《やぁ、僕パルス!》





 『フツーに喋ったぁぁ!?』













 うん、僕も驚いた。よもや、覚醒した時からそこまでの言語能力を発揮するとは。


 ウィーリーたちだって、子供たちとの交流が長かったから、やっと…ってくらいだったのにさ。


 イレギュラーだねー、いろんな意味で。
















 《僕、コビーのパートナー!これからよろしくね》


 「あぁ、うん、よろしく…」









 あまりもの元気っぷりに、パートナー確定となったコビーはタジタジ。


 まぁ、僕ら全員、ポカーンとしてるワケだけど。













 《Shout out 型に はまらない 自在なmovement 何も怖くはない

  Shout out もっと 海のよう でっかく構え Wake up そのポテンシャル!》















 そんな僕の思考を現実に引き戻すは、ちょっとだけ懐かしい「シャッシャッシャウタ!」なアレの着メロ。


 ちょうど「ポテンシャル!」ってところを歌い終えたところでケータイの通話ボタンを押す。


 もすもす?















 《ふふっ、番組が終わろうとも同じ着メロで通すなんてぇ、ブレないですねぇ》









 はっはっは、「水色でやわらかいヒーローっていったらコレ」って言って納得したのは君自身じゃないのさ!







 《そうでしたぁ。

  おっと、それより、近日中にジャンク屋に来ていただけますか?》






 君が話すってことは、ギガントボムのところってことでおっけい?







 《えぇ、そうです。

  依頼された件で、お伝えしたいことがありますので》










 ……ちょうどいい、グッドタイミングだよ、レルネ。



















































 「とある魔導師と守護者と機動六課の日常」異聞録






 「とある旅人の気まぐれな日常」






  第14話:時の電車とジャンク屋と太陽剣












































 さて、僕がジャンク屋に赴く話をする前に、まず話しておきたいのが、機動六課に舞い込んできた電王の方々。


 正式には、六課と協力体制にあって、「ミッド・デンライナー署」ってことになってるんだけどね。


 オーナー……もとい、デカ長さんが相変わらずなノリで、大いに結構です。


 ……で。













 「気づいてねぇのか、恭文?」


 「だから何が?」


 「キンタロスが……」

















 「この手の説明話に、居眠りしないで参加してやがる……っ!?」



 『《…………そういえばっ!?》』



 「え!? そこは驚くところなのか!?」










 回想がここからなのは、僕らが遅れて合流したらその辺の話になってたから。


 いろいろとゴタゴタしてさー。おかげで恭文たちの高ぶりっぷりを目撃しそこなっちゃったよ。







 「あ、ホシケン発見!」


 「電王の人たちってノリいいから、マ○ケンサンバならぬホシケンサンバで洗脳できるかもな」


 「なんだぁ?ホシケンって?」









 と、そこである意味で無関係だけどある意味で関係あるツッコミを始めたのはイテン。


 ホシケン、ツボってたのね。


 でスターさんや、のっけから何やら不吉なこと言いだしたね。案の定モモタロスが食いついてきたし。


 それでウラタロス、気になってるっぽいから聞くけど、


 まだ君らにはネタバレしてないと思うんだけど、心当たりアリ?









 「……そこの、スターセイバーのことなんじゃ」











































































 間。




















































































 『《サァ〜ンバ♪みぃ〜んなサァ〜ンバァ〜♪ ホ・シ・ケ・ン・サァ〜ン〜バ〜♪


   オッレェッ!!♪》』





 「もうやめてくれ……」










 トラウマになっていたか、即答的な勢いで崩れ落ちたスターセイバー改めホシケンを尻目に、


 イマジンズと精霊一派、あとパルスのコラボによる「ホシケンサンバ」が部屋全体に響き渡りましたとさ。


 よかったね、これで「ホシケン」がミッド・デンライナー署内部で共通の公式名称になったよ!















