「……ぅ、う〜〜ん……」
「ん…………?
 気がついたか、オルコット」
 二人仲良く目を回している真耶とセシリア――先に気がついたのはセシリアだった。
「わたくし、一体……?
 確か、飛んできた山田先生を鷲悟さんが受け止めて……」
「思い出すのは後にした方がいいぞ。
 ちょうど、始まるところだ」
「『始まる』……?」
 千冬の言葉に、セシリアは首をかしげながらも彼女の視線を追って上空を見上げて――
「し、鷲悟さん!? 鈴さん!?」
 着装した鷲悟とISを展開した鈴が、上空で対峙していた。



「本気でいくわよ、鷲悟!」
「はぁ……」
「って、まだテンション上がってないワケ!?
 そこは『おぅっ、鈴!』って応じるところでしょ!?」
「いや、応じたいのはやまやまなんだけど……正直、あんまり気が乗らないんだよね」
 鈴に答えて、鷲悟はもう一度ため息をつく。
「だって、お前強いし、オレとの相性だってそっち有利だし。
 手の内だってこの間の戦いで知られてるだろうし……」
 言って、鷲悟は地上の見学者一同――その中のひとりに正確に視線を向ける。
「ボーデヴィッヒさんの前で、あんまり本気出したくないんだよね。絶対それを元に対策立てられるだろうし」
 そう。ラウラだ――対面早々ガチの対立姿勢を形成した彼女とはいずれぶつかることになるだろう。そういった事態に備え、鷲悟としてはあまり手の内をさらしたくないのだ。
「あぁ、アイツが一夏を殴ろうとしたっていう……
 でもさ、今までのアンタの対戦記録、絶対アイツもチェックしてるわよ。あたしだってアンタのこと知ってから調べたもの」
「データで見てるのと実際に目で見るのとじゃまた違うさ。リアリティとか」
「……あー……」
 なんとなく納得した……というか、せざるを得なかった。
 鈴が思い出したのは先日のクラス対抗戦における乱入者との戦闘――レベル4の遮断シールドを“一門だけで”難なく撃ち抜き、二門そろえばISだろうが跡形もなく消し飛ばす、あのカラミティバスターを前にした戦慄は、確かに 実際に目の当たりにした者にしかわかるまい。
「……ま、そんなのどうでもいいわ。
 だって、あたしの知ったことじゃないもの」
「………………言うと思ったよ」
 平然と言い切り、双天牙月をかまえる鈴に対し、鷲悟も苦笑まじりに両手のグラヴィティランチャーを腰だめにかまえる。
「しょうがない。
 こーゆーのは、むしろうちの弟の得意分野なんだけどね……」
 そう言って息をつき、鷲悟は思考を戦闘モードに切り替える。
「全力で戦えないその分は……」







「頭を使って、補おうかね」

 

 


 

第8話

鷲悟VS鈴!
昼メシ戦線異常アリ!?

 


 

 

「いくわよ!」
 先に仕掛けたのは鈴だった。双天牙月で勢いよく斬りかかるが、鷲悟もそれをかわし、距離を取りながら威力を落として連射速度を上げたグラヴィティランチャーの連射でけん制する。
「近づかせないつもり!?
 けど、こっちにだって飛び道具はあるのよ!」
(衝撃砲――来るっ!)
 鈴のIS“甲龍シェンロン”の非固定浮遊部位アンロック・ユニットが展開。彼女の狙いに気づき、後退しようとする鷲悟だったが、それよりも早く放たれた不可視の砲弾が直撃、吹っ飛ばされる。
 さらに、追撃の砲弾が次々に襲いかかってくる。体勢を立て直してかいくぐり、鷲悟は冷静に衝撃砲を分析する。
(今の攻撃……衝撃砲の展開から発射までに“間”があった。発射……じゃないな。“砲身”の生成に少々の“タメ”が必要なのか。
 しかも、“砲身”の生成は展開していないとできない……まぁ、ここは仕組みを考えれば当然か。
 とはいえ、その後の連射が速い。マシンガン、とまではいかないけど、少なくともオレから反撃のスキを奪うには十分すぎる。
 かといって、こっちの近接戦装備といったら重天戟くらい……突っ込んでも双天牙月のラッシュに圧倒されるがオチか。切り込んでいくのは却下だ、却下)
「あーっ、くそっ、考えれば考えるほど攻めどころ見つからないしっ!
 豪語するだけあって強いわ、お前!」
「おほめの言葉の礼は、お昼ご飯でねっ!」
 つまりほめられたからと言って手加減してくれるつもりはないらしい。もちろん鷲悟もそんなことは期待していないが――



