〈やれやれ、やっとつながったか〉
ホイルジャックの中継によって通信をつなげてもらい、なのは達の前に姿を見せたライブコンボイは肩をすくめてそう告げた。
「ライブコンボイ、いきなりどうしたんだ?」
尋ねるギャラクシーコンボイに、ライブコンボイは表情を曇らせ――彼に代わり、サブウィンドウに現れた真一郎が答えた。
〈実は、少し厄介なことになっちゃってね……ちょっと援軍を頼みたいんだ〉
「援軍?
セイバートロン星で誰かと戦ってるの?」
「の割には、ずいぶんと落ち着いてるね」
〈まぁ、戦ってる相手はそう強くないんだけどね……〉
思わず尋ねるなのはとフェイトの問いに答え、真一郎は苦笑まじりに答えた。
〈問題は強さよりも――〉
〈数なんだ〉
第46話
「新たな絆と力なの」
「ギャラクシーコンボイ達と連絡が取れた。
メンバーを選抜して派遣してくれるそうだ」
なのは達との通信を終え、ライブコンボイと真一郎はグランダスの甲板上へと姿を見せ――
「あー、そうなんだ……」
「到着、いつになるかなー……」
答えるブロードキャストとアイリーンは疲れ切っていた。その答えもまさに無気力そのものである。
というのも――
「それまでに……あと何回襲われると思う?」
「さぁな……
3ケタは下らないんじゃないのか?」
エリスの問いに士郎が答えるその視線の先には――無数のトランスフォーマーの残骸が転がっていた。
セイバートロン星に無事降り立ったライブコンボイ&真一郎組以下地球サイバトロンチームだったが、彼らを出迎えたのは無数の虫型トランスフォーマー“ランブル”の襲撃だった。
大した戦闘力はなく、簡単に撃退できたのだが――問題は数だった。
次から次へと引っ切り無しに襲い来るランブル達を前に、彼らは防戦を余儀なくされ、本来の目的であったサンダークラッカーの捜索はもちろん、スペースブリッジで傷を負ったグランダスの手当てすらままならない状況が続いていた。
「次……誰が迎撃に出る番だったっけ?」
「確か、ダイノボットと都古ちゃんだね……」
全員でその都度迎撃していたら身が持たない、と気づけば迎撃の担当がローテーション化していた。順番を確認するオートボルトにエリスが記憶を掘り起こしてそう答える。
と――そんな彼らを眺めていたライブコンボイはそこにいるメンバーが足りないことに気づいた。
プロテクトボットとシェリーはグランダスの手当てのための資材を探しに出ているとして――
「レンとブレインストームの姿が見えないが?」
「あぁ、あの二人か?」
ライブコンボイの問いに、オートボルトは肩をすくめて答えた。
「“彼女”の護衛だよ」
「このエリアにもいない、か……」
探索を終え、プリントアウトされた地図に印を書き込み、晶はため息をついた。
「サンダークラッカーのヤツ、どこに行ったんだよ……!」
地図を懐にしまい、晶がつぶやくと、
「おーい、晶ぁー!」
突然の声に見上げると、頭上からブレインストームが舞い降りてきた。
そして、そのライドスペースからレンが晶に告げる。
「東のエリアやったら、ランブルもおらへんみたいや。
次は向こうを探してみよか」
「そうだな。
じゃ、行こうぜ」
あっさりと答え、晶は立ち上がってブレインストームに抱えてもらう。
いつもはケンカの絶えない二人だが、サンダークラッカーは晶だけでなくレンやブレインストームにとっても共に戦った戦友だ。その行方を捜すためということもあり、二人のケンカは完全に停戦状態となっていた。
が――飛び立とうとしたブレインストームが突然動きを止めた。
「…………どないしたん? ブレインストーム」
「ランブル達の動きが変わった……」
レンに答え、ブレインストームはしばしレーダーでランブル達の動きを観察し――突然舌打ちした。
「くそっ、連中、こっちに来るぞ!」
「なんやて!?」
「オレ達のことがバレたのか!?」
「オレだって知らないさ、そんなこと!
けど、ここにいるのはヤバそうだ――離脱するぞ!」
声を上げるレンと晶に答え、ブレインストームは晶をレンのいるライドスペースへと招き入れる。
そして、この場を離れるべく飛び立つが――間に合わなかった。すぐそばまで迫っていたランブルの群れのひとつが、彼らに向けて一斉にビームを斉射する!
