レルネ「さぁさぁ、『レギュラーメンバーのドコナニ』のお時間ですよー!」


 プロト《いってみましょうか〜》


 レルネ「第22話終了現在、主だった動きはこんな感じでございます〜」









 1:アストラルとユーリプテルスが空母メルクリウスで単独行動開始。

   管理局の刑務所1つを破壊。


 2:ユーリプテルスの件をキッカケに、ポラリスが心機一転。

   "アレス"参戦の意を明確にする。


 3:機動六課にオーディーンとフェンリルが参入。

   また、直後の"悪の組織"所属混成部隊との戦闘により、アストロブラスターの存在が明かされる。


 4:ネガタロスが既にアストラルたちと接触。

   戦力の大幅な増加を行う。


 5:トラルーたちがアレクサらと別れて機動六課へ戻る。

   何気ない会話の中のマスターコンボイの発言により、ビコナに突然スパイ疑惑が浮上する。


 6:アストラルたちの追撃部隊としてゴッドアイズが出撃。

   しかし彼の新作デバイス"グリームニル"に翻弄され返り討ちにされてしまう。












 レルネ「後半2つは今回へと続くイベントですね」


 プロト《後者のその後の展開から、ということになりますね〜》


 レルネ「では、今回もお楽しみください!」








































































 「とある魔導師と守護者と機動六課の日常」異聞録






 「とある旅人の気まぐれな日常」






  第23話:疑惑と拉致と欲求解放


























































 《アタックファンクション・フルビットバースト》












 イグニッションしたことで僕のアタックファンクションが発動。


 浮遊するチャクラムビットの全てが力を放ち、ゴッドアイズの連中を打ちのめそうと殺到する。


 古代の英雄さえ一瞬で打ちのめすこの技、既に痛手を受けている君たちでどうこうできるものじゃ――















 「――風吹き荒れて嵐呼び」















 突然の暴風。まずこれでチャクラムビットの軌道が乱れた。


 いきなりなんですのん!?














 「――くう引き裂いていかずち走る!」














 その声と共に、無数の電撃と手裏剣がチャクラムビットを次々と弾き飛ばす!


 さすがに素材の関係上、大きなダメージはないけど……やってくれるね。ここまで正確に当てるとは。







 と、ふと気配を感じ、ゴッドアイズの二人ともども空を見やる。


 すると、空の一部に暗雲と稲妻が見えた。

















 「ニンニンニンニンニンニン!月影丸げつえいまる、シュシュッと参上ぉ!!」
















 暗雲の穴から、高速回転する巨大な三日月に乗っかって武者甲冑のような姿をした機械人形が出てきた。


 ……なるほど、彼が月影丸か。トクガワ家に密かに仕え、歴史の影で暗躍し続けていたカラクリ武者。


 宇宙中のありとあらゆる超忍法を体得した、正真正銘のやり手の忍者。今も昔も希少な生命、機獣の一員として数えられる存在。


 今の時代もご健勝だったとはね……というより、彼の出現は決して予知できないことではないか。


 彼の主人である、トクガワのお姫様ビコナがミッドにいるんだもんね。






 あと、彼の陽気な性格のせいだろうけど、元ネタを隠す気なんて一切ないね。清々しいくらいに。
















 「我が主の命により、乱入させてもらうでござる!

  超忍法、無限手裏剣!!」















 っと、突っ立ってる場合じゃなかった!


 その名の通りに際限なく出現する手裏剣をこっちへ連投する月影丸。


 さすがにチャクラムビットでは限界があるので、適当にさばきつつ素直に逃げさせていただく。


 それと、手土産だ!














 「むっ!?何奴!!」














 最近になってネガタロスが更に加えた戦力。


 彼がライダー関係の敵なだけあって、コイツらもライダー関係。


 機動性を重視して、今回は高い機動力を発揮する河童の魔化魍を数体チョイス。


 さすがに六課側の増援の可能性が出た以上、長居するつもりもない。










 しかし、どんどん面白くなっていくなぁ。


 こりゃあ、"アレス"の開催が楽しみでしょうがないよ。


 ふふふふ…。








 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 「ふぅおあああああっ!?」











 びっ、ビックリしたー!


 いきなりどうしたトラルー!?













 「古代ベルカ戦争とマイクロンパネルの関連を……話すの忘れてた……」


 「そういえば、ユーリプテルスの出現で私が飛び出してしまったせいで、うやむやになってたままね」


 「いっそ、もうここで話してしまいます?

  また聖王教会へ行くのもおっくうかと」













 トラルーの言葉に、ポラリスやアレックスも続く。聖王教会でそんな話してたのか?


 それはそうと、ぜひともそうしていただきたい。


 ただでさえオレやマスターコンボイなんかは知らないんだしさ。


 いや、本題がアレクサさんたちに向けてのものだったから、オレらが知る由もないといえばそこまでなんだけど。


 ていうか、古代ベルカとマイクロンにどういう関係があるのやら。















 「まぁ、その辺については別に難しい話じゃない。

  ユニクロンは戦いを増長させる為の策として、マイクロンを生み出し、宇宙にばらまいた」


 「その内の一部が、やはりというか古代ベルカの世界にも紛れ込んだんです。

  エボリューション……パートナーの力を引き出す能力のおかげで、戦火は急激に拡大しました」


 「戦闘に対して大なり小なり積極的な傾向にあった聖王や冥王、覇王。聖王との関連で、龍王もそこにカウントされるかしら。

  独自の技術や文化の保全を目的にしていた私やアレックスといった、防衛に徹していた王たち。

  それらともまた違ったグループが騒ぎ出して、必然的にこちらもマイクロン絡みの戦火に巻き込まれた」











 龍王……マグナのことか。


 トランステクターとマイクロンに関連性があるのかは疑問なところだけど、アイツも古代ベルカの王の1人。


 名前が上がることに違和感はない。ていうか、さすがにアレックスやポラリスも詳しいな?


 まぁ、冗談抜きで古代ベルカ戦争に直面していた人たちって話だし、当然といえば当然か。













 「古代ベルカ絡みでトランスフォーマーもいたりするのは、もしかするとそこに原因があるのか?

