レルネ「さて、突然ですが新コーナー!

     『レギュラーメンバーのドコナニ』のはじまりはじまり〜♪」


 プロト《何故》


 レルネ「簡単な話、メンバーが増えてきたせいで、

     作者が『誰がどの辺でどうしてんのよぉ!?』と混乱することがあるので、その未然防止策として」


 ギガントボム「理由がメタメタすぎるぞ!?」


 レルネ「いいじゃないですか、それで少しでも執筆がしやすくなれば」


 二人《「…………」》


 レルネ「と、いうワケで、早速第1回!前回の第19話終了時点で、主だった動きはこんな感じです」












 1:恭文たちがマイクロンを追いかけている現場にリティ&レクセが鉢合わせ

   不慮の事故からそのままなだれ込んでトラルー達に合流




 2:カナヤゴが経営する「ヤタノカガミ」に、トラルー他数名が来店中

   ノーザン、リティ&レクセ、エリキャロとイクト&フェイトも一緒




 3:こなた達カイザーズが、リア・ファル率いる「チーム・メモリーズ」とバトル、惨敗

   一方で、ひよりとみなみの専用デバイスが完成する




 4:急遽援軍として呼ばれたクレアやパンドラを加えたひよりとみなみはバトル開始

   しかし、リア・ファルたちに相手を変えられ、何でもアリなダークバトルになってしまう



















 レルネ「今はまだ焦点が絞られている方ですけど、寧ろこれからですよ〜このコーナーの本領発揮は」


 ギガントボム「まぁ、読者サービスにもなっているんだかいないんだかよく分からないが」


 プロト《取りあえず、第20話をどうぞ〜》


 レルネ「それはボクのセリフですぅぅ〜!」























































 「とある魔導師と守護者と機動六課の日常」異聞録






 「とある旅人の気まぐれな日常」






  第20話:鮮烈デビューと三馬鹿と古き英雄






























































 「しっかし、なんでまたこんなに天井が高いんだ?この店は……」


 「ここには、ギガロニアからの客人も来るからな。

  一般的なサイズシフト装置では彼らには対応しきれないんだ」


 「あぁ、一応使えるっちゃあ使えるけど、縮小しても大型のトランスフォーマーと大差ないからなぁ…」








 スペシャルビターブレンド、その即死効果によって死線を彷徨った若干名も復帰し、改めてティータイム。




 一応補足しておくけど、フツーに淹れてくれれば、カナヤゴさんのコーヒーやティーは絶品である。


 「あのスペシャルビターブレンドについては黒歴史ということで処理しよう」


 それが、連続即死事件の現場に立ち会った僕らの満場一致の意見だった。




 で、スターが今ツッコんだのは、この「ヤタノカガミ」の天井の高さ。


 人間サイズで考えれば、天を衝くといわんばかりといったところ。かるーく10メートルぐらいはある。


 理由はカナヤゴさんが自ら語ってくれた通り。ギガロニアのお客さんも意識してたんだねぇ。


 ……ってことは、新スペースブリッジ計画の会議が行われた日とかに、お邪魔してたりしたんだろうか。











 「ちなみに、メガロコンボイやメトロタイタンもこの店に来たことがある。

  なんともコーヒーの入れ甲斐がある連中だったさ。デカいからな」


 「……じゃあ、椅子のいくつかがサイズシフトしたりするのって…」


 「当然、トランスフォーマーが来店した時に備えてだ。

  向こうの方にも、トランスフォーマーがいるだろう?」










 確かに、カナヤゴさんに示された先には、コーヒーを飲んでくつろいでいるトランスフォーマーが。


 ……ていうかさ、お仕事はどうしたの?シグナルランサー。










 「いや、オレもたまにはこうして息抜きをしたいんだ…」


 「隊舎のヌシっていうのも疲れるもんねー」


 「うぬ、隊舎のヌシよ、日々ご苦労様でおじゃる!」


 「言っておくが、お前らも十分にオレの苦労の種になっているんだからな!?」









 息をついて答えてくるシグナルランサーは、なんかホントに気苦労たまってるっぽい。


 とりあえず、自分の罪状も顧みずになんかほざいてるイテンとビコナは僕が張り倒す。







 ……この二人、ていうか主にビコナなんだけど、ここんところ隊舎の女子メンバーとガールズトークに没頭しまくり。


 トークすること自体は別にいいのだけど、内容が数分と経たない内に下ネタだのピンク色なネタだのに流れていくのでおっかない。


 エリキャロやヴィヴィオを初め、まだその手の話は早いメンツだっているのにね。





 ていうか、極めつけはガールズトークという名の、下ネタとピンクネタのオンパレードなラジオを作ろうと放送室を占拠した事件。


 これは、よりにもよって部隊長殿改めエロ狸まで首謀者になっていたという事実まで判明。


 で、六課隊舎の良心代表にして隊舎のヌシであるシグナルランサーが阿修羅を凌駕する存在に変貌。


 首謀者トリオことエロ狸、イテン、ビコナを別な部屋に閉じ込めて1ヶ月反省文を書かせ続けたという珍事件である。




 ……ただ、当の3人は全くといっていいほど懲りておらず、


 一室を占拠するに至らずとも、目を離せばすぐに女子メンバーを捕まえてアブナイガールズトークを始める為、


 今となっては業務に差し支えるレベルにまでなっている……というのが、摘発者代表にされてたグリフィス補佐官の談。







 ……とりあえず、胃に穴が開かない程度に頑張ってください…。










 「あぁ、気をつけるさ……気持ちだけはな」


 「実際に行動に移すとそれどころじゃないもんなぁ」


 「分かってくれるところを悪いが、お前はお前で模擬戦の時の大暴れを自重してくれ。

  誰が後始末すると思ってるんだ、誰が」


 「あだだだだだだだだだだ」










 同情の言葉をかけるスターだけど、彼もまた問題児だった。


 デスクワークよりは戦闘向けなモンだから、「模擬戦のコーチでも」と買って出てるんだ。


 でも、一度スイッチが入ると、もう怪獣映画さながらの損壊を招く大暴れ。


 結果的に、スターが参戦した後は模擬戦のフィールドが使い物にならなくなるから、修復作業で人が駆り出されるハメに。


 挙句の果てにスター自身は修復作業に参加してくれないので、こうしてシグナルランサーに指1本でグリグリされている、と。











 「な、なんか大変ですね…」


 「大変だとも。ところで、あんたは?」


 「あぁ、ついさっき合流したばっかりだからまだ知らないよね。えっと、僕の旅友達、とでもいうべきかな?」


 「メル友とか、そんな感じでいいのか?」


 「まぁ、そんな感じ」


 「俺はリティ、それと、今あっちの席でコーヒーに夢中になってるのがレクセ。

  後でまた話しますけど、これからしばらくお世話になります」


 「おぉ、そうか。隊舎の方は部屋も余ってるからな、アイナさんがうまく手配してくれてるだろう。

  オレはシグナルランサー。よろしくな」











 声をかけるリティのことをシグナルランサーが知らないのは当然なので、僕がフォローを入れてやる。


 完璧に初対面であるリティだけど、彼の持ち前の雰囲気の良さはシグナルランサーにも好印象だったようだ。


 軽く自己紹介しつつ、僕とレクセも一緒に4人同時にコーヒーを一口。


 いやはや、味加減は人それぞれだけど、コーヒーが心を落ち着けてくれることは変わらないね。












 「何かで焦ったりしたら、まずはコーヒーなり紅茶なりを飲むことだ。

  少しは落ち着いて、何か名案が浮かんだりするかもしれないぞ」












 さすがは自分でカフェを経営し、かつコーヒーのブレンドにこだわる男。


 カナヤゴさんの今の言葉には、ありがたみを感じるよ。


 しっかし、そう言われると、なんかティータイムが救世主の降臨する時間に思えてしまうよ。


 心理的な意味で。














 「ところで、エリオとキャロは何にするんだ?