「くそっ、相変わらずうっとうしい!」
まるで上下逆に降り注ぐ雨のような猛攻撃に、ブレインストームはビームを避けて急降下し、地面スレスレの低空飛行で追跡をかわそうとするが、その行く手にも新たな群れが姿を見せる。
「回り込まれた!?」
「やるしかないってことか!」
うめく晶に答え、ブレインストームはライフルをかまえ、目の前に飛び出してきたランブルを撃ち抜く。
そのまま次々にランブルを撃ち抜いていくブレインストームだが、ランブル達は次々にその行く手に立ちふさがってくる。
「くそっ、キリがねぇ!」
「いつもいつも、数だけは多い連中やな!」
倒しても倒しても現れるランブル達に押され、ブレインストームとレンがうめくと、
「………………っ!?」
ランブル達の動きに変化を感じ、晶は眉をひそめた。
「どないしたんや? おサル」
その様子に気づき、レンが尋ねると、晶はしばし周囲を見回し、
「…………こいつら……怯えてる……!?」
「なんやて?」
「怯えてるって……何にだよ?」
思わずレンとブレインストームが聞き返した、その時――突然ランブル達が動きを止めた。
一斉に周囲を見回し、わらわらと物陰に隠れていく。
「何が来るって言うんだ……!?」
彼らを脅かす者が接近しているのは間違いない――油断することなく周囲を見回し、ブレインストームがつぶやくと、
「もう来ている」
「――――――っ!?」
その声は背後から聞こえた。ブレインストームはとっさに飛びのき――次の瞬間、自分のいた空間を刃が駆け抜けた。
「誰だ!?」
レーダーにも反応なし。まったく気配を感じなかった――突然の襲撃者に対し、ブレインストームは鋭く呼びかけると共にライフルをかまえる。
だが、襲撃者は――ハチの身体にカサゴの頭部を持つ融合ビーストは気にすることもなくブレインストームと相対し、
「ラートラータ、トランスフォーム!」
咆哮と共にトランスフォーム。ロボットモードへとその姿を変える。
「フォースチップ、イグニッション!」
さらにフォースチップをイグニッション。右腕のチップスロットにオレンジ色のフォースチップが飛び込むと、右腕が展開され大型のライフルへと変形する。そして――
「ポイズン、アロー!」
そこから放たれた矢が、一直線にブレインストームへと襲いかかる!
「ブレインストーム!」
「言われるまでもない!」
レンに答え、放たれた矢をかわすブレインストームだが、大地に突き刺さった矢は瞬く間にその周辺の金属部分を腐食させていく。
「金属腐食系の毒矢――!?」
なかなかにタチの悪いものを武器にしている――うめいて、ブレインストームはライフルをかまえるが、すでにラートラータと名乗った襲撃者の姿はそこにはなく――
「後ろだ、ブレインストーム!」
「何――――っ!?」
晶の言葉に振り向くと、ラートラータが頭部のヒレにエネルギーを集中、刃に変えて振りかぶるのが見えた。
(やられる――――っ!?)
回避は間に合わない。ブレインストームは直撃を覚悟し――
「サンダー、ヘル!」
咆哮と共に先制の一発――放たれた閃光がラートラータを直撃、吹き飛ばす!
「今のは……」
「まさか……」
覚えのある一撃だ。ブレインストームとレンがつぶやき――
「サンダークラッカー!」
歓喜の声を上げる晶の前で、高速で飛来したサンダークラッカーは渾身の飛び蹴りでラートラータに追撃の一発を見舞っていた。
「ったく、こんなところでピンチになりやがって……!」
舌打ちまじりにそうつぶやくと、サンダークラッカーはブレインストームをかばってラートラータの前に立ちはだかる。
「おかげで隠れてるつもりだったのに見かねて飛び出しちまってこのザマだ! どうしてくれるってんだよ!」
「知るか!」
晶が即答する。
そしてなおもサンダークラッカーに言い寄ろうとするが――そうは問屋が卸さなかった。サンダーヘルと超高速のドロップキックを立て続けに喰らいながらも、ラートラータはゆっくりと身を起こした。
「うっわー、タフなヤツ……
まるでサンダークラッカーやな」
「確かに。
まるでサンダークラッカーだな」
「どういう意味だ? それは一体どういう意味だ!?」
ラートラータのタフぶりに思わずつぶやくレンとブレインストームにサンダークラッカーが声を上げ――
「来るぞ!」
『――――――っ!』
晶の言葉に跳躍。ブレインストームとサンダークラッカーは突っ込んできたラートラータの放った頭部の刃をかわす。
「頭についてる武器だってのに、器用に使うもんだな、まったく……!
中身を使うのは放棄したか? サンダークラッカーみたいに」
「中身がカラッポだから遠慮する必要ないんやないか? サンダークラッカーみたいに」
「こら待てぇっ! 重ね重ねどういう意味だそれは!?」
レンとブレインストームの言葉にサンダークラッカーが抗議の声を上げるが、そんな彼らに向けてラートラータの攻撃がさらに襲いかかる。
「くそっ、しつこいヤツだな!
まるでサンダークラッカーじゃないか!」
「タチが悪いにもほどっちゅーもんがあるで!
