『マリンアーチェリー、グランド、フィニッシュ!』
二人が叫ぶと同時、鈴香がトリガーを引き、
ズバシュゥッ!
放たれた矢が、狙いたがわず瘴魔獣を貫く!
そして、その傷を中心に瘴魔獣の身体に“封魔の印”が現れ――
ドガオォォォォォンッ!
瘴魔獣は大爆発を起こし、消滅した。
そして、ジュンイチと鈴香が勝ち鬨の声を上げる。
『爆裂、究極! ゴォッドォッ! ブレイ――!』
しかし、次の瞬間、
ドガァッ!
「ぅわぁっ!」
突然何かの体当たりを受け、ジュンイチが跳ね飛ばされる!
「ジュンイチさん!」
「何!? 今の!」
ジーナとファイが声を上げ――大地に倒れたジュンイチの前に、そいつは降り立った。
白銀のボディにコウモリのそれを思わせる翼。ゴッドドラゴンと同じガッシリした体格で、各部には青色のクリスタルが埋め込まれている。
「グワオォォォォォッ!」
天を仰ぎ、ジュンイチを跳ね飛ばしたそのドラゴン型のロボットは力強く咆哮する。
そしてその肩には――シャドープリンスとメギドの姿があった。
Legend08
「合体」
「お、お前は!?」
「貴様らには初めて名乗ることになるな。
オレの名はシャドープリンス。瘴魔のブレイカーだ」
鈴香との爆裂武装を解除して声を上げるジュンイチに、シャドープリンスは腕組みしたまま答える。
「瘴魔の、ブレイカー……!?」
「敵にもブレイカーがいたの!?
じゃあ、アレはブレイカービースト!?」
ジーナとファイがつぶやくと、シャドープリンスは気にせず続ける。
「今日お前達の前に現れたのは他でもない。
今まで、オレが用意した瘴魔獣をことごとく倒してきたその実力……改めて見極めさせてもらう!」
シャドープリンスのその言葉と同時、
ズゴゴゴゴ……ッ!
突然大地が鳴動し、
ビュオォォォォォッ!
上空には竜巻が発生し、
ゴォォォォォッ!
戦場から臨むことのできる瀬戸内海では渦潮が生まれる!
「な、何だ!?」
ジュンイチが驚いて声を上げた、次の瞬間――地中から長い尾を持つ地底生物種の瘴魔獣が、竜巻の中から隼種の瘴魔獣が、そして渦の中からカメ種の瘴魔獣が次々に出現する!
「なんだと!?」
「瘴魔獣が……3体!?」
ジュンイチとジーナが驚くと、
「いや……4体だ!」
シャドープリンスが叫ぶと同時、彼のブレイカービーストによって増幅された彼の“力”を受け、さっき倒した瘴魔獣までもが復活する!
「『炎』のラヴァモス、“大地”のヘルマーズ、『空』のバーディウス、『海』のビルボネック……
お前達の属性に合わせて生み出してやった瘴魔獣だ。思う存分戦うがいい!」
シャドープリンスが言うと同時、4体の瘴魔獣が一斉にジュンイチ達へと突っ込む!
「くそっ、やるしかねぇか!
みんな! 爆裂武装で1体ずつ確実に叩くぞ!」
「は、はい!」
ジュンイチの言葉にジーナが答え、彼女のランドライガーが駆け寄り――
「そうはさせん!」
ズドゴォッ!
シャドープリンスの言葉に、ブレイカービーストが上空ビームを撃ち、そのジーナの足を止める。
「合体されては困るんだ。
オレが見たいのは、お前達個々の力なんだからな」
「くそっ……だったらまず、オレだけでも1体ツブしてやらぁっ!」
シャドープリンスの言葉に、ジュンイチがゴッドセイバーを抜き放って斬りかかるが、
――ガギィッ!
炎の瘴魔獣――ラヴァモスの爪がその一撃を受け止める!
