チャンス到来ってヤツかしら。






 凄まじくドス黒いオーラとエネルギーを放つトラルーに一瞬で撃墜されたファーヴニル。


 彼の手元から離れたスターセイバーは、放物線を描いて私の目の前の地面に突き刺さった。


 もちろん、プレダコンズだけでなくディセプティコンにも渡せないのだから、私が回収するより他にないでしょうけど。






 「させるとでも思っているのか?」






 その言葉と共に目の前に出てきたのは……マスターギガトロン!


 しまった…トラルーの大暴れのどさくさに紛れてこっちまで来ていたのを見落としていたようね…!


















 ……私がマスターギガトロンにマトモに戦っても勝てないのは百も承知。


 なら、マトモに戦わなければいい。


 つまり……





















































 「あぁっ!向こうに、まさかの柾木ジュンイチ!!」












 「柾木ジュンイチだと!?」











 今ね。





























 流星落りゅうせいらくもどきっ!!」


 「ぬがっ!?」






















 あらぬ方向を指差して大ウソをついた私の声に反応、迷うことなく私に背を向けたマスターギガトロンに対し、


 私の"力"で重力を一点に集中させた踵落としをお見舞いした。ヤツの脳天に直撃した手ごたえもあった。


 ちなみに、"星の剣"ということで"星"繋がりの技名を頭の中で検索したら、何故か柾木流格闘術の技が出たので真似事でやってみたり。


 とりあえず、自分の頭の周りのお星さまでも拝んでなさい。























































 「とある魔導師と守護者と機動六課の日常」異聞録






 「とある旅人の気まぐれな日常」






  第11話:剣の行方、決着…?





















































 止めようにも、割り込む勇気が出ない。











 それが、今の私の正直な気持ち。


 相手の発言で明らかに機嫌を悪くしたトラルーだけど、いくらなんでも様子がおかしい。


 スターから話を聞いてみれば、なんでもトラルーはユニクロンと同一視されることが人殺しをしたくなるほどに嫌いらしい。


 で、よりにもよってプレダコンズのメンバーと思われる相手から嫌味タップリな口調でそういうことを言われ、一気に爆発した…と。







 でも、いくらなんでもキレるのが早すぎる気がするけど…。







 「ちょい待ちだよフェイト」







 どうしたの、アリシア?






 「お姉ちゃんとしては、以前ジュンイチさんを相手に、

  無意識の内に非殺傷設定を解除したような人には言われたくないと思うなー」








 …………そこを言われると何も反論できないよ…。











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 一言、言わせてくれ。

















 どこの辻斬りだよアイツはっ!?
















 「その暴れっぷりは、辻斬りか、はたまた殺戮の修羅か…。

  暴走した己の感情のままに道行く先の者をなぎ倒す。ソイツの名は、トラルー」


 「おお、なんかどっかのナレーターっぽいよスター!」


 「イメージボイスは誰が良いかのぅ?」














 そしてそこのお仲間×3!


 あたしらの中でトラルーのことをよく知ってる筈のお前らが放置でどーすんだよっ!?


 スターもイテンもビコナも、頼むからマジメにやってくれよ!?










 「しかしのぅ、もはや暴れん坊将軍を連れてきても手がつけられない気がするし…」


 「そんな状態のトラルーを相手取って大ケガするよりかは…」


 「気が晴れるなり"ガス欠"するなりで止まってくれるのを離れて待ってた方がよっぽどいいワケで…」










 ダメだ。もう頭が痛い。


 コイツら、トラルーが暴れん坊将軍状態になってから全然やる気出してないし。


 ていうかそもそも、イテンに至ってはまともな戦闘すらしてないよな…?













 「…………役立たずどもめぇぇぇぇぇっ!!!」





 『げッブぁ!!!』











 いい加減頭にきたので、ギガントフォルムのアイゼンでアイツら3人をまとめて叩き潰した。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