まるでサンダークラッカーやないか!」
「だぁかぁらぁっ!」
「って、それどころじゃないだろ、お前ら!」
三度繰り返されるやりとりに晶が思わず声を上げるが――彼女にもわかっていた。
軽口を叩いていながらも、サンダークラッカーもブレインストームも油断はしていない。むしろラートラータに対してスキャナをフル稼働させ、文字通り目を光らせてそのスキを探っている。
それでも彼らに反撃を許さない――それほどの実力をラートラータは備えているのだ。
そして、ラートラータはさらなる攻撃を加えるべく襲いかかり――事態は突然動いた。
ぼごっ。
音を立て、ラートラータの攻撃で強度の落ちていた地面が崩れ落ちたのだ。
「どわぁぁぁぁぁっ!?」
「でぇぇぇぇぇっ!?」
悲鳴を上げ、ブレインストームとサンダークラッカーは落下していく――特にそれを追うようなこともせず、ラートラータはしばし口を開けた縦穴の底を眺めていたが、やがてビーストモードとなってその場から飛び去っていった。
「ってぇ……!
まったく、ひどい目にあったぜ……」
ぶつけた頭をさすりながら、晶はサンダークラッカーのとなりを歩きながらつぶやいた。
一行は無事ラートラータから逃げのびたことを知り、現在は地下階層で真っ暗な通路の中を進んでいた。
「ま、まぁ、無事アイツからもランブルからも逃げられたんだし」
「お前らがマジメにやってればもっと楽に逃げられたと思うんだけどな」
なだめるブレインストームに晶が告げると、
「こっちだぜ」
曲がり角に差し掛かったところで、案内役であるサンダークラッカーが右側に伸びる脇道へと入っていく。
が――
「………………ん?」
その後ろ姿に、晶はふと眉をひそめた。
久々の対面ではあったが、いつも通りのサンダークラッカーだ。
だが――何かが違う。何かがおかしい。
目まぐるしく戦闘機動を取っていたさっきは気づかなかったが――得体の知れない、しかし明確な違和感が晶の脳裏を駆け抜けていた。
「ここだ」
言って、サンダークラッカーが晶達を案内したのは、地下階層の施設のひとつだった。
メンテナンスベッドがあることから考えて、どうやら医療施設らしい。
「地上のクモどもから逃げてた時に、偶然見つけてさ。
あのラートラータとかいうヤツやその仲間ともやり合ってけっこう、瀕死っぽかったんだけど――ここを見つけたおかげでなんとか生き延びたってワケさ」
「仲間……?
ラートラータには仲間がいたのか?」
「っていうか……戦ったことあるんか?」
「あぁ。
単体なら、さっきみたいに振り切れるんだけど……3人そろわれるともーアウト。下手すりゃコンボイ級でもひとりじゃ辛いぞ、アイツら」
聞き返してくるブレインストームにサンダークラッカーが答えると、
「サンダークラッカー」
静かに。
ものすごく静かに。
聞いた者すべてを凍りつかせそうなほど静かに。
晶はサンダークラッカーに声をかけた。
「お前……身体は大丈夫なのか?」
「ど、どうしたんだよ、いきなり?
オレのボディのどこにおかしなところがあるってんだよ?」
尋ねる晶に肩をすくめるサンダークラッカーだが、
「本当に、か?」
晶はそれでも尋ねた。
そんな晶の鋭い視線に、レンは目配せし――それを受けたブレインストームが動いた。
「サンダークラッカー、少し見せてみろ」
「だ、大丈夫だって!」
拒絶するサンダークラッカー。だが、ブレインストームはかまわず彼の左腕の装甲を剥ぎ取り――
「………………っ!
こいつはひどい……!」
その装甲の内部のメカは、錆色に腐食していた。
おそらくはラートラータのポイズンアローによるものだろうが、先の戦闘で受けたにしては腐食が進みすぎている。これは――
「アイツの矢、以前にも喰らってたんやな……」
つぶやくレンの言葉に、サンダークラッカーは無言でブレインストームの腕を振り払う。
「これで『大丈夫だ』なんて、よく言えるな!」
「言えるかよ……ンなの……」
思わず声を上げる晶に、サンダークラッカーは静かに答える。
「オレはデストロンなんだ……お前らサイバトロンの敵なんだぞ。
ヤバいからって、そんなポンポンと助けなんて求められるかよ」
晶から視線をそらし、告げるサンダークラッカーだったが、
「本当か?」
しかし、その言葉にも晶はあっさりと聞き返してきた。
「本当にそう思ってるのか?」
「思ってるから隠れてたんだろうが!」
晶の言葉にサンダークラッカーが言い返し――
「本気でそう思ってたら、そのまま隠れてたんじゃないのか?」
「――――――っ!」
晶のその言葉に、サンダークラッカーは思わず息を呑んだ。
「お前は確かにデストロンだよ。サイバトロンの敵だよ。
けど――それでもお前、オレ達を助けに出てきてくれたじゃないか! オレ達のために戦ってくれたじゃないか!