 「トラルーって、時に外道になるでおじゃるね」














 はっはっは、ビコナさんや、何を今更。














 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











 明けて翌日、午前中はオービットからの宅配指令に従事。


 ノルマを早めに終えてさっさと六課に戻ってみたところ、


 そこでモモタロスとリュウタロスまで加わって「ホシケンサンバ」が大流行しつつあったのに内心で驚きつつ。


 尚、ホシケンご本人は未だ慣れないか、今回も崩れ落ちていた。


 リュウタロスはその辺も含めて面白がっていたけど、まぁ彼なら仕方ない。












 もちろん、いろんな意味で














 さて、本日はちょいと変則的なスケジュール。


 ひとまず部隊長殿から許可を得て、僕はお供数名と一緒にギガントボムのジャンク屋へ足を運ぶことになっている。




 で、そのお供は、スターにイテンにビコナのおなじみトリオに加え、バグジェネラル、ソナーのパートナーズ。


 更に、話してみたら案の定興味を示したコビーにバド。ローリもなんだかんだでその辺の趣味がある……ていうか結構オタク化してる。


 この前、パルスに文化の一部を紹介しようと、彼女チョイスで見せたDVDが殆ど戦隊ものやらロボットものだったのがその証拠。


 こーゆーところでもトリオになれるかね君らは、などと思ったりもするが、それはともかく。




 移民船団トリオ&パルスを連れてく関係上、今回は付添人としてクレアとイリアスも同行。


 最初はクレアも興味津々なことに疑問はあったけど、ジンの補足によると彼女も機械いじりが好きとのことで納得。


 ドラゴエクスブレイカーのスキャニング元になったというSFジェットも不明瞭な部分が多いので、


 せっかくだから解析に協力してもらえるか交渉したいって理由もあるけど。


 移民船団の共通戦力であるバルキリーシリーズとも違うらしいし、もしかするともしかするかもしれない?








 まぁそんなこんなはありますが、本題はレルネとの連絡で出たもの。


 前にもふれたけど、実はギガントボムには僕とスターがイテンのいた研究施設で見つけたレリックケースの解析依頼をしている。


 発見時には既に空っぽだったことから、ただ単に捨てられたか、或いは…ってところはひとまずおいとく。


 問題は、機能がちゃんと生きているかどうかってこと。生きているようなら、ゆくゆくは…。








 おっと、結論を急ぐ理由はない。


 ギガントボムに直接聞かなきゃね。あと、レルネはどれほどまでになったかね。


 え、レルネって誰かって? あぁうん、まぁジャンク屋に着いたら改めて…ね。








 「……ホントにジャンク屋に預けてたんだ、あの子…。イテンちゃんビックリ」


 「まぁ、アイツはアイツで機械好きだしな」


 「へー、どんな子だろ?」













 イテンの言葉にスターとコビーからそれぞれの反応。


 そう、レルネは今、ギガントボムという優秀な師匠が住むジャンク屋に身を寄せているのである。













 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆














 ……よし、"OMOTENASHI"準備完了。












 「なぁレルネ、のっけから不吉極まりない表記の文字が見受けられたんだが?」






 あはは、冗談キツイですよギガントボムたま。


 トラルーたまから依頼された"アレら"についてと、ボクが個人的に開発してた"コレ"の性能テスト。


 その双方を兼ねているからこその表記であって、決して他意だとかそういうのは決してありませんから。


 間違ってもどこぞやの白い冥王みたいな言い回しじゃないです。









 「よし、そうなんだな、その白い冥王の受け売りみたいなモンだな、うん」








 だから違うと…










 《Anything goes その心が熱くなるもの 満たされるものを探して》










 おや、この着メロは……もしもしカメよカメさんよ〜









 《よっし、着実に染まってるね…やぁレルネ、数時間ぶり》








 はい、数時間ぶりです。


 こちらは無事に準備完了です、先ほど連絡のあった他のお客さんも一緒に、どうぞどうぞ…










 《それなんだけど、ちょっと予定時刻より遅れそうなんだ》










 おや、それはなぜに?











 《いやー、今ね、かの有名なイマジン軍団の端くれどもとドンパチしてる真っ最中なんだ、申し訳ない》











 えっ……














 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆















 「ったく、ボウフラみてぇにウジャウジャ出てきやがって…!

  だがな、オレ様たちにかかればコイツらだって徹底的にクライマックスだぜぇ!」











 電王・ソードフォームとなったモモタロスが、ソードモードのデンガッシャーを豪快に振り回しながら群れに突撃。


 文字通り片っ端から、群れを成す昆虫型イマジンを次々と切り捨てていく。





 モモタロスはボウフラ呼ばわりしたけど、コイツらは見た感じゴキブリっぽい。


 某探偵ライダーの敵に同じモチーフの敵がいたのでそっちからとって「コックローチイマジン」と仮に名づけて対応。


 ただ、個々の耐久力的なものは微々たるもので、デンガッシャーの一撃でご臨終。


 その代わり、人型の割に妙にすばしっこく、ぶっちゃけ気色悪い。











 「エリオくんにまとわりつく悪い虫は、私が許さないから!