「なに!?」
「そうそう。言い忘れていた」
驚愕するジュンイチに、上空でシャドープリンスが言う。
「ラヴァモスはすでにお前達に2度も敗れている。
恨みの念で、ずいぶん強化されているはずだぞ」
「くそっ……!」
「スラッシャー、クロー!」
ジーナが叫ぶと同時、ランドライガーの右足の爪に大地の精霊力が収束し、そのまま大地の瘴魔獣に向けて突っ込むが、
ドガァッ!
「きゃあっ!」
その攻撃が届くよりも早く、逆に長い尻尾の一撃で弾き飛ばされる。
一方、ファイも空の瘴魔獣バーディウスを相手に苦戦していた。
「えぇいっ! スカイサイクロン!」
ファイの言葉に、スカイホークが翼から竜巻を放ってバーディウスの動きを止めようとするが、
「ピュアァァァァァッ!」
大きく鳴くと同時、バーディウスは自らの周囲に乱気流を生み出し、ファイの竜巻を吹き飛ばす!
さらには、
「水鷲圧砕、マリンプレッシャー!」
鈴香も海の瘴魔獣ビルボネックの硬い甲羅に阻まれて必殺技が通じない。
「さ、3体も巨大瘴魔獣を相手にすることになるなんて……」
「あたし達だけじゃ、どうしようもないよ!」
鈴香とファイが言うと、それぞれの相手の瘴魔獣が彼女達に襲いかかる!
「クラッシャー、ナックル!」
叫んで、ジュンイチがクラッシャーナックルを放つが、
「グオォォォォォッ!」
ドゴォッ!
ラヴァモスは咆哮するなり火炎弾を発射。その一撃を迎撃する。
「くそっ、だったら……!」
言って、ジュンイチはラヴァモスに向けて地を蹴り――
――ドゴォッ!
その瞬間バーニアを点火、急激な加速でラヴァモスのとなりにすべり込む!
ジーナとの爆裂武装で見せた加速技「ライガー・シューティング」の応用である。むろん、本家ライガー・シューティングよりも加速では劣っているが。
ともかく、一瞬自分を見失ったラヴァモスに対し、ジュンイチはゴッドセイバーを握り直し、
ズガァッ!
すくい上げるように振り上げた一撃は、すんでのところでジュンイチの姿をとらえたラヴァモスの爪によって止められていた。
が――
「……へっ」
ジュンイチは突如笑みを浮かべ、
――スチャッ。
鍔鳴りの音と共に刀の向きを変えて、自らと瘴魔獣に刃の腹が向くようにした、次の瞬間――
――ドガァッ!
轟音と共にラヴァモスの爪が砕け散り、勢いよく“蹴り上げられた”ゴッドセイバーの刃が、ラヴァモスのアゴを豪快に打ち上げていた。
腕の力ではラヴァモスの防御を崩せない。そこでジュンイチは蹴りも併用できる状況に持ち込むことでラヴァモスの防御を真っ向から粉砕したのだ。
「そんなことしなくても裏をかいて防御をすり抜ければいいだろ」と思えないこともないが、まだ戦いは続くのだ。今のうちに相手の防御手段を奪っておくのもひとつの選択だ。
「悪いが、相手はお前だけじゃないんでな!
一気に……決めさせてもらうぜ!」
言って、ジュンイチがゴッドセイバーを爆天剣に変化させ――
ゴォッ!
「ぅわぁっ!」
ラヴァモスの両肩から放たれた火炎がジュンイチを包み込む!
