それは、今から数ヶ月前の出来事――
 

 恒星にも匹敵する巨大な惑星――重力に捕らわれたアステロイドが集まってできたリングを備えたその惑星の衛星軌道上で、その艦船はトラブルに見舞われていた。
 古い貨物船のようだが――機関部に多数の破損が見られ、コンテナ区画にも破損が見られる。
 と――そのコンテナの破損、外殻の裂け目から何かがこぼれた。
 頑強なケースに守られたそれは、大気圏突入の高熱にも耐えて地表へと落下し――
 

「…………ん?」
 彼がそこを通りかかったのはほんの偶然だった。クレーン車のビークルモードからロボットモードへとトランスフォームし、異変の起きた海上を見渡す。
 すでに海面は静寂を取り戻している――しかし、彼はそれを目の当たりにしていた。
 何か、真紅に光るものが海面に激突し、水柱を上げるのを。
「あれは……一体……?」
 首をかしげるが――ここからでは上手く状況がつかめない。誰かに知らせるべきかとも考えるが――
「……いや、確証がない。
 報告は確実な裏を取ってからだ」
 そう決断し――彼はビークルモードへとトランスフォームし、その場を後にした。

 

 その頃、ミッドチルダのとある場所で――
「ドクター」
 かけられたその声に、広域次元犯罪者ジェイル・スカリエッティは面倒くさそうに振り向いた。
「どうしたんだい? ウーノ」
 尋ねる彼の言葉に、ウーノと呼ばれたその女性は静かに告げた。
“荷物”のひとつに問題が」
 

 それから数ヶ月が経ち――現在に至る。

 

 


 

第32話

一日親方
〜フォワード部隊の土建屋体験記〜

 


 

 

「アスカさん、アスカさん!
 朝ですよ、起きてくださぁいっ!」
 機動六課、隊員宿舎――起床時間を前に、キャロはいつも同じベッドで眠っている、ただし今は自分だけ布団に頭まで潜り込んでいる同居人を揺り起こそうと奮闘していた。
 アスカ・アサギは朝が弱い――朝練のために自分達フォワード部隊の起床時間が早めに設定されていることもあるが、元々大学の研究員であったアスカは研究のために夜更かしが多かったことから、その習慣が早めの就寝を許してくれない。ベッドに入ってもなかなか寝つくことができず、結果的に睡眠時間が削られて朝起きるのが辛くなってしまうのだ。
「きゅっ! きゅきゅっ!」
 懸命にアスカを揺するキャロに加え、フリードも布団に潜り込んだアスカの上でピョンピョンと飛び跳ねて起こしにかかる――たまにキャロの揺り起こす動きと重なってアスカの上でひっくり返るが、それでもアスカの目覚める様子はない。
 キャロとフリード、二人の奮闘は実に5分以上も続き――
「…………うにゅ……」
 布団の中から右手だけが伸びてきた。枕元に置かれたケースを片手で器用に開き、中の眼鏡を手に取ると再び布団の中に潜り込み――
「………………ん。起きた」
 布団の中で眼鏡をかけ、ようやく目を覚ましたアスカがキャロに告げた。布団をはぐって身を起こし――
「きゅぅっ!?」
 はぐった布団はフリードにかぶせられていた。

 朝起きるのが困難であるアスカだが、頭脳をウリにする職業柄か一度目覚めてしまえば覚醒は早い――手早く身支度を整え、キャロと共に隊舎の正面――ではなく、その前に隊舎の裏の林に顔を出す。
 そこにいるのは、すでに自主トレに励むキャロのコンビパートナーとその兄貴分――
「たぁぁぁぁぁっ!」
 裂帛の気合と共に、愛槍ストラーダをかまえたエリオが最大戦速で突撃を繰り出す。が――
「甘い」
 義兄であり厳しい師でもあるイクトは容赦なくダメ出しを下した。意図的に作り出した紙一重の距離でエリオの刺突をかわし――その直後に身を沈め、すれ違いざまに背後から横薙ぎに振るわれた斬撃をも回避する。
 刺突の勢いでエリオの身体はそのまま後方へ――間合いが開き、着地したエリオへと振り向くとイクトは静かに告げる。
「昨日教えたばかりの連撃――マスターできたのがうれしいのはわかるが、昨日の今日で多用しすぎだな。容易に読める」
「は、はい……」
「だが――これを初めて目にする相手に向けて放つことを想定した場合、実に理想的なタイミングだ。
 全体重を乗せた刺突だ。当然相手もそれが本命だと思い込む――」
「だからこそ、それが“刺突に見せかけた、ただ間合いを詰めるだけの動き”だとは気づかない――ですよね?」
 そう。今の刺突、実は相手の正中線に対し微妙に狙いを左、ないし右に散らすようにしている。こうすることで相手に回避しやすくしてあるのだ。
 そして、回避しやすくしてあるからこそ、余裕を得た相手はカウンターを狙ってくる――自分のカウンターよりも早く、“かわされることを前提としていた”こちらの本命が打ち込まれることに気づけずに。
 無論、最初の一撃が決まればそれが最上。仮に一撃目が決まった場合でもおかしな決まり方をしないよう、フェイクの突撃においても相応の体勢で放てるようにフォームの矯正はこの連撃を教えた際に念入りに行なっている。
「よし、もう一度打ち込んでこい。
 今の連撃にこだわらなくていい。相手がオレだということもとりあえず思考からしめ出せ。
 オレを敵と仮定し、お前の持ち得る技の中からもっとも適切なものを選び、叩き込んでこい」
「はいっ!」
 告げるイクトに元気に答え、エリオはストラーダをかまえ――

