「悪いが、こちらは先日、別件でゴッドマスターに叩きのめされたばかりでな――ボーンクラッシャーと違い、油断してやる慈悲はない。
 全力で、行動不能になるまで叩かせてもらう!
 フォースチップ、イグニッション!」
 言い放つと同時、ジェノスクリームはセイバートロン星のフォースチップをイグニッション。かがみに向けて大きく口を開け、その口腔内に露出させた砲門にエネルギーを収束させていく。
「く………………っ!」
 とんでもない攻撃が来ることは素人目にもわかる――なんとか妨害しようとライトショットをかまえようとするかがみだが、先の一撃で腕がしびれたか、まともに力が入らない。
 そして――
「ジェノサイド、バスター!」
 かがみに向けて、必殺の一撃が放たれた。巨大な閃光が、一直線にかがみに向けて襲いかかる。
「お姉ちゃん!」
 つかさの悲痛な悲鳴が響き渡り――

 

 斬り裂かれた。

 

 強烈な斬撃、その剣圧によって真っ二つにかき分けられた――そのままかがみの両脇を駆け抜け、背後のスクラップの山を吹き飛ばす。
 そして――
「やれやれ……強いヤツの気配を追ってきたってのに、ずいぶんとつまんなさそうな殺し合いケンカをしてるじゃねぇか」
 ほんとうにつまらなさそうにつぶやいて――

 

 

 “剣”の属性を持つブレイカー、ブレードはその場に降り立った。

 

 


 

修行その26

ジンジン!連なる心
〜連結合体トリプルライナー〜

 


 

 

「……何だ? 貴様……」
 突如現れ、ジェノサイドバスターの閃光を難なく斬り裂いたブレード――いきなりの乱入者に対し、ジェノスクリームは警戒もあらわにそう尋ねる。
「そいつらの仲間か?
 ジャマをするというのなら、こちらも容赦は――」
「知るかよ」
 しかし、ブレードはそんなジェノスクリームの言葉をバッサリと叩き斬ってみせた。
「仲間でもなけりゃ、興味だってねぇよ、こんなザコ」
「ざ…………っ!?」
 あっさりと言い放つブレードの言葉に、かがみが思わずうめく――が、そんな彼女に一切かまわず、ブレードはジェノスクリームを指さし、
「オレが用があるのは、てめぇだよ」
「オレに、か……?」
「あぁ。
 てめぇ、結構強そうじゃねぇか。おかげで楽しくケンカができそうだ」
「……論外だな」
 告げるブレードの言葉に、ジェノスクリームはため息まじりにそうつぶやいた。
「我々は作戦行動の一環として――“いくさ”をしに来ているのだ。
 それを“ケンカ”などと……しかも『楽しく』だと?
 貴様と遊んでいるヒマなど、我々には――」
 ないのだ――そう続けることはできなかった。
 一瞬にして距離を詰めたブレードが、ジェノスクリームの足元に自らの大剣――“斬天刀”を叩きつけたからだ。
「ンなことぁ関係ねぇな」
 こちらの間合いに留まることを良しとせず、すぐに後方へと飛びのくジェノスクリームに対し、ブレードはあっさりと言い放つ。
「オレにとって、重要なのはひとつだけ……
 てめぇが強いか弱いか、それだけなんだよ」
「身の程知らずが……
 貴様、よほど命がいらんらしいな……」
 笑みを浮かべて告げるブレードに対し、ジェノスクリームは苛立ちもあらわにそう告げて――
〈ジェノスクリーム〉
 そこへ、ショックフリートから通信が入った。
〈時間をかけすぎた――これ以上の交戦は、管理局に我らのことを察知される可能性がある〉
「撤退、か……?」
〈そういうことだ〉
「…………チッ」
 ショックフリートの言葉に舌打ちすると、ジェノスクリームはブレードの前から後退、近くのスクラップの山の上へと跳び上がり、
「悪いが、もう戻らなければならんらしい。
 貴様とは、またいずれ出会う機会があるならば、その時にでも話をつけることにしよう」
「ンだと!?
 おい、待ちやがれ!」
 思わずブレードが呼び止めるが――そんな彼にかまわず、ジェノスクリームは目の前に展開したワープゲートの向こうへと消えていってしまった。
 

「ブレード!?」
「よぅ」
 ジェノスクリームの撤退と時を同じくして、ショックフリートやブラックアウトも引き上げた――ギガントボムと共に戻ってきたスカイクェイクだが、そこでかがみ達と共にこちらを待っていたブレードの姿に思わず目を丸くした。
「なぜここに?」
「強いヤツらが来てただろうが――結局逃げられちまったがな」
「……なるほど。相変わらず、強いヤツを探してケンカを売り歩いているワケか。
 まぁ、今回はそのおかげで助かったワケだがな」
 あっさりと答えるブレードの言葉に苦笑すると、スカイクェイクはゴッドオンを解いたかがみへと向き直り、
「ケガはないか?」
「……はい、大丈夫です……
 クタクタに疲れてるし、あちこちブッ叩かれたところも痛むけど……それ以外は、特に」
「そうか」
 かがみの答えにうなずくと、スカイクェイクは静かに息をつき、
「それでも、一応は診ておいた方がいいだろう。
 ギガントボム、かがみの手当てのできる設備はあるか?」
「あると思うのか? トランスフォーマーのひとり暮らしの家に」
「……ないな」
 ギガントボムの答えに思わず納得し、スカイクェイクはかがみ達へと向き直り、
「仕方ない。
 ……“アイツ”を頼るか」
 

