妙なかっこ良さを発揮している。そういった点にハルたんは興味がなかったはずだから、この服装を選んだ人はいい目をしてるわね。

 普段のハルたんは、戦闘時に纏うアンダースーツのままで生活してたから……なんというか、ギャップ萌えって奴?



「……ほっとけ、私だって好きでこんな格好をしている訳じゃないさ。ここがガイア・サイバトロンの基地でなければ、いつもの格好で居るところだが……」

「うん、この機会にそれは止めて?ハルたんもいい素材を持ってるんだから、女を捨てるような真似は……って、ガイア・サイバトロンの基地?」

「そうだ。あまり認めたくないが、私とお前はプレダコンズを離反した形になるな……私は味方であるはずの“ Χ カイ ”に刃を向けてしまったし、お前は完全に裏切り者扱いされていたしな……リンゴ、食べるか?」

「……そうね、ちょっとお腹も空いてるし……ハルたん、あ〜ん♪」

「……………………ほら。」

「う〜ん、おいしぃっ♪」



 ハルたんにリンゴを食べさせてもらいながら、私は今の状況をおぼろげに理解し始めていた。まさか、ハルたんも巻き込んじゃうとはね……































 その後、実は私が3日も眠っていたということを知って驚いたのはご愛嬌なんだけどね?




 …………そういえば、ダーリンはどうなったのかしら?











◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆























『……さて、兄さん?なにか申開きはありますか?』

『さすがにねぇ、今回ばかりはメイルも怒ってるんだよ?もうお兄ちゃんの行動があれすぎて、怒りのスーパーモードになっちゃいそうだよ?』


「……申し訳、ありませんでした。」







 ――ジン君が目を覚ましたという連絡が入ったので医務室に直行すると、そこには空間モニターに対してベッドの上で土下座をしているジン君の姿があった。


 えっと……アイ、さん?これ、どうなってるんですか?


≪あ、ちゃん付けで大丈夫ですよ?ファイヤーマグナス以外にはそう呼ばれているの で、むしろそちらの方が慣れませんから。
 それと、あの光景についてですが……親善交流部隊として派遣されているジン君の妹さん達に連絡をしたら、ああなりました。≫



 ……あ〜、なんとなく理解しました。じゃあ、しばらくはあのままにしておいた方がいいかな?

 本当はお説教するつもりだったんだけど、僕の言いたいことは全部妹さん達が言ってみてくれるみたいだし……
































『さて、もう一つ兄さんにはお聞きしておきたいことがあります。アイちゃんからの報告によれば、嫁候補が3人も出来たとか……いくら一夫多妻制がミッドにあるとは言え、さすがに予想外だったんですが。』

『そういうことは、ちゃんと報告してもらわないとダメなんだよっ!!ほら、そこにいるお姉さんがお兄ちゃんの恋人なんでしょ?きちんと紹介するっ!!』

「ちょっと待て、嫁候補って何の話だっ!?あと、クレアさんとはそんな関係じゃないぞっ!?」






 ――あれ、僕にまで飛び火した!?というかアイちゃん、いったいどういう風に僕のこと紹介したんですかっ!?








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「……むっ、なんか面白いイベントを見逃した気がする。」

≪マスター、電波な発言はやめようよ。三十路前でそれは痛いって。≫


 うるさいわね、私はまだピチピチの20代よっ!?




















 ……少なくとも、あと3年はそう言えるんだからっ!!





≪いや、既に発言が年季を感じさせるんだが……≫

「やかましいわ己はっ!?」

≪……うん、相変わらずの通常営業だねバルゴラは。心配したお姉ちゃんが馬鹿みたい≫



 ったく、なんでこいつはこんなに元気なのよっ!?本当にここの設備で修理できないほどぶっ壊れた訳っ!?