  我々については、記憶リセットのせいでその辺りの判断はできないのだが」


 「ありえない話じゃないかも。

  ユニクロンの意思細胞であるダブルフェイス……今はダークコマンダーだけどね?彼もまた本体はマイクロンだった。

  似たような身体構造を持つトランスフォーマーがいてもおかしくないし、ご先祖の可能性も捨てきれない。

  それにトランステクター自体、トランスフォーマーを模したようなもの。

  とすれば、やっぱ古代ベルカにもトランスフォーマーの介入はあったんじゃないかな?」


 「実際、古代ベルカ戦争の中で、早くもマイクロンと手を取り合い、その力を借りる者もいた。

  彼らの話によれば、セイバートロン星から脱した内の一部を追いかける内にベルカに迷い込んだらしいけど」


 「そもそも、マイクロンが投入されたのはセイバートロン星。

  エボリューションも、本来はトランスフォーマー限定のものに過ぎない。

  自我が芽生え、戦いを避けるようになったマイクロンたちを追いかけて、昔のサイバトロンとデストロンも宇宙に出たんだ」


 「儂らとは違うグループが古代ベルカで戦っていたというのも、マイクロンが絡んでいたとなれば納得がいく。

  それだけ、当時のトランスフォーマーがマイクロンを巡って躍起になっていたということだからな」












 ヴォルケンリッターの学者(?)ポジション、フォートレス。


 彼からの疑問へのトラルーとポラリスの答えは、肯定…と見ていいか。


 疑問形が抜けないけど、否定しているワケでもない。


 トラルーの補足やベクターメガトロンの話も含めれば、古代ベルカにトランスフォーマーが進出していたことのつじつまも合う。


 これに限っていえば、ベルカ全体が巻き込まれた側になるんだけど。















 …………で。



















 「あのー、せめて簀巻きだけは勘弁願いたいのでおじゃるが…」


 「異論は認めない」


 「だったら、いっそのことSMプレイ風味で縛り上げても」


 「お前も黙っていろ…」


 「ハルたんのいけずー」


















 マスターコンボイの突然の発言の瞬間に逃げ出そうとしたビコナが、


 ハルピュイアに速攻で捕まって簀巻きにされているというこの現状についてもツッコみたいんだけど。


 あと、そこの青いエロリストの引き留め役お願いします、マジで。


 とりあえずマスターコンボイ、これってどゆこと?











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆














 マズイなぁ……よりにもよって、こんな時に河童魔化魍だなんて…。


 現状、アストラルは逃げ出したからいいとしても、私もあずさちゃんもまともに戦えそうにない。


 突然やってきた月影丸ってヤツは……どうなんだろ。


 ハッキリ言って、こちらの味方である保障は一切ないし、魔化魍を倒したらどう出るのか…。





 ううん、それ以前にあの魔化魍を倒せるかも問題。


 アイツは何気にディケイド版ではクロックアップ使ったからディケイドでも倒せたくらいの俊敏な動きが持ち味。


 それが複数出てくるなんて…。












 「魔化魍め、やはりネガショッカーと組んでいたのでござるな?

  となれば、放置するわけにもいかぬ……恨みはないでござるが、覚悟!」












 ネガショッカー?


 ……なんか、ネガタロス辺りが絡んでる感じしかしないんだけど。


 それよりも、あの忍者口調ロボットが先に仕掛けた。


 アストラルに投げたのと同じ手裏剣をアイツらにも投げつけて牽制。


 更に太陽を背にして三日月から飛び降りると、まず正面のヤツを蹴り倒す。


 そこからそいつを踏み台にしてバック宙返り、更に両手に出したクナイを投げつけて両サイドの2体を沈黙させる。


 残り1体……妙に色が青いヤツが跳躍。
















 「貴様がこの一団の頭でござるな?ならば……」
















 月影丸は青い河童から繰り出された手刀を足場に更に跳躍して、さっきの三日月に飛び乗ると…
















 「必殺奥義・はりつけ手裏剣!」←フォントサイズ6、太字、青緑、ルビ(「磔」に「はりつけ」)
















 無数の手裏剣を目にもとまらぬ速さで連投し、青い河童を近くの岩に磔状態にしてしまう。


 手裏剣が深く突き刺さっているのか、河童は身動きできずもがくだけ。


 そこに影…って、月影丸しかいないんだけど。



















 「必殺奥義・月華乱舞!!」



















 飛び乗っていた三日月……型の剣を構え、どこからか舞い落ちる花びらと共に斬撃。


 忍者らしく?逆手での斬撃で、振るうたびに発生する衝撃波で斬るって感じ。


 右から、左上から、右上から、合計3回分の斬撃による衝撃波が、青い河童を切り裂いた。



 切り裂かれたまま河童は消滅。あ、あれ?清めの音は……?


















 「……ふむ、柾木ジュンイチが別件で魔化魍を撃退した時のことでもしや、とは思っていたでござるが、どうやら正解のようでござるな。

  少なくとも音撃が使えなくとも問題はなさそうでござる」

















 そ、そうなんだ……って、また違うところで暴れたの?ジュンイチさん。




















 「い、いや、アリシアちゃん?

  もうそろそろツッコむべきことがあるんじゃないの…?」


 「まぁね……って、あ、アレ?」





















 そう、ツッコむべきことといえば月影丸……なんだけど。


 気がついたらもう姿が……。えっと、何しにきたの、あの人…。















 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆















 「厳密にいうと、その実態に最初に気づいたのは八神はやてだ」


 「そうなのか?」


 《何してるんですか、はやてさん…》


 「いや、隊員や協力者の安全確保の一環というか…」













 マスターコンボイの発言にオレと蜃気楼が口々に言い、はやては苦笑い。


 えっと、確かビコナにスパイ疑惑がかかってるということでいいんだよな?


 なんでまた?














 「いやな、これって本当に突拍子もないことなんやけど。

  ところで恭文、先に確認しときたいんやけど、リインと恭文のラブラブカポゥぶりについてはビコナとかには教えてないんよね?」


 「教えてないよ。なんで誰にも彼にも教えなきゃならないのさ」


 「ハッキリ言って、オレたち精霊組はその疑惑の一件のおかげで知ったくらいだし」














 はやてからの質問に恭文が答えるとスターから一言。


 ……え、じゃあトラルーも知っちゃってるってことに?













