〜永遠の想い〜
予告編
――届けたい想い、ありますか?――
それは、日常の中の小さな出会い
「オイラ、ブイリュウ!
キミは?」
「…………久遠」 |
小さな二人の、確かな絆
「へぇ、ブイリュウのヤツが那美ちゃんちのキツネとねぇ……
じゃ、ちょいとごあいさつを……」
「ダメですよ、ジュンイチさん。
くーちゃん、悪い人には敏感なんですから」
「え!? 何その言われよう!
ねぇ、那美ちゃん、オレ悪人!?」
「え、えっと……」
「悪人じゃない」
「アリサひどっ!」 |
それを見守る、暖かい家族達
「魔法生物が?」
「えぇ。
ロストロギアとして発見された魔法生物が、運んでいた輸送船の事故で、海鳴に……」
「ジュエルシードの時といい今回といい……
事故った船に積まれた魔法技術品は海鳴に流れ着かなきゃならんって法律でもあるのか?」
「あるワケないでしょ」 |
のんびりと過ぎていく日常の中――
「基本的には無害だけど……
もし、大気中の魔力の薄い海鳴で生きるために、何らかの自己進化をしているとしたら……」 |
密かに忍び込む――
「イヤな予感ドンピシャ。
最悪な進化の仕方してるみたいよ」
「どんな?」
「やっこさん、消耗する魔力を補充するために……」
「食べてるみたいよ、人間を」 |
大いなる災厄
「やっぱり、わたし達を狙ってくるでしょうか……」
「魔力を狙ってるんだとすれば、可能性はあると思うけど……」
「アホかお前ら。
ヤツは人間をまるごと食ってる――つまり、魔力と一緒に霊力や気まで食ってるんだぞ。
霊力、気も含めて、総合的に一番強い力を持ってるのはお前らじゃない」
「まさか、それって……」
「久遠…………!?」 |
敵の狙いは小さな友達
「リンディさん……
管理局の方でくーちゃんを保護できないんですか?」
「難しいわね……
アースラだけで処理できるのならそれもいいけど、今回の件はよその隊も動いてるから……」
「どういうこと?」
「あー、つまりだ。
ヘタしたらよそから『おびき出すから久遠を寄越せ』って圧力が来かねないってことだ。
妖狐とはいえ結局は動物だからな……久遠の人権を尊重するとはとても思えん。
連中から久遠を隠すためにも――保護はできない」 |
それぞれの思惑が交錯する中――
「ジュンイチくん、なのはちゃん!
私達で久遠を守りましょう!」
「あー、その必要はないだろ」
「ジュンイチさん……?」
「オレ達の今回の仕事は敵を倒すこと、そんだけだよ。
久遠を守るナイト様なら、もう間に合ってるだろう?」 |
二人の絆が鍵となる
「久遠…………
最後まで、オイラが守ってあげるからね……!」 |
「マズいよ!
アイツ、魔力の吸収能力もケタ違いに上がってる!
ただでさえ魔力の薄い世界なのに、このまま無尽蔵に吸われ続けたら……」
〈どうなるんですか!?〉
「最悪、そっちの世界そのものがバランスを崩して崩壊する!」 |
世界の命運と絆の行方――
「ジュンイチさん!」
「わかってる!
これ以上……進ませるもんかよ!」 |
迷う猶予など許されず――
「みんなを……いじめちゃだめ!」
「ダメよ、久遠!
出て行ったりしたら……!」 |
強い想いが最悪の事態につながってしまう
「魔力吸収量、さらに増大!
空間の崩壊まで、もう時間がないよ!」 |
世界崩壊まで――
「ジュンイチさん、フェイトちゃん!
なんとかしてくーちゃんを!」
「わかってるけど……!」
「制限時間付ってのがムカつくぞマヂで!
なんとか空間の崩壊を引き伸ばせないのか!?」 |
残り時間、わずか10分
「ブイリュウ……お前はどうしたい?」
「え…………?」
「ジュンイチさん……?」
「いきなり、何を……?」 |
想いを――
「世界を守りたいか?
久遠を守りたいか?
守りたいものを、今すぐ決めろ!」 |
世界を――
「そんな聞き方されたら、答えなんか決まってるよ……」
「そうだね……」
「うん」 |
みんなの勇気で守り抜け!
〜永遠の想い〜
――守りたい“笑顔”、ありますか?――
|
あとがき
前回お笑いに走った反動か、ドシリアスな番外編をお送りしました。
テーマはもちろん「ブイリュウ×久遠」。事故によって海鳴に流れ着いてしまったロストロギアの魔法生物との戦いを軸に、二人のカップリングを描いてみました。
魔力を喰らい、無限に進化する魔法生物。そのエネルギー源として狙われる久遠。
さらには魔力吸収能力の暴走により、崩壊の危機を迎えるなのは達の世界。
果たしてなのは達は久遠を、世界を守りきることができるのか!?
ちなみに、「ブイリュウ×久遠」は『なのブレ』本編でも書いてみたいカップリングです。
久遠だったらブイリュウ達プラネル組とも仲良くなれる気がするのですよね。
実際、ファントム、ヴァイトの二人とはすでにつるんでるワケだし。
(初版:2007/08/21)