「………………けどね」



「――――――っ!?」
 手加減などしてもらわなくても、ここから反撃開始だ――鷲悟の言葉に鈴が警戒を強め、
「ちょいと……装備に頼りすぎだっ!」
 言って、鷲悟は両肩のグラヴィティキャノンを“地面に向けて”撃った。爆発が巻き起こり、爆煙と共に舞い上がった粉塵が地上付近にいた鷲悟の姿を覆い隠す。
「それで隠れたつもり!?
 見えなくたって、ハイパーセンサーが……そこぉっ!」
 しかし、鈴は動じることなくハイパーセンサーで追尾、動体反応のあったところに衝撃砲を撃ち込む。空気の砲弾が煙を吹き飛ばし、その奥の鷲悟を正確に狙い――
「ん」
「え――――――?」
 自分の顔面に迫ったその一撃を、鷲悟は首を軽くかたむけただけでかわしてみせた。
「う、運がいいじゃない!
 けど――次はっ!」
 一瞬驚きはしたものの、すぐに鈴は次の一撃を放つ――が、
「運だけだとお思いかい?」
 鷲悟はその一発も、軽く身体をひねるだけでかわしてしまう。
「ど、どうなってんのよ!?
 “龍咆”の砲弾は目には見えないはず――ハイパーセンサーだって、砲弾そのものは捉えられないのに!」
「確かに、衝撃砲の砲弾は空気でできてるからな。普通に追ったんじゃ、正確に攻撃を把握することは難しい。
 …………けど」
 鈴に答え、鷲悟はニヤリと笑みを浮かべ、
「“目に見えない”ってことはわかってるんだ。
 だったら……“目に見えるようにすればいい”」
「見えるように……?」
 思わず鈴は眉をひそめ――気づいた。
「そうか……しまった!
 さっきの一撃は、これが狙いで!?」



「そうか……あの土煙か!」
「そうだ」
 粉塵に隠れた鷲悟の様子は、意識を取り戻した真耶がラファール・リヴァイヴのハイパーセンサーで捉え、ウィンドウに投影している――やり取りの意味に気づき、声を上げる一夏に千冬がうなずく。
「柾木が地面を撃って粉塵を舞い上げたのは、姿を隠して狙いをつけさせなくするためではない。
 粉塵をまき散らして進む、衝撃砲の砲弾の軌道と着弾のタイミングを見極めるためだ」
 その千冬の説明を聞きながら、ラウラはじっとウィンドウに映る鷲悟の姿を見つめていた。
 まるで、獲物を狙う肉食獣のような、強く、鋭い眼差しで――



「バカにしないでよ!
 “龍咆”が使えなくたって!」
 自分の切り札が思いもよらない形でつぶされ、それでも鈴はすぐに動いた。双天牙月を柄のところで連結、振り回しながら鷲悟の隠れた煙の中へと突っ込んでいく。
 ハイパーセンサーが捕捉した通り、確かに鷲悟はそこにいた。
 ただし――
「いらっしゃいませ〜♪」
「――――――へ?」
 カラミティキャノンを除く、全火器フルチャージ状態で。
「そんな!? ロックオンアラートは――」
「ロックせずに目視で狙ってんのに出るワケないだろ」
「エネルギーチャージの警告だって……」
「ここがどこだと思ってる? 砲撃着弾直後の爆心地だぜ。
 エネルギーの残滓は残りまくり――ハイパーセンサーといえど、感度の低下は避けられないよ」
 驚く鈴に答え、鷲悟はニッコリとさわやかな笑顔を見せ、
「そんなワケで、本日のお任せメニューは砲撃フルコースメニューでございまーす♪」
 あぁ、このセリフにつなげたかったから出迎えた時のセリフが「いらっしゃいませ」だったのか。
 そんなことを思いながら――
「に゛ゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
 一斉砲撃の轟音にも負けない鈴の悲鳴が響き渡った。