  さすがにブラックのコーヒーはキツいだろう」


 「心配せずとも、紅茶やジュースもある。

  好きなものを選んでくれ」


 「そうですね…あ、じゃあアップルティーください」


 「私も、それで」


 「分かった」













 イクトからの問いで、エリキャロもドリンクをオーダー。


 カナヤゴさんの絶妙なタイミングで入る補足の素晴らしさに恐れ入ります。


 紳士だ、紳士だこの人。















 「……ねぇ、なんでコーヒー見たまま固まってるの?」


 「…………」


 「ねぇ」


 「…………」


 「ねぇったら」


 「…………」
















 フェイトが、さっきから自分の頼んだコーヒーを見たままフィギュアみたいに硬直してる。


 表情が何とも言い難い複雑な顔だから、多分コーヒー絡みで硬直してる。


 …………まぁ、即死した1人だしなぁ、それが原因だとはおm

















 「なんちゃってライダー電気ショック」




 「ひゃああああああああっ!?」




















 瞬時に起動、ディバイドモードにしたガメッセのバヨネットをフェイトの体に当てて……電気ショック?


 アレか?最近出たばかりなビリー○ロッドのアレか?


 ていうか、そんな芸当できたんか。


 何はともあれ、電気ショックのおかげでフェイトが再起動。とりあえず一安心。











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 ふむ、ここがミッドチルダ……魔法文化が発展している、という割には、機械的な印象を受けますね。


 実に独特な発展を遂げていると見えます。








 「原動力を魔力にしているだけの、魔導機械だろうに。

  普通にデータだのプログラムだのと言いながら使っているのに、どう解釈したら魔法というカテゴリに入るのやら」







 まぁまぁ、ポラリス。異文化には異文化なりの解釈や伝承があるものです。


 頭ごなしに否定したりしても意味はありませんよ。


 まぁ、かつて機械帝国の姫君であったから、仕方ないとは思いますけd








 「アレックス……そこに触れるなと言った筈だぞ?」







 分かりました、分かりましたから……そんな狩人というか悪鬼の目で見ないでください、怖いですから。








 「まったく……お前は時々口が迂闊なんだ」







 はは、相変わらず手厳しい…。


 少し機嫌を損ねてしまったか、そっぽを向いてさっさと歩き始める彼女をボクも追いかける。









 やれやれ、もったいない話ですね。


 せっかく、密かに麗しい乙女のままで"転生した"っていうのに、こうも男勝りでは…。


 ……まさか、未だに悶々としているんですか?


 "あの頃"に否応なしに背負うハメになった、無念と責任の入り混じった複雑な感情のせいで。








 さて、ボクらが今目指しているのは、昔懐かしい知人が経営しているという、とあるカフェ。


 でも、少しぐらい変装するべきでしたかね?


 あまりにも"昔のまますぎて"、バレるのはともかくとして、ややこしい事態になりそうな不安もありますから。


 プライマスとやらも、少々気が利かない…というのは言い過ぎですかね。









 「まったく、私たちが生きて"いた"時代から既に何百年も経っているんだぞ。

  今更誰かに目撃されたところで、特段恐れるようなこともないだろうに」


 「取りあえず、その時代経過ってところに少しは自覚を持ってください。

  あの時代に名をはせた英雄の一部は今も伝承という形で誰かに知られてるんですから」









 …………本当にやれやれです。


 ただでさえ、古代ベルカ戦争についてはミッドチルダの無限書庫や聖王教会という場所に膨大な記録が残っているのに。


 ボクたちは、その戦争の中で一度命を散らした英雄って扱いになってたって前にも話したんですけどねぇ…。


 英雄騒ぎで地上本部の人たちに嗅ぎつけられたらそれこそ厄介なことになりそうで怖いですよ。


 あそこ、トップの性格のせいで、希少能力者嫌いがとことん定着してしまっているそうですから…。









 「……私は…私は、英雄なんかじゃ、ない…っ!

  むざむざと顔向けできそうな人なんて、この時代に残ってないんだから……」









 ……本当にそう思います?


 だったら、試しにそのドアを開けてみればいいじゃないですか。


 この店、相当に幅広い客層で有名になりつつあるんです。


 もしかしたら、古代の戦争からの生き残りもこっそり来ていたりするかもしれませんよ…?











 「っ……ばかばかしい。そんなワケあるハズ……が……」


 「……?」











 あれ、どうしましたか?ドア開けた途端に固まっちゃっt











 「……ぃいいいいいいいたいたいたいたいたああああああっ!?」


 「うわっ!?」












 とか思ってたら突然回れ右して全力疾走。


 見た感じ何かから……というか、誰かから逃げた感じでしたけど……。













 「……とりあえず、彼女連れ戻してきて。

  トラルーさん的にはどうせだからゆっくりと話をしたいんだけど。

  ね、スター?」


 「何を恐れて飛び出したんだ?ポラリスは……」












 あぁ……原因があなた達だってことが分かって少しスッキリしましたよ。


 ご心配なく。こんなこともあろうかと……













 「わにゃああああああっ!?」












 彼女の腰のベルトに、超強力なウインチのフックをひっかけておいたので。








 「どっから出したんだ、そのウインチ」


 「こーゆーのは気にしたら負けなのさ」









 まぁ、そういうことにしていただけると助かります。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「くらえ!」


 《そんなの!》









 アウゲイアースが繰り出す紫の……液体、かな?


 それをパンドラは、腰部のスラスターによる加速と持ち前の軽やかなフットワークで回避。


 液体はさっきまでパンドラがいた場所に落ちて……地面が溶けた!?




 これ、前に六課の戦闘記録を見たときにあった、メルトダウンってヤツが使ってたのと同じ!?









 「そういうことだ、この溶解液を浴びればタダではすまんぞ」


 《アンリミテッドが"何でもアリ"って言われてるだけのことはあるわね》


 《アイツの"濁厩霊だくうやまれい"って言葉、あの溶解液が由来かよっ!?》








 えっと、フィーは分かるの?


 僕にはよく分からないんだけど…。









 《悪いけど説明してられるヒマはなさそうだぞ!》


 「……みたいだね!」


 「チッ、よけやがったか」









 僕は僕で相手に集中しなきゃ。


 あのミノスってヤツ、すごい馬鹿力。トランスフォーマーもブッ飛ばせそうなくらいに。


 まともにくらったら大変だろうね…。










 「まともにぶち込むんだよ、一気になぁ!」


 <バイオレンス>


 《クレア、メモリだ!仕掛けてくるぞ!》


 「うん!」










 ミノスがメモリを出して起動。アレって確か、カイザーズとのバトルでも使われてた…。












 「本来は、オレ自身の身体強化を可能とするメモリさ!

  暴力的なまでの破壊力と鋼の防御力を同時にもたらす、身体強化系のスキルを宿してるんだよ!」


 《あのパワードスーツ的なヤツはオマケかよ!?》










 バックステップで飛びのいた矢先、直前まで僕がいた場所には大きな穴が。


 ミノスの拳がぶつけられてできたんだ。それに、よく見れば拳に牛の頭みたいな形をしたグローブらしきものが。


 暴力的……牛……あぁ、だから"暴牛霊ぼうぎゅうれい"なんて二つ名なんだ。











 「名前の由来が分かった程度で、勝てるワケねぇ。

  こいつぁオレらのデビュー戦だ。華々しく飾りたいから、オレにブッ飛ばされちまいなぁ!」


 《誰が!》


 「そんなの、お断りだよ!」








 構えなおして、再度突撃してくるミノス。


 今度はサイドステップで回避し、そのまま後ろに回り込んで……










 《「グランドクェイク!」》









 "力"を込めた拳を叩きつけ、地割れを起こしてこちらへ振り向いたばかりのミノスを落とす。


 更にガレキがあいつに降り注いで……ってところは、ジェノスラッシャー相手にやったときと同じ。


 でも、幸い今回は1対1で戦えるからね……集中させてもらうよ!









