「私たちの……」


 「デバイス……ッスか?」


 「そうだ」






 次元世界対抗の総合戦闘技能大会、通称「アレス」への参加メンバー募集ということでこの二人にも。


 さすがにゆーちゃんに参加させるには忍びなさすぎるので、今回はセコンド役に。


 で、戦闘メンバーとして白羽の矢が立ったのが、みなみちゃんとひよりん。




 ライナーズの一員として戦った手前、戦闘技能がないワケじゃないけれど、


 最大の問題は、私が持ってるアイギスのような、個人のデバイスとバリアジャケットがないこと。


 一応、相手によってトランステクターを使用するか否かを選べるシステムらしいけど、


 だからってトランスフォーマーでもないのにゴッドオン限定ってのもアレだなーってことで、


 急遽レルネって子に二人専用のデバイスを作ってもらうことに。











 ちなみに、レルネ本人は嬉々として受け入れてくれました。











 …………トラルーのお財布という、大きいような小さいような犠牲を払うことで。











 「デバイス作ってくれたらトラルーが目いっぱいご褒美してくれる」という口実を使ったら、一瞬で釣れた。


 ゴメンねトラルー。財布に冬が訪れたって、心の春はきっと終わらないヨ!












 「それはそれで、結構ヒドイ気も……」


 「さすがにあんまりじゃないッスか、泉先輩?」









 気にしたら負けだよ。





























































 「とある魔導師と守護者と機動六課の日常」異聞録






 「とある旅人の気まぐれな日常」






  第19話:鍛錬と戦力増強と武勇集結















































 どうも、レルネです。


 さて、読者の皆さんには、少しだけ時間をさかのぼっていただきまして。
















































 ―こなたとスカイクェイクがひよりん達と合流する1日前―











 《創主レルネ、ガメッセから通信が届いております》












 イマジン&プレダコンズの偶然な同時襲撃が収まり、さてトラルーたまの為のレモンティーセットを用意しようとしたところで。


 秘書プロトから、何やら顔なじみな相手から通信が来ていることを知らされた。


 ガメッセから……となると、あの子しかいない。










 《では、通信をつなげます》


 《どうも、ガメッセです。我が主より、急を要する案件があるとのことで》


 「急を要する…ですか?」











 ふむ……ガメッセに大きなダメージでも受けたのでしょうかね。


 とにかく、その案件とは?














 《後ほど送る人物のデータをもとに、デバイスを2基作れ》













 簡単に言ってくれますねぇ、あの子も…。


 以前ガメッセを作った時に、ボクが一夜漬けなどとは比べ物にならない睡魔に襲われて1日寝込んだというのに。















 《デバイスを作れって要求を拒否するってノリはないんですね》


 《商魂たくましいですな》











 ふっ、プロトもガメッセも甘いですよ。


 最近は生業候補として試験的に商売してますしねぇ。


 その辺のノリが癖になっちゃって、断るに断れないのが悲しいところで。


 さて、データの方は……?














 《私を中継して、これからアルテミス殿より送っていただくと》













 アルテミス?













 《ギガントボム様のお得意様、スカイクェイク様のパートナーですよ、創主レルネ》













 あぁ、そうでしたね。











 「忘れるなよ。オレの大事なお得意様のパートナーなんだからな。

  それと、デバイスの開発は構わないが、ちゃんとマスター登録できるように調整しておけよ?

  パンドラはテレパシー機能と引き換えにその辺のステップを省略したせいで、誰とでもパワード・クロスできるという危険性があるんだからな」













 そ、それは承知しておりますですよ、ギガントボムたま……。あは、あはは。














 《何やら報酬として、トラルー殿からしこたまご褒美してもらえるとか。

  主と泉こなた殿の共同プランらしいです》












 よっしゃー!やりますよー!!














 《あぁそれと、これはトラルー殿より。

  『万が一、変な趣味に突っ走った奇怪作品を作ったら、オシオキとして"メイド・オブ・マサキのトラップフルコースの刑"に課す』とのことです》















 キィ〜ヤァ〜!!それだけは、それだけはご勘弁をぉぉぉ!!!!

















 《まぁ、ご褒美してもらうにしても、

  初めてアキハバラに寄った時のような散財だけはしないようにしましょう?

  でないと、またトラルー様が納戸婆さながらのヒキコモラーになってしまいますから》














 あ、あぁ……アレは非常にショッキングでした……。


 罪悪感にとらわれるあまり、三日三晩お部屋のドアの前で土下座しっぱなしで過ごしてしまいました。


 しかも、ホテルだったから部屋がトイレ&お風呂&冷蔵庫&ポット完備だったせいで、その3日間は全く部屋から出てきてくれませんでしたし。


















 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆















 「恭文!ジン!回り込め!」


 「了解!」


 「分かりました!」










 オレの指示で、恭文とジンが先行して左右からターゲットを狙う。


 一方でオレは、上空から急襲できるように、近くの木々の枝にジャンプでわたりながら追跡。


 だが、相手はよりにもよってスピードタイプみたいだ。恭文やジンはともかく、機動性に難があるオレにとってはやりづらいな。









 えー、現在、六課の敷地からそう遠くない林の中でマイクロンの覚醒反応があったとロングアーチから報告。


 何やらマイクロンパネルを賭けた戦闘技能大会「アレス」に向けてまたも別行動中のトラルーたちに代わり、オレら3人で確保に向かってるトコ。


 で、ターゲットのマイクロンは、青とシルバーを基調としたもの。現在、F1カーに変形して林の中を軽快に疾走中。


 オフロードタイプでもないクセに、随分と軽々しく走ってるじゃないか!










 「くっそ、アリス姉の妙なイタズラさえなけりゃ、今頃はバルゴラでもっとマシに動けたろうに!」


 「ボヤいてたってしょうがないでしょうが!とにかく追いかけて捕まえる!

  アルト、加速して一気に!」


 《了解しました!》


 《Accel Fin》









 あー、未だにバルゴラ届いてないんだよな。


 なんかアリスが回りくどい手でイタズラして、事態をややこs










 「元凶であるアンタが言うなぁぁぁぁぁ!!」


 「あ」










 ぐほあっ!?












 「…………レオーのアンカージャッキでドロップキックするほどにムカついてたんだ……」


 《ていうか、遠慮がないですね。まぁ、ジュンイチさん相手なので遠慮もへったくれもないんですけど》













 ……恭文…アルトアイゼン…お、おまえら…っ











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 やれやれ、ミッドチルダっていったっけ、ここ。


 転送で行くっていうから、どうなるかと思ったけど……無事に着いたみたいだ。


 それにしても最近の旅事情って凄いよね、もう次元すら軽く超えるし。







 《ふむ、私たちが生まれた頃に比べると、科学的な進歩も非科学的な進歩も凄まじいな》








 俺の"中"から声をかけてきたのは、ワケあって俺に"宿ってる"仲間、レクセ。


 喋り方だけ見ると大人っぽいけど、声は小学生くらいの子にしか思えないのはここだけの話。








 「でも、あの頃と今とじゃ、800万年も開きがあるんだよ?

  俺にはよく分からないけど、それでも変わるところは変わるって」


 《確かにな。時に主殿、少し離れたところから妙な気配を感じるのだが》


 「……そうだね、確かに何かがこっちに向かってきてる」








 レクセには優れた察知能力があって、彼が宿るようになってからは俺もそんな感じの察知能力を得た。


 その察知能力と直感が警告してる。このままだと危ないと。










 《どうする、主殿》


 「どうするっていったって…」









 敵……っていうか、戦わなきゃいけない相手かどうかも分からないのに"アレ"を使うワケにもいかないし……










 《くるぞ?》


 「え」










 って言ってる傍から何かが出たぁぁぁ!?