 「随分と濃密なラブラブカポゥですなぁ」


 「でもでも、イテンちゃんとトラルーのカップルだって負けないもんね!」


 「自重すべきところは自重するように」


 「はぁーい…」













 知ってるのか…。














 「というワケで、精霊組の中では勿論、この機動六課ですら恭文とリインのラブラブカポゥぶりを知る者は意外と少ない。

  いや、寧ろ普通は知らないと言ってもええやろ。

  そこでやな、ある疑問が生じたんや」















 ここで一旦間をおいて、はやては告げた。















 「ビコナが、恭文とリインのラブラブカポゥぶりの一部始終をスラスラと喋ったんや!

  結構詳しい時間記録まであったで!?」




















 …………はぁっ!?











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 うーん、なんかミッドに来てからよく「頭打ってフェードアウト」ってパターンに陥っている気がする…。


 シャマル先生からは"アレス"開催までは頭の包帯をとるなって言われるし、


 今週の俺ってついてないのかな…。












 《主殿よりも不運なヤツなど機動六課には割といるではないか》













 レクセ、それだけは本人に言わない方がいいと思う。


 恭文とか恭文とか恭文とか。












 《そこで野上良太郎のことはカウントに入れないのか》


 「いや、申し訳ないけどカウントする・しない以前の問題だと思うし…」














 本人も不運っぷりを自覚しているのがまた難儀な気もするけど…って、アレ?

















 《……コアメダルだな》


 「しかも、これって…ウナギ、だよね」

















 もしかしなくても、既に機動六課に入り込んでたりするのかな…。


 恭文がショック受けたりしなけりゃいいんだけど。


 なぜかって?


 それは……とりあえず、エリオ君辺りがイケニエになればわかると思う。




















 《主殿、今の発言はいろいろな意味で不吉な気がするのだが》






















 ごめん、俺も自分で思った。








 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 さて、また厄介なことになったモンだよねー。











 ビコナが簀巻きにされたままジュンイチたちに尋問されるところを見物しようと思ったら、


 突然「しびればびれぶー!」な目に遭って、


 気がついたらマフラーとベスト外された上で大の字で縛りつけられてるんだもの。


 ちなみに、お約束のごとくイグナイテッドは手元にない。


 でもなぁ、誰の仕業だろ?ネガタロスの仕業にしちゃあ妙…っていうか、まだアイツにマーキングされる覚えがないんだけど。
















 「お目覚めね……初めまして、というワケではない筈だけど」















 うん、そうだね。ステンスと同様の理由で顔見知りではある。


 で、なんでまたこーゆーことするかね?スリアさんや。
















 「トラルーもメガーヌさんって知っているでしょう?

  あの人から頼まれて、蒼凪恭文をエッチな意味で攻略する為にちょっと探りを入れてほしいと」


 「で、なぜに僕がこんなことに」


 「イメージトレーニングって必要じゃない?」


 「迷惑にも程があるっ!!」




















 え、なに?まさか恭文替わりのイケニエとして拉致されたってワケ!?


 冗談じゃないよ!なんで恭文の代用品扱いされにゃならんの!?


 いろんな意味で倫理問題だよ!



















 「うふふ……それはそうと、なかなかに可愛いわね。

  おねーさんがいい夢を見させてあ・げ・る」


 「いい夢って…」


 「何も心配いらないわよ。

  ただ、全て私に任せてくれればいいだけのこと…」










 ずいぶんと色っぽい声と共に僕に近寄り、


 インナーをまくり上げて、舐めまわすかのようにイヤラシイ手つきでボディタッチ。


 いや、冗談なら冗談って言ってくださいホントに。











 「あの、なんで服脱がし始めt」


 「ピンク色でかわいいわね」


 「んっ」


 「ほらほら」


 「ちょっ…あっ…」


 「敏感ね……こーゆーのは好き?」


 「ひゃっ…」


 「ふふ…」


 「ひぁ…ぁ…」










 な、なんか、頭がボーッとしてきた…。


 イテンと愛し合った時に分かったんだけど、僕はそこが弱いの…。


 あっ、そんなのらめぇぇ…っ









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 えー、ビコナが原因なバカ騒ぎしてる間にトラルーが行方不明に。


 尋問については一時中断、もしものことを考えてビコナの簀巻きも解除。


 まぁ、トラルー連れ帰ったらまた簀巻きにして尋問の続きするんだけどな?


 で、どっからともなく騒ぎを聞きつけたレルネが、捜索に協力してくれるってワケなんだが。












 ぴこーん!ぴこーん!












 「あぁっ!"ショタっ子がエロエロになってるよレーダー"が急に反応を!!」


 「どんな誰得レーダーだっ!?」


 「勿論、全国各地のショタエロスキーな方々が得するのですよ!

  これさえあれば、いつどこでショタキャラがえっちぃことになってもすぐにわかるのです!ライブ中継付きで!」


 「ある意味デバガメ以上に悪質じゃないか!」











 レルネがトラルーを捜索する用に急遽製作したという探知機。


 名前からしていろんな意味でアウトな感じしかしないレーダーに、オレは思わずツッコんだ。


 対するレルネの返答にまたツッコむオレ……いや、アレって倫理問題的に見て大丈夫なのか?












 「スターたま、偉大だと言っていただきたいですね!

  まさかのショタ限定ですよ!?これを応用すれば、仮にエリオさんがえっちぃことになりかけても大丈夫ですし!」


 「そっか!そのレーダーがあれば、エリオが変質者に捕まってるかどうかもすぐにわかるね!」


 「その前提条件の時点でアウトでしょーが!

  どう考えても事後察知だよね!?既に手遅れだっつーの!

  フェイトも気づいてお願いだからぁ!!」


 「手遅れなくらいに進んでからでないとそそらないじゃないですか!」


 『本末転倒なこと言いだしたーっ!?』











 レルネの暴走した欲望にとうとう恭文のツッコミも火を噴くが、


 どこ吹く風といわんばかりのトンデモナイ発言が出てきたのだからもう大変だ。


 フェイト隊長については若干ズレているという風評から期待はしていないが。


 ていうかレルネ、お前、今どういう意味でアウトゾーン突っ走ってるかわかってるか…?










