改めて話を聞いて、スターさんは思わずぶったまげましたとも。
なんでも、マイクロン3体が合体した剣と、かつて総司令官として活躍したトランスフォーマー。
その双方が、全く同じ名前なんだっていうからビックリだ。
現在、オレやトラルー、イテン、ビコナ、バグジェネラルにソナーまで加わって、
機動六課の会議室にフォワード以上の主だったメンバーが全員集合。
もちろん、オレたちの宿の面倒まで見てくれた親切な部隊長もしっかりと出席。
あ、オレたちも当面六課の宿舎に入ることになったんだ。部隊長を経由して、寮母のアイナさんに話を…って感じで。
部屋割りについては現在アイナさんが誠心誠意をこめて検討中らしい。良識あふれる寮母さんだから、シュラバスキーが食いつきそうなことはなさそうだけど。
で、部隊長の左右に並ぶ形で、ビッグコンボイ以下ヴォルケンリッターのトランスフォーマー組一同(約一名除く)が。
そして、会議室の中央にわざわざ作られたお立ち台。その上には――
「何故、このようなことに…」
合体剣となるマッハたち3体と一緒にそれぞれの椅子に座る、元総司令官な方のスターセイバーの姿があった。
「とある魔導師と守護者と機動六課の日常」異聞録
「とある旅人の気まぐれな日常」
第12話:緊急開催!ネーミングコンテスト?
「それでは、これより緊急会議を始めるでー」
うん、お題がお題なだけに、部隊長殿もイマイチ真剣になれないっぽい。
気持ちはよぉく分かるからその辺は不問にするけど。
部隊長殿の後ろの壁には、ご丁寧に「緊急企画!ネーミングコンテスト!」なんて書かれたボードがあるし。
ボードの端っこの方にかーなーり小さい字で「byヴぇるぬす」(誤字にあらず)って書いてあるから、犯人はモロバレなんだけど。
アレがパソコンとかで変換なしのローマ字入力で打ち込んだそのままな字なのも、きっとワザとだろう。
ていうか僕の隣に堂々と出席してる時点で、隠すつもりは全くないよね。
「なんのことですかぁ?にぱ〜♪」
大事なことなので2回言う、隠すつもりは全くないよね。
「みぃ、トラルーは冗談きついのですぅ」
ついさっきの戦闘で赤い副隊長を相手に、散々ボケ倒したあの3人と長年お友達なのは伊達じゃないよ。
一時期はお笑い芸人目指そうとか言いだした人が若干1名いるけど、まぁそれは頓挫したとも。
誰だったっけね?僕と二人で「水色らりほーコンビ」なんて名前で芸能界デビューしようとか言いだした人は。
「やめてー!それは私の黒歴史だからやめてくださいお願いしますー!」
「ふぉぉ!?スター殿、イテン殿が急に土下座したでおじゃるよ!?」
「そっとしとけ、大方トラルーにイタイところをツッコまれただけだろうから」
自覚があるならよし。
「恨みとかあるのですかぁ?」
「ないよ」
恨んでなんていませんとも、ええ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
いきなり「名前考えよう」なんて言われても…。
「いいから考えなさいスバル。
多分、ここにいる全員が同じ気持ちだと思うから」
だよねぇ、ティアの言うとおりだよ。
でも、すぐに出たりしないよぉ…。
「とりあえず、合体剣か騎士か、どちらかだけでもいいんですよね?」
「せやね、どっちでもいいから別な名前をつけられればええんやけど…」
「大まかな特徴が似たり寄ったりだからやりづらいですね」
エリオもキャロもお手上げ。八神部隊長も難儀してるみたいだし…参ったなぁ。
あず姉とかは何かない?
「うーん、そうだなー。
じゃあ、合体剣の方を『セイリュウエンゲツトウ』と名付けてみたらダメかな」
なんか強そう!
「それはそれで中国の有名なおとぎ話の武器とごっちゃになるでおじゃるよ?」
え、ビコナは何か知ってるの?
「まぁ、詳しくは『三○志』で調べてみることじゃ。
ていうか、武器の形状としてもイマイチしっくりこないでおじゃるよ」
「合体剣は柄が短いけど、セイリュウエンゲツトウは柄が長い薙刀タイプだもんねー」
「分かってて言ったんですか…」
うーん、ビコナの教えてくれた言葉、前にお兄ちゃんから教えてもらったことにすごーく引っかかるなぁ…。
それとティア、あず姉についてはそういうのは珍しくないから慣れないとダメだよ。
「ほほー?スバルぅ、それはいったいどういうことかなぁ〜?」
あっ、あず姉ごめん!私が悪かったから許して!