 「……この程度で、このオレがぁぁ!!」


 《はい、ご苦労さん》


 「いっ!?」










 イリアスが告げる頃には、"力"を練りこむ準備はできていて……











 《「フォースチップ、イグニッション!!」》











 パンドラとの三位一体の姿「レイ・グランディア」のフィニッシュでも使った、フォースチップ。


 一応、パンドラが正式に加わってからは訓練を重ねて、三位一体でなくても使えるようにはなったんだ。


 そのフォースチップが、僕の胸のところまで降りてきて、すうっと溶け込んでいく。


 その直後、力がみなぎってくる。












 《「インパクトぉ、グレイド!!」》










 みなぎってきた力、その全てを1つの光弾にして束ねる。


 それに拳を叩きつけて……地面に押し当てる。その瞬間、地面から凄まじいエネルギー波が発生し、ミノスを吹き飛ばす。


 吹き飛ばされたミノスは、放物線を描いて遠くへ落下して……カウンターのライフがなくなったことを示す光の発生を確認できた。










 「ミノス、ブレイクオーバー!……って、NOォォォ!!」









 ダークジャッジマン…だっけ。あからさまに悔しそうだけど……ダークバトルってこんな感じ?







 《噂に聞いてたところによると、ダークジャッジマンはひいきらしいからな》







 ……誰に対してひいきなのかって疑問は…ないよね。


 どうせプレダコンズ絡みである以上、プレダコンズを持つにきまってるし。







 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 さぁ、今日からは「アレス」っていうイベントも控えてるし、気合入れなきゃね!


 ねーティア。






 「はいはい、分かったから集中しなさいよ。

  開始早々に猛攻くらってブレイクオーバーなんてことになったら怒るからね」






 あうあう、なんだかティアが怖い。


 ……ただ、ティアが張りつめちゃうのは仕方ないのかも。


 今回、お相手は既にアーツバトル連盟に登録してるっていうペア。


 その内の片方、緑色の子は、なんと分身できちゃうっていうんだ。


 幻術使いとして、ティアにとっては見過ごせないんだと思う。











 「チーム・スターズ、ヴァーサス、チーム・ランディア。

  バトルモード・スタンダード、レディー・ファイッ!」











 ジャッジマンからのコールで、試合開始のゴングが鳴る。


 それと同時、私と向こうの黄色の男の子が駆け出した。


 ……って、痛っ!?





 駆け出したのは同時、だけどこっちが一撃入れる前に痛みに襲われた。


 左腕に斬撃?でも、あの子には剣とかはないのに…?


 でも、2回目は対処できた。リボルバーナックルで受け止めて……攻撃が、今止めているクローによるものと分かった。







 まるで動物のたてがみのような雰囲気を感じる髪に、黄色のクリスタルが埋め込まれた、ひし形のヘッドギア。


 両腕には、今攻撃に使ってるクローを備えた、ヒジから下を覆う腕カバー。


 肩まで露出し、首元からお腹の少し上までをカバーするジャケットと、黒のスパッツ。


 足には、小型のスラスターが仕込まれている特殊なブーツ。多分、これであの猛スピードを叩きだしてる。


 そして、上下3色で分割されるようにラインがある、胸をカバーする大きな丸いプレート。




 この子が、対戦相手の1人、ブライ。












 「へぇ、よく反応できたじゃんか。

  でもよ、このトラクローの斬撃に、そのデバイスがいつまで耐えられるかな!?」


 「なんのっ!」












 トラクローっていうのは、今まさに使ってるクローのこと。


 アレ、普段は圧縮収納されてるんだって。便利だねー。


 それはともかく、クローをはねのけ、反撃の一撃を入れる為に疾走。


 カートリッジを1発ロードして、リボルバーナックルのギア周辺に竜巻が発生する。


 それを……至近距離で撃ちだす!















 「どわっ!?」















 でも、相手もそう簡単に当たってはくれない。


 紙一重でかわされて、回り込まれる。


 けど、それぐらいのカウンターなんて!












 「残念!足元だよ!」


 「うひゃあっ!?」











 回り込む際に展開していた、脚部の小型スラスター。


 アレをふかしたまま足払いして、こっちの体勢を崩してきたっ!?


 しかもその勢いを利用して回転して、今度こそ本命のクローによる攻撃。


 その衝撃でブッ飛ばされて、体勢を立て直す。








 カウンターのライフは……うわ、今までの攻防で3分の1は削られてる。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 スバルが黄色の子を相手にしている一方で、私はもう1人、ルアクと交戦中。








 鮮やかな黄緑色の、後ろに2本に分かれて伸びてる髪。


 まるでクワガタのハサミをモチーフとしているかのような、黄緑のクリスタルが埋め込まれた緑色のヘッドギア。


 どこか忍者を思わせる半袖の上着と、腕に見える網タイツ。多分、胸から腕にかけてのもの。


 太ももの部分が膨らんで、内またの方が肉抜きになってる短パン。


 そして胸部には、上下3色で分かれるようにラインどりがされている、円盤のプレート。


 まぁ、この子は緑系統で、ブライって子は黄系統で統一されてるから、あまり目立った違いはないけれど。









 ルアクのメイン武装はおそらく、両腕の腕カバーから展開されているブレード。


 手首くらいのところに付け根があって、そこを支点にして展開、グリップが手にくるようになってるんだ。


 まだ直撃はもらってないけど、空を切る感覚から、結構な切れ味だと思う。








 「やっ!たぁっ!」


 「このっ!」










 この子の連撃…決して速いワケじゃないけど、キレがすごい。


 ブライが速度に特化しているタイプなら、ルアクは小回りが利くタイプ。


 現に、ブライは時折腕のクローをブレーキ代わりに使って急な方向転換をこなしてるみたいだし。


 スバルに足払いからクローの連撃を決めた時も。











 「クロスファイア――シュート!!」











 なら、近づけさせなければいい。


 周囲に大量の魔力弾を生成し、ルアクめがけて一気に放つ。


 でも、全部は撃たない。よけられることを想定して、生成した内の半分を残す。


 ……ほら、爆炎の中から出てきた。出てきたところめがけて、残りを放つ。


 着弾、爆発。……手ごたえあった!











 「誘導弾だけで、ボクを倒せると思ってるの?」











 その声と同時、背中に衝撃。そのまま吹っ飛ばされて……地面を転がりながらも、確認できた。


 ルアクが……"3人"いることを。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 「とりゃーっ!!」


 「当たんないよーだ」







 突撃、拳を繰り出すけど……またかわされる。


 あーっ!"一直線にしか加速できない"ってわかってても、こうもかわされるとさすがにヤキモキしちゃうっスね!


 「ロケット」のメモリを使う、エリュマントスってヤツを相手に、私は苦戦中。








 「お返しだぁっ!」


 「なんのこれしきっ!」








 加速力を応用した大ジャンプでとび蹴りをしてくるけど、


 短パンだから動きやすいとはいえ、こちとら「耐えて殴る」タイプっスからね、防御にはちょいとばかし自信があるっスよ!


 アイアンフィスター、その大部分をしめる両腕の篭手で受け止め、弾き飛ばす。


 ……開始してから、ずっとこの繰り返しなんスよねー。












 「ミノスはブレイクオーバーしちゃってるし、アウゲイアースは詰まってるし…。

  ステュムパロス、ちょっと交代!」


 「そちらのチョッキの人を狙えばいいんですね?」












 加速力で一気に離脱されたかと思ったら、いきなり鳥の羽の雨が。


 慌てて飛びのいて、私がいなくなって羽が刺さった地面が爆発する。どんな爆弾っスか!


 ていうかアイツ、みなみちゃんの相手をしてた鳥っ子にこっちを押しつけた!?











 「入れ替えた、と言ってもらいたいですね。

  4対4とはいえ、相手を固定しなければならないなんていうルールは公式にすらないんですから!」


 「そういうことだよーだ!」










 エリュマントスが飛びのき、その背を隠す形で鳥っ子が割り込んできた。


 鳥っ子ことステュムパロスは、羽みたいな形状をした振袖を手でふるって、羽爆弾を落としてくる。


 しかもあの振袖は一種のブレードというかカッターのようにも使えて、近接戦のダメージソースになってるという便利仕様。


 オマケに単体で飛行できる能力があるから、飛行できない私たちにとっては非常に厄介なんスよね!