「衝撃砲を防がれたから接近戦……短絡的にもほどがある。柾木に先読みされても当然だ。
 ヤツの言う通り、装備に頼りすぎだ――だからエネルギー残滓のことを忘れてセンサーの感度調整を怠り、簡単にカウンターを狙われる。もっと精進しろ、馬鹿者が」
「………………はい」
 今の対戦における自分のミスを容赦なく指摘され、鈴ががっくりとうなだれる――そんな鈴を尻目に、千冬は鷲悟へと向き直り、
「さて……柾木。
 参考までに聞くが、あの時凰が突っ込んでこなかったら……たとえば、双天牙月の投擲とうてき攻撃に出ていたらどうしていた?」
「んー、その流れなら……」
 答えかけて――鷲悟はふと動きを止めた。千冬のところまで歩いていくと、彼女に耳打ちするように答えを告げる。
「……ってなトコです」
「なるほどな。
 だが、わざわざここまで来て耳打ちしたのは……」
「えぇ。まぁ……“そういうこと”です」
 明確な言葉にしなくてもそれだけで通じた――鷲悟の答えにため息をつき、千冬が視線を向けたのはラウラだった。
「ボーデヴィッヒ。お前ならどうしていた?
 柾木と同じ装備、同じ状況で、私が仮定した流れになっていたら」
「はい。
 火器のいくつかで飛来する攻撃を撃墜。武器を奪ったところで残りの火器で敵の撃墜を狙います」
「………………だそうですよ」
「ふむ……」
 鷲悟の言葉に、千冬はもう一度ため息をついた。
「まさか……“本当に柾木とまったく同じ答えを返すとはな”」
「な…………っ!?
 教官、それは本当ですか!?」
「本当だ。
 コイツは、今のお前とまったく同じ答えを、お前よりも先に答えた――それと、織斑先生と呼べ」
 千冬が最後に一言付け加える中、ラウラは鷲悟をにらみつけた。
 おそらく、これは自分に対するけん制だ――“お前の考えてることなんてお見通し”という意味の。
 千冬も、鷲悟がわざわざ耳打ちしてきた真意がそこにあることを察したから自分に話を振ってきたのだろう。それもまた、彼女が自分よりも鷲悟の味方をしているようでなお腹立たしい。
 だが、千冬はそんなラウラからあっさりと視線を外し、
「では、これからいよいよ実習に移る。
 専用機持ちは織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。では8人グループになって実習を行なう。
 各グループリーダーは専用機持ちがやること。柾木は自由に回って各リーダーの補佐につけ。
 では、分かれろ」
 千冬のその言葉と同時、一夏とシャルルのもとに二クラス分の女子が殺到した。
「織斑くん、一緒にがんばろう!」
「わかんないところ教えて〜」
「デュノアくんの操縦技術を見たいなぁ」
「ね、ね、私もいいよね? 同じグループに入れて!」
「…………大盛況だな、一夏もシャルルも」
「見てないで助けてくれるとうれしいんだがな、鷲悟さんや」
「残念。オレにコイツらを仕切る権限はないよ」
「班長の補佐だろ、お前」
「ならまずは班長らしい仕事をしやがれコノヤロウ」
「二人とも、のんびり話してないでなんとかして〜っ!」
 鷲悟と一夏が現実逃避してしまったので、負担は残るひとりに一点集中――悲鳴を上げるシャルルだが、鷲悟は一言。
「必要ない」
「ボク見捨てられた!?」
「いやいや、そうじゃなくて――あっち」
 言って、鷲悟の指さした方を見て、シャルルも「あぁ」と納得し、
「この馬鹿者どもが……」
 その一言で、押しかけてきていた女子達の動きが止まる――鷲悟が十字を切って「南無」と手を合わせるのを見て「宗教混ざってるぞ」とか「勝手に殺してやるなよ」とかツッコみたくなった一夏だったがやめておく。だって自分も同じ思いだから。
「出席番号順にひとりずつ各グループに入れ! 順番はさっき言った通りだ。
 次にもたつくようなら、今日はISを背負ってグラウンド100周させるからな!」
 まさに“鶴の一声”ならぬ“鬼の一声”。現れた千冬の言葉に、それまで騒いでいた女子は蜘蛛の子を散らすように移動開始。2分も経たずに班分けは完了した。
「えぇと、いいですか、みなさーん。これから訓練機を一班一体ずつ取りに来てください。
 数は“打鉄”が3機、“リヴァイヴ”が2機です。好きな方を班で決めてくださいね。あ、早い者勝ちですよー」
 真耶が一同に声をかけ、訓練機が各班に行き渡る――ちなみに一夏の班は打鉄である。
「それじゃあ、出席番号順にISの装着から起動、その後歩行までやろうか。