それでも、お前はオレ達のことを敵だって言うのかよ!?」
「そ、それは……!」
晶の言葉に、サンダークラッカーは反論することができない――代わりに彼のとった行動は――
「……もういい!」
苛立たしく言い放ち、きびすを返すことだった。
「サンダークラッカー!」
「そりゃ、確かにお前らをほっとけなくて、助けたけどな……そいつぁヤツらが共通の敵だからだ!
アイツらをやり過ごしたからには、もう一緒にいる理由なんかないんだよ!」
声を上げる晶に言い放ち、サンダークラッカーは施設の扉を開けて出て行く。
「ここは好きに使え! オレはもう行く!」
「い、行くって――」
そもそもお前はマスターメガトロンの行方を知らないだろ――ブレインストームがそう告げるよりも早く、サンダークラッカーは扉を閉めてしまった。
「サンダークラッカー……」
「アイツにも意地があるんだろ。
スタースクリームが裏切った今、アイツはセイバートロン星のデストロンの中じゃ最古参なんだしな……」
肩を落とす晶にブレインストームが答えた、その時――
扉の向こうで、何かが倒れる音がした。
「まったく、よくここまで放置していられたものだな」
一通り診断し、レッドクロスのもらした感想がそれだった。
施設から出るなり倒れたサンダークラッカー、その表情は装甲を交換し取り繕った外見からでもわかるほど憔悴しきっていた。晶やブレインストーム達の前ということで、ずっと平静を装っていたのだろう。
かなりの重態だ――グランダスまで運ぶのはかえって危険を招きかねないというブレインストームの判断から、グランダスの手当てのため、資材確保に出動していたプロテクトボットの面々が急遽呼び出されたのである。
「危ないのか? レッドクロス」
「いや……中枢システムにまでは腐食も到達していない。
命の危険はないな――もっとも、それでも通常の機能に障害が出るほどのダメージではあるのだが」
尋ねるストラトスに答えるその言葉に、聞いていた晶は思わず胸をなで下ろすが――それでも今現在の状態が思わしくないことに違いはない。改めてレッドクロスへと向き直り、尋ねる。
「それで……どうするんだ?」
「人間のガンの手術と、考え方は同じだ。腐食した部分のパーツを、新しいものと交換する。
かなりの部分のパーツの交換が必要だが――必ず助けてみせる」
そう答えると、レッドクロスはプロテクトボットの面々へと向き直り、指示を下し始めた。
「レッカーフックとスクリューモールは交換用のパーツの確保。必要なもののデータはこれから渡す。
地表があれだけ荒らされているんだ――使えそうなものくらいいくらでも転がっているはずだ。
ストラトス、キミはライブコンボイ達にこのことを知らせてくれ。短距離ならともかく、長距離通信は敵に傍受される可能性がある以上、極力使いたくはないからな。
ホットスポットとシェリー、ブレインストームとレンは周辺の警戒を頼みたい。いつ邪魔者が現れるかわからないからな」
「えっと……オレは……?」
最後まで名前の挙がらない晶が尋ねると、レッドクロスは笑顔で答えた。
「見守っていてあげてくれ。
たとえ意識がなくとも、近しい者の存在は、患者にとって何よりの励みになる」
指示に従い、一同が散開していくとすぐにレッドクロスはサンダークラッカーの手術を開始した。装甲を剥ぎ取り、腐食しているパーツを外していく。
「何だよ、コレ……
あちこちやられてるじゃねぇか……!」
「あぁ……中枢システムが無事だったとはいえ、よくこれでイグニッションまでこなせていたものだ……」
外されたパーツはどれも激しく痛んでいた。思わずうめく晶にレッドクロスが同意する。
「しかも、中枢システムが無事だったということは、ボディのダメージレベルを測る自己診断システムも正常に機能していたということだ。
そしてそれは、サンダークラッカーにとってマイナスに働いたはずだ――何しろ、腐食によるダメージが鈍ることなくダイレクトに伝わっていたんだからな。そうとうの激痛だっただろう。
キミ達の前で平静を保っていたというのが、正直信じられないくらいだ」
「そんなに、悪かったのか……」
つぶやき、晶は意識もなく診察台に横たわるサンダークラッカーへと視線を向けた。
様子がおかしかったのには気づけたが、まさかそこまでだったとは考えてもみなかった。
どうして教えてくれなかったのか。やはり敵同士だからなのか――肩を落とす晶だったが、
「だが――そんな状態でも、彼はキミ達を助けに行かずにはいられなかったんだろうな」
そんな晶に、レッドクロスはそう告げた。
思わず疑問の視線を向ける晶だが、レッドクロスは作業を続ける手を止めないまま続ける。
「よく見れば、装甲の補修も塗装とコーティングでごまかしてあるだけで、かなり急ごしらえな部分が目立つ。
つまり――それだけあわてて飛び出してきた、ということだ」
「………………」
レッドクロスの言葉に、晶は改めてサンダークラッカーへと視線を向けた。
ホットスポット達の言葉が事実なら、サンダークラッカーは自分達が襲われているのを知ってあわてて駆けつけてきてくれたワケで――
「…………この、意地っ張りが……!」
誰に言うでもなくつぶやくが――晶はなんとなく、サンダークラッカーにはその言葉が届いたと感じていた。
「けどさぁ」
「ん?