 少しエビ反り体勢になりながら、少し上を飛んでいく何かを両手でキャッチ……って、結構重t











 「あだっ!?」









 勢いもすごかったせいか、キャッチしたまま更に後ろへ傾いて……俗にいう、ジャーマンスープレックスとかそんな感じに。


 で、踏ん張りきれなかった結果……頭、打った。ものすごい勢いで。


 すごい……痛い……。










 「すいません、大丈夫ですかっ!?

  なんかすごい涙目なんですけどっ!?」


 《主殿!?主殿ぉーっ!?》









 痛い……痛すぎて、なんか……意識……が……











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 取りあえず、とっさの投げっぱなしジャーマン未遂によってマイクロンを止めてくれたお手柄な子を保護。


 近場に公園があったので、ひとまずベンチに横にしてやること数分。


 なんか後頭部にでっかいコブができてたから、ありゃモロに打ったパターンだな…。







 「ジュンイチさん、ご明察。僕が駆けつけた時には、凄い勢いで頭打った後だった…」


 《あの体勢を投げっぱなしジャーマンというのか?》


 「あー、まぁ、間違っちゃいないんだよな、間違っちゃ…」







 恭文の言葉に続く声は、その子の"中"からのもの。


 ユニゾンデバイスとか霊子生命体ソウル・ファクターとか、そーゆー類だろうな。









 で、現在気絶中なこの子、中性的な体つきだけど男だな。


 男だけど髪の色が鮮やかなピンクだし、首くらいのところで結ってあるけど腰まで届く長髪だから、女の子に間違われやすいタイプと見た。


 服装も、どっちかというと女の子っぽい感じもある。


 肩まで露出して、首元から胸元へ三角形を描き、お腹の少し上くらいで中央から左右に分かれるという形状の上着。ヘソだしというかヘソチラってヤツだな。


 中はインナーっぽい。イテンと同じように、肩が露出してるタイプ。尚、露出範囲は上着と同等。


 両腕には手袋と、肘から手首までを覆う、黄色のラインが入った細めの腕カバー。


 腰から下は、太ももの内側が露出するタイプで緑のラインが入った短パン、ヒザから下を包む黒いソックスに緑色のブーツ。


 で、胸の真ん中ぐらいには、上下3色、上から赤・黄・緑で彩られた大きめの丸ボタン。これで服をとめてるんだ。




 ……と、言えば言うほど思うんだけど、女装趣味か?









 《いや、主殿は元からそういう体な上に、服装は諸事情によりこれを基本にせざるを得ない。

  本人はコレに馴染んでいるが、別に女装趣味というワケではないぞ?》









 なるほど。


 デバイス持ちの人でいうところのバリアジャケットみたいなモンだな。


 カスタマイズ可能とはいえ、デバイスで戦闘する場合は設定された形状で固定になるしな。


 でも、見た感じデバイスとかそーゆーのを持ってる風にも思えないけど?










 《まぁ、ミッド一般でいうところのデバイスとは事情が違う。

  基本的な概念にとらわれていると、アレをデバイスと認識するのは難しいだろう》











 へぇ、そいつぁなんとも……。










 「ん…」


 「あ、気がついた」


 「大丈夫か?」










 話をしてる内に、気絶中だったあの子が目を覚ました。


 ……まぁ、回復するまでの間、話でもしてようかって魂胆ではあったんだけどな?


 さて、目を覚ましたことだし……。









 「あれ、ここって…」


 《主殿が気絶した現場から近いところにある公園だ。

  そこの者たちが主殿を運んでくれたのだ》


 「そうだったんですか、それはどうも」


 「いえいえ、こっちとしても恩はありますし……なんかほっとけないんですよ、危なっかしくて」


 「あ、あはは…」








 恭文からの指摘に苦笑いするしかないところを見ると、自覚はあるらしい。








 「そういえば、林から出てきた何かって…」


 「あぁ、正体はコイツだよ」







 そう言ってオレが指差すのは、1体のマイクロン。


 お気づきの人もいると思うが、さっきまでF1カーに変形してオレたちをかき回してたヤツだ。


 さすがにあんな事件が起きたからか、アイツも今はおとなしくここにいる。







 「その子って、確か…マイクロンですよね?

  近頃、あちこちで休眠状態の…」


 《マイクロンパネル、だな。それが次元世界を問わずあちこちで発見されている為に、世間では大騒ぎだ》


 「耳が早いですねー」


 《当然だ、主殿は次元世界を超えて旅をしているからな。

  旅先で何が起きているのかについては敏感だ》









 この子、結構な情報通かもな。


 まぁ、マスターギガトロンやプレダコンズがいたずらに混乱を広げてるせいもあるんだけど、


 マイクロンパネルのことは次元世界規模で問題になりつつある。


 「アレス」の件だってそうだ。






 ……って、旅をって、そんな軽装備かつ軽い荷物でか?


 もっとこう、登山家とかが使うリュックぐらい背負ってそうなモンなのに。


 子供サイズのリュックを持ってるぐらいだ。中身は見てないけど、だいぶ軽かったからあまり大したものはなさそうだし。










 「イケますって。

  ちょっとの小銭と、明日のパンツがあれば!」










 オイマテ、なんかどこぞのメダルのライダーみたいなことを言いだしたんだけど。










 《うむ……主殿や私はいわば、一種のパラレルワールドの産物ともいえるからなぁ…》


 「あー、まぁ、ね…」









 電王とはまた違った感じで、こっちにクロスしちゃってる……というのもまた違うか。


 ただ、"力"の感じには覚えがある。トラルーたちと一緒だ。多分、精霊の類なのは間違いない。











 「トラルーと知り合いなんですか?」


 「え?まぁ、そうだけど」


 「良かった〜、友達の知り合いがいて助かったぁ〜」


 「……またそういう展開?」








 恭文が何やらデジャビュを感じてるようだが、気にしたら負けだぜ?


 ジンからの答えに対する反応からすると、まぁそうだろう。


 となると、トラルーなら多少なりとも詳しく知ってるかもな。


 あぁ、そういえば。













 「まだ名前を聞いてなかったっけな」


 「あぁ、そうでした。

  俺はリティ。それと……」


 《――レクセだ。どうやらお互い、情報交換をした方がよさそうだ」











 リティの"中"から出てきた、レクセってヤツ。


 紺色を基調とした、襟にフワフワがついたタイプの防寒性高めなジャケット、短パン、紫の篭手とブーツ。


 明るめな紫の長髪は左右に分けてまとめてある。結び目の部分にはバイザーとかにつきそうなフィンがあるな。


 胸の部分には、リティと同形状の、ただし淵の部分が出っ張ってるタイプの丸ボタン。これも上下3分割になるようにラインがある。








 ……実体化すると、リティと同程度の身長らしい。


 ちなみに、リティの身長が160cmくらいだから、必然的にレクセもそれくらい、と。


 どっかの誰かさんも、これくらいはなきゃなぁ。だからおチビとか言わr













 「どぅぁれがナノマシン並みのマイクロミジンコ粒粒ドチビだってぇぇぇ!?」







 『いや、誰もそこまで言ってない』












 鬼の形相で暴れ出しかけた恭文だったが、どこからともなく剣と斧を取り出したリティとレクセに鎮圧された。


 ……ん?