 一番目は……」
「はいはいはーいっ!」
 一夏に答え、女子の輪の中から飛び出してきたのは――
「あぁ、相川さん」
「うん! 出席番号1番、相川清香!
 ハンドボール部、趣味はスポーツ観戦とジョギングだよ!」
「お、おぅ……っていうか、なんで今自己紹介……?」
「よろしくお願いします!」
 腰を折って深く礼をすると、そのまま右手を差し出してくる。こうなると黙っていないが他の女子達で――
「あぁっ! ズルイ!」
「私も!」
『第一印象から決めてました!』
「あー……」
 結果、みんなで一列に並び、一様におじぎして右手を差し出してくる。完全に置いてきぼりの一夏は話について来れずに首をかしげるしかない。
「あ、あのな? どういう状況下よくわからないんだが……」
『よろしくお願いします!』
 今度は後ろから同じような声が――見ると、シャルルのグループでも今の一夏のグループと同じような感じになっている。
 つまり、一列に並んだ女子に、一斉に右手を差し出され、おじぎされている。
「え、えっと……?」
 シャルルも、目の前の状況に困惑気味だ。一夏もコレには対処に困り――
 スパパーンッ!
『いったぁっ!』
 シャルルのグループに降臨したのは救いの神か破滅の使者か。少なくとも、一列に並んで頭を下げたその状態は千冬にとって実に叩きやすかったであろうことは想像に難くない。
 見れば、今の千冬の一撃を見て飛び火を恐れたのか、一夏のグループの女子達もすでに列を解き、清香も打鉄のステータスチェックを始めている。
 そんなワケで、一夏のグループもなんとか実習スタート。清香は装着、起動、歩行と順調にこなしていくが――二人目の装着者の時にちょっとした問題が発生した。
「……どうしたの? 岸里さん」
「いや、あのさ、コックピットに届かないんだけど……」
「あ! あ〜……」
 目の前には、直立したままの姿勢で次の搭乗者を待つ打鉄――しかし、この位置ではコックピットは高い位置にあり、簡単には乗り込めない。
 本来は、清香が装着解除する際にしゃがませておかなければならなかったのだが――
「んー? どしたのー?」
「あぁ、鷲悟」
 そんな一夏達の様子に気づいたのは、補佐として各班を回っていた鷲悟だった。一夏達の前で立ち尽くす打鉄を見て、
「あー、しゃがませるの忘れたのか」
「よくわかったな」
「鈴の班でもやらかしてた」
「……あー……
 で? 向こうはどうしたんだ?」
「オレがフォローしたよ。
 こうやって……ね」
 言って、鷲悟は岸里を軽く指さして――
「…………よし。
 岸里さん、打鉄のコックピットに向けて跳んでみて」
「え………………?」
「いいからいいから」
 鷲悟に言われ、試しに飛んでみる――と、彼女の身体はいともたやすく跳び上がり、難なく打鉄のコックピットに飛びつくことができた。
「岸里さんにかかる重力を弱めたんだよ。
 平常時との対比でだいたい0.5G……今の岸里さんの体重は、通常の半分くらいになってるはずだよ」
『は、半分!?』
 その言葉には岸里のみならず他の女子も驚いた。打鉄の起動を終えたばかりの岸里も含め、一夏のグループの女子、ほぼ全員が鷲悟に詰め寄り、
『次の身体測定の際はぜひご協力を!』
「体重ごまかせって言うんでしょ? 鈴のトコでも言われたよ……」
 いつの世も、どこの世界でも体重は女子にとって重要な問題であることは変わらないらしい――「そういえば“こっち”で最初にコレ頼んできたのってセシリアだったよなー」と鷲悟が思い出していると、
「…………一夏」
 またも実習が中断されて困り果てている一夏に、ちゃっかり同じ班に収まっていた箒が声をかけてきた。
「ん? 何だ?」
「そ、その、だな……今日の昼は、予定があったりするのか?」
 平静を装ってはいるが、その声はいつもよりわずかに高く、どこかしら不安を含んでいるような――そんな声で、箒は一夏に尋ねる。
「いや、特にないぞ」
「そ、そうか!」
 一夏の答えに、箒の顔が一瞬だけ華やぐ――しかし、すぐに咳払いでごまかして本題に入る。
「で、では、たまには屋上で昼食をとるとしよう。うむ。それがいい」
「ん? あぁ。いいぜ」
「そ、そうか!
 よし、では約束したからな」
 あっさりと了承を取りつけることに成功し、箒は上機嫌でうんうんとうなずき――話し相手の一夏が鷲悟に呼ばれて姿を消したのにも気づかず、そのまましばらくの間ひとりでうんうんとうなずき続けるのであった。



