世界の狭間にある研究
「本当にそんなことができるの?」
ナイフを腰にさした黒髪の少年が、研究者のような白衣を着た青年に問いかける。その声は不機嫌な感情が、多分に含まれている。
「可能だ。お前たちの技術でも、理論上なら可能な話ではあるだろう」
青年はそれを気にした様子もなく、返答返す。その手はキーボードとマウスに置かれているが、ほとんど動いていない。時折、気付いたかのように動く程度だが、それも僅かなものでしかない。
「技術的な話ならそうだけど……費用や資源以前に完成までに、時間が掛かりすぎて、終わることには最初の部品が使えなくなってると思うよ」
少年はそう言って、青年が入力したデータを確認する。が、すぐに顔をしかめてため息を吐く。
「なんで、こんな古い公式なの?……や、説明しなくていいけど」
そう言ってから、もう一度ため息を吐く。青年は面白そうに喋りだす。
「まあ、気にしても意味はないからな。それよりも、決断はどうする?未来にて希望を探すか、現在にて希望を掴むか、仲間やあいつらと一緒に――過去にて悲劇を無くすための手を打つか」
青年はペンを振り、少年にその先を突きつけると、再びキーボードに手を戻す。
「断っても意味はないんでしょ。なら、僕もフィアたちと一緒に行くよ」
その言葉に満足したらしく、青年は別のデータを呼び起こし、そこに少年の名前や年齢などの情報を加えていく。
「持っていくものを決めろ。武器なら、いずれ手元に置けるようにしてやる。それ以外は、そのうち送り届ける」
青年からの指示に少年は少し、考えてから口を開く。
「ナイフなんかの僕が使ってた装備と……できれば、自己領域の組み込まれた小型の騎士剣がほしいかな。あとは、出来る限りの私物やデータがほしい」
少年の言った持ち物に少し、眉をひそめながら、青年はデータを書き加えていく。
「了解した。行け、『原型なる悪魔使い』」
プロローグ『渡り来る少年と……落ちてきた少女?』
第97管理外世界――現地、惑星名称「地球」
その極東の島国、日本。ここは、その中の海鳴という町。
ここに、高町なのはという名の少女が居る。
つい最近、非日常的な世界に身を置くことになり、その世界においても圧倒的な才能を持つ少女。
家は喫茶店を営み、父と義理の姉の家系は古くから続く剣術の一門だが、少女は剣術に優れているわけではない。
ただ、今では廃れつつある剣術のそれ以上に異質な、魔法における才能を持っていた。
その才能のおかげで、別世界の友人や先生などが出来たりもした。
その才能を発揮して、全力全開の決闘をしたりもした。
詳しくは分からないが世界の危機に立ち会ったりもしていたらしい。――しかし
空から人が落ちてくるという事態は、流石に冷静に対応できる範囲のことではなかった。
「……
…………
………………
……………………な、なんで女の子が落ちてくるの〜!?」
《Calm down,master(落ち着いてください、マスター)》
なのはは自身の相棒たるインテリジェントデバイス『レイジングハート』の声に、少し落ち着きを取り戻したらしく、深呼吸をしている。そして、結論は――
「高いところに上って、両手で受け止めればいいんだよね?」
某天空の城の映画でもやってたよね?などと考えたりもしているあたり、やはり落ち着いてなかった。
そして、ここまで掛かった時間が問題を生んだ。
よく考えてみてほしい。自身の上から物が落ちてくる。この時にすばやく反応せず、そのままだとしたらどうなるかを。
結論――
なのはは少女に押しつぶされて、気を失った。
異形の自然に守られた地下施設
「さて、彼と共に運命に導かれたのは、雪の少女……か?容姿としてはそうだが、なにかおかしなところがあるような?まあ、気にしても意味はないかな。この世界では、多少の超常現象には目を瞑らなければやっていけないからな。狐が雷を落としたりとか、至近距離の銃弾よける剣士とか、国家資格発行してるスパイとか、ドジなメイドロボットとか、幽霊とか、妖精とか」
そう呟くのは学生服を着た少年。眺めて居るのは流れる数値。
「あ、また処理系にバグ……『ナノ』の覚醒までに間に合うかな?まあ、覚醒しないのが、一番といえば一番なんだけどな」
それは無理そうだしな、と言って修正コードを入力する。
「今回の相手はやっかいだからな。たとえ契約があっても、人間として生まれて、それまで生きている以上は限界があるからな。……そういえば、今5歳だっけ」
少年は修正が終わったのを確認して、プログラム確認コードを入力する。
「まあ、なるようになるかな。あやや?『花嫁』のプログラムに異常がでてるな」
やっぱり、古代の遺産は再現が面倒だな、などと言って再度、修正コードを入力する。
第108管理外世界――そのとある木の上空
この世界は今現在、特殊な状況にある。
それなりの家柄の子供が一つの街に集まっていたり、異形が出現したり、ロボットが出現したりなど多々あるが、今回語りたいのはそんなことではない。