「はーい、ストーップ」

 そんな二人の間に割って入ったのはアリシアだった。
「……どうした?
 こっちはいい感じにウォームアップも仕上がってきて、これからというところなんだが」
「それはそれは、悪いことしちゃったね。
 けど、そっちは中止――集合かかってるから、作戦指令室にみんな集まってくれる?」
「集合……?
 また実働教導?」
「ううん、違うよ」
 聞き返すアスカに答え、アリシアは告げた。
「シャープエッジの時と同じ――」
 

「新しいトランスデバイスのお迎えだってさ」

 

「今回は、ギガロニアに行ってもらおうと思っとる」
 集まった一同を前に、ライカを傍らに控えさせたはやては開口一番そう切り出した。
「ギガロニア……ですか?
 確か、建築がやたらと盛んな惑星ですよね?」
「あぁ。それもかなりのハマりっぷりだな」
「本来のギガロニアの星を人口的な外殻で覆って、さらにその表層を開拓し尽くしたらさらに外殻を作り足して――そんなことを繰り返した結果、何層にも渡る階層が形成され、星自体も巨大化したっつーんだから、もう筋金入りだな」
 ギガロニアに関する知識を思い出し、つぶやくエリオに説明するのは、先日のティアナを巡る一連の騒動以来“研修”の名目で捜査に加わっている晶とブリッツクラッカーだ。
「それで、今回迎えに行くトランスデバイスはどんな人なんですか?」
「1番機。現世代機の中では最先発機よ」
 一方でキャロに答えるのはライカだ――しかし、その彼女の答えに、ティアナは思わず首をかしげた。
「『最先発機』……?
 一番最初は、ブレインジャッカーじゃ……?」
「『現世代機の中では』って言ったでしょ?――開発世代が違うのよ。
 同じGLXナンバーではあるけど、ブレインジャッカーは開発ノウハウすらない時期に、その辺も含めて一から組み上げた“第零世代”。
 で、そのノウハウを基に作られたジェットガンナー達は“第一世代”と……」
 つぶやくティアナにライカが答えると、
「……でも……ブレインジャッカーも、何考えてるんだろうね……」
 ポツリ、とつぶやくのはスバルだ。
「アニマトロスじゃ、キャロを助けてくれたって言うし……」
「そうだね……
 “心”のことを知りたがってる、っていう動機はハッキリしてるけど、そのためにやっていた“連続集団神隠し事件”も起こさなくなっちゃったし……」
「行動が読めなくなってる、っていうのは、少し気になるね……」
 スバルの言葉になのはとフェイトが応えると、
「それより、今はギガロニアの1番機でしょ?」
 脱線しかかった話をアリシアが軌道修正。うなずき、はやてが話を続ける。
「ともかく、今回迎えに行くのがギガロニアにいる1番機、っちゅーのは理解してくれたね?
 とりあえず、今回も前回のアニマトロス同様、隊長格1名とそのパートナーの引率で行ってもらおうと思っとるけど……いきなりみんなを呼び集めたことからして予想がつくと思うけど、まだ誰が今回の引率を務めるか、ってトコまでは決めとらへん。
 誰か、立候補はおらんかな?」
「じゃあ、私が……」
 尋ねるはやてになのはが手を挙げるが――
「待て」
 そんななのはに待ったをかけたのはイクトだった。
「何ですか? イクトさん。
 ……ま、まさか、また特訓とか!?」
「そうじゃない。
 確かに貴様に訓練を課すワケだが――今回は体力訓練ではない。
 だからそう身がまえるな。完全に逃げ腰になってるぞ」
 怯えるなのはにそう答え、イクトはコホンと咳払いして仕切り直し、
「トランスデバイスの加入で新人達のフォーメーションも様変わりしてきたからな……ここで一度、すでに加入しているメンバーの分だけでも訓練計画を見直しておく必要があるんじゃないのか?」
「あぁ、そういうことですか……」
「そういうことだ。
 元々管理局の戦技教導は短期が基本だからな――貴様も六課でやっているような中長期の教導計画を立てるノウハウはあるまい。
 今のうちから光凰院に教わって、トランスデバイスが勢ぞろいした後の計画再考に備えておけ。
 ヴィータ・ハラオウン。貴様も高町のフォローを続けたいと思うのなら同様だ」
 納得するなのはやそのとなりのヴィータに告げると、イクトは息をつき、
「と、いうワケでスターズの二人は却下だ。他のメンツで頼む」
「となると……またフェイトちゃんかな?
 でも、連チャンっていうのも……かと言って、シグナムさんも交代部隊の指揮で動けないし……」
「はーい、あたしも大学の方に顔出す用があるからパスねー」
「何だよ、見事に全滅じゃねぇか」