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 「トラルー!久しぶり〜!」


 《おぉ、久しぶり〜。元気そうで何よりだよ》


 「そっちこそ」


 《レクセも相変わらずのご健勝かい?》


 「うむ、主殿共々、世話になる」









 ……案の定だったなぁ。


 リティがトラルーと知り合いらしいから通信でご対面させてみれば、ご覧のとおり。


 さて、トラルー。こっちからの質問、いいか?











 《どうしたよ、ジン?まぁ、大方何を聞きたいのかについては予想がつくんだけどさ》


 「もしかして、俺らのこと?」


 「それも、出自云々というより、パラレルとかそういう次元の話だろうな」








 リティとレクセが俺の疑問がどういうものかに思い当たる。トラルーも感づいてたか?


 ていうか、ご名答すぎて言葉に詰まったわ!?









 《まぁ、身もフタもないけどある意味で最も的確な言葉で説明すれば、パラレルワールドの産物ってところなんだろうね》


 「パラレルワールドの産物?レクセも言ってたね。

  もしかしなくても、電王が六課にやってきたとか、そういうノリ?」









 あー、電王もホントは創作の存在だと思ってたからなー。


 恭文じゃないけど、俺もそんな風に思えてきた。










 《彼らの場合、某メダルのライダーのパラレルワールドの住人なんだ。

  ……まぁ、どういう具合にパラレルなのかについては、各自の想像にお任せしたいけど。

  早い内に付け加えておくと、精神生命体の類だとも言っておく。特にレクセは人間年齢800万歳だ。

  で、彼ら……というか、リティが生粋の旅人でね。

  旅路の範囲が次元世界を越えてるから、今こうしてミッドチルダに来ている、と》









 800万歳……あぁ、なんとなくわかった。レクセはアレか、グ○ードのパラレルキャラか。


 リティも、某メダルのライダーそのものじゃなくて、パラレル化した存在ってワケだ。


 原作じゃ青年だけど、そのパラレルワールドじゃ少年少女になってるとか。











 《ジンの指摘で正解。

  性格とかが原作そっくりなのは、まぁパラレルだからってことで納得してくれると助かる。

  もちろん、暴徒と化した恭文を鎮圧した際に使ったっていう、メダジャリバーとメダガブリューの存在についてもね》













 ホント、トラルーじゃないけど、パラレルワールドの定義が難しい……ていうか、無理くさくないか?


 電王が現実になった時点で薄々思ってたりしたんだけどさ。













 《……カオスプライムやベクターメガトロンがやってきた時点で思おうか?ソレ。

  あの二人だって、プライマスのおかげでこの世界にいるけれど、ホントは別な世界、別な時代の住人なワケだしさ》












 そうでした。













 《まぁ、その辺はいくら追及したところで無限の迷宮入りをするだけだからおしまい。

  それでリティにレクセ、もしよかったら、僕らと一緒に来てほしいんだ》


 「……巷で噂になっている、「アレス」への出場か?」


 「確か、トラルーの探し物が景品になっちゃってるから……」


 《そ。だから、できる限り人手がほしいんだよね。

  まぁ、無理強いはしないよ。大会の試合のバトルモードは全部"ゼネラル"だから、フツーに重傷を負う可能性もあるんだし》











 バトルモードの存在については、この前のレルネとの模擬戦でも聞いたけど、詳しいところはどうなんだ?


 とりあえず、レルネとの模擬戦では人体への直接ダメージが禁止になってるってのは分かるんだが。












 「ジン、「アレス」が"アーツバトル連盟"って団体が定めるルールに則って企画されてるってのは知ってるか?

  その連盟のルールっていうのがバトルモード。

  で、ジンたちがやった模擬戦で使われた"スタンダード"っていうのは、物理的なダメージを禁止してるんだ。

  たとえば、デバイスで非殺傷設定を解除して攻撃するのはNG。実弾とかでの攻撃もダメだ」









 ジュンイチさんから説明。


 エネルギーや魔力による、体に傷をつけない内面的なダメージだけOKってワケか。










 《対して"ゼネラル"は、その辺の定義が緩くなる。

  さすがに相手の体を直接傷つけるのはNGだけど、アーマーや武装を壊すのはOK。

  体に傷を受けるような攻撃は、試合開始時に自動装着されるバトルカウンターが体力的なダメージに変換してくれる。

  ……とはいっても、攻撃そのものじゃなくて、それによる影響で骨折したりする人も多いんだけどね。

  武装やデバイスの存続、我が身の安全に危険信号が灯るから、スタンダードよりも真剣な勝負になる。

  まぁ、次元世界の覇者を決めるようなものだし、それくらいのリスクは覚悟しろよってことなんだろう。

  あぁそれと、スタンダードもゼネラルも、試合中の乱入や受付時に登録していないアイテムの使用は禁止されてるよ》










 ……なるほど、だからトラルーは強制しないんだ。


 一歩間違えば大ケガの可能性だってある。だから、あくまでも自己責任で参加してほしい、と。


 俺たちは覚悟した上で参加してるけど、これから参加するメンバーにはその辺もきっちり理解してほしいんだろうな。


 それこそ、大会に参加したことで受けた被害については、責任を持てないから。













 「どうする、主殿? 私はどちらでも構わないが」


 「……俺も出る。だって、トラルーにとって"助けたいもの"なんでしょ、マイクロンパネル」


 《うん》


 「友達や仲間が手を伸ばして、助けたいから助けようとしてるのに、放っておくワケにはいかない。

  『手を伸ばさないで後悔することだけはしないでほしい』……その約束を守るためにも。

  それに、俺に次元を越えた世界を見せてくれた恩もあるから、それに応えたいっていうのもあるんだけどね」


 《そっか、ありがとう》












 ……ホント、リティって某メダルのライダーなあの人と似てるよな。精神面が。


 後悔したくないから、必死に手を伸ばす。その結果は真っ直ぐに受け止める。


 まぁ、その"約束"っていうのを誰と交わしているのかについては聞かない方がいいだろうな。


 交わしている相手が誰であれ、背景事情がオリジナルと同様なら、その辺りに触れるとトラウマ抉ることになるからな…。







 ともあれ、リティとレクセも「アレス」参加。


 チーム分けをどうするのかがそろそろ気になるんだけど、はやて姉は大丈夫か?


 恋愛事情的に修羅場必死な組み合わせにされたらたまったもんじゃないぞオイ。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「この地点より、半径5キロ以内はアーツバトルのバトルフィールドとなります。