「……と、いうワケだ」
「なるほどな」
 そう説明を締めくくるスカイクェイクの言葉に、その青年は納得し、うなずいてみせた。
 青年の名は高町恭也。あの高町なのはの兄でありシグナムの夫――そして、喫茶“翠屋”クラナガン店の店長と剣術家の二束のわらじをはく男である。
 そして、この場には彼らやかがみ達とは別にもうひとり――恭也のもうひとりの妻、高町知佳がかがみの手当てを引き受けてくれている。
「いきなり押しかけたことは謝罪するが……できることなら彼女達を管理局に関わらせることは避けたいんだ」
「つまり、“ワケあり”か……
 しかも、お前がからんでいるとなると……」
「必要以上の慧眼は巻き込まれる元だぞ、恭也」
「……つまり、また柾木がらみか」
「珍しく、今回は直接的にからんでいるワケではないんだがな」
「なるほど、それは確かに珍しい」
 釘を刺すスカイクェイクの言葉に、恭也は大体の事情を察したようだ。苦笑まじりにつぶやくと傍らへと視線を向け、
「それにしても、まさかお前も一緒にいるとはな」
「成り行きだよ。
 でなけりゃ、スカイクェイクはともかく、こんな小娘どもとオレがつるむかよ」
 恭也の言葉に答え、ブレードは憮然とした顔で息をつき――
「あの……」
 そんな彼らのやり取りを見て、みゆきはかがみの二の腕に湿布をはってくれた知佳に尋ねる。
「お二人は、スカイクェイクさんとはどのような関係なんですか?
 それに、さっき助けてくれたあの人は……?」
「うーん……」
 その問いに対し、知佳は言葉を選ぶかのようにしばし視線を泳がせて、
「まず、私達とスカイクェイクだけど……昔は敵同士だったの。
 10年前の“GBH戦役”の時、私達はサイバトロンに協力してて、スカイクェイクの率いるホラートロンとも、プラネットフォースを巡って対立してた……
 戦後は……まぁ、それほど付き合いがあったワケじゃなかったんだけど……7年前、スカイクェイクが関わった事件で、ちょっと一緒に戦う機会があってね、それからの付き合いなの 。
 それで……」
 そして、知佳はブレードへと視線を向けて、
「ブレードさんとも、同じ事件で知り合ったの。
 基本的には、悪い人じゃないんだけど……とにかく戦うことが大好きなバトルマニアでね。
 強い人を見かけたら、敵味方はもちろん、老若男女すらぜんぜん気にしないんだから、困ったものだよ」
「言ってくれるな。
 これでもガマンしてる方だぜ――恭也と斬り合うのをな」
「かんべんしてくれ。
 腕試しをしたい気持ちは、同じ剣士としてわからないでもないが、お前とやると間違いなく血戦になる」
 知佳の説明は、ブレードの耳にもしっかりと届いていた――口を尖らせるブレードの言葉に、恭也はため息まじりに肩を落とす。
「チッ、何だよ、付き合い悪いな」
 そんな恭也の言葉に肩をすくめると、ブレードは改めてかがみ達へと向き直り、
「とにかく、オレのことはだいたいわかったな?
 ま、安心しろ――てめぇらみてぇなザコに興味はねぇからな」
「ざ…………っ!?
 だ、誰がザコよ、誰が!」
「てめぇらに決まってんだろ。
 実際、さっきも負けてただろうが」
 あまりにもこちらをバカにした物言いに、思わず言い返すかがみだが、ブレードはあっさりとそう答える。
「昨日今日戦い始めたばっかりのひよっこが、偉そうに吼えるな。
 力を使ったこともなけりゃ戦い方も知らねぇんだ。ザコじゃなくて何だってんだ?
 ちょっとばかり“力”が使えるようになったからって、別にてめぇらが強くなったワケじゃねぇ。そんなの、元々眠ってた力が表に出てきただけなんだからな」
 そう言い放つと、ブレードは面倒くさそうに頭をかき、
「てめぇらはまだ弱い――まずはそこから自覚しろ。
 でないと――それこそ死ぬぞ、確実にな」
 そう告げるブレードの言葉に、かがみは傍らで自分の手当てを見守っていてくれたつかさと顔を見合わせ――
「死んだらつまんねぇぞ。
 何しろ――死んだらもう戦えねぇんだからな」
「いや、戦いたいワケじゃないですから」
 付け加えたブレードの言葉に、かがみはすかさずツッコんだ。
 