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 あぁ、創主レルネの悪い癖が…。


 どうも、創主レルネの専属秘書なプロトです。


 トラルー様捜索用の探知機を製作しに足早に出て行ってしまわれた創主レルネに代わり、私がオーディーンたちのリペアをしています。


 もっとも、今こうして中継されている動画を見る限り、欲望趣味全開なシロモノになってしまっているようですが。













 「どうだ、プロト。リペアの方は順調か?」


 《はい、特に致命的なダメージもないようですし、"アレス"開催を控えた合同模擬戦までには間に合います》















 機動六課からも、名だたるメンバーが"アレス"に出場することが決定。


 その為、六課関係勢力で合同の模擬戦をしてお互いの熟練度などを確認し合おうということになりました。


 なので、せめて"アレス"開催の前日ぐらいにはリペアを完了させて、模擬戦を利用する形でパーツ慣らしの時間を確保したいところなのです。


 特にオーディーンは、反動の大きいアタックファンクションもありますからねー。
















 「……お前の創主様へのツッコミはないのか?

  いろんな意味でアウトコースをぶっちぎっている真っ最中のようだが」


 《いいのですよ……とっくの昔に手遅れなんですから》


 「随分と辛らつな秘書だな!?」













 主に従うばかりが秘書ではないということですよ、ギガントボム様。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆









 「ところで、そのレーダーって誰がエロエロなことになってるのかはバッチリ分かるんだよな?」


 「当然です!」


 「なら、今エロエロになってるショタキャラって誰だ?

  エリオなら六課隊舎でフツーに仕事してるし、恭文はここにいるし」


 「待て!僕がショタキャラ!?」


 「実年齢はともかく、外見は完ぺきにショタキャラだろうに」


 「はぐあっ!?」


 「あー、ヒロサリコンビに女装させられた話とか?」










 現在、レーダーで探知された反応の分析待ち。つまり、スターさん的にはヒマだ。


 一方で、ブライからは素朴な疑問が。まぁ、分からなきゃ元も子もない気もするけどな。


 しかし、恭文がショタキャラねぇ…。


 まぁ、身長コンプレックスを抱いているアイツにとっては致命的なダメージかも。


 今も目の前で精神的ショックでぶっ飛んだし。


 ところで、ルアクの言った情報ってマジか?まさか女装までさせられたのかアイツ!?










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 さて、これで"四神"はフルリペアも完了。


 合同模擬戦までには間に合ったわね。


 もっとも……肝心のあずさがまだ復帰できないのだけれど。










 「なんか、凄く手ごわい相手だね、アストラルってヤツ…」


 「そうね」














 あずさ自身は、アストラルから受けたダメージのせいで、復帰までにはもうちょっとかかるみたいなの。


 その上でアタックファンクションでとどめを刺そうとまでしていたのだから、


 あの月影丸って人が乱入しなかったらと思うとゾッとするわね…。


 ブイリュウの言うとおり、相当な手練れであることはもう確定事項としておきましょう。
















 「その月影丸ってヤツについてだけど、結構面白いことが分かったわよ?」















 久しぶりなところで急な案件、ごめんなさいねイレイン。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「おお!今エロエロなことになっているショタキャラはトラルーたまみたいですね!

  探す手間が省けましたよ皆さん!」


 「って、マンガでも既に掲載ギリギリなくらいに脱がされてるーっ!?」


 「しかもマジっぽいぞ!?どう考えたってあのおねーさんは本気モードだ!」


 「相手の手つきと舌使い、凄くイヤラシイよ!?大事なことだから繰り返すけど、どう考えても本番入っちゃってるよね!?」












 取り敢えずライブ中継機能については後でじっくり話し合うとしよう。


 そう思いつつ画面を見たオレ達は、思わず吹いた。いや、青年コミックとかヤング〜って名前の雑誌でも掲載ギリギリなんだけど。


 特に下半身、あのパンツがあと少し下に下がったら完全にアウトなんだけど。


 モザイク処理で済むような話じゃないからマジで。


 ちなみにツッコミの順は恭文、オレことスター、イテン。読者の皆様にもなるべくわかりやすくしなきゃな。














 「ふむぅ、トラルーにはMっ気もあるでおじゃるか。

  今後の夜這いの時の参考にするかのぅ」


 「あーっ!それを最初にやるのはイテンちゃんなんだからね!

  いくらビコナでも、そこは譲らないよ!」





 「貴様ら全員、本題を思い出せっ!!」














 ビコナとイテンは既に頭がピンクモードだ。間違いない。ていうかビコナは全然反省してないだろ。


 そして、画面上で繰り広げられるあまりもの光景に、誰もが脱線してないようでド派手に脱線した声を上げる中、


 現時点でここにいる中で最も話についてこれない人ピータロスがハウリングボイスでツッコんだ。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「えっと……トクガワって、あの徳川家康の家系だよね?

  大昔の地球で活躍した将軍様の」


 「そうよ」














 本当は"四神"のオーバーホール後の最終調整の為に呼んでいたのだけれど、


 JS事件の間の活躍から、情報収集のスキルも結構高くなってる。


 更に、オメガスプリームという強力なバックアップが控えてることもあって、イレインに情報を集めてもらっていたの。


 ブイリュウからの問いに、イレインが淡々と答える。






 それにしても、またすごいところからルーツが出たものね。


 あの徳川家とつながりがあっただなんて。













 「月影丸を映した映像の中に、どっかで見たような感じのマークがあったことに気づいてね。

  それで調べてみたら、徳川家の家紋であったことが分かったのよ」













 なるほど、だから……。


 あら、ということは、彼の主ってもしかして…。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「しっかし、こっちでモロバレになってるともいざ知らず、濃厚なプレイでおじゃるね」


 「あ、トラルーってそこも弱いんだ。これはこれでいいこと知っちゃった」


 「ただなぁ、オレとしては1つだけ言っておきたいことがある」













 現行犯逮捕できるようにっていう大義名分のもとに、デバガメ以上に悪質なデバガメを続行中。


 悪いなトラルー、今回はお前が不幸な役どころになってくれ。全ては機動六課の手柄の為だ。


 ところでスター、急にどうした?
















 「ヒューマンフォームさえあれば、オレがあの場に代わってやれたのになーと」


 『サラリと性癖さらしたーっ!?』















 スター、お前……そんな趣味があったのか…?















 「何言ってるの」


 「あまりにも不吉すぎるボケを重ねるんじゃない」


 「あだっ!?」
















 と、いきなりスターが張り倒された。


 リティと一緒にやってきたレクセの仕業だ。


 ていうかボケなのか?ボケでいいのかアレは?

