 イクトの言葉につぶやくなのはやアリシアの言葉にブリッツクラッカーがつぶやくと、
「……そうやね……
 フォワード部隊の隊長さんはみんなムリみたいやねー……」
 どこか自信の込められたはやての声――見れば、デスクに両肘を突き、組んだ手で口元を隠した、どこぞの特務機関の司令を髣髴とさせるポーズで何やら考え込んでいる。
「何だよ、はやて?
 誰か心当たりでもあるのかよ?」
「今言ったとおり、隊長格のみんなは全員ムリだよ?」
「フッフッフッ、甘いなー♪
 隊長格やったら、もうひとりおるやんか」
 尋ねるヴィータやなのはに答えると、はやては自信タップリに立ち上がり、
「そう!
 部隊の総“隊長”たる、この八神はやて嬢が!」
「は、はやてが行くの!?」
「しゃーないやん。他に行ける子がおらへんのやろ?
 幸い、しばらくはカリムや他の部隊のお偉いさんとの会談の予定も入ってへんし、書類仕事やったら補佐官のグリフィス君に権限を一時委譲すればのーぷろぶれむ!」
 驚くアリシアの言葉に、はやては拳を握りしめてそう答える。
「し、しかし、主はやて自らが赴かずとも……」
「それは違うよ、シグナム」
 やはりはやてが心配なのか、あまりいい顔をしないシグナムだが、そんな彼女にはやては諭すように告げる。
「ジェットガンナーやシャープエッジもそうやけど、トランスデバイスの子達もみんな、この機動六課で一緒に戦うことになる仲間なんよ。
 力を貸してくれる人達に失礼はできへん。本来やったら、全員私が出向いて迎え入れたかったぐらいや」
「そ、そういう、ことでしたら……」
 はやての主張はある意味正論だ――これにはさすがのシグナムも引き下がるしかな――
「しかし、主はやてを危険にさらすワケにはいきません!
 そういうことでしたら、ぜひ我らを護衛に!」
「いや、そもそもシグナム達が行けへんからって、私が名乗りを上げたんやけど!?」
 訂正。ちっとも引き下がっていなかった。
「そんなに心配せぇへんでも、ビッグコンボイも一緒に行くんやし、そうそう危ないことにはならへんよ」
「わ、わかりました……」
 ようやくシグナムが納得したのを受け、はやては一同を見渡し、
「ほな、シグナムも納得してくれたことやし、さっそく出発準備や。
 今までの派遣と同じように、スペースブリッジまではヴァイスくんとスプラングに運んでもらうから、集合は屋上ヘリポートな」
『了解!』
 はやての言葉にうなずき、スバル達はそれぞれ準備のために散っていき――
「……テスタロッサ」
 そんな中、イクトは小声でフェイトに声をかけた。
「少し、いいか?」
「………………?」
 

「どうしたんですか?」
 人気のない廊下の一角間で連れてきたイクトに対し、フェイトは不思議そうにそう尋ねた。
「キャロやエリオの準備を手伝ってあげなきゃならないんですけど……」
「世話を焼くのはそこそこにしておけ。あまり手を出すと嫌われるぞ」
 フェイトの言葉に苦笑し――イクトは表情を引き締め、告げた。
「モンディアル夫妻とルシエの里の件についてだ」
「――――――っ」
 その言葉に、フェイトもまた表情を引き締める――息をつき、イクトは続ける。
「貴様らがアニマトロスに向かった後、オレなりに少し調べてみた――城島晶やブリッツクラッカーにも動いてもらってな」
「あぁ、それで……」
 最近二人の姿を朝と夜しか見ないと思ったら、イクトの指示で動いてくれていたのか――納得するフェイトだが、イクトはマジメな表情のまま続ける。
「その結果――モンディアル夫妻の件の方で、意外な連中の名前が浮かんできた」
「意外な……連中……?」
 聞き返すフェイトに、イクトは静かにうなずいてみせる。
「モンディアル夫妻の件……書類上は魔導機械との偶然の接触が事故の原因とされている。
 つまり、モンディアル夫妻がガジェットに襲われたワケではない、というのが公式の見解なワケだが――ひとりだけ、その結論に疑問を持っていた男がいた。
 首都航空隊の若手エース、ある程度の自由が認められていた立場を活かし、そいつは独自に捜査を始め――だが、その直後、逃走する違法魔導師を追跡中、殉職することになる」
「そう、なんだ……
 生きていたら、何か話が聞けたかもしれないけど……」
 イクトの言葉にフェイトはそうつぶやき――気づき、動きを止めた。
「…………ちょっと待って。
 “首都航空隊所属”の、“犯人追跡中に殉職した若手エリート”って……」
「あぁ……
 モンディアル夫妻の事故に不審な点を感じ、調べていたのは――」
 