 「でも……その交代判断は、命とりかも」


 「え――ぶみゃっ!?」











 割り込んできた声に振り向いたエリュマントスが、いきなりきりもみ回転しながらぶっ飛んだ。


 ……どんな蹴りをしたらあんな吹っ飛び方するっスかね?


 ねぇみなみちゃん。












 「ストームライダーのブーストのおかげ…かな」


 「なるほど」













 ブーストをかけた魔力を変換した風を纏わせて思いっきり蹴ったんスね。


 それも、アクション映画顔負けのジャンピング回し蹴りで。


 ともかく、吹っ飛んだエリュマントスはそのままステュムパロスへ……











 「痛っ!?」


 「あだっ!?」











 あ、激突した。


 そのまま鳥っ子共々落下して……チャンス到来っスね!













 「一気に決めるっスよ、みなみちゃん!」


 「うん!」













 さぁて、バシッといくっスよ!











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「さて、扉を開けて早々に一波乱あったけど、改めて紹介しよう」








 そう言って、僕は二人の方を向く。





 「まず、金髪くんはアレックス。炎属性の魔法と、剣術の使い手だ。

  それと、智将としても高い実力を持っている」


 「以後、お見知りおきを」









 アレックスは、今言った通りの金髪で、ショートヘアーだね。瞳はグリーン。


 小柄な男の子で、パワーファイトよりはドッグファイト向け。あ、今言わなかったけど飛行能力もある。そこは後で詳しく。


 首元から肩にかけての紫のケープ、その下は白に赤い縁取りがされた上着と、白いインナースーツ。


 上着には前面に左右2枚ずつの、後面は一体型のヒラヒラがある。まぁ、ロボでいうリアスカートとかそんな感じかな。


 あとは白い手袋に茶色のブーツ。胸元には赤い十字のペンダント。









 「そっちの緑髪ロングヘアーな子がポラリス。機械分野に精通している上に、武具のエキスパート。

  あと、防御力が高くて、小柄な見た目とは裏腹にパワーもある」


 「よ、よろしく…」






 ポラリスは、緑色のロングヘアーで、瞳は赤。あと、髪は後頭部で大きなバンダナで束ねてあって、束ねた下から広がってる。


 バンダナがリボンのようにも見えるけど、縛った端だけが出てるのでバンダナです。リボンじゃないよ。


 軽いながらも優れた耐久性を持つ紺色のアーマーを、胸部と背部一体型、両肩、両腰、両足のヒザ周辺、といろんなところに装備。


 ……というのは戦闘時の話で、私生活中である今はアーマー部分をそれと似たデザインのフツーの服にチェンジしてもらっている。


 いやね、さすがにマズイから。なんで平穏な世の中であんな鎧姿で出歩くのさ。彼女らしいけど。







 ちなみに、服はイグナイテッドの圧縮空間にあった適当な布をジュンイチに再構築リメイクで作ってもらいました。


 うん、なんかジュンイチが尾行してたので、スピード逮捕させてもらったワケだ。


 ミッドだとストーカー行為って犯罪になるのか疑問だけどねー。






 「待て!これストーカーじゃない!警備だ警備!」


 「フツーに職務質問すればいい話だろうに」








 ジュンイチの抗議の声はシグナルランサーのツッコミで封殺されました。


 あぁ、一応組織の人間だもんね、ジュンイチも。










 で、さっきからポラリスが顔を真っ赤にしてうつむいているのは……まぁ、扉の前での茶番劇のせいってことで。


 いやはや、"生前から"さっぱり変わってなくてうれしいやら何やら。









 ……さて、悟った読者様もいるだろう。


 アレックスとポラリスは、本来は既に死んでる存在なのである。


 二人を"生前の頃から"知ってる僕が断言する、間違いない。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 えぇい、チョコマカと…!


 先ほどから溶解液を放つが、ヤツはとらえられない。


 かすることすらなく、全くの無傷でこちらと対峙している。







 《残念ね、溶解液に頼り切ってる時点で、あなたに勝ち目はないわ!》


 「ほざくな!」







 余裕の声で宣言するパンドラに、もう一度溶解液を放つ…がダメだ。


 またもや回避され、気づけば既にヤツの刃をくらった後。


 ……だが、その攻勢もいつまで続くかな?








 《そんな溶解液、何回放ったって…きゃあっ!?》


 「それみたことか!」


 《……地面が、穴だらけにっ》







 そういうことだ。


 回避はできても、無効化できたワケじゃない。回避されれば、それだけ地面が溶ける。


 溶けた部分は穴となり、そのどれかにお前が落ちる…それを待っていたのさ。





 これが人間の女の子の姿なら、大なり小なり恐怖で歪む顔で萌えた部分であるが、ロボットだからな。そこはいい。


 這い上がろうにも、思いっきり突っ込んだショックですぐには足を抜けないパンドラへ向けて、溶解液を放つ体勢に。


 逃がさないぞ、今度こそな。










 「さぁ……無念の思いと共に溶けて消えるがいい!」


 《消えるのは…あんたよ!》


 「ぬっ!?」










 右手に握られていた刃付きのナックルがいきなり投げつけられ、こちらの右手、溶解液を放つ寸前だったところに当たる。


 衝撃で真上に腕を掲げる形になってしまい、止めきれなかった溶解液が吹き出し……シャワーのように私に……









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 「ぎゃぁぁぁぁっ!?」










 ……大成功!


 私がホープ・エッジを投げつけたのは、溶解液を放つ軌道を変える為。




 ホントはどっかに逸れるだけでよかったんだけど……結果オーライね。


 だって、自分の溶解液をモロにかぶって、大ダメージ受けてるし。


 隙だらけだし……決めちゃおうかしら。












 《フォースチップ、イグニッション!》












 私の声に応えたスピーディアのフォースチップが、私の背中から露出したチップスロットに差し込まれる。


 同時に全身のラインに沿って装甲が展開、フルドライブモードの状態に。


 投げた後跳ね返ってきたホープ・エッジを掴むと、2つのホープ・エッジにエネルギーが集中。














 《アタックファンクション・蒼拳乱撃そうけんらんげき













 大きくジャンプして、アウゲイアースめがけて拳を左右2回ずつ繰り出し、


 フォースチップのエネルギーでできた光弾を連続で放つ。


 光弾は一気にアウゲイアースに殺到して……
















 《撃退――完了!》

















 私が片足立ちに近い体勢で着地し、そう宣言すると同時――アウゲイアースは大爆発に飲み込まれた。


 背中越しにブレイクオーバーを意味する光を確認できるまでに、時間はかからなかった。






 ……よしっ!









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 「フォースチップ、イグニッション!」










 私の呼びかけで飛来したミッドチルダのフォースチップが、右腕のチップスロットへ。


 それと同時、アイアンフィスターを構成する篭手とチョッキ型のアーマー、そのラインから光が漏れる。













 《アタックファンクション・ブレイクバレット》













 アイアンフィスターのAIが告げると同時、私は一気に駆け出して、エリュマントスへ肉薄。


 フォースチップのパワーが宿った左右の拳で殴りつけて、そのまま両手をガッチリ組んで頭に叩きつける!


