「遅いな・・・」

宿舎の前でティアナは思わず呟く。そして腕時計で時間を確認し、窓ガラスに映る自分を見つめては髪を
整える・・・そんなやりとりを先ほどから何度か繰り返すとハッと我に返った

(な、なに意識してんのよ私はッ!これはアイツを市街まで遠ざけるだけであって決して、で、で、でー・・・)

頭の中で続く言葉が出る前にもう一度、ガラスに映る自分を見つめる。普段とは違う姿のティアナがそこにはあった。
髪型も普段のツインテールではなく、丁寧に櫛でとかしたストレート・ヘアに。服装も六課の制服や訓練用のウェア。ましてや
戦闘用のバリアジャケットでもない。キャミソールにミニスカート、上からカーディガンを羽織り、買っただけで今まで
箱で眠っていたハイヒールも下ろし、彼女の足を包んでいる。さらに薄化粧もほどこし、彼女を『美少女』として演出
していた。

(こ、ここまで気合い入れた格好にする必要あったのかな・・・?)

頬を抑えながら、自分をここまで仕立て上げた霞澄やアスカの姿を思い出す。少しの抵抗も許さない迫力で仕事を
こなしていた。

「まぁ、ここまでしてもらってもアイツが気にかけるわけないか・・・」

一人納得したティアナは本日何度目か分からない言葉を口にする。

「遅いな・・・マスターコンボイアイツ


何故、ティアナがこの姿でマスターコンボイを待っているのか。それは数時間前まで遡る。




番外編  サプライズ・バースディ〜1日限りの大変身〜




「〜〜〜♪」

早朝、なのはは満面の笑みでデスクに浮かぶウインドウを操作していた。

「オハヨー・・・ってあら?随分とご機嫌ね」
「ええ、どうやらお知り合いの方からメールが届いたようで」

フォワード陣の早朝トレーニングの指導を終え、顔を出したライカにギンガが答える。

「あっれー?もう返信来てるんだ。相変わらずマメだね〜」
「うわぁっ!ア、アリシアちゃん!?」

背後からデスクを覗き込むアリシアに驚いたなのはは咄嗟にウインドウを手で覆った。

「照れない照れなーい!別に知らない仲じゃないんだかね!」
「あ・・・あはは・・・」

苦笑するなのはの肩をアリシアはバンバンと叩いた。

「メールの送り主、アリシアさんもご存じなんですか?」
「知ってるも何も、10年前に一緒に戦った仲だし・・・ね?」
「うん・・・」

アリシアはギンガの問いに答え、なのはに同意を求めた。頷いたなのはの再びメールに目を移し、また優しい笑みを浮かべた。

「何々?ギン姉どうしたの?」

ギンガとアリシアの会話が耳に入ったのか トレーニングウェアから六課の制服に着替えたスバルがヒョコっと顔を出す。それ
に続き、フォワード陣、パートナーのトランスデバイスたちが姿を現した。

「うん。なのはさんのメール相手なんだけど・・・」

チラリとなのはの顔を見るギンガ。それに気付いたなのはは読みかけのメールのウインドウを閉じる。

「このメール。ギャラクシーコンボイさんから届いたんだ」
「ギャラクシーコンボイさん…ってたしか」

スバルはなのはが口にした人物を思い浮かべる。確か過去の資料にその名前があった。

ギャラクシーコンボイ――セイバートロン・サイバトロンの前総司令官であり、GBH戦役ではなのはのパートナーとして
大帝時代のマスターコンボイと戦い続けた戦士。現在は新スペースブリッジ計画の為、銀河の遥か彼方へ仲間たちとともに
旅立っている。10年前に旅立って以来、なのはとギャラクシーコンボイはリアルタイムで会話ができない代わりに
お互い定期的にメールのやり取りを続けていたのだ。

「なるほど…あいつも元気にやっているようだな」
「それで?どのような内容なんだ?」

かつて同じく司令官という立場だったビクトリーレオは呟くと、シグナムが続いて尋ねる。

「うん。今滞在中の惑星と前の惑星の天候の違いとか、建造中のスペースブリッジの画像とか、遭遇した生物の…」
「業務報告じゃねぇか」

嬉しそうにメールに記載された情報を口にするなのはにヴィータはつっこむ。

「なんというか…あいつらしいと言えばあいつらしいが…」
「え〜と、ほ、他にはあるんですか?嬉しかったりした事とか」

スターセイバーがため息交じりに呟く。なんとか話題をずらそうとティアナが尋ねるとなのはは顎に指をあてながら考えたが。

「う〜ん。基本的にはどんな内容でも私は嬉しいな。こうゆうお仕事の報告ができるっていうことは、変わらず元気で頑張って
 いる証拠だし。そういう所は10年前からちっとも変わらないなって、安心するんだ」
「なんだか…素敵ですね」

キャロになのはは笑顔で頷く。

「ギャラクシーコンボイさんは今でも、私の最高のパートナーだもん!」

その言葉に一同に自然と笑みがこぼれた。

一方、なのは親衛隊フェイトとジャックプライムがその言葉を耳にした瞬間、手に持っていたペンやデータの入った
ROM(重要機密)を握り潰した光景をただ一人目にしていたシグナルランサーは見なかったことにした。

もちろんなのはが二人の発する嫉妬(と書いて殺気と読む)に気がつくはずもなく、話を続ける。

「この前はお互いの誕生日にその惑星の風景や綺麗な花の写真を送ったりしたんだよ」
「誕生日…やっぱり、トランスフォーマーにも誕生日はあるんですか?」

ふと疑問に思ったエリオの質問にビクトリーレオが答える。

「もちろんだ。俺たちトランスフォーマーも生命体。この世界に生まれた日ってのは確かにある」
「トランスフォーマーの魂…スパークがこの身に宿る瞬間に命が輝き、全てが始まるんだ」
「なんだか、壮大な話ですね」

スターセイバーの補足にスバルが関心すると、ティアナは自分の相棒を見上げた。

「ってことはアンタたちにもあるの?誕生日」
「答えとしてはイエスだ。我々トランスデバイスはスパークをボディに宿さない代わりに搭載されているAIの稼働によって活動
 している。誕生日という概念を指すとしたら、ロールアウトされた製造月日のことだろう」
「そ〜んなかたっ苦しい説明しなくてもいいじゃん。ちゃんと誕生日があるってことだけ言っとけばさぁ」
「とりあえずマイクロンその姿だからといってデスクの上で寛ぐのはどうかと思うでござるよ・・・」

トランスフォーマー用のデスクの上で寝そべり、手をヒラヒラしながらジェットガンナーの説明にチャチャを入れる
アイゼンアンカーに呆れるシャープエッジであった。

「じゃあ、マスターコンボイさんにも…って、あれ?」
「どうしたのスバル?」

自問自答しているスバルにギンガが尋ねると





「マスターコンボイさんの誕生日っていつなんだろう…」






スバルが口にした疑問に一同は沈黙する。

機動六課のデータベースには職員全員のプロフィールが記録され、無論そこには生年月日は記載されている。しかし、マスター
コンボイのみ例外であった。生年月日は勿論、出身の世界や経歴。全てが空欄なのだ。民間協力者という立場上、ある程度は
ダミーで誤魔化しがきいているものの、やはり以前の彼――全ての世界を壊滅まで追い込んだ破壊大帝マスターメガトロン
としての記録を記載するわけにはいかなかった。そしてなにより