「ティーダ・ランスター。
 今は亡き、ティアナ・ランスターの兄だ」

 

 そんな事実が明かされていることなど露知らず、スバル達ははやての指揮で一路ギガロニアへと向かった。
 ヴァイスとスプラングにスペースブリッジポートまで送ってもらい、そこからギガロニア行きのスペースブリッジで一気に移動。今回も何事もなくギガロニアに到着し――
 

『デカっ!』
 

「…………すさまじくよく似た光景を、アニマトロスで見た気がするんだが」
「え、えっと……」
 やってきたのは「とてつもなく」という表現では足りないほどに巨大なビルが立ち並ぶギガロニアの街並み――圧倒され、声をそろえて驚くスバル、ティアナ、アスカの3人を前に、マスターコンボイのつぶやきを聞いたキャロはコメントに困って頬をかくしかない。
「データの上では知っていたが、すさまじい大きさでござるな……」
「大きいだけではない。その重量に耐えられる、この素材も特別なようだ。
 ミッドのコンクリートとは明らかに違う――密度がゆうに3倍はある」
 一方、圧倒されているのはこちらも同じだった。ビルを見上げてつぶやくシャープエッジに対し、ジェットガンナーはビルに使われているコンクリートをスキャンし、その結果に感嘆の声を上げる。
「はーい、みんな、集まってやー♪」
《そろそろ行くですよー♪》
 そんなスバル達を呼び集めるのははやてとリインだが――
「……そのペナントっぽい三角旗は何だ?」
「ガイドさんには必須装備や?」
「いつからガイドになったんだ、お前は?」
「こういうのは雰囲気が大事なんやでー♪」
《ですぅ!》
 はやてが手にしている小さな旗を指摘するのはビッグコンボイだ――あっさりと答えるはやて達の言葉にため息をつき、改めて一同を呼び集める。
「で? これからどうする?」
「流れとしては前回のアニマトロスと同じだ。
 このギガロニアの大帝と接触する」
「じゃあ……アニマトロスの神殿みたいな、この星の政庁とかに?」
 マスターコンボイに答えるビッグコンボイにティアナが尋ねた、その時――
〈その必要はないぞ〉
 突然入った通信が、スバル達にそう告げた。
「あ、あなたは……?」
 そんな通信の主にエリオが尋ね――同時、大地が鳴動を始めた。
「じ、地震!?」
「大変でござる!
 姫、拙者の下に!」
 驚くキャロにシャープエッジがあわてて駆け寄り――そんな一同の前でそれは始まった。
 道路が割れ――いや、“展開され”、地下に隠れていた巨大な建造物が姿を現したのだ。
 基地、あるいは要塞とも例えられそうなその建物は完全に地上にその姿を現し――
「トランス、フォーム!」
 咆哮と共に、要塞自体がゆっくりとトランスフォームを開始した。重厚なモーター音と共に起き上がると、展開された各部が腕を、足を形成していく。
 最後に要塞の頂上の指令室らしき区画が頭部に変形し、巨大な姿を現したそのトランスフォーマーはスバル達の前に一歩を踏み出した。
「な、なんという大きさでござるか……!?」
「まさか、彼がこの星の大帝か……!?」
 その威容に圧倒され、シャープエッジとジェットガンナーがうめくと、その傍らでティアナはトランスフォーマーを見上げたままスバルに尋ねた。
「スバル……どーせ例によって“師匠”つながりの知り合いでしょ?
 紹介してよ、この巨人族ティターンサマを」
「あはは、上手いたとえだねー。
 ついでに言えば大正解だけど」
 ティアナの言葉に苦笑し、スバルは巨大トランスフォーマーとはやて達の間に立ち、
「このギガロニアの大帝――移動要塞にトランスフォームする、要塞大帝メトロタイタンさん!」
「ただ今ご紹介に預かった、メトロタイタンだ。
 まぁ、ミッドチルダには行ったことがないから、お前達が知らなくてもムリはないな――何しろこの図体だ。そこらの星をおいそれと歩き回るワケにもいかないんでな」
 スバルの言葉に苦笑し、メトロタイタンは不敵な笑みと共にそう名乗り――
「ちなみに、ひとりだけ転生できてないって意味じゃ、大帝さんの中じゃ仲間外れさんやねー」
「そこ。いらんことは言わなくていい」
 笑いながら付け加えるはやてに、メトロタイタンは少しばかりムッとしてツッコミを入れる。
「けど……メトロタイタンさん、どうしてここに?
 なんて言うか……出てくるのがすごくタイミングが良かったんですけど」
 そんなメトロタイタンにエリオが尋ねると、
「私が連絡を受けたんですよ――ライカさんからね」
 そう答え、脚部に備えられた扉の向こうからひとりの女性が姿を現した。
 栗色の髪をセミロングでまとめた、なかなかの美人で――
「あ、ジー姉……」
「久しぶりね、スバル。
 元気にしてたかしら?」
 やはりスバルの知り合いだった。声を上げる彼女に、女性は優しく微笑んでそう答えるとはやてへと向き直り、
「機動六課部隊長の、八神はやてさん、ですね?
 “Bネット”情報部、高度情報管理課の課長を務めさせていただいている、ジーナ・ハイングラムです。
 今回は、トランスデバイスの教育係としてギガロニアに来ています――どうぞよろしく」
「いえいえ、こちらこそ」
 告げる女性――ジーナの言葉に応え、はやては彼女と握手を交わし、
「それで……さっそくなんですけど、この星で教育中のトランスデバイスの子は……?
 確か、名前は……」
「“GLX-01”アイゼンアンカーです」
 はやてにそう応えるジーナだが――その表情はどこか複雑な想いを垣間見せている。眉をひそめ、はやては問いを重ねた。
「……何か、あったんですか?」
「えぇ。
 実は……」
 

