<一般/武装隊員>





カァンー、ガィン、キィイーン、




「すごい。・・・」


それしか言葉がでなかったオレは夢でも見てるのか、最初はそう思った。



カァンー、キィイーン、



でもこの演習ホールに響く音が、繰り広げられる光景が、ここは現実だと教えさせる。



カァンー、ガィン、キィイーン、ガィンキィイーン



「凄いよレジアス、想像以上だ。」



奥でサクライ大尉が叫んでいるが想像以上?。

そんなバカな、オレからしたらこんなの夢物語の話だ・・・

オレはこの勝負、もって三分と思っていた。

それがどうだ蓋を開けたら全く違う。




キィイーン、カァンー、ガィン、キィイーン、ガィンキィイーン



ああ、オレは日を忘れはしない、忘れることは出来ない。

この瞬間を。歴史的瞬間を。オレはこの日を忘れない。




魔力はもう絶対じゃない。




この時、オレを含めた武装隊員の心に熱い何かが灯っていた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・


<レジアス>


「これがG3か。」


G3を直にみた私の感想は虫人間。

全身を包む青い装甲に大きな赤い眼、頭部のアンテナは触角のようで、これだけでも虫人間と思うのには十分だろう。

そしてG3を着込んだ私に、ケンが通信を入れてくる。


「どうだいレジアス、G3の着心地は。」

「悪くない、想像よりもずっと軽い。」


この重装甲だ、もっと重いものだと思っていたが。


「それは結構、だけどこんな物じゃない、驚けレジアス、G3起動。」





ギィィィィイ___________________






「なんだこれは。」




起動音がしたと思うと、G3の中を何かが高速で駆け巡るのが分かった。

だがそれだけじゃない。


「軽い、まるで羽のようだ、それでいてこの力強さ。」


吹けば飛ぶ軽さではない、重量から来る力強さでもない。

それは駆け抜ける軽さ、自分が戦場を駆けるための羽。

それは大樹のような力強さ、自分が決して倒れる事無く、か弱き者を護る事のできる大樹の根。

私は身に纏ったこの青い鎧に、高まる高揚を抑えることが出来なかった。



「ははは、驚いたかレジアス、いまG3の中で駆け巡っているのが魔導炉から流れる魔力だ。G3は装甲内に魔力を流す事で、魔道師の使う身体強化の魔法と似た効果を再現しているんだ。」

「なんと、これが魔力だと。魔道師はこんな力をあたりまえの様に使っているのか。」



私は高揚した気持ちが冷めていく気がした、自分が手に入れ興奮した力を魔道師達は誰もが使える初歩魔法だと言うのだ。



「おいおい、まさかG3の力が初歩魔法程度しかないと思ってますか、そうですか、そうなんですか、悲しいなレジアス。」



だがケンは私が沈んでいたのが分かるのか、声をかけてくる。

一見馬鹿にしてるかに聞こえる、声は自信に満ちていた。

オレを信じろとG3を舐めるなとゆう気持ちが、再び私を昂らせる。



「あくまで魔法と似た効果だ、G3のそれは唯の魔法とは別物だ。」



その後に、G3の武器や兵装に付いての説明をされ、分からなければあとは自分で動かせとのことだ。



「まあ動かしていれば分かるよ、で、そろそろ行けるかいレジアス、外で魔導師さんが待ってるからさ。」

「先に起動テストはしないのか。」



私は疑問思ったことを訊いた、万が一の事が起きたら笑い話にもならない。



「そのへんは大丈夫、今朝起動実験は済ませたからね。」


まぁ、おかげで病院に担ぎ込まれてしまったけど。


そう笑って話すケンだが、笑い事ではないと思うのは、私だけだろうか。

兎に角、起動実験は問題なしという訳か。



「そういうこと、でも実戦はこれが始めてだから期待してるよ、G3と、レジアス少将には。」

「任せておけ、ワシ達のG3を、その力を見せ付けてこよう。」



共に証明しようG3、我々も戦えるのだと、もう魔力が全てでわないのだと。

演習場に出て私を待っていたのは、ターゲット・アンカーと新人の陸戦魔導師が二人、おそらくまだ何人か隠れてるだろう。



『あ、アー、テス、テスてすー、外の皆様方、聴こえますか〜モーシモーシ。とりあえず、実戦テストの内容を言うよ。制限時間は十五分、それまでに魔導師を五人倒すことことだ。』