  危険ですので、ただちに退去してください!」








 さて、現在私とかがみん、つかさ、みゆきさんの4人は、とある荒野でバトルを始めるところ。


 「改めて手本を見せてやれ」っていうことで、スカイクェイクがアーツバトル連盟ってところにバトルの申請をしたんだって。


 で、今こうしてアナウンスを流してる白いロボットさんは、通称「ジャッジマン」。


 お立ち台的な意味もあるモジュール「ジャッジカプセル」と共に飛来しては、連盟の定めるルールのもとにバトルを見守る。


 同時に進行や取決めなどもするから、文字通り審判ってワケ。






 さて、お相手さんはというと…3人。







 赤い縁取りがされたローブを纏う、ピーコックブルーの長髪と深紅の瞳が特徴的な青年「リア・ファル」。


 どっかの学園のセーラー服っぽい感じの服に身を包む、緑色のショートヘアーで紫の瞳の「メディア」。


 頭にバイザー…かな。少し下げればお面みたいな感じでそれをかぶれる位置につけてる、オレンジの垂れたニードルヘアーでライトグリーンな瞳の「アムリタ」。


 リア・ファルとアムリタは半袖のボディスーツ(リア・ファルはスパッツ、アムリタは短パン)を着用。


 メディアは黒いストッキング。手袋とブーツも黒だし、全体的にメン・イン・ブラックな方々ですな。





 武装は、リア・ファルが拳銃型の武器、アムリタがロッド型の武器。メディアは武装を持ってないみたいだけど…。


 ていうか、前者は紫のトリガーマグナム、後者は先端部に台形の打撃部が付いたオレンジと紫のメタルシャフトっていえばイメージはできると思う。


 こっちは4人がかりだっていうのに、3人だけで来るなんて、余裕だね〜。










 「あらぁ、誰も私たちが"3人だけ"だなんて、一言も言ってないのだけど?」


 「情報認識力が甘いようだ。思い知らせてやろう、アーツバトルの本当の恐ろしさの片鱗を」


 「パワータイプはいないのか……ま、女子供だけのチームじゃ、しょーがねぇか」











 メディアがなんか気になること言ってるけど……リア・ファルとアムリタにはカッチ〜ン!と来たよ!


 その女子供だけのチームに、ブッ飛ばされるハメになるんだからね君ら!











 「チーム・カイザーズ、ヴァーサス、チーム・メモリーズ。

  バトルモード・スタンダード、レディー・ファイッ!!」











 ジャッジマンの宣言と共にゴングが鳴り、まずは私が先陣を切る。











 「援護は任せてください!」


 「キンチョーするけど、私も頑張る!」









 みゆきさんとつかさが、後方からの援護。


 ブレインからの補助による射撃魔法と、ミラーのビット。それらが一気に相手に向けて飛翔し、分断する。


 そこへ私とかがみんで攻撃していく。それが今回の私たちのスタイル。









 「真っ向からくるか、受けて立つぜ!」








 私のアイギスによる斬撃を、アムリタがシャフトで受け止める。


 でも、こっちだって早々に吹っ飛ばされる覚えは…








 「だらっしゃぁぁ!!」


 「うひゃああああ!?」









 すくい上げられて、あっという間に放り投げられた。


 ……って、ちょっと待ってよ!いきなりこれって、シャレになってないし!


 いきなりひよりん達に赤っ恥かいてんじゃん!?











 「そう思うなら体勢を立て直しなさいよね!」












 クーガーでの射撃でアムリタをけん制しつつ、そう言うかがみん。


 うー、わかっちゃいるんだけど…ねっ!








 「武器任せかと思ったら、蹴りもイケるのね」








 残念ながら、こちとらあの柾木ジュンイチの弟子やってるからねー。


 そう思いながら、メディアの蹴りを回し蹴りで止める。














 「後方組の牽制もなかなかの練度と見た。

  伊達に恐怖大帝スカイクェイクに鍛えられているワケでもなさそうだ」


 「えっと、褒められてる…のかな?」


 「そんなところでしょうか」











 リア・ファルは、マグナムでつかさやみゆきさんと撃ちあいの真っ最中。


 ……こっちには意識向けてないね。メディアとアムリタに任せきり?


 そんじゃ遠慮なく。












 「カイザーヴォルケイノ!!」


 〈Kaiser Volcano!〉











 お久しぶりの、私特性の炎の渦。


 狙いたがわず、リア・ファルの左上の方から突っ込んで……










 拡散した。












 ……って、ええっ!?












 「メディアが言った筈ですよ」


 「うっ!?」









 聞きなれない声と共に、背中に衝撃。


 見えない、けどかすかに気配は感じ取れた……まさか、ステルス!?











 「お嬢さんは、"ゲシュマイディッヒ"という単語をご存じですか?

  それがどういうものかを知っていれば、今回のカラクリはすぐにでも解けるでしょうね」


 「敵に塩を送ってどうする気だ?」


 「どうせアーツバトル連盟にデータを提出した際、あらかたスキルについても教えてるでしょ。

  なら、連盟経由で調べられた時点でバレる……問題はありません」










 どっかで聞いたような単語だけど……なんだっけ。


 それよか、その声の主って……今、揺らめきながら姿を見せた、この子?


 水色の丸みを帯びたショートヘアーで、頭に細くて黒いバンダナ。深緑の瞳が、どこか知的な雰囲気を醸し出してる。


 青い縁取りがされてる半袖ジャケットに、水色の短パン、黒い手袋と靴。


 そして、最も目を引くのは……左腕につけてる、どこぞのNT-Dなガンダムが持ってる感じのシールド。


 ただし、展開されている4枚のフィンの赤い部分がスカイブルーになってるけど。










 「改めて初めまして。僕の名はリート。

  僕も連盟に選手登録してますから、後で連盟に話せばデータも調べられますよ」









 そう言いつつ、右手に何やら端末のようなものが。ていうか、ぶっちゃけガイ○メモリ?









 「ふふ、まぁそういうものですね。正式には"アビリメモリ"といいます。

  元ネタとの最大の相違点は……またいずれ。公式試合では反則になってしまいますから」


 《オレの出番か!暴れたくてウズウズしてたんだ!》


 <バイオレンス>








 シールド内部のスロットに、そのメモリを差し込む。同時にアナウンスが出るのも、元ネタとそっくりだね。


 ……現実逃避はこれくらいにしようか?


 なんか、ものすっごくゴツいパワードスーツみたいなのが出てきたんですけど。


 あと、なんかグラサン装備の小さいマッチョメンがリートって子の隣に一瞬出たんですけど。









 「アビリメモリは、特定の分野の技や能力を記憶し、使いまわせるようにしたものだ。

  専用のスロットさえあれば、たとえ生身でも問題なく使用可能。

  そして"バイオレンス"は……その名に恥じない圧倒的な破壊力を使用者にもたらす。

  先ほど一瞬だけ姿を見せたマッチョメンは、アビリメモリに宿る特別な存在だ。おっと、おしゃべりが過ぎたな」








 リア・ファルからご丁寧に解説。


 口ぶりからすると、アイツらが作ったとか、そーゆー手かも。










 「手練れを相手に余裕をかます時間はもう使い切ったので、一気にいかせていただきます」


 <マキシマムドライヴ>










 言葉が終わるとまた揺らめいて消えて……アレ!?なんかヤバい!?












 「すぐに動かなかったこと――それがあなたの敗因です!!」












 ――このバトル中、最後に聞こえた声が、それだった。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「よう、いらっしゃい」


 「久々だな、あんたの店に来るのは」


 「ひいきにしてくれて、感謝するよ」










 機動六課のフォワードのおチビちゃんズが、何やらカフェに興味津々。


 しかしながら、愛しのフェイト隊長やイクトとかは雑務で缶詰め状態。


 …………もっとも、缶詰になってる原因の約8割は、イクトの機械音痴と方向音痴のせいなんだけどな?