お願いだからレッコウでスイングしようとしないでおねg
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
……スバルがあずさに"葬らん"されるのを尻目に、僕たちガイア・サイバトロン組もあーだこーだと論議中。
チータスやラットル、ブレイク辺りはいろいろと案を出してくれてはいるが、
残念ながらどれもマトモに提案できるようなものじゃない。
たとえば……守護騎士の方にスターリーとか。
うん、さすがにその手のことであの人が納得するようにも思えないし…。
かといって合体剣の方は、トランスフォーマーにとっても伝説として語り継がれているから安易に改名できないし…。
困ったなぁ。
「そういうライオコンボイは、何か名案はないの?」
スタンピー、名案があるくらいならとっくに出してるさ…。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「というワケで、誰か妙案はないものかね」
ドクターからお話があるっていうからあたしら姉妹全員集合したんだけど、お題はなんと名前決め。
話によると、ワケあって六課内部に「スターセイバー」って名前の存在が2つあって難儀しているらしい。
片方でいいから何か別な名前でも出ればいいんだけどなーってノリでこっちにも話が回ってきたとか。
なんか、ドクターに話を振ってきた霞澄さんが妙にニヤけていたらしいから、多分何かしら企んでるねアレ。
しっかし、名前ねぇ…。
「うーん、いきなり名前出してって言われても難しいッスねー」
「確かになー」
「しかも、両方トランスフォーマーだってなると、尚更…」
ウェンディもノーヴェもディエチも既にお手上げっぽい。
ちなみに、クア姉は既に参加意欲なし。興味なしって雰囲気が嫌というほど伝わってくるので全員で放置。
トーレ姉やチンク姉、セッテなんかは真剣に考え込んじゃってるけど、アレは多分迷宮入りしそうなパターン。
ウー姉やドゥーエ姉、双子についてもお手上げっぽい。
……スターセイバー……星の剣……ほしのけん……
!!
「はいはーい!アイディアありまーす!」
「なんだい、セイン?」
ふっふっふ、これは妙案かと!
――「妙案」発言中――
『ぶっ!?』
……アレ、あたしがその「妙案」を話した途端、クア姉まで含めて全員が一斉に吹いた。
あたし、おかしなこと言った?
「いや……他にアイディアもないことだし、我々からの案はそれでいこう…。
確かに妙案だぞ…?」
……チンク姉の言葉に、それぞれで何かをこらえながらみんな納得してる。
納得してるならいいんだけど…。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「はぁ〜い、会議中の皆さん、霞澄ちゃんですよ〜」
結局、みんなが「いいね!」ってなるような案が何一つ出ないまま時間ばかりが過ぎていた。
マンネリに入りだしたかなーと思っていたところで、ジュンイチの母親にして安定したエロネタ発生源・霞澄さn…霞澄ちゃんがやってきた。
ジュンイチからの縁で、柾木家…というか柾木一門っていうのかな。その辺のメンバーとは一通り顔見知り。
いろんな人から影が薄いと思われているだろう橋本とも交流はある、と補足しておく。一応。
まぁ、それはともかくとして、どうしたの霞澄ちゃん?
「トラルー君、よくぞ聞いてくれました!
みんなが難儀しているみたいだったから、ちょっとナンバーズの方にも考えてもらえないかって声をかけてたのよ」
マックスフリゲートに集中してるから、さぞかし効率よく召集できただろうなぁ。
ナンバーズの内、6番の子にはイテンと似た何かとトキメキを感じたのはいい思い出。内心アバレキラー化したりしたよ。「ときめくぜ」って。
って、また脱線してるっちゅーねん自分。
「でね、やっぱり向こうも苦戦したみたいなのだけど、満場一致で推薦された案が1つあるの。
それがね……」
続く霞澄ちゃんの言葉に、いよいよ出席者一同、特に本題そのものである元総司令官なスターセイバーもくいつく。
「ヴォルケンズの方のスターセイバーに対して…」
「……『ホシケン』という名前が与えられたわ!」
『っ!?』
ほ、ホシケンだと!?