まったく、緊張感のない奴だ。もう直ぐ起動実戦だというのにだ。

この場面で声だけ聞けば、初対面には唯のバカにしか思えんだろう。



『あと、レジアス。G3の細かい動きや、アクション、システム・ギミック、魔導炉、AMFの稼動グラフや戦闘じのデータが見たいからさ。アンカーの配置や、魔導師の人には、意地の悪い配置や作戦を立ててもらったから、その積もりでね。まぁ、起動実験を済ませて安全だからさ。』



・・・いや、こいつはバカだ、バカなのだが



「おもしろい、G3の初舞台に相応しい。」



この様な事を思い言葉にするあたり、私もバカなのだろう。



『準備は良いかい、え〜これより、G3の実戦テストを始める。カウント3』




その声で魔導師達が杖を構える。







私も目の前に居る魔導師達を相手に、握り拳を作る。







そうして私とG3の戦いの歴史が




『GOooooo!!』




今、始まったのだ。





・・・・・・・・・・・・・・・・




開始と同時に魔導師数人が狙撃魔法を放つが、私はそれをかわしながら魔法を放つ魔導師に迫っていく。



「狙いが甘い、そんな攻撃では私は倒せんぞ。」



私は近づいた魔導師に右フックを叩き込む、喰らった相手は二回ほど回転しながら倒れた。

それを確認した私はもう一人の魔導師下へ向かう。



「クッソ、何で当たらない。」

「言ったはずだ狙いが甘いと。それ、ボディーがら空きだ。」



魔導師とアンカーの張った弾幕を潜り抜けた私は、相手の腹に左ストレートを打ち込む。



「プ、プロテクション。」



相手もG3の攻撃を防御魔法で防ごうとするが、魔力の練りが甘いのか。G3の左拳はプロテクションを貫き、吸い込まれるように魔導師の腹に打ち込まれる。



「この距離なら。」





ズガガガガガァァァ_______________






倒れた相手をそのままに、近くのアンカーをG3の基本武装で唯一の遠距離兵装、GM-01スコーピオンで破壊していく。

武器や兵装の説明は訊いたが、スコーピオンは射程距離はそれほど長くないが、Bランクの魔法弾を連射することが出来る。

私も含め、今の管理局員はミッドチルダや管理世界の出身者が大半を占める。

故に質量兵器が禁止されてから魔導師以外ではこういった物を使うことが殆どないと言える。

だからこそ私でもそれなりに扱える、スコーピオンの連射機能はありがたい。

走りながら連射されるBランクの魔法弾、これは相手が魔導師でも脅威だろう。

全てのアンカーを撃破した私は、残りの魔導師を探しに、立体映像のビルの中へ向かう。





・・・・・・・・・・・・・・・・・














ズガガガガァァァ____

ダダダダだだダダッァァァァアアアアァダダダダアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ____




「チィ、鬱陶しいぞ。」



私はいま、ビルの展示ホールの入り口でアンカーの大群と銃撃戦をしている。

訓練用/アンカーは単体ではさして脅威ではない、それでも非魔導師から見れば脅威だが。

それでも魔導師ならば、低級狙撃魔法の一発や二発で破壊できる。

それは私とG3でも同じだ。

しかしアンカー自体も低級だが狙撃魔法を使ってくる、確かにG3の外面装甲にはAMF(アンチ/マギ/フィールド)が微弱だが機能している。

E〜Dランクの魔法なら多少喰らおうが問題はない。



「だがこの数では。」



しかし数で来られるとそうも行かない、確かに二/三発なら問題はないく無効化でるが絶対じゃない、正面から来る秒間数十発もの魔法弾は無効には出来ない。

いくらG3が魔法を無効化しても処理が追いつかないためだ。



「どうする・・・?なんだ!」



私が打開索を考えているとG3のハイパーセンサーが正面やや上空から、今までとは違う高速で迫る魔力を感知した。

正面にはアンカーの大群が展開し、もしこれを回避してここを動けば直ぐにハチの巣になるだろう。開放された空間で隠れる場所はここだけ。