 というワケで、絶賛暇を持て余すオレら精霊一派の出番。


 トラルー、オレ、イテン、ビコナといったおなじみメンツに、合流して間もないノーザンやリティ&レクセ、


 そして肝心のおチビちゃんズ。


 念のために言っておくが、おチビちゃんズとはエリキャロのこと。


 傍から見ればお子様集団と某星の戦士的な生物という光景にしか見えないが、人間年齢的にはちゃんと大人同伴なので問題なし。






 ちなみに、レクセは普段はリティの"中"にいるらしい。たとえば移動時とか睡眠時とか。


 実体化するのは、殆どが戦闘時もしくは点呼の時。あとはメシの時。


 カフェに入る直前には出てきてもらいました。ヤツはヤツでコーヒーに興味があるらしい。








 で、「いらっしゃい」と声をかけてきてくれたのが、今回訪れたカフェ「ヤタノカガミ」のマスター、カナヤゴだ。


 オレとはかなり古い付き合いで、傭兵としてコンビを組んでた時期もある。


 GBH事件の際には、こっそりと暗躍して、ユニクロン軍やらガジェットやらとバトってたらしい。


 実戦経験は豊富だし、機械技術にも長ける。戦場で結構頼れる男だ。


 …………オレ同様、本体が某星の戦士のホワイト版(足はブルー)であるという外観さえ容認できれば。







 カナヤゴの風貌は、某星の戦士のホワイト版な本体。


 両肩にはコンテナをモナカ割りしたみたいな感じのパーツをつけてて、頭には横に細長い六角形の帽子。


 目と足がブルーで、両肩のコンテナや頭の帽子にも青いプレートがついている。


 手は手袋。オレと同じ、ただし白い。尚、コンテナ及び帽子の青以外の部分は黄色メイン。





 そんな彼は、今や自分で立ち上げたカフェのマスター。自らドリンクや手料理をふるまう毎日だ。


 オレも、このカフェには何度か来店したことがある。昔のよしみってヤツだな。










 「随分とご無沙汰だな、トラルー」


 「お久しぶりだね、カナヤゴさん。あなたも元気そうで」


 「客たちによくしてもらってるからな」









 で、カナヤゴとお知り合いなのは何もオレだけじゃない。トラルーもそうだ。


 ていうか、傭兵時代の同期って感じだ。オレよりは一緒に行動してた時期は短いんだけどな。


 いやー、昔オレら3人で組んで暴れた時の躍動感が懐かしい。










 「ノーザン、この世界には慣れてきたか?」


 「ん、少し」


 「そうか」











 ……マテ。ノーザン、お前、カナヤゴと出会ってたのか?










 「私がミッドチルダに来たとき、初めて出会った精霊がカナヤゴさん。

  まだガメッセもなくて一人ぼっちだった私を、お世話してくれた」










 マジですか。それはオレも知らなかった。


 …………カナヤゴに、捨て猫を拾う趣味があったなんt











 「よし、スターには久々の来店記念として、とびっきり濃いスペシャルビターブレンドのコーヒーをくれてやろう。

  当然、砂糖とミルクはナシでな」


 「待ってくれ、誤解だ!!」


 「今、フツーに喋ってたよね?」


 「本音ダダ漏れでおじゃるよ」


 「ていうか、捨て猫ってどういう意味?」













 慌てて弁明しようとするオレだけど、イテン、ビコナ、ノーザンの乙女3人の視線とコメントが痛い。


 そんでもってノーザンが怖い。攻撃的な波動を感じるんですけど。


 ていうかカナヤゴ、そのコーヒー、真っ黒を通り越して不気味な色になってるんだが。


 まさか、スペシャルビターブレンドって……!?














 「世界に存在する、ありとあらゆる苦味成分を片っ端から混ぜ込んだ、

  採算度外視レベルな苦さを誇るブレンドだ。

  ハッキリ言って、誰にも飲めなくて半日も経たずにメニュー候補から消え失せた伝説の1杯だ、ありがたく飲め」












 いや、あの、飲んだら多分、苦すぎて死んじゃう。


 三途の川をジェット戦闘機で飛び越すくらいの勢いで死んじゃう。








 「……ずいぶんと、茶目っ気の利いたお方なんですね」


 「ボクからすると、アレって茶目っ気を通り越してる気がするんだけど……」










 エリキャロもトラルーやリティと一緒に傍観決め込んでるし……マジで飲むの、コレ?










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「そんなっ、こなちゃんが!?」


 「ていうか、いきなり出てきたアイツ、なんなのよ!?」











 突然の泉さんの撃墜。さすがにかがみさんもつかささんも動揺を隠しきれない。


 それは私も同じ。


 でも、ジャッジマンが動じないということは、正式なルールに則ってのこと…?










 「ジャッジマン、これは連盟の承認が下りていることなのですか?」


 「リート選手には、登録スキルの中にステルス系の技がある。

  連盟に正式に登録したデータの中にある技による結果であり、反則とはしない」











 私からの問いに、ジャッジマンは淡々と答える。


 やはり、連盟が承認している…。











 「もっとも、使用回数や限界時間など、制限事項はしっかりと存在しますがね」











 当のリートという人は、あからさまにそう言う。


 確かに、ステルスなんかを制限なしで使われたら、勝負になりませんから…。












 「さぁ、疑問は終わりだろう。こちらに気を向けなおしてもらいたいのだが」


 「めんどくせぇ、片っ端から叩き潰せばいいだろうが!」


 《せっかくのバトルなのに、楽しまないのー?》


 <ロケット>











 アビリメモリを出したアムリタの傍に、リイン曹長と同程度のサイズの、メットを被った黄緑のショートヘアーが特徴的な男の子が出現。


 ただ、先ほどのサングラスにマッチョな人と同様、すぐにアムリタの"中"へ溶け込む。


 それとアビリメモリがシャフトのスロットに装填されたのは、ほぼ同時のこと。














 「リートばっかりにイイカッコさせられるかよ!」


 <マキシマムドライヴ>












 メモリを装填したシャフトをこちらへ向けて構えて……まさか!?












 《「シャフトロケットダイブ!!」》










 爆発的な推進力を得て、真っ直ぐに……ロケットみたいに一直線に突っ込んでいく。


 その狙いは……かがみさん!?









 「残念……その後ろのビット使いだ!!」


 「え――」










 かがみさんの脇を抜けて、一気につかささんへ。突撃が早すぎて、牽制も何もできなくて――










 「ビットしか使えないクセに、アーツバトルに参加しようなんざ千年早いんだよ!!」


 「つかさぁぁぁっ!!」












 フィールドに、つかささんを撃墜する爆発音と、かがみさんの悲鳴が響いた。















 「さぁて、私もさっさと決めてしまおうかしらね」


 <インビジブル>














 一方で、メディアもメモリを取り出す。ただ、先ほどのような小人はいない。


 いるタイプと、いないタイプが存在する…?


 しかし、今はそれどころではないですね。腰のスロットにメモリを装填した途端、彼女の姿が消えて……















 「さぁ、見えない衝撃で悶え、舞いなさい――」


 <マキシマムドライヴ>


 不可視蹂躙舞踏インビジブル・ダンス













 突然真横からの衝撃。更にお腹、背中と立て続けに衝撃を受け、跳ね上げられる。


 その後もありとあらゆる方向から衝撃が襲い掛かり、何度目かも分からない衝撃を腰に受けて吹き飛ばされる。


 相手の姿も見えないまま、宙を舞う私が最後に確認できたのは……叩き落とすかのような、胸に突き刺さる衝撃だけだった。













 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 ……よし、これで設計と外装はOK、と。


 この分なら、今中継されてるバトル終了くらいにはお届けできそうですねー。









 「なんだ、もうできたのか?えらく早いじゃないか」


 「まぁ、トラルーたまからの久々のご褒美がかかってますからねー。

  今回はがぜん気合が入りましたよ」








 ギガントボムたまからの問いに答えつつ、先ほどガメッセ経由でアルテミスさんから送られてきたデータを見る。


 田村ひよりさんに、岩崎みなみさん。それぞれ、ブレイクアームとニトロスクリューというゴッドオン形態がある、と。


 なら、やはりゴッドオン形態のバトルスタイルに準じる武装がいいでしょうね。


 そもそも、トランステクターのシステムは、マスターの身体能力や魔力資質などから、武装などを自動設計するようですし。


 いやー、参考素材があると気が楽ですねー。


 おかげで、パンドラの時と同様にかなりの短期間で仕上げられました。









 まぁ、一方で"スカイミラー"と"デプスウェイバー"の調整が難航しているワケですが。








 それはそれとして、プロト。お願いがあるのですが。











 《何なりとどうぞ〜》


 「あとはマスター登録だけですから、これらをひよりさんとみなみさんに届けてもらいたいのです。

  名前も設定してあるし、そっちからの遠隔操作で名前を表示できるようにしておいたから、渡せばすぐです」


 《了解しました》













 ミニサイズの風呂敷にボクが手渡したバッジ2つを包み、両手で背負う。


 ちょうど、一昔前のおばあさんとかがやってそうなアレです。別に盗人ってワケじゃないですよ?