「お兄ちゃん!」
炎に包まれたジュンイチを見て、あずさが声を上げると、
「あずさ!」
「あ、青木さん!」
駆け寄ってきた青木の声に、あずさが気づいて振り向く。
「よかった、無事だったか」
「うん。けど、みんなが……!」
つぶやき、あずさは炎上するゴッドブレイカーへと視線を戻す。
そんな彼女に、青木は言った。
「心配するな。
全員救うってのは、さすがにムリだけど……1体だけ、友好打を思いついたヤツがいる」
「くっ、くそぉ……!」
機体各所から煙を上げ、ジュンイチが片ヒザをつく。
さすがは『炎』のブレイカーロボ。至近距離から受けた強力な火炎にも装甲はしっかり耐えている。
しかし、装甲の隙間から通じた機体内部はそうはいかなかった。機体内部を灼熱の炎で焼かれ、その身に確実なダメージを刻まれていた。
火炎弾ではなくただの火炎放射で攻めたのもおそらくそれが狙いだろう。ゴッドドラゴンがとっさにゴッドプロテクトを展開してくれなければ、その身にユナイトしているジュンイチは自らの体内を焼かれる感覚で、肉体的にはともかく精神的にタダではすまなかっただろう。
「ナメたマネ、しやがって……!」
つぶやき、ジュンイチはチラリと背後に視線を移す。
向こうでは、ジーナ達が3体の瘴魔獣を相手に苦戦している。早く片付けて助けに行きたいのだが――
「そうは問屋が卸しちゃくれない、か……」
うめき、ジュンイチは手放してしまったため爆天剣から戻ってしまったゴッドセイバーを手に取る。
「この状況、なんとかしないと……!
けど……どうすれば……!」
ドガァッ!
ヘルマーズの体当たりを、バックステップと同時に受けることでなんとか防御し、ジーナのランドライガーは大地に着地する。
「くっ……! なんとか、大技を繰り出すスキがつかめれば……!」
ランドライガーのコックピットで、ジーナがうめきながら素早くランドライガーを走らせ、続けて繰り出されたヘルマーズの尾を回避する。
そんなランドライガーを追って、ヘルマーズが駆け出そうとした、次の瞬間――
ドォンッ!
音を立て、ヘルマーズの体表で爆発が起きた。
青木が、車から持ち出してきたロケットランチャーで攻撃をしかけたのだ。
「あ、青木さん!?」
ジーナが驚きの声を上げるが、ヘルマーズは青木へと向き直り――
――パァンッ!
強烈な破裂音と閃光が、両者の間で巻き起こった。
青木が取り出したスタングレネードを投げつけたのだ。
普通に考えれば、こんなものが通じるワケがない。が――
「グワオォォォォォッ!?」
突然、ヘルマーズは頭を抱えて転げ回った。
「え………………?」
思わず呆然とするジーナに、青木は言った。
「アイツはさ……ミミズなんだよ」
そう。青木の見抜いた通り、ヘルマーズはミミズの瘴魔獣だったのだ。
そしてミミズは地中で生活するため目を持たず、極めて高度に発達した耳で捕らえる音によって自分や獲物の位置を把握する。
その特性はミミズを媒介とした瘴魔獣であるヘルマーズにも受け継がれており、優れた聴覚を持っていた。それがスタングレネードの破裂音をまともに喰らったことでマヒし、それと共に三半規管が混乱状態に陥ったのである。
「今だ、ジーナ!」
「は、はい!」
声を上げる青木の言葉に、我に返ったジーナはランドライガーを走らせ、
「獅子皇――雷牙!
ヴォルテック、ファング!」
ズガァッ!
繰り出された必殺の牙が、ヘルマーズの肩を大きく抉る!
身をひるがえしランドライガーが着地し――そのコックピットでジーナが叫ぶ。
「あきらめない……!
私達は……こんなところで止まれない!」
そのジーナの言葉に、ファイと鈴香は笑顔を取り戻し、同時にうなずいて見せた。
「ジーナ……」
ジーナの決意に満ちた宣言に元気づけられたのは、ファイ達だけではなかった。
「そうだよな……オレ達にはまだやらなきゃいけないことがある!」
言って、ジュンイチはラヴァモスを前に立ち上がり、真っ向から指を突きつけて告げる。
「悪いがあんたの見せ場はこれでお終いだ。
これからは……オレが主役だぜ!」
その宣言に対して、ラヴァモスはすぐに反応した。地を蹴って間合いを詰めると拳を繰り出し――
バギィッ!