 「ステンス、アレは取り敢えずボケで片づけておいて。

  ……あぁ、やっぱり…しかもイケニエはトラルーだったんだ…」


 「え、イケニエ?何?」


 「その文章表現がはばかられる光景の犯人については、既に分かりきっている。

  というよりブライ、ルアク、ステンス。貴様らはなぜ未だにツッコんでいないのだ?」



















 思いっきりこめかみ抑えてため息交じりにつぶやくリティ。


 イテンが疑問の声を上げるが、それをよそにレクセがオレとブライとルアクを少しきつめに睨みつけてる。


 ツッコんでいない…気づきやがったか。



















 「恭文は?」


 「アイツだったら、メンテが終わったアルトアイゼンの引き取りでシャーリーさんに呼び出されて、

  ついさっき席を外したところだけど」


 「じゃあ、今の内に彼女を確保しないと!」


 「なんでだよ」


 「早く…早くしないと、恭文がまた1つトラウマを抱いてしm」


 「……ウソだ…」
















 リティからの疑問にフツーに応えるスター。


 だが、どうもリティの様子がおかしい。恭文にこの場に立ち会っちゃいけない理由があるのか?


 とか思ってたら来てるし!噂をすれば何とやらってか!?




















 「……恭文、今ウィンドウに映っているおねーさんも、ゆかなさんボイスなんだ…」


 「ウソだっ!」


 「認めるしかないんだよ」


 「ウソだっ!!

  ゆかなさんボイスであんな変態オーラ全開ド淫乱だなんて、そんなのウソだっ!!!

  僕は絶対に認めないっ!!」


 「恭文、現実ではね、ゆかなさんボイスの人って結構いるんだ。

  そして、その全てが完璧健全な人だとは限らない」


 《マスター、リティさんの言うとおりですよ。

  特にゆかなさんクラスの大御所ともなると、エロゲーとかにも出ていそうですし》


 「ウソだっ!!!!」


 「というより、男である恭文と当たり前に混浴してる時点で、リイン殿もド淫乱でおじゃろうに」


 「ウソだぁっ!!!!」


















 リティからの諭すかのような言葉に、血涙まで流して否定する恭文。


 追い打ちをかけるかのようなアルトアイゼンやビコナからの言葉も、拳まで握りしめて全力シャウトで否定。


 ……あー、そういうことか。


 恭文って、ゆかなボイスに思い入れがあるらしいからな。


 フェイトへのものとはまた違う感じの。


 それを粉々に打ち砕かれてトラウマになるとか、そういう展開になるのを避けたかったのか、リティは。

















 「だよなー、ぶっちゃけトラルー拉致事件の犯人として今映っているスリアって」


 「完全ゆかなさんボイスだもんね…」


 「だから早急にツッコんでおくべきだったんだ。事態がややこしくなるだけだからな」


 「あー、少なくともここまで完全ノーコメントで傍観してたお前にだけは言われたくないと思うぞ?」
















 ブライとルアクが、今更ながら気まずそうに視線を逸らしている。


 だがなスター、オレは全く気にしない。









 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「はー…はー…はー……」











 あらら……トラルーったら、そろそろ限界っぽいわね。


 リティと別行動になってからは久々なものだから、ちょっとやりすぎちゃったかしら?


 もうちょっと焦らしてみてもいいのだけど、少し辛そうだし……そろそろフィニッシュにしましょうか?










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 「ここが現場の入り口だね」


 《彼女のメダルの力は、この扉の向こうから感じる》











 お仲間の不始末ということからか、リティさんが率先して強制わいせつおねーさんことスリアさん捕獲へ乗り出した僕たち。


 リティさんが先導しているのは、内部に宿っているレクセさんの力でスリアさんの位置を確認してもらう為ですね。






 ちなみに、恭文さんはお留守番にしておきました。


 だって、幻想を打ち砕かれたショックで何をしでかすか分からない状態でしたから。


 おそらく、今頃はゆかなさんボイス特効薬と銘打たれたリイン曹長が彼をなぐさめている頃でしょう。


 道中で少し調べましたけど、スリアさんの元ネタなグ○ードって元から天然お色気キャラですね?














 「鍵がかかっているのはお約束ですね……室内の惨状は関係なしで」


 「どうする?強行突破はさすがにリスクが高いと思うのだけど」












 まぁ、密室犯罪なのに施錠も何もしないというのもおかしいですよね。我ながら。


 ポラリスの言うとおり、そのまま強行突破というのも何かしら危険がありそうですが。











 「だったら、ごく自然に入ればいい」


 「……自然に?」


 「おねーさーん!オレをそこに混ぜてk」













 突然提案してきたスターさん。ルアクさんが訝しげな目で彼を見ますが、彼はお構いなし。


 なんかアブナイ叫びを放ちながらドアを蹴り飛ばして…











 《アタックファンクション・コンステレーションガッデス》












 まるで哀れなものを見下ろすかのような冷たい眼差しを向けながら放たれた、


 ノーザンさんの必殺技がスターさんへ一直線……。











 「ア゛ッーーーーーーーーー!!」


 「何!?

  えっ!?ちょっ!?やめ、やめなさいよ貴方たちぃぃぃ!?」













 スターさんごとスリアさんを吹き飛ばし、彼女はその直後にリティさんとレクセさんによって御用となったのでした。


 補足しておきますと、その後スターさんを回収する者は一人もいませんでした。










 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「反省!!」


 『はい…』












 リティの怒鳴り声に、スリアとビコナが簀巻きにされた上で正座させられている。


 うーん、リティがあんなに怒るなんて、珍しいなぁ…。

















 「ルアクたちも反省!!」


 『はい…』

















 ……ごめんなさい。



 ちなみに、簀巻きにされずとも同じように正座させられているのは、僕とブライ、そしてステンス。


 あの根性曲がりなステンスが無言でちゃんと正座していることについて笑いそうになるんだけど、


 焼かれたくないので我慢。



















 「って、なんでビコナまで巻き込まれてんの?

  スリアの騒動についてはコアメダル組に非があるんでしょ?」


 「これはまぁ、『まだ話は終わってないぞ』的なノリかな。

  ちゃんとトラルーから事情は聞いてるし、犯人…というか重要参考人には既に来てもらってるから」












 ラットルからの質問に、リティがそう返す。


 重要参考人って、誰だろ…?












