なのは達が《結社》の《執行者》であるヴァルターとデュラムと一戦を交えてからしばらく経った頃……
 無人と化し、静かに湯水が湧き出る泉源の最深部にゆっくりと歩を進める輩がいた。
 
 
「─────この有様だけを見ると、まさに『強者共は夢の後』……でござるな。
ヴァルター殿……あのような御仁が何故拙者と」
「それは、あなたとヴァルター様の能力適正が極めて近いからです」
 
 
 辺りを見回し、思い出すのはレイジングハートを徹底的に罵ったヴァルターの事。
 ……敵ではあるが同じ魔導士として、そして同じ様に自分の相棒に信頼を寄せる立場として、絶望の淵に立たされたなのはの気持ちが痛いほど感じ取れたし
 同時にヴァルターに対する不信感を募らせる形にもなった。
 
 などと物思いにふけっていると、不意に通路の奥から投げかけられた言葉に、デュナムは反応して振り向く。
 
 
「………ヴァーチ殿でござるか。済まぬな、このような場所で」
「これも私の任務の内ですので。
……早速ですが、ご報告の方をお願いします」
「うむ。ではまずこれを─────」
 
 
 そういうと、デュナムは腰に差していた愛刀…アームドデバイス・ムラクモをヴァーチに差し出す。
 一方のヴァーチは左手でムラクモを受け取ると同時に、右手で待機させていた『アイオライト』の補助魔法を起動。
 ストームブリンガー戦後に、なのは達の前で姿を現した巨大端末のようなものが具現化────
 その台上にムラクモを乗せると、凄まじい勢いでキーボードらしきボタンを弾いていった。
 
 
 これだけの姿を見ると、バリバリのキャリアウーマン的なイメージが付きそうなヴァーチだが、迂闊なことを言えば何を言い換えされるか判らない……。
 思わず心の底に浮かんだヴィジョンを封印したデュナムは、作業中のヴァーチに対して改めて報告を続ける。
 
 
「堅牢性…切れ味の鋭さ…どれをとってもなかなかの業物でござるな。
《ゴスペル》と同じく《一三工房》製らしいでござるが、なかなかに骨が折れたでござろう?」
「そうですね。公式の記録に残っているベルカの使い手は、かの”騎士達”位しかいませんし、
数少ない文献からアームドデバイスやベルカ式魔法を再現するのはかなり困難を極めましたよ」
”夜天の書”……いや、今は”闇の書”でござったか。
願わくばかの騎士達と一度お手合わせを挑みたい所でござるが、実際そうも言ってられまいて」
「……確かに、現状での暇のなさもありますが、あくまでもムラクモとあなた様達がお使いになられるベルカ式は”模造品”────
オリジナルである”騎士達”には及ばないと思われます」
「─────────」
 
 
 再び二人の間に沈黙が訪れる。
 お互いにおしゃべりをするような性(さが)は持ち合わせていない為、会話がどうにも続かない……。
 
 やがて、全ての分析作業が終了するとヴァーチは台上からムラクモを取り上げ、デュナムへと受け渡す。
 
 
「そういえば……」
「どうしました?」
「拙者達は『ジュエルシードAMP』の実験を行う為に、かの《執行者》達と同行しているのでござるな?」
「そうですが、何か?」
 
 
 改めて尋ねてくるデュナムに対し、ヴァーチは「今更何を」みたいな表情で尋ね返してきた。
 
 
「拙者が行ったのは”ムラクモの性能テスト”のみ………。
『ジュエルシードAMP』には全くと言っていいほど関わってないでござる。そんな状態で、実験の成果に貢献できているのでござるか?」
「………………」
 
 
 デュナムの問いに、思わずヴァーチは唇を噛みしめた。
 確かにヴァーチ達の目的はジュエルシードの試行量産タイプである『ジュエルシードAMP』の研究・開発が主である。
 ヴァーチはともかくとしても、デュナム自身は全く”それ”に触れるどころか関わってもいない。
 現に表立った攻撃手段は全てムラクモと共に発動させたベルカ式魔法だ────これはもはや決定的である。
 
 だが、ヴァーチはしばらくすると余裕の笑みを浮かべながらデュナムに告げた。
 
 
「心配ございませんよ、デュナム様。あなた様もちゃんと実験に貢献できております」
「……どういう事でござるか?」
「これです」
 
 
 そういうと、ヴァーチはあるものを懐から取り出してデュナムの前に差し出す。
 それを目の当たりにして、デュナムの表情が一気に驚愕のものへと変わっていった。
 
 
「────っ! まさか、これが?!」
「はい、そうです。
『カートリッジシステム』に必要不可欠な”カートリッジ”。これに『ジュエルシードAMP』が使われているのです」
「むぅ……確かに元々ジュエルシードは高エネルギー結晶体。
魔力を圧縮して詰め込むカートリッジには願ってもないコアでござるが……」
 
 
 それでも腑に落ちないことは山のようにある。
 いくら技術力ではこの世界随一と言われている《一三工房》と言えども、”純粋な魔力”を圧縮して結晶化させる技術は持ち合わせてないはずだ。
 ……ヴァーチや”自分達の主”が知識をもたらしたとしても、原材料である魔力が確保できなければ結果的に無駄に終わる。
 ────かといって、不特定多数の生命体から魔力をそれこそ節操もなくかき集めてたのでは効率は非常に悪いし、なによりコストがかかる。
 
 だが、それでもヴァーチは表情を変えることなくデュナムに告げる。
 
 
「今回の実験では”『ジュエルシードAMP』そのもの”をテストしていたのではありません。
あくまでも今回は─────”魔力以外でのベルカ式魔法”の発動が可能かという研究ですから」
「魔力以外………それは一体?」
「じき追ってご報告いたします。
─────次の実験には《殲滅天使》様や”彼女”にも手伝って貰わなければならないので」
「まさか……”アレ”に使うつもりでござるか?!」
 
 
 ヴァーチの口からこぼれた二つ名から連想し、思わず背中に冷たいものを投げつけられたかのような衝撃を受けるデュナム。
 もしそれが事実ならば、一歩間違えるとこのリベールは一瞬にして焦土と化すだろう………。
 そう予想したデュナムは凄まじい剣幕でヴァーチへと詰め寄る。
 
 
「正気でござるか!? 本当にその様な事が、許されていいのか?!」
「………私も、納得しているわけではありません」
「だったら何故!?」
 
 
 どうやら本心ではヴァーチも今回の一件には賛同はできていないらしい。
 それでも無理矢理自分に言い聞かせながら今回の実験の担当者としての責を全うしようとしている。
 さらに詰め寄るデュナムに対し……ヴァーチは、震える声で答えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「我らが主と────《白面》……ワイスマン教授との盟約です」
 
 
 
 
 