「……どういうつもりだ?」
 戦闘エリアを離脱し、集合――最後に集合ポイントに現れたジェノスクリームは、不機嫌さを隠しもせず、そうショックフリートに尋ねた。
「『どういうつもり』とは?」
「とぼけるな。
 『管理局に感づかれる』だと? 索敵妨害をかけていた張本人がよくも言う。
 あれは、念話をヤツらに傍受される可能性を懸念した上での建前だろう?」
「……さすがだ、そのくらいは判断できるか」
「当然だ」
 こちらをバカにしたようなショックフリートの言葉にムッとなりながらも、ジェノスクリームはそう答え、
「で? 聞かせてもらおうか。
 どういうつもりであの場を退いた?」
「あのままあそこで戦えば、大きな被害が予想された」
 対し、ショックフリートは冷静にそう答える。
「あの場で、貴様の前に立ちふさがった男……以前にデータを見かけたことがある」
「何…………?
 では……」
「あぁ。
 スカイクェイクと同じく、“あの男”の関係者と見ていいだろう」
 首をかしげてみせるジェノスクリームにショックフリートがうなずき、ブラックアウトが続ける。
「あのままあそこで戦闘を長引かせていては、管理局はともかく“あの男”が気づきかねん。
 だが、“あの男”との対峙は未だ時期尚早……」
「なるほどな。
 だからこそ、あの場は退き、場を仕切り直すのが最善だと判断した、か……悪くない判断だ」
 ようやく納得し、ジェノスクリームは気を取り直して尋ねた。
「それで? 策はあるのか?」
「当然だ」
 あっさりとうなずいて――ショックフリートは告げた。
「要するに……」
 

「我々が表に出ることなく叩けばいいんだ」

 

「……さぁ、どうぞ」
 かがみの手当ても終わり、恭也と知佳は“お店”に復帰――喫茶“翠屋”クラナガン店のマスターとしての顔で、恭也はカウンター席に並んで座るかがみ達に淹れたてのコーヒーを差し出した。
 地球よりも人間、トランスフォーマーの共存のための環境の整備が進んでいるミッドチルダの風潮にあわせ、店内はトランスフォーマーも歩きやすい広めの空間が用意されている――すぐ後ろのトランスフォーマー用のスペースには、スカイクェイクやギガントボムも同席している。
 ともあれ、恭也の淹れてくれたコーヒーを、みゆきは一口口に含み――
「……おいしい……」
「そういってもらえると光栄だな」
 淡々とみゆきに答える恭也だが、ほんのわずかだが口元がゆるんでいるのを妻である知佳はもちろん、スカイクェイクも見逃しはしなかった。
 感情表現の苦手な戦友に(自分のことを棚に上げて)苦笑し、スカイクェイクは自分の分のコーヒーを飲み、相変わらずの美味に舌鼓を打つ。父、士郎から受け継ぎ、アルテミスに指導できるほどにまで磨かれた腕前は健在のようだ。
 しかし――
「あぅ〜……にがぁい……」
「フンッ、この苦味のよさがわからんとは不幸なヤツだ」
「まったく、カッコつけてブラックで飲んだりするから……」
 彼女にとっては少しばかりハードルが高かった。顔をしかめるつかさの言葉に鼻を鳴らすブレードに苦笑しつつ、かがみはつかさに砂糖のびんを渡してやる。
「まぁ、恭也くん、甘いのは苦手だからねー。
 そのせいか、コーヒーもちょっと渋めのテイストを好んでるの。
 おかげでオジサマ世代には大人気なんだよ」
「いわゆる“大人の味”ということですか」
 一方でコーヒーを「苦い」と言われてしまった恭也をフォローするのは知佳だ。彼女の言葉にみゆきが相槌を打ち――
「…………む?」
 不意に、それまで無言だったギガントボムが顔を上げた。
「どうした?」
「外だ。
 往来を行き交う車の流れが変わった。どこか――それも近くで交通規制が敷かれたようだな」
「交通規制が?」
 思わずかがみが聞き返した、その時――
《臨時ニュースをお伝えします》
 突如、店内のテレビの画面がニュース番組のそれへと切り替わった。
《現在、再開発地区において作業中だった大型自動重機がコントロールを外れて暴走しております。
 現場は再開発地区の外れで、しかも重機は同地区を出る方向に進んでおり、すでに周辺地域の住人には避難勧告が出されており――》
 

