「ハァー、・・・まさかな。」
オレは今、困っていた。
「すこしムキになりすぎたかな・・・やっちゃったなー。」
提出書類を家の玄関に忘れたサラリーマンの様に。
育児に疲れた母親の様に。
浮気がバレ、必死に言い訳を考えてる熟年夫婦のごとく。
大きな背中を丸めて、公園のベンチに座るオレは。
「ど〜すっかな〜」
・・・ほんとに、困っていた。
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「あぁー・・・マジでどうするよ・・・」
オレの名前は、ケンタ/サクライ。
25歳でミッドチルダ在住の(元)管理局の科学者だ。
顔は中の上、黒髪で青色のシャツとべージュ色のスラックスに白色の白衣を羽織ってる、自分で言うのもなんだがそこそこ容姿だ。
けど今のオレは、昼間の公園でデカイ風呂敷をもってコーヒー片手に一人語とをつぶやき、たまに挙動不審な動きをしてる。
自分で言うのもなんだが、はっきり言って怪しい奴だ。
どの程度の怪しさかと言うとだ。
さっきまでこの公園で遊んでいた親子達が、まるでなにか可哀そうな人を見るようにして去って行くくらいにである。
だが今のオレには、そんな対面をきにしてられる余裕がなかった。
「・・・クビだよ、クビ、どーすんだよ。でかい見栄張っといて<さつき>になんて言い訳すんだよ、クソ。!!」
そうクビなのだ、オレは今自分の仕事場から放り出されたジ○ンプのマダオよろしく、公園で落ち込んだ気持ちの整理をつけてるのだ。
「そもそもさ、ろくに説明も聞かないでクビってなんだよ! 魔力がそんなに偉いかー、脳みそコンクリートかなんかでできてんジャネーーノぉ!!。」
そうなのだ、元をだだせば魔力上等主義の頭の固、時代遅れのロートル爺が悪いのだ。
「そうだ、元はといえばあいつが・・・。」
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コンコン!!
「・・・入りたまえ。」
「失礼します。」
「君は?。」
「自分は、時空管理局本局、魔導端末整備開発課のケンタ・サクライ二等陸士であります。<トロッコ>課長、新型デバイスの事で御時間を頂いてもよろしいでしょうか。」
「なにかね、私はこれでも多忙でね重要な案件でなければ後にしてくれないか。」
「ご心配なく管理局にとって必ず有益な話です、このデバイスはリンカーコアの無い非魔導師のたm・「あーイイからその話わ。」・・・え・・・。」
「いいか、良く考えろサクライ二等陸士。今この次元世界を守っているのは誰だ。」
「それは・・・今は魔導師です。」
「歯切れが悪いな、だがそう、次元世界を守っているのは魔導師だ。故に、リンカーコアの無い者が戦場に出て何に成るのかね、無駄死にするだけだよ。」
「そんなことは・・・」
「第一、エリート魔導師の集う(海)に急ごしらえの非魔導師に出てこられても邪魔なのだよ。」
「その為のデバイスです、それに訓練さえつめばAAランクの魔導師相手にも引けおとりません!!。」
「くどいぞ、サクライ二等陸士。それに何だ上官に向かってその態度は、おまけにAAランクに劣らないだと、バカバカしい。」
「事実をいったまでです、文句があるならこの書類に目を通してからでおn・」
「もういい、貴様はクビだ!。とっとと荷物をまとめて出て行け!!。」
「ちょm・」
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<サクライ>
「ちきしょー、ヤッパリ悪いはあの爺だ。説明くらい聞けよ、横暴だぞ!!。」
一通りの鬱憤をぶちまけ、ようやくスッキリしたとこでこれからの事を考えることにした。
・・・とわいっても・・・
「イイアンガウカバネー。」
・・・アーだめだ。
「こんなに悩んだのは、人生で2回、・・・いや・・三回だ。」
そうだ、一つはこのリストラ、二つ目が此処での居場所を作ったとき、最後は・・・
・・・この世界に来たときだ。
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昔のオレはどこにでも居る、すこし手先が器用なだけの子供だった。
友達とゲームや秘密基地を作って遊んび。