 ごく最近まで、平凡な小学3年生だったわたし『高町なのは』に訪れた小さな事件……。
 
 狼達との戦いによって、傷つき、為す術無く立ち止まるしかない私達。
 
 伝説の戦士『騎士』との仕合を夢描き、錬磨する侍の思惑を余所に
 
 物語は、さらに過酷さを増していく……。
 
 だけど、悲しみや苦しみは…ずっと続かない。
 
 また笑い会える刻(とき)がきっとくるから────
 
 
 魔法少女リリカルなのはvs勇者精霊伝ブレイカー×英雄伝説 空の軌跡SCクロス小説
 
 Triangle World 〜空を翔る英雄達〜 始まります。
 

 
 第15話「暴君の慌ただしき日常」
 
 
「そう―――――やはりサングラスの男はヴァルターだったのね」
「ああ……………って、おい?」
 
 エルモ温泉でひとっ風呂浴びた一行は、改めて事の経緯を報告すべくツァイスのギルドへと戻り、
 キリカに説明をし終えた………までは良かった。
 
 だが、肝心のキリカはまるで”初めから全て見透かしていた”かのような……淡泊な反応を切り返してきた為に、さすがにジンも驚きを隠せない様子だ。
 
「やはりってことは、予想していたって事か?」
「服装と風体を聞いてひょっとしたらとは思ったわ。
――――それよりも迂闊だったわね。どうして彼にそのまま《ゴスペル》を持ち帰らせたの?」
「仕方ねえだろ……そこまでたいそうなモンだとは思わなかったんだ」
 
 今思い出すだけでも重い悔やまれる一幕……。
 余裕の笑みを浮かべながら、自分の横をすれ違っていくヴァルターの姿に格の違いをむざむざと見せつけられた気がしてならない――――
 
 だがそれ以上に《結社》が本格的に活動を開始したことに加え、《ゴスペル》を用いた実験が各地で行われているなど露知らずなジンにとってはまさに泣きっ面に蜂な状態。
 ふてくされた態度を取りつつも、ジンはキリカに対して反論する。
 
「それに……そのあたりの事情をろくに説明もしないでエルモに急がせたのはお前だろうが」
「ええ、私の判断ミスね。
――――そのくらい説明しなくても察してくれると思ったのだけど」
「グッ……可愛くねぇやつだな」
 
 だがやはり、彼女の方が一枚も二枚も上手のようだった。
 いともあっさりとキリカにかわされたジンはガクンと肩を落として項垂れたようだ。
 
「まあそれはひとまず置いといて――――正直ジンがフェイト達と合流しててくれたのには素直に感謝するわ。
おかげで余計な手間が一つ片づいたんだから」
「まぁな。……最初俺も話を聞いたときは半信半疑だったが、二人が嘘をついてるようには見えなかったし、使ってる魔法は明らかに導力魔法(アーツ)とは異なる系統だったからな」
「という事は……彼女もなのはちゃんと同じ魔導士なのかしら?」
 
 
 問いかけるシェラザードに対し、この問いにユーノが答える。
 
「厳密にはちょっと違うんですが、使ってる魔法はボク達と同じミッドチルダ式魔法です。
――――あ、説明が遅れましたけど、ミッドチルダっていうのはボク達の住んでた数多くの次元世界の総称で、この魔法はそこで生まれたんですよ」
「へぇ……そうなんだ」
「ところで、そろそろボク達にもこの美少女達の事を紹介してくれてもいいんじゃないのかい、ユーノ君?」
 
 
 言いつつ、不敵な笑みを浮かべてくれるオリビエの姿に若干悪寒を感じたユーノだったがあえて追求しない方向で話を進める事にした。
 
 
「別に構いませんけど………下手にフェイトに手を出したらアルフに噛み殺されるか、
なのはの一斉砲撃を受けますよ?
 
 
 とりあえず釘は刺しておくに越した事はないだろうと踏み、念入りに忠告しておくユーノだったが、そんな彼の意を知ってか知らずか、
 オリビエは頬を朱に染め、さらなる爆弾を投下する。
 
「フッ………獣っ娘なアルフ君や、ティータ君と同じ甘いミルクの匂いがするなのは君に屠られるならば、ボクも本望さっ♪
「ひっ!!」
「…………相変わらず、その根拠のない自信がどこから出てくるかが不思議ですよねオリビエさんって」
 
 気色悪いくらいのオリビエの笑顔を前に、思わず悲鳴を上げてたじろぐアルフをよそに、なのはの反応は慣れたものであった。
 とりあえず、ジュンイチが軽くオリビエの頸動脈をシめた後に、フェイトとアルフは改めてシェラザード達の前に出て……名乗りあげる。
  
「えっと……フェイト・テスタロッサといいます。
この子はわたしの使い魔のアルフ」
「よろしくな、みんな♪
――――――ついでに言っとくけど、フェイトに手を出すヤツはアタシが噛み殺す♪
「笑顔で言うな笑顔で」
 
 思わず飛び出た恭也のツッコミに頬を朱に染めながらもしっかりと小突き合いで対応するアルフ。
 そんな様子を微笑ましく見守りながらシェラザード達は改めて二人を歓迎する。
 
 
「とりあえず異世界組の連中は面識がないだろうから改めて自己紹介するぜ。
俺はジン・ヴァセック――――リベールの隣国『カルバード共和国』生まれの遊撃士だ。ランクはA級……よろしく頼むぜ!」
「確かオリビエさんの生まれは北の『エレボニア帝国』――――でしたっけ?」
「そうだよ。『黄金の軍馬』を紋章に掲げる、巨大な軍事大国なのさ。
……最も、ボクの生まれ故郷たるにふさわしくなる為にはもっとオープンな政治を宰相殿には心掛けてほしいものだがね」
 
 ジンの自己紹介の後に、ふと周辺国の知識を頭の引き出しから引き出した美由希がオリビエに訊ねると、前髪をさらりとなびかせて自慢げに答える。
 少なくともオリビエに相応しい国となるのは数百年経ってもあり得ないなと心の奥底で全員が納得し、頷いていたとき……
 
「って、そうだ!
ユーノ君、レイジングハート!!
「あ、うん。
――――基礎構造は勿論コアの破損も大したこと無いし、今、自動修復機能をフル稼働させてる。
明日中には全快してると思うよ」
「そうなんだ……良かったぁ」
 
 思い出したように、レイジングハートの安否を訊ねるなのはだったが、ユーノから返ってきた返答に思わず安堵のため息を漏らす。
 ……思えば、レイジングハートがここまで破損したのは、まだフェイトとジュエルシードを巡って戦っていたときに一度あったくらいである。
 それ以外の戦闘――――ジュンイチの”オシオキ”の時は勿論、堕天使や瘴魔戦でもここまで追いつめられる事はなかった……。
 しかしあの時はジュエルシードの持つ強大な魔力によってお互いのデバイスが中破する形となったが、今回のデュナムの一撃もまさにそれと同クラスといえるだろう。
 だが、そうなってくると一つ腑に落ちない点が一つ。
 
「そういえば……デュナムの使ってたデバイス――――ムラクモ、だっけか?
アームドデバイスって言ってたけど、なんか知ってるかユーノ?」
「アームドデバイス?! 新しい魔導士は、確かにそういったんですか?!」
「ええ、あたし達も聞いたから間違いないわ。
ルーアンで遭遇したヴァーチが持ってるあの銃タイプのデバイスとは全く異なるタイプのようだけど……」
 
 訊ね返されたジュンイチにシェラザードが同意する。
 彼女の説明が決定的だったのか、ユーノがゆっくりと顔を上げて全員に説明し始める。
 
「多分、その『デュナム』という魔導士が使っていたのは……《ベルカ式魔法》です」
「《ベルカ式魔法》?」
「その昔、ボク達が使っている《ミッド式魔法》と勢力を二分化した魔法体系の一つで、
遠距離や広範囲攻撃を、ある程度度外視して対人戦闘に的を絞った魔法なんですよ」
 
 ユーノの説明に思わず息を飲む一同。
 確かに、デュナムの魔法は一つ一つかなりの攻撃力を持っている……が、それはあくまでも近距離
 ――――遠くても比較的中距離までに限定されている。
 