「兄さん…以前言っていました。自分は物心ついた時にはすでに戦っていたって。だから、兄さん自身も知らないのかも
 しれません」
≪クギュ〜≫

以前、マスターコンボイの口から語られた自身の出生。その姿はどこか、寂しいように見えたことを思い出したキャロの頭上でフリード
は心配そうに顔を覗きこむ。

「この雰囲気。本人がいないのが救いよね」
「って、そういやいねぇじゃんあいつ」
「あ、マスターコンボイさんなら、もう少し自主トレをしてから顔を出すって…」

その場の空気を口にし、頭を掻きながら言うライカの言葉に反応したヴィータが周りを見渡す。スバルが慌てて答えると

「よし、それじゃあマスターコンボイさんの誕生日、私たちで決めちゃおうか!」
「なのは!?」

今まで黙って話を聞いていたなのはの突然の提案にフェイトが声を上げる。

「い、いいんですか?そんな大事なこと本人に聞かず僕たちで決めちゃって?」
「本人に聞いても、『そんなものいらん』なんて言われちゃうのが目に見えているけどね。それでも、マスターコンボイさん
には自分がこの日から始まったんだって思える日を持って、それを大事にして欲しいんだ…」
「自分にとって、始まりの日…ですか」

エリオの質問に答えたなのはティアナに続いてその言葉を口にする。

「それだったら、『あの日』で決まりじゃねぇか?」

イクトと共にドアから入ってきたヒューマンフォームのブリッツクラッカーが告げる。マスターコンボイの誕生日がすでに
それで確定したかのように自信満々の発言にシグナムが尋ねる。

「随分と自信があるな。あの日とは?」
「んなの決まってるぜ」










「マスターコンボイ様となのはが初めて戦った日だよ」







『…………ハイ?』


理解できない一同にブリッツクラッカーは話を切り出す。

「まぁ、マスターコンボイ様が今の姿になった日でもいいかと思うけどよ。10年前…当時の俺も含めてマスターコンボイ様が
 デストロンを率いて地球に向かって、サイバトロンと協力するなのは達と戦い始めたあの日から、色々と変わったんだ。俺も、
セイバートロン星にいるスタースクリームも。誰よりも、マスターコンボイ様がな」

あの時、地球へ行くことがなければ、自分の姿や立場が変わることもパートナーの晶と出会うこともなかった。かつての事を
しみじみと思いだしながら天井を見つめながら語るブリッツクラッカーに、なのはは照れながら呼びかける。

「で、でも!それって私にも少し抵抗があるんですけど…」
「いやぁ、マスターコンボイの方はむしろオッケーしちゃうんじゃないの?」
「確かにね…それだったら『別にかまわん』なんて言うかも」
「そ、そんなぁ…」

納得したのはアリシア、フェイトだけでなく、なのはを除いたその場全員らしい。

「それじゃあ、決まった所でチャチャっと検索をっと・・・」
「あ、アスカちゃんも!」

なのはの抗議も聞く耳持たず、アスカはデータベースへアクセス。GBH戦役の戦闘記録からなのは達とマスターコンボイが
初めて接触した日を検索する。ウインドウに表示される様々な数値に次々と条件を打ち込み、結果が直ぐに閲覧される。

「キタキタ…って、あれ?」
「…どうかしたんですか?」

キョトンとした顔で検索結果を見つめたままのアスカにギンガは尋ねた。

「………今日」
「キョウ?」

アスカの漏らした言葉をスバルが繰り返す。ゆっくりと一同に向けて顔を動かすアスカは困った笑顔で頷く。

「なのはちゃんとマスターコンボイが初めて戦った日・・・今日なんだ」

なのはの出身世界――第97管理外世界とは微妙な時差と季節差は発生しているものの、概ね日にちは一致している。こちらで
新年を迎えるのも第97世界あちらで迎えるのもほぼ同じということだ。

「なんとも絶妙なタイミングね…」

ティアナが呟くと同時にドアが開き

「話は聞かせて――」

「仕事に戻れ」

イクトの¨力¨により数倍の速さで閉じられた。


「お願いやーーせめて話だけでもさせてぇな〜」

おまけに開かないよう力場を発生させたため、扉をドンドンたたくはやての声が空しく響き渡った。




『サプライズ・バースディ?』

はやての発案が異口同音で繰り返された。

「せや。いつもなにかとマスターコンボイには六課設立後から世話になっとる。ゴタゴタして歓迎会もできへんかったし、
 ここで一つ盛大に祝おうっちゅー話や」
≪素敵なアイディアです〜≫

片目を閉じながら唱えるはやてに両手を上げてリインフォースは同意する。

「うん!素敵ですよはやてさん!」
「主はやてがそうおっしゃるなら、我々も賛成です」
「まぁ、貴様にしてはまともな企画だな」

スバルに続いてシグナム、皮肉を込めながらもイクトもはやてのアイディアには肯定的だ。ここに、マスターコンボイの
サプライズ・ババースディの開催が機動六課総出で行われることが決定した。

「いやぁ、これだけの人に祝ってもらえるなんて、マスターコンボイは果報者ね♪」
「ですねぇ…って、霞澄おばさん!?いつの間に!」
「もう、か・す・み・ちゃ・ん♪」

と、指を立てながら訂正する霞澄の突然の登場に驚くスバル。

「よぉーし、そんならまずは作業の分担や!まずは私を中心にした料理グループ!厳しく指示するから覚悟し!そんで
 装飾グループ。幸いにも第7倉庫がまだ空っぽの状態や。そこをパーティー会場とする。派手なのを頼むでぇ〜予算はこの際
 気にすることあらへん!グリフィスくんには私から謝っとく!」

次々と指示を口にし、必要な食材や資材を紙に書きこんでいくはやて。部隊長としての腕は、ここでも十二分に発揮されている
ようだ。

「そんで最後に、マスターコンボイを準備が整うまで遠ざけてもらう時間稼ぎ担当や。そやな、クラナガンの市街あたりで、
 時間まで遊んでいてくれるだけでかまへん」
「あ、ハイハ――イ!!それだったら私行きたいです!!」
「スバルは…ダメー!!」

スバルが元気よく手を上げて立候補するが、隣に立つ霞澄はゆっくりと両手を丸を描くように回すと、急に勢いよく目の前で
交差、×の字を作った。

「な…なんでぇ〜!?」
「だって、スバルってこういうのすぐ顔でちゃうし?」
「う…」
「マスターコンボイに勘ぐられたら、嘘つけないし?」
「うぅ…」
「それに目的忘れて遊びに集中しちゃいそうだし〜?」
「うぅ〜〜〜」

真っ向に反論するスバルだったが、霞澄に難なく撃沈されグゥの音もでなかった。

「じゃあ誰が…やっぱりこの場はなのはさんが」
「う〜ん。私ははやてちゃんのお手伝いしたいしなぁ…」
「それじゃぁここは…」

ギンガへ困った笑顔で答えるなのはに、アスカが続くと

「ティアちゃんがいいんじゃないかぁ〜?」
「わ、私ですかぁ!?」

ポンと両肩を掴まれたティアナは声を上げる。突然の指名に一同の視線が集まった。

「確かに…ティアナ・ランスター二等陸士であればこの案件は冷静に対処できるだろう」
「いいないいなぁ〜僕も遊びに行きたいよぉ」
「我慢しやがれ。俺たちゃぁ会場造りに専念だ」