 「そういえば、そのトラルーはどうしたじゃん?

  全然、姿が見えないんだけど」


 《取り敢えず、マスターが最後に残した一言が

  『こんな羞恥プレイはイヤだぁぁぁぁぁぁっ』

  だったことから察してくれると助かるのですが》


 『うわぁ……』


 《ちなみに、マスターは現在部屋に引きこもってます。

  もうすっかり愛人になられたイテンさんが一緒ですから、精神ケアについては大丈夫だと思うんですけど》
















 チータスからの質問にイグナイテッドが返した答え、


 その中でもトラルーの一言の部分に、この場にいる人全てがなんともいえない感情で満たされたと思う。


 いやだって、すっごく気まずいんだもん。


 多分、今日はもう顔見せない…というか、見せられないかも。





















 「取り敢えず、真の元凶であるメガーヌさんについては恭文から釘を刺してもらうとして」


 「ジュンイチさん、何故そこで僕に振る?」


 《仕方ないじゃないですか。

  そもそものキッカケは、メガーヌさんのマスターへの多少歪んだ愛なんですから》


 「歪んだっていう以前の問題だと思うんだけどっ!?

  何がどうなって僕からトラルーにターゲットすり替わってるワケ!?」


 「事情聴取によると、まずトラルーでイメージトレーニングし、

  後ほど改めて恭文を捕まえてメガーヌ・アルピーノに献上する予定だったそうだ」


 「イメトレ!?犠牲の理由がイメトレ!?

  そして献上って何!?」

















 あ、あははは…。


 恭文も女性関係で大変だね…。


 マスターコンボイから淡々と告げられた情報にすごい勢いでツッコんでる。


 メガーヌさんって、そんなに恭文のこと気に入っちゃったんだ…。














 ……あ、そうだ。1つ思い出した。















 「ねぇスリア、グラティはどうしたの?いつも一緒でしょ?」


 「あぁ、彼なら……」


 「機動六課隊舎とは、ここで間違いないでござるな?」


 「あー、スリアだー」
















 え、誰なのそこの武者甲冑さん!?











 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆










 「そこまで!」










 僕の掛け声と共に、ファーヴニルとアムリタはそれぞれの武器を引っ込める。


 もうこれで何回目か分からなくなった二人の模擬戦。


 この二人に限らず、自分が参加しない限りは審判役は僕の役目になっていた。







 ここは、ファントムアーク内部に設置されている訓練スペース。


 模擬戦をしている理由は勿論、ついに開幕間近となった"アレス"に備えてのこと。


 アウゲイアースたちの治療は勿論、最終調整中だった残り8人のユニゾンデバイスのロールアウトも完了。


 今日は特に、ロールアウトしたばかりなユニゾンデバイスたちの調子の確認がメイン。


 もっとも、8人中4人はダークコマンダー様からの緊急任務によって出払っているので、


 こうして模擬戦に参加できたのは残り4人なのだけど。


 同じように顔を出しているアウゲイアース、ステュムパロス、エリュマントス、ミノスの4人ですら、模擬戦を経てからの実戦だったのに、


 ぶっつけ本番で実戦任務に駆り出されるとは不幸な。











 「オレとしては、さっさと実戦任務に行きたかったんだけどなー」


 「アタイは1回ぐらいは模擬戦していくべきだと思うのだけど…」


 「貴殿は我らと同様、この模擬戦ギリギリまで調整しっぱなしだったのですよ?」


 「だから、今日はボクらと一緒にお留守番だってー」













 さて、発言順に追って説明しよう。



 まずは、オレンジのオーバーソックス、黒を基調として紫と白の縁取りがなされた服を身に纏う、2つに分かれた青竹色のテールヘアーが特徴的なヒュドラ。


 いかにもなオレ様キャラ…というか江戸っ子気質だけど、れっきとした乙女だったりする。


 あ、子供体型については触れないであげてね?リートとの約束だゾ♪所有メモリの「ダミー」共々、なかなかの曲者だしね。




 続いては、上半身は胸と背中だけを隠すという服(?)に、下半身はスパッツと腰マント、風になびく桃色の束ねられた髪が特徴的なヒッポリュテ。


 ハイドラとは違った意味で行動派な乙女。気は合うみたいだけどね。


 こちらはそこらの野郎どもの目を引くナイスバディだったりする。さすがは「クイーン」のメモリの持ち主。




 ちょっとウェーブのかかったライトグリーンのショートヘアー、青紫のボディスーツの上に腰マントのようにたなびくコートが目を引くディオメデス。


 今回のユニゾンデバイス組からの模擬戦参加メンツでは唯一の男性。性格は……ジェントルマンというか、好青年というか。


 とにかく動きが軽やかで、あたかも彼の所持メモリ「ユニコーン」が象徴する天馬のよう。





 最後は、シンプル・イズ・ベストというか、半袖短パン型のボディスーツとゴーグル付きバイザーのみという、水色ショートヘアーなヘスペリデス。


 最近流行っているとか流行っていないとか、いわゆる「ボクっ娘」キャラ。水も滴るイイ女を目指してるらしい。


 とことん水と縁があるのか、固有能力も所持メモリ「オーシャン」の影響をかなり受けている。














 「まったく、ダークコマンダーもせっかちなものだ。

  せめて、彼ら"ディフィカルター12トゥエルブ"の集合写真くらいは撮らせてほしいのだが」


 「いや、ソレが判断基準って間違ってねぇか?」


 「生みの親、って意味じゃ、分からないでもないけど…」


 「ていうか、どうせならアウゲイアースたちの治療の完了と覚醒のタイミングを同じにすりゃいいのによ」
















 リア・ファルがアムリタ、メディア、ファーヴニルから集中砲火くらってるけど、僕は気にしない。


 それと、今さっきメディアが言った通り、彼らを生み出したのはリア・ファル。


 "ディフィカルター12"っていう総称も、彼らを名づける際の由来の共通項からリア・ファル自ら考えたもの。


 ちなみに由来は、地球において有名なとある神話の「ヘラクレスの12の難行」からきてるんだとか。


















 「……そういえば」


 「『どうしました?」』


 「今回ダークコマンダー様が用意した緊急のミッション、

  それって結局なんだったんだろうなぁと」


 「『新しいマイクロンたちが出現したので、その確保に向かわされたようです。

   しかし、その割には随分と戦力を投入しているようには思えましたが」』


 「……新しいマイクロン……"たち"?」






















 まさか……先日出現して行方知れずになった、アストロブラスター!?