 だが、それだけではあの攻撃力は説明できない……その答えは、さらに続けるユーノの言葉にあった。
 
「最大の特徴は、デバイスに組み込まれた《カートリッジシステム》と呼ばれる武装です」
「《カートリッジ》……弾薬?」
「儀式で圧縮した魔力を込めた弾丸をデバイスに組み込んで、瞬間的に、爆発的な破壊力を得る……危険極まりないモノです」
 
 ふいにキリカが訊ねるとユーノがそれに続いて答える。
 思い返してみると、確かに一撃一撃の直前にデュナムは新しいカートリッジを装填していた様子がうかがえた事から、あの時に攻撃力を増大させていたのは間違いないだろう。 
 
「なるほど――――”アームド(武器)”の名前の通り、かなり厄介なデバイスだな」
「ってことは、なのはちゃん達の使ってるデバイスも、その《カートリッジシステム》ってのを取り付ければ、それだけ出力があがるって事じゃない?」
「それは無理です」
「え?」
 
 ジュンイチがうなる横で、「これはいいんじゃないか?」的な口調で提案するシェラザードだが、それはすぐさまユーノによって否定された。
 
「ストレージデバイスならまだ可能性はあるんですが……人工知能を積んでいるインテリジェントデバイスは繊細すぎて、カートリッジシステムのようなピーキーな武装はとかく相性が悪いんですよ」
「えと………すまん、ユーノ君。話があまりにも専門的すぎてボクにはもう何がなにやら」
 
 ラッセル博士とティータが《ゴスペル》の一件で盛り上がっていたとき以上に、頭の上に「?」マークを浮かべて困惑するオリビエに
 ティータが自身のポケットから戦術オーブメントを取り出して説明しだした。
 
「えっとですね……オリビエさんもさすがに戦術オーブメントで魔獣をぶったりたたいたりしないですよね?」
「ま、まぁそれはそうだね。
そんな事をすれば繊細な構造のオーブメントはすぐに壊れ―――――って、そういう事か」
「レイジングハートやバルディッシュは人工知能を搭載してるデバイスだから、構造も複雑。
そんなか弱いデバイスに暴れん坊の《カートリッジシステム》なんか積んだらどっちも共倒れ……ってコトか」
「そうです。
……そもそも《カートリッジシステム》そのものが扱いづらく、術者を選んでしまう代物だった事が、《ベルカ式魔法》衰退の理由の一つとされてます」
 
 ジュンイチが付け加えるとユーノがそれに付随する形でさらに告げた。
 ……元々近接戦闘用も考慮して作られているバルディッシュにおいても、それは同様である。
 許容範囲を超えた魔力を行使すれば、それをエネルギー源にして魔法を発動させているデバイスは勿論、術者自身の負担も増大するのには変わりはない。
 レイジングハートやバルディッシュが人工知能を搭載したデバイスにある事に加え、なのはやフェイトはまだ”成長段階の子供”である。
 そんな時期に無理な魔力行使を行えば、当然肉体への負担は避けられない。……最悪の場合、命に関わる危険性だって出てくる。
 
 出来る事なら、なのは達のデバイスには”あのシステム”は組み込みたくないと願うユーノをよそに、まだシェラザードは納得のいかない顔で考え込んでいた。
 
「デュナムの使っていたデバイスとかの謎は解けたけど………それでも、なのはちゃん達の結界を打ち破るには決定力に欠けるわね」
「確かに。
元々堅牢ななのはの防御魔法に加え、対エネルギー防御にだけ的を絞ればかなりのシロモノなオレの力場まで一緒に打ち砕いたんだしな」
「……………」
 
 さらに困惑する一同。
 全員がうんうんと首を捻る最中――――「もしかしたら」という思いが過ぎり、美由希がジュンイチに告げる。
 
「えと――――ジュンイチくん。多分デュナムの剣術は結構メジャーな部類なものだと思うよ?」
「メジャーだと?」
「うん。
……若干彼のアレンジが入ってオリジナル的な型になってるけど、あの独特の戦法と攻撃力を持つ剣術は、日本に一つしかない」
「――――”薩摩示現流”か!!」
 
 
 
 −美由希ちゃんのよく分かる剣術コーナー 〜薩摩示現流って何じゃらホイ?〜 −
 
 正式名は示現流(じげんりゅう)。薩摩藩(現在の鹿児島県)を中心に伝わった古流剣術であることから上記の呼び名がついた。
 
 『一の太刀を疑わず』または『二の太刀要らず』の別名を持ち、髪の毛一本でも早く打ち下ろせというほど
 初太刀から勝負の全てを掛けて斬りつける鋭い斬撃が特徴である。
 達人ともなれば、立木に打ち下ろすとき煙が出る。
 
 何時如何なる場面においても戦える「生活に根付いた実戦性」を追求しており、他流では流派規定の道着を着用しての
 稽古を求められるのが普通であるが、示現流では何時でも敵と対峙出来る様、平服姿でも稽古に参加しても良いとされている。
 現代の生活状況に合わせてTシャツとジーンズ姿・あるいはスーツ姿と云う服装での稽古が容認されており、
 実際に立木打ちの際ではその姿で稽古する修行者も多い。
 (但し、公式な演武では和服での正装もしくは道着を着用している)
 
 単純な内容に思われがちだが、一般に思われているより複雑に体系化されており、技の数も多く習得は容易ではない。
 そのため、下級武士は示現流より比較的単純な小示現流、太刀流や薬丸自顕流の方を学ぶ傾向があったというが、
 教授が上級武士に限られていたというのは誤解で、示現流の高弟の系譜を記した「示現流聞書喫緊録」には
 陪臣や足軽の名もあり、藩内に多くの流派があった幕末期には上級武士が学ぶ傾向があった、ということである。
 
 幕末期、新撰組局長・近藤勇をして「薩摩者と勝負する時には初太刀を外せ」と言わしめたとされるのは、
 示現流及びその分派(示現流、太刀流、薬丸自顕流など)を指している。
 これらの薩摩の剣術は初太刀での一撃必殺を旨としており、受けることがほぼ不可能なためである。 なまじの真剣でもへし折られてしまうし、仮に折られなかったとしてもそのまま押し込まれてやられてしまう。
 実際、幕末期に示現流にやられた武士の中には、自分の刀の峰を頭に食い込ませて絶命したものが相当数いたことは有名な事実である。
 (ただし、薩摩藩の剣術は示現流系だけでなく直心影流や浅山一伝流もあり、それらを修行した薩摩藩士もいる)
 
 薩摩藩の支配下にあった琉球王国にも薩摩藩士を通じて示現流剣術を学ぶ者がいたため、琉球の徒手武術である
 唐手の技法や思想に影響を与えたという説もある。
 この説が正しければ、唐手は本土に伝えられ空手となった後も空手に先手無し、空手の技は一撃必殺を求めるべし
 と云われるのは、示現流の影響によるものと考えられる。
 
 
「とまぁこういう剣術。
基本的に示現流では”防御”の概念は完全に廃してある、完全に攻撃に特化した剣術なのよ」
「確かに、一撃で相手を倒す事が出来れば”防御なんて考える必要ない”だろうけど……」
「瞬間的な爆発力を生み出す《カートリッジシステム》と一撃必殺をモットーとする《示現流》――――鬼に金棒な組み合わせだなオイ」
 