 メトロタイタンが案内したのは、合流した街から少し離れたところにある、海沿いのとあるビルの建築現場だった。聞けば、アイゼンアンカーは教育のため、ここで建築作業に参加しているらしい。
 しかし――
『サボリぃ!?』
「あぁ。
 まったく、毎度毎度……」
 そこで知らされたのは意外な事実だった。話を聞き、声を上げるスバル達に対し、現場監督として彼らを出迎えたかつてのサイバトロン戦士、極地戦闘士ガードシェルはため息まじりにそう答える。
「すみません、毎度毎度……」
「いや、ジーナが悪いワケじゃない。気にすることはない」
 すまなさそうに頭を下げるジーナに答えると、ガードシェルはため息をつき、
「それに……どうせ行き先はわかってるんだしな」
「また……“あそこ”ですか」
「“あそこ”……?
 ジー姉、行き先に心当たりがあるの?」
「えぇ、まぁ……」
 尋ねるスバルに答え、ジーナははやてへと向き直り、
「ちょっと待っててくださいね。
 少し……お説教が必要なようですから」
 

「アイゼンアンカー! アイゼンアンカー!」
「………………?」
 自らを呼ぶその声に、防波堤の先端で取り外したクレーンアームを竿に見立てて釣りをしていたそのトランスフォーマーは――アイゼンアンカーは顔を上げた。振り向き、声の主へと尋ねる。
「マスター・ジーナ。
 こんなところに一体何の――」
「用があるから来たんですよ!」
 答えると当時に一撃――身体強化の限りを尽くした蹴りが、アイゼンアンカーの顔面にきれいに突き刺さった。衝撃のままに防波堤から蹴落とされたアイゼンアンカーを見下ろす形で、ジーナは仁王立ちして告げる。
「あなたはまた現場を抜け出して釣り三昧!
 一体何を考えてるんですか! マジメにやってくださいよ!」
「そうは言いますけどねー、やる気にならないんですから、しょうがないじゃないですか」
 告げるジーナに対し、アイゼンアンカーは海面に顔を出してそう答える。
「やる気がないのにダラダラやっててもむしろジャマでしょ?
 だから、やる気になるまでジャマにならないところでおとなしくしてようってんじゃないですか」
「そのまま帰ってこないでしょ、あなたは!」
 まったく反省する様子のないアイゼンアンカーに言い返すと、ジーナはたまらず天を仰いだ。
「あぁ……ここで教育を始めた当時は、あんなに素直だったのに……なんでこんな子に……」
「人はいつまでもそのままではいられないものです。トランスデバイスであるボクもまたしかり」
「もっともらしいことを言って自分の堕落を正当化しない!」
 エキサイトするジーナとひょうひょうと受け流すアイゼンアンカー、両者のやり取りを、はやて達はポカンと口を開けて眺めるしかない。
 まったく予想だにしなかった光景だ。まさかトランスデバイスが訓練中にサボリという行動に出るとは思っていなかった、というのもあるが――
「なんか……すごくしたたかだね……」
「う、うん……
 ジェットガンナーやシャープエッジとは大違いね」
「それは、ほめられていると受け取っていいのでござるか?」
「言葉の内容的には一般的なパターンから大きく逸脱しているが、賞賛に分類される意味合いでティアナ・ランスター二等陸士は言っている」
 シャープエッジは真っすぐすぎで、ジェットガンナーは無感情すぎ――メンタル面にまだまだ難のある、合流済みのトランスデバイス達を引き合いに出してつぶやくスバルとティアナに、当の本人達は口々にそんなことを話している。
「AIって……育ってくるとあそこまで話せるようになるんだね……」
「うん……
 もう、わたし達とほとんど変わらないって言うか……」
 むしろジーナを煙に巻くほどに弁の達者なアイゼンアンカーの姿に、エリオやキャロが戸惑いまじりにつぶやくと、
「だが、その成長ぶりが思い切りマイナス方向に働いているんだがな」
 そんな二人に告げるのはついて来ていたガードシェルである。
「ジーナがさっき言ったように、ここに来た頃は本当に素直でマジメなヤツだったんだ。
 しかし、数ヶ月前を境にして、いきなりあんな感じだ」
「まったくです。
 本当に、どこで教育を間違えたんだか……」
 そうガードシェルに答え、戻ってきたジーナはため息をつき――
「本当ですね……
 実に困ったものですね」
「あなたのことですよ、あなたの!」
 背後で他人事のようにつぶやくアイゼンアンカーに、ジーナは力いっぱいツッコミを入れる。
「と、とりあえず……現場に戻りましょうか……
 みなさんも作業があるやろうし、私達も、ジーナさんとアイゼンアンカーの今後について話し合いたいですし……」
「そうですね……」
 このままでは話が進まない――不安を抱えながらもはやてが提案し、ジーナも同意してうなずいてみせる。
「そういうワケだから、アイゼンアンカーは――」
「わかっていますよ」
 告げるジーナに対し、アイゼンアンカーは素直にうなずいて――
「大物を釣り上げればいいんでしょう?」
「『現場に戻れ』と言ってるんです!」