アレか!?
オ〜レ〜、オ〜レ〜、ホ・シ・ケ・ン・サンバ〜♪ってか!?
は、腹が痛い!それはあまりにもウケ狙いすぎでしょ!セインってばなんちゅー名前を!
どっかのサンバを歌う将軍様スタイルな歌手じゃないんだから!
ただでさえメダルのライダーの映画で共演して、ネタが蔓延してて時には本気で笑い転げたのに、その熱が再発するじゃないの!
「ホシ、ホシ、ホ、ホシケ…っ」
「あ、あのトランスフォーマーに、ホシ、ホシケンって…っ」
思いっきり腹を抱えながら笑い転げているのは、僕だけじゃなかった。
チラッと見えたのは、同様に腹を抱えて大爆笑し、床を転げまわるビコナとスターの姿。
うん、ビコナはもうちっと自重しようか。和風ミニスカだから、おパンツ見えるよ?
イテンは……さすがは似た者同士というべきか、しきりに「なるほど」とかいってうなずいてる。
ただ、僕ら以上に症状が深刻そうなのが六課側に数名。
まず、赤い副隊長はもう転げまわることすらできないほどに悶絶してる。相当ツボにきたようで。
あずさにスバル、ロードナックル、リイン曹長、イリアス、チータスやラットル、あと(意外にも)クレアは僕ら同様に腹抱えて床を転げまわり悶えてる。
うん、ジンには黙ってた方がいいかねぇ?少なくともクレアも転げまわる組だったっていうのは彼的にショックな絵になりかねないし。
個人差こそあれど、殆どのメンツが笑いをこらえるのに必死。
例外といえば、このネタの破壊力が理解できそうにない、ベクターメガトロンにカオスプライム、ビッグコンボイ、ハルピュイアの4名ぐらい。
ちなみに、ホシケンという名が出た途端にどっかに隠れた劣化…じゃない、烈火の将については……
ホシケンさんの名誉の為と心理的救いという意味で黙っておきます。
寡黙かつ冷静沈着であることに定評のあるザフィーラやアトラスですら笑いをこらえて悶絶するのだから、
このネタが僕らにもたらしたインパクトの大きさは分かってもらいたい。
ないわ。仮にも真面目な改名話なのに、ネタ味にあふれるソレはないわ。
全員がどうにか笑いをこらえ、大なり小なり落ち着いてから、採用するか否かで多数決。
その結果……とりあえず「覚えやすいし分かりやすいから」という理由で満場一致で採用されることに決定。
採用決定と共に「ホシケン」と書かれたTFサイズのたすきがかけられた元総司令官なスターセイバー改めホシケン。
彼がその瞬間に見事な「OTL」の形を作って崩れ落ちたのは……まぁ、言うまでもないね、うん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ジェノスクリーム及びジェノスラッシャーは、しばらくは再生カプセルの中でおとなしくしてもらうしかありません。
再生が済んだあとも、再生したパーツがなじむのに時間がかかります。当分は出られませんね」
「ショックフリートはまだダメージが浅かったので、2〜3日もあれば復帰できるかと…」
「そうか」
現在、オレたちは撤退し、アジトの中。
その中に設けたメンテナンスルームから出てきたブラックアウトとバリケードは、オレにそう報告してきた。
負傷したメンバーの中でも特に重傷な3人は再生カプセルに入れるハメになった。
ショックフリートもなりに重傷だが、特にジェノスクリームとジェノスラッシャーだ。
あの二人を一瞬でここまで痛めつけるとは、トラルーめ…。
「しかも、それがヘッドオンなしってのがなぁ…」
「一応、普段は過剰なくらいにリミッターがかかっているようだが…」
ブロウルがぼやくのも無理はない。ヤツの言うとおり、トラルーはヘッドオンもせずにジェノスクリームたちに一瞬で致命傷を与えた。
あの破壊力をそのままにヘッドオンまでされると、ますます物騒なことなのだが、そこはまだいいだろう。
レッケージの言うとおり、普段はあれほどの破壊力は出せない。意識してかそれとも無意識のうちか、かなり大きなリミッターをかけているようだからな。
以前まみえた時には、アイツは機動力と加速性、そして"光学系・物理系を問わない"防御力に特化していることが伺えた。
もっとも、それだけでもこちらの全員とタイマンをはれるほどの戦闘力を発揮してくるのが厄介だがな。
さて、"星の剣"は機動六課に預けたようなものだ……だが、まだ何も終わってはいないさ。
ビコナの話によれば、マイクロンが3体合体する神器には、他にも"銀河の盾"と"宇宙の銃"なるものが残っているというじゃないか。
寧ろ、これからが始まりとなる。三種の神器を巡る、熾烈な争奪戦の……な。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あの、誰でもいいからこの状況を説明してください。
神隠し事件もどうにか落ち着いて、六課に戻ってきた僕たち。
で、ひとまずはやてたちに顔を見せようとでも思って六課の部隊長室に入ってみれば、
キレイなまでの「OTL」を描いて崩れ落ちたまま微動だにしないスターセイバーと、必死になだめているシグナムさんとリインの姿があった。
これには僕だけでなく、ジンもマスターコンボイもイクトさんもジュンイチさんも唖然。
いやホント……何があったのさっ!?