 確かに。
 事攻撃力だけに絞れば、デュナムの一太刀はおそらくヴァルターをも凌いでいたであろうその破壊力。
 ……ボロボロに打ち砕かれたプロテクションやジュンイチの力場。
 ……傷も未だ癒えぬレイジングハートの現状が、全てを物語っていた。
 
 そんな中で、今彼等が出来る事――――それはもはや数えられるほどのものでしかなかった。
 
「ところで……これからの方針はどうするんだ?
エステルは未だ気絶状態から回復できてないし、レイジングハートも見ての通り療養が必要なわけだし」
「そうっスね――――とりあえずこっちはデュナム戦で結構な痛手を被ったし……
オレもオーグリッシュ・フォームを使っちまったせいでブレイカーブレスに備蓄してた精霊力がほぼゼロになっちまったし」
「ん? ちょっと待って。
確かジュンイチくん洞窟内での導力エネルギーを取り込んで一時的にフル充電状態になったんじゃない?」
「あー……確かにあの時限りではガス欠の問題は解決できたけどなぁ――――
あの一件で一つ判った事がある」
「何?」
「薄いんだよ」
 
 訊ねる美由希にジュンイチは両の掌を上へ向け『お手上げ』のポーズを取って告げる。
 
「精霊力っていうのは”魔力”・”霊力”・”気”――――これら生命体が元々持ってるエネルギーが合わさった、いわゆる混合エネルギーなんだよ。
なのはのスターライトブレイカーの場合、使用するエネルギーが魔力だけだから、似たような特性を持つ導力エネルギーだけでも何とか代用は利くんだが……」
「ジュンイチくんの装重甲(メタル・ブレスト)に限った場合、”純粋な導力エネルギーだけ”だとエネルギーの質としては薄すぎるってコト?」
「そーゆー事。
一時的にフル充電しても通常戦闘でせいぜい30分くらい……オーグリッシュ・フォームを使えば3割近くにまで活動時間は限られてしまう。
――――滅多な事じゃ使える手段じゃないってのが、今回ハッキリした」
 
 意外な所で判明したジュンイチの装重甲(メタル・ブレスト)の弱点。
 そもそもこれほどまでに深刻な状況に陥るとは予想もしていなかった為、完全に後手に回った形ではあるのだが、
 ジュンイチ自身はエステル達ほど悲観もしていなかった。
 
 ……最悪、”差し違えてでも”守り抜けばいいのだから。
 
「あー、お取り込み中申し訳ないんじゃがの……ゴスペルの解析作業やワシの新発明の助手の事も何とかしてくれると非常に助かるんじゃが」
「新発明? ラッセルのじーさん、今度は一体何を作る気なんだ?」
「それは今の段階では秘密じゃ。
じゃが、それが完成すればお前さん達の戦いもかなーり楽になるはずじゃぞ?」
「…………期待して、いいのか? これって」
 
 ラッセル博士の横槍に、激しい不安感を感じてうめくジュンイチ。
 導力飛行船の開発秘話の一件を聞いてから、ラッセル博士の悪癖が露呈した為にいまいち信用する事が出来ない……かと言ってこの人の場合、野放しにしておけば何をしでかすか判らない。
 迂闊に放置しようものなら我が道を爆走しまくって周囲をひたすら巻き込んだ挙げ句、
 ”自爆”するのは目に見えているからだ。
(せめて誰かストッパー役になってくれればねぇ………)
 
 心中でうめくシェラザードだが、このメンツの中で博士を止められる人間なんているわけでも無し……堂々巡りを繰り返していると――――
 
「そのことなら!」
「私達に任せてください!!」
 
 ギルドのドアが勢いよく開かれ、眩しい太陽の光が差し込んで二人の人影を作り出す。
 声の主はその二人のようだが、逆光によって顔の方はよく判別できない。――――が、ジュンイチは違った。
 
「ん、何だあの声は?」
「ぐ………こ、この無意味に自信に満ちた声は――――まさか!!」
 
 ジンが何事かと首をかしげる最中、ジュンイチは思いっきり肩をガタガタと振るわせてその場に縮こまり始めた。
 その声の主は……………
 
おはらっきぃ〜♪ 忍ちゃん、ただいまリベールに到着でーっす!!」
「ついでに便乗して私も来ちゃいました♪」
「出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 
 いやな予感ドンピシャリ――――。
 よりにもよって海鳴(なのはの世界)と府中(ジュンイチの世界)両方の最狂メカニック(←誤字に非ず)の登場に完全にビビリモードに突入したジュンイチ。
 亜光速でジンの後ろに身を隠してガタガタとふるえながら声の主――――月村忍と水隠鈴香に大して警戒の視線を送る。
 
「何よまるでオバケにでも出くわしたかのようなそのリアクション。……全く、失礼しちゃうわね」
「久しぶりだな忍。レポートの方は、もう片づいたのか?」
「ええ」
 
 とりあえずビビリ君を差し置いて軽く挨拶をすませる恭也と忍。
 ……そーいやこの人って大学の課題で後発組になったんだっけと、ふと思い出したなのは達に対して忍は笑顔で告げる。
 
「鈴香やジーナに手伝って貰ったから」
「大学の課題を高校生にさせるな」
「ウソウソ。――――ちゃーんと自分の力でやりました。
というワケで、課題も終えて心機一転! 鈴香と一緒にラッセル博士の助手に立候補しまーす♪」
「私も忍さんも、機械系には結構強いので……微力ながらお手伝いさせていただきます」
「おお、そりゃ助かるわい」
「最悪だ……よりにもよって最悪のカップリングの誕生じゃねぇか」
 
 ――――もうなんか……爆走どころか、暴走すらしそうな布陣と化してしまった。
 こうなってしまってはいずれ自分は勿論、なのは達も忍達の毒牙にかかってしまうんじゃないかと戦々恐々とするジュンイチ。と――――
 
「あ、そうだ。ジュンイチくん?」
「……は、はいっ!! 何でございましょうか、忍様!!?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「忘れ物」
「………?」
 
 笑顔で手渡されたのは……麻袋。
 しかも何だがもぞもぞと蠢いている――――。
 
 大きさ約50cm程度のそれを手にした瞬間、ジュンイチは何が入っているかをすぐさま悟った。
 
「ジュンイチぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」
「おわあっ、ぶ、ブイリュウ?! どうしたってんだいきなり!?」
「うぅぅ……オイラ――――もう海鳴に戻りたくな〜〜〜い!!
 
