「………………落ち着いたか?」
「えぇ、なんとか……」
“禁句”とも言えるウェンディの“嫁ぎ遅れ”発言にブチ切れ、暴れ回ることしばし――なんとかその猛威から逃げきったトーレの問いに、ウーノは懸命に呼吸を整えながらそう答えた。
「まったく、お前達のせいでとんだ手間だ」
『ご、ごめんなさい(っス)……』
ため息まじりにつぶやくトーレに謝るのは、今回の騒動の元凶であるセインとウェンディである。
「まぁ……“出会い系サイト”とやらを利用しなかったことだけはほめてやるべきか……」
『“出会い系サイト”って何(っスか)?』
「……今の発言は聞かなかったことにしろ」
さすがにそこまでは知らなかったか――首をかしげる二人の問いに、トーレは若干の安堵を込めてそう答えておく。
「と、とにかく、今はこの手紙にどう応えるか、だね……」
「そ、そうだな……
無視したいところだが、仮住まいとはいえ我々の拠点のひとつの住所を知られている以上、すぐさま知らんぷり、というのも余計な不信感を招きかねない」
ともあれ、今は話題を変えるのが最善か――手紙を手につぶやくディエチの意図を正確にくみ取り、チンクは彼女の言葉にそう答える。
「では、この手紙への返事を?」
「正直、乗り気ではないけどね……」
尋ねるセッテにウーノが答えると、
「なら、こういうのはどうですか? ウーノ姉様」
手を挙げて提案の声を挙げたのはクアットロである。
「文通することで向こうの好感度を上げて、その子から機動六課の情報を聞き出す、というのは」
「グリフィス・ロウランから……?
今まで集めた情報からすると、けっこうマジメそうな子だし……難しくはないかしら?」
「だ、か、ら、こ、そ、ですよ♪」
正直、現実的とは思えないその提案に首をかしげるウーノだが、クアットロはあくまで笑顔でそう答える。
「そういう子だからこそ、堕ちた後は堕ちるところまで堕ちる……困難な分、実入りはいいと思いますよ」
「なるほど……
ウーノ、試してみるだけの価値は、あるんじゃないのか?」
「そうね……」
クアットロの言葉にトーレも同意する側に回った。それを受け、ウーノもクアットロの提案に乗る形で今後のことを頭の中でシミュレートして見る。
現状でグリフィスがこちらのことに気づいている確証はない――逆に気づいていないという確証もないが、前者の方がはるかに割合が大きいのも確かだ。
こちらの尻尾をつかませるようなことをしなければ、仮に情報が得られなかったとしてもこちらに害はない。確かにトーレの言う通り、細心の注意さえ払えば十分に試してみる価値のある策と言えるだろう。
「…………わかったわ。
なら、その方向で進めてみましょう」
「はいはーい♪
じゃ、便せんとか用意しときますねー♪」
うなずくウーノの言葉に、クアットロは笑顔でうなずき――
「よぅし、そうと決まれば、あたし達もバックアップしようか!」
思っていた形と違うとはいえ、自分達のしたことが功を奏してきたことに気を良くしたのか、セインが元気を取り戻してそう声を上げる。
「『達』とは……まさか、私達もですか?」
「当然っスよ♪
姉妹全員でウー姉を応援っス!」
思わず首をかしげ、尋ねるディードに答えるのはウェンディである。
「ウー姉の幸せのために、あたし達みんなが力を合わせる時っス!
