“Lonely Blaze”
予告編


 

 

それは、“彼”を無事故郷に送り届けた後のこと――

 

「“古代遺物ロストロギア”が……奪われた!?」
「えぇ。
 ジュンイチくんの故郷――第108管理外世界を経由して運ばれていたものがね。
 彼も警備に加わってたんだけど、さすがに不意をつかれちゃね……
 それと……」

「ジュンイチくんが……襲撃者を追って姿を消したわ」

 

始まりは突然。
ジュンイチの協力によって移送されていた“古代遺物ロストロギア”が
何者かによって強奪された。

 

 

だが――

 

「連絡が……?」
「あぁ。
 姿を消してからこっち、ジュンイチくんと連絡が取れなくなってるの」

 

それを追うジュンイチの動きは不審を極めた。

 

 

 

「ち、ちょっと待ってよ!
 まさか……」
「そうだ。
 ジュンイチには現在、“古代遺物ロストロギア”強奪犯との共謀の疑いがかかっている」

 

ジュンイチに向けられる疑いの目――

 

「お願い、スカイクェイク。
 彼とつながりのあった私達の隊は、たぶん謹慎になる……もうすぐ動きが取れなくなる。
 もう、頼れるのは貴方達だけなの」
〈やれやれ……こっちは宇宙行きの準備で忙しいんだがな……
 柾木め、またややこしい事件を引き起こしてくれる……〉

 

かつて育んだ絆が、心強い味方を動かし始める。

 

 

 

「おいおい……オレ達、アイツにあまり世話になってないんだけどさ」

 

惑星アニマトロス
暴虐大帝ギガストーム

 

 

「そう言うな。
 縁がないワケじゃないし――何より、なかなかおもしろそうじゃないか」

 

惑星スピーディア
爆走大帝オーバーロード

 

 

「同じ大帝からの要請だ。
 大帝同士、仲良くやろうじゃないか」

 

惑星ギガロニア
要塞大帝メトロタイタン

 

 

 

そして――

 

「アリシアの一件で、オレはアイツに誓いを立てた。
 他のヤツよりは縁が強いからな――アイツを手助けする理由には、十分か」

 

次元世界ミッドチルダ
魔導大帝メガザラック

 

「まったく……どこまでこっちを引っかき回してくれれば気がすむのやら……
 しかも身内にまで心配をかけすぎだ、バカ者が……」
《けど、そんな彼だから手を貸すんでしょう?》
「むぅ…………」

 

地球
恐怖大帝スカイクェイクwithユニゾンデバイス・アルテミス

 

 

 

 

 

「おい、柾木!
 しっかりしろ、柾木!」

 

傷つき、倒れたジュンイチ。

 

「……貴様、誰に対して“罪”を感じてるんだ?」
「――――――っ!?」
「秘密を守るつもりなら、寝言やうわ言にも気を配るんだな。
 気絶している間中、ずっと謝っていたぞ。
 で……誰だ?」
「…………殺された男にだ。
 ……いや……」

「……“オレが殺した男”にだよ」

 

事件と絡み合うジュンイチの過去の因縁。

 

「バカな……柾木が!?」
〈えぇ……
 管理局の追跡を迎撃して、再び姿を消したわ〉
「あのバカ……!
 あくまでひとりでケリをつけるつもりか……!」

 

仲間を拒みひとりで動き続けるジュンイチ。

 

「オーバーロードが!?
 本当なのか、ギガストーム!」
「あぁ。
 全身黒焦げにされて、現在緊急修理中だ。
 それほどの火力を持つ存在は……」
「……柾木の、“オーガ”か……!」

 

傷つく仲間と暗躍する思惑――

 

「おかしくないか……?」
「何がだ、メガザラック?」
「ジュンイチの手によって管理局員が蹴散らされ、オーバーロードがやられた……」
「それがどうかしたか?」
「ジュンイチが管理局員を迎撃したのは第108管理外世界だ。
 だが、オーバーロードはほぼ同時刻に――“ミッドチルダで”やられたんだぞ」
「あ…………」