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 「すんません、マジで勘弁してくださいお願いしm」


 「早く飲んで」









 さすがに危険を感じたか、スペシャルビターブレンドのコーヒーを前に飲むことを渋るスター。


 しかし、ノーザンにいきなり流し込まれました。容赦ないな。


 ……これが、あなぐらマムルと呼ばれて喜んでいた子と同一人物とは思えない。










 「それはそれ、これはこれ」









 さいですか。










 「あ、あの、なんかスターさんの口からエクトプラズム的な何かが出てるんですけど」


 「すごいね、スターさん。コーヒー飲んだだけで一発芸できちゃうなんて」


 「キャロちゃん、それきっと間違ってる」


 「少なくとも、決してほめられたシロモノではないでおじゃるねぇ…」













 エリオの言うとおり、現在スターは口から顔書いた幽霊さんみたいな感じの何かが出ている。


 まぁとどのつまり、放心状態ですな。もしくは気絶したか。


 気絶するほどに苦いのか、アレ。





 なんか危ない意味でトンチンカンなことを言いだしたキャロに、リティが若干引いてる。


 ビコナの「たいへんなへんたい」ぶりもアレだけど、このコーヒーの苦さの規格外ぶりも大変だよね。












 「…………ガクッ」


 「何故貴様が飲んで気絶するんだ」










 …………レクセじゃないけど、なんでイテンがアレを飲む。


 しかし、さすがは半日も経たずにメニュー候補から消え失せた一杯だ……。











 《破壊力というか、即死効果ですね。マジパネェですよ》











 うん、イグナイテッドの言葉には素直に同意しよう。


 片方は好奇心による災いだったとしても、3分も経たない内に撃墜数2、しかも即死ってマジパネェ。













 「おぉ、やはりここにいたか」


 「エリオもキャロも、待たせちゃってごめんね」


 「フェイトさんにイクト兄さん」


 「私たちなら大丈夫ですよ〜」












 おや、缶詰状態から脱したか、フェイトにイクトもご来店。


 ここのことは……あぁ、スターが事前に教えてたっけね。













 「……そこで抜け殻になっている二人について聞きたいところだが」


 「語るより体感するのが手っ取り早いでおじゃる」


 「あなたたちも飲んでみて」













 ……はっ!?ビコナもノーザンも、その一杯は勧めちゃダメぇぇぇぇ!?


 それは……!!















 『…………ガクッ』





 「あぁっ!?イクト兄さんとフェイトさんもエクトプラズム!?」


 「ふ、二人ともしっかりしてください〜っ」


 「試しに飲んでくれたジュンイチには本当に悪かったなぁ。アイツも一発で陥落したからな」


 「さ、さすがにこれじゃあメニューには載せられないよね……」















 これにはエリキャロが大慌て。しかし時すでに遅く、イクトとフェイトも撃墜。しかも即死。


 4人やって4人撃墜、しかも即死率100%……マジパネェ。


 ていうか、カナヤゴの話がマヂなら、ジュンイチも即死かいっ! 撃墜数5で即死率100%っ!?ハンパなさすぎ!!


 リティの感想も、ごもっともだよ!










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「カウンターのライフがゼロになると、ブレイクオーバーでリタイア扱いか」


 「直撃だけじゃなくて、防いだ時の衝撃もダメージに変換されるってリアルっスね〜」








 さて、マックスフリゲートにも、「アレス」出場希望者を募る話が舞い込んできた。


 まぁ考えてみれば当然だな。ここには、JS事件を最前線で潜り抜けた猛者が多く潜んでいるワケだからな。


 今こうして大会のルールを確認しているノーヴェやウェンディだってそうだ。


 それに、柾木の修業を受けたおかげで、戦闘向きの能力者ではなかったセインも、既に立派なストライカー。


 柾木が"アストライア"の使用許可さえ出してくれれば、彼女だって大会で戦っていけるだろう。


 おっと、それはノーヴェやウェンディ、ここにいる中ではディードもそうだったか。








 なんにせよ、これに誰がエントリーしようとするか。


 正直なところ、私も興味がある。戦士として、柾木に後れを取らないためにも。


 トーレも珍しくやる気らしい。やはり、戦士としてのサガというものか。









 「でもさ、1チーム最大3人ってなぁ…」


 「心配はいりません、セイン姉様。交代での出場なら、3人以上でのエントリーもOKのようです」


 「なるほど、そりゃ親切だ」










 セインやディードもなんだかんだで乗り気だ。柾木の元での修業の副産物か?あのノリは。









 「かくいうチンク姉はどうする?」


 「む、私か?姉なら既に方針を決めている」












 そう、もはやすでに確定事項だったかもしれないな。












 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 ったく、マスターギガトロンがブリザードセイバーを手に入れたあの時といい、


 なんか私たち負け戦多くない!?






 相手側の奇襲と攻勢により、こなたもみゆきもつかさもブレイクオーバー。


 残ってるのは私だけ。


 さすがに、4対1ってのは厳しすぎると思うんだけど!?











 「心配するな、貴様もすぐに楽にしてやろう。

  私の得意技で一気にブレイクオーバーさせてくれる!」










 リア・ファルが構える。空いている左手には、またもメモリらしきものが。


 やらせるものですか!クーガー!










 《いつでもいけます》










 上等!むざむざやられるワケにもいかないのよ!


 こうなったら、悪あがきで大逆転の1つもかましてやるわ!











 「フォースチップ、イグニッション!!」






 「無駄なことを」


 <ボム・マキシマムドライヴ>















 クーガーの再調整もあって、スムーズにイグニッション。


 チャージしつつ狙いを定める中、リア・ファルもメモリを銃に装填。


 ……って、チャージ速度早すぎない!?













 「ボム、アサルトバレット」











 声と共に、1つの光弾がこっちへ向かってきて……そんな程度で!










 「ハウリングパルサー!!」











 なんとかチャージが間に合ったこちらも引き金を引く。


 魔力弾と光弾のぶつかりあい……出力的には、こっちが競り勝つと見た!











 「散弾!」













 リア・ファルの声と共に……光弾が4つに分かれた!?


 しかも、分かれながらこっちに向かってきて…!














 「きゃああ!」











 驚いた隙を逃さず、4つの光弾が次々と私の体を打ち据える。


 ……けど、あと一歩だったわね。こっちはまだブレイクオーバーには……















 「なるんだなー、これが」


 <メテオ・マキシマムドライヴ>


 「サヨナラホームランだ、ありがたく受け取りな!