納得するジェットガンナーの隣で、ロードナックル・クロは羨ましそうにしている立体映像のシロを窘めた。

「って、私まだ一言もオッケーしてないんですけど!?」
「いいじゃな〜い。最初に比べりゃかなり仲良くなったんだから」
「そりゃ…確かに初対面の頃よりは」

アスカに言われてティアナは口ごもる。最初に敵意しか抱かなかったマスターコンボイに今あるのは信頼だ。今だにお互い
口先は悪いものの、以前ほどの険悪な雰囲気はない。それでも、二人きりで出かけられるかは別問題だ。

「でも行った所で、すぐ口喧嘩になるに決まってますよ!そんな目に見えていること…」
「え?でもこの前、お昼寝中の兄さんに…」
「!!!」

そっぽを向いて声を上げるティアナだったが、キャロの一言でビクリと肩を震わす。

「!
 ガスケット!!アームバレット!!」
「あいよ!」
「だなだな!!」
「ちょ、なになに!?」
はやてが指をパチンと鳴らしたと同時に、今までの会話に参加していなかったぶっ飛び要員ふたりが二人してティアナの
両腕を掴み拘束する。ティアナは抵抗するも、やはり人間とトランスフォーマーでは体格差がものを言ってしまう。

「じゃあキャロちゃん、その話詳しく!」
「え、え〜っと…」
「あっちは気にしない気にしない♪」
「や、やめて!やめて―!!」

ティアナの絶叫も空しく、アスカと霞澄は動揺するキャロから根ほり葉ほり聞きだしていた。



ようするにこういうことである。

マスターコンボイは午前中の訓練を終えた後の休憩 つまり昼休みにごくまれに眠ることがあった。普段ならば過去の戦闘記録
の閲覧、自分が投資している株のフローチャートのチェックなどをしているのだが、深夜のイメージトレーニングを今直
続けており、その影響で処理能力を落とさぬよう体を休ませるため、負担の少ないヒューマンフォームで眠りにつくのだ。

そんなマスターコンボイがベンチに座り、腕を組んで眠っている所のを見かけたキャロ。だまってその場を後にしようとした
所に、ティアナがやってきて、マスターコンボイの隣に座ったのを目撃した。

隣で無防備に眠るマスターコンボイの姿を見つめ髪を優しく撫で、頬を指先で突く…など普段のティアナならば決して
やらかさない光景を目にしてしまったのだ。さらにその時、思わぬ事故が発生してしまった。マスターコンボイがティアナへと
向けて倒れ、その頭はティアナの膝へと落下。¨膝枕¨する形となったのだ。最初は動揺するティアナではあったが、眠り続け
るマスターコンボイの顔を見ると、優しい笑みで彼のを額に触れていた……
それからしばらくして、マスターコンボイを起こさぬよう、元の位置に戻すとティアナは立ち去って行ったのだ。




その顛末を語るキャロの話に、はやてやアスカ、霞澄だけでなくなのは、フェイトたち隊長陣、ギンガやスバル、いつの間にか
現れたロングアーチ組も頬を赤らめながら聞き耳を立てている。内容を耳にするたびに「ふあぁ」「フムフム」と頷いていた。
公開処刑が終わった頃、悲鳴を上げ続けていたティアナは完全に燃え尽きていた。


「いやぁ〜こりゃやっぱりティアちゃんだね」
「適任だねぇ」
「もう…好きにして下さいよ…」
グゥの音も出ないティアナの発言にニンマリと笑うアスカとアリシア。

「ではでは、お言葉通り〜」
「メイク入りま〜っす!!」
「って、え?何?何事!?」

突然自分が持ち上げられる感覚に戸惑うティアナ。下を向くとアスカに持ち上げられていた。オマケに灰となっていた隙に両腕
を背後できつく縛られていた。

「な、何するんですかアスカさん!!なんでメイクなんて必要なんですか!?」
「だって、せっかくのデートなんだから少しは¨おめかし¨しないとさぁ」



デート【date】 [名](スル)  男女が日時を定めて会うこと。「恋人と―する」   (第97管理外世界 大辞泉林より)




「な、なななななな何でデートになってるんですか!!ただ二人で遠くに行くだけでしょう!?」
「ノンノン、それを世間一般でデートというのよん♪」

まるで楽しむよう…否、絶対楽しんでいる霞澄は真っ赤な顔のティアナを指差して断言する。

「兄さんと…ティアナさんのデート…ふわぁ」
「いいな〜ティア〜」

自分にはまだ未知の領分であるその言葉に頬を染めるキャロと本気で羨んで指を銜えるスバル。そんな同僚の反応に担ぎ
上げられたままのティアナが吠える。

「あんたらも他人事だと思って何好き勝手言ってんのよ!」
「いいからいいから〜」
「私を信じて〜」
「何どこぞのコント番組に出てくるレスラー兄弟みたいなこと言ってんですか!離して下さい!」

なんとか脱しようとするティアナの耳元に霞澄が(脚立を使い)そっと呟く。

「これはチャンスよ!事がうます進めばさっきのお話の続き以上のことができるよう高級ホテルの予約をしておくのもやぶさか
じゃないわよ?」
「なんで貴女の思考はそうやって階段3段飛ばしなんですか!?そういうのはもっと段階踏んでから…じゃなくてぇ!!」
「時間も惜しいからとっととやっちゃいましょう!では、ご案なーーーい!!」
「ってキャアァァァァ…」

全力で突っ込むティアナの意思を余所に、アスカと霞澄にそのまま拉致されてしまった。

「で、後はどうするつもりだ?」
「ん〜、後って?」

手をヒラヒラ振りながら三人を見送るはやてにイクトは尋ねた。

「決まっている。マスターコンボイだ。どうやって市街まで奴を連れ出す?突然休暇を押し付けたところで奴は頭ごなしに
 疑うぞ?」
「その点なら心配あらへん。10秒で喰いつく餌を用意してあるからなぁ!」

ビシッと親指を立てるはやてに、イクトはいい予感は抱けなかった…





(さて、どうしたものか…)
マスターコンボイがいるのはトレーニングルーム。目を閉じ、オメガを構えたまま先日の事件で共闘したナンバーズ―チンクから
齎されれた情報を考えていた。

(あれは信用にたる情報……俺達を陥れるような嘘ではあるまい。だとすれば、伝えるとしたら誰か)

目を開き、オメガを横薙ぎに振るう。

(スバル・ナカジマ………危険だな。今後の戦闘に支障が出る所か考えなしにスカルエッティ一味を探しに飛び出すかも知れん)

そのまま今度は斜め下からの袈裟切り。

(ゲンヤ・ナカジマ………伝えたとしても立場上、色々と探りを入れた途端、危険に陥る可能性が大 か)

頭上に振り上げ、両手で握り直し、真っ向から振り下ろす。

(だとすれば……やはりギンガ・ナカジマか)

フゥっと息を吐き手近に置いてあるスポーツドリンクを口にする。どうやらヒューマンフォームではエネルゴンを摂取するより
この手の飲み物の方が水分補給に向いているらしい。時計を見る。随分と時間が経ってしまった。オメガを待機モードへ戻し、
制服の上着を手に取ると顔のすぐ横でウインドウが開かれた。