 それと同時に残っていた分のパワーが炸裂、大爆発を起こした。






 追撃を警戒して、バックステップで一旦離れるけど……









 「どうやら……取り越し苦労だったみたいっスね」









 そうつぶやく私の目の前で、仰向けにひっくり返ってたエリュマントスの体からブレイクオーバーの光が発生した。












 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 「フォースチップ、イグニッション!」











 私の呼びかけに応えたミッドチルダのフォースチップが、左足のチップスロットに飛び込んでくる。


 それと同時、ストームライダーを構成する両足のローラーブーツのラインから光が漏れる。


 更に、私の魔力が変換された風が竜巻のように両足に発生する。












 《アタックファンクション・スパイラルエッジ》


 「ストームダッシャー、アクティブ!」












 ストームライダーのAIが告げると同時に両足のローラー「ストームダッシャー」を展開。


 風を両足に纏ったままステュムパロスに突撃して、そのままジャンプ。


 更に巻き起こる風に身を任せながら、纏った風が刃となった両足で連続回し蹴り。






 右足による3発目で一気にステュムパロスを吹っ飛ばして、着地する。











 「……よし、倒せた」








 地面に落下したステュムパロスの体から、ブレイクオーバーの光が発生した。







 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








「さぁて、いよいよオレたちの初任務でマント。

 初だからって気を抜かず、バリバリ働くでマント!」











 ブリザードセイバーの件では留守番組に甘んじていたワケだが、今回はオレも出動だ。


 このオレ、ブラックアウトに与えられた今回の任務は、管理局が接収して実験施設にされているというガジェットのプラントだ。


 何の実験をしているのかは知らないが、ともかく内部の施設が多少なりとも稼働状態にあるのは確かだ。





 オレは、先日マスターギガトロン様が目をつけてディセプティコンに加えたという機械の体を持つ生命体、通称機獣のトリオのお手並み拝見。


 その戦果からアイツらの利点や欠点を分析し、今後の作戦立案に役立てる。いわば、今回のオレはその実戦テストの監査役という意味合いが強い。


 だからオレは、主にデータ収集だ。最終的な占拠などには立ち会うが、攻撃はほぼ全てアイツら任せになる。











 「だからってねぇ、なんでアタシらがイキナリ管理局の施設に特攻しなきゃなんないのよぉ」


 「初っ端から命がすり減るでゲス…」


 「気にしたら負けでマント」










 スズメバチ型のビーストモードから変形する、オカマ口調が特徴的なデビルホーネット。


 黄色と黒のカラーリングと特徴的な羽、そして腹部から突き出しているドリル状の針が目を引く。





 オウムガイ型のビーストモードから変形する、語尾に「〜でゲス」とつけるデビルポセイドン。


 緑を基調として紫のアクセントが入ったカラーリングと、両肩の大きなバインダーが特徴的だ。





 そしてサソリ型のビーストモードから変形する、語尾に「〜でマント」とつけるデビルブライスター。


 黒を基調とし、腹部の大きな牙と鋼のように固い両腕は見る者を威圧する。






 アイツらは三頭身という体格ながらトランスフォーマー顔負けなパワーとスピードを兼ね備え、なかなかにやる。


 ただ、さっきからあんなノリなせいで、イマイチ戦果が上がらないんだよな。


 ボケ抜きでマジメに戦えば、シミュレーション上は機動六課の隊長格とも互角に戦えるだけの実力があるのに。










 「……お出迎えが来たでゲスよ」


 「……あぁらあらぁん、アレってば噂に聞くナンバーズとかいう連中じゃなぁい?」


 「他のヤツもいるみたいでマント!」









 実は3体の中で最も索敵能力に秀でているデビルポセイドンが、


 オレたちの誰よりも早く敵影を補足した。


 こいつは珍しいものだな。機動六課はともかく、ナンバーズの奴らまで来るとは。


 ナンバーズからは、かつて柾木ジュンイチの元にいた4人。


 機動六課からは、ゴッドアイズとやらの2人と…鉄槌の騎士か。














 「やいやいやいやい!そこの変なの!

  お前たちの企みは今ここで私たちが粉々にしてやるっスよ!」


 「ジュンイチが"最後の切り札ラスト・カード"を使ってでも止めろっていうから、いったい何かと思えば…」


 「三頭身…ですね。ブラックアウト以外は」


 「言うなよ……既に一頭身のヤツ見ただろうに……」





 『一頭身?』




 「あー……ヤツか」









 セインの発言にブライスター達3体が目を丸くするが、別にいい。


 直接戦闘したことはまだないが、確かにいたな。


 スターとかいったか。以前大暴れしてジェノ兄弟に地獄を見せたトラルーと肩を並べるほどの実力者と聞いたが。


 マスターギガトロン様が仕入れた情報によれば、トラルーがスピード及び瞬間防御力特化型であるのに対し、


 スターは攻撃力と防御力のバランスがいい万能型。ただ、総合的な戦闘力は互角らしい。












 「……まぁ、それは今はどうでもいいことだ。

  今回はこっちの、三馬鹿三頭身ズが相手だ」




 『待てコラァァァ!!』




 「……訂正。

  今回はこっちの、デビル三銃士が相手だ」













 いかんいかん、つい本音が入り混じってしまった。


 というワケで、自己紹介の1つもしてやれ。メイドの土産にな。












 「おーい、なんか変な言葉混ざってるけどー?」


 「あずさちゃん、もう気にしたら負けだよ」













 「オレはデビルブライスター!」


 「アタシはデビルホーネットぉ〜!」


 「ワシはデビルポセイドン!」




 『3人そろって!デビル三銃士!!』














 さて、アイツらを相手にお前らがどれほど通用するか……。


 マスターギガトロン様に代わり、オレが見極めさせてもらうぞ。













 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 「聞きたいことなんて当たり前のように存在するワケだけど……ここはマズイね」


 「でしょうね……一般人にまで知られるのはちょっと…」








 いきなり舞い込んできた、見知らぬ存在。トラルーいわく、かつて古代ベルカ戦争の中で活躍した英雄たちとのことだが。


 詳しい話を聞こうとオレが持ちかけたところ、トラルーとアレックスから今のように言われた。


 どうやら、ワケありな連中のようだな。


 ヴォルケンリッターのように、古代ベルカ絡みで何かあるのだろう。








 「だったら、機動六課でなら話してもらえないか。

  あそこなら個別面会用の部屋もあるし、機密情報の取り扱いには管理局の他の施設よりもいくらか信頼できると保障する」


 「……と言われましても、ボクたちはミッドチルダには来たばかりなものですから…」


 「その機動六課とやらが、本当に信用していいのか疑問を持たざるを得ないんだ」


 「まぁ、そこは仕方ないところなのかも」









 せめて機動六課の内部でなら、とも思ったが、考えてみればそうだ。


 アレックスとポラリスが自ら指摘したように、この二人は今のミッドのことはよく知らなくても不思議じゃない。


 信用できないのも無理のない話だ。


 テスタロッサがすんなりと納得してくれたようで何よりだ。話がこじれずに済む。










 「まぁ、イクトたちとは初対面であることも輪をかけてるよね。

  だったら、僕がその機動六課を信用している、としたら?」


 「う……それは…その…」









 体のナリは小さいが、心理的な意味では随分と大人びているものだ。


 トラルーが交渉役を買って出てくれた。


 さすがに昔馴染みだというトラルーからの交渉だと、ためらう部分があるようだ。










 「まぁ、無理強いしても仕方ないんじゃないかな?

  どこか、別な場所を探す方がむしろ効率的かも」


 「それも一理あるな…どうしたものか」











 尚も考えているようであるポラリスから視線を外し、オレに話してくる。


 トラルーのいうことももっともだ。組織としての信用問題、その辺の倫理がねじれてしまったが故に起きたのが、


 あのJS事件や大賀温泉郷での神隠し事件だとオレは思っている。


 さて、となると……












 「……分かりました」


 「アレックス!?」












 ふと、アレックスから答えが出た。


 オレたちに…というか、トラルーに同行する形で、機動六課に来てもらえる、ということか?














 「そうですね。

  ここでトラルーやスターに出会えたのは本当に幸運です。

  二人とは古代ベルカ戦争時代に戦地を乗り越えてきた仲ですから」


 「お、おい、確かにそうだが、こうも安易に信用していいのか?

  確かにトラルーやスターのことは信頼しているが、だからって…」


 「じゃあ、他にアテがあると?」


 「う゛」


 「そもそもですね、まずボクらが置かれている状況と立場というものを、理解しています?

  ボクらは、いわゆる難民と同義。宿無し、身寄りなしの漂流者なんですかr」


 「分かった分かった!お前の言うとおりだ!