  フリード、ブラストレイ!!」










 ……かたや、「娘に近づく悪い虫め!」的なセリフと共に相棒の龍から放たれた炎で、


 片っ端から消し炭にされてたりもしますが。よかったね、エリオ。将来の嫁候補はとってもたくましいお方だよ。











 ……一方で。











 『ひぅぅぅぅぅ〜…』










 完っ全に縮こまって遠めの壁に退避し、出てくる気などカケラもないのが約二名。


 うちのイテンとビコナです。


 あの子たち、ゴキブリ苦手なの。


 ビコナは見た瞬間から拒絶反応示すし、イテンに至っては実害付きのトラウマまである。


 ただ、あのトラウマはゴキブリじゃなくて、クモだったんだけど……アレ、タランスはフツーにブッ飛ばしたこともあるよね?









 「アレはクモじゃないもん、金属生命体だもん」








 イマジンだって、表現としてはアレだけど、妖怪みたいなモンよ?


 これはこれで怖い言い方だけど、倒せば欠片も残らないし。









 「トラルーは台所の悪魔の恐怖を知らないからー!」


 「乙女心にゴキブリは天敵みたいなものでおじゃるよー!」









 イカン、2人が涙目になった。これじゃ僕が悪いみたいじゃん。








 「いや、恐怖心を逆なでしてる時点で弁明の余地はない気しかしないんだけどなオレは!」








 ライフルモードのルディンで次々と敵を撃ち落としながらそうツッコんでくるスター。


 うーん、やっぱしぃ?


 ……ゴメンね?









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 あー、ここまで多いとめんどくさくてかなわねぇや。


 良太郎、とっとと必殺技ぶちかまして終わらせるぞ。いいよな?





 〔あ、あぁ、うん……でも、油断だけはしないで〕





 はっ、クライマックス突入中のオレを、あんなのが止められるワケねぇだろうが。


 青坊主たちはまだ来るまでにかかるみたいだしな、ちょいと早いが終わらせるぜ。














 でねぇと、せっかくナオミちゃんが用意してくれた特大プリンを亀と熊とハナタレ小僧に食い尽くされるだろーからな!













 〔な、なるほど……〕












 ライダーパスを取り出し、ベルトのバックル部にかざす。











 《Full Charge》














 オレがパスをかざしたことで反応したベルトから、赤い光が剣に集まる。


 さぁて、今回は薙ぎ払うか。














 「必殺っ!オレの必殺技……パートV」












 剣の赤い部分が飛び出し、オレが横に振れば横を薙ぎ払うように飛んでいく。


 左に、右に、次々とザコどもをブッ飛ばす。そしてトドメは……ちょいとばかしデケェヤツに真上からだ!













 〔……相変わらず豪快でハデだね〕










 ま、それこそがオレの持ち味だしな。


 ザコどももだいぶ数が減って、ちったぁ……














 「噂通り、必殺技の後は隙だらけだな!」












 だぁぁぁっ!?


 いきなりベルトが消えたぁぁぁ!?













 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 オイ。


 なんか電王がベルトとられて変身解除したぞ。










 「ゴキブリってば素早いからなぁ……カサカサ動いて気色悪いしさ」









 気色悪いってのはマジだろうな。


 でなきゃ、某豪獣神のトライデントモードよろしくシュートフォルムに切り替えたイグナイテッドを、


 これから害虫駆除に乗り出すかのような冷徹な目で構えたりしないもんな。


 ただなぁ、オレたちはうかつに動けない。だって、今オレたちが動いたら、イテンとビコナが完全に無防備になっちまうから。


 ソナーやバグジェネラルも頑張ってくれてはいるが、さすがにマイクロン単体の攻撃力じゃ厳しいか。








 「ったくよ、今回は大豊作だな」








 そういうと、コックローチイマジンの本体は懐から2枚のパネルを取り出した。







 オイ。












 「ぬぁにマイクロンパネルなんぞ持っとるんじゃオンドゥラァァァァ!!」




 「だぁぁぁぁっ!?」














 そう、ヤツが取り出したのはマイクロンパネル。


 見えた瞬間にトラルーがシュートフォルムのイグナイテッドで発砲、ヤツを撃ち殺そうとしたのも無理はない。


 だって、イマジンにマイクロンの力が使えるようになったら、余計にややこしくなるしかないだろう?