『マスターコンボイ、朝トレは終わったん?』
「……ああ、今から六課の事務室に向かう所で…」
『それより先にこっちによって貰えん?』
「指令室にか…?」

何かあったのか……陳述会も近い。多くの敵が蠢く中、対策を練るとしたら早いのにこしたことはない。胸中でマスターコンボイ
が考えた矢先、耳に入った言葉は






「命令や。今から休み取りぃ」
「全く話が見えんぞ」





新世紀な組織の司令官のように口元で手を組むはやてから放たれた言葉がこれだった。即座に反論するマスターコンボイ
はため息まじりで続ける。

「八神はやて。今という状況を解っていない貴様ではないだろう。それに休めだと?こんな何が起きてもおかしくない中で…」
「まぁ待ちぃ。タダで休めは言わへん。それなりの条件を出すで?」
「?」

はやては端末を操作すると、マスターコンボイの眼前にある画像が映し出さし、説明をする。

「さて

「乗った」

 どお…って早!?」

「では今からやってもらおうか。さぁやろうか。早くやろうか。さっさとやれ貴様!!」

鬼の如く迫るマスターコンボイに圧倒されたはやてはたじろく。

「んじゃシャーリー!マスターコンボイと一緒にメンテナンスルームへ」
「は、はい!」

マスターコンボイとともに指令室を後にするシャリオを見守るはやては即座に連絡用端末のスイッチを入れる。

「こちら指令室。ターゲットは見事に食らいついた!今から準備に取り掛かるで!!」
『オぉーーーー!!』

ハイテンションで呼びかけるはやてを見て、いままでの成り行きを見守っていたビックコンボイは閉じた扉を見る。

「あいつも、難儀なものだ…」







そして宿舎前、メイクアップを遂げていたティアナがマスターコンボイを待ち合わせていた。

(でも、こんな格好でアイツで歩いても、姉弟にでも見られるのが落ちか…)

と、ティアナは今更ながら冷静に思考を巡らせる。彼のヒューマンフォームの見た目の年齢は10歳前後。自分にとっては
許容範囲であるものの、今の姿で一緒に出かけても絵になる組み合わせではない。

「よぉ」
「!!」

と、背後からの声にビクリと肩が振るえる。この声、間違いなくアイツが来たのだ。もう、先ほどの事など気にしていられない。
ここはいつも通り、普段のやりとりで行くしかないだろう。アイツとは、そんな関係がしっくりくる。

「おっそい!!人をいつまで待たせるつも…り…」

いつもの態度で聞き覚えのある声へ振り返ると、見覚えのない男が立っていた。

年齢は二十歳前後、ティアナの背を頭二つ分上をいくほどの長身。白いTシャツに黒系のジャケット、ジーンズにブーツを履いている。
そんなシンプルな服装でも十分魅力的に見える。ボーっと見つめるティアナの頭を、男はガシっと掴んだ。

「な、え!?」
「くっくっく…やはり、わからんか。そうだろうなぁ」

今度はグリグリと乱暴に頭を撫でられるティアナはその声を聞くと、改めて男を見つめ直す。自分が待っていた人物と同じような
黒髪、癖のある髪型、目つきが鋭くなっているものの面影が残るあの顔。そして胸に下げられている待機モードのデバイスが
決定的となった。



「あ、あんた…マスターコンボイ!?」
「正解だ」

ティアナが驚きの声を上げると、男――マスターコンボイは満足そうにパッと手を離す。乱れた髪を必至に手直ししながら、
ティアナは尋ねる。

「ど、どうしてそんな姿に?」
「八神はやてからの申し出でな。急な休暇を押しつれられる代わりに今日1日、この姿でいられるとな」

1日だけというのは気に食わんがと平常と装いつつも、嬉しさがにじみ出ているマスターコンボイは自分の両手を開いては
握った。既に諦めかけていた自身のヒューマンフォーム…子供の姿のDNA設定を刺激することで24時間だけ身体を成人男性
とすること。これがはやてがマスターコンボイに対しての¨餌¨であった。

「それに、ロボットモードとはまた違った高さからお前らを見下ろすのも悪くは――ん?」
「………………」

以前よりイジられ続けた身長に大幅な差を(一時的とはいえ)つけたことでティアナに嫌味の一つでも言おうしたマスターコンボイ
だが、当の本人が口をポカンと開け、未だに頭を押さえながら自分を見つめている事に気付く。気のせいか、彼女の頬に若干
赤みがさしているようにも見えた。

「……どうした?何を呆けている」
「な、なななな何でもないわよ!!!」

目を細めるマスターコンボイに隠しきれない動揺をみせるティアナは思わず視線をそむける。

(な、なによ……なんでさっきよりも緊張しなくちゃいけないのよ。そりゃ、子供のときのかわいらしさもよかったけど、
 こうして見るとワイルドさがかかって結構かっこE………って今なんて考えたのよ私いいいぃぃぃぃぃぃ!!!
 相手を考えなさいよ!!マスターコンボイよ!?なにかと偉そうにして、自意識過剰で、見栄っ張りで、人の話は時々全然
 聞かなくて、それでも頼りになって困った時には助けてくれる ってああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!)
「おーい…」

墓穴だらけの自問自答に両手で頭を押さえるティアナにマスターコンボイの声は届いていないらしい。

(体表面の温度は著しく上昇…しかし、体調に異常が見られるわけではない。原因はなんだ?)

と、備わったスキャナでティアナを分析するが、体温以外は通常通りだ。鼓動もまた随分早く動いているようだが。
それがどのような理由かは全く見当のつかないマスターコンボイは続けてティアナをじっと見つめている。

(どうして見てるのよ…こっちは恥ずかしくて顔すら見れないのにぃ!)
(また随分不機嫌なものだ…いつもの事とはいえ、せっかくこの姿での休暇に拗ねたままでついて来られてもな・・・)

赤くなった顔をどうにか見られないよう顔をそむけるティアナの気持ちなど露知らずのマスターコンボイはふと違和感を覚える。

(以前の私服とは明らかに異なるものを着用…それに顔表面の付着物。人体に悪影響あるものではないようが、成分から見ると
 『化粧品』というものに部類されるな。化粧……人間の女が外出する際に施す塗装、か)

などとまた微妙な解釈をしていたマスターコンボイはあることを思い出す。






      それは六課がゲンヤ・ナカジマが率いる108部隊との合同演習を終えた夜のこと。行きつけの焼き鳥屋での
      打ち上げ中、相席となったゲンヤとヴァイスの会話がマスターコンボイの耳にも響いていた。
      
      「いいか坊主ども…女ってのはな、普段とのちょっとした違いにも気付いて欲しいもんなんだよ
       それは服でもいい、髪型でもいい、使っている香水でもいい。それを思いっきり褒めてやれ!
       とくに親しくしてる相手ならなおさらだ」
      「さっすがっすよゲンヤの大将!!!そうやって何人の女の子不幸にしたんすかぁ〜」
      「馬っ鹿野郎!おれぁ死んだ女房一筋よ。今のは若いお前らへの先輩としてのアドバイスだ!」
      「かぁ〜!いかす、いかすっすよ大将ォ!!!」