逆に、ジュンイチの拳がラヴァモスの顔面に撃ち込まれていた。
ラヴァモスの爪は、ゴッドブレイカーの肩を掠めただけで、紙一重でかわされている。
殴られた勢いのままに背後へと倒れるラヴァモスを見下ろし、ジュンイチは告げた。
「言ったはずだ。
ここからは……オレが主役だってな」
「やったぁ!」
「ジュンイチ、反撃開始だ!」
苦戦から一転、ラヴァモスにカウンターを叩き込んだジュンイチを見上げ、ライムとブイリュウが歓声を上げる。
「よぅし、そのままやっちゃえぇっ!」
そんなプラネル達と共に応援するあずさだったが、
「――――――!?」
突然、以前も感じた妙な感覚に襲われた。
何の前触れもなく、脳裏に言葉が羅列されていく。
そして――あずさは唱えた。
「『3つの心……重なりし時……数多の顔を持つ戦士……目覚めの時……』!」
――ヴォンッ!
小さなつぶやきだった。だが――あずさの口にした言葉はブレイカービーストに届いた。その言葉を受け、新たな力の目覚めた者達がいた。
そう。『達』――複数である。
ランドライガー、スカイホーク、マリンガルーダ――3体のブレイカービーストの中で、新たなシステムが起動したのだ。
「な、何!?」
「どうしちゃったの!?」
突然のことに驚く鈴香とファイだったが――
《グルゥ……》
「え………………?」
ランドライガーから、ジーナはその事実を告げられた。
そして、その事実は彼女の中の疑問を氷解させるのに十分なものだった。
「そうですか……私達の機体がロボット形態を持たないのは、そういうことだったんですね」
そうつぶやくと操縦桿を握り直し――ジーナは鈴香とファイに告げた。
「鈴香さん、ファイちゃん!
合体しますよ!」
「エヴォリューション、ブレイク!」
ジーナが叫び、ランドライガーが大ジャンプ、背中のバーニアで加速し、その勢いで上空高く跳び上がり、スカイホークとマリンガルーダがその後を追う。
「ランド、ブレイカー!」
ジーナの叫びを受け、ランドライガーの四肢が折りたたまれ、獅子の頭部が胸部に倒れ、人型ロボットのボディへと変形する。
続けて、スカイホーク、マリンガルーダも変形を開始。翼が基部から分離し、頭部が胸部へと移動するとボディが腹側、背中側の二つに分離、腹側がスライド式に伸びると下部から拳が飛び出して両腕に、背中側も上部から大腿部が飛び出して両足に変形する。
そして、ランドライガーの変形したボディに変形の完了した四肢が合体、さらにマリンガルーダ、スカイホークの翼が二つに折りたたまれて両腕に合体、シールドとなる。
最後に、ボディの内部から頭部が飛び出し、人のそれをかたどった口がフェイスカバーで包まれる。
「ランド、ユナイト!」
ジーナが叫び、その身体が粒子へと変わり、機体と融合、機体そのものとなる。
システムが起動し、カメラアイと額のクリスタル――Bブレインが輝く。
すべての合身プロセスを完了し、ジーナが名乗りを上げる。
「地神合身! ランド、ブレイカー!」
「何だと!?」
突如上空に飛び立ったかと思うと合体を遂げたランドブレイカーを見て、上空のブレイカービーストの上でシャドープリンスが驚きの声を上げる。
驚いたのは瘴魔獣達も同様らしく、一様にランドブレイカーを前に警戒を強めている。
「これが私の……ううん、私達のブレイカーロボ!」
一方、ユナイトしているジーナは自らの――ランドブレイカーの拳を握り締めてその感触を確かめ、改めてヘルマーズへと向き直る。
「では――いきます!」
ジーナがそう告げると同時――
――ドガァッ!
地を蹴り、瞬時に間合いを詰めたジーナの繰り出した蹴りが、ヘルマーズの腹部に突き刺さる!
続けて、右半身を大きく引き――渾身の力を込めて打ち上げた拳が、その顔面を殴り飛ばす。
「ジーナさん、まだ2体残ってます!
時間をかけずに一気に決めましょう!」
「はい!」
鈴香に答え、ジーナは仕上げとばかりにヘルマーズの顔面を回し蹴りで蹴飛ばし、大きく間合いを取った。
「ランドカリバー!」
ジーナの叫びに応え、頭上にかかげた右手にランドブレイカーによって増幅されたジーナの精霊力が収束。分解・再構成されて一振りの大型カタールに――ランドカリバーへと変化する。
そして、その刀身にさらに精霊力が注ぎ込まれ、まばゆい輝きを放ったランドカリバーをかまえ、ジーナとヘルマーズに向けて地を蹴り――
――ドンッ!