 問題となっている大型重機は、上部旋回体の左右に人型の両腕を思わせる2本の頑強な作業用アームを備えた、クローラ式の半人型だった。取り押さえようとする作業員のトランスフォーマー達を力任せに振り払い、逃げ惑う人間達には目もくれずに再開発地区の外を目指して突き進む。
 そして、その様子をショックフリート以下ディセプティコン三大参謀は近くのビルの屋上から見下ろしていた。
「なるほど。
 『オレ達以外に叩かせる』とはこういうことか」
「あぁ。
 これなら、表向きオレ達が出ることはないからな。“あの男”に感づかれるにしても、そのタイミングは可能な限り遅らせることができるはずだ」
 感心するジェノスクリームに、ショックフリートは悠々とうなずいてみせる――そう。今回の重機の暴走は、彼らによって引き起こされたものだったのだ。
「しかし、ヤツらは現れるか?
 現れる前に管理局に叩かれては元も子もないぞ」
「だからこそ、ちょっとやそっとでは止められない超重級を選んだんだ」
 尋ねるブラックアウトにショックフリートが答え――またひとり、止めようとしたトランスフォーマーが暴走重機のアームによって殴り飛ばされた。
 

「……ザラックコンボイの元に届いた報告によると、外部からのコマンドを一切受け付けないそうだ。
 コントロールの奪回は、難しいな」
 諸々の事情で以前から用意していたホットラインで連絡を取り、戻ってきたスカイクェイクはかがみ達や恭也達に状況を告げた。
「コントロールできないなら、破壊するしかないんじゃない?」
「あぁ。
 だが、それも正直難しい――何しろ相手はビル解体用の超大型重機だ。ちょっとやそっとじゃ止まらんだろう。
 ギガロニアの超重級トランスフォーマーでも、数人がかりでやっと、というシロモノだ。超重級トランスフォーマーを迎えていないミッドの地上部隊では、オーバーSランク級魔導師くらいしか対抗できる戦力はあるまい。
 すでに、地上本部からの要請で所轄の部隊が派遣されたそうだが、どこまで通用するか……」
 尋ねる知佳に答えると、スカイクェイクは息をついて立ち上がる。
「行くのか?」
「正直目立ちたくはないが、犠牲者が想定される状況だ。やむを得まい。
 局員ともなればそれなりに覚悟もあろうが、犠牲にならないことに越したことはないだろう」
 尋ねる恭也に答え、スカイクェイクはきびすを返し――
「……待てよ」
 そんな彼を呼び止める者がいた。振り向き、声の主に尋ねる。
「なぜ止める?
 お前が代わりに戦うとでも言うつもりか?」
「ンなワケねぇだろが」
 しかし、ブレードはあっさりとそう答えた。首をかしげるスカイクェイクにかまわずクルリと振り向き、告げる。
「てめぇが行け」
「え………………?」
 その言葉に、目を丸くしたのは――
「…………私……ですか……?」
 

 かがみだった。

 

「ぐわぁっ!」
 またひとり、暴走重機の振り回した豪腕の直撃を受けた局員が廃ビルに叩きつけられる――その光景を眼下に眺め、ブラックアウトはため息をついた。
「ショックフリートの読み通りとはいえ、こうも一方的だとつまらないな。
 これでは、こいつらも大してもつまい。どうする?」
「どうもしないさ。
 このままヤツが市街地に入り、暴走のままに暴れ回る――それだけだ」
 尋ねるブラックアウトにショックフリートが答え――
「……どうやら、そうはならないようだぞ」
 気づいたジェノスクリームがそう告げた、ちょうどその時、
「ゴッド、オン!
 ライトフット、トランスフォーム!」

 咆哮が響き――かがみのゴッドオンしたライトフットが、暴走重機の前に立ちふさがった。
 

「かがみちゃん、大丈夫かな……?」
 かがみの立ち去った翠屋店内――カウンターに頬杖をつき、知佳は心配そうにつぶやいた。
「ねぇ、本当に助けに行かなくていいの?」
「行くべきなんだろうがな……」
 尋ねる知佳の言葉に、恭也はため息まじりにそう答え――
「行くんなら、その前にオレと“話”をつけてからにするんだな」
 そんな二人に平然と告げるブレードだが――いつも通りの物腰の裏で、腰の愛刀にそえられたままの右手が、彼がどんな形で“話”をするつもりなのかを雄弁に物語っていた。
「ま、心配はいらねぇだろ。
 お前らの心配しているような展開にはならねぇさ」
 言って、ブレードは空いている左手でコーヒーをすすり、
「アイツが……いや、違うな……」
 

「“アイツら”が、“自分達なりの強さ”をしっかりと引き出せたらな」

 

「このぉっ!」
 目の前に振り下ろされた暴走重機のアームを、かがみは前方に転がってかわすとそのまま背後に回り込み、
「ライトショット!」
 両手にかまえたライトショットで銃撃をしかけるが、自分の何倍もの大きさのある暴走重機には大したダメージにはならない。むしろ射撃によってかがみの位置を察し、力任せにアームを振り回してくる。
「あー、もうっ! チクチク刺してるだけじゃどうしようもないっ!」
 うめき、かがみは改めてライトショットをかまえ、
「フォースチップ、イグニッショぅわぁぁぁぁっ!?」
 フォースチップを使おうとするが、それよりも早く暴走重機がアームを振り下ろしてきた。咆哮もそこそこに地面を転がり、かがみは必死に暴走重機の攻撃をかわし――
「今度こそ!
 フォースチップ、イグどぅわぁぁぁぁぁっ!?」
 今度は近くのダンプカーを投げつけられた。再びイグニッションを阻まれ、かがみはとっさに飛来するダンプカーをかわし、
「ったく、どうしろってのよ、こんなの!」
 舌打ちするが、それで状況が好転するワケではない。かがみは突破口を探りつつ暴走重機をにらみつけ――そんなかがみに、暴走重機が襲いかかる!
 