 迷わず言い切られたその言葉に、ジーナは全力でツッコんだ。
 

「お恥ずかしいところをお見せしました……」
「い、いえ……お気になさらず……
 私達も、ウチの問題児達ガスケットとアームバレットで慣れてますから……」
 結果として、アイゼンアンカーはガードシェルによって連行されていった――工事現場の事務所で頭を下げるジーナに対し、はやてもまた苦笑まじりにそう答える。
「しかし……新たなトランスデバイスが、あんなにもカルいヤツだったとは……」
《完全に予想外ですぅ……》
 ギガロニアに来た一番の目的であるアイゼンアンカーがとんだ問題児であると知り、複雑な想いでつぶやくのはビッグコンボイとリインだ。うなずき、事務所の外から窓越しに会話に加わっているメトロタイタンははやてに尋ねた。
「それで……どうするんだ?
 このままアイゼンアンカーを連れ帰るか?――今のままのヤツを連れて行くと、シグナム辺りが怒り狂いそうだが」
「せやね……その光景がリアルすぎるくらい予想できるわ」
 メトロタイタンの言葉にうなずくと、はやてはため息をつき――
「それに……アイゼンアンカー、これまでにもいろいろ迷惑かけてきたんやないですか?
 その埋め合わせもせんままに、アイゼンアンカーを連れ帰ってハイ、終わり、っちゅうのも……」
「そうよね……」
 はやての言葉にうなずき、ジーナもまた考え込み――
「…………おい、メトロタイタン」
 そんな中、マスターコンボイが唐突に口を開いた。窓の外のメトロタイタンに尋ねる。
「あのアイゼンアンカーのサボリのせいで、工事にも遅れが出ているんじゃないのか?」
「んー……まぁな。
 今でこそ、みんな『いつものこと』と慣れてしまったから、そうでもないんだが……当初はみんなで探し回っていたからな。その時の遅れが未だに尾を引いている形だ」
「やはりな……」
「ちょっ、ちょっと待て、マスターコンボイ。
 貴様、まさか……」
 ビッグコンボイの言葉に、マスターコンボイはニヤリと笑みを浮かべた。ヒューマンフォームのままのため、自分からは見上げる形となっているビッグコンボイに告げる。
「悪い話じゃないだろう?
 ちょうどいい“埋め合わせ”の材料が転がっていたと思えば、な」
 