  メテオ、クライスシャフト!!」









 アムリタが別なメモリを持って割って入ってきた!?


 シャフトを構えて、"力"を集中させた打撃部で魔力弾を……って!?




 サイドステップしようとした頃には、アムリタによってこちらへ打ち返されたハウリングパルサーが目の前に迫ってきて――












 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「そんな……」


 「泉先輩たちが、あんなあっけなく……」








 みなみちゃんも、ひよりちゃんも、映像越しに見たバトル結果に驚愕してる。


 それは、私も。お姉ちゃんたちだって、とっても強いのに…。


 ……それでも、受け入れられないワケじゃない。それが戦いだって、知ってるから。









 《は〜い、ここで失礼しますね》








 あれ、この小さいロボットさんは…?









 「プロトか。そういえばレルネに依頼しているデバイスの件についてはどうなった?」








 プロトさん?あぁ、みなみちゃんたちのデバイスを作ってくれてる、レルネって人の秘書…だっけ?


 どうもお世話になります、小早川ゆたかです。








 《ご丁寧にどうも、恐れ入ります。

  それで、デバイスの方ですけど……完成いたしましたので、マスター登録も兼ねてお届けに参りました》







 そう言ってプロトさんが見せたのは、2つのバッジ。


 1つは力強さを感じる、ロボットの腕を構えたような絵が刻まれたもの。茶色とオレンジが鮮やか。


 もう1つは、まるで疾風を現すかのような、いくつもの曲線が組み合わさった絵が刻まれたもの。こっちは緑と黄色がキレイ。


 これって……。










 《ご注文いただいておりました、田村ひより殿及び岩崎みなみ殿の専用機。

  その待機形態になります。こちらのブラウンのバッジがひより殿の、グリーンのバッジがみなみ殿のものです。

  さぁ、お二方、こちらへ》









 プロトさんに呼ばれ、ひよりちゃんとみなみちゃんがそれぞれのバッジを受け取る。









 《マスター登録は音声認識です。名前を呼べば登録できます。

  おそらく、すぐにでも出ていきたい気持ちだろうなと思いまして、マスター登録と同時にセットアップできるようにしておきました》







 その言葉が終わると同時に、バッジから浮かび上がった文字。きっと、アレが名前なんだね。


 ひよりちゃんとみなみちゃんは顔を見合わせて、うなずいた。










 「アイアンフィスター!」


 「ストームライダー!」








 『セットアップ!!』











 その言葉と共にまばゆい光が発生して……光が収まると、バリアジャケットを身に纏った二人がいた。


 ……うん、2人とも、とっても似合ってるよ。その姿。






 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 「バトル、オールオーバー。バトル、オールオーバー。

  ウィナー、チーム・メモリーズ」










 結局、アムリタのファインプレーもあって、こちらの完勝という形でこのバトルは幕を閉じた。


 ジャッジマンのコールは正確だ。


 時にそれが残酷なことになるというケースもあるにはあるが、連盟の意思の代弁者。


 "迂闊に"逆らうワケにもいかない。


 まぁ、今回は逆らう理由もないし……そろそろ、"アイツ"の準備も整うだろう。












 「なぁリア、連盟の相手ってチョロイよな?

  今回のガキどもだって、こっちは殆どノーダメだぜ?」


 「そうよねぇ。正直退屈で仕方ないわ」













 アムリタもメディアも、その辺にしておけ。


 連盟に正式登録している選手の中には、正真正銘の猛者も少なからずいる。


 そういう猛者が集うのが、もうすぐ開かれるアレスだ。


 我々にとっても、マイクロンパネルは非常に興味深いもの。誰にも譲る気はない。













 「だとすると、本腰を入れてかからないと本気で危ないでしょうね。

  先ほど更新された新規登録選手のリストを見てみましたけど、かなりハデなことになりそうですから」














 珍しく真面目な面構えでそう私に話しかけるリート。


 彼のシールド型デバイスである「ラスティエル」から転送されてきたデータを見て、久々に心が弾むのを感じた。


 なるほど……確かに、これは本腰を入れてかからなければなるまい。














 「バトル申請受諾。バトル申請受諾。

  チーム・メモリーズに対し、バトルを申請するチームあり」


 「はぁ?なんでオレらが挑戦されなきゃなんねぇんだよ」


 「連盟のチームとして動く以上は当然よ」


 「それよか、相手は?」











 アムリタはダルそうなことを言っているが、メディアの言うとおりだ。もう少し耐えてもらう。


 それよりも、リートも探している、その申請してきた相手についてだが。




















 「……サーチに反応あり、向こうも4人。その内二人は、どうやら新規登録が完了したばかりのようですね。

  しかも、ついさっき」



















 ほう、そんなヒヨっ子が私たちに挑むと?


 ……だが、油断してかかれる相手でもないか。噂のクレア・ランスロットとやらも一緒のようだ。そこの小さな赤いロボットも頭数か?


 だとすれば……面白い相手ではある。


















 「……"アイツ"をここに落とせ」


 《了解》


















 無線で通信し、部下から返答。即答できたということは、既に準備完了というワケだな。


 万が一ということも、我々にはあってはならないからな。


 未知の要素が多い相手ならば、打てる手は打っておくべきだ。


 おっと、対戦相手が来たようだ。








 クレアはどこぞの聖闘士すら髣髴とさせる鎧姿。今回は霊子融合ソウル・ユニゾンのみというワケか。


 隣に連れている赤いロボット……本来はパワードデバイス、名はパンドラといったか。単体戦闘力も高めらしいが、はてさて。


 問題は、その更に両隣にいるルーキーだな。






 「さぁて、泉先輩たちをフルボッコにしてくれた借りはキッチリ返してやるっスよ!」





 そう言うメガネと長く伸びた茶髪の少女は、両腕の大きな篭手と、頑丈そうな茶色のチョッキが目立つ。


 肩、腰、両足にもプロテクターが装着されており、打撃力と防御力に優れていると見た。







 「ルーキーだからってなめてかかると、痛い目見るよ」







 そう言う緑のショートヘアーの少女は、対照的にスッキリしたフォルム。


 長袖のインナーに黒のスパッツ、鮮やかな黄緑の半袖ジャケット。両足の膝から下を丸ごと覆うプロテクターに、ローラーブーツ…か?












 向こうもあくまで強気だが……まぁ、今回は様子見程度にとどめておくか。


 田村ひよりに岩崎みなみ。今新たにラスティエルから転送されてきたデータから、この名前が分かった。


 こいつら……戦闘経験自体が浅い。我々でなくても十分だな。

















 「チーム・メモリーズ、ヴァーサス、チーム・グラップラー。

  バトルモーどぁぁぁぁ!!」


 「なっ!?」


 「いきなり何事っスか!?」
















 来たな。遥か上空から、ジャッジマンを押しつぶすように……というか、実際に押しつぶした。


 そして代わりに、黒いカプセルごと出てきたのは……頭部のパーツ形状が若干異なる、黒いジャッジマン。


 安直に「ダークジャッジマン」などと呼ばれているがな。















 「ヒャッハッハッハッハッハ、ヒャーッハッハッハッハッハ!!

  ただいまよりこのバトル、プレダコンズがジャックしたぁぁ!!」



















 ダークジャッジマンめ、初の出番だからと浮かれおって。


 いきなり我らの正体をバラすな。




















 「今、プレダコンズって言った…?