「お姉ちゃん!」
「かがみさん……!」
 暴走重機と戦うかがみの様子は、目の前のモニタに鮮明に映し出されていた――それぞれの場所でその光景を目にして、つかさとみゆきは不安そうに声を上げた。
「ギガントボムさん!」
「わかってる! そう急かすな!」
 声を上げるみゆきの言葉に、“外”で作業を進めるギガントボムは手を止めることなくそう答える。
「けど……本当に私達にできるのかな……?」
「賭け、としか言いようはないが……それでも賭ける価値はあるはずだ」
 その一方で、自信なさげにつぶやくつかさにはスカイクェイクが答えた。
「ブレードの、相手の強さ、“力”を測る目は確かだ――何しろ、戦い抜くために命がけで磨いたスキルなんだからな。
 そのヤツが『いける』と判断したんだ。非科学的なものではあるが、信じるに足る根拠だとオレは考える。
 別に、ヤツの言葉を信じろとは言わんが……せめて、ヤツの打ち立てた仮説そのもの、くらいは信じてみないか?」
「う、うん……!」
 スカイクェイクの言葉にうなずき――つかさは先ほどの翠屋でのやり取りを思い返した。
 

「お姉ちゃん……!」
 渋るかがみを「大丈夫だから行ってこい」とムリヤリ送り出し、ブレードはふぅと一息――そんな彼のとなりで、つかさは不安げに姉を呼び――
「……ブレードさん」
 静かに、みゆきはブレードに声をかけた。
「本当に、かがみさんは勝てるんですか?
 先ほどの戦いで見たかがみさんの火力では、最大威力のハウリングパルサーくらいしか、あの大きさの重機に対抗できる武器は……」
「ま、確かにムリだな」
「ちょっ、ブレードさん!?」
 あっさりとかがみの振りを認めたブレードの言葉に、知佳は思わず声を上げて――
 

「……“アイツだけなら”な」
 

「………………は?」
 続いたブレードの言葉に、その声は間の抜けたものに変わった。動きを止める知佳にかまわず、ブレードは恭也へと向き直り、
「おい、高町兄。
 てめぇは単独でも十分に強いな?」
「ん? あぁ……
 そもそも、オレは自分の手でみんなを守るために強くなったからな」
「ンなことはとっくに知ってる。
 だがな、すべてのヤツがそうやって強くなるワケじゃねぇだろ?」
 そう答えると、ブレードは肩をすくめて告げる。
「オレやお前とは対極――ひとりで強さを発揮するんじゃねぇ、仲間がそろって、初めて強さを発揮できるヤツだっているんだ。
 オレの見立てじゃ、あの柊かがみとかいう娘っ子はまさにその典型だ――仲間のために、仲間がいるから、そういう状況だとやたら強いが、そこから外れちまうとカケラも強さを発揮できなくなっちまうタイプだ」
「そ、そういうことをサラリと言うな!
 それなら、なおさら援護がいるだろうが!」
 ブレードの言葉に、あわててスカイクェイクが声を上げるが――
「話を聞いてねぇな」
 そんなスカイクェイクに、ブレードは落胆のため息と共にそう告げた。
「アイツが今必要なのは、助けてくれる、守ってくれる“保護者”の存在じゃねぇ。
 あくまでアイツと共に戦場に立てる存在――共に並び立てる“仲間”だ。
 そういう意味じゃ、反論の余地もないぐれぇに格上のオレ達じゃ、アイツの強さを引き出してはやれねぇよ」
「むぅ……
 な、なら、すぐにでもこなたを呼んで……」
 うめくスカイクェイクだが――そんな彼を制し、ブレードは告げた。
「ンなこと、する必要ねぇよ。
 てめぇらは“こういうこと”には鼻が利かねぇからな、わからなくてもムリはねぇが……」
 言いながら、ブレードは振り向き、
「あの娘っ子と“同じ力”を眠らせてるのが、二人もここにはいるんだよ」
 言って――ブレードはつかさとみゆきへと自信に満ちた笑みを向けた。
 