 麻袋から飛び出すなり突然叫びだし、ワンワンと鳴き出すブイリュウにさすがのジュンイチも困惑。
 
「だから何があったんだ!」
「ジーナがデビルマン化してオイラを絞殺せしめんとするし!!
忍さんは忍さんでアタッシュケースの中に工具や機材と一緒にオイラを詰め込んでリベールにつれてくるし!!!」
「……………………………………」
 
 何というか……ある意味予想通りのコメント。
 目から大粒の涙をこぼしながら泣き叫ぶブイリュウの姿に、自らの姿を重ねてしまい、ジュンイチも思わずつられ泣きしてしまった。
 
「……………えっと、ブイリュウ――――そのうちきっといい事あるよ。だから気を落とさないで」
「そうそう♪ 少なくとも”改造(ころ)”されるときはジュンイチと一緒だし
「笑えない冗談はヤメロ。……そして全然フォローになってないぞ」
 
 思いつく限りの精一杯のフォローをしようとするフェイトに対し、フォローする気ゼロなアルフは笑顔で告げるとジュンイチがすかさずそれにツッ込む。
 などと珍道中を繰り広げる彼等の姿に、リベール組は終始驚きっぱなしといった感じらしく、口をあんぐりと開けたままジュンイチ………特にブイリュウの方を見つめている。
 
「ん? ――――あぁ、そういやみんなにはブイリュウの事は知らせてなかったな。
っつー事で、改めて紹介だ。コイツはオレのパートナープラネルの」
「ブイリュウだよ!
好きなものは甘いモノ全般!! よろしくね♪」
「何というか………大概の事には慣らされたつもりだったけど」
「うぅむ――――ブレイカーの世界とやらは奥が深いねぇ」
 
 元気良く自己紹介をすませるブイリュウとは対照的に、シェラザードやオリビエは勿論、ティータやジンも物珍しい表情でブイリュウを眺める。
 ……とは言っても、それは最初の内。シェラザードやティータはもっぱら『カワイイ♪』と、実に女のコなコメントを漏らしていた。
 
「プラネルは”ブレイカービースト”っつー巨大メカによって生み出される使い魔の一種でな。
ブレイカービーストの召喚や、ブレイカーへの精霊力の供給……その他諸々いろいろな補助を受け持ってくれる重要な存在なんだ」
「にも関わらず、ジュンイチってばオイラをずっと海鳴に置き去りにしたままにしてたよね」
「ぐっ…………しょうがねぇだろ。
こっち(リベール)では《執行者》とのいざこざもあるんだ。お前みたいな非力な存在をわざわざ奴らとの戦いで引き合いに出せるかっての」
「でもオイラがいないとすぐにガス欠になっちゃうよ?」
 
 完全に主導権をブイリュウに握られる形となったジュンイチだが、あくまで引き下がるつもりはないらしい。
 徹底抗戦の構えを取り、反論し続けるジュンイチをとりあえず”差し押さえた”シェラザードは、改めて忍達に向き直る。
 
「ゴホンっ! ……まぁ多少一悶着あったけど、二人とも協力してくれる――――ってコトでいいのかしら?」
「ええそりゃ勿論」
「微力ながらお手伝いさせて貰う次第です」
「ついでにいうと………」
 
 そういって、忍は視線を気絶しているジュンイチへと向け――――
 
「必要なときにはジュンイチくんに協力して(身を捧げて)貰いますから」
 
 実に屈託のない笑顔でそう告げると、高町兄妹は戦慄を覚えた。
 その様子に気づいてるのか気づいてないのか、ティータは驚いた様子でなのはの方を向いて訊ねる。
 
「ふぇっ! えと……忍さんとジュンイチさんって、そーゆー仲なの?!」
「えっと――――多分違うと思うよ」
「間違いなくジュンイチさんからすればデメリットしかないからね」
 
 とりあえず本当の事は告げられない……そう確信したなのはとフェイトは適当にはぐらかそうとする。
 が……
 
「そういえば姫様、まだエステルの側にいるのかしら?」
「まだ意識が戻ってきてないようね。――――それだけデュナムという魔導士の一撃が強烈だったという事でしょうけど」
「誰か一人……お怪我でもされたんですか?」
 
 ふと思い出したように呟くシェラザードの一言にキリカが付け加えると、鈴香がそれに反応し訊ね返す。
 すると、シェラザードは表情を濁らせて問いに答える。
 
「ウチの中心人物が敵の攻撃をまともに受けて…未だ意識が戻ってないのよ。
お医者さんの話だと命に別状はないらしいんだけど、心配でね――――」
 
 淡々と告げるシェラザードだが、明らかに動揺は隠せてない。
 まぁ自分の妹分があんな状態では姉貴分としては心配なのも当然である。
 と――――
 
「なぁんだ、そんな事なら話は早い」
「………何をやらかす気だ忍」
 
 意気揚々と名乗り挙げた忍の行動にイヤな予感がした恭也が彼女の前に立ちはだかる。
 そして――――
 
「決まってるじゃないの」
 
 自信満々と、懐のサイドポーチから工具一式(とその他諸々の薬品)を取り出し――――
 
 
 
 
 
「改造(なお)すのよ♪」
『明らかに字が違う!!』
 
 キリカやラッセル博士、鈴香を除いた全員が一斉にツッ込んだ。
 
「問答無用! とあぁぁぁっ!!」
「あっ、こらまて忍!!」
「あーあ………行っちゃったね」
 
 してやられたという様子でうめく恭也の横で、もはや諦めてしまった様子のなのは。
 一瞬の隙をつき、すごい勢いで二階への階段を駆け上る忍の姿を見送り……
 
 エステルやクローゼの存命を祈り、合掌した。
 
 
 
 
 
 
 
 数分後――――
 
 
 
 
 
 
 レイストン要塞にまで轟いたエステルの悲鳴によって、ツァイス市の歴史に新たな珍エピソードが刻まれた。
 
 
 
 ……………………
 …………
 ……
 
 
「落ち着きました?」
「何とかね」
 
 絶叫と共に目覚めたエステルは、改造(いろいろ)しようとした張本人に向けてSクラフト『桜花無双撃』でもって対応。
 忍を軽くトラット平原までぶっ飛ばした後、なのはやクローゼの介抱を受けてようやく落ち着いてきた次第である。
 
「ジュンイチが極端に忍さんの事を警戒するの――――何となく判った気がする」
「うんうん。あの恐怖は実際に体験した人間にしか判からねぇよなぁ」
「………面目ない」
 
 身内のしでかした過ちは自分にあると感じ、謝罪する恭也。
 そんな彼の対応があまりにも意外だったのか、エステルは逆に戸惑う。
 
「ちょっ、何で恭也さんが謝るのよ! 元はといえば、油断してたとはいえ、敵の攻撃であっさり気絶したあたしに責があるわけで――――」
「ともかくこれは俺なりのケジメだ。本当に済まなかった」
「……珍しいね、恭ちゃんがあそこまであっさり頭を下げるなんて」
「オレの時でもあんな風に頭を下げた事はなかったぞ」
 
 むしろ止めずに第3者的立場に居座ってくれたし――――と心中でうめくと
 ジュンイチは改めてエステルに訊ねる。
 
「それで、もう体の調子は大丈夫なのか? エステル」
「ええ、お陰様でね。
それはそうと――――目が覚めてみればジンさんがいつの間にかリベールに戻ってきてるし、見慣れないコがまた増えてるしであたしの頭はパンク寸前よ」
「わーったよ……ちゃんとお前にも説明してやるって。だからふて腐れるな」
「うむ、分かればよろしい」
 
 素直に観念したジュンイチは、今まで気絶していたエステルと彼女を看病していたクローゼ――――ようするに今までの会話に全く参加できていなかったこの二人に今までの考察内容と
 新しく合流してきたフェイトやアルフ、忍、鈴香の事を説明する。
 
「成る程ね………。んで、なのはの危機に颯爽と現れたフェイト――――なんだかまるで白馬の王子様みたい」
「名誉なんだか不名誉なんだかよく分からないよな、その称号。
多分フェイトだったら喜んで甘んじると思うけどな……」
「でも、確かに凛としていてとっても格好良かったですよ」
 
 本人がいないのをいい事にクローゼ、めちゃくちゃ言いたい放題である。
 
 
 とまぁこんな感じで次第に会話が弾んでいくモンだからギルドの外までその騒ぎが聞こえてくるわけで――――。
 
 
 