  アテもなければ宿も身寄りもない!私が贅沢すぎたから説教だけは勘弁してくれっ!」












 アレックスの意見に未だ抵抗があったようだが、そのアレックスに完璧に封殺されたようだ。


 何やら冷たい視線で見つめながら、冷ややかな声で話す彼にポラリスが折れた。


 あの慌てようからすると、前にもこんな感じで説教をかまされ、トラウマになっているのかもしれんな。














 「テンパるあまり我を忘れて土下座までする辺り、

  相当に根が深いみたいだね」


 「口調は男勝りなのに、精神面って割と脆いのかな?」


 「貧弱よのう」


 「……お前ら…同じセリフをいつもの調子のポラリスに言えるんだろうな?」


 『めっそうもございません』


 「……おバカ」















 こっちはこっちで冷ややかな視線があるな。


 トラルーの何気ない一言を皮切りにいらんことを口走ったイテンとビコナが、


 スターからのツッコミでいきなり土下座した。


 ノーザンの視線が、妙に冷たく感じる。

















 「ところで、あんたらは揃いに揃ってアレスに出るんだって?」


 「オレはまだ決めてないけど、大方そうみたいだ」


 「私と主殿も出場だ」


 「ほう、それは面白そうだ」
















 更に別な一角、カウンター席ではカナヤゴがアレスのことで質問していた。


 シグナルランサーは……出られないだろう。はやてからの許可が出ない限り。


 レクセは本人が言った通り、主ことリティと共に出場することで決まっている。


 カナヤゴは当日テレビの中継でも見るつもりか?














 「ところでイクトさん、今はやてから通信があったんですけど…」


 「通信?はやてから、直接か?」


 「はい」














 こっちはこっちで客人ラッシュだというのに、向こうでも何かあったのか?


 ともかく、はやては何と言っていた?















 「それが、リティを探してるっていう人が1人、六課に来てるって。

  あと、アレクサさんからトラルーとコンタクトをとれないかと連絡があったって」


 「え、俺ですか?」


 「移民船団の親善外交代表のお姉さんから?」














 ……なんだと?













 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 というワケで、急遽戻ってまいりました機動六課。


 ひとまずアレックスとポラリスも一緒に連れてきた。道中でもう少し話を煮詰めた結果、古代ベルカに詳しい聖王教会で話そうということに。


 僕とリティの用事が済んだら、すぐ聖王教会に向かうことになっている。


 ちなみに、聖王教会に向かうメンバーは、僕、スター、アレックス、ポラリス、リティ、レクセ、エロ狸…もとい、部隊長殿。


 更に古代ベルカ絡みで少なからず情報を持っているハズのヴォルケンリッターから、時間を空けることができたビクトリーレオとフォートレスも同行。







 ……で、僕とリティ、それぞれに用がある人っていうのは、誰なのやら。










 「お待ちしてました、トラルー」


 「遅かったなぁ、リティ」












 ……2人一緒で待ち構えていましたかい。


 1人はアレクサ。そこは既に分かっていること。あぁ、僕ら精霊一派は組織に属してるワケじゃないから、敬語じゃなくていいよ?












 「だって、お姉ちゃん」


 「そうさせてもらえると楽で助かるわ」













 で、隣の椅子に足組んでくつろいでるもう1人が問題。いや、リティのお仲間だってことはすぐに分かったけど。





 リティと似た形状、ただし埋め込まれてるクリスタルが大型化しているヘッドギア。


 髪は……深紅で、リティより多少伸びて広がってる程度。ただし、後ろで束ねるほど長くはない。肩まで伸びる部分はあるけど。


 リティと同等の露出範囲であるインナーに、太ももが露出するくらい短い黒の短パン。


 肩と首元が露出する、半袖のコート…かな。胸部から下は、ヘソより少し上くらいから分かれて、尾羽と腰の羽って感じのデザイン。


 腰から下の長さは、先端部が足首より少し上のところまで届く程度。閉じきったらもっとコートらしく見えるかもね。


 両腕には、手袋と一体化した、インナースーツ系の素材と思われる袖。手首に黄色のエッジが付いたリング。


 両足には鋭角なパーツが付いた赤い靴。膝から下にはこれまたインナースーツ系の素材と思われるストッキングか。


 胸部には、リティ関係の人たちで共通なのだろう、上下3分割できるラインが入った丸いボタン。大きさも彼と一緒で、直径20cmくらいかな。












 「ステンス、やっぱりお前も来てたんだぁ」


 「あぁ、またしばらく厄介になるぞ」


 「はいはい」













 まぁ、モチーフが分かってる…というか実際に出会ってもいるワケだから、見慣れない光景ってワケじゃない。


 リティにステンスと呼ばれたこの男は、赤い○リードのパラレルだ。


 最初右腕だけ復活してた、アイスバー大好物なアイツだよ。















 「お前はお前で元気そうだなぁ、トラルー?」


 「まぁねー。機動六課にリティも関与してるって、よく調べがついたね」


 「世間の情報ツウってのは、何かと使えるぞ」














 世間の情報ツウね。どの辺を当たったのかは聞かないでおくけどさ。


 やっぱり、スマフォとか使ってるワケ?












 「いや、相変わらずのコイツだ」


 「懐かしいなー、機種変更してないの?」


 「同型の最新版にしてある」


 「……財源については聞かないでおくよ」










 ステンスが「コイツ」と言って見せたのは、原作でもおなじみな某パット。


 ほら、タッチパネルで操作できるっていうアレだよ。携帯電話ってワケじゃないんだっけか?


 あと、もう一度言っておく。財源については聞かないでおく。
















 「取りあえず、この2人への要件というのは?」


 「せやね、どうせ揃ったから同時進行でも問題ないやろ」


 「いや、どっちでもいいから順番つけて片づけようね?」













 イクトからの問いに部隊長殿が応じる。


 ただ、さすがに同時進行は無理があると思うんだ?フェイトも指摘したけどさ。
















 「オレはリティと合流するだけだ、長話するワケじゃない。

  あぁ、そういえば面白い情報が1つあったなぁ」


 「面白い?」


 「今、ちょうど盛り上がってるところだ。試しに見てみろ」


 「じゃあ、システムをトレースして大型ウィンドウで見るですよ」















 まずはステンスが。リティが代弁してるけど、面白い情報ってなんだろ?


 リイン曹長が端末を用意、ステンスのデータパットを接続して大型ウィンドウに映像をトレース。


 何やら、アーツバトルの中継のようだけど…。














 「……アーツバトルに結構乗り気だね、あの二人」


 「ブライはともかく、あのルアクがあぁも積極的だとはオレも思わなかった」
















 めまぐるしくアングルを変える中継カメラには、


 スバルと取っ組み合うブライと、お得意の分身技でティアナを翻弄するルアクの姿があった。


 うん、これは合流の手間が省けた…かな?













 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 幻術…とも少し違うかしら。少なくとも、3人全員から同じ雰囲気が感じ取れる。


 それと、本物と分身が入れ代わり立ち代わりって可能性もあるだろうけど、くらう攻撃は全て実体。


 さっきから魔力弾を切り捨ててるのがその証拠。









 「「「さぁ、影しか作れない幻術程度で、ボクにどこまで対抗できるのかな?」」」









 あと、分身全部が同じ動きをするのか、セリフをしゃべるごとに嫌でも3重音になるというおまけつき。


 どうしてくれようかしらね……うるさいんだけど。












 「「「まぁねぇ、実体が本物だけな幻術じゃあ、ボクのこの"ブレンチシェイド"は攻略できないよねっ!」」」











 まただ。3体同時に飛びかかってきて……だけど、その同時って部分に違和感を覚える。


 3方向から取り囲まれているならともかく、正面に並んでいるとその違和感がある。


 何か……おかしい。












 「あいにく、タダで落とされる気は一切ないのよ!」


 「「「うわととと」」」













 クロスファイアを3方向に発射、分身も含めて3人まとめて牽制。


 更にダガーモードにしたクロスミラージュで、私から見て左端のルアクに斬りかかる。














 「「「自ら囲まれに来るとは!」」」














 ……そうか、分かった。


 3人同時に見てたからわかりづらかったけど、2人だけならすぐに分かった。


 そういうことだったのね!