(私には、とてもそんな力があるなんて思えないけど……
 ……けど、もし、私もお姉ちゃんを手伝えるなら……!)
(泉さんやかがみさんが戦うのを、私はただ見ているしかできない……
 けど……もし、私にもお二人を支えることができるのなら……)
 そのブレードの言葉を信じたからこそ、自分達は今ここに座っている――それぞれにトランステクターのコクピットに座り、つかさとみゆきは心の中で祈りを捧げる。
 大切な家族の、かけがえのない友人達を守りたい。彼女達の力になりたい――そんな想いのまま、静かにコクピットの操縦レバーを握りしめる。
(怖いけど……戦いたくなんかないけど……)
(そうやって何もしないで、泉さんやかがみさんが傷つく方が、もっとイヤです!)
 決意と共に、二人は顔を上げ――
「準備完了だ!
 マスター選定システム、コクピット搭乗者とのリンク完了!」
 そんな二人に、ギガントボムが準備の完了を告げた。
「ただでさえ正規の手順を踏まずにリンクさせてるんだ。うまくいくかは、それこそお前ら次第だぞ!」
「はい!」
「うん!」
 ギガントボムの言葉にみゆきが、つかさがうなずき――彼が自分達のために選んでくれた“相棒”へと呼びかける。
「お姉ちゃんを守りたいの……」
「かがみさんや、泉さんの力になりたいんです……」
 

『だから、応えて!』

 

 

「ぅわぁっ!」
 自らの上に覆いかぶさってくる危険に対してあわてて離脱――その場を離れたかがみの前で、暴走重機に基礎を破壊された廃ビルは音を立てて崩壊する。
「ったく……そろそろ、ヤバイかな……!」
 いくらトランステクターの助けがあっても、彼女自身は普通の人間と変わらない――身体にのしかかってきた疲労感を前に、かがみはどこか自嘲気味につぶやく。
 そんな彼女に対し、暴走重機はゆっくりとアームを振り上げて――転倒した。
 突然真横から砲撃の雨を受け、その衝撃で体勢を崩されたのだ。
「な、何……!?」
 いきなりの急展開に、かがみは思わず声を上げ――
「お姉ちゃん!」
「大丈夫ですか!?」
 自分に呼びかける声と共に、駆けつけてきたのはギガントボムの所有していたトランステクターの内の2機――E1系新幹線型、400系新幹線型だ。
 そして、その声は自分のよく知るもので――
「つかさ!? みゆき!?」
 そう。それは自らの妹と親友の声――思わず声を上げるかがみの前で、つかさの乗る“レンジャーライナー”とみゆきの乗る“ロードライナー”は暴走重機に向けて走り、
『ゴッドオン!』
「レインジャー!」
「ロードキング!」

『トランスフォーム!』

 それぞれのトランステクターにゴッドオン、ロボットモードへとトランスフォームしてその場に降り立つ。
 対し、暴走重機はゆっくりとその身を起こし、つかさとみゆき――レインジャー、ロードキングの前にその巨体をそびえ立たせるが、
「怖くない……!
 ホントは怖いけど……お姉ちゃんや、ゆきちゃんがいるから怖くないもん!」
「『大男、総身に知恵が回りかね』ですか……
 力だけでは“強さ”とは言えませんよ」
 つかさやみゆきはひるまない。自らの怯えを懸命にこらえるつかさと冷静に相手の状態を観察するみゆき、二人は正面から暴走重機と対峙し、
「いっくぞーっ!
 フォースチップ、イグニッション!」
 先陣を切ったのはつかさだ。ギガロニアのフォースチップをイグニッション。フルドライブモードへと移行すると全身の火器を展開し――
〈Charge up!
 Final break Stand by Ready!〉

「レンジャー、ビッグバン!」
 放たれた砲火が暴走重機に降り注いだ。強烈な砲撃の連鎖に、暴走重機はさすがにバランスを崩し――
「そこです!」
 後に続くのはもちろんみゆきだ。背中に合体していた、レドームユニットを備えたバックユニットにマウントされていた専用銃“ロードショット”を手に取り、
「フォースチップ、イグニッション!」
 地球のフォースチップをイグニッション。そのエネルギーをロードショットへと流し込み、
〈Charge up!
 Final break Stand by Ready!〉

「スナイピング、ボルト!」
 その銃口が火を吹いた。つかさのレンジャービッグバンによって破損していた左のアームの亀裂を正確に捉え、巻き起こった爆発が左アームを中ほどから引きちぎる!
「す、すごい……!」
 その光景にかがみが思わずうめくと、
「お姉ちゃん、次はお姉ちゃんの番だよ!」
 そんなかがみに駆け寄り、つかさは彼女の手を取って告げ、
「そうですね……
 やられっぱなしで引き下がる、というのは、いつものかがみさんらしくありませんよ」
 そんな二人の手にさらに自らの手を重ね、みゆきもまたかがみにそう告げる。
「…………そうね。
 二人の言う通りだわ」
 そして、かがみは暴走重機をにらみつけ、
「さんざんやられたんだもの……借りはしっかり返してやるわよ!」
 なぜか、と聞かれても、答える言葉を持たない。
 だが――なぜか“できる”と確信した。その想いに任せ、告げる。
「つかさ! みゆき!」