 
「……ん? ウチのギルドって、こんなに賑やかだったっけ?」
「ティータの話し声もするから多分お義父さんも来てるんじゃないかな?」
「…………チッ。来てやがるのか、あんのクソジジイ」
 
 
 地元の住人だったはずの”彼女達”にとっても、その賑わい様は異様とも言えるものだった。
 当然、彼等もいっぱしの人間で――――
 
 地元の人間としてその騒ぎの現況が何なのか非常に確かめたいワケで――――
 
 
 ドアノブに手を伸ばし、ドアを開けると――――
 
 
 
 
 
 
 ”彼女達”の愛娘の姿が映った。
 
「…………………………」
「ん、どーしたのティータちゃん?」
「なのは……あそこ」
「にゃ?」
 
 二人の姿を確認するなり、動きが停止したティータ。
 そんな彼女の行動に疑問を持ったなのはが、ティータの顔を覗き込む仕草を取ると――――フェイトがそれに気づき、なのはを促す。
 
 するとそこには――――
 
 
 
 
 白衣に身を包んだ女性と、作業着姿の男性の姿があった。
 女性の方はティータと同じさらさらの金髪……だが、長い髪をリボンで結って綺麗にまとめている。
 一方の男性は作業着越しでも分かるくらいのガッチリした体つき……。
 とても作業員としての肉体とは思えない逞しさである。そして何よりも印象的なのが、透き通るようなコバルトブルーの瞳。
 
 何だかどこかで見た事のある見た目だなー……と一同がうめいていると――――
 
「ふぇ……え………ええぇぇぇぇぇっ!?!」
 
 いきなりティータが驚きの声を挙げ、二人の男女の元へと駆け寄り――――
 
「いつ帰ってきたの?!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「お父さん、お母さん!!」
 
 
 
 
 
 
 
 一同、しばし沈黙――――――――。
 そして……
 
 
『えええぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?』
 
 わき起こった絶叫にも似た叫び。
 ティータもびっくりだが、それ以上になのは達もびっくりだ。
 ――――確かティータの両親って海外に技術指導に派遣されててしばらく帰ってこないという風に聞いていたのに……。
 だが、一同の驚き様とは裏腹に二人の態度はいたって冷静。
 静かにティータの元へと歩み寄ると――――
 
「ダン……」
「どうかした?」
「――――――――ダメ! あたしもう我慢できない!!
 
 テンション振り切れた女性は手荷物を全て夫――――ダンに向かって放り投げると、
 そのままの勢いでティータに抱きつき、ほおずりを開始する。
 
「ふぁっ! ちょ、ちょっとお母さん!!」
「ああぁぁ……カワイイ…………
ダン! やっぱり産んで正解だったわ! 私は今、猛烈に幸せよ!!! いや、むしろ幸せすぎて私は死ぬ!!
「気持ちは分かるけど、程々にねエリカさん。
――――お義父さんの他にも、いっぱいお客さんがいるみたいだしね」
「はっ……」
 
 ダンの一言でハッと我に返った女性……エリカは周囲を見渡し、怪奇の目で自分達の事を見つめているなのは達の姿を確認し………。
 
「ほ、オホホホホ……し、失礼しました」
「えと――――気にしなくていいですよ」
「親なら当然の反応ですし」
「若干ジュンイチっぽいリアクションではありますがね」
 
 高町兄妹のコメントも、上の方に上って行くにつれてだんだん毒が含まれている。
 だが、当の本人は全く気づいてないのか…それともただ単に気にしてないのか、意も解さずなのは達に告げる。
 
「えっと――――初めましてになるかしら? ティータの母、エリカ・ラッセルよ」
「僕は父のダン。ちなみに、元・遊撃士ということで……よろしく、エステル君、シェラザード君」
「え、な……なんであたし達の事を?」
「そりゃ、カシウスさんから君達の事は何度も聞かされてるからね。……自慢の娘、弟子達だって褒めてたよ」
「――――――そういえば、先生の棒術を指南した人が同業者(遊撃士)の中でいたと聞いた事があるわ……それがまさかティータちゃんのお父さんだったなんて」
「いやはや、世界とは意外と狭いもんですね」
 
 あっさりと告げてくれるダンの素振りに戸惑うエステル達だったが、カシウス関連ともなればそれも思わず納得できてしまった。
 しかもダンは、かつてカシウスに棒術の基礎を指南した手練れ。
 それならばあの体つきも思わず納得できた。
 
「それはそうと……ギルドからの報告書、読ませて貰ったわ。
キリカさん――――とんでもなく厄介な事態になってるみたいね」
「判ってるのなら話が早いわ。遊撃士協会(ウチ)としても、《結社》対策として……そして彼等と密接に関わってきている遺失指定物――――
《ジュエルシード》の捜索・回収は最優先事項として話を進めさせてもらってる」
 
 一同が唖然とする中、突如エリカは本題を切り出してきた……しかも思いっきりこちらの事情を把握している。
 キリカも隠すことなく全てを話す事から、信頼の置ける人物だというのは理解できた。
 
「じゃあ、お母さん達が帰国してきたのって」
「そうよ。自分の生まれ故郷が危機に立たされているとあっちゃ黙っていられるわけないし」
「というのは外見上の理由。――――本心は……」
「なのはちゃん達のデバイス、今度分解(バラ)させて♪」
「……………」
「……………」
 
 
 ――――前言撤回。
 信用なんかできゃしない。
 
「やっぱり……こういう所は似てるよな、さすがに」
「そうね……周囲を巻き込んでひたすら暴走する所とか、いまいちそれに気付けてない所とか……」
 
「「ラッセル博士にそっくり」」
 
 二人同時にハモる。
 だが、二人は知らなかった。
 
 その言葉がエリカにとって――――
 
 
 
 
 
 何者にも耐え難い屈辱の言葉である事を――――――
 
「今、何て言った?」
「え?」
「いや、だからそっくりだなーって」
「誰・が・?」
「ラッセル博士と……エリカさ……ん………が……………」
「誰・と・?」
「「…………………ナンデモナイデス」」
 
 顔はものすごい笑顔なのに、真の笑顔ではない……全身から放たれる黒いオーラを感じ取ったエステルとジュンイチはその場に縮こまって自らの失言を訂正する。
 
「えっと――――ひょっとしてラッセル博士とティータちゃんのお母さんって」
「うん、目を合わすたびに――――」
 
 
 
 
 
「だいたい、何であんたがこんな所にいるのよっ、このクソジジイっ!!」
「失敬な、わしかて《ゴスペル》研究の第一人者じゃ。この場にいてはならない理由など無いはずじゃ。
どこぞのいきなりしゃしゃり出て来るヤツと違っての〜!!」
「くぉのぉ………言わせておけばぁっ!!」
 
 
「あんな感じ」
「………仲、悪そうだね」
「うん。
でもお父さんは『アレも一種の”あいじょーひょうげん”だー』って笑って言うけど」
「――――――――――――愛と憎しみは紙一重って言うけど、まさにその通りだね」
 
 有無を言わさず取っ組み合いを始めたラッセル博士とエリカの様子をはたから眺めながら、
 なのはの問いにティータが説明し、息を飲みながらオリビエもそれに同意する。
 
「ってちょっと待て。これって何か?!
オレ達を取り巻く環境がさらに悪化したって事じゃね? ヘタをすりゃオレ達さんざ強姦(マワ)された挙げ句、ゴミの様にポイ捨てされるのか!?
「表現に些か語壁があるように思えるが……まず間違いなく無事で済まないだろうな。
――――誰も止められる人間がいないわけだし」
 