 

深まる疑惑の一方で
浮かび上がる新たな謎。

 

「4年前はオレ達の世界の魔導の遺物。そして今回が“古代遺物ロストロギア”……
 あくまで世界を滅ぼすつもりか、てめぇは」
「この世界への失望をオレに植えつけたのは貴様だろうが!
 そして――4年前、それを阻止するためにオレを殺したのも!」

 

ついに対峙する、ジュンイチの“罪”とは?
そして――

 

「貴様はいつもそうだ! 何でもひとりで抱え込む!
 今回のことで、クイント達がどれほど貴様を心配していると思っている!
 どうして……仲間を頼らない!」
「そんなの、仲間だからだろ……!
 仲間だから、大切なヤツらだから……巻き込めないんだろうが!」

 

交錯する、二つの想いの行く末は――

 

 


“Lonely Blaze”

 

 

「ケリは――オレがつける!」
「“達”をつけろ、この悪餓鬼が」

 


あとがき

 いろんな意味でやっちまいました。

 「takkuさんに対抗!」というワケではありませんが、こちらも冬の劇場公開映画からの発想で1本。劇場版『BLEACH』を元ネタに書いてみました。
 『“Lonely Blaze”=“孤独な炎”』という副題からも分かるとおり、メインはジュンイチ。日番谷の役どころです。
 過去の罪にずっと苛まれている点とか、そのために誰も巻き込まずひとりで背負い込んでいる点とか、今回の日番谷ってかなりジュンイチと共通している部分があるんですよね。
 しかし、ジュンイチの場合、劇中で一護が日番谷に解いた「楽しいことだけじゃなく、辛いことも分け合うのが仲間だ」ということをわかった上で、あえて反発している、いわゆる“確信犯”なのが厄介な点だったりするんですが。
 おいおい、もっとタチ悪くなってんじゃん。どーしろってのさ、こんなの(笑)。
 ともかく、そんなワケでジュンイチを日番谷役に据えたので、クイントさんには乱菊さん役を。
 そして、一応メインの視点担当となる一護役はスカイクェイクにしてみました。どっちも任意でバージョンアップ(スカイクェイク:ユニゾン/一護:卍解)できるし――よく考えたら中の人一緒だし(苦笑)。
 となるとルキア役はアルテミスでしょうか……って、それだと千本桜を撃つのはまさかはやて!? 似合いすぎだよ! 広域型だし! 『異聞』への登場は未定だけど!(爆)

 時系列的には『GM』本編最終話の真っ最中で『異聞』側はギガトロン撃退後。新スペースブリッジ計画が提唱され、その準備が進んでいる間、ジュンイチがなのは達の世界で魔法関係の情報隠蔽の仕事を始める直前の出来事になります。
 かつて復讐鬼だったことのあるジュンイチ。戦い以外の場でもその手は多くの命を奪ってきました。そして今回、それが彼を“古代遺物ロストロギア”強奪に始まる故郷の危機に巻き込んでいくことになります。
 自分の中にすべてを抱え込み、たったひとりで事件に立ち向かうジュンイチ。管理局の追跡すら追い返して事件の犯人を追う彼を、そして世界そのものに対し攻撃を仕掛けようとする犯人を、果たしてスカイクェイク達は止められるのか!?

 

 さて、劇場版『BLEACH』第2弾、メインの感想は(本編にまったく関係ないですけど)日誌ですでに書きましたが、ここでもうひとつ。

 本編中で卍解しか見せたことがないためか、終盤の1カットしか見せ場をもらえなかった狛村さんに合掌(爆)。マユリですら知恵袋として活躍してるのに(笑)。

 逆に始解しか見せてない砕蜂さんは今回序盤から一貫して大活躍。いやー、スタッフから愛されてますね、彼女。


 

(初版:2006/12/26)