この状況では避けれない、避けれないが



「避けれないなら、ば喰らうまで。AMF/フルドライブ。」

『amf/overdrive』



迫る魔法弾に、私はG3守りの切り札をきる。

フルドライブとは、G3の外面装甲に展開されてるAMFに一時的に魔導炉から魔力のバイパスを増やし、AMFの質力を上げる。

その後数秒はAMFを展開出来ない、フルドライブの展開中は動くことも出来ない。

いわば軽いドウピングだがAAAランクの砲撃をも防ぐことができる。

G3の最大の盾である。




キイイイイイィィィィイイィィィィ_______________________





けたたましい起動音と共にG3の周りを青白い魔力が包み、おそらくAAランクは在るであろう魔法を打ち消していく。

攻撃に耐え切った私は、魔法弾を撃ったであろうの方へ目を向ける。



「・・・二階のフロワーに二人、一人はミッド式か?もう一人はベルカの見習い騎士か。」



視線の先には、奇襲が失敗した事で動揺したミッド式?魔導師を、その護衛なのかベルカの見習い騎士が庇うように前に出て構えをとっていた。




「ここからフロワーまでの距離、凡そ三十メートル・・・いけるか。」



私はG3に魔力を極限まで流し込みアンカーの張る弾幕を見極め、そのまま地面を蹴る。

瞬間、蹴った地面は割れ、土煙は舞、G3は一瞬で十メートルもの距離をつめた。

ここまでの距離わずか一歩。

何発かアンカーから、魔法弾をもらいながらも、そのまま第二歩めで地面を踏み砕き。

アンカーの大群を飛び越え、魔導師達がいる二階のフロワーへたどり着く。

最初の一歩からここまでかかった時間、わずか二秒。

これがG3の初期装備にしてG3最強の攻撃兵装である、それは身体強化に拠るG3の接近戦だ。

初めて聴いた時は何を言っているんだこいつはと思ったが、なるほど、確かにこれは最強の攻撃兵装だ。

普通の身体強化では超える事の出来ない領域、生身の体では決して耐えることの出来ない身体強化の極致。

魔力を流せば流すほどに装着者のポテンシャルを上げる。

もはや肉眼では捉えることが出来ない速度で動いても、G3のハイパーセンサーが全てを鮮明に映すのだ。

これが量産されれば世界は、ミッドチルダは確実に変わるだろう。

今の私はG3をまだ使いこなせてはいない、だがや必ず使いこなしてみせる。


「ザッパー。セイアァー。」


ザアアァァァァー


「ムン、ハァア。」


騎士の放つ斬撃を下にしゃがむ事でかわし、スコーピオンで騎士と魔導師の腹を打ち抜く。

騎士と魔導師はプロテクションで防ぐが問題はない。

一瞬とはいえ動きを止めた騎士を殴り飛ばす。

意識を持っていかれた騎士は倒れ、私はそのままおくの魔導師へ向かい突き進むが。


「プロテクション。」


驚くことにG3の接近に気づいた魔導師は、プロテクションの上に更にプロテクションを張ったのだ。

G3の拳は少女の魔法に難なく防がれてしまった。


「多重防御魔法か。」

「そうです、レジアス少将。」


多重防御魔法は、魔力のコントロールが難しく扱える者が少ない魔法の一つだ。

この少女、確かクイントとかいったか、ゼストめいい部下を持ってるな。

だか、私は立ち止まる訳にはいかない。それは即ちG3の、私達の負けを意味するのだ。


「どんな障壁も、撃ち、貫くのみ。」

『amf/pinpoint landing』

「え、」


ゆえに、私は攻撃の鬼札をここできる。

魔力を右手の拳に集めAMFを部分展開、そのまま纏い解放する技。

AAランクの障壁も突破する事の出来るG3がもつ最強の攻撃兵装による接近戦からの、最凶の攻撃手段。




「ナックル・スティーク。」

『buster』




青白く輝くその拳が、少女の張る多重障壁を撃つ崩しG3の拳は、少女の胸を打ち抜いた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




