プロローグ
〜すべての始まり〜

 


 

 

 そこは、大型のスーパーコンピュータやいくつものディスプレイが並ぶデータ解析室だった。
「……どう?」
「間違いない。
 地球への衝突コースだ」
 尋ねる声に、もうひとつの声がそう答えた。
 一方の声はまだあどけない少女のもの。そしてもう一方の声は冷静さを感じさせる、低めの男の声だった。
 だが、今はそのどちらの声も緊張し、かすかに震えているように聞こえた。
「直径と質量は?」
「……直径93.25m、質量は848,668t……」
 少女の声に男の声が答え――二人の間に流れる緊張は一気に最大レベルにまで跳ね上がった。
「それで……落下先は?」
「待ってろ。今解析してる。
 ……出たぞ。
 太平洋上――小笠原海溝だ」
「……大変だ……
 そんなところに落ちたら、“あいつら”が目覚めちゃうよ……」

 その翌日、どの新聞もこぞって一面にこう書き立てた。
 『小笠原海溝に隕石落下』と――

 そして物語は始まる。
 精霊達とその主が紡ぐ、新たなる物語が――