 ていうか、ユニクロン絡みのトラウマえぐられてもいないのに天元突破したのは久々だな。















 「あ、あの、大丈夫なんですかあの人!?」
















 心底怖いって感じの声色で良太郎がそう尋ねてくる。


 まぁ大丈夫だろ、今回はピンポイントでアイツだけ仕留めるだろうし。


 それに、柾木一門みたいに周辺被害ガン無視ってワケでもないし、アイツに一任しとけば大丈夫だ。


 それになんだかんだで事情聴取とかにも、柾木一門と違ってさっさと応じるさ。















 「ジュンイチく…さんと何かあったんですか…?」













 良太郎、トラルーもそうだったけど、オレもね、まずお前が柾木ジュンイチと何かあったのかを聞きたいんだけど。


 なんでいちいちジュンイチを君付けしかけてさん付けに直してるんだっての。












 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 おっかねぇな、あの水色坊主。











 「はたから見ると、いつもの先輩みたいな感じもするけどね?」


 「とにかく相手を叩き潰す。その一点でのみ動いとるところはソックリやな」


 「あははー、モモタロスったらバカにされてるー♪」









 うっせぇぞそこっ!!







 「でも、本当にピンポイントね。あのイマジン…それも本体だけを正確に追いかけて、

  周りのものは何も壊さずに追撃を加え続けるなんて」







 アイツの暴れっぷりにそういうのはハナクソおんn……イタイイタイイタイイタイ!!







 たのむ、たのむからコブラツイストは勘弁してk……








 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













 「あ、モモタロスの意識がログアウトしたな」










 ちょっ、大丈夫なの!?


 僕は不安で不安でしょうがないんだけど!?









 《気にしてたら負けだぜー、クレア?》


 「だよなー、ぶっちゃけアイツらのノリってハンパないし」










 いや、あの、なんでイリアスもスターもそこまで平然としてられるのかな?










 「スターさん的には、チータスたちと浅からぬ縁なのにあのノリについていけない君に疑問だけどな」










 …………。










 「あ、クレアが沈黙した」


 「え、うそ、そこまで難問だったか今の!?」











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 ねぇパルス。あのパネル、色からすると、もしかして……







 《おぉ、さすが僕のパートナー!そうだよ、あの2枚は僕の仲間だ》







 やっぱり。


 この前、クレアさんやジンさんが話してくれた情報によると、マイクロンの中には3体合体するものもいるんだとか。


 更にトラルーから聞いた話も照らし合わせると、同じ色のパネルが3枚あればそれは合体するマイクロンである、ということも分かった。


 ただ問題は、この手のマイクロンは完全に向こうの意思でしか覚醒できないってこと。


 何かしらの干渉で目覚めるってことは…








 《できるよ》








 えっ!?










 「お兄ちゃんったら、忘れてるよー。

  それこそトラルーの話にあったじゃんか」









 バドが人差し指を立てて左右に振りながら……俗にいう「チッチッチ」ってヤツをしながら、僕に言う。








 「同じ色のパネルから覚醒するマイクロンたちは、"自分たちの共鳴でも目覚める"って言ってたじゃん」







 バドが言い切ると同時に、パルスが独特な音を……いや、音色を発し始めた。


 その音色に反応するかのように、あのイマジンが持ってるパネルも輝き始める。そして…飛んできた。


 パルスを中心に集まるように、あの2枚もこっちに飛んできたんだ。











 《ほう、お前たちがパルスが見入った人間か、面白い》


 「えっ…」


 《オイラもパートナーできるのか〜?》


 「な、なになに?」














 パネルから声が聞こえる……ローリとバドに向けてるみたいだ。


 そして……パルスが目覚めた時と同じように、凄い光を放った。







 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 《オレの名はレーザー、パルス共々世話になるぞ、お嬢》


 《オイラはビーム、まぁよろしくね〜》







 マイクロンの覚醒でちょっと頭冷えました、トラルーです。


 パルスと同様のノリで、レーザーと名乗ったジェッター似のヤツがローリを、ビームと名乗ったシャトラー似のヤツがバドをパートナーに認定。


 尚、どちらもエッジだのフィンだの、形状変化が目を引くのはパルスと同様。カラーはクリアイエローが基調なのも含めてね。


 さて、ローリはまさかホントにそうなるとは思わなかったかポカーンとしてるけど、


 バドはあっさり順応、ビームと手を振り合ったりなんだりしてる。


 パートナーさえ決まってしまえば、奪われる心配はなくなる。コックローチにはさっさとベルトを返してもらおうか。










 「ふざけるな!」










 逆上したコックローチが、残ってるダミーたちを呼び集めて大群を作った。


 弱ったね、これをピンポイント突破するのはめんどいぞ。







 《心配ご無用、僕ら3人そろって、太陽剣!》


 《早速やるのか、アレを》


 《がってんだ〜》







 パルス、レーザー、ビームの3体が同時にジャンプ。







 《さぁコビー、ローリ、バド!揃って「エネルゴンセイバー」と叫ぶんだ!