≪ハッハッハ、日頃の行いがいいからだなっ!!≫

≪いや、どう考えてもジンの負担になってるからね?むしろ、完全に壊れちゃった方がジンの成長になるんじゃないかな?辛い別れを経験して、男の子は成長するんだよ?≫

≪姉上がいつも以上に辛辣な意見をっ!?≫


 それもいいわね……そして、失意に落ち込んでいるジンを慰めてあげて、はれて私はIKIOKUREを回避すると。


≪いやいやいやいや。クレアちゃんとかあの女の子たちとか居るんだから、マスターは身を引こうよっ!?ほら、レイオとか居るじゃん!!≫

「…………レムレース、マジで言ってる?あんな熱苦しい脳筋マッチョを好きになるような物好き、私は生まれてこの方姉貴しか見たことないんだけど。」

≪でも、マスターと同年代の男の人では貴重なフリーだよ?教導官やってるからお金には困らないし、ああ言うタイプは一度惚れた女はとことん守りぬきそうだし?≫





 ……まぁ、それは認めるけどさぁ……その『一度惚れた女』って部分に今でも姉貴が居座ってるから問題なんでしょうが。




≪ちょっと待て、なぜ私の話からアリスの恋愛事情へと変わってるんだっ!?≫

「ん?あんたが元気そうだから放置。」

≪いや、こう見えてもかなり重症だぞっ!?かろうじてAIの損傷は避けられたが、自己修復機能はうまく働いていないし、使い物にならない部分もたくさんあるしなっ!!≫

≪自慢なのそれ?≫



 ……ホントに、なんでこいつはこうなんだろうね?ちょっとばかしウザいんだけど。





≪……ともかくだ、自分で自分のことはよく分かっている。この損傷具合では、下手に修理するよりも新しく創り直した方が早いということにもな。≫

「はいはい、だったら師匠のところに持ってって創り直してもらうからジンとはいったんお別れしときなさいよ?」

≪だから、あっさりと流すなっ!?私の悲壮な決意が台無しではないかっ!!≫



 そんなこと言われても、どうしようもないでしょうが?今のあんたは戦力的にマイナスでしかないし、ジンもしばらくは戦闘ができるわけでもない。それに――























「心配しなくてもいいわよ?レムレースも一緒に創り直してもらうから、姉弟仲良くリニューアルしちゃいなさいっ!!」

≪≪……………………………………………………は?≫≫




 うん、この前読んだ武装錬金って漫画の『サンライトハート』って“ 突撃槍 ランス ”がかっこよくて?もうベタぼれなのよあのデザイン。で、ちょっとばかしアレンジを加えてヴィクター化した際の機構も取り入れたりして……もう、夢が広がりまくりね!!




≪……姉上、どうする?≫

≪ははっ、もう諦めるしかないよ。忠告しても、 聞いた上で突き進む のがマスターなんだから。そんなの、バルゴラも知ってるでしょ?≫

≪……まぁ、“ 突撃槍 ランス ”使いになったのは天命だったというのを改めて確認できたな。私たちには嬉しくないが。≫






 おいこら、お前ら失礼だな。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












































「へぇ……こうして見ると、この部隊ってそうとうハデにドンパチやってるみたいじゃん?」



「神様までブッ飛ばしてるしねー」







 ……どうも、ライオコンボイだ。




 現在、研修の一環で六課の過去の戦闘記録を見せてもらっている最中なんだが……チータスやラットルの言うとおり、この部隊、機動六課の戦歴はまさに激戦に次ぐ激戦、という表現がピッタリ当てはまるようなすさまじいものだった。







 山岳レールウェイを巡る初出動からしていきなり“JS事件”の主犯グループとディセプティコンを同時に相手取る三つ巴。その後も様々な勢力が入り乱れる中を、管理局サイドの中心戦力として最後まで戦い抜いている。



 無論、無傷で勝ち得た勝利ではない。戦いのたびに幾度となく傷ついているし、このミッドチルダの管理局地上本部を巡る攻防では主要メンバーのほとんどが重傷を負う惨敗を喫している。







 しかし……それでも彼らは勝利を掴み取った。



 多くの人に支えられ、復活しかけたトランスフォーマーの“神”のひとり、ユニクロンを討ち果たし、ミッドチルダを、全世界を守り抜いた。




 まったく……大したものだ。















 ………………そういえば、ジンもそのユニクロンとの最終決戦には参加していたと言っていたな。



 詳しいことは聞いていなかったが……研修が終わって向こうに帰ったら、本人の体験談を聞いてみようか。








「ライオコンボイ、その必要はないんだな。

 せっかくだし、ジンもこっちに呼べばいいんだな」







 そうか……ハインラッド、いいアイデアを思いつくじゃないか。



 こっちには友人である恭文が、そして何より彼にとって大切な姉的存在のはやてもいる。職場に呼ばれるということを差し引いても、ジンにとっていいリフレッシュになるかもしれないな。







「それ、一歩間違うとむしろトラブルフラグが集結するだけのような気がするんですけど」















 ………………スタンピー。そこはツッコまないでくれるか?







 うん……僕もちょっと思ってたから。

















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






『とまぁ、そんな話が出ていたんだが……ジンもミッドチルダに来る気はないか?メイルやライラも喜ぶと思うんだが……』

「あ〜、行きたいのはやまやまなんだけどなぁ……」





 ――あれから数週間が立ち、惑星ガイアには平穏が戻りつつあった。

 レヴィアタンとハルピュイアもようやくガイア・サイバトロンのみんなに慣れてきたらしく、今ではすっかり仲間として認識してもらっている。



 また、なんだかんだでクレアの故郷である移民船団との交流も進んでおり、1週間後には親善交流団が惑星ガイアを訪れることになった。

 だからこそ、俺達もその準備に追われている訳なんだが……そんな時に、ここを離れていいんだろうか?





















































「なるほど、ちょうどいいタイミングじゃないか。」

「うわぁっ!?」





 すると、いつの間にか後ろに居たプライマルコンボイの声で俺は驚いてしまう……って、『いいタイミング』?