 エボリューションによって更に危険度が増したと見えるトラルーは、


 撃墜されたダメージで既に失神寸前なファーヴニル先輩を追い打ちをかけて踏み潰し、こちらを睨みつける。


 説明に補足を入れなくてはならないことが1つ。


 さっきまでは顔がうつむき気味だったのでよく分からなかったのだけど、彼の目は今、血のようなツヤ消しの紅色。


 血走っているどころの話ではない。目つきもどこか凶暴だ。









 「『ダークコマンダー様は下がっていてください。

   彼は僕がここで倒しておきますから』」


 「よせ、完全に本調子ではない君の手におえる相手では…」









 ダークコマンダー様には触れさせない。


 それに、放っておけば遅かれ早かれこちらにも甚大な被害が出る。


 ならば、とるべき道は2つ。


 1つは、スターセイバーを諦め、すぐにでも転送で撤退すること。


 もう1つは、今ここで彼を倒すこと。





 けど、ダークコマンダー様の計画遂行に、スターセイバーを初めとする神器の存在はかなり重要らしい。


 ならば、僕がとるべき道は1つしかない。


 トラルーを倒し、安全を確保した上でスターセイバーを回収する。


 いくらユニクロンの力を持つとはいえ、さすがにプラネットフォースまで使うほどの相手とも思えない。


 よく言うじゃないか、「当たらなければどうということはない」とか。


 そう、どんなに凄まじい破壊力でも、当たらなければ驚異とはなりえない。


 幸い、回避自体は難しいワケじゃない。大丈夫。









 「ぉああぁぁぁぁっ!!」


 「『くっ!?』」






 ……読みが甘かった。


 エボリューションによって上昇したのは、何も破壊力だけじゃなかった。


 機動力にまで磨きがかかっている。エボリューション前よりも更に速い。いや、いくらなんでも速すぎる。


 距離が開いていたから辛うじて回避できたけど、ミドルレンジぐらいの距離ならほぼかわせない。


 しかも、それだけのスピードを出しての突撃だったのに、回避されても難なく方向転換して襲い掛かってくる。


 とてもじゃないが、僕の"基本スペックだけで"どうにかできる相手ではなさそうだ。








 「『ダークコマンダー様』」


 「どうした?」


 「『すいません、命令を守りながら任務を遂行することは、もはや不可能であるかと』」


 「待て"Xカイ"、まさか…」







 ダークコマンダー様が若干動揺しているようにも思えたけど、残念ながらそれに対処できる余裕はない。


 けど、やるからには短期決戦だ。


 さすがに、以前ジン君と戦った時のような全開戦闘はできそうにないことぐらいは分かっているから。








 「『アインスアームド・ファングストライザー。

   プラネットフォース・アニマトロス――イグニッション』」







 僕の声に導かれ、アニマトロスの刻印が刻まれたユニクロンのプラネットフォースが飛来。


 アーマーのスロットに入り込み、力を解放する。


 その力によってアーマーの一部の形状が変化、全体的に猛獣を思わせるたくましくも荒々しい姿へと変わる。攻撃力が大幅に向上した姿だ。


 以前、ジン君に対しても使ったこの力。彼との戦いでは引き分けに近い形で終わったけど、今回は完全な勝利で終わらせる。


 同じくプラネットフォースの力で向上した敏捷性をもって、剣を構えてトラルーへ接近する。









 「『冥府の果てに沈め――ケルヴェロス・ファング!!』」


 《――マスター自身のエネルギーの変質を確認。更に私のシステムデータとして登録された為、スキル名称の設定が必要です》









 僕が振りかざした剣を、トラルーは(いきなりよく分からないことを言いだした)右手に持つツインランサー状のデバイスで止める。


 ……いや、違う。僕が押されている…!?


 プラネットフォースの力で、馬力だって向上しているというのに…それすらも上回るのか?


 ありえない、あのユニクロンの力を宿したプラネットフォースの力を受けた今の僕が、パワー負けしているとでも…!?








 「『バカな…』」


 《マスター、スキル名称の設定を》







 方針を変えて、小刻みな動きからの連続攻撃ならどうかと試してみるも、


 今度は圧倒的すぎるスピードであっさり弾かれ、逆にカウンターをくらってしまう。


 しかも一撃でかなり飛ばされた。なんとか持ち直すけど…ヤツも追ってくる。


 空中での斬り合いになった。








 剣とデバイスの刃が何度もぶつかり合う。


 だが、次第に僕が一方的に直撃をもらい始めた。


 気づけば、体中に次々と傷ができていく。


 まだ、切り結び始めてから数秒の筈なのに…あっという間に僕は防御すらできず、やられ放題になっていた。


 何度目かも分からない斬撃でアーマーのあちこちが壊れてきた。


 そして衝撃がやんだかと思うと、僕はデバイスで叩きつけられ、地面に叩き落とされた。















 落下の衝撃からか地面を転がっていく僕。








 それを見つけ、獰猛で凶暴な叫び声をあげながら迫ってくるトラルー。











 《マスター、スキル名称の設定を》


 「……スキル名称、設定。名称は――」















 辛うじて彼の姿を見た瞬間――












 「――ディープ・ルインド!!」















 ドス黒いオーラとエネルギーに包まれたデバイスの刀身が勢いよく振り下ろされ――




















































 僕の体を徹底的に痛めつける大爆発が起きると共に、力を解放する為に僕の"中"にあるプラネットフォースが砕かれた。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 なん…だと…!?