「……恭文、それにみんなも。まぁ、こっちはこっちで厄介なことになっとるっちゅーことや…」
「いやだから、どーゆー風に厄介になってるのかを教えてもらいたいんだけど…」
「あのスターセイバーが崩れ落ちたまま立ち直れないなんて、相当大変なことになってんじゃ…」
はやてもなんか深刻そうな顔してうつむいてるし、ジンもジュンイチさんもちょっと不安げ。
とりあえず、かいつまんででいいから説明してマジで。
「ホシケン……この私が、ホシケン……」
「あー、いや、賛同してしまった私が悪かったから、少しは立ち直ってくれないと業務に差し支えるのだが」
「シグナムの場合、賛同してしまった時点でいろいろと手遅れだと思うです」
……ホシケン?
……ところでさ、嫌な予感がするんだけど、どっかで聞いた音楽流して何してるのかなトラルー?
「サ〜ンバ、み〜んなサァ〜ンバ〜♪ホ・シ・ケ・ン・サァ〜ン〜バァ〜♪
オッレェッ!!」
…………マ○ケンじゃなくて?
(第13話に続く)
<次回の「とたきま」は!>
トラルー「六課に正式合流でっす!
次回からは第2クールってことでいろいろ変わる!?ていうか初・次回予告!」
スター「これからは六課が拠点になるんだな、オレたちも」
イテン「ふと思ったんだけどさ、六課の人たちもマイクロンと交流してたってホント?」
ビコナ「記録を見ると、主にGBH戦役からのメンツがそうなるでおじゃるね」
イテン「じゃあさ、なんであの人たちより移民船団の子供たちの方が少し詳しく知ってるの?」
ビコナ「へっ?」
スター「あー、そりゃ確かに」
トラルー「ていうかね、その子供たちが何かやらかしちゃうみたいなんですけど?」
第13話「定着と新コンビと幕開け」
あとがき
"星の剣"については行方も名前もひとまずの決着となって第1クールが終了。
第2クールからは、戦闘面では本格的なマイクロン争奪戦へと発展していきます。
トラルーたち精霊一派は機動六課に正式合流。彼らの拠点も六課の隊舎ということで落ち着きました。
次回の第13話からは第2クール、ラストの恭文たちのシーンでわかると思いますが、この時点で「とコ電」直前くらいの時期になります(少し強引な時間調整)
まぁ、実質的な休暇の日数がそんなにないですし……ねぇ?(無茶ブリすんなよ)
第2クール以降に影を落とす、"銀河の盾"と"宇宙の銃"。ただ、後者については俗称を考えるのに少し悩みました。
何しろ、正式名称を英訳すると「宇宙飛行士の銃」だったからなぁ…(遠い目)
ていうか、同じ名前の光線銃をバ○・ライト○ヤーが持ってたのに少し驚いたりもしたけど、それはともかく。
モリビトさんやDarkMoonNight様を初め、関係者各位には第2クール以降もお世話になります。
管理人感想
放浪人テンクウさんからいただきました!
……セイン、ぐっじょぶ(笑)。
かくてインパクト絶大な名前に改名されたスターセイバー(騎士)。ご愁傷さまです。
かわいそうだけど楽しいから助けないけど(マテ
>シュラバスキーが食いつきそうなことはなさそうだけど。
それはモリビトに対する牽制ですか?(笑)