「あー、終わったー……」
「つか、ISの運搬カートがあんなに重いとは……動力つけようよ。主に使うのは女の子なんだからさ」
 なんとか無事に午前の実習も終わり、訓練機を格納庫に片づけてきた一夏と鷲悟が息をついてつぶやく。
 そう。訓練用のISを運ぶのに使ったカートには動力がついていなかった。強いて言うなら“動力=人”である。
 見かねた鷲悟が反重力で浮かせてくれなければ、もっと片づけはもたついていたに違いない。
「おーい、シャルル、着替えに行こうぜ」
 ふとシャルルの姿が視界に入ったので鷲悟が声をかける――が、当のシャルルはそんな鷲悟の誘いになぜか顔を赤くしてあわて始めた。
「え、えっと……ボクはちょっと機体の微調整をしてから行くから、先に行って着替えててよ。
 時間がかかるかもしれないから、待ってなくてもいいからね」
「ん? いや、別に待ってても平気だぞ?
 それに、織斑先生からもお前のこと頼まれてるし」
「い、いいからいいから! そんなに気を遣われるとボクの方が平気じゃないから!
 ね? 先に教室に戻っててね?」
「んー……まぁ、そこまで言うなら。
 じゃ、また後でな」
「あ、うん……
 とりあえず納得し、鷲悟は一夏と共に去っていく――それを見送り、シャルルはひとりため息をついた。
「…………何やってるんだろう、ボク……」
 罪悪感が胸を締めつける――しかし、そんなシャルルのつぶやきは誰にも聞かれることはなかった。