いきなりどないしたんや? ブレインストーム」
上空を哨戒中、突然口を開いたブレインストームに、レンは首をかしげながら聞き返した。
「オレ達……敵が来ないかの見張りをしてるんだよな?」
「せやな」
「つまり、敵が出てくる可能性があるってことだよな?」
「あぁ」
「ってことは……ランブルか、ラートラータか……」
「そのお仲間か、ってところやろうな」
そこで会話が止まる。
「…………見つけたところで、対応できるか?」
「とりあえず……離れたところまでの誘導に徹しよか」
「賛成」
仲間がすぐに来てくれればいいが、そうでない場合自分達だけではどうしようもない――レンの提案に反論する理由もなく、ブレインストームが素直に同意すると、
〈こちらホットスポット。
そっちはどうだ?〉
「あぁ、今のところ異常ナシ」
「なーんにも出てきてへんよ」
通信してきたホットスポットに、二人は気を取り直して応答する。
〈そうか……
敵はどこから現れるかわからない。十分に警戒――ぐわぁっ!?〉
「ホットスポット!?」
突然言葉は悲鳴に化けた。思わずレンが声を上げると、シェリーが代わって答えた。
〈たはは……面目ない。警戒が足りなかったのはこっちみたい〉
そして――告げた。
〈敵……こっちに出ちゃった〉
「くっ、油断した……!」
突然の攻撃は地下から襲いかかった――跳ね上げられたもののなんとかロボットモードにトランスフォーム、ホットスポットは大地に降り立ち襲撃者と対峙する。
ラートラータと同じ融合ビーストだ。ボディは象として、頭部は――黒を基調に白でアクセントをつけた色合いからしてシャチだろうか。
「貴様も、ラートラータの仲間か?」
「…………否定する理由などないな。
エルファオルファ、トランスフォーム!」
そう答え、ロボットモードとなった襲撃者――エルファオルファはホットスポットと対峙し、
「フォースチップ、イグニッション!」
背中のチップスロットにオレンジ色のフォースチップをイグニッション。背中に移動していたビーストモードの頭部がエルファオルファの頭上に移動、その口を開き――
「メルト、メーザー!」
放たれた閃光が、大地を溶解しながらホットスポットに襲いかかる!
「なんの!」
しかし、ホットスポットも負けてはいない。跳躍してその攻撃をかわすとシェリーと顔を見合わせ、
『フォースチップ、イグニッション!
ラダー、パニッシャー!』
すぐにこちらもイグニッション。放たれたラダーパニッシャーをエルファオルファがかわし、両者は再び対峙した。
と――
「ホットスポット!」
「助けに来たで!」
ブレインストームとレンが到着、エルファオルファをにらみつけるが――
「――――――っ!」
頭上から飛来する新たな影にブレインストームが気づいた。とっさに後退し、突っ込んできた影をかわす。
トンボの翼と尾を持つトカゲだ。
「3人目、っちゅーワケか……!」
「………………
ドランクロン、トランスフォーム」
ブレインストームのライドスペースでつぶやくレンの前で、新たな襲撃者、ドランクロンは淡々と告げつつロボットモードへとトランスフォームする。
「どうする?
こいつらもラートラータ並の強さだとしたら、オレ達だけじゃ手に余るぜ」
「いいんじゃないのか?
我々の目的はこいつらに勝つことではないんだからな」
尋ねるブレインストームに答え、ホットスポットはラダーパニッシャーをかまえ、
「状況はストラトスがライブコンボイ達に知らせてくれているはず――援軍も期待できるんだ。
悲観的になる要素がどこにある?」
「まぁ、言われてみればそうか」
「それじゃ、いっちょやったろうやないの」
ホットスポットの言葉に、ブレインストームとレンは口元に笑みを浮かべ、
『フォースチップ、イグニッション!
ストームブラスター!』
二人の一撃が戦闘再開の口火を切った。放たれたストームブラスターがエルファオルファとドランクロンに降り注ぐ!