「あぁ、実はな……交流団の中にはちょうどメイルぐらいの子供達も居るようなんだ。
 そして、各惑星のサイバトロンと交渉を重ねた結果……移民船団の子供達を、ミッドチルダへ招待しようということになったんだ。」

『なるほど……それは面白い考えですね。』



 ……つまりなにか、俺にそいつらのお守りをしろと?しかも、機動六課に連れてくの?




「まぁ、異文化交流は子供達にもいい刺激になるだろうし……君も、彼女たちとデートしてくるといいぞ?」

『……ジン、いつの間に彼女ができたんだ?』



 ……うん、プライマルコンボイ。そのドヤ顔やめてくれない?マジでムカツクんだが。





























 こうして、俺の……いや、俺達の機動六課行きが唐突に決まってしまったのである。


 はぁ……マジで勘弁してくれよ。またトラブルが起きそうなんだけどな……?






◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



























「うわぁっ!!すっげぇよ兄ちゃんっ!!本物だ、本物の惑星ガイアだぜっ!?」

「バド、少し落ち着けって……」

「でも、綺麗よねぇ……まるで、宝石みたい!!」






 スペースシップの窓から見える緑の惑星に、コビー達の興奮はどうやら最高潮に達しているようだ。まぁ、僕も内心はワクワクしているんだけど……あそこまではしゃげるのは、子供の特権なのかもしれない。



「けどさぁ、俺達の知り合いばっか集まってんのもすげぇよな。さっすがアレクサだぜっ!!」

「あら、なんのことかしら?」

「ハッハッハ、いくつになっても悪ガキ共は変わらんなぁっ!!」
 


 …………デバステイター、そういう風にまとめるのは止めてくれない?今回の件で動いてるのアレクサだけだから。


 けれど、僕の友人であるカルロスが言うことももっともだ。政府代表であるアレクサと、その妹のローリ。経験を積む為に、民間のメカニックとして僕とカルロス。そして、『偶然』モニターとして選ばれたコビーとバド、デバステイター。

 他にもスタッフは大勢いるけれど、その中に僕達が居るのは……きっと、アレクサがいろいろやってくれたんあろう。そうでなきゃ、こんな『偶然』ありえるはずがない。



「おっとガキンチョ共、そろそろ席に戻っておけよ?」

「うちの隊長は怒らせると怖いからな……」

「分かったよホットロッド、ドリフト。」



 もちろん、元々ガイア・サイバトロン所属だったスペースガードからも人員が派遣されている。TF部隊からは、今コビー達に話しかけているホットロッドとドリフト、他数名。他にも、ヴァルキリー(TFと協力して作業が行えるように開発された、可変戦闘機の総称)部隊が3チーム配備されている。

 そして、今回の親善交流団隊長は……
































「――諸君。少しだけ、私の話に耳を傾けてほしい。」






 ――艦長席に現れたのは、一人のTF。






「――かつて、我々の祖先達はあの惑星で生まれ、育った。
 しかし、ある災害を前にして……祖先達は故郷を捨て、流浪の民となるしかなかった。」





 真紅に染まったボディと胸部に輝くファイヤーパターンは、代々その『称号』を受け継いだTFにのみ許された証。






「だが、幾多もの時を経て、我々は再び母なる惑星に帰ってくることができた。そして、あの惑星には――災害を乗り越えてきた、同胞達が待っている」





 英雄の称号、ロディマスの名を受け継いだ『彼』の名は……ヒートロディマス。スペースガード部隊長にして、今回の親善交流団隊長でもある。










「――諸君の活躍が、船団で待つ仲間達の導となる。祖先の悲願を叶えるため、新たな世代への礎となるため、諸君の奮闘を期待する!!」
















 ――これが、ハジマリだったんだ。

 全宇宙の命運を賭けた大いなる戦い――そこに巻き込まれ、自分の意志で戦うと決めた――僕達の、ハジマリ。






(第二部に続く!!)







次回予告っ!



ラッド「という訳で、次回からは僕達が主役です。」

ジン「いやいやいやいや、一応主役は俺だからねっ!?W主人公ですからっ!?」

ラッド「冗談だよジン君。」


第13話「それは、新たな旅立ち?」



あとがき


 ――ひとまずこれにて番外編も終了、かな?なんかモリビトさんにキラーパスしてばっかりのような気もしますが……

 ジン達がミッドに参戦するきっかけをつくろうと考えたら、なぜか登場してしまったコビー、バド、ローリのGF主人公ズ!?