「………………どういうことだ」
「ん?」
 昼休み、屋上――箒の問いに、一夏は不思議そうに顔を上げた。
 まるでわかっていない様子の一夏にため息をつき、箒は周りを見回した。
 鷲悟。
 セシリア。
 鈴。
 シャルル。
 本音。
 清香。
 癒子。
 要するにいつものメンバー+シャルル+トリオ・ザ・のほほん(命名:一夏)である。
「なんでみんなまでいるんだ?」
「いや、みんなで食った方がうまいし楽しいだろ。
 それに、シャルルは転校してきたばかりで右も左もわからないだろうし」
「そ、それはそうなんだが……」
 言ってることがもっともな上に100%の善意からきているのでは文句も言えない。“一夏と二人きりで食事”という夢を他ならぬ一夏の手で打ち砕かれ、ため息をつく箒の手には包みにくるんだ手作りの弁当が握られていた。
 IS学園は全寮制のため、弁当持参にしたい生徒のため、食堂の業務に差し支えのない範囲で厨房が解放されている――そこで作ってきたのである。ちなみに一夏の分もある。
「あー、今朝厨房で篠ノ之さんを見かけたと思ったら、それ作ってたのか」
「あぁ……って、待て。なんで柾木が私を目撃している?」
「いやね、ぶっちゃけ学食だと量が足りないからさ。
 だから、自炊でなんとかすることはできないか、そのテストケースってことで……オレも弁当作ってた」
 言って、鷲悟が目の前に引っ張り出してきたのは、包みにくるまれた重箱。それも正月のおせち料理に使われるようなこぢんまりとした上品なものではなく、行楽や運動会などで家族で囲むような大型のものだ。
 しかも、包みに包まれているから正確なところはわからないが、ヒザ丈くらいの高さであることからけっこうな段数だ。置いた時のズシンッ!という効果音はとりあえず幻聴だと思いたい。
「またデカイ包みを持ってきたとは思ってたけど……本格的だな、おい」
「ってか、この量を朝一番で作ってきたことの方がすごいわよ」
 一夏に答える鈴の手にはタッパーが二つ。ひとつには一夏との“約束”を果たすべく作ってきた酢豚が入っている。
「ま、とにかく食べようぜ。
 早くしないと昼休みが終わっちまう」
「けど……鷲悟。昼休みの内に食べきれるの? これ」
「鷲悟さんなら余裕ですわね」
「ちょっとした一大スペクタクルよね、アレは。
 ま、さっさと慣れなさい。これから先も何度も見ていくことになる光景だから」
 鷲悟に答えるシャルルには当人よりも先にセシリアと鈴が答える。そして一同が手を合わせ、
「この世のすべての食材に感謝を込めて……
 いただきます」
『いただきます』
 鷲悟の音頭で全員が声をそろえる。前口上は某グルメバトル漫画からのネタだが、状況にこの上なく似合っているので誰もツッコまない。
「おぉっ! すげぇっ!」
 上がった声は一夏のもの――箒の弁当の出来映えに対する感嘆の声である。
 鮭の塩焼きに鶏肉のから揚げ、こんにゃくとゴボウの唐辛子炒め、ほうれん草の胡麻和えという、なんともバランスの取れたメニューがそこにあった。
「ほら、一夏、あたしのも」
「お、おぅ」
 一夏を感心させる箒の弁当に対抗心を覚えたか、鈴が自分のタッパーを押しつけるように差し出してくる――受け取り、フタを開けてみればこちらの酢豚も見事な出来映えである。
「すごいな。どっちも手が込んでるんじゃないのか?
 二人とも、ありがとな」
「ふ、ふん……」
「や、約束を果たしただけよ」
 礼を言う一夏に箒と鈴が顔を赤くして答えると、
「あ、あの……鷲悟さん」
 一方で、セシリアもまた鷲悟に声をかけていた。
「わたくしも、今朝はたまたまこういうものを用意してみましたの。
 よろしければおひとt
 そこから先はまさに“瞬時加速イグニッション・ブースト”もかくやという電光石火――素早くセシリアの手からバスケットを取り上げると、鷲悟はその中にきれいに収められていたサンドイッチをひとつ、作り主であるセシリアの口の中に放り込んでその手で口を閉じさせる。
「し、鷲悟!? いったい――」
 何を――と続けそうになったシャルルだが、サンドイッチを口に押し込まれたセシリアが動きを止めているのに気づいた。
 窒息するほどサンドイッチを押し込まれているふうでもないし、もしそうならもっと苦しがっているはずだ。いったいどうしたのだろうとシャルルが様子をうかがっていると、
「………………はぅ」
 ぱたっ。
「わぁ――――っ!? オルコットさーんっ!?」
 卒倒した。その場に倒れたセシリアの姿に、シャルルは思わず声を上げるが、
「あー、あわてなくていいわよ。
 いつものことだから」
「そうだな。
 倒れ方から考えて……あと10秒もすれば復活するだろう」
 シャルルに反して周りは落ち着いたものだ。鈴と箒が答え、きっかり10秒後。
「うぅっ、ひどい目にあいましたわ……」
「その『ひどい目』の元凶をオレに食わせようとしたんだぞ、お前」
 箒の予想通りセシリア復活。頭を振りながら身を起こす彼女には鷲悟が答える。
「え、えっと……原因って、このサンドイッチだよね……ひとついいかな?」
 しかし、彼女の倒れた理由がわからない。半分以上怖いもの見たさ(食いたさ?)で、シャルルはセシリアが作ったというBLTサンドを一口。
「――――――むぐっ!?」
 瞬間、シャルルの中を衝撃が突き抜ける――「ズギュウンッ!」とでも効果音がつきそうな感じに。
 意識が遠のきそうになるのをグッとこらえ、シャルルは衝撃の正体を確かめようと口の中のBLTサンドを慎重に味わう。
 なんとなくわかった――甘いのだ。それも、とてつもなく。
 間違いなくバニラエッセンスは入っているだろうが、他の甘味の正体を見極められない。ただ甘いとしか言いようがない――そのくらい、甘い。
「おかしいですわね……ちゃんと本の通りに作りましたのに」
「お前の場合は『本の通り』は『本の通り』でも、『本“に載ってる写真”の通り』だろうが。
 頼むから『本“に載ってるレシピ”の通り』に作ってくれ。そして自分でも味見をする習慣をつけてくれ。けっこうマヂめに」
 言って、鷲悟は改めてセシリアのバスケットを手にすると、中のサンドイッチを取り出して食べ始める。
「うぅっ、いつも思いますけど、そんな失敗作、食べてくださらなくてもいいのに……」