  僕らがすごいもの見せてあげるから!》


 「え、あ、うん!分かったよパルス。いいよね、ローリもバドも!」


 「後でキッチリ説明してもらうからね、レーザー!」


 「なんか分からないけど、頑張れビーム!」









 うん、この3人はノリがいいから話が早くていいね。乙女なローリが意外といえば意外かもだけど。











 『エネルゴン、セイバー!!』











 3人の、実に息の合った叫びに応えてパルスたちが同時に変形開始。


 パルスは両腕と両足、胸飾りをたたんでビークルモードの形へ、ただし機首部分はロボットモードのまま。


 レーザーは両腕・両足をたたみ、胸部カバーを背中側に倒して完全にビークルモードへ。


 ビームは一度ビークルモードになり、ロボットモード時の脚部にあたる機首部分を伸ばし、左右に展開。


 3体が背中を見せる形で、上からレーザー、パルス、ビームの順に合体。スターセイバーとよく似たプロセスの合体剣となる。


 しかしながら、各所のモールドやエッジなどの追加パーツのおかげで外観の印象は違う、夜明けのような輝きを放つ大きな剣。













 《《《さぁ、我らが1つとなった太陽剣の力で、道を切り開くがいい!》》》











 パルスたち3体が同時に喋ってでもいるのか、3人分の声が太陽剣というものから放たれる。








 「ね、ねぇ…」






 どうしたよ、クレア?






 「も、もしよかったら、だけど……その剣、僕が使ってみてもいいかな…?」






 そうか、振ってみたいか、やってみたいか。ということだけど、どうするよコビー?








 「うーん、僕らは戦闘要員じゃないしなぁ」


 「結構重たそうだし、私はパス」


 「振り回されたくないから、練習してからがいいよぉ」


 「……じゃあ、クレアさん、お願い」








 コビーも自信がなかったか、ローリとバドからの相次ぐパス宣言に乗っちゃって、エネルゴンセイバーはクレアの手に。


 合体時に限り、その場の戦闘要員の誰かが使うっていう扱いでいいかな。


 マッハたちと違って、パルスたちには正式なパートナーもいるしね。









 「……これが、合体したマイクロンの力…」








 クレアがエネルゴンセイバーを握りしめると、剣からすごいエネルギーが伝わったのだろう。


 心底感心しているようだね。で、早速のところ悪いんだけどさ。








 「剣を振るなら早くした方がいいよ?

  でないと逃げられる」


 「あっ、そうだった」









 案の定、僕からツッコまれるまではその点に気づけなかったクレア。まぁ、これも時代の流れかね?


 それはともかく、深呼吸して気持ちと共にエネルゴンセイバーを構えなおしたクレア。


 マグ○モン似のアーマーってのもあって、割としっくりくるね、この組み合わせ。











 「……いくよっ!」









 気合を入れた掛け声と共に横なぎに一閃。それだけでバリア役のダミーたちが吹っ飛んだ。


 太陽の如き灼熱の熱風が、アイツらをブッ飛ばしたんだ。なるほど、輝きと熱風から「太陽剣」なんて名づけられたワケね。








 《スゲェなクレア!これなら一気に!》


 「あ、でも、とられたベルト巻き添えにしたら…」


 「そこは心配ご無用だ!」









 トドメを刺すには、まずデンオウベルトを取り返さなきゃならない。


 イリアスをなだめつつ敵を見つめるクレアだけど、そこはスターが対処してくれた。


 ルディンをハンマーモードにして奇襲、ハンマー攻撃をおとりにしてとび蹴りして、ベルトを奪い返した。


 さすがはスターだ、僕の戦友と言って張り合うだけのことはある。さ、これで心置きなくいけるよね?