さらに、ライガーシューティングの要領で急加速し、一気にその間合いを詰める。
あわててヘルマーズはかわそうとするが――遅い!
「大地――轟斬!
グランドブレイク!」
ズガァッ!
ジーナの振り下ろしたランドカリバーが、ヘルマーズの身体を袈裟斬りに切り裂く!
そして、ランドブレイカーが離脱するとヘルマーズの身体に刻まれた切り口に“封魔の印”が現れ――
ドガオォォォォォンッ!
大爆発を起こし、ヘルマーズは消滅した。
「へぇ、アイツらもやるじゃねぇか!」
ラヴァモスとガッチリと組み合いながら、ジュンイチはすっかり余裕を取り戻して言う。
「なら――こっちもとっとと決めるか!」
言うと同時、押し返そうとしていた力を唐突に引き寄せる力に切り替え、力が空回りして前のめりになったラヴァモスの顔面をアッパーカットの要領で思い切り殴り上げる。
のけぞるラヴァモスに追撃を仕掛けるべく、ジュンイチが間合いを詰め直し――
――ドゴォッ!
ラヴァモスの両肩から放たれた火炎が、ジュンイチを包み込む!
「次!」
ヘルマーズを撃破し、ジーナはこちらに襲いかかろうと降下してきていたバーディウスへとカウンターを狙うが、バーディウスは間一髪でこちらの斬撃を回避し、上空に退避する。
「くっ、空の相手ではこの形態じゃどうしようもないですね……飛べませんし」
つぶやき――ジーナはすぐに決断した。
「ファイさん、頼みます!」
「はーい!」
ジーナの言葉にファイが答え、ランドブレイカーが分離する!
「エヴォリューション、ブレイク!」
ファイが叫び、スカイホークが上空高く舞い上がり、ランドライガーとマリンガルーダがその後を追う。
「スカイ、ブレイカー!」
ファイの叫びを受け、スカイホークの両足が折りたたまれ、鷹の頭部が胸部に倒れる。
続けて、マリンガルーダも変形を開始。翼が基部から分離し、頭部が胸部へと移動するとボディが腹側、背中側の二つに分離、腹側がスライド式に伸びると下部から拳が飛び出して左腕に、背中側も上部から大腿部が飛び出して左足に変形する。
ランドライガーは四肢が折りたたまれるとボディの左右両側が分離、残った中央部はマリンガルーダと同様のプロセスで変形し、右腕と右足へと変形する。
そして、変形したスカイホークの左右に分離していたランドライガーの左右両側のパーツが合体して人型ロボットのボディとなり、そこへ変形の完了した四肢が合体、さらにマリンガルーダの翼が二つに折りたたまれて左腕に合体、シールドとなる。
最後に、ボディの内部から頭部が飛び出し、人のそれをかたどった口がフェイスカバーで包まれる。
「スカイ、ユナイト!」
ファイが叫び、その身体が粒子へと変わり、機体と融合、機体そのものとなる。
システムが起動し、カメラアイと額のクリスタル――Bブレインが輝く。
すべての合身プロセスを完了し、ファイが名乗りを上げる。
「空神合身! スカイ、ブレイカー!」
「いっくぞぉっ!」
合身を完了し、ファイは背中の翼を広げて飛び立ち、バーディウスの後を追う。
対して、バーディウスはスカイブレイカーの背後を取ろうと旋回するが、スカイブレイカーは思いの外素早く、なかなかその背後を取らせてもらえない。
「へへ、今のあたしに、空中戦で勝てっこないんだから!」
自信タップリに言うと、ファイはバック宙返りの要領で身を翻し、ついにバーディウスの背後へと回り込み、
「スカイボンバー!」
翼から放たれたエネルギー弾の雨が、バーディウスへと降り注ぎ、その内の1発が生体バーニアを直撃。バーディウスはきりもみ回転しながら墜落していく。
「ファイちゃん、とどめです!」
「OK!」
ジーナに答え、ファイは機体を落下するバーディウスの前にすべり込ませ、
「それじゃ……いっきまぁーす!」
「スカイ、ハルバード!」
ファイが叫ぶと、かまえたスカイブレイカーの右手の中に風が収束、そこに精霊力が注ぎ込まれ、戦斧型のツール“スカイハルバード”へと再構築される。
「サイクロン、ホールド!」
叫んで、ファイがスカイハルバードをバーディウスに向けて振るうと、そこから放たれた竜巻がバーディウスを包み込み、その動きを完全に封じ込める。
「いっけぇっ!」
動けなくなったバーディウスに向けて、ファイが全速力で突っ込み――かまえたスカイハルバードの刃に精霊力が収束、輝きを放つ!