悪いテストを捨てたのがばれ母さんに怒られて。
隠してたエロ本が妹に見つかって避けられる。
ほんとうにどこにでも居、すこしマセタ子供だった。
小学校四年の夏に、家族四人で海外旅行に行くことになった。
オレは楽しみで、その日なかなか寝付けなかったことを今でも覚えてる。
でもこの旅行が、オレや家族の人生の分岐点だったのはまだ知る由もなかった。
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<サクライ>
「スゲーぇ、おい、見ろ<さつき>海だ、海だよ、海ダゼ。」
オレいま飛行機に乗ってる、生まれて初めて見る空からのこの景色をオレは忘れない。
いつかこの空を自由に飛びまわりたい。
ありふれた子供の戯言かもしれないけど、綺麗な空を見たらきっと誰れでも一度は考えることだろう。
そんな例に漏れずに、この景色を見たオレ自身そんな戯言を本気で思っていた。
「やめてよケン、あたしが高い所ダメなの知ってるでsイヤー。」
怖がりだなー、オレも最初は怖かったけどさ。
空へ飛び上がるときの遊園地のアトラクションとはまた違う、ドキ、ドキと高まる高揚感。
それを楽しんでると怖さもう無かった。
まあ、妹のさつきは極度の高所恐怖症だから、しかたないのかも。
もったいないな、こんなに良い眺めまのに。
「海なんて見ない、窓なんて見ない、うm・・・」
いつまでトリップしてんだよ。
「大丈夫、落ちたりなんてしないから。」
「・・・ほんとに?。」
「ほんと、落ちないし怖くないからね。」
「・・・ほんとに、ほんと?。」
「ほんとに、ほんと。」
「嘘じゃない?。ほんとに、ほんとに、ほんと。」
妹よ、少しは母さん信用しようぜ・・・。
「ははは、さつきは怖がりだな。大丈夫だよ、航空機の事故は交通事故よりも起こる確率は低いし、まず事故は起きないから安心するといい。」
「・・・それって、起こるかもしれないんだね。」
「あ、」
<<・・・・・・>>
「嫌だよ、怖いよ、高いのこわいよ・・・。」
親父のKY、なにしてんの、なにしっちゃてんの、なにやっちゃたの。
ダメだよ、せっかく落ち着いてたのに怖がらしちゃダメじゃん。
・・・それと妹よ、さっきから周りの視線がムズ痒い早く落ち着くか寝てくれたまえよ。
「大丈夫、大丈夫だからね、お父さんはバカなのね事故なんて起きないから。だから安心して怖くないからね。」
「・・・大丈夫、怖くないもん、外見ないもん!。」
「そうねさつきは強いもんね、高さなんかに負けないんだから。」
親父ザマー(笑)、そしてさすが母さん、あの情態の妹をこんなに早く落ち着かせるなんて、やっぱり母の愛は偉大だ。
「ハハハァ・・・、さつきは相変わらず泣き虫だね、もう小学三年なのにね。」
「泣かしたの親父じゃねー?。」
「・・・とんが悪い。」
「バカですね。」
「あれ、僕いますごいアウェイ?。」
そのあとみんな小さく笑い、談笑した。
目的地に着いたらなにをするか観たい建物や食べたい料理あるかとか、オレは笑いながら話してた。
この旅行で、楽しい思い出をたくさん作るそう信じて疑わなかった。
でもそれは長くつづく事はなかった。
航空機に乗って約三時間弱、あと数時間で目的地それは突然だった。
「・・・なんか揺れてない。」
「気にしすぎだよ、だいt・・・」
((当機をご利用のお客様、慌てずに、落ち着いて聞いてください。緊急の連絡でs))
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「お母さん・・・。」
「だいじょうぶ、大丈夫だからね。」
((当機はいmな、なんだ、あれh))
それは突然だった。
いきなり窓から強い光が注ぎこまれたこと思うと。その光に、オレの身体は吸い込まれていった。
「怖いよ、お母さん、お父さん、ケン兄・・・。」
そして薄れゆく意識の中で聴こえた、妹の泣き声がこの世界で聴いた最後の声だった。
管理人感想
ゴガルドバさんからいただきました!
スタート直後からいきなりマダオ状態ですか(苦笑)。
まぁ、回想を見る限り本人に非はないし……あんな上司じゃ誰もついてこないわなぁ。
とりあえず、現時点で言えること。
お義兄さん、妹さんをオレにください!(マテ