「…………ん……」
意識を取り戻し、カメラアイを起動させたその目にまず飛び込んできたのは、真っ白な天井だった。
「……倒れちまったのか、オレ……」
ポツリとつぶやくと、
「……起きたのか……?」
かけられた声に視線を横へ向けると、そこにはどこか沈んだ表情の晶がいた。
「晶か…………」
つぶやき――ふと違和感を覚えた。
晶の表情がどこかおかしい。心配していた、という風とはどこか違う。
「…………どうかしたのか?」
「………………」
尋ねるその言葉に、晶はしばし沈黙し――口を開いた。
「…………レッドクロスは、精一杯やってくれたよ……」
「………………何?」
「できる限り、何とかしようとしてくれたけど……その顔は……」
「…………顔、だって……?」
疑問に思い、自分の姿を確認できそうなものを探す。ちょうど修理に使ったのだろう、よく磨かれた装甲板の切れ端を見つけ――
「ま、待った待った!」
手を伸ばそうとしたが、それを晶があわてて止める。
「見ない方がいいって!」
「いいから見せろよ、晶!」
晶の制止の声をはねのけ、装甲板を手に取り――やはり晶の思わせぶりな言葉が脳裏をよぎり、ためらってしまう。
「いいか、気をしっかり持てよ……」
「あ、あぁ……」
晶の言葉に、意を決して装甲板をのぞき込むと、そこに映ったのは――
サンダークラッカーが長年慣れ親しんだ、今まで通りの自分の顔だった。
「………………はい?」
だったらさっきまでのやり取りは何だったのか――疑問の視線を向けると、晶はこちらに背を向けて肩を震わせている。
だが、それが嗚咽でないのは明白で――
「れ、レッドクロスだってがんばったんだ……!
けど、さすがにその顔をまともなデザインに整形手術するのは不可能でさ……プクク……!」
「あー、えーっと……
殴っていいかな? 全力込めて」
とうとう笑いをこらえ切れなくなってきた晶の言葉に、サンダークラッカーは“左手を握り締めて”尋ね――
「………………ん?」
違和感を感じた。
自分の左手は確か……
見ると、そこにはごく普通の人型のマニピュレータ。本来あった大型ビーム砲は影も形もない。
と――必死に笑いをこらえている晶が疑問符をまき散らすサンダークラッカーに告げた。
「言わなかったっけ?
『“顔は”どうしようもなかった』って」
「へ………………?」
イタズラ大成功、とばかりに笑顔を見せる晶の言葉に、サンダークラッカーは自分のボディへと視線を落とし――
ようやく気づいた。
晶が自分の顔をネタにしたのは、額面どおりのネタではなく――
新たなボディから自分の意識をそらすためのものだったのだと。
「ゥオォォォォォッ!」
獣の如き咆哮と共に突撃、ビーストモードのエルファオルファの突進が、回避したブレインストームの背後にあったガレキの山を粉砕する。
そんなブレインストームに上空から狙いを定めるのはビーストモードのドランクロンだ。
「フォースチップ、イグニッション!
クラップミサイル!」
咆哮と共に背中のチップスロットにオレンジ色のフォースチップが飛び込み、口腔内から放たれたミサイルは空中で破裂、粘土のようなものをまき散らす。
「ブレインストーム!」
「おぅ!」
だが、いち早く気づいていたレンの指示がブレインストームを救った。とっさに後退したブレインストームの目の前に粘土は落下。その場にあったものをからめ取り――爆発を巻き起こす。
「プラスチック爆弾みたいなもんか……!
気をつけろ、ホットスポット、シェリー!」
「すまない!」
「アドバイス、ありがと!」
うめくブレインストームの言葉に、エルファオルファと組み合っているホットスポットとシェリーが答え――次の瞬間、衝撃と共に弾き飛ばされる!
「ホットスポット!?」
「シェリーさん!?」
レンと共に驚きの声を上げ、ブレインストームが二人の元に駆け寄ると、
「ラートラータ、トランスフォーム!」
咆哮し、ロボットモードへとトランスフォームしたラートラータがドランクロン達の元に降り立つ。
「くそっ、向こうはせいぞろいか……!」
「2対3……完璧に劣勢だな……!」
芳しくない状況にホットスポットとブレインストームがうめき――
「いーや! 4対3だぜ!」
突然響いたその言葉と同時――ドランクロン達へとビームの雨が降り注ぐ!
そして――
「3人目、参上っ!」
その場に降り立ったのは、新たな姿となったサンダークラッカーだった。次いで晶を抱えたレッドクロスが到着する。
手つかずで手術前そのままだった頭部とは違い、ボディの外装は黒一色に染め抜かれ、背中の翼もより大型になっている。
「さ、サンダークラッカー……なのか……!?」
「ノンノン、違う違う」
その変貌振りに驚きの声を上げるブレインストームに、サンダークラッカーは右の人さし指を左右に振って答える。
「どっかの誰かが治療にかこつけていろいろいじくり倒してくれたからな……ボディも変わっちまったし、いっそ名前も改めちまおうってことでな。
っつーワケで今後はオレを――」
「ブリッツクラッカーと呼ぶがいい!」
「ブリッツ……クラッカー……!?」
高らかに宣言された新たな名――ブリッツクラッカーの名乗りにブレインストームは思わずその名を反芻する。
が――ドランクロン達はかまいはしない。無言でブリッツクラッカーに対してかまえを取る。
「あー、名前変わっても関係ないってか?