率直に言うなら、よく分からない少女が空から降ってきた。ここまでも、まだいい。問題は――
見た目が12歳ほどのその少女に、炎のブレイカーにしてフラグジェノサイダーの柾木ジュンイチが一瞬でも見とれてしまったということだ。
初めて目にした瞬間はそれこそ暴走しそうになっていたが、周囲の仲のいい少女たちに吹き飛ばされて、とりあえずは事なきを得た。
原因を探ってみたらなんとも単純で、体の中に異常な物品がこれでもかというほど、無理矢理に押し込められていたからである。その相互効果や相乗などの影響で多角性で強制発動型の魅了が発生していたらしい。なお、本人は暴走したジュンイチを見たショックで、中途半端な記憶喪失になってしまっているが、元は男だったこと、便利屋のようなことをしていた覚えがあること、師匠や妹分、義姉に周囲の人間のせいでこうなったこと、平行世界がどうとか言うことが理由だったような気がするなどを語ってくれた。
余談だが、現在の一番の目標は、「男性に戻ること」と断言していた。
ジュンイチの暴走も最初以外は起こらず、少女は柾木の家に下宿することにした模様。
なお、これを知ったとき、何人かの女性が暴れたり、驚いたり、喜んだりしたらしい。
闇に包まれた海の上の虚ろなる影の館
「そうですか。……はい。……いいえ、始まったなら異議はありません。元より乗り気ではなかっただけで、計画に反対していたわけではありませんから」
今ではあまり見かけなくなった黒電話を使って会話をしているのは、この世界の唯一の住人であり、この館の主、この世界を統べることを定められた全能なる少女。
「ええ、こちらからも式を送り、頃合を見て向かいます。……あ、そうでしたか。すみません。……そ、それは流石に……確かにご飯はなくても生きていけますが……生活の彩が…………私の至福の時間が………………ああ、ありがとうございます。そのくらいなら、残ったお金でお米が買いにいけます」
喋っている内容は威厳にかけるが、彼女は紛れもなく創世神に等しき存在であり、この世界の全てを抱える存在である。
「はい。それでは計画通りにHiMEを目覚めさせれば良いのですね。あとは……え、誓約者ですか?確かにリィンバウムを探せば、見つかるでしょうが、私はそこに語りかける事は出来ても、確実に協力して貰う事はできませんよ。界の意志と勝負するのは遠慮したいですしね。……あれ?」
彼女は言ってから、ふと気付いたように声を上げる。
「そういえば、誓約者ハヤトへの依頼は失敗したと連絡が……え、平行世界?アヤさんの方ですか?あの召喚に優れた誓約者でペーパーナイフにこだわりがあるとか?……それに調律者のマグナさんですか?トリスさんには会ったことがあるんですけど、マグナさんはまだ一人も会ってませんね。……失敗したら、乙女の丘の女王様や影の女帝たち相手に援助の交渉!?やめてください!失敗したら、たまごも買えません!」
異相世界の森
ここは少々特殊な力に満ちた場所。
というのも、しばらく前まで十を越える特殊な式神たちとその生みの親が暮らしていたためである。今では、そのほとんどがバラバラであるが、生まれた場所でもあるここには多くの力が残っている。
今残って居るのは式神の生みの親にして、陰陽界と魔法界にその名を轟かせる『式神の王』ユウ。本人は異名はともかく、ユウという名前は偽名なので、最近は恋人から貰ったレンという名前を使うようにしている。
そして、もう一人。ユウ――レンの元・式神の一人であり、レンに生み出され、ここで育った式神たちのお姉さんを自称し、自らの想いを集め、自分の心と魂を手にすることをかなえた異例の式神の先駆者として知られるレンの恋人『白き舞姫』銀。ある意味で、レンよりも有名ではあるが、彼女はそれに関しては、想いが実った結果のおまけと考えているようでもある。
しかし、今日から一時的にその二人も居なくなる。
「銀、準備はできたか?」
「うん、問題なし。札も持ってるし、着替えなんかは転送済み」
言ってから、僅かに目を伏せる。
「これでしばらく空けることになるから、あの子達が帰ってきてもここには誰も居ないし、何もないんだよね」
すっかり片付けられた広間を見て、悲しそうに呟く。
「……ああ、親失格かもしれないな、俺は」
「それを言うなら、私だってお姉ちゃん失格だよ。ここでは一番早く生まれたのに」
「気にするな。予定では1週間もない」
「……こういう時、レンってこんなだったの?」
銀は隣に立つレンに目線をずらす。レンはそれに笑って答える。
「そんなことないよ。僕は強がってるだけだから」
レンは銀の手を取り、扉を開ける。
「これから始まるのは異端の物語。僕たちはその舞台に立つ未熟な役者。それでも、君が居てくれるから、僕はきっと戦える」
レンは銀の手を引き、扉の向こうに踏み出す。
「行こうよ、銀。僕たちだけの物語と彼らや彼女たちだけの物語の収束点。これを逃せば、何度も起きることじゃない。だけど、ここで掴み取れば、この絆は残り続ける」