「言ったろ。『この世のすべての食材に感謝を込めて』って。
 たとえ調理にミスろうが食材に罪はないからな。出されたからには全部食う」
 申し訳なさそうなセシリアに答えて、鷲悟は時折詰まりながらもなんとかサンドイッチを完食してバスケットをセシリアに返し、
「で……ホレ」
 ついでにセシリアに包みにくるまれた弁当箱(標準サイズ)を手渡した。
「これは……?」
「お前の分の弁当。どーせオレが弁当だと知ったら食堂行かないだろうと思って作っといた」
 尋ねるセシリアに答えると、鷲悟は“そちら”に視線を向け、
「…………で、そこの三人は何ニヤニヤしてやがりますか」
「んー、別に?」
「そうそう」
「まさっち、優しいね〜、って♪」
 鷲悟のジト目も何のその。トリオ・ザ・のほほん(命名:一夏)の三人は生暖かい笑顔と共に口々に答える。
「あ、あの……開けてみてもいいですか?」
「つか、開けずにどうやって食うんだよ?
 まぁ……お気に召すかはわかんないけどさ。ちょっとネタに走ったから」
 鷲悟のツッコミ混じりの了承を取りつけ、セシリアは弁当の包みを開く。
 中身はオーソドックスな弁当だ。ふりかけのまぶされたご飯にシャケ、ウィンナー、タケノコの和え物……シャケは箒の弁当と被っているが、箒の方が塩焼きであるのに対してこちらはバター焼きだ。
「何よ、きれいなものじゃない。
 いったいどこがネタに走ってるっていうのよ?」
「いや、わからないならいいけどさ」
 尋ねる鈴に肩をすくめて答える鷲悟だったが――
「ひょっとして……シャウタ?」
 そう言い当てたのは意外なことにシャルルだった。
「えっと、“シャ”ケ、“ウ”ィンナー、“タ”ケノコで……違った?」
「いや、正解だよ。
 セシリアの弁当と思ったら、なぜかこの取り合わせにしろってオレの中の何かがささやいてさぁ……」
 確認するシャルルに答えると、鷲悟はようやく自分の弁当を広げ始めた。包みを開いて、姿を現した5段重ね(超深底)のお重を、気づき、みんなが空けてくれたスペースに並べていき――
『ぅわぁ……』
 一同の声がもれた――感嘆と圧倒、二重の意味で。
 メニューは炊き込みご飯にトンカツ、ポテトサラダ、肉じゃが、そして密封可能な一段に注がれた味噌汁――以上。
 そう。“これだけの容器に五品だけ”なのだ。一段につき一品、容器の容量ギリギリまで大量に詰め込まれているのだ。
 ただ、バリエーションが少ない分手は込んでいるようだ。トンカツの出来映えひとつ取って見ても、見た目“だけ”に力を入れたセシリアのサンドイッチよりも食欲をそそるものがある。
『…………ジュルリ』
「みんな、よだれよだれ」
 ハッ!? ゴシゴシ……
「…………そんなに食いたいなら、食ってみる?
 ただ、ちゃんとみんなのおかずと、同じ量だけの交換になるけど」
「セコイよ」
「この量、オレの食う分しか想定してないんだ。減らされてたまるか」
 清香のツッコミに鷲悟が答えるが、提案そのものに異を唱えるものはいなかった。それぞれがおかずを交換していく。
 売れ行きとしてはトンカツが一番人気、ポテトサラダと肉じゃががその後ろに並んでいる感じだ。炊き込みご飯の方も少なからず交換の手は伸びたが、当然ながら味噌汁は入れる容器がないので手を出す人間はいなかった。
 ともかく、一夏達は鷲悟の作ったおかずを食べてみて――
『美味し〜〜〜〜っ♪』
 一同の感想が唱和した。
「ちょっと待ってよ!
 これ、本当に今朝作った弁当なの!?」
「さすがに冷めていますけど、衣はまるで揚げたてのようなサクサク感が残っていて……」
「スパイスの味つけもちょうどいいよ。冷めて味が逃げる分までちゃんと計算に入れてる」
「ポテトサラダも肉じゃがも、味つけはもちろん食感もすごくいいし……」
「まさっち、料理も上手なんだね〜」
 上から癒子、セシリア、清香、シャルル、本音の感想である。
「しかもこれだけの味の、これだけの量を、朝の間に作ったというのか……?」
「まぁ、白状すると肉の仕込みのような時間のかかる工程は昨夜の内に済ませておいたんだけどね。残りの作業は全部今朝。
 でも、実際やってみるとそんなに苦じゃないよ? 厨房の設備はむしろたくさん作ることが前提だからね。一気にたくさん作れるから、少なくとも量的な意味での手間は気にならない」
 完璧に負けている――戦慄する箒に鷲悟が答えると、
「…………ズルイ」
「鈴……?」
「ズルイって言ったのよ!」
 鷲悟に答え、鈴はずいっ、と彼に詰め寄り、
「IS戦闘だけじゃなくて料理でまで上って何よっ!? どんだけ完璧超人っ!?
 何かひとつくらい弱点持ちなさいよっ! たとえば勉強とかっ!」
「あ、こないだの一般教科学年統一、全教科お前に勝ってるぞオレ」
「マヂでっ!?
 って、何であたしの点数知ってんのよ!?」
「いや、お前がこないだ一夏に答案見せびらかしに来た時オレもいたし」
「あー、自信マンマンで来たのに、その実オレに負け越してたあの時か」
 答える鷲悟には一夏からの援護攻撃――IS関係の授業ではいろいろと悲惨なことになっている一夏だが、反して一般教科では極めて優秀な点数を叩き出している。元々家計に負担にならないようにと少しでも学費の安い学校に進学できるよう高校受験の時にしっかり勉強していたのが活きているのだ。
「へぇ……鷲悟、勉強もできるんだ。
 だったら国語とか教えてもらってもいいかな? こっちへの転校の関係とかIS教育とかで一応日本語も勉強してきたけど、やっぱりまだ不安で……」
「おぅ、いいよー。一夏もよくIS関係の方で聞きに来るし。
 今日から同室だし、ちょうどいいから男三人で勉強会といこうか」
 シャルルの言葉に鷲悟がドンと胸を張り――動きが止まった。
「…………鷲悟?」
「いや……やっぱり、男同士っていいよな。
 女の子相手みたいに気を遣うこともないし」
「わかる……わかるぞ、鷲悟……っ!」
「そ、そう? まぁ、二人がいいなら良かったよ……」
 なぜかシャルルの返事がぎこちないが――ここでの暮らしをまだ知らないからだろう。数日もすれば“男子”という少数派の苦しみもわかってくれるだろうと鷲悟と一夏はあっさりと自己完結する――