そして、ファイの動きにあわせてスカイブレイカーがスカイハルバードを振りかぶり、
「疾風、怒涛――!
ブラストサイクロン!」
そこから、サイクロンホールドのものとは比べ物にならないパワーの、そしてサイクロンホールド内を駆け抜けられるほどに引き絞られた竜巻が放たれ、バーディウスを直撃する!
圧倒的な圧力と精霊力を伴った竜巻をその身に受け、必死に耐えるバーディウスだったが――それもムダな抵抗だった。強烈な竜巻によって生み出された無数の真空波が、バーディウスを細切れに斬り刻む!
そして、その切り口のひとつひとつに“封魔の印”が現れ――大爆発を起こし、バーディウスは消滅した。
対峙する相手を炎に包み込み、勝利を確信するラヴァモスだったが――
――ブワッ!
右手に展開した力場で炎を操り、ジュンイチが炎の中からその姿を現す!
先ほどの不意打ちとは違い、今回の火炎放射は予測の内だった。とっさにラヴァモスの放った炎に干渉し、操ることで難を逃れたのだ。
「残念だったな!
来るとわかってりゃ……こんな炎どうってことないぜ!」
言って、ジュンイチはラヴァモスの炎のすべてを右手に集め、
「操られるのがイヤだったら――力場で操って撃つべきだったな!
そら……返してやるぜ!」
ドゴォッ!
ゴッドブレイカーの拳大に凝縮された火炎弾を、ラヴァモスの腹部に叩き込む!
ゴッドブレイカーと同じく『炎』の属性を持つラヴァモスも、炎では効率よくダメージを与えられない。だが――ブレイカーロボの全身を包み込むほどの火炎を拳大にまで凝縮して叩きつけられたのだ。いくら炎に耐性があろうとこれではただではすまない。
案の定、腹部の生体装甲を粉砕され、ラヴァモスは大きくのけぞり――
「クラッシャー、ナックル!」
腹部に出来上がった穴めがけて、ジュンイチが放ったクラッシャーナックルが打ち込まれる!
「グオォォォォォッ!」
仲間の瘴魔獣を次々に倒され、ビルボネックが水竜巻で上空のスカイブレイカーを狙う。
「このぉっ! スカイボンバー!」
叫んで、ファイがスカイボンバーで爆撃を仕掛けるが、硬い甲羅で守られたビルボネックにはダメージはない。
「やはり、スカイブレイカーでは相性が悪いみたいですね……」
「どうする? もう1回ランドブレイカーに戻る?」
つぶやくジーナにファイが尋ねると、
「二人とも、そんな冷たいこと言わないでくださいよ」
そんな二人に、ため息混じりに鈴香が告げた。
「お二人だけが合身して、私だけのけ者、なんて冷たくないですか?」
「うーん、そうだね。
いいよね? ジーナお姉ちゃん」
「そうですね。
それじゃあ、鈴香さん、頼みます!」
「はい!」
ジーナの言葉に鈴香が答え、
「んじゃ、いっくよぉ!」
ファイの操作で、スカイブレイカーが分離した。
「エヴォリューション、ブレイク!」
鈴香が叫び、マリンガルーダが上空高く舞い上がり、ランドライガーとスカイホークがその後を追う。
「マリン、ブレイカー!」
鈴香の叫びを受け、マリンガルーダの両足が折りたたまれ、鷹の頭部が胸部に倒れる。
続けて、スカイホークも変形を開始。翼が基部から分離し、頭部が胸部へと移動するとボディが腹側、背中側の二つに分離、腹側がスライド式に伸びると下部から拳が飛び出して左腕に、背中側も上部から大腿部が飛び出して左足に変形する。