 「うん、大丈夫。スターは早く離れて!」


 「おう!」


 「……フィニッシュ決めるよ、お願いねエネルゴンセイバー」


 《《《任せておけ!》》》










 厳密にいうと、3体の人格が統合されているらしい。


 3人分のボイスで1つの意思を放つエネルゴンセイバーからの力を受け取り、クレアもまた夜明けのような色の輝きを放つ。











 「必殺――プランティアブレイズ!!」











 夜明けのような、暁のような……そんな輝きをまとったエネルゴンセイバーの斬撃が巨大な真空波となって敵陣へ。


 ダミーごと本体も真空波の餌食となり、揃いに揃って爆散したのだった。











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「では、僕たちはひとまず六課に…」


 「ゴメンね、なんか助けてもらっちゃう形になっちゃって」


 「まぁ、お互いにとおりすがっての敵襲ってのもあったし、気にしなくていいんじゃないか?」






 良太郎とハナが、電王組の代表でお礼に来た。


 とはいえ、スターの言うとおり、これはお互い様なケースだったから貸し借りナシってことで。





 電王組は今回のゴキブリイマジンとの戦闘を報告、情報整理の為に機動六課へ。


 僕たちは引き続き、ギガントボムとレルネのいるジャンク屋へ。













 『うわぁ…』







 と、いうワケでやってまいりました。


 レルネが居候するようになってからは多少整理されたみたいだけど、いつみてもジャンクパーツの巣窟だよねここ。


 はい、ギガントボムが現在の根城としている、彼のジャンク屋本部です。


 ジェネラルライナーまでの5体の列車型トランステクターをまとめて収納、メンテできるだけのスペースがあることからも分かるように、


 結構広いんだよねーここ。地下空洞を利用したものだけどね。


 そして案の定、コビーたち3人が圧倒されております。まぁ、元々がトランスフォーマーサイズだしねぇ。










 「……なんだ、オレたちの他にも客がいたのか?」


 「見慣れない顔ばかりね」


 「でも、確かこの前、良太郎から来てたメールにあったよ、この人たちの写真」










 …………先客かな、桜井侑斗とデネブのゼロライナー組、あと金髪の巫女さんがいた。
















 あぁ、電王がいるんだからゼロノスもいるのは分かるんだけど、この巫女さんは何者?













































 (第15話に続く)

























 <次回の「とたきま」は!>





 レルネ「あぁ、ついにトラルーたまと再会できるのですね〜!」


 スター「……お兄さんに正直に答えてごらん?

     いったい何をどうしたら「ご主人たま」的な愛称で呼ばれるようになるんだトラルー?」


 イテン「何かいかがわしいことでもしたんじゃ…」


 ビコナ「事と次第によっては、いくらトラルーでも…」


 トラルー「待てい! 気持ちは分からなくもないけど、その不審者を見るような目で僕を見るのはやめろぉ!?」









 第15話:裏の出会いとジャンク屋と大乱闘









 ギガントボム「……どうしてあぁなった…?」




















 あとがき



 お出かけメンツと電王組が共闘したお話。

 時期的には、「とコ電」第2.5話くらいのタイミングとなっております。

 (つまり、第3話のわんこ騒ぎよりは前)

 ……今回、電王についての説明シーンの一部とリンクしましたが、ホシケン関連について「とコ電」本編でどうされるかはモリビトさん次第です(マテ)



 駆け足っぽさは否めないものの、エネルゴンセイバーが覚醒。最初はクレア嬢にバシッと決めていただきました。

 あと、今回のゲスト敵キャラであるコックローチイマジンについては……イテンとビコナの弱点を露呈させるキッカケになってたり。

 まぁやっぱり、誰にでも怖いものはあるってことで(ぇ)



 次回は、現時点で名前と口調ぐらいしか判明していないレルネが遂に本格参戦。

 予告で若干触れていますが、トラルーとは難儀な事情でつながっております。

 その辺についても次回で明かされる予定です。


管理人感想

 放浪人テンクウさんからいただきました!

 ホシケンサンバ、イマジン組にも洗脳完了。ネタ振り、確かにいただいたぁっ!
 と、いうワケでスターセイバー(騎士)、貴様は今後存分に泣くがいいっ!(←いぢめっ子スイッチON)

 意外にすんなり入手したエネルゴンセイバー。
 特定の使い手が決まったワケじゃないし、恭文やマスターコンボイが振ることもありえるかな?

 そしてモリビトの頭から完全に消え去っていた(酷)ギガントボムが本格登場……非常に小夜さんやリインと気が合いそうなお嬢さんもいますけど。
 つか、ゼロライナー組出たぁぁぁぁぁっ!? 意外な形でミッド入りしたな、コイツら。
 というか、前回「ギガントボムのところに“レリック”のケースが」というネタを聞いてから思いついたルートそのままにミッド入りしたことにちょっとビックリ。あの……自分、電波飛ばしてないですよね?(苦笑)