「それで、こういうことですか……」
「まー、アイゼンアンカーがかけまくった迷惑のことを考えれば妥当なところだろうけどさ……」
 さっそく“埋め合わせ”は実行に移されることとなった――借りてきた作業服に袖を通し、集合場所に現れたアスカはつぶやくスバルにそう答える。
「で? 当のアイゼンアンカーは?」
「それが――また姿が見えなくなってるらしくって……」
「またサボり?
 まったく、何考えてるのよ、アイツは……」
 アスカに答えるエリオの言葉に、ティアナは苛立ちもあらわにつぶやいて――
「私らが最後みたいやね。
 みんな着替え早いなー」
「や、八神部隊長!?」
「はやてちゃんも作業に出るの!?」
「現場の作業指揮、メトロタイタンから任されたんよー。
 『指揮官なんだからできるだろう?』とか言い出してなー……まぁ、その通りなんやけど」
「優秀すぎるのも、考え物だということだな」
「まぁ、はやてに関してはいつものことなんだがな」
 驚くキャロやアスカに彼女達と同じ作業服に着替えたはやてが答える――ロボットモードに戻ったマスターコンボイのつぶやきにビッグコンボイが答えると、
「全員そろってるな?」
 そんな一同を前にして、ガードシェルがそう切り出した。
「今さら確認するまでもないだろうが、全員建築作業は初めてだな?
 とりあえず、能力的にはともかく、経験的な問題から難しいと判断することはこちらもやらせないから安心してくれ。
 いつもキミ達がしている訓練と同じだ。フォローは我々本職でこなすから、尻ごみしたりせず、積極的に取り組んでほしい」
 そして、ガードシェルは咳払いして区切りを入れ――
「それでは――作業、開始!」
『了解!』
 

 こうして、機動六課フォワード部隊によるビル建築の支援活動は開始された。
 メトロタイタンから申し送られた作業をはやてが各自に分担。資材の運搬にコンクリート施工、電気配線や内装工事その他いろいろ……
 ガードシェル以下元々作業にあたっていたトランスフォーマー達の助けも借りて、スバル達は初日だけでも様々な作業を経験することとなり――
 

 その間、アイゼンアンカーが現場に姿を見せることはなかった。

 

 

「あー、疲れたーっ!」
 ジーナが滞在していた関係からか、まだまだ人間ヒューマノイドの人口比率の少ない(それでもアニマトロスよりはマシなのだが)ギガロニアに建てられた宿舎にしては設備が充実していた。風呂に入ってサッパリし、スバルは割り当てられた部屋でベッドの上にその身を投げ出した。
「だいぶ、お疲れみたいですね」
「はい……
 いつもの訓練と、使う筋肉がぜんぜん違うんですよね――あちこち筋が張っちゃってパンパンです」
 そんなスバルに労うジーナに同意しながら、ティアナは“そちら”へと視線を向け――
「ををををを……効く効くぅ〜……
 リイン、今度左肩、お願いなー」
《はいです、はやてちゃん!》
 現場指揮ということで少しはマシだったものの、はやては日頃のデスクワークで運動不足だったのが祟って完全にダウン。リインにシップを貼ってもらって、なんとも言えない微妙な表情を見せているのを見て、アスカは思わずため息をつき、
「まったく……まるでここ最近のなのはちゃんね」
「あははー……面目ない。
 私もなのはちゃんを笑えんなー」
「……まぁ、日頃から訓練しててもその状態のなのはちゃんよりはマシだと思うから安心していいよ」
 苦笑するはやてにアスカが答えると、
「あのー……」
 そんな彼女達に、戸惑いがちに声をかけてきたのは――
「何で、ボクまでみなさんと同じ部屋なんでしょうか……?」
「んー? 何か問題でもある?」
「大有りですよ!
 ボクは男ですよ! 男!」
 心底不思議そうに聞き返すスバルに対し、エリオは力いっぱい反論する。
 そう――今回のギガロニア行き、唯一の(人間の)男であるエリオは、半ば押し切られる形ではやて達と同室にされていたのだ。
 ちなみにマスターコンボイはロボットモードのままTF宿舎でビッグコンボイやジェットガンナー達と同室――『逃げたのでは』と邪推したくなるが、果てしなく真実っぽいのでその辺りはスルーだ。
「いーじゃん、いーじゃん♪
 いつかみたいに、一緒にお風呂に入ろう、って誘ってるワケじゃないんだし」
「わたし達は気にしないし……一緒に寝るくらいいいでしょ?」
「い、いや、だけど……」
 まったく気にする様子のない、むしろ気にしなさすぎのスバルやキャロの言葉に、エリオはきっぱりと断るワケにもいかずに口ごもり――
「どうしても気になるんなら、さっさと寝ちゃいなさいよ。
 そうすれば意識する、しない以前の問題でしょ?」
 そう提案するのはティアナだ。
「えー? それじゃつまんないよ。
 せっかくの相部屋なんだし、もっといろいろお話しようよ」
「って言うか、明日のことを考えなさいよ。
 明日も今日みたいな作業が1日続くんだから」
 口をとがらせるスバルに答え、ティアナは彼女の額を軽く小突いてみせる。
「体力バツグンのアンタは大丈夫かもしれないけど、ちびっ子達にはだいぶキツいんだから。
 ……あと、八神部隊長にとっても」
「あぅ……お心遣い感謝します」
 はやてが苦笑まじりに答えるのを聞き、ティアナは思わずため息をつき、
「まったく、アイゼンアンカーのおかげで、こっちはとんだとばっちりよね。
 今日だって、1日中サボってたし」
《まったくです!
 はやてちゃんだってがんばってたのに、自分だけ楽するなんて! プンプンです!》
 ティアナに同意する形で、リインもまた口をとがらせて――
「本当に……楽がしたくて、サボってたんでしょうか……?」
 不意に、エリオはポツリとそうつぶやいた。
「どういうこと? エリオくん」
「うん……
 本当に楽がしたくて、仕事から逃げたくてサボってたにしては、少し不自然な気がして……」
 尋ねるキャロに答えると、エリオはアスカに尋ねた。
「アスカさん。
 アスカさんがアイゼンアンカーさんみたいにサボろうとしたら、どういう行動に出ると思います?」
「あたしだったら、ってこと?
 そうだね……まず、見つからないように隠れるわね。見つかって連れ戻されたら元も子もないもん」
「ですよね?
 でも、アイゼンアンカーさんは堂々と防波堤で釣りをしてた……」
 アスカの答えにうなずくと、エリオは思考をめぐらせながら続ける。
「普通、逃げ出したのなら防波堤なんて隠れるところのない、しかも目立つところにはいかないだろうし、それに、ジーナさんやガードシェルさんが『いつものこと』みたいな感じで言ってたことから考えると、いつもあそこでサボってたみたいです。
 本当にイヤで逃げ出してるにしては、抜け出した後の行動が堂々としすぎてるような気がしませんか?」
「なるほど……
 エリオくん、まだ若いのにいいところを見てますね。たいしたものです」
 言われてみれば確かにそうだ――エリオの推理に感心し、ジーナは笑顔でうなずいてみせる。
「じゃあ、何か理由があって、あそこに居座ってるって言うの? シャープエッジの時みたいに」
「そうかもしれないし、違うかもしれないですけど……本人に確かめてみる価値は、あると思います」
 尋ねるティアナにエリオがうなずくと、はやては大きくうなずき、
「わかった。
 せやったら、明日改めてアイゼンアンカーに話を聞いてみようやないの。
 そうと決まれば、今日はもう寝て、明日に備えような」
『はい!』