ランドライガーは四肢が折りたたまれるとボディの左右両側が分離、残った中央部はスカイホークと同様のプロセスで変形し、右腕と右足へと変形する。
そして、変形したマリンガルーダの左右に分離していたランドライガーの左右両側のパーツが合体して人型ロボットのボディとなり、そこへ変形の完了した四肢が合体、さらにスカイホークの翼が二つに折りたたまれて左腕に合体、シールドとなる。
最後に、ボディの内部から頭部が飛び出し、人のそれをかたどった口がフェイスカバーで包まれる。
「マリン、ユナイト!」
鈴香が叫び、その身体が粒子へと変わり、機体と融合、機体そのものとなる。
システムが起動し、カメラアイと額のクリスタル――Bブレインが輝く。
すべての合身プロセスを完了し、鈴香が名乗りを上げる。
「水神合身! マリン、ブレイカー!」
「グオォォォォォッ!」
合身を遂げたマリンブレイカーに、ビルボネックが水竜巻を放つが、
「私に、水竜巻は効きませんよ!」
水竜巻は逆に鈴香によって操られ、ビルボネックに叩きつけられる。
さらに、鈴香は左手のスカイホークの翼を広げ、その翼の両端が精霊力の光で作られた弦で結ばれ、弓に変化する。
そして、鈴香は大地に着地するとビルボネックへと狙いを定め、
「スカイ、アロー!」
その弓から放たれた精霊力の矢が、ビルボネックの肩――甲羅の隙間に正確に突き刺さる!
「グオァオォッ!?」
ダメージを受けることなどないとでも思っていたのか、ビルボネックはまともに狼狽して後ずさり――
「水よ!」
鈴香が地中の水脈に“力”を注ぎ、地上に水を噴出。地中を支えていた水を失った大地は陥没し、ビルボネックがその中に落下する。
「とどめです!」
「マリントライデント!」
鈴香が叫び、かまえたマリンブレイカーの右手に精霊力で操られた瀬戸内海の海水が飛来し収束、再構成され三又の矛――マリントライデントが作り出される。
そして、鈴香はその矛先に残った海水をまとわせ、
「マリン、ホールド!」
叫ぶと同時にトライデントを振るい、放たれた海水が精霊力を帯びてビルボネックを拘束、その動きを封じ込める。
相手の動きを封じたのを確認すると鈴香は背中のバーニアを吹かし、一直線にビルボネックへと突っ込み、
「荒海――調伏!
スプラッシュ、ポセイドン!」
ズガァッ!
精霊力の光をまとったマリントライデントが、ビルボネックを切り裂く!
そして、マリンブレイカーが離脱するとビルボネックの身体を断ち切ったその切り口に“封魔の印”が現れ――
ドガオォォォォォンッ!
大爆発を起こし、ビルボネックは消滅した。
「爆天剣!」
ジュンイチの叫びに呼応し、ゴッドセイバーは光の粒子となって霧散・再び収束して爆天剣へとその姿を変える。
「ブラスト、ホールド!」
ジュンイチの言葉に、胸の龍が炎を吐き出し、その炎が爆天剣に宿り、余ったエネルギーがラヴァモスを押さえつける。
――ドゥッ!
「いっけぇっ!」
背中のバーニアをふかし、ジュンイチが一直線にラヴァモスへと突っ込み、
「紅蓮――両断!
カラミティ、プロミネンス!」
ズガァッ!
ジュンイチが、ラヴァモスの身体を一刀両断する!
左右に断ち切られ、ラヴァモスの身体が外側へとバランスを崩すと、その切り口に“封魔の印”が現れ――
ドガオォォォォォンッ!
