プロローグ
〜哀しき戦争〜
銀河の彼方の辺境の太陽系――アースはその中にある惑星だった。
緑に恵まれ、科学技術の発展したこの星は度々起こる戦乱はあれど概ね平和な時を歩んでいた。
しかし、変革の時は――訪れた。
最初に彼らを発見したのは、宇宙空間に浮かぶスペースコロニーのひとつに設置された天文台だった。
彼らの暮らす太陽系の外からやってきた彼らは、地球という星の人間だと名乗った。母星を失い、何世代にも渡って旅を続けてきたと言う。
母星と酷似しているというアースへの移住を望む彼らに対し、アース連邦政府はその要望を快く受け入れた。
だが人というものは、自分達と違う存在を決して受け入れられないものなのかもしれない。
故郷を異とする二つの種族は数々の軋轢を生み、世界各地で紛争が次々に繰り返された。
そして――それが本格的な武力衝突となるのに、さほどの時間はかからなかった。
それが、後に始まる悲劇の始まりだとも知らず――
第25アース暦64年。
戦乱の渦中にある惑星アースで、物語は始まる――
(初版:2003/10/19)