      すっかり出来上がっている二人を余所に、マスターコンボイはオレンジジュース(見た目で
      アルコールはアウト)を口にしながら隣で既に酔いつぶれたイクトの背中をさすっていた。
   
      「って聞いてたんすかマスターコンボイの旦那はぁ!!」
      「やかましい!!俺にその手の話は関係ない、貴様らだけで喚いていろ!!」
      「まぁまぁ、何事も経験ってもんだ。この先そんな機会があるかも知れねぇじゃねぇか」

      向かい席で酒臭い息を吐きながら絡んでくるヴァイスを罵倒するマスターコンボイにゲンヤは淡々と 
      説明を始める。
    
      「いいか?まず化粧なんてした日にはな…」

      
(聞き流したつもりが、しっかりとメモリーに残っていたとはな…優秀なボディも考えものだな)

あのムダ知識を生かすとしたら今なのだろう。あの時の話を総動員し、マスターコンボイはティアナに歩み寄る。

(これで上機嫌となればこしたことはない。こちらも心おきなく今日を楽しめるというものだ。見ていろ……完璧にこなして
 やる!)




そしてマスターコンボイが取った行動は


横を向いているティアナの頬に触れ、無理矢理自分の視線に合わせる。ティアナがマスターコンボイを見上げる形となるが、
お互いの顔の距離はわずか数センチ。

(って何、なになになにぃ!?)

混乱の渦中にいるティアナにマスターコンボイのやる事にまるで理解が追いつかない。それでも真顔で自分を見つめる
マスターコンボイを見て、心臓の音が耳まで響いくるような感覚に陥る。
やがてマスターコンボイはティアナの耳元に口を近づけると、囁くように言った。






「似合っている。綺麗だぞティアナ」

「」







数秒後、ティアナの顔は爆発した。



(どうしたこうなった………)

意識を失って倒れそうなティアナを抱きとめ、何がいけなかったのか必至に考えるマスターコンボイであった。




宿舎 調理室

六課の女性メンバーほぼ全員がエプロンを着用し、準備万端の状態で視聴していたのは、これまでのマスターコンボイと
ティアナのやり取りをリアルタイムでしっかりモニターしていた。


「………マスターコンボイ、やるやないか」
「ティ、ティア大丈夫かな?」

二人のやりとりを見て、はやてはニヤニヤ笑い、スバルは倒れた相棒の安否を気遣った。

「ジュンイチ張りのジゴロねマスターコンボイ…」
「言えてる」

腕を組んだライカのコメントにアリシアは同意した。

「じゃあ二人とも、そのまま尾行(と録画)よろそくな」
『おっまかせ!(ヴァイス君と二人きりだし)はりきっちゃうぞぉ!!』
『旦那…まさかあれを実践するなんて、おとこだ』


はやての無線ごしに答えるアスカとヴァイスの監視組は異なる心境を口にして行動に移った。

「さて、パーティ会場はどうなっているのかなっと」

シャリオがパネルをいじくるとウインドウが切り替わる。


『んじゃぁ、この位置でいいんだな』
『ええ、ここなら会場内でも見栄えするでしょう』

グリフィスの操作する端末から映し出される倉庫の立体見取り図の天井部分。そこに点滅する箇所を見てよしと頷いき、
『現場責任者』と書かれたタスキを肩に提げているブリッツクラッカーは大声で指示を出す。

『ジェットガンナー!!その高さのまま4メートル前進だぁ!!』
『了解した』
『ととっ、もう少しゆっくり進むでござるよ!』

巨大なくす玉をかかえたシャープエッジがよろめきながら自分を乗せて飛行するビークルモードのジェットガンナーに告げる。

『さて、こっちは…っておいエリオ!飾りのわっかは色を交互にしろって言ったろ!!赤一色じゃねぇか!イクトさんよぉ!!
 定規とカッター使ってんのにどうやったらそんなに折り紙がグチャグチャした形になんだよ!?」
『す、すいません…』
『むぅ…』
『ったく、ビックコンボイたちを見習えよなぁ』

エリオとイクトに駄目出しをするブリッツクラッカーが指差すのは折り紙を均等に切り、それで輪を作ってはその穴に新たな
折り紙と通していく、パーティにはお決まりの飾り付けを倉庫の隅で黙々と作り続けるビックコンボイとフォートレスだ。
さらにその隣では造花をパネルに接着することに勤しんでいるザフィーラとアトラスの姿があった。

『いやぁ、みんながあんな懸命にやってくれると暇なんだなぁ…』
『全くだぁ。ふあぁ…って、この音は?』

耳に響くエンジン音に振り向くガスケットは自分に迫りくる巨体に相棒のアームバレットともに盛大に轢かれた。

『ふぎゃぁ!?』
『(なんかぶつかった――ま、いっか)はーいみなさん、注文通りの資材、到着だよ〜』
『よっしゃ、待ちかねたぜぇ!!』
『やっちゃえやっちゃえ〜!』

アイゼンアンカーは平らになったコンビを気にすることなく、ブルーアンカーとグリーンアンカーで牽引したパーティテーブル
用の資材を次々とクレーンで置き場へ積んでいく。ゴキゴキと指をならすロードナックル・クロは工具片手に口には釘まで
くわえ、資材を手に取る。彼の肩ではボンボンを両手に双子を応援するロードナックル・シロの姿が映っていた。

『残された時間は少なぇ!全力でやろうぜ野郎どもおぉぉ!!!』
『おおおぉぉぉぉ!!!!』

周囲に指示を終えたブリッツクラッカーも額にタオルを巻き、会場設営に参加すると大声でその場全員に発破を掛ける。それに
轢かれて沈黙する二人以外の返答が大声と共に返ってきた。




「は、はりきってるねブリッツクラッカー…」
「もともとお祭り好きだし、なによりマスターコンボイのためだからねぇ」

会場造りの現場の雰囲気に圧倒されるフェイトにやれやれと呆れ半分に答える晶。

「じゃあ私たちも頑張ろう。翠屋自慢のお菓子を堪能してもらうためにも、二人ともお手伝いお願いね」
「「ハイ!」」

スバルとキャロの返事に頷くとなのはは準備にとりかかる。そこにあ、と声を上げてフェイトが駆け寄る。

「なのは、ヴィヴィオにはこのことを?」
「うん。一緒にお祝いしようって言ったら、慌てて部屋に戻っちゃった。」
「ふ〜む。なにか考えがあるようね」

なのはの返答に目線を明後日の方向に向けながら、霞澄は目に止まらぬスピードで野菜を切り分けていった。

「オイはやて」
「なぜ我々もこちら側なんでしょうか?単純作業といえ、これならば会場側の方に向かったほうが…」
「ああ、それはな…」

エプロンを着用したヒューマンフォームのビクトリーレオとスターセイバーにエビの皮むきやトマトの湯むきなど簡単な作業を
指示したはやては背後を指差し、

「シャマルがなんか調合せぇへんような見張りも含めてや」
「「あ〜」」
「どうしてそこで納得するのよ二人とも〜〜!!!」

笑顔のはやての思惑に合点がいき、手作業に戻るスターセイバーとビクトリーレオにシャマルの悲痛の叫びは届かなかった。


そして女性スタッフたちは自分の作業に集中する。この場からあえてアスカを外したことは周知の事実であった。




マスターコンボイの運転するスポーツカーの助手席で、ティアナはムスっとした顔で窓に肘を付いて外の景色を眺めていた。
「……いつまで拗ねているつもりだ」
「べ・つ・にぃ?拗ねてなんかないわよ」
「……………」