ラヴァモスの身体はジュンイチを巻き込んで大爆発を起こし、消滅した。
そして、ジュンイチは爆炎の中でゆっくりと立ち上がり、勝ち鬨の声を上げる。
「爆裂、究極! ゴォッドォッ! ブレイカァァァァァッ!」
「なるほど、あの3機にロボット形態がなかったのはそういうことか……」
ブレイカービーストの肩で闘いを見つめ、シャドープリンスは満足げにうなずいてつぶやく。
「どうするの?」
「とりあえず、今回は退くさ。
もう少し、データを集める必要がありそうだ」
メギドに答え、シャドープリンスはブレイカービーストを上昇させ、つぶやいた。
「そう……まだデータは必要だからな」
「これで4人、か……」
「そうだね」
戦いも終わり、つぶやくジュンイチの言葉にあずさが同意する。
「あとは最後のひとりか。
どこにいるんだ?」
「沖縄。最後のブレイカービーストは首里城に寝てるの。
あ、ちなみにスカイホークは五稜郭、マリンガルーダは今日行った厳島神社に眠ってたんだよ。
まぁ、沖縄へは九州を通って南端から船を使えば安くすむんじゃない?」
続けて尋ねたジュンイチの問いにブイリュウが答え――
「それはいいんだが……」
そんな彼らに、青木が声をかけた。
「どうした? 青木ちゃん」
「いやな……」
尋ねるジュンイチに、青木は半ば呆れ顔でため息をつき、
「お前ら、戦いの後はいつも食ってばっかだな」
ジュンイチ達の持つ広島風お好み焼き(テイクアウト630円税込)を指さして言う。
「いいじゃねぇか。食う子は育つんだ」
「これ以上育つ気かお前は」
真顔で答えるジュンイチに青木は絶妙なタイミングでツッコミを入れる。と――
「そういえば、きちんとしたあいさつはまだですね」
言って、鈴香がジュンイチ達に向き直ると正確な姿勢で一礼した。
「初めまして。
私が、水の精霊の力を受け継ぐブレイカー、水隠鈴香といいます。
以後、よろしくお願いしますね」
「あぁ、こっちこそ――」
言って、微笑んでみせる鈴香にジュンイチが答え――
――ガッ。
そんなジュンイチを押しのけ、青木が鈴香の手を取った。
「あ、あの……?」
戸惑い、尋ねる鈴香に、青木はキッパリと告げた。
「結婚を前提としてお付き合いしてください」
次の瞬間、ジュンイチとあずさのW雷光弾が青木をブッ飛ばしていた。
「いきなり何てコト言い出しやがるかこの男はっ!」
「い、いや、いわゆる一目惚れっつーヤツで……」
黒コゲになって胸倉をつかまれた状態で、青木はなんとかジュンイチに答えるが、
「そうだよそうだよ!
指輪もなしに求婚なんて本気!? ホントマナーがなってないんだから!」
「お前もツッコミどころが違うっ!」
自分と共に青木を責めるかと思いきやズレまくった発言をかますあずさに、ジュンイチはツッコミとばかりに彼女の尻をヤクザキックで蹴飛ばす。当然青木は放り出されて地面に激突だ。
「あー、えーっと……」
いきなり話の渦中に放り込まれ、且つ瞬く間に放り出された自らの現状に戸惑い、鈴香がリアクションに困っていると、
――ポンッ。
そんな彼女の肩を、ジーナはあきらめ顔で叩いた。
「あの人達はいつもあーですから、本気で付き合うと疲れるだけですよ」
「は、はぁ……」
ともあれ――青木啓二25歳、春到来の瞬間はだいたいこんな感じだった。
「沖縄か……4年ぶりだな」
「来たことがあるの?」
「まぁな」
「あのねぇ、あんたホントにやる気あるの?
人の上に立つリーダーが、そんないい加減でいいと思ってるワケ?」
「くそっ、二人してシャドープリンスにしてやられたよ」
「お前は人を……殺したことがあるか?」
「お前らがしなくちゃいけない覚悟は『戦う覚悟』じゃない。『守る覚悟』さ」
Legend09「覚悟」
そして、伝説は紡がれる――
(初版:2004/01/30)
(第2版:2005/05/08)