 そして、第12話のラストはもはや嘘予告状態ですね。バルゴラはいませんし、レヴィアタンは増えるし……バルゴラという最大の相棒が手元を離れているジンに活躍の場はあるのかっ!?


 ……まぁ、いざとなったらとまコン参戦時にはマスターコンボイとゴッドオンしてもらえば万事OKなのですがねっ!!


 という訳で、今回はこの辺で失礼します。































◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




おまけ:ムチャ振り促進計画ぱぁと1+メンバー確認用の小話




「という訳で、移民船団の子供達をミッドチルダへと招待することが決まったんだが……ジンと一緒にサポートに向かってくれる奴はいないか?」


「そんなことはもう少し早く言わないか普通っ!?」



 ……さて、移民船団親善交流団を迎えるための定例会議でプライマルコンボイが例の件を話したんだが……うん、カオスプライムの言い分はもっともだ。

 でも、それが通用しないのがガイア・サイバトロンなんだよなぁ……特に、プライマルコンボイ達は ノリ だけで物事を決めるクセがあるし……



「はいはいはいは〜いっ!!私行きた〜いっ♪」

「ムーンもだムーン♪」

「あなた達はダメ に決まってるでしょう!?お願いだから常識的に考えてくださいっ!!」



 ――当然のごとく、真っ先に手を挙げたアルテミスとムーンはビルドボーイに却下される。まぁ、当たり前だけどな?どこに自分が守るべき星をほったらかして他所に遊びに行こうとする神様が居るんだよ?



「……できれば、我々も辞退させてもらおう。身も蓋もない言い方だが、我々の存在は移民船団の面々にはいい宣伝になるからな……」

「という訳で、ファイヤーマグナス殿にも残っていてほしいのだがよろしいだろうか?」

「確かに、ファイバードやグランバードの言う通りだな……」


 
 そして、古代ガイア・サイバトロンの面々もアウト。クレアの話じゃ、ファイヤーマグナス達は伝説の存在的なものになってるらしいからなぁ……できることなら、全員居てくれた方がいいかもしれない。

 となると……



「あ、僕ももちろんダメだよ?オーバーホール中のものが多いから、つきっきりでいないと駄目なんダナっ!!」

「私もだな。一応ガイア・サイバトロン総司令官として常駐していなければならないし……」

「つまり、動かせる面子は小僧と俺にヴェルヌス、ベクターメガトロンに小娘共という訳か……」



 ……なんとか、なるか?レヴィアタンとヴェルヌス、ベクターメガトロンが心配だけどあとは常識的な面子だし……アリス姉は、バルゴラを修理するために一旦ミッドに戻ったしな……



「……ちょっと、失礼じゃない?」

「そーよそーよ、訂正を要求するわっ!!」

「いや、お前ら……少しは自覚してくれないか?」

「あら、私はレヴィアタンとは違うわよ?私は 自覚した上で引っ掻き回してるから」

「なおのこと悪いわっ!?」





「……まぁ、あちらでトラブルが舞い込まなければの話だがな?」




 やめろカオスプライム、それフラグだから。そしてハルピュイア、どうにかそいつら止めてくれ。






 ……って、ベクターメガトロンは何処に行った?とりあえず、メッセージを送っておくか。





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






「……ふむ、あのスペースジェットの姿もよかったが……やはりビークルモードは戦車でないとな。」



 新たに得た姿を確かめながら、儂は小僧から送られてきたメッセージに目を通す。 









 ……どうやってミッドチルダに赴こうか考えていたのだが……手間が省けたな。おかげで、もう一つの目的を果たすことができる。




































 ――『破壊大帝』であった者が『コンボイ』へと変わった者と、『真破壊大帝』を名乗る者……貴様らがどの程度のものか、この儂直々に見定めてやろうではないか。








 この儂、超越大帝ベクターメガトロンがな……?





(終わり)


管理人感想

 DarkMoonNightさんからいただきました!

 エロリストと苦労人、こっち側への正式移籍オメデトウ!

 と言っても、苦労人なお嬢さんにとってはあんま環境変わってないかもしれませんけど(訳:こっちに来てもブレーキ役)。

 

 そしてアリス嬢はランス使いへのジョブチェンジ(微違)フラグ……同じくランス使いのアリシアと組ませたらおもしろそう。

 IKIOKURE回避は……バルゴラの修復でミッドに来たみたいだし、ジン以外の誰かの争奪戦に参加するのも選択肢のひとつだと思います。

 と、ゆーワケで……マスターコンボイ辺りが一番競争相手がいなくて狙い目ですよ? 今のうちだけですけど(マテ