Princess Frontier
〜不幸男と熱血男の憂鬱〜
予告編
1999年……10月。
オレ達にとって、予想し得た悪夢――――『アンブレラ事件』終結から
1年が経とうとしていたある日……
「……こんな前時代的な国で、今度は一体何をやらかそうってんだ?」
とある筋からヨーロッパの辺境に位置する『テクスフォルト王国』にて………
アンブレラの残党がウィルス兵器の開発に着手しているとの情報を入手した。
最初は、何でこんな片田舎の辺境の国で……とも思ったが
「アークレイ山地での一件を考えると、あがなち間違いとも言えないか」
憂鬱で終わってくれればいいが……そう願いつつ、オレ…クリス・レッドフィールドは
単身ヨーロッパ最北端に位置するテクスフォルト最果ての地、『ポルカ村』へと向かった。
「空気が無駄に美味ぇ――――――」
「――――――田舎だからな」
「平和だなぁ――――――――――――」
「――――――そりゃ、辺境の地だからな。
トランザニアからの密入国者や魔獣が襲ってこない限りいたって平和だ」
「…………なぁ、リュウ」
「何だよ、クリス?」
「泣いていいか?」
「オレもつられ泣きしそうだから止めてくれ」
ポルカ村に密かにやってくるまではよかったのだが……
外国から許可申請もナシに入国した(早い話が密入国)のが拙かった。
いともあっさりと、国境付近を巡察していたポルカ村の警備隊長……リュウ・ドナルベインに
参考人扱いという形で補導されることとなったクリス。
だが、事情を話してみると、リュウもまた『とある事情』によってこの村に流されてきた流れ者らしく
いろいろあって唯一無二の親友となることができた。
最初は、腫れ物でも見るかのような村人達の態度も、数多くの珍事を共にすることで、
次第にうち解けていくこととなった………。
「隊長っ! 不詳、このロコナ……クリスさんのために全身全霊を持ってお手伝いいたしますっ!!」
「手伝うのは別に構わないんだが……さすがに天然娘のロコナにナイフの手入れなんて頼んだら
望んでもいないのに真っ赤に染まりあがったアサシンダガーになりかねない気が」
「はわあっ……! そ、そそそそれは確かにまずいですね!! っていうかわたし、血だらけになるんですかぁっ?!」
「ならん! そして少し落ち着け!!」
ポルカ村で育った少女で、一応これでもリュウと同じ警備隊の兵士。
真正直で人を疑うことを知らない純情天然っ娘、ロコナ。
「うーん、ミントみたいなお子ちゃまがあんまり“ゼニ”、“ゼニ”、何て言ってたら
そのうち亀の魔獣になってボールの中に封印されるぞ」
「何意味の分かんないこと言ってんのよっ! ていうか、あたしを子供扱いするなぁ〜っ!!
レディに対して失礼すぎるんじゃない、クリスッ!?」
「え、レディ? …………どこ?」
「…………お約束のボケをアリガトウ(怒)」
王都で細々と商売を続け、いつか父を超える大商人になることを夢見る
『テトラ商会』ただ一人の全権経営者であり、従業員の少女、ミント・テトラ。
「全く……元軍人にしては、だらしが無さ過ぎるぞクリスは。
リュウもそうだが、民の模範ともなるべき立場なのだからもう少し自覚を持って………」
「お前だってこの前の断食の時、鬼気迫る表情だったじゃねぇか。人の事言えてねぇってこのゾンビ神官」
「ゾッ――――失礼な!! 私はそこまで見境もない人間ではない! ちゃんと弁える所は弁えている!!」
「……ロコナのグラタン、食べ損ねた時に壊れたのはどこの何奴だっけ?」
「ゴメンナサイ、ワタシガワルウゴザイマシタ」
テクスフォルト王国内での新興宗教、「リドリー教」の教えを説く女神官。
賭け事、飲酒、男女関係に厳しく、時には疎い根っからの真面目人間にして食欲魔神、レキ・ロックハート
「ボクは男だっ! 何度言い聞かせれば判るんだクリスはっ!?」
「んなこと言われてもなぁ……そんなミサイルみたいなオッパイ引っ提げられちゃ説得力皆無だぜ?」
「これは……悪い魔女に呪いでこういう姿にさせられたんだっ!
重いし揺れるしジャマだし、あっても良いことなんか一つもないんだぞ?!」
「アルエ…………それはあたしに対する宣戦布告と受け取って良いのかしら?」
「わーっ、とりあえず落ち着けミントっ!!」
「離してリュウっ!