 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆











 「皆様方、この度は姫様がご迷惑をおかけして、真に申し訳ないでござる」


 「いひゃいいひゃい」


 「……あー、なんだ……難儀な主従関係だっつーことは分かった、うん」

















 突然僕らの前に現れた武者甲冑のような出で立ちをした機械人形さんは、


 姫様と呼びながらビコナのほっぺをキツめにつねって僕らに謝罪してきた。


 主のほっぺをつねりながら、ってところに違和感を持ったのか、スターも戸惑い気味。























 「先ほどの話だけど……要するに、恭文とリインのラブラブカポゥぶりに目をつけたビコナが、

  お前に命令して隠密デバガメをさせていた、と。

  そういうことでいいんだな?」


 「さよう。それ故、拙者にも責任はあるのでござるが…」


 「容認した上に実行犯、じゃねぇ…」


 《しかし、姫様権限で命令したというなら、その責任って全部ビコナさんに返ってくるのでは》
 

 「はうぅっ!?」


 「その上、実行犯が自ら証言してくれたんだ。

  仮に裁判をやってみたとするなら、ビコナが敗訴するのは目に見えているな」


 「ひぃやぁぁぁぁぁ」





















 改めて情報を整理するジュンイチさんに同意する機械人形さん。


 そこにツッコむ僕に続いたアルトの言葉が突き刺さったのか、ビコナは思いっきり動揺した。


 更にマスターコンボイに追い打ちをかけられて、完全に頭の中が修羅場ってるね。




















 ……で、いい加減その機械人形さんは誰?



















 「自己紹介が遅れたでござるな。

  拙者の名は月影丸。昔の時代、徳川家の歴史の裏で陰となりて世を駆けた者でござる」
























 徳川家って…ええ!?


 あの、徳川家康をはじめとする将軍の名門の、あの徳川家!?






















 「うむ。尚、ビコナ様もまた、徳川家の歴史の裏で暗躍なされた、世が知らぬ影の姫君。

  そして我らは、徳川家の正統なる歴史を知る、唯一の生き残りでもあるのでござる」


 「徳川家の血筋が完全に途絶えたって確証もないし、

  オレたちだって精霊とかについては分かってるつもりだ。否定とかはしないよ。

  けど、なんでまた徳川家に精霊だのカラクリ武者だのが…」


 「人類で知る者がいないのも当然でござろう。

  寧ろ拙者たちは、人にその存在を知られること自体がご法度だったくらいでござるからな。

  しかし、徳川家の初代将軍ともいえる家康殿は、幼少の頃より我ら機獣や精霊の存在を知り、

  極秘裏に交流を進め、征夷大将軍となられた際に影の側近として引き入れたのでござる」


 《歴史の中で徐々に徳川家の血筋が途絶えていく中、

  寿命や老化という概念を持たないあなた方だけは、今も歴史の陰でこうして生き残り続けている、と…》















 今じゃどこかのカルト宗教とかぐらいでしか大きく取り上げないけど、


 地球にだって精霊はちゃんといる。それこそ、ジュンイチさんのパートナーのブイリュウとか。


 で、蜃気楼が言った感じで、彼やビコナは今という時代を生きているんだ。


 そういえば、トラルーの話だとビコナも地球出身の精霊なんだっけ。



















 「……むすっ」


 「恭文、どうせ取り上げるなら、ノーザンのことも忘れないでくれると助かるなー」


 「あ、ごめん」





















 今ほっぺ膨らませてそっぽ向いてしまったノーザンも、北極圏生まれの精霊だったっけね。


 しかしまた、そっちはそっちですごいところで生まれたモンだよね。北極圏って。


 ともかく、忘れてごめんねノーザン。






















 「しかし姫様、あなたは影とはいえ徳川家の姫。

  たまには里に戻らねば、家臣団も心配されるでござるぞ?」


 「別に私は、徳川家を再興しようとか考えているワケでもないでおじゃるのに…」


 「関係ござらぬ。

  姫様の元気な姿を見れることが、今の家臣団にとって最も重要なことなのでござる」
























 元気な姿を見れることが重要…か。それは分かるかも。


 フェイトやリインだって、僕がちゃんと元気な顔見せると安心するとか言ってたし。


 直接再会するのって、結構インパクトあるしね。





















 「それはそうと、こちらについてもそろそろ解決した方がよろしいかと思うのでござるが…」







 「スリア、なんで縛られてるぅ?」


 「ちょっと、大人の事情のせいでね」


 「分からない〜」


 「まぁ、グラティには早いお話ってことよ。別に私は大丈夫よ?」







 「あー、あっちは別に大丈夫だよ。アレがデフォルトだし」


 「これで、我々コアメダル関係のメンバーはほぼ揃ったということになるか」


 「確かに、殆ど揃ったよね…」
























 一方で月影丸が気にしたのは、簀巻きにされたままのスリアを心配してる1人の青年。


 彼とスリアのやり取りを遠い目で見つつ、リティとレクセがつぶやく。


 さすがにコアメダル関係のパラレルもおしまいってことかな?少なくともグ○ード関係は。





 さてあの青年、グレーの厚手そうなジャケットに黒と白の縁取りの短パン、ほどよく(?)バラけてるショートヘアー。


 結構パワーがありそうなしっかりした腕は、ちょっとうらやましいかも。ジャケットの正面にはリティたちのものと同様の仕様・サイズの丸ボタンがある。


 確か、名前は……




















 「彼はグラティ。さっきルアクが言ってた、スリアといつも一緒な仲間だよ」






















 なるほどね。しっかし、いつも一緒どころか、ベッタリすぎやしませんかい?