 「『まさか……プラネットフォースが……砕かれるなんて……』」


 「……くたばれ、クズ野郎」









 トラルーは爆発の後もまだ意識が残っていた"Xカイ"を冷徹な瞳で見下ろし、


 何の躊躇もなくデバイスの刀身をもう一度叩きつけて爆発を起こし、今度こそ撃墜してしまった。


 それだけではない。


 まさか、マトリクスの力を使わずとも、ユニクロンのプラネットフォースを破壊してしまうとは…。


 これはさすがに予想外だ。再び破壊されるとは思ってもみなかった。


 マトリクス以外にも、プラネットフォースを破壊できる力があるとは…。










 「……てめぇも死ぬか?」









 そういえば、私も彼の感情を逆なでしたことを思い出した。


 このままではられる。


 "Xカイ"もさすがに重傷だ、ここは撤退するしかないだろう。


 スターセイバーは惜しいが、ここは諦めるしかなさそうだ。








 「これでも……くらっとけっ!!」







 勢いよくデバイスを投げつけてきた。


 だが、万が一のことを考えて転送の準備は整えてある。


 急いで"Xカイ"を回収し、デバイスが当たるよりも前に転送でこの場を離れる。









 しかし……これはいささか致命的な計算違いだな。


 計画を練り直す必要があるだろうな…。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 チッ、ダークコマンダーは逃げたか。


 さりげなくあの霊子生命体ソウル・ファクターも回収していったけど、まぁあっちは徹底的に痛めつけてやったからしばらくは戦えないでしょ。


 うん、それぐらい痛めつけたって自負してる。下手しなくても殺す気満々で攻撃したし。


 ていうか頑丈だねアイツ。この前僕をブチキレさせたチンピラどもなんか、「イーッ!」で有名などっかの戦闘員よろしくほぼ即死だったのに。







 ひとまず、今回は撃墜×4、粉砕×総数不明、謝るべき人×2(クレアとイリアス)ってことでいいか。


 久々に「殺す気で」大暴れした分、だいぶスッキリしてきた。


 ……ストレス発散法、もっと探した方がいいかなぁ…。







 《さすがにス○ブラだけで沈静化しきれるほど平和な堪忍袋でもないでしょう?》







 だよねぇ、やっぱり…。








 さて、まだ戦闘は終わってない。まだディセプティコンが残ってるんだし。


 …………あれ、若干2名、暴れん坊モード中に叩き潰した気がするけど……まぁいいや。


 えっと、イグナイテッドさんや、ディセプティコンの方はどうなってるん?









 《ショックフリートがスターさんとベクターメガトロンによって撃墜、

  ジェノ兄弟は暴れん坊モード中のマスターに撃墜されましたし…》








 あ、叩き潰したのってジェノ兄弟だったか。


 いやー、暴れん坊モード中については、どうも記憶がおぼろげになるからイカンねー。










 《ブラックアウトは現在、六課の閃光の女神が応戦してますし、

  バリケードらフォワード4人については"星の剣"の斬撃を受けて攻撃不能になってますね》









 あぁ、ファーヴニルがオマケ間隔で切り捨てたんだっけ。










 《残るマスターギガトロンは現在、ヴェルヌスや六課の後方組と"星の剣"の争奪戦の真っ最中です》













 え゛ーっ?


 もう腹ペコでパワー出ないんだよぉぅ。


 僕のエネルギータンクはもうエンプティなんだよぅ。
















 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











 なんか、敵を1人(巻き添えも含めれば相当な数だけど)叩き潰したらオーラも頭の羽らしき光も引っ込んで、


 ひとまず元に戻ったっぽい。


 トラルーって、情緒不安定なのかな…?







 …………フェイトさんと出会う前の僕みたい、とか思ったのはここだけの話。








 でも、戻ったら戻ったでいきなり座り込んじゃった。


 なんか、デバイスとあーだこーだと話してるみたいだけど、なんか急に力が抜けちゃったような感じ。


 さっきまで何者も寄せ付けない破壊力と殺気を放っていた人と同一人物とは思えない。








 「あー、アレはきっと"ガス欠"だな」







 気づけば僕の近くに来ていたのは、この前もお世話になったスターさん。


 あれ、ついさっきヴィータ副隊長に潰されたんじゃ…。


 って、そこじゃない。分かるんですか?