<サクライ>





・・・あれ。




ちょっと、レジアスさん、強すぎじゃない?。


可笑しいなー、予定だと制限時間ないに終わるか、終わらないか、っていうぐらいに難しい内容のつもりだったのに。


レジアスさん、ほんとに人間ですか?。


まだ五分も立ってないじゃんよ。

データもまだ半分しか取れてないしさーもっどーするよ、まったくウー。



「ケン、少し良いか。」

「あ、なんだいゼスト改まっちゃて。」



急に話しかけてきたゼストに振り向き訊ねる、



「頼みがある。」





オレはゼストの話しを聴いて思った、これはつかえると。



・・・・・・・・・・・・・・・


<レジアス>


少女が倒れたのを確認した私は、最後の魔導師を探すべく。

ビルの中をハイパーセンサーで調べて回るが、なかなかに見つけることが出来ないでいる。

ここに居ないとなると外か。

私は、遭遇したアンカーを破壊しながら来た道を辿り。先ほどまで少女達と戦った二階のフロワーへ戻ってきた。


「まだここにはアンカーの大群が居たな。」


まぁ、ここからなら然程困ることはない。

そう思いまだ一階のホールに居るであろう、アンカーにスコーピオンを向けようとしたが



「・・・どうゆう事だ、これは。」



私の前には残骸と化したアンカーの山が出来ていた。

だれがしたのか、私が思考していると


「待っていたぞ、レジアス。」


私のよく知る声だ聞こえたのだ。


「ゼスト、アンカーを片付けたのはおまえか。」

「そうだ。」

「今はG3の戦闘テスト中だが何をしにここへ来た。」


私は彼が何故ここに来たのか聴いた。



「言ったはずだG3の力に興味があると。」



そして帰ってきた答えは、



「俺はなレジアス、おまえと戦ってみたい。」



なんとも子供っぽい理由だった。


「ははは、」


私は笑ってるだろう、その理由が可笑しいからじゃない、嬉しいのだ。

あのゼストに、私はに戦うに値する男だと言われた気がしたからだ。

ああそうか、私は憧れていたのかSランクと言う絶対なる強者に。



以前の私はどこか後ろ向きだった。

私が使うことも出来ない魔法を使い、前線に出て守るべき市民を守ることのできる親友ゼスト。

人海戦術、罠、奇襲、使えるものは全て使う事で、質量兵器を持った犯罪者を制圧でる、だが相手が魔導師なら足止すら出来ない。

質量兵器が禁止されてなければまた違っただろうが、それでも魔法には敵わない。

持つ者と、持たざる者の、絶対的な違い。

親友とはいえ・・・いや、親友だからこそ対等で居たかった。



そんな理想のヒーローに、ゼスト・グランガイツ、という男に。

理想のヒーローに認めてもらった、今のレジアス・ゲイズが。

堪らなく嬉しいのだ・・・



「・・・許可は取ったのか。」

「ああ、ケンもG3のデータがまだ半分しか取れていないらしい。直ぐに申し出を受けてくれた。」

「そうか。」








ならばもう何も言うまい。

そう、今ここのあるのは唯の意地の張り合い。







「ゼスト隊、隊長。ゼスト・グランガイツ。」







奴の目が語る、

今のお前と俺、どっちが強いと。

この俺に勝てるのかと。




「もと武装隊員。レジアス・ゲイズ。」







勝てるさ、今の私なら。

G3となら、たとえ理想にだって負けない。

戦える、必ず勝つ。
















私達が笑うのは、きっと楽しいからだ。

















「行くぞ。」

「こい。」




















親友との、戦いと言う名の遊びが。





 


管理人感想

 ゴガルドバさんからいただきました!

 G3強すぎ。いや、むしろ体術面でレジアスさんがすごすぎるのか?
 いずれにせよ、かませ犬で終わった魔導師のみなさん、お疲れさまでした(チーンッ。って、殺すな殺すな)。

 そして続くはゼストとの親友対決という燃える展開。
 うん、これは当然の流れですね。レジアスもゼストも基本脳筋だしなぁ(マテ)。