ため息がでる。さっきからこの調子だ。これだったらさっきのままの方がましだっただろうか――

ゲンヤのアドバイス通り、ティアナの機嫌をとったつもりだったが、その当人が気を失っては目を覚まし、マスターコンボイの
顔を見るたび再びフリーズしていた。拉致のあかないと判断したマスターコンボイはティアナにかけた言葉の旨を説明すると、
うって変わり不機嫌となってしまった。

(結局はそういうことね…なによ、わかりきってることじゃない!コイツがそんなこと、誰かに言われない限り口走らないって
 ことぐらい)

こいつはそういう奴だ。そう解っているはずなのにあの体たらく。それほど大人となったマスターコンボイは と、ここで
ティアナは思考を切った。またあの事をぶり返してしまうからだ。それにしても、あそこまで動揺してしまうなんて…免疫が
あまりにも足りないのだろうか。


そうこうとティアナ考えているうちに市街に到着。車を適当なパーキングに停めると二人は街中へ繰り出した。




その日は休日だったのだろうか――人ごみの中を歩き続けるマスターコンボイの目には新鮮に見えた。

(いつものヒューマンフォームで紛れていたら、あたりを見渡すどころか、人波に飲まれ方向すら把握できないだろうな)

改めて子供の姿とは不便だと実感すると、背後から同行人の大声が耳に入る。

「ま、待ちなさいよ!!」
「……今度は何だ?」

振り返るマスターコンボイ。見るとティアナは息を切らし、膝に手を置いて呼吸を整えていた。

「もうへばったか。今朝はそれほど辛いトレーニングではなかっただろう?」
「そうじゃなくて!!もうちょっと今の自分の体格を自覚しろって言ってんの!歩幅が全然違うじゃない!!」
「む…」

見当違いの言葉に怒鳴るティアナにマスターコンボイは詰まる。確かに子供の姿では逆に小走りで付いて行ったこともあった。

「なら…」
「え、な!!」
「これで離れることはないだろう?」

マスターコンボイはティアナの手を掴むと今度は歩幅を合わせて進んでいく。うろたえるティアナだったが、先ほどの件も
ある。冷静を装いつつも聞いてみた。

「……これもゲンヤさんのアドバイス通り?」
「もう二度とするなとデバイスを額に押し付けたのはどこのどいつだ?」
「う…じゃ、じゃあなんで」

歩みを止めないまま、やれやれと肩を落としてマスターコンボイは答えた

「以前、海鳴で俺が逃げ出した時にこうして捕獲しただろう」
「それは…!まぁ、そうだったわね…」

何かを言いかけたが、ティアナは口を紡ぐ。今日はどうしたのだろう。マスターコンボイのペースにずっと巻き込まれている
ような気がする。こちらばかりが意識しているのもなにか悔しい。しかし、ティアナはマスターコンボイと手を繋いだまま
大人しく歩くことにした。


しばらく歩いた二人はオープンテラスで昼食を取った。マスターコンボイはパスタ、ティアナはサンドウィッチをそれぞれ口
に運んでいる。

「…それ、タバスコかけすぎじゃない?」
「どうも子供の時と味覚が違うようでな。これくらいでなければ物足りん。食べてみるか?」

と、フォークの先に絡めたパスタをティアナに付きだした。

「あんた……ひょっとしてさっきからわざとやってない?」
「?スバル・ナカジマとはよくこうした場面を目にしていたが、問題があるのか?」
「もういいわよ…ハぁ……」

本日、何度目になるか分からないため息をつくと、ティアナは手にとったサンドウィッチをかじる。


「それにしても…」
「なに?」

食後のコーヒーを口にしながらマスターコンボイは周囲を見渡す。目に入るのは行きかう人々。それは家族や恋人、友人同士
なのか…人々は笑い合いながら自分の目の前を通過していく。その様子を見てティアナは尋ねる。

「なに…戦いというものを知らずに生きるというのは、どういうものだと思ってな」

全く、自分らしくない。今でた言葉が本当に自分のものかと苦笑しながら再びコーヒーを口にする。戦いでしか己を現すこと
ができなかったかつてのマスターメガトロンじぶん。そして、戦うことで守ろうとする今のマスターコンボイじぶん
戦いは常に自分に付いてまわるものだ。戦士には必然なものだとわかっていながらもふと思う時がある。もし、自分が戦いを
知らない、そんなトランスフォーマーとして生まれていたのなら――と。本当に、自分らしくない。

「あんたも、そういう事考えることあるんだ」
「だからと言って、これまでの自分を否定するつもりなど欠片もないがな。後悔もない。それに…」

空のカップを置くと、一度ティアナに目を合わせ、空を眺めるように上を向いた。

「そうでなければ、知ることもなかっただろう」

戦うことしか知らなかった。しかし、その戦いで得たものは確かにあったのだ。それを守るためにも、これからも自分は戦い
続けるだろう。仲間たちとともに。

「へぇ…」
「…なんだ?」

機嫌が直ったのか?と続けるマスターコンボイにティアナは微笑みながら返した。

「うん。ちょっと意外だったから。マスターコンボイ、ちゃんと過去の自分と向きあってるんだなって」
「今更だな。そうでなければ守る者コンボイなんて名乗れん。まぁ、自分の仕出かしたことを何を言われても反論できん
 からな。恨みごとなど、数えきれん」

ティアナは思った。マスターコンボイの強さは誰かを守るため というだけではない。過去の自分が起こした事全てを受け入れ
られる強さを持っている。他人に、かつての自分がマスターコンボイに抱いた感情も、どのように言われようが屈しない
自分を貫き通す強さを。例え世界を敵に回しても変わらない決意を。


「でも」

と、ティアナは告げる。

「そんなアンタにも、この世界は少しは優しくできているのかも知れないわよ?」
「…それこそありえんことだな」
「そうかしら?」
「なにか、含みのある言い方だな」
「さぁて、ね?」

そう言って立ち上がるティアナは、今度は自分からマスターコンボイの手を取った。

「お、おい!」
「ほらほら、時間は有限!その姿で今日1日を堪能するんでしょ!」




その後、ゲームセンター(シューティングアクションでの対決 ティアナの圧勝)、
動物園(ふれあいコーナーで自然と懐いてくる小動物にマスターコンボイが困惑、その姿をティアナが撮影)、
ボーリング(マスターコンボイが加減ができず、ボールをレーンごと破壊する事件勃発)、
と時間はたち、空は星が見えかけていた。



「それで?第7倉庫には何があるんだ?」
「行けばわかるわよ」

宿舎までティアナを送るつもりだったが、その前にあの空の倉庫へ寄るとの話にマスターコンボイは彼女に言われるまま、
倉庫の前に立っていた。

「さ、入りましょ!」
「……」

倉庫に足を踏み入れる。その先は真っ暗だ。照明のスイッチはと辺りを見渡そうとした瞬間、扉が閉められる。

「おい、どうゆう――」

マスターコンボイが言いかけた時、ガチリという硬い音が響き、同時に周囲に光がさす。

「!?」

急についた照明に思わず目を瞑る。そして目を開けたマスターコンボイの目に入ったものは―――










「おりぃあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」





  