 「まぁ、かなり長い付き合いだからな。

  それはともかく、今トラルーはエネルギーがスッカラカンな状態だ。

  オレみたいにアイツと付き合いの長い連中は"ガス欠"って呼んでるけどな」







 つまり……さっきの大暴れでエネルギーを使い切っちゃって、うまく戦えないってことですか?







 「そういうこと。

  その辺のザコは一瞬で掃除してもらえたワケだし、あとはオレたちで乗り切るしかないだろ」






 そう言いつつ、スターさんは右手にライフルのような武器を構える。


 確かに、なんか敵の数がいつの間にか減ってるのは分かるんだけど……1人でってことを考えるといくらなんでも減りすぎじゃ…。







 「やりきるしかないんだよエリオくん!それに、まだマスターギガトロンが残ってるし…」







 そうだった、キャロの言うとおり、まだ1番厄介で手ごわすぎるマスターギガトロンが健在だ。


 ブラックアウトはフェイトさんが引き受けてくれているからいいとして、僕たちはこっちをなんとかしないと。











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











 さて、さすがにこれ以上あのハンマーでのオシオキはくらいたくないし、


 トラルーは"ガス欠"起こしたワケだし、オレたちも本腰入れてかからないとな。


 ていうか、イテンはいい加減にひと暴れしないと見せ場ナシで終わりそうなんだけど。








 「はうー、それは言わないでよー」








 なんか本人から抗議が来たけど、残念ながらオレたち精霊組の中で唯一戦果を挙げてないのだから聞き流す。


 赤い副隊長さんもその辺ツッコんでたし。








 「でも、今という状況はチャンスといえばチャンスでおじゃるよ?」







 そう言いだしたのは、トラルーが暴れん坊モードに入る少し前に撃墜数3を確保したビコナ。


 ていうか、オレは君があんな技を持ってることの方にいろいろツッコみたいんだけど、後にした方がいいよな、うん。






 「今、スターセイバーは誰の手に渡ってもおかしくない状態。

  ここで誰よりも早くアレを確保すれば、撃墜数がなくともそれを帳消しにできるだけの戦果にはなると思うでおじゃる」







 確かに、スターセイバーはヴェルヌスとマスターギガトロンの間に挟まれる位置に突き刺さってる。


 ていうか、マスターギガトロンって噂以上にタフだな。重力を局所的に集中させた踵落としを脳天にくらったのに。


 それはともかく、つまりスターセイバーは今フリー状態。


 うまくすれば他の全員を出し抜いてスターセイバーを確保できる。


 ……確かにチャンスだな、特にイテン向きな。








 「ちょるぁーっ!」


 「むっ!?」


 「あら?」








 それは本人も分かったみたいで、既に行動に移してた。


 いつの間にかカリーシュダイブで潜行し、スターセイバーのすぐそばに飛び出す。


 あとはあの特技の副作用であるかまいたちがマスターギガトロンやヴェルヌスの他、スターセイバーに近づいていた面々を後退させる。


 スターセイバーを掴みとり、空高く掲げて――











 「スターセイバー、獲ったどーっ!!」










 どっかのモリを片手に海の生物と死闘を演じるバラエティ芸人の如き雄たけびをあげた。


 多分、トラルーが仕込んだんだろう。アイツ結構好きだからなー、ハマ○チェさん。


 「マッ○ル、マ○サル!」とかで有名なあの人だよ。地球で言うと木曜日夜7時からの伝説番組の人だよ。











 「小娘、それをよこぐはっ!?」










 まぁ、当然の流れといえばそれまでだけど、


 空気をぶち壊そうとしたマスターギガトロンには、ブロウクンファントムでぶっ飛んでもらいました。


 ライフルモードのルディン連射でもいいけど、オレは少々射撃の命中精度に難があるからなー。


 ここはイテンの安全と確実性を重視して、ブロウクンファントム。


 やっぱ、トランスフォーマー相手でも威力あるな。顔面クリーンヒットってのもあるだろうけど。










 霊魂れいこんはやて』『雷電らいでん』解放――」










 気づくと、ビコナの右手の扇子から疾風が、左手の扇子から雷が現れ、それぞれが龍の形になる。


 魔法陣は展開していない――少なくともミッドやベルカの魔法じゃなさそうだ。


 そういえば、地球には魔法以外にも妖術や魔術(魔法とはまた違うらしい)があるってトラルーが言ってたっけな。


 多分、ビコナの技はその類だ。









 風雷双龍闘舞ふうらいそうりゅうとうぶ!!」










 ビコナの次の声に応えたのか、風と雷の龍がマスターギガトロンに襲い掛かる。


 どこのシャン・トウロンだよオイ。属性といい放つ手の位置といい、ソックリじゃないか。


 (自分の元ネタ的な意味で)懐かしさすらこみあげてきたんだけど気のせいか?