 「ヴァリアブル・パニッシュ!!」




 「うぎゃーっ!!」















 こっそりとチャージしておいた、強力な追尾効果もある収束魔力弾。


 ウェンディから1発の魔力弾に魔力を込めるノウハウを教えてもらいながら編み出した技。


 配置型にすることで、前だけじゃなくていろんな方向から撃てる。







 私が狙ったのは、斬りつけた際に避けた2人の内、斬りつける前に真ん中にいた方。


 ピンポイントで撃たれるとは思ってなかったのか、驚きのあまり防御もできずに直撃。


 ファントムブレイザーほどじゃないけど魔力を収束させたものだから、結構ライフも削れたんじゃないかしら。


 直撃と同時、残り2人が消えた。やっぱり本体だったようね。














 「な、なんでわかったのかなかな!?」


 「間違い探しのノリで考えながら見てたら、案外簡単だったわ」
















 驚きのあまり、反撃も忘れて声を上げるルアクに、胸を張って言い放つ。


 そう、考えてみれば簡単なことだったの。


















 「分身して3人に増えたあなたは、一見すると全く同じ動きをしているように見える。

  けれど、よぉく見てみると、1人だけ先行して動く子がいる。その子が本体よ」


 「ガァーン!」



















 ま、種明かしはこれくらいにして、トドメといきますか。


 クロスミラージュ、出力調整お願いね。























 「……ま、まだまだぁぁ!!」


 《スキャニングチャージ!》























 私が魔力を束ね始める中、ルアクは右腰につけたユニットを外し、左下へ流すようにベルトにセタッチ。


 ベルトのスロットにあるメダルが一瞬発光、飛び出してまた入るというエフェクトが見えた。


 でも、チャージならこっちもそろそろ終わる。





















 《アタックファンクション・ラッシュシェイド》




 「ファントムブレイザー!!」



























 必殺技と連動しているのか、再び分身したルアクがジャンプ。


 分身と一緒に飛び蹴りしてくるけど……見逃さないわよ、先行する1人!


 その1人に狙いを定めて、特大の魔力弾を撃ち放つ。








 近くにいた分身たちを薙ぎ払いながら、狙いたがわず飛んでいき、命中。


 おそらくエネルギー同士の拮抗があったのだろう、少しの間とどまっていたけど、すぐに爆発した。


 同時に分身が消滅したところを見ると……。
















 「……きゅう〜…」














 完全に目を回したルアクが地面に落っこちて、ブレイクオーバーを知らせる光が発生した。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 スピード勝負なら、多分ブライの方が勝ってる。


 でも……!











 「くっそ、当たりそうで当たらないなっ!」











 トップスピードが速すぎるせいか、うまく軌道制御ができないみたい。


 急加速の度にクローでブレーキをかけないと曲がれないから、その隙をついてカウンターを撃ってる。


 うまくいってるから、お互い残りライフは3分の1程度ってところまできてる。


 ……段々かわしにくくなってるのは、気のせいじゃないよね。














 「今度こ…そっ!」


 「くぅっ!」














 少しためてから急加速での突撃。


 右腕のクローがこっちにくるのが見えた。


 体を左に逸らしながら右のブローでカウンターを狙う。















 「……くそっ!」


 「いつつ…」















 少しやられちゃった。ゲージが減ってるし、斬られたって感覚もあった。


 でも、右わき腹を抑えてるところを見ると、こっちのカウンターも直撃こそしてないけど当たったっぽい。


 ……そろそろ、攻め時なのかも。














 「これじゃあ、ジリ貧だな。こうなったら、一気に決めてやるぜ!」



 《スキャニングチャージ!》




 「こっちこそ!」
















 ブライが右手で右腰につけたユニットを掴む。


 それを取って、右上から左下へ流すようにベルトにセタッチ。


 3枚のメダルの光がメダルから垂直に飛び出してまた戻っていくのが見えた。……どっかで見たなぁ、あんなの。


 でも、それは今はおいとこう。



















 「いくよ、マッハキャリバー!」


 《決めましょう、相棒!》






 「ギア・セカンド!!」





















 右足と左足から一対の光の羽が発生し、羽ばたく。


 その羽ばたきで、一層私の魔力が高まるのが分かる。


 多分、スピードを活かした攻撃だろうから、いつものスピードじゃ対応しきれない。だからこそのセカンド。
















 《アタックファンクション・ガッシュクロス》



 「切り倒すぜぇぇ!!」







 「テンペスト、スマァァァッシュ!!」



















 ブライは、前方に発生した3つの光のリングを通りながら両手のトラクローをかざして突っ込んでくる。


 こっちは、翼の羽ばたきで荒れ狂う魔力をリボルバーナックルに集めながら、真っ向から突撃。


 エネルギーが集まって光り輝くクローと、風の刃が巻き起こる鋼の拳がぶつかり合って――















 「バトル、オールオーバー。バトル、オールオーバー。

  ウィナー、チーム・スターズ!」














 勢いのままに駆け抜けた私の後ろに、頭から地面に突っ込みながらブレイクオーバーとなったブライが。


 ティアもルアクを倒せたみたいで、ジャッジマンが勝利チームのコールをしてた。





 ……やったぁ!勝ったよ!











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆












 「さっさとブッ飛ばしてやる!」


 「あまり時間をかけないようにと言われてますしね!」


 「オーバーホールが終わったイスルギのダシになってもらうよ!」










 デビル三銃士とかいう機獣トリオがこっちに向かってきた。


 ノーヴェ、ディード、それにあずさちゃんが真っ向から迎え撃つ。


 セインやウェンディもそれぞれで援護体勢へ。私もロンギヌスを構えつつ、隙を伺う。


 双方の距離が一気に詰まって――













 「うぉりゃああ!」


 「ぐああ!?」







 デビルブライスターにノーヴェが。










 「やっぱっぱっぱぁっ!」


 「うああっ!?」










 デビルホーネットにディードが。









 「ゲスゲスゲス!」


 「きゃああっ」










 デビルポセイドンにあずさちゃんが。











 一瞬の交錯の内にそれぞれがブッ飛ばされちゃって、


 眼下の大地や木々に叩きつけられる。


 うっそ、何あのパワー!?











 「な、なんつーパワーだよ!?」


 「ノーヴェたちが、一撃でブッ飛ばされちゃったっスよ!?」













 ブラックアウトとのやり取りから、ネタキャラだろうと思ってたらヤバい感じ!


 あぁそうか、多分コイツら、ガスケットやアームバレットと同類だね。


 本気で戦えれば異様に強いっていうね。















 「まだまだ、こんなモンじゃすまないマント!」


 「やっちゃうのねぇん!?」


 「初登場だし、テンション上げていくでゲス!」















 「ファイヤースキャン!」





 「サンダースキャン!」





 「ブリザードスキャン!」

















 デビルブライスター、デビルホーネット、デビルポセイドンの順に、目から光が。


 それぞれ何かをスキャンしたみたいだけど…。
















 「ファイヤースキャン、シュート!」




 「サンダースキャンシュートぉ!」




 「ブリザードスキャン、シュートッ!」









 デビルブライスターは炎を纏ったモグラを、


 デビルホーネットは雷を纏った鳥を、


 デビルポセイドンは吹雪を纏ったアメンボを、それぞれ発射してきた。









 うん、何アレっ!?












 「オレたち特性の、ビーダロイド弾でマント」


 「アタシたちはその場その場でスキャンしてぇ、ビーダロイド弾を撃てるのよぉ〜」


 「勿論、スキャン元よりも遥かに攻撃的でゲス!」












 ご親切に説明どうも。


 とりあえず……さっさと蹴散らした方がいいと見た!













 「その役目、私たちに任せてもらおう」


 「テスト相手としては申し分ないしね〜」













 そ、その声……ハルピュイアにレヴィアタン!?


 なんか見慣れない武器持ってるけど、テストってそれ?