 

 

「合体するわよ!」

 

「ライトフット!」
「レインジャー!」
「ロードキング!」

 かがみが、つかさが、みゆきが――3人が名乗りを上げ、頭上に大きく跳躍し、
『ゴッド、リンク!』
 咆哮と同時、3人がゴッドオンしたまま分離、変形を開始する。
 かがみのゴッドオンしたライトフットは両足が分離、両腕を後方にたたんだライトフットの両側に合体し、より巨大な上半身へと変形する。
 一方、つかさのレインジャー、みゆきのロードキングはそれぞれ上半身と下半身、さらにバックユニットの三つに分離、下半身は両足がビークルモード時のように合わさってより巨大な両足に。さらに二つの下半身が背中合わせに合体、下半身が完成する。
 完成した下半身にライトフットの変形した上半身が合体、さらにそのボディの両横、右側にレインジャーの、左側にロードキングの上半身か合体、内部から二の腕がせり出し、両肩が形成される。
 そして、現れた二の腕にレインジャーとロードキングのバックユニットが合体。拳がせり出し、両腕が完成する。
 最後にライトフットの頭部により大型のヘルメットが被せられた。フェイスガードが閉じると、その瞳に輝きが生まれる。
 すべてのシークエンスを完了。ひとつとなったかがみとつかさ、みゆきは高らかに名乗りを上げる。

『連結、合体! トリプルライナー!』
 

「どう!? 3人が力を合わせた合体戦士、トリプルライナー!
 この姿になったからには、もう好きにはさせないわよ!」
 合体を完了し、着地――先のつかさとみゆきの連続攻撃によって崩れた体勢を立て直した暴走重機に対し、トリプルライナーの主導権を握るかがみは高らかにそう宣言する。
《サポートは私達に任せてください!》
《お姉ちゃん、がんばれ!》
「OK!」
 “裏側”に引っ込んだつかさみゆきの言葉にうなずくかがみだが、そんな彼女に向けて暴走重機は未だ健在の右のアームを振り下ろし――
「そんなの!」
 それを、かがみは真っ向から受け止めた。両手でアームをガッシリと捕まえ、
「どっ、せぇいっ!」
 渾身の気合と共に身をひるがえし――合体した今でも体躯で勝る暴走重機を、力任せに投げ飛ばす!
 轟音と共に大地に叩きつけられる暴走重機からバックステップで距離を取り、かがみは右腕に装備されたレインジャーの重火器群を暴走重機に向け、
《出力バッチリだよ、お姉ちゃん!》
《照準もOKです!》
「了解!
 レンジャーバスター!」
 つかさとみゆきのサポートのもと、右腕の“レンジャーバスター”で暴走重機に向けて砲撃。右腕のアームを吹き飛ばす!
 それでも、暴走重機は身をひるがえし、唯一つながっていたケーブルで右のアームを振り回し、叩きつけてくるが――
「レドームシールド!」
 対し、かがみは左腕に装備したロードキングのレドームユニットをかまえた。レドームから放たれたエネルギーが物理的なバリアとなり、飛んできた暴走重機のアームを弾き飛ばす!
「もう打つ手はないでしょ!
 トドメにいくから――とっととやられなさい!」

「フォースチップ、イグニッション!」
 かがみが咆哮すると同時、彼女の元に飛来したのはミッドチルダのフォースチップ――背中の、ライトフットのチップスロットへと飛び込むと四肢の装甲が展開。放熱デバイスが起動し、“フルドライブモード”へと移行する。
〈Charge up!
 Final break Stand by Ready!〉

「いっけぇっ!」
 トリプルライナーのメインシステムが告げる中、かがみは大きく跳躍、暴走重機に向けて襲いかかり――その周囲で突如旋風が巻き起こった。
 フォースチップのエネルギーがかがみの持つ“風”の属性として現れたのだ――竜巻と貸したそれに導かれ、かがみはその身をドリルのように高速回転させながら暴走重機へと突撃し、
《旋風――》
《疾走!》

「ライナー、トルネードスピン!」

 つかさ、みゆき――かがみの咆哮と共に、竜巻のドリルとなって暴走重機の巨体を貫く!
 そして、トリプルライナーはドテッ腹を貫かれた暴走重機の後方に着地し、
「《終点――到着!》」
 3人のトランステクターの共通項“列車”になぞらえた勝ち鬨の声と共に、暴走重機は大爆発を起こして大破した。

 

「……失敗、だな」
「あぁ……
 まさか、ヤツらのトランステクターに合体システムが備わっていたとはな」
 その様子を後方から眺め、つぶやくジェノスクリームにショックフリートが同意する。
「とりあえずは、あの新たな戦力の分析をすべきだろう。
 あれだけの戦力、すぐには使いこなせないだろうが、かと言ってバカ正直に真っ向から攻めても、力押しでツブされるだけだ」
「そうだな」
 口に出して同意するブラックアウト、無言でうなずくジェノスクリーム――二人の答えにうなずくと、ショックフリートがワープゲートを展開。3人はその場から撤退していった。
 