 

 しかし――そんな彼女達の思惑を待たずして、事態は大きく動きを見せた。

 

「はぁぁぁぁぁっ!」
 昼間は釣竿として使っていたクレーンアームを豪快に振り下ろし、アイゼンアンカーは目の前の標的を叩きつぶした。
 大きくひしゃげ、機能を停止した不恰好な魚人型機動兵器――シャークトロンにはすでに目もくれず、次の目標へと狙いを定めた。飛び込んできた別のシャークトロンの牙をかわし、逆にクレーンアームで打ち据え、弾き飛ばす。
「まったく、いきなり襲ってくるなんて物騒だね。
 一体どこのどちらさん?」
 尋ねるアイゼンアンカーだが、対話機能を与えられていないシャークトロンが答えることはない。まだ無事な個体はアイゼンアンカーを包囲し、ジリジリと間合いを狭めてくる。
「……やれやれ、問答無用か。
 スマートじゃないのは、嫌いなんだよ……情報も聞き出せそうにないし、悪いけど、お帰り願おうかな?」
 ため息まじりにつぶやき、アイゼンアンカーはクレーンアームをかまえ――
「残念じゃったのぉ!」
「――――――っ!?」
 突然の声に反応するが――間に合わなかった。飛来したミサイルが、アイゼンアンカーを直撃し、吹き飛ばす!
 そして――
「こっちも『はい、そうですか』とか言って帰るワケにもいかんのじゃ。残念じゃったのぉ」
 言って、海中から飛び出し、防波堤の上に倒れ伏すアイゼンアンカーの前に降り立つのはユニクロン軍のランページだ。
「っちゅうワケで……」
 言って、ランページは背中に装備したビーストモード時の巨大なハサミを振り上げて――
 

「ワシらではなく……貴様に消えてもらおうかのぉ!」
 

 振り下ろした。


次回予告
 
シグナム 「…………?
 何をしている? テスタロッサ」
フェイト 「あぁ、シグナム……
 エリオとキャロが心配で……ギガロニアの環境維持システムの監視プログラムに、なんとかアクセスできないか試してるんですけど……」
シグナム 「何だと……?
 では、主はやての動向も一緒に確かめてくれ。やはり心配でな……」
フェイト 「わかりました」
イクト 「お前ら……それ、ハッキングと盗撮で犯罪だぞ……」
フェイト 「次回、魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜
 第33話『巨人の星の太公望〜突貫・アンカーコンボイ〜』に――」
3人 『ゴッド、オン!』

 

(初版:2008/11/08)