「……男同士がいいって何よ……」
「……不健全ですわ……」
「……灯台下暗しに気づかぬ愚か者め……」



 鈴、セシリア、箒の三人から微妙な視線を向けられていることに気づかないまま。





「じゃあ、一ヶ月の間よろしくな」
「うん。よろしく、鷲悟」
 夜、夕食を終えると鷲悟は生活用品と割り当ての寝具を抱えてシャルルの部屋へ。軽くあいさつをすませて荷物を下ろす。
「荷物、それだけで良かったの?」
「一時的な移動だしね。
 必要なものがあれば、その都度本来の部屋に取りに行けばいいさ」
 シャルルに答えて、鷲悟は手際よくベッドを整えて横になる。
「はぁ〜〜、やっぱり男同士だと落ち着くよ。
 くつろげるし気兼ねしなくていいし! 男同士サイコー!」
「そ、そこまでうれしいんだ……」
「よし! 一緒に寝るか!」
「そこまでうれしいんだ!?」

 上がりに上がったテンションによって暴走する鷲悟にシャルルが驚く――この後我に返った鷲悟があわてて訂正する一幕もあったりするがそれはさておき。
「…………ん?」
 とりあえず残りの荷物の整理を始めた鷲悟を手伝っていたシャルルだったが、ふとその荷物の中に気になるものを見つけた。
「鷲悟、これ……?」
「あー、アニメの映像ディスク。
 買ったばっかりでまだ見てなかったからさ……持ってきた」
 シャルルが手に取ったのは、すごいロボットが大戦争なゲームがTVアニメ化されたもの。リリース開始直後、買いたてホヤホヤの新品である。
「何? 興味あるの?」
「んー。少し。
 今まで、そういうのに縁がなかったから」
「なら、これだけ片づけたら一緒に見てみようか」
「うん」





 思えば、ここでの選択が運命の分かれ道だっのかもしれない。



 そう。鷲悟はこの時気づくべきだったのだ。



 シャルルはフランスの代表候補生。つまり――





 超・親ジャパニメーションの国の人であることを。










「お引っ越しです」
『………………はい?』
 それは、あらゆる意味で突然な真耶の一言から始まった。
 まぁ、夕食も終わって部屋でのんびりしていたらいきなりコレだ。戸惑うのもムリのない話だが。
 引越し? 誰が? どこに? いつ? いろいろと確認しなければならないと、一夏は真耶に声をかけた。
「あの……先生。主語が抜けてます」
「あ、あぁ、そうですね。
 篠ノ之さん、お引っ越しです」
「わ、私ですか!?」
「はい。
 ようやく、他の相部屋にひとつ空きができましたから、篠ノ之さんが移動、ということで……」
「し、しかし……」
 「もう少し早く調整がつけば、デュノアくんをここに入れられたんですけど……」と付け加える真耶をよそに、箒は思わず一夏に視線を向けた。
 普段の凛とした佇まいから誤解されがちだが、箒だって一夏に想いを寄せる、立派な“恋する乙女”なのだ。そんな彼女にとって、一夏と同室であるこの状況は恥ずかしさこそ残るものの願ったり叶ったりなのだ。
 当然、引っ越せと言われても未練は残る――そんな箒の不安そうな視線に気づき、一夏は彼女を安心させようと口を開く。
「大丈夫だ、箒」
「一夏……」
「箒がいなくても、朝はちゃんと起きられるし歯も磨くぞ?」
「先生! 今すぐ部屋を移動しましょうっ!」
「は、はいっ!?」
 結局、一夏の天然スルーと箒の意地の相乗効果によって、こういう結果に落ち着くのであった。



「………………? 何だったんだ?」
 箒を安心させようと軽くジョークを飛ばしたのだが、逆に怒らせてしまったようだ。ものすごい勢いで荷物をまとめ、出ていってしまった箒のことを考える一夏だが、何が怒らせるポイントだったのか皆目見当もつかない。
 なので……
「……明日、箒に聞いてみるか」
 先送り、と言うことなかれ。もう時間も遅いし、箒も引越し先での荷解きなどあるだろうと気を遣った結果の判断だ――その“気遣い”の結果彼女を怒らせたことに気づかないのが一夏が一夏たる所以なのだろうが。
 とにかく、もう寝ようと、一夏が部屋の電気を消そうと動いた時、突然部屋の扉がノックされた。
「はーいはいはい」
 すぐに扉に向かい、開ける――と、そこには箒の姿があった。
「箒…………?
 どうかしたか? 忘れ物か?」
「あ、いや、忘れ物とかではなくて……」
 一夏の問いに、箒はなにやら恥ずかしそうにモジモジしている。彼女にしては珍しいそんな態度に一夏が首をかしげていると、
「いっ、一夏!」
「お、おぅ……?」
「こ、今度の学年別個人トーナメントだが……」
 あぁ、そういえばそんな行事もあったな、などと思い返す一夏に対し、箒は続ける。
「も、もし、私が優勝したら……」
 意を決し、一夏をビシッ!と指さし――



「付き合ってもらう!」





いろいろと
  騒ぎの種が
    芽吹き出す


次回予告

鷲悟 「おぅ、鷲悟だ。
 どうした? シャルル。なんか悩んでるみたいだけど」
シャルル 「あぁ、鷲悟。
 実は……」
「なぁ、柾木……
 どうして私と一夏の約束が“あんなこと”になっているんだ?」
ラウラ 「柾木鷲悟……
 目障りなんだ。貴様という存在が!」
鷲悟 「だぁぁぁぁぁっ! シャルルはともかく、なんでそっちの二人まで来るんだよ!? 一夏んトコ行けよ!
 次回、IB〈インフィニット・ブレイカー〉!
   『それぞれの想い…… シャルルの居場所はどこにある?』
   
シャルル 「僕は……どうしたらいいんだろう……?」

 

(初版:2011/05/19)