世間知らずなお嬢様に、今日こそ庶民(貧乳)の苦しみを教えてやるんじゃ――――!!」
「自慢げに叫びながら怒り狂うんじゃねぇ!!」
こんなんでも一応テクスフォルト王国の第4王女で、正式に王女継承権を持つ少女。
「自分は幼い頃に魔女に呪いで女の姿にされた」と豪語し、
性別を反転させる幻の花を求めるお姫様、アルエミーナ・リューシー・テクスフォルト・ゼフィランス
沢山の仲間達に囲まれながら、クリスは久しく忘れていた“人としての心”を取り戻していく。
「はやぁ……クリスさんって、見た目によらずお料理上手なんですねぇ」
「見た目によらずは余計だ。
まあ一応元軍人だしな。自分一人分くらいなら栄養価を考えての献立を立てられる」
「よーし。じゃあロコナが忙しい時にはクリスに全員分のメシを作ってもらおう」
「…………営業手当、出るんだろうな? リュウ」
「――――クリスは、占わなくて良かったのか?」
「ん? ………ああ、ヨーヨー婆さんのアレか。
別に構やしねぇよ。
占った所でやることなんて決まってるし……それに………今更クレアにあわせる顔もねぇ」
「全く……リュウといい、クリスといい、つくづくお人好しの集まりだな」
「いいから寝てろレキ。――ここ最近ろくに寝れてないだろ?」
「そうそう。医者の不養生ってな……一番気を遣わなきゃいけない人間が他人のことを思うあまり
自分のことがおろそかになるのはよくあることだ」
「リュウ……クリス…………」
だが、悪魔の研究は……密かに、しかし確実に進められていた。
本来ならば存在し得ないはずの巨大な魔獣。
それは、本来このテクスフォルトに生息していた生物とは
全く異なる外見と特性を持つ、未知の怪物だった。
そう
連中はテクスフォルト王国に生息する魔獣をベースに
巨大な生物兵器を試作開発し続けていたのだ。
その数は次第に増加の一途をたどり……
ついには村にまで襲いかかるようになっていた
リュウ達の協力を得、襲いかかる生物兵器達を何とか撃退していくクリス
忘れかけていた感覚が蘇り、神経が鋭敏なものへと変化していく……
だが――――
「本来ならば密入国者って事で閉め出してくれても良かったのにな……。
全く、ポルカ村の連中やリュウ達のお人好しがオレにも移ったのかもしれねぇ」
遥か異国の自分を匿い、“人”として扱ってくれた村人達の好意と……
そして何より………
そんな村人達を守り、導いてきたリュウ達を守るため
クリスは再び、孤独な戦いに舞い戻る。
「待ってろよウェスカー………決着を、つけてやる!!」
静かに、そして激しく燃えさかる正義の炎を、その内に宿し、
男は、引き金を引く!
Princess Frontier
〜不幸男と熱血男の憂鬱〜
―――それは、人が紡ぐ絆の物語―――
後書き
どうも、おはこんばんちわ。『心は永遠の14歳』――――――
今回でウソ予告は5作目になるにも関わらず、相変わらずモリビトさんのウソ予告のような文章スタイルで書けないtakkuです。
メインで使ってる執筆ツールが今や懐かしの『一太郎』シリーズにホームページビルダーのみですからねぇ……。センタリングとスペースを
駆使してもごらんの有様。読みにくいったらありゃしません畜生orz
というわけで、今回は日記レスで暴露宣言した通り、今年の3月末に発売されたばかりのAxlの新作『Princess Frontier』と
「BIOHAZARD -Code:Veronica-」とのクロスでやってみました。
時間軸メチャクチャやん! と思われたでしょうが、本作では限定的に、テクスフォルト王国は20世紀のヨーロッパ北部に所在する国という位置づけで書いてます。
……タイムスリップなんてありきたりの展開なんて誰がやるかっ!←ひねくれ者
……実は今回、『Princess Frontier』――――縮めて『PF』とのカップリング作品でどうしようかとかなーり悩みました。
だって迂闊に最強過ぎる男性キャラを絡めると、『PF』登場キャラの影が薄くなっちゃうと思ったので(←そんな事はない)
なのでプロット段階でクリスを含め、合計4作品(シリーズ)ほど候補が挙がってました。ですが………
1:月天より太助君→リュウ以上にパッとしない上に弱いし、色気免疫皆無なため、ヒロイン’sに弄ばれそうな気がして却下。
2:とらハシリーズの主人公の誰か→リュウ以上に個性的な上に、若干約一名強すぎる人や料理が美味すぎる人
とかいてロコナの存在意義が無くなりそうなので却下。
3:リリなのシリーズよりクロノ→項目1と同じく、色気免疫皆無な男の子なためにヒロイン’sに弄ばれそうなイメージが先行。
しかも戦闘能力的に言えば魔法も使える分、リュウよりもかなり強いため、問答無用で却下。
以上の不条理かつ身勝手極まりない理由で白羽の矢が立ったのがベロニカ版クリス(しかも時間軸的にはロックフォート島に向かうかなり前の話)。
一応クリスに関して言えば、『3』で特定の条件を満たした時に入手できる『ジルの日記』に「アンブレラ社の事を調べるあまり、ストレスでかなり荒れてた時期」
があったということなので、恐らくクレアと再会するまではかなりの荒くれ野郎だったという脳内設定を施しました。
そして、引き続きアンブレラ社の事を調べていく課程でポルカ村の事案が浮上したと。
のどかでほんわかとしてて空気が美味い……そんな田舎での生活にだんだん癒されながら“人”としての心を取り戻していき、
最後には村を脅かすこととなったアンブレラ社の生物兵器達から皆を守るために、再び孤高の戦士へと舞い戻る。
熱い正義の心と守りたいという思いを引っ提げたクリスの活躍はいかに!?
――――――という感じで物語は進んでいく……ハズです。
ジンやホメロ爺さん、アロンゾが暴走しなければ。
うーん、もう少し捻りが欲しかったですけど、登場キャラがキャラな為、これが限界か?
一応FGBR内でのクリスって横島並のバカキャラって位置づけなんですけど。←酷
管理人感想
takkuさんからいただきました!
世界観的にタイムスリップネタに走らなければ実現しそうにない2作品、強引ながら安易な手に走らずリンクさせようとする辺りにtakkuさんの気概が見えますな(苦笑)。
『プリフロ』の世界設定上、危険が見え隠れしながらも平穏な生活がクリスを癒してくれそうですなぁ……3バカが暴走しなければ(爆)。
いや、暴走したらしたでツッコミ役として開眼か? それもそれでよしかと(マテ)。