自分に向けて全力で斬りかかってくるブレードの姿だった。

「!? オメガ!」

デバイスを緊急機動、ブレードの斬撃を受け止め、鍔づり合いとなる。

「ほぅ!いい反応するじゃねぇか!」
「昔から不意打ちには慣れているのでな…この程度、まだまだかわいいものだ!!」
「ハッ!!言ってくれるじゃねぇか!!」

高潮した笑みで剣を握るブレードにマスターコンボイは不敵に笑いを見せて答える。

しかし、その二人のやり取りに照明のスイッチを入れたティアナ、そして明るくなった瞬間に鳴らそうとクラッカーを構えて
いた六課一同はドン引きだった。


「せっかく同じ体格がたいになったんだ…トコトン楽しもうぜぇ!!!」

「なにを・・・」
「してやがんだ!!」
「貴様はあぁぁぁぁ!!!!」

ブレードの背中にシャマルが次々と注射(秘薬いり)を打ち込み、ヴィータが真横からグラーフアイゼンを叩きこみ、止めと
言わんばかりに真上からシグナムの紫電一閃が打ち込まれた。

「…痛ぇじゃねぇか」

持ち前の超回復でケロリとクレーターから立ち上がる。

「どういうつもりですか!?いきなり斬りかかるなんて!」
「だってよぉ」

糾弾するシャマルに頭をガシガシと掻きながら、ブレードは答えた。

「サプライズ…つまり相手を驚かせることなんだろ?」
「相手を驚かせるのと暗殺するのはベクトルが違いすぎますぅ!!」
「なぁに言ってんだ。柾木のヤローにはこんなこと四六時中仕掛けてやってんぜ」
「そこはいい笑顔で答えてくれる所じゃありません!!」

二人のやり取りに一番混乱していたのはマスターコンボイだ。オメガを構えたまま、全員からさらに罵倒されるブレードを
眺めていたのだが…

「…マスターコンボイ」
「ん…?ヴィヴィオか」

足元でズボンを引っ張るヴィヴィオにマスターコンボイが気付くとオメガを元に戻し、視線を合わせるために腰を下ろす。

「どうした?」
「ハイ!」

そうしてヴィヴィオは笑顔でマスターコンボイにリボンで包装され、丸めてある一枚の画用紙を差し出す。ゆっくりと
受け取ったマスターコンボイは丁寧にリボンを解き、画用紙を広げる。

「!」

マスターコンボイは目を見開く。そこには、ヴィヴィオの描いた絵があった。絵にはあの子供の自分、ヴィヴィオ、そして
なのはが手を繋いでいる絵。

そしてこう記してあった。




ますたーこんぼい おたんじょうび おめでとう





マスターコンボイは立ち上がるとゆっくりと周囲を見渡した。

壁や天井には同じく自分の誕生日と書かれたパネルや飾り付け。人間にも、トランスフォーマーのサイズにも用意された
多量の食事や固形のエネルゴン。誰を祝おうとするのか。いくら自分でもわかる。

「なん…だこれは……俺に、誕生日など」

まだ動揺が抜けていないのか。口からは途切れ途切れにしか言葉が出ない。

「知ってますよ。だから、私たちで勝手に決めちゃいました」

いつの間にヴィヴィオの隣でしゃがみ、頭を撫でるなのはにマスターコンボイは振り向く。

「いっつも好き勝手やっちゃうマスターコンボイさんには拒否権はありませんよぉ?」

悪戯っぽく笑い、チロっと舌を出すなのはにスバルが続く。

「そうですよマスターコンボイさんの為に、みぃんなで頑張って準備したんだから!!」
「誰かのおかげでムードがブチ壊しになってしまったがな…」

元気よく両手を広げて報告するスバルに続き、後ろでいまだ説教されている騒ぎの犯人を眺めるイクト。

「他の星の大帝さんからも、たっくさんメッセージが届いてますよ!」
「みんな、兄さんにおめでとうって!」

シャリオは端末を操作、ウインドウのメールボックスには各惑星の大帝、そしてセイバートロン星のスタースクリームの名前が
あった。やや興奮ぎみのキャロもフリードを腕に抱いてその祝電を伝えてくる。

「いつもありがとなマスターコンボイ。本当に、あんたのおかげで色々と助かってんやで?」

その日頃のお礼やと三角帽子、鼻眼鏡をかけて真面目な顔をするはやて。それに頷く守護騎士、そしてパートナーのトランス
フォーマーたち。フェイトがエリオとキャロの肩に手を置き、マスターコンボイを見据えて言う。

「みんな、マスターコンボイに誕生日――自分が自分として始まった日を、マスターコンボイ自身に持って欲しかったんだよ」
「自分が…自分として…」

マスターコンボイにハイと答えたなのはがヴィヴィオを抱き、答える。

「自分を自分として認められる、自分にとって特別な日。それをマスターコンボイさんとお祝いしたいんです。受け取って…
 貰えますか?」

マスターコンボイはハッと後ろを振り返る。成り行きを見守っていたティアナのウインクにマスターコンボイはあの時の
言葉を思い出す。





―――そんなアンタにも、この世界は少しは優しくできているのかも知れないわよ?―――



ならば、この姿も、休暇の押し付けも、この為の布石  随分の手の込んだ事をする――






「全く―――」







それは






「貴様らは―――」







その場にいる全員が、10年前から知るなのは達も初めて見る






「底なしの、大馬鹿だな…」







どこか不器用な、優しい微笑み。






「マスターコンボイが……笑った?」
「あ」


迂闊、と言わんばかりにアスカの言葉に我に返ったマスターコンボイはハッと緩めた顔を戻すが時、既に遅し。ワァっという
騒ぎとなっていた。

「お、俺も初めてみた!?うん十年仕えて初めて…」
「ちょっと撮影係!今のちゃんと収めたの!?」
「ちょいまち…って駄目だ!さっきのブレードの旦那の件で一時停止したまんまだった!」

興奮するブリッツクラッカー。霞澄はカメラを構えていたヴァイスに確認するも、やっちまったと額を押さえていた。

「ま、マスターコンボイさん!もう一度、もう一度笑って下さい!!」
≪そうです!あの、あの素敵な笑顔をワンモワプリーズです!!≫
「っ・・・!!」

詰め寄るスバルとリインフォースのリクエストに、マスターコンボイは赤面する。

「ああっ!!今度は赤くなりやがった!」
「マスターコンボイ、かわいいー!」

ヴィータが指差すとアリシアが両手で頬を押さえながらはにかむ。

「……くっ!!」

耐えきれなくなったマスターコンボイは扉を叩き壊し、全力疾走。その場を後にした。

「ちょ、ちょっとやりすぎちゃった…かな?」
「わ、私追いかけます!!」

困ったように笑うなのはにそう言って駆け出そうとするスバルを、ティアナが手で制した。

「てぃ、ティア?」
「スバル、悪いけど」

キョトンとしたスバルに、ティアナは可愛らしく笑うと



「今日は、今日だけはアイツのパートナーは私だから!」

言って、マスターコンボイの後を追った。その姿を茫然と見守るスバルの背後で円陣を組んでヒソヒソと話すはやて、アスカ、
アリシア。

(なんや、思ったより進展しとるで!?)
(むむ、遠出からの撮影だったから音声は拾えなかったんだよね・・・)
(まぁまぁ、戻ってきたら上映しながら明確かつリアリティあふれる報告をして貰おうではないですか!)


