外伝
高町恭也争奪戦!
予告編
誰にだって、絶対に負けられない戦いがある。
たとえそれが――
どれだけアホらしい戦いであろうとも。
きっかけは、ちょっとした相談事。
うかつだったのは、なめてかかっていた自分。
「まぁ……付き合うことで恭也さんが堕落しちまうような女は、それを見せつけられるオレが納得できないかな。
むしろ、恭也さんがやる気になって剣術に力を入れてくれるような人じゃないと」 |
そして――言ってしまった。
その、決定的な一言を。
「オレに勝てるぐらいじゃないと、恭也さんにはコクってほしくねぇかな?」 |
その一言が――
喜劇の始まりだった。
「ちょっと待て!
オレは『オレに勝てるようならコクってよし』っつったんだぞ!
なんでそれが『オレに勝ったら恭也さんと結婚』になってんだよ!?」 |
不用意な一言は尾ひれが付いて――
(マズい……! まぢでマズい……!
こんなアホな理由で結婚相手を決められようものなら……
……オレが恭也さんに殺される!) |
言った本人に跳ね返ってくる。
「おいおい……まさかとは思うけど……
“戦闘要員”の女性陣、ほとんど参戦してるんじゃねぇだろうな!?」 |
彼の前に立ちはだかるのは、いずれ劣らぬ戦乙女達――
「恭ちゃんとの未来のため――
ジュンイチくん、覚悟ぉっ!」
「ち、ちょっと、美由希ちゃん!?
なんでこーゆー時だけ“神速”二段がけを無条件発動できるんだよ!?」 |
「ジュンイチさん、覚悟してください!」
「ジーナ!? お前も恭也さん狙いかよ!?」
「譲れないのよ……!
なのはちゃんがプレゼントした恭也さんのパソコンに、こっそりエロゲをインストール!
せっかく、恭也さんを影ながら自分好みに教育してきたのに――他の誰にも譲れないのよ!」
「いろんな意味で負けらんねぇ!?」 |
「悪いね、ジュンイチ!
今のあたしに見えているのは――恭也とあたしの新婚生活だけなんだよ!」
「激しく待てや犬女!
ご主人様の幸せはどこに消えた!?」 |
「ライカ、お前……!」
「ジュンイチ……ごめんね。
あたし、なんだか恭也さんが他人とは思えないのよ――これって恋かしらね?」
「いや、単に成績関係で親近感抱いてるだけなんじゃね? ソレ」
「殺ぉ――ス!」 |
「まさか、お前らまで参戦してるとはな……
どういう風の吹き回しだ? シグナム、ヴィータ」
「安心するがいい。私は高町恭也に用はない」
「もちろん、おめーにもな!」
「何………………?」
「貴様を倒し、手にしたプロポーズ権を主はやてに献上する!」
「はやての幸せのために、ブッつぶれろ!」
「とっとと帰れ、このはやて至上主義者どもが!」 |
「フィリス先生……あんたもですか……!
いつもお世話になってる手前、できれば戦いたくはないんですけどね……!」
「ジュンイチくん、ごめんなさい……!
私も、医師である前にひとりの女なんです!
負けてくれないと……今度来た時に悲しい事故が起きます!」
「公私混同ぉ――っ!」 |
「大変ですね、先生」
「まったくだ……
晶……お前はあんなバカ騒ぎに首を突っ込むなよ」
「え? あ、は、はい! もちろんですよ!
そんなことより先生、コーヒー飲みます?
ぜひ飲んでください。何も言わずにググッと」
「その不自然すぎる薦めっぷりでよーくわかったわっ!
要はてめぇも参戦済みか!? 一服盛りやがったか!?」
「センセ、お茶でもどーですかー?」
「お前もか、レン!?」 |
「なのは、フェイト……!
お前ら、参戦してないのか!?」
「安心してください、ジュンイチさん!」
「わたし達はジュンイチさんの味方です!」
「そうか……助けてくれるのか……!
すまん、ホントに恩に着る……!」
「気にしないでください、ジュンイチさん!」
「ジュンイチさんの役に立てるなら、わたし達――」
『最大火力で戦います!』
「それはそれでダメぇっ!」 |
際限なく吹き荒れる死闘とツッコミの嵐。
『なのブレ』本編登場/未登場関係なし!
オールスターのドタバタバトルが、今幕を開ける!
「もうヤケだ!
恭也さんと結婚したいなら……先にオレを倒してからにするんだな!」 |
果てしない戦いの果て、勝ち残るのは果たして――
「負けられないんだ……!
恭也さんの未来(とオレの命)を守るために!」 |
外伝
高町恭也争奪戦!
(管理人の気が向いたら)集中連載開始!
概ね自業自得だ、ジュンイチよ。
|
あとがき
久しぶりの完全お笑い系ウソ予告。今回はジュンイチをメインとした「なのブレ」の外伝です。
ふともらした不用意な発言のせいで、恭也の結婚相手を決めるバトルの中心人物になってしまったジュンイチ。もういろいろな意味で限界ギリギリ。サッカー日本代表顔負けの『絶対に負けられない戦い』に挑むハメになってしまいました。
『自分の負け=恭也の(強制)結婚=死』なので逃げて不戦敗になるワケにもいかない。恋する暴走乙女達の猛威にさらされることとなったジュンイチの運命や如何に!?
本編の流れを完全に無視しまくってるのでヴォルケンズからシグナムとヴィータが電撃参戦。出てきてないはやては何も知らずに自宅で同じく未登場だったシャマル相手に料理教室でも開いているのでしょう、きっと。
(初版:2007/07/31)