 などと思う間にも、龍はマスターギガトロンめがけて飛んでいく。


 ヤツもパワードデバイスを起動させて迎え撃つけど、龍はその触手をかわし、砕き、悠々とマスターギガトロンに迫る。










 「小娘1人のパワーとは思えないが…まぁ、高町なのはのような例もあることだし、今回は素直に引き下がるとしよう。

  だが、いずれその剣も、このオレが貰い受ける」










 よくあるパターンな捨て台詞を残したマスターギガトロンは、


 ジェノ兄弟やショックフリートを回収して合流してきた、ブラックアウトらディセプティコン残存メンバーと一緒に転送魔法で撤退。


 プレダコンズは主にトラルーとビコナのおかげで戦線維持を諦めて既に撤退したみたいだし、


 これでひとまず一件落着だな。











 「いや、まだ完全には解決していないぞ」











 もはや歩く気力すら使い切ったか、そう言ったトラルーはヘッドウィングモードでイグナイテッドに運んでもらう形で追いついてきたところ。


 一言だけツッコませてもらうけど、どこぞのミスティックでハイパーチェンジな2号ロボのようなシュールさを感じる。


 まぁ、それはそれとして、どういうことだ?








 「実は、ある意味でむっちゃグレイト肝心な問題が未だに放置状態なのだ」


 「何それ?」


 「まだ何かあるでおじゃるか?」







 トラルーの言葉に、スターセイバーを持ったイテンやビコナも食いついてきた。


 他の六課メンバーなんかも同様に視線を集めてくる。


 オレも気になるし、尺の問題もあるから、単刀直入かつ手短にな?












 「じゃあストレートに言うけど、真っ先に解決しないといけないこと。

  それはズバリ――」

























































 「スターセイバーという名前をどうするか、ってことなんだよね」













































 『……は?』













 トラルーからの言葉に、この場にいるほぼ全員が目を丸くした。


 例外といえば、ビコナと、フェイト以下機動六課隊長陣。


 あれ、マイクロンについてはあまり知らないのに、これには何か心当たりでも?










 「うん、実はさっきから私たちも気になってたんだ…」








 代表して答えるのは、巷で有名な白い魔王。








 「魔王じゃないもんっ!」









 噂通りなリアクションはいいから。









 「ひどいっ!

  ……って、そうじゃなくて、気になってたんだけど、その剣と全く同じ名前の人が、この六課にいるんだ」





 「エリオたちも忘れたワケじゃないでしょ?

  隊長陣のトランスフォーマー組、シグナムのパートナーのスターセイバー」



















 『あ』































 ……存在自体を忘れられたワケじゃないんだろうけど、すぐに疑惑に出してもらえない辺り、


 少し出番について気にした方がいいんじゃないか?


 オレはふと、その守護騎士のトランスフォーマーな方のスターセイバーに対してそう思った。













































(第12話に続く)

































 あとがき




 "星の剣"は機動六課に舞い込む形となった今回。

 うん、剣がちっとも活躍できてないなぁ。その分、トラルー他うちの子たちが目立った形ですが。



 新たに判明した、トラルーのプラネットフォース破壊能力「ディープ・ルインド」。

 詳細について語られるのは第2クールに入ってからになりそう(第1クールは残り1話ですけど)。

 ちなみに、元ネタは紫のメダルのコアメダル破壊能力だったりします(ぁ)

 合わせて、DarkMoonNightさん、プラネットフォース破壊してごめんなさい(マテ)



 で、次回は"星の剣"の名前ネタがひとまずの決着を迎えるお話になります。

 ○○○が妙案を打ち出すのでお楽しみに。


管理人感想

 放浪人テンクウさんからいただきました!

 冒頭からヴェルヌスが素敵すぎる(笑)。
 あっさり引っかかったマスターギガトロンですが……よく考えたらコイツ、10年前にもジュンイチに同じ手でやられてるんだよなぁ(爆)。

 イテンの黄金で伝説なシャウトと共にスターセイバーは六課に。
 転生前から縁のあるカオスプライムにとっては朗報……しかしその前にまず名前のダブリ問題が残ってましたね。
 とりあえず次回で決着として……ようやく出られるか、ヴォルケンズの方(苦笑)。

 さて、どういう決着になるか……名前が英語表記ならこんな苦労もなかったのになぁ……
(『GM』シリーズ版のスターセイバー(ヴォルケンズ)のスペルは『savior=救済者』(注:公式は『saber=刃』)なのです)