  まさか、キミたちもタランスとかが関与してるってこと!?」


















 ほら見ろ、既に交戦経験のあるクレアには速攻でバレただろうが。


 本来なら、アレスの予選となるバトルロワイヤルレースで堂々と今のような宣言をする予定だったというのに。


 少々ノリを軽くしすぎたか?




















 「ヒャッハッハッハ、チーム・メモリーズヴァーサスチーム・グラップラー!

  バトルモード・アンリミテッド、レディー、ファァァイッ!!」




















 ……お約束を忘れなかっただけ、よしとしておくか…。


 メディア、アムリタ、リート、適当に連中を出せ。1人1体ずつ。


 私は……コイツにしようか。








 「いってこい――アウゲイアース!」


 「舞ってきなさい――ステュムパロス!」


 「ブッ飛ばせ――エリュマントス!」


 「お願いします――ミノス!」













 アビリメモリには、メモリとしての機能しか持たないタイプの他に、もう1つある。







 灰色の帽子とローブに身を包む、紫の髪の男。



 橙色の和風の着物に身を包み、鳥の羽を模した伸縮自在な一体型の振袖を両手に持つ少年。



 メットをかぶり、黄緑の長袖ジャケットと緑の短パンが特徴的な、黄緑の髪の少年。



 頭のトサk…もとい、モヒカンとグラサンがVの字になっている、赤い服が際立つムキムキマッチョメン。







 まぁ、後半二人はアムリタとリートが既に使っているがな。


 こいつらのように、ユニゾンデバイスが宿るタイプも存在する。


 総じてユニゾンデバイスである為、身長は一般のユニゾンデバイスと変わらず、せいぜいパンドラと同程度であるが。


 しかしメディアめ、向こうに空戦型がいないのに飛行タイプのステュムパロスを放つとは、容赦ないな。


 もっとも、"ダークバトル"と化した今、手加減など無用だがな。












 「ちょっと待つっス!そういう増援って、連盟のルールじゃ反則っスよ!?」


 「バトルモードの"アンリミテッド"は、一切の反則行為がない。

  今のような増援やアイテムの使用はおろか、人体を直接攻撃することすら容認される。

  まぁとどのつまり、何でもアリということだ」


 「で、私たちが撤退しちゃうこととかもね」


 「あばよ、ルーキーども〜」


 「こればっかりはさすがにいいんですかねぇ…」











 ひよりからの抗議に、私が淡々と解説してやる。


 そう、アンリミテッドとはそういうルールだ。いかなる反則行為も許される、まさに死闘というワケだ。


 確かにデンジャーすぎるバトルモードだが、バトルマニアどもにはウケがいい。


 ダークジャッジマンを介してこのバトルも中継され、巷のバトルマニアどもが賭け事でも始めている頃だろう。




 尚、先ほどのバトルでリートが「反則になる」と言っていたのは、まさに連盟のルールに反する行為だからだ。


 だからこそ、ダークジャッジマンを落とし、アンリミテッドでのバトルを宣言してもらってからの召喚。


 これで堂々と放てるというものだ。





 というワケで、貴様らの相手はそこの4人だ。


 せいぜい、ルーキー同士で小競り合いでもしているがいい。


 メディア。








 「じゃあ、さっさと帰るわよ」


 <インビジブル・マキシマムドライヴ>


 <ゾーン・マキシマムドライヴ>







 メディアが、両腰のメモリスロットにそれぞれインビジブルとゾーンのメモリを装填。


 すぐに転移が始まる。









 ……せいぜい焦ってくれよ?機動六課も、ディセプティコンも…。












 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 ……ダメ、逃げられた。


 転送で一気に離脱されたら、さすがに追跡は無理だね…。


 それに……別な形で、バトルが始まっちゃったし。










 「とにかく、相手はいる……やるしかなさそうだね!」


 「確かに……仕掛けたのはこっちだし、今更引き下がるワケにもいかないっスね」


 「それに、私たちのデバイスのお披露目戦であることに変わりはないし」


 《やってやろうかしらね》










 僕の言葉に、ひより、みなみ、パンドラがそれぞれに答える。


 ちょうど4対4、いきなり不利ってことにはならないよね。











 《「"大地の守り手"グランブレイダー、突貫する!」》


 《"閃光の遊撃手"パンドラ、出陣!》


 「"鋼鉄の闘士"田村ひよりとは、私のことっスよ!」


 「"疾風の番人"岩崎みなみ、いきます!」










 「"濁厩霊だくうやまれい"のアウゲイアース、ゆくぞ!」


 「"怪鳥霊かいちょうれい"のステュムパロス、参ります!」


 「"猪突霊ちょとつれい"のエリュマントス、ぶっ飛ぶよ!」


 「"暴牛霊ぼうぎゅうれい"のミノス、ぶちのめしてやるぜ!」













 お互いにキメ口上を述べた後、同時に駆け出した。


 「アレス」の本戦前に……少しでもバトルに慣れないとね!























 (第20話に続く)































 <次回の「とたきま」は!>




 ジュンイチ「あっちこっちで騒ぎ始めてるなー、主にバトル的な意味で」


 トラルー「そりゃあそうでしょ、駆けずり回ってメンバー募集したら次元世界すら超えたチームができちゃったし」


 レルネ「いやー、今月はボロ儲けですよトラルーたま〜♪」


 プロト《「アレス」に向けて、創主レルネお手製デバイスの需要がてんてこまいなのです》


 ジュンイチ「オイ、まさかまだいるのか?メイド・イン・レルネなデバイスをゲットするヤツ」


 トラルー「ふっふっふ。ヒント、六課在籍中の裏切り者!!」


 ジン「いきなり候補が絞られた!?」









 第20話「鮮烈デビューと三馬鹿と古き英雄」









 トラルー「新キャラもまだまだ増えるけどね。まさに大根RUN」


 ジン「ホントに大混乱だな…お前の頭も」
























 あとがき




 文字通りの戦力増強&新キャラ・ラッシュ編の始まりとなった第19話です。また時間かかった…。


 「アレス」前夜祭編の強化フラグ第1号となったひよりんとみなみの勇士は次回へ持ち越し。バリアジャケットのみのお披露目に。


 次回、同じくお披露目で持ち越しとなった新キャラ4名と大激突します。





 一方で、新たに発見されたマイクロン。リティとの出会いがしらの事故のおかげで確保できましたが、さてさて。


 名前は伏せられたままですが、このマイクロンが誰なのか、お気づきになれましたか?(マイ伝に早い時期から登場した1体です)





 機動六課のみならず、プレダコンズにも続々と新キャラが。勿論、ディセプティコンにも考えております。


 取りあえず、この第2クールの強化ラッシュは、ディセプティコンをも巻き込む予定になっていたり。


 いや、味方ばっかり強くなってもツマラナイし(マテ)


 ただし、彼らと「凶戦士」には、何のつながりもございません(ぁ)






 第2クールも残すところあと5話、怒涛の参戦&強化ラッシュをお楽しみください。


管理人感想

 放浪人テンクウさんからいただきました!

 新キャラ登場によりかませ犬と化したこなた達。
 まぁ、元々フォワード陣と違ってカイザーズでまともに生身で戦えるのはこなたとかがみだけですしね。ある意味仕方ない話かと。
 むしろマスターギガトロン相手に惨敗した時の方がよほど言い訳が利かないかと(苦笑)。

 最後の名乗り合い。
 相手側四人の『○○の〜……』という名乗りで某聖闘士やら某海闘士やら某冥闘士やらを思い出したモリビトは昭和世代(爆)。