銀はその顔を見て少し嬉しくなった。
自分を生み出したころから変わっていない、無邪気で儚く、希望に満ちた笑顔だ。
それを確認できたを心中で喜びつつ、繋いだ手に力を入れ、足は前に進める。
「うん。私もあなたと一緒なら、どこまでも行くよ。それに――」
「あの子達のために、新しい友達も見つけなきゃいけないもんね」
あとがき
水晶「はじめちゃいました」
カニ「……」(海藻を差し出している)
水晶「なんで企画中のゲームのキャラがここに。常に無言の子はちょっと遠慮したいけど。魔王とか神とかこないだけましかな?あと姫さま」
カニ「……」(海藻を置くとどこかに消えていく)
水晶「……ゲーム内の役割だけして帰るなんて」
水晶「改めまして、こんにちは。それとも初めましてでしょうか?水晶です。リアルにPNばらされたり、ネットに公開されたりで、ペンネーム変更回数多々ありですので、別名で会ってるかもしれませんね」
なのは「こんにちは。助手に選出されました『魔法少女リリカルなのは』より高町なのはです。……こんな感じでいいんですか?」(なぜか巫女服)
水晶「……ごめん。やっぱり、元の服でいいです。赤坂さんが梨花ちゃんの巫女服オークションで競り落としたことを思い出しました」
なのは「いきなりなに!?」
アンサー:キャラクターボイスが同じなのですよ、某所の型月クロスものでその手のネタもありましたし。
なのは「着替え終わりましたよ」
水晶「おかえりなさい。それでは!」
水晶&なのは「手加減なんて知りません。収拾不能な修羅場も、詰め込みすぎたジャンルとキャラクターも、回収できなくなった伏線も、力技で作品にします。オリキャラにオリ作品からの介入者で、どんな小事もあっという間に大惨事に」
なのは「って、大惨事じゃダメですよ!!」
水晶「そして、収拾かつかないつまらないケンカは悪魔が砲撃、その他諸々で吹き飛ばします!」
なのは「言わないでください!」(ディバインバスター発射)
水晶「か、回避。……そして――」
なのは「ディバインバスター・フルバースト!」
水晶「……」(直撃)
水晶「時間をかけすぎましたね。本格的な紹介は次回にして、メイン作品の紹介を」(復活)
なのは「はい。先ず、わたしたち『魔法少女リリカルなのは』のメンバーと」
水晶「モリビトさんの『勇者精霊伝ブレイカー』からブレイカーズ」
なのは「アニメと二次創作やネットからの情報になりますけど、『TYPE MOON』から数名」
水晶「ここまでがタイトルの参戦作品になります。ちなみにSwordはメインが士郎ですので」
なのは「気付いた人はどのくらいいるんでしょうか?」
水晶「『始動直前』で型月まで気付ける人は少ないでしょうね。僅かに残していたのも、士郎の情報のみですし」
なのは「ブレイカーも難しいですよね?機械の獣とかって沢山ありますから」
水晶「一応、日誌に返事貰ってたから、見た人は気付いてるんでしょうけど……」
なのは「そういえば、そうですね」
水晶「型月はがんばってみました」
なのは「年齢制限物は、全年齢版を探してですから、ほとんど知りませんからね」
水晶「それも、一部のみです。作風としては、男性向けより、女性向けの方が結構好きですけど」
なのは「買って出来なかったときは、悔しい思いをしましたしね」
水晶「はい。ちなみにソフトは、従妹にあげました。使えるはずなので」
なのは「売らないところがらしいですよね」
水晶「どういう意味ですか?鈍感のあだ名くらい理由が分からないんですけど」
なのは「そして、オリジナルから『式神と主の日常及び、非日常』の主人公ユウことレンさんとヒロイン『銀ノ式神』こと銀さんです」(スルー)
水晶「……本名は出てませんよね、レン」(テンション低下)
なのは「そうなんですか?」
水晶「はい。詳しい事は作品の中で出てくる予定ですけど」
なのは「ともあれ、これが初期のメインメンバーです」
水晶「他の作品のキャラクターはその内にします。一つあげるとするなら、この時点で結構クロス作品とクロス候補作品が仕込まれています」
なのは「フェイトちゃんの暴走に対する加速効果を目指してるらしいですけど……なにをするつもりですか?」
水晶「お嬢様学校のタヌキとか出す予定ですよ」
なのは「?」
水晶「気にしないでください。それでは次回」(帰っていく)
なのは「あ、待ってください。それでは、また会いましょう」(次回の台本を取って、追いかける)
――それでいて面白い物語を書いてくれることを願って
管理人感想
水晶さんからいただきました!
プロローグの段階からいろんな世界でいろんな方達が物語に関わり始めている模様。
果たして彼らがどのように出会い、どのような物語を描いていくのか?
……と、それはともかく、「ウチのジュンイチはみなさんからロリコン認定されてるんだなー」と改めて実感(笑)。
彼の好きなものは“カワイイ存在すべて”であって“カワイイ女の子”ではないのですが……うん、楽しいのでこのままGO!(←薄情)