ムフフという声が溢れる井戸端会議は、別の場所にも送信されていた……






「……なるほど、そういうことね」
急にアリシアからのオンライン通信があったと思ったらと、イレインは通信機をオフにする。

「楽しんでいるようじゃない。マスターコンボイも、かなりな照れ屋なんてね」
「なぁーーにやってんだかアイツらも」
「パパ?」

イレインの感想に見向きもせず、作業に没頭するジュンイチにホクトが尋ねる。

「怒ってるの?」
「べっつにーー?連中、随分と余裕かましてるだなと思っただけですよー?」

明らかに機嫌が悪いジュンイチ。なにかに感付いたイレインは目を細めた。

「ジュンイチ……あんた」






「参加したかったのね?」





ピタリと動きを止めたジュンイチ。次第にプルプルと震えだし勢いよく振り返った。

「ああそうだよ!?出たかったよ見たかったよ!!通信通りに照れたマスターコンボイもからかってやりたかったし、みんなに
 手料理振舞ってやりたかったよ!こちとら日蔭者になって何年たったと思ってんだよパアッて騒ぎたいんだよ
 コンチキショーーーー!!!」

明後日の方向を見て絶叫するジュンイチにため息をついたイレインは飛びあがり、

「さっさと仕事に戻りなさぁい!!!」

ジュンイチの後頭部へ的確な飛び蹴りをブチかました。






「全く、あいつらときたら…」

マスターコンボイは宿舎中庭のベンチに腰を下ろすと、額を押さえた。反対の手には、ヴィヴィオに手渡された絵が握られて
いる。絵を広げ、あらためて眺めてると口を開く

「で、貴様はなんの用だ?」
「面白い脳波を受信してな」

マスターコンボイは振り向くことなく、背後に立つブレインジャッカーに尋ねた。

「どちらかと言えば特殊だ。みんながみんな、貴様のことで頭がいっぱいの・・・」
「それ以上言うな!!」

言われるままその口をピタリと止めるブレインジャッカーは肩で息をするマスターコンボイを見下ろす。

「…良いことなのではないのか?多くの者に祝福される。それは心理で言う¨喜び¨に部類されるものらしいが」
「教科書通りのコメントありがとう。だがな、こちらは突然のことで混乱するばかりなんだよ」
「…なるほどな。これが¨照れ¨というものか」
「本気で黙れ貴様・・・!」

冷静に分析を続けるブレインジャッカーに殺意を向けるマスターコンボイ。すると

「マスターコンボーイ!」

駆け寄ってくるティアナの姿を視認する。

「…どうやらここまでのようだな」
「待て。本気で何をしに来た貴様」
「多くの者に思われる…その脳波の対象者がどのような反応を示すかを確かめにな。そして予想以上の収穫だった」

そう告げてブレインジャッカーは闇に溶け込んでいった。

「どうしたの?」
「…仕留めそこなった」
「?」

ギリギリを拳を握りしめるマスターコンボイにティアナは首を傾げるばかりだった。

「で、戻らないの?」
「…戻れると思うか?」
「アハハ!もし私も同じ立場だったら無理」

と、マスターコンボイの隣に座るティアナは噴き出す。誰でもあのように派手なお迎えを受ければ恥ずかしい。
でも、と俯くマスターコンボイの顔を覗きこむ。

「やっぱり戻るべきだと思うわよ?それは『おめでとう』って言われたマスターコンボイの責任なんだから」
「…責任?」

顔を上げるマスターコンボイはティアナゆっくりと話す。

「そう。『おめでとう』って言われたからには『ありがとう』って返さなきゃ。それは責任だし、義務よ?」

マスターコンボイはあの会場を思い出す。いつ自分の誕生日を今日と決めたのかは分からないが、会場の準備や用意された
数々の食事。手軽に用意できることではないだろう。それもこれも自分の為、というのだから感謝はあっても、文句など
言いようがない。ただ、感謝の言葉が、どうしてもあの時、でなかったのだ。

「なんなら、一緒に言って上げてもいいわよ?」
「やかましい」
「なら、自分で口にしなきゃね?¨機動六課のコンボイ¨さん?」
「…チッ」

そっぽを向いて舌うちするマスターコンボイに思わずティアナは微笑んだ。慣れていないんだろう。他の誰かに自分が祝福
されるという事に。だから、知って欲しい。これからも誰かにありがとうと言ってもらえる喜びを・・・・
と、突然二人の間にウインドウが開かれる。

『マスターコンボイさまぁ!!!いずこえぇぇぇぇ!!!!!』
『ってブリッツクラッカー!飲み過ぎ!飲み過ぎだって!!!なのは、切って切って!』
『えっと、マスターコンボイさん!先始めちゃってますかなね!?』

酒瓶片手に叫ぶブリッツクラッカーを羽交い締めて止めるジャック・プライムは通信を切るようなのはに促した。確かに倉庫の
方からはみんなの声が響いてくる。主賓抜きでパーティは開始されてしまったようだ。

「……全く、誰が主役だと思っている奴等は!!」

立ち上がり、ヴィヴィオの絵を懐にしまうと、座っているティアナを見た。

「とっとと行くぞ!言いたい事が山ほどできたからな…」
「そうね。行きましょう!」

二コリと笑って立ち上がったティアナはマスターコンボイに続いた。



そして夜空を見上げる。もうすぐ今日が終わる。明日からはまた戦いの日が続くのだろう。


だから、せめて今日が終わるまでは、彼にしばしの祝福を。



















あとがき


さて、やってしまいました色々と。未熟のゆえ、引き出しが狭く、同じような表現を繰り返しているのかもしれませんね。


お話としてはMS本編の63話と64話の間にこんな話があったらいいなぁという妄想です。そしてマスターコンボイとティアナ
という組み合わせが大好きなため、色々と遊ばせて頂きました。本編ではあまり書かれていないですけど、ティアナも
スバルに負けないくらいマスターコンボイが大好きなんじゃないかなぁ なんて勝手に脳内変換して今回は彼女には
マスターコンボイとイチャイチャしてもらってます。

ほんとはナンバーズも出してみたかったんですが、展開上非常に難しく、話を破綻されかねませんでした。それをこなしている
モリビトさん、すげぇっす・・・


と、ここまで簡単ですが、挨拶(だったか?)とさせて頂きます。



モリビト様、今後の新シリーズも一読者として楽しみにさせてもらいます。それでは!



YOYOでした


管理人感想

 YOYOさんからいただきました!

 ………………とりあえず言いたい。

 何ですか、このバカップルわ(爆)。

 ティアナとマスターコンボイの二人に萌えて萌えてしょうがないんですが。
 YOYOさん、私に萌え死にしろと?(苦笑)

 『MS』正史に組み込みたくなるようないい話。
 マスターコンボイにとっては誕生日を決めてもらえたこと自体が何よりも素晴らしい誕生日プレゼントだったのではないでしょうか。
 ……よし、続編ではこのネタでマスターコンボイをからかうことにしよう(やめい)。