 こうして、つかさとみゆきがゴッドマスターとしてデビュー。さらにトリプルライナーへの合体を果たしたかがみ達。
 これで話がすんなり片付いてくればよかったのだが――

「なぁぁぁぁぁっ!?」
 そうはいかなかった――戦闘後、ギガントボムのジャンク屋に戻ったかがみ達は、自分のトランステクター、ライトライナーの“惨状”を前に思わず我が目を疑った。
「れ、レンジャーライナーが……」
「ロードライナーも……
 合体に使用したジョイント部分が、ボロボロに……!?」
 そしてそれは、つかさやみゆきも同様――愛機の装甲が歪み、その奥に見えるジョイント部分がボロボロになっているのを見て、二人もまた呆然とつぶやく。
「……ギガントボム、これは……」
「たぶん、お前の考えている通りだ」
 尋ねるスカイクェイクに答えると、ギガントボムはかがみ達に告げる。
「そいつは、合体の衝撃を殺しきれなかったことからきたダメージだ。
 気合に任せて、勢いだけで合体したりするから、こういうことになる」
「そ、そんなのアリ!?
 普通、ここは限りなく0に近い成功率を勇気で補って100%に持ってくところでしょ!?」
「そうならないのが現実の悲しいところだよ」
 動揺がよほどひどいのか、こなたのような例え方をするかがみにギガントボムが答えるのを見て、スカイクェイクは息をつき――彼女達に対し、静かに告げた。
「お前ら……しばらく合体禁止な」
 

9月某日
“カイザーズ”アジト――

「……とまぁ、そんなことがあったらしいよ、スカイクェイクが言うには」
「そっか……」
 回想を終え、話を締めくくるこなたの言葉に、イリヤは納得してそううなずいてみせた。
「合体できるのはスカイクェイクから聞いてたけど……ミッションでぜんぜん使わなかったのは、そういう理由があったからなんだ……」
「ですね。
 結局、実戦で使ったのはその一度だけです」
「あとは、練習で何回か合体してるけど……なかなかうまくいかないんだよねー」
 つぶやくイリヤにみゆきやつかさが答えるのを、かがみは自分のことを話された照れくささもあって苦笑まじりに眺めていたが――
「…………あれ?」
 ふと、スカイクェイクが難しい顔をしているのに気づいた。
「……どうしたのよ?」
「いや……
 あの時のことを思い返せば返すほど、腑に落ちないことを以前から抱えていてな」
 尋ねるかがみにそう答え――スカイクェイクは彼女に尋ねた。
「お前達友達4人、全員が全員ゴッドマスターとしての覚醒を遂げた……
 偶然にしては、できすぎていると思わんか?」
「……そうよね。
 私も、気にはなってたのよ……いくら考えてもわかんないからあきらめてたんだけど」
 そんなスカイクェイクの言葉にかがみが肩をすくめて同意すると、
「……偶然じゃ、ないのかもしれません」
 そう答えたのは美遊だった。
「どういうことですか? 美遊さん」
「この件に関して、柾木は一切手を下していない――それは断言できる。
 これが偶然でないのなら……誰が介入した結果だと言うんだ?」
「いえ、誰が、というか……」
 聞き返すかがみとスカイクェイクの言葉に、美遊は少し困ったようにそう答え、
「前に……ジュンイチさんが言っていたことがあるんです――」

 

「『異能と異能は、引かれ合う』と……」

 

 

ミッドチルダ第4空港――

「では、次の方」
「はーい♪」
 渡航審査窓口、その席に座る受付嬢に答え、進み出たのはひとりの女性だった。
 真紅の髪を腰まで垂らし、ジーンズにジャケットといったラフな服装にまとめた、強い意志をその瞳に秘めた勝気そうな女性である。
 そんな彼女の差し出した書類を、受付嬢は順に目を通していき、
「管理外世界からの渡航ですね……陸士部隊からの要請で?」
「はい」
「では、所属と名前をお願いします」
「えぇ」
 受付嬢にそううなずいて――彼女は名乗った。
「第108管理外世界、“Bネット”機動部、実働教導隊壱番隊々長――」

 

 

「ライカ・グラン・光凰院です」


次回予告
 
こなた 「にゃーっはっはっはっ!
 全国のユニクロン軍、ディセプティコンに悩まされている諸君!  私達“カイザーズ”があなたの悩みを即解決!
 今なら、金利、手数料はすべて無料!
 さぁ、声を合わせて――」
スバル 「次回! あたし達の話に戻ります!」
こなた 「次回、魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜
 第27話『真紅の雷光〜(自称)美少女教官登場!?〜』に――」
二人 『ゴッド、オン!』

 

(初版:2008/09/27)