ジュエルシード………それは、遺失文明が生み出した太古の遺産。
 
触れしモノの願いを叶えるためにそれは存在し、数多くの亡者たちがそれを求めた。
 
だが、行き過ぎた”力”は手にしたモノを……そして生み出した世界そのものをも巻き込んで破滅をもたらした。
 
その”力”の源は、全部で21個………時空管理局が厳重に管理していた、それだけと思われていた。
 
だが───────
 
 
 
魔法少女リリカルなのはvs勇者精霊伝ブレイカー×英雄伝説 空の軌跡SCクロス小説
 
Triangle World 〜空を翔る英雄達〜
 
 
 
8月2日 A.M.10:33 場所…時空管理局所属 巡航L級8番艦 アースラ、ブリッジ
 
ジュンイチ「ちゃーっす」
エイミィ「おっ、来たね〜ジュンイチくん♪」
リンディ「ごめんなさいねジュンイチ君………わざわざあなたにまで来てもらって」
 
ブリッジに入室するなり二人の女性───アースラの艦長、『リンディ・ハラオウン』と
同艦執務官補佐兼通信手、『エイミィ・リミエッタ』からの歓迎を受け、おふざけで敬礼の動作をしながら少年、『柾木ジュンイチ』は二人の元へと歩み寄っていく。
 
ジュンイチ「しかし珍しいッスね、リンディさん直々の頼み事なんて」
リンディ「慢性的な人手不足だから……クロノやなのはさん達だけじゃちょっと心ともないのよ」
ジュンイチ「──────緊急の、しかもかなりヤバ目の任務ッスか?」
 
リンディの複雑そうな表情を読みとり、ジュンイチが代弁するように答える。
主観的になるかもしれないが、現時点でアースラが保有している魔導士3人の実力は自分自身かなりのものだと思っている。
その3人が協力すれば大抵の任務や事件はすぐに解決……最悪でも被害を最小限に食い止めるくらいはできるはずだ。
そんな彼らを持ってしても心ともないとリンディに言わしめる……そんな任務とは一体何ぞや?
複雑そうな表情を浮かべながらも、リンディは続いて説明する。
 
リンディ「単刀直入に言うわ──────ジュエルシードの登録抹消(ロストナンバー)品を確保してきてほしいの
ジュンイチ「……………え゛?」
 
思わず目が点になってしまった。
さすがに無理もないかといった表情を浮かべながら、エイミィが代弁するように説明を始める。
 
エイミィ「私達も、調査を始めて最近知ったんだけど……正規品として21個ある他に、試験用として作られた試作タイプが存在してることが判ったの」
リンディ「しかも試験用ということもあってか、正規品ではオミットされてる機能とかもいくつかあって、何より……内包している魔力の量もかなりのものらしいのよ」
ジュンイチ「どんなバケモノシードさんですかそいつは」
 
深刻そうにうめくリンディとエイミィの説明を聞くなり、皮肉の一言を漏らすジュンイチ。
恥ずかしい話だが、初めてジュエルシードの思念体と対峙したときもかなりのエネルギー量にびっくりした程だ。
量産品である21個のうちの1個であのパワーなのだ。オリジナルである登録抹消品の出力など考えたくもない。
しかし……そんな強力なロスト・ロギアがなぜ今頃になって管理局のチェックに引っかかったのだろうか?
いや、それよりも──────
 
ジュンイチ「発見した次元世界は海鳴の方か? それとも府中?」
エイミィ「どっちもハズレ。全く新しい第3の次元世界よ。────文明レベルとしては、ジュンイチくん達の世界で例えるなら
産業革命以降位かな? ただ、ミッドと同じで機械化された魔法技術もあるらしいから総合的にはあまり変わり具合はないかも」
 
未知の世界………
海鳴市ないしは府中市なら、堕天使絡みの問題もあったが第3世界ともなると別の問題が発生する。
それは、封印を誰に担当してもらうか? である。
諸々の事情により、現在21個のジュエルシードは二つの世界に分断されてしまっている。一方、味方メンバーの中で封印と回収を行えるのは────
海鳴市の現地住民にして、ごく最近まで普通の小学生だった少女、高町なのはと
彼女の友人にしてアースラ所属の嘱託魔導師の少女、フェイト・テスタロッサの両2名のみ。
裏を返せば、この二人のうち、最悪一人でもいないとジュエルシードを封印及び回収することはできない。
 
回収くらいならクロノでも十分にできるんだがなぁ…と心中でうめくとジュンイチは改めて聞いてみることにした。
 
ジュンイチ「回収には………なのはとフェイト、どっちを連れて行かせるんスか? 海鳴(あっち)と府中(むこう)のジュエルシードの事を考えると、両方連れてくのは難しいし……
クロノは封印に関しては門外漢だし。────まぁオレとしてはどっちでも構わないッスけど」
リンディ「あぁ……それに関しては────エイミィ?」
エイミィ「はい────登録抹消品ジュエルシード探索及び確保の人選その他諸々はこのディスクに入ってるから。後でしっかり確認しておいてね」
 