 「あぁ、クレアがパンドラをもらった際に情報交換をしてな」


 「希望者には実戦における稼働データ収集という条件付きで、試験機を譲ってもらえることになったの」


 「どゆことっスか?」


 「レルネっていたろ?前に月影丸が影分身と間違えてすごい術使っちゃって生まれた、私の生き写しな男の子」


 「技術屋志望してギガントボムに弟子入りしたってゆう?」














 ハルピュイアとレヴィアタンで説明するけど、ウェンディの疑問はセインがフォロー。


 そういえばレルネって、ナンバーズ生まれって言ってたっけ。


 トラルー達がつい最近ギガントボムのところに行ってたのって、そのパンドラ絡みだったワケね。














 「ゆくぞ、セテフ!」



 「いっちゃうわよ、マナナーン!」
















 ハルピュイアがセテフという名前の、刀身が鮮やかな若葉色の光を放つレイピアを振りかざし、


 レヴィアタンはマナナーンという名前の、先端の丸いフレームの中央に埋め込まれたひし形の宝石が特徴的なロッドを構える。














 「その程度の速度で、この洗練された斬撃に対処できるものか!」


 「たくさん出したって無駄よ?全部押し流しちゃうから♪」




 「なんなのよぉ〜!いきなり割り込んできて、生意気よアンタたち!」













 あの二人とも手合せしたことはあるけど、動きや技のキレが良くなってる。


 力の反応からすると、あのレイピアとロッドがブーストをかけてるんだと思う。


 どっちも元から使ってる武器の強化外装になってるみたいだし、新型のブーストデバイスかな?






 斬撃が鳥を次々と切り捨てて、どこからか発生した激流がモグラとアメンボを押し流していく。


 形勢逆転だね。













 「えぇい、初任務でぶっ飛ぶワケにもいかないでマント。

  ここはオレが…」


 「待つでゲス。ワシもまだ活躍したいでゲスよ」


 「何よ!?アタシが活躍するのよ!」












 ……なんか、三銃士が仲間割れ始めたけど。












 「何言ってる、バトルの主役は、オレでマント!」


 『あっ!』














 「ファイヤースキャン!」


 「サンダースキャン!」


 「ブリザードスキャン!」













 また別な何かをスキャン。違うビーダロイド弾で対抗する気!?














 「ファイヤースキャン、シュート!」


 「サンダースキャンシュートぉ」


 「ブリザードスキャン、シュートッ」















 今度は炎のヘビに雷のカエル、氷のナメクジ。


 一斉にハルピュイアたちに向かっていくけど……。












 「アレ?あの組み合わせって、確か……」











 あ、セインも気づいた?










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆













 「……これはまた、かつてないケースだことで…」








 正直、これには驚いた。


 まさかこんなことになるとは思ってもみなかったよ。








 ステンスが中継してくれてたバトルは、スバルとティアナが勝利。


 リティがティアナ経由で通信入れてもらって、ルアクとブライに現状を報告。


 ひとまず、アイナさんいわく空き部屋については特段困らないとのことなので、この2人も六課に合流ということに。


 一気に合流していくね。この分だと残りも…。








 それよか、今取り上げられている問題は、アレクサからの話。








 なんでも、自分の霊子生命体ソウル・ファクターであるアーシーが、マイクロンパネルと融合してマイクロン化したらしい。


 他にも、ラッドのパートナーであるウィーリーや、カルロスのパートナーであるバンクも同様。


 完全に融合してしまっている為に、今となっては元に戻せないそうだ。










 しっかし、このメンツで、しかも3体同時にときたか。


 これはこれは、なんという運命だ。まさかまたユニクロンがイタズラしてるとかいうんじゃあるまいな?


 ほら、神のイタズラとかいうじゃない。












 「それで、外部からの影響で姿を変えるマイクロンも、宇宙には存在しているのかしら?

  アーシーたちみたいな」


 「答えを先に言わせてもらうと、YESだ。

  ただ、一応詳しく説明しておいた方が、後々いいかもしれないね」


 「トラルー先生の説明会だねっ」












 アレクサからの質問に、まずは答えを言っておく。


 詳しく話すとこれまた長いんだ。


 あとイテン、どっかのコラムの名前みたいなこと言わない。











 「あうー」


 「よしよし」











 彼女がテンションを適度に下げてくれたところで、改めて見回す。


 事情説明の為に連れてきてもらった、ウィーリー、バンク、アーシー。


 うーみゅ、姿は殆ど"あの時代"と変わってないね。


 カオスプライム、ベクターメガトロン、彼らの姿、見覚えあるでしょ?










 「あ、ああ、確かに俺たちの時代にいたマイクロンそっくりだ」


 「マッハたちのこともあったからな、儂も心のどこかでもしかしたらと思ったが……こんなことになるとはな」










 というよりさ……記憶、封じ込めてるんじゃないの?


 昔よりも更に自我が発達して……無意識の内に記憶を封印しちゃってるとか。










 「記憶を…」


 「封印…?」


 「って、どーゆーことだよ」









 ラッドにアレクサにカルロス、いい反応をありがとう。


 コビー、ローリ、バドには既に話したんだけど、それとはまた別な、もっと根幹的な部分を話してやろう。


 マイクロンの、アレコレを。






 ついでに言うと、主にラッドやカルロスの都合で、


 僕らと彼らの現在地から中間点にちょうど聖王教会があるとのことなので、いっそのことそこで合流しようということに。


 なので、僕らの方の同行メンバーに急遽カオスプライムとベクターメガトロン、あとコビーたち3人が追加されてたりします。


 ……あぁそうだ、いい機会だ。ついでに話せるよね。







 古代ベルカ戦争において、聖王などとはまた別なルーツで語り継がれた古の英雄。


 既に亡くなった筈なのにこうして生きている、アレックスとポラリスの過去についてもさ。























 (第21話に続く)






 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆






 ―ステンスの「知識はあるに越したことはない」―





 リティ「やぁ、リティだ。

     なんか、ステンス主役のコーナーができたって話だけど?」


 ステンス「ステンスだ。

      今回からは特別枠として、オレがお前らに用語解説などをしておいてやる。ありがたく思え」


 リティ「態度でかっ」


 ステンス「細かいことは気にするな。

      今回は"アタックファンクション"について教えてやる」





 ステンス「アタックファンクションは、いわゆる必殺技に値する。

      ただし、デバイスに元々登録されているシステム化された技のことでな、イグニッションした時のみ発動できる。

      スキルの誤爆防止と精度向上が目的。つまりデバイスのパワーコントロール機能を底上げする為のシステムってワケだ。

      通常のスキルと差別化を図ることで、技の選択ミスを減らす目的もあるんだと」






 リティ「新手の演出だと思った」


 ステンス「比較的最近ロールアウトしたばかりのシステムだ。

      レルネのヤツは独自に技術を確立させた上で自作のデバイスに搭載しているようだがな」


 リティ「じゃあ、また次回!」














 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











 <次回の「とたきま」は!>



 トラルー「アレスが控えてるけど、結構重要なことなので昔話にふけりたいと思います」


 スター「アレックスとポラリスについては強引じゃないか?」


 トラルー「心配ご無用、古代ベルカ戦争とマイクロンは、決して無関係じゃないのだよ!」


 スター「な、なんだってー!?」



 セイン「アレ?こっち今回未完結?」


 アリシア「大丈夫だよ、きっと昔話の合間でちゃんとケリつけてもらえるから」



 ダークコマンダー「……そうしてのんびりしていられるのも、あと僅かだ…」








 第21話:古代戦争と死せる英雄と凶戦士








 ダークコマンダー「今こそ目覚めるがいい、破滅の使者よ」



























 あとがき




 また投稿までに時間かかった……。


 そんなワケで、あちこちでバトルが勃発しつつも新旧混合の世間話が始まった第20話です。


 執筆ペースが伸びない……うむむむ。




 今回は結構な数の新キャラが登場。


 機動六課のみならず、ディセプティコンにも新たな刺客が!……ネタキャラでもありますけどね(ぁ)


 更に、ハルピュイアとレヴィアタンにデバイス追加。詳しい性能などは次回へ持ち越しです。


 レルネとステンスでOPコーナーとEDコーナーがスタート。読者サービスであり、自分の為でもあったり(マテ)




 今年も残すところあと1週間足らず。最低でも1話は書き上げたいなぁ…。


管理人感想

 放浪人テンクウさんからいただきました!

 メンツ、いろいろ増えたなぁ……
 つか、いろいろとツッコみたいヤツばっかりだ(苦笑)。

 バトルについては順調に消化できているので良しとして……
 とりあえず、ピンクなみなさんは少し自重してください。特に部隊長。ゴールイン寸前なのに何やってんですか(苦笑)。