 ……なんとなく、彼の元というか、モチーフというか、そんな感じのが分かったんだけど。






















 「間違いなく、重量系コアのグリ○ドのパラレルだろうなー。

  スリアが水棲系コアの方のパラレルなワケだし」


 「ですよねー」


 「ある意味で、パラレル化して最も変化の少ない二人だとは思う」























 ジュンイチさんの指摘に同意する僕に、リティが付け加えてきた。


 うん、体格差やらベッタリぶりの構図やら、いろいろなところが元と変わらないもんなー。


 そう……青い人が新手のエロリストであることを除けば。







 しっかし、あの二人って美女と野獣っぽい構図だよね。


 ちなみにスリアは、青の縁取りで肩出しのケープ…かな。その正面に上下3分割ライン付きの丸ボタン。リティたちと同一規格かな。


 ケープは逆三角のヒラヒラが左右で3枚ずつ並んでる感じ。特に背中側の2枚は大きい。側面と正面の4枚は干渉するから小さいのかな。


 腰には、前と後ろに下がる腰帯。タイツ素材のオーバーソックスにシャープな形状のブーツ。あと、そのケープの下って…白いスク水?また思い切った服装だなぁ…。


 そんな両極端な衣装の二人がベッタリって……なんか分からないけど、濃いとしか。














 「まぁ、あの二人についてはそれ以上触れない方がいいと思う」


 「下手するとグラティがムキになるしなー」


 「両想いカップルってことでいいんじゃない?」
















 リティ、ブライ、ルアクの順。まぁ、確かに追及はしない方がよさそう。


 とりあえず、あのガタイで子供みたいなジタバタされるのも大変だしねー。








 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 …………ダークコマンダーめ、余計なことを…。











 《アストロブラスターのことか》











 …………それ以外に何があると?











 《……すまない。

  しかし、本当にダークコマンダーはアストロブラスターの所在を分かった上でやっているのか?》
















 それについては、とっくにメルクリウスと連動してサーチ範囲を拡大したクヴァシルが証明済み。


 ダークコマンダーが派遣してきた4人が、真っ直ぐにとある場所に向かってる。


 その場所には……3体分のマイクロン反応。


 もちろん、ユニクロンの記憶にある情報も引き継いでいるクヴァシルだから、反応の正体もすぐにわかる。
















 《どうやら、間違いはなさそうだ。

  それならどうする。納得がいかないのなら、妨害するか?》














 うーん、そこだよ。


 ぶっちゃけ、君の…ゼノンのことはまだダークコマンダーたちには話してないし、乱入させてしまってもいいけれど、


 安易に裏切り行為に走るのもなぁ。





















 《…………実戦テストをしただけで済ますには、もったいないテクノロジーのような気もするが》

























 ……………………あ、忘れてた。
























 (第24話へ続く)








 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆







 ―ステンスの「知識はあるに越したことはない」―










 リティ「……結局、今回って何がメインだったんだろう」


 ステンス「トラルーと恭文の不幸だろ」


 リティ「何気にむごい!?」


 ステンス「気にするな。

      今回は"バリアジャケット式デバイス"について教えてやる」






 ステンス「バリアジャケット式デバイスは、コア以外のフレームなどに当たる部分をほぼ全てバリアジャケット化したものだ。

      本体の武装としての機能は殆どなくなる代わりに、システムの演算処理能力や本体の耐久力を徹底的に底上げできる。

      外観からは想像できないかもしれないが、実は他のデバイスとは耐久性に天と地ほどの差がある。

      今までに出ている中では、アストラルのクヴァシル、ビヴリンディ、グリームニルがこれに該当する。

      アストラルはクヴァシルを常時展開しているようだが、リアルタイムで情報収集・解析をする為でもあるらしいな。

      ちなみに、エネルギー源は自動充電式のサイクルバッテリーだという話があるが、どうだかな。

      外観上の最大の特徴は、他のデバイスと違って生活風景に溶け込みやすいってことかもな」







 リティ「あれ、そういえば俺たちのデバイs」


 ステンス「おっと、そこは次回以降におあずけだ」


 リティ「じゃあまた!」








 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆








 <次回の「とたきま」は!>






 万蟲姫「恭文を堂々と引き入れるためにも、わらわ達も"アレス"に参戦なのじゃ!」


 メープル「ココアちゃんの為なら、頑張る!強くなる!」


 恭文「いろんな意味でやめてマジで!」


 ビコナ「……瘴魔、でおじゃるか」


 万蟲姫「わらわ達はわらわ達で己が道を行くまで、徳川家の干渉など受けぬ!」


 ビコナ「……ならば、"アレス"では何の気兼ねもなく暴れられそうでおじゃるねぇ……うふふふふふふふふふふ」


 万蟲姫「って…あ、あれ?」


 メープル「あの、さっきからそこの着物の人から殺意というか衝動というか、怖いものを感じるんだけど…」


 月影丸「あぁ……万蟲姫殿は知らないでござろうなぁ……」


 万蟲姫「どういうことでおじゃるかー!?」


 トラルー「次回、またしても昔話です」


 アストラル「ちゃんと現在の話もあるからねっ!?」











 第24話「開幕目前と戸惑いと月光の姫君」



























































 あとがき




 さて、最後の最後でステンスがぶっちゃけた通り、「男性陣の不幸」が主題だった第23話です。






 当初は犠牲者はトラルーだけだった筈が、スリアの登場と騒動によって思いがけない形で恭文にまで飛び火した(苦笑)


 スリアの元ネタの片割れ(もう片方については第3クールにて)であるメズール様がねぇ……中の人がね…。


 もっとも、レヴィアタンとはまた違った意味でエロリストになってしまいましたが(オイ)


 これまたメガーヌさんが絡んでいるというトンデモ仕様だったりします。






 一方で、コスモテクターよりも先にアストロブラスターを巡って一波乱。


 プレダコンズ側の新戦力"ディフィカルター12"についても次回以降で詳細を。


 そして次回は、瘴魔と徳川家の意外な?関連性を主題としたお話となる予定です。


 誰かが盛大に荒ぶります(ぇ)





 次回で遂に第2クールもラスト。"アレス"に向けてまたラッシュがかかりますよー!(マテ)


管理人感想

 放浪人テンクウさんからいただきました!

 トラルー……ご愁傷様(最敬礼)
 いやはや、直接描写ご法度な目にあいまくったものですな。トラウマにならなきゃいいけど。

 そしてグリードのパラレルさん達も一通り集結。
 しかしこの顔ぶれ、“オリジナル”のみなさんが見たらどう思うことやら(苦笑)。