ムカツクな、そのリアクション」
対して、ブリッツクラッカーはそんなドランクロン達の態度が気に障ったようだ。口を尖らせて彼らと対峙し、
「せっかく晶が考えてくれた名前なんだ――ちったぁ驚け!」
言うと同時――勢いよく地を蹴り、ドランクロン達へと突撃する。
すかさず各々の武器をかまえるドランクロン達だが――発砲する直前でブリッツクラッカーは再度地面を蹴った。真上に跳んでドランクロン達の攻撃をかわし、先頭にいたエルファオルファの顔面を思い切り踏みつける。
それならばと、ドランクロンとラートラータは視線を交わし、ビーストモードとなって上空に飛び立つ。
上空から動きを封じようというのだろうが――
「空中戦か!?
だったら――受けて立つぜ!
ブリッツクラッカー、トランスフォーム!」
エルファオルファを踏み台にしたブリッツクラッカーもすぐに対応した。ビークルモードへ――ステルス戦闘機へとトランスフォームし、ドランクロン達とのドックファイトへと突入する。
一方、ブリッツクラッカーと戦うドランクロン、ラートラータを援護すべく、エルファオルファもまた背中のメルトメーザーを向け――
「させるか!」
「貴様の相手は、私達がしてやる!」
ホットスポットとレッドクロスがそれを阻んだ。体当たりでエルファオルファを弾き飛ばす!
「ほらほら、どうした!?
こっちだ、こっち!」
旋回、急制動、バレルロール――トリッキーな機動を駆使し、ブリッツクラッカーはドランクロンとラートラータを翻弄する。
対し、懸命にその後を追うドランクロン達だが、通常の飛行機ではありえない機動を駆使するブリッツクラッカーをなかなかとらえられず――
「オレだっているんだぜ!」
「無視すんなや!」
ブレインストームとレンがそこに乱入した。ブリッツクラッカーに気を取られていたラートラータに、さっきのお返しとばかりにミサイルを叩き込む!
「ブレインストーム、そっちは頼むぜ!」
そのままラートラータとの戦いに突入するブレインストームに告げると、ブリッツクラッカーはロボットモードとなってドランクロンと対峙する。
「思えば、セイバートロン星に来てからこっち、ランブル共々お世話になったっけな……」
同じくロボットモードとなり、目の前に佇むドランクロンに、ブリッツクラッカーは静かに告げる。
「それだけだったらさ、別にいいんだよな――いつもサイバトロンにブッ飛ばされてるし。
けどな……」
そこで息をつき――
「オレの仲間に手ェ出した時点で、死刑決定だ!」
告げると同時に背中のバーニアを全開。弾かれるかのように急加速し、ドランクロンの腹に渾身の左拳を叩き込む!
テクニックも駆け引きも度外視した、感情任せの――だが、それ故に超絶的な加速と重さを得たその拳はドランクロンとの実力差をひっくり返すには十分すぎた。受身も制動もできずに吹き飛ばされたドランクロンはラートラータを巻き込み、地上のエルファオルファに激突する。
「決めちまえ――ブリッツクラッカー!」
「おぅっ!」
声援を上げる晶に答え、ブリッツクラッカーは大型のライフルをかまえた。
かつて自身の左手に備えられていた――携行式へと改造されたサンダーヘルである。そして――
『フォースチップ、イグニッション!』
ブリッツクラッカーと晶の言葉に、飛来した地球のフォースチップがチップスロットに飛び込み、かまえたライフルが展開され、
『ブリッツ、ヘル!』
放たれた閃光が、ドランクロン達をとらえ、大爆発を巻き起こす!
「よっしゃ!」
間違いなく直撃だ。勝利を確信する晶だが――爆発の中から飛び出したラートラータが、ブリッツクラッカーに迫る!
が――
「やっぱり無事か!」
ブリッツクラッカーはそれを読んでいた。ラートラータの頭部の刃をかわし、背後から蹴り飛ばす!
「思えば、てめぇの毒矢のおかげでさんざんな目にあったんだ――念入りに礼をさせてもらうぜ!