そういってエイミィはジュンイチに一枚のMOディスク(1.3GB)を渡す。
……書き込み対応のDVDが活躍してる今日びMOで渡すとは何とまぁマニアックな。
一瞬文句の一つでもいってやろうかと思ったジュンイチだが、この間ジーナが中古でノートと一緒にドライブを購入してたのを思いだし、まぁいいかと結論づけた。
 
ジュンイチ(R系メディアは痛みやすいからな。耐久性と確実性重視ってやつか)
 
何か違う気がするが………多分アドバイスはクロノあたりだろうと付け加えると、ジュンイチは大部分のメンツが集結している海鳴の高町家へと向かった。
そして、ジュンイチが去った後のブリッジでは、リンディとエイミィがさらに複雑な表情を浮かべていた。
 
エイミィ「………言えなかったですね」
リンディ「仕方がないわよ。言ったら言ったで絶対一人でやるって言い出すでしょうし……かといってなのはさん達の協力がないといくらジュンイチ君でも危険だし─────」
 
そう、二人の表情の裏にはこういう思いがあったから。
確かにジュンイチは”あらゆる状況を一人で切り抜ける”ということに関しては並の人間はおろか、そこらの魔導士すら遙かに凌駕する実力の持ち主だ。
そんな彼ならいざ知らず、サバイバル能力の低いなのは達だけでは危険度はかなりのものとなる。
だが、一方で”ジュンイチ単独”で行動する事についての危険性も、二人は懸念していた。
彼らが向かう次元世界は、そういうところなのだ。
 
エイミィ「その為のあの布陣ですから。後は………ジュンイチくん次第ですね」
 
訪れる沈黙が、二人の心を締め付けていた─────
 
 
 
同日 P.M.2:19 場所…Unknown
 
???「─────そろそろですね」
 
青白く光るカプセルを見上げ、男がつぶやいた。
男の眼前にあっても差し支えない程度の大きさの眼鏡が鈍く輝き、暗くよどめく室内で一層男の不気味さを醸し出している。
男は自らの杖を高らかに掲げると、”力”を発動。カプセル周囲の装置に干渉し、システムを解除する。
 
ややあって、カプセルの内部からは液体が排出され、中から浮かび上がってきたのは一人の女性の姿。
全身……特に顔の皮膚がひどく爛れており、本来の顔がどんなものであったかすら想像するのが困難なほどに腐敗していた。
だが、コレでも男の”措置”によってマシになった方である。カプセル内に放り込む前はまさに生きてるのが不思議なほどひどい姿だったのだから。
 
女性は薄い意識の中徐々に自我を取り戻し、ゆっくりと目を開ける。
 
男「気分はどうですか?」
女性「────えぇ、悪くはないわ。……それにしても」
男「?」
女性「……何故私を助けたの?」
 
男は女性の問いに対し、含みのある笑みを浮かべ一言告げた。
 
男「私の計画に、あなたの力が必要だったからですよ。あなたと、そしてあなたのもたらした遺産の、ね─────」
 
そう告げた後、男は声高らかに笑い出した。そう、すべての運命を狂わせる狂気の計画が、ゆっくりと加速し始めた瞬間だった。
 
 
to be continued...
 
次回予告
 
リンディさんから突如申し渡された突然の任務!
 
兎にも角にも、準備を整えたオレ達は颯爽と登録抹消(ロストナンバー)品目指して新たなる次元世界へ!
 
でもでもっ、ついて早々にいきなり現地の魔物に襲撃にあっちゃいました...
 
おまけにフェイト達とははぐれちまうし、どーなっちまうんだ?!
 
そんな折にわたし達の元に現れた、まっすぐで太陽みたいな人。
 
なにやら、果てしなく騒動の予感だぜ...
 
次回、魔法少女リリカルなのはvs勇者精霊伝ブレイカー×英雄伝説 空の軌跡SCクロス小説
 
Triangle World 〜空を翔る英雄達〜 第1話『乙女の決意』
 
リリカル・マジカル!
 
突然の出会いに、オレのハートは燃えまくりだぜっ!

管理人感想

 takkuさんからいただきました!
 元々がクロス作品である『なのブレ』にさらにクロスという荒業! ……まぁモリビトも何作かネタを抱えてる身ですけど(爆)。

 モリビトは『空の軌跡』は未Playだったのですが、これを機に勉強してみようかとゲーム屋へ。PSPの中古で『FC』を見つけたので購入。
 そして「『SC』と世界観つながってなかったらどうしよう」と戦々恐々とする今日この頃。それじゃダメじゃん。