まもって守護月天! 外伝〜THE LOST KINGDOM〜


遥かなる古代。
人類は現代の人間達よりも遥かに優れた文明を持っていた。
それを証明するものは、岩石に埋まった金属ねじ、金属製の遮光器土偶といった 場違いな遺留品オーパーツと呼ばれるものである。
その中には、現代の科学技術では到底製作不可能な戦闘能力および、航行能力を持った船もあった。
人はそれを、失われた超文明の船――遺失戦闘艦ロスト・シップ―― と呼ぶ・・・・・・・・・


プロローグ


どこからか戦いの音が聞こえてくる。
実際には彼らが陣を構える、すぐ近くから聞こえてくるのであるが。
「我が親衛隊がこうも容易く抜かれるとは・・・・・・・・・」
茶色の髪をした少年が、群がる敵をなぎ払いながら呟いた。
「それほどまでに平和だったって事でしょう」
銀髪の少女も同じように敵を倒しつつ、答える。
「そうかもしれないな」
(国が平和だと戦士達が脆弱となり、いざというときに役に立たなくなる。 皮肉な話だ・・・・・・・)
「光よ、我が手に集い、眼前の敵を撃ち滅ぼせ!」
少年の身体が眩しく輝き、その光が上空へと昇っていく。
「光龍撃滅破!!」
その光が龍の姿へと変わり、少年達を囲む敵を焼き払った。
「ぐっ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
少年が突如として膝を折り、大地に崩れ落ちる。
「大丈夫ですか!?」
少女が慌てて駆け寄り、少年を抱かかえる。
「すまない・・・・・・・大丈夫だ。 やはりこの技は身体にかかる負担が大きいか・・・・・・・・・・」
「この場は引いてください。 また次の機会を待ったほうが・・・・・・」
少女が心配そうに言うが、少年は首を横に振る。
「いいや、俺は引かない。 たとえこの命と引き換えにしても『やつ』を封印しなければならない。
ここで引けば次の機会があったとしても俺達が勝つ事が出来なくなる。 『封印の鍵』は俺の手の中だ。 勝てずとも、引き分けにはして見せようぞ」
少女に少年は毅然とした表情で言う。
「でも・・・・・・・・私は・・・・・・・・・・」
悲しそうに自分を見つめてくる少女の頬にそっと手を触れ、彼女を安心させるように微笑んだ。
「大丈夫だ。 俺だって最初から負けるつもりはない。 どんなときでも勝つつもりで戦う。 それが俺の、いや、俺達の信条だろ?」
少女の心配を少しでも軽くしようと、わざとおどける少年。
そんな少年に、少女もぎこちなくはあったが笑みを浮かべる。
「そうですね。 そうやって私達は今までそうやって勝って来ましたものね」
「ああ。 それで、君には頼みがあるんだ」
「頼み・・・・・・ですか?」
真剣な顔で、少年の次の一言一句を聞き逃すまいと、真っ直ぐに見つめ返す少女。
「この戦いが終わったら、十三騎士としてではなく、一人の人間として俺と一緒に暮らして欲しいんだ」
「・・・・・・! 私で・・・・・・良いんですか?」
突然の告白に、瞳を揺らしながら少女が聞き返した。
「ああ。 君でなければ駄目なんだ」
少年はそう言うと、少女を抱きしめた。
「ええ・・・・・・私でよければ・・・・・ずっとあなたのお傍にいます・・・・・・」
僅かな時間、二人には周りが静かになったように感じられた。
「よし、行くぞ! 最後の戦いに!」
「はい!」
そして二人は戦場へと駆け出していった。
どれほどの犠牲払うことになるのかも知らず・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・