晶!」
「おぅ!」
今度こそトドメだ――ブリッツクラッカーの叫びに地上の晶が答え、
『フォースチップ、イグニッション!』
二人の咆哮に答え、飛来したフォースチップは今度はブリッツクラッカー自身に向けて飛来した。背中に新設されたチップスロットに地球のフォースチップが飛び込み、カカトに位置していたビークルモード時の尾翼が展開され、鋭い刃“ライザーブレード”となる。
全身にみなぎるフォースチップのエネルギーがその一方――右足のライザーブレードに集中。急加速したブリッツクラッカーはラートラータへと突っ込み、左足で顔面に蹴りを入れるとその左足で踏み切り、突っ込んだ際の勢いも加えて空中で前回りに一回転し――
「ブリッツ――」
「ヒール――」
『クラァッシュ!』
刃を有する渾身の右カカトが、ラートラータの左肩に叩きつけられる!
仕上げとばかりにブリッツクラッカーは左足でラートラータを蹴り飛ばして間合いを離し――同時、叩きつけられたエネルギーが爆裂し、ラートラータを吹き飛ばす!
そのまま吹き飛ばされ、大地に叩きつけられたラートラータの元にドランクロンとエルファオルファも集まってきた。二人は視線を交わし――状況不利と見たのか、そのままラートラータを抱えて飛び去っていった。
ストラトスの報せを受け、ライブコンボイ達がやってきたのは、それからすぐのことだった。
「いやー、ボク達が手を貸すまでもなかったみたいだね」
(まーな)
「聞いたぞ。襲撃者を相手に大立ち回りだったそうじゃないか」
(半分以上私怨込みだったからな。すごくもなるだろ)
「しかし、最後がこれではカッコがつかないな」
「好きでなったワケじゃねぇ!」
渾身の力でライブコンボイに言い返すが、その身が動く事はない――むしろ大声の影響で全身に痛みが走り、ブリッツクラッカーはメンテナンスベッドの上でうんうんうなるしかない。
一同がいるのはグランダスの体内の医務室――戦闘後、ブリッツクラッカーは再び医者の世話になるハメになっていた。
というのも――
「ま、修理の終わったばかりの身体であれだけ動けば、ガタがくるのも当然だな。
転生と違ってパワーアップしたワケでもないし……ムチャは身体に良くないといういい例だな」
その言葉に恨みがましい視線を向けるが、当のレッドクロスは涼しい顔で肩をすくめてみせる。
正直腹の内の文句を怒鳴り散らしたい気持ちにかられるが――
(…………ま、結局動いたのはオレ自身か)
結局それは自重した――というか、実行する気にならなかった。
命が助かっただけマシだった、ということもあるが――
「よかった……またしばらく一緒に動けるんだな!」
(晶も安心してるし……良しとしとくか)
満面の笑顔の晶を前にしていると、怒りの感情もあっという間に霧散してしまった。息をつき――ブリッツクラッカーはふと気づいた。
左腕に表示された陣営マークがサイバトロンだ。レッドクロスが識別信号を変更したのだろうか。
(仕方ねぇな……)
自分自身、先の戦闘で彼らを『仲間』と定義した――正直なところ彼らに対して仲間意識を持っているのは否定しがたい事実だが、それでも自分にはデストロンの戦士としての自負がある。
悪いが戻させてもらおうと識別信号をデストロンに設定し――
「………………あれ?」
エンブレムはサイバトロンのままだった。
(表示機能がイカレたか……?)
一瞬そう考えるが――
「――――って、ちょっと待てぇぇぇぇぇっ!」
その異常の原因に気づき、ブリッツクラッカーは思い切り絶叫した。
「どうした?」
「『どうした?』じゃねぇ!
このサイバトロンマーク、思いっきりペイント塗装じゃねぇか! 識別信号変えてもサイバトロンマークのままだぞコレ!」
聞き返すレッドクロスにブリッツクラッカーが言い返すと、その傍らでライブコンボイと真一郎は顔を見合わせ、
「だってさ……」
「キミはもう、立派にサイバトロンじゃないか。晶もパートナー同然だし」
「違うっ!」
ライブコンボイと真一郎の言葉に言い返すが、飛び起きようとした拍子にまたもや痛みが走り、メンテナンスベッドに逆戻りしてしまう。
「いいじゃないか。
どうせマスターメガトロンはミッドチルダだ――セイバートロン星じゃ孤立無援なんだし、我々と行動しておけば」
「そういう問題じゃ……」
士郎に言い返しかけ――ブリッツクラッカーはふと気づいた。
「ちょっと待て……
マスターメガトロン様、セイバートロン星にいないのか!?」
「今さら気づいたんか……?」
思わずレンが呆れるが、ブリッツクラッカーにしてみればそれどころではない。
「そういうことだ。
ここを離れても、またランブルやドランクロン達に袋叩きになるのがオチだぜ」
「ギガストーム達も来てるし、身を守るためにもここにいるべきなんじゃないのかな?」
こいつら、絶対に確信犯だ――元デストロンのブロードキャストやそのパートナーのアイリーンにまで言われてしまい、ブリッツクラッカーは思わず頭を抱え――
「詐欺だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
渾身の力で、本日最後となる絶叫を発した。
(初版:2006/11/12)