 マードック工房長は……ダメだ。
 ラッセル博士の暴走すら彼一人で止める事は至難の業なのだ。
 ましてや今の布陣は強化に強化を重ね、”世界征服”でも狙えそうなメンツと化している。
 
 そんな猛者達の陣に単身突っ込ませ様ものなら………間違いなく胃か十二指腸に穴を開けて帰ってきそうだ。
 
「じょ……冗談じゃねぇ――――!
こんなところに長居してられっか!!」
「あっ、ちょっとジュンイチ! 何処行くのよ!?」
「忍さん達の魔の手が及ばない所まで!!」
 
 あっさりと吐き捨てたジュンイチは、今まで見た事もない超スピードでなのは達の間をかいくぐり、一挙に街の出入り口まで達した。
 
「ジュンイチくん、ちょっと待ってよ! あなたがいないと、私の研究がはかどらないんだから!!
「やっぱ実験台にする気満々じゃないッスか!!」
「大丈夫! 死ぬ一歩手前で止めるから!!
「自慢げに宣言する事じゃねえだろ!!!」
 
 とりあえず……会話が無限ループになっているような気がする。
 その事に冷静に気付いたなのはがジュンイチをなだめようと一歩前に出るが……
 
「そういうワケなので、ほとぼりが冷めるまでオレはしばらく旅に出る!!
いいか、絶対に探すんじゃねぇぞ!!?」
「………そーいわれると、探したくなっちゃうのが人としての性(サガ)なのよね〜」
「お…お母……さん?」
 
 警戒モードMaxなジュンイチに、歩み出てきたエリカは頬を朱に染めてゆっくりと告げる。
 そう、これはまるで――――
 
 
 
 
 獲物を追い回し、いたぶった後ゆっくりと狩り取る猛獣のごとき気迫。
 
 
よく聞きなさい柾木ジュンイチ!
あなたがこれから3時間、あたし達の追撃から逃れる事が出来たらキレイすっぱり、あなたの調査は取りやめます!!
ただーしっ! 3時間以内に捕まってしまった場合は――――――――」
 
 
 ニヤリ。
 エリカは勿論、忍や鈴香、ラッセル博士までもが不敵な笑みを浮かべる。
 
「……………絶っ対ぇ捕まるもんか――――オレは逃げ切って、今度こそ自由を掴み取る!!
「あら戯れ言を。
実験台(モルモット)に野原を自由に駆け回る権利など認められているとでも?」
「――――今更ながら思うけど…………
ダンさん、アンタ結婚するべき人間間違えてるよ絶対
 
 実に今更なコメントである。
 現にダンも「口ではああいってるけど、根は優しい人なんだよ」と付け加えるが、全然説得力がない。
 
 しかし、二人が結婚しなければ”あの”ティータが誕生しなかったのもまた事実なワケで――――。
 ひとまずこの状況でジュンイチに出来る事と言ったら……
 
 
「ダッシュ!!!」
「あ、ホントに逃げた!」
 
 こうして、世にも奇妙な追跡劇が幕を開ける事となった――――。
 
 
 
 
 ……………………
 …………
 ……
 
 
 所変わって、ツァイス市東北東に位置する『レイストン要塞』では――――
 
「うむ……今日の茶葉はダージリンか」
「ユリア大尉や姫殿下ではありませんが、こういうのも、たまには悪くないかと」
「そうだな――――人間、たまにはこういう息抜きも重要だな」
 
 司令室で呑気にお茶会もどきを開催しているオッサン3名(カシウス、シード、モルガン)が優雅に紅茶と茶菓子をつまむ光景………
 見ていて吐き気をもよおすのは多分筆者だけではないと見受ける。
 
 そして、カシウスが静かにカップに手を伸ばそうとした――――その時、
 
 
 
ドドォォォォンッ!!
 
 巻き起こった炎と爆風によって、彼が手に取るはずだったカップは消滅。
 注がれた紅茶も飛び散ってしまった。
 
 
「な、なな………何事だっ!?
「落ち着いてください将軍。――――警報が鳴ってない事を考えると、恐らくこの炎の出所は”彼”です」
「何……?」
 
 何のことだかさっぱり判らず、困惑するモルガン将軍の脇から――――
 
「すまないシード中佐……ちょいとノドが渇いたんで紅茶をちょっと貰うな!」
 
 勢いよく姿を現したジュンイチが、シードの両手に握られていたティーポットを奪い取り、蓋をはぎ取ると勢いよく中の紅茶を飲み干した。
 
「なっ、ちょ……ジュンイチ君!?」
「ぷっはぁ〜………生き返ったぜ。
お♪ ついでに小腹も空いたから茶菓子も貰っていくぜ♪」
 
 何がなにやら分からない様子のシードを尻目に、ジュンイチが茶菓子のクッキーまでしこたま口の中に放り込むと――――
 
「一体何事なのだジュンイチ君。何だかよほど切羽詰まってる様子だが」
「いや……話せば長くなるんスけどねぇ――――」
 
 切り出そうか切り出すまいか…悩み考えていた、その時
 
『カシウス准将!』
「ん、どうした?」
 
 司令室前のドアから、兵士……おそらく伝令役だろうか。
 その人の声が聞こえてきて、場の空気が一瞬にして引き締まる。が……
 
『あ、あの……先程、中央工房のエリカ・ラッセルという女性がこちらの方を訪ねられてきてるのですが、来訪のご予定は?』
「エリカ? ――――ああ、今日ツァイスに着くとは連絡はあったが、こちらを尋ねる話は来てないぞ……」
 
 面識はあるようだが、どうやら今回の来訪はお互い全くの予定外事項らしい。
 どういう事かと思考を巡らせていると………
 
「わ、悪ぃカシウスのオッサン! オレ、急用が出来たんでそれじゃ!!」
「お、オッサ………俺はまだ45歳だっつーの!!
 
 カシウスの悲痛の訴えもすでに届かず――――ジュンイチの姿はもう何処にも見あたらなかった。
 嵐が通り過ぎ去ったかのような室内で、呆然とするカシウス達だったが、モルガン将軍がようやくの事で口を開いた。
 
「な……何者なのだ、あの小僧は?」
「彼がシードの話していた”異世界からの来訪者”ですよ。――――ふむ。しかしなんだ……突然押しかけてきたジュンイチ君のいるこのレイストンにエリカも、か………」
「どういう事なんです、准将?」
「いや何……」
 
 
 
 
 
 
 
 
「エリカの悪い癖が、また一騒動おこしているだけだ」
 
 過去形な所に諦めを感じさせるカシウスの一言で場は再び静まりかえったが………
 ジュンイチが壊した壁とティーカップ、誰が弁償するんだろうか?
 
 
 
 ……………………
 …………
 ……
 
 
 
 
「はぁ、はぁ……はぁ…………ここなら大丈夫だろ」
「だからって、何も男湯の中に隠れなくてもいいんじゃないかい?」
 
 実に呆れた口調でマオ婆さんが風呂の入り口の前で促すが、ジュンイチはあれから一向に出てこようとしない。
 
「それに、そんな所に隠れててもすぐに見つかっちまうんじゃないかい?」
”判りきった場所だからこそ居ないだろう”って裏を突いてここに身を置いてるんだよ。
それに……ここは男湯だ。普通のご婦人ならここに足を踏み入れるのはちょっと躊躇ってしまうからな!」
 
 自信満々に告げるジュンイチだが、どこか情けない様に思えるのは気のせいではないだろう。
 が………
 
「ところがどっこい、こっちは普通のご婦人じゃないんだなこれが」
 
 
 
 
「…………………」
「…………………」
 
 
 
 
ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!
な、ななな何でフツーに足踏み入れてんだよアンタは!! 恥ずかしくないのか!?」
「そっちこそ何言ってるのよ。――――忘れたの? あたしはティータの母親よ?
子供一人産んだ母にとって、男のあられのない姿など今更どーってこと無いわ!!!
「…………母って強いね、ホント」
 
 しかしこれもまた威張って言えるセリフではないと思う。
 
(忍さんや鈴香さんがこの場にいないって事は……二人は外で待機か?)
 
 さすがのエリカも、お年頃の女の子を男湯に連れ込むのには罪悪感を感じたのだろう。
 単身突っ込んでくる辺りに”大人の女性”としての配慮を感じるが――――
 
(単身、ってのが無謀だったな――――!)
 
 
 迂闊に手加減をしようものなら、その隙を突かれて一気に攻め込まれるのがオチである。
 ……久方ぶりの気功技『雷光弾(スタンバージョン)』を、エリカに悟られぬように溜め込み、機会をうかがう。
 そして――――
 
「さっきも言ったが、オレはもうこれ以上カラダを好き勝手に弄られまくるのはイヤなんだよ。っつーわけで……」
 
 
 大きく振りかぶると、”それ”を一気に収束……
 
 
「さっさとおネンネして貰うぜ!」
 
 
 平成の怪物も、横浜の大魔神も真っ青の超剛速球!
 荒れ狂う紫電を纏った雷光弾は真っ直ぐにエリカの元へと迫り――――
 
 
 
「もう一つ忘れてない?」
 
 
 
 
 
 
 
 
「私が機械工学を専攻してるって事♪」
 
 
 雷光弾が、着弾前に爆ぜて……消えた。
 
 
 
「な、何っ?!」
「あらあら? ご自慢の技をあっさり破られて意外そうねぇ……でも確かにその気持ち、判るわ。
だから、特別にタネ明かし♪」
 
 
 そういってエリカは白衣を脱ぎ去ると、カラダに身につけた防護アーマーをジュンイチに見せつける。
 
 
「私が開発した、耐電防護アーマーよ。
翠耀石(エスメラス)をふんだんに使ったシロモノでね……周囲に微細な電子の幕を形成して『ライトニング』系の電撃アーツを無効化する働きを持ってるのよ。
とはいっても、まだまだ長期使用には適してない欠陥品なんだけど、効果はお墨付き♪」
「確かに……発展途上国に導力技術の指導に行くだけの事はあるわな。
知識や技術じゃラッセル博士よりも上かもしれない――――――――」
「フフン、判ってきたじゃない」
「だけどな――――――」
 
 
 自分の最も得意とする技を破られ、意気消沈するかと思いきや……
 ゆっくりと立ち上がるとジュンイチは高らかに宣言する!
 
 
「オレはそれでも、あんたの屍を乗り越えて強くなる!!
 
 
 
 
 何だか、話のベクトルが270度違う方向へ進み始めているような気がしないでもない。
 自信満々に告げるジュンイチだったが、それでもエリカは余裕の笑みである。
 その様子にジュンイチも思わず動揺する。
 
「な、何が可笑しいんだよ!」
「フフッ……」
 
 
 スッ――――――
 不敵な笑みを浮かべたまま、エリカは胸元のポケットから何かを取り出し、ジュンイチの前に突きつける。
 それは………
 
 
「ティータ生着替えのパンチラ(クマさんぱんつ)写真!」
「萌えぇぇぇぇぇぇっ!!」
 
 警戒心総崩れ。
 
 多分犬の尻尾があったらゴキゲンにフリフリしているであろうそのご満悦の表情でもってジュンイチはその写真目がけて飛びかかった。
 が……
 
「ソノ罪、万死二値スル!!」
「ギャ――――――――ス!!」
 
 だが、実の母として……何より、ティータファンの第一人者としてのプライドがそれを許さなかった。
 その身の持てる全ての力を総動員して繰り出された、エリカのガゼ○パンチ(左)がジュンイチにクリーンヒット。
 
 そしてめでたく、51分9秒という記録を残してジュンイチの”捕獲”に成功したエリカは意気揚々と彼を担いでツァイスへと運び――――
 
 
 その日の夜、ツァイス市にその日2度目の絶叫が実に10時間にも渡って木霊した。
 
to be continued...
 
次回予告
 
徹夜明けの”解析”を乗り越え、息も絶え絶えなジュンイチさん
 
……モウヤダ………ボクモウ、オウチニカエリタイ
 
な、何だか幼児退行まで引き起こしちゃってますね――――
 
うぅ……今回の依頼が料理関連なのがせめてもの救いだぞ。これでようやく休める
 
休むのも結構ですけど、ちゃんと頑張ってください♪ わたし達の料理が、ツァイスの郷土料理になるかもしれないんですから!
 
────まぢですか
 
次回、魔法少女リリカルなのはvs勇者精霊伝ブレイカー×英雄伝説 空の軌跡SCクロス小説
 
Triangle World 〜空を翔る英雄達〜 第16話『私の記憶が確かならば』
 
リリカル・マジカル!
 
……何ともまぁ、のほほんとした依頼だなぁ
 
 
 
−あとがき−
 
 とんでもない大暴走を繰り広げました(謝罪&爆笑)
 
 どうも、おはこんばんちわ。『心は永遠の14歳』────
 エリカさんにどう暴れ回って貰おうか、考えながら執筆してたら楽しくて仕方がなかったtakkuです。
 
 というわけでデュナムの魔法と剣術の正体、そして今後の行動詰め合わせという形で進めましたが………
 途中から”あの二人”の登場によって話の内容がシリアスから徐々にギャグっぽくなっていって────────
 最終的にエリカさんの登場によって完全なギャグテイストにw
 ……元々ティータちゃんのご両親は『空の軌跡 the 3rd』からの登場なんですが、忍さんや鈴香さん達とのコラボがどうしてもやりたくて出演して貰う事になりました。
 そのせいでとばっちりを受ける事となったジュンイチ君、ご愁傷様です(笑)。
 
 そんなエリカさんの最大の魅力は……メカニックとしての腕前よりも、ティータちゃんLoveなその言動と行動w
 特にSCで本格的に立ちまくったティータちゃんとアガットとのフラグ関係で、『3rd』では………いろいろあります(笑)
 
 これからエリカさんがどういう風にメンバーに関わっていくのか、乞うご期待です!!

管理人感想

 takkuさんからいただきました!

 もはや完全にマッド属性が天敵となったジュンイチ、ご愁傷様です。
 その上、もうひとつの苦手属性“母親キャラ”をも併せ持つエリカさんまで出てきては勝ち目なんぞカケラもないワケで。
 もっとも、そういうことを抜きにしたって、ジュンイチが不幸なのは当然なんですが(爆)。

 それはともかく、ブイリュウが合流したことでジュンイチのガス欠問題も解決。しかしレイジングハートは未だ療養中。
 《結社》の動向も気になるところですし、のんびりできる時にはのんびりしておいてもらいたいところです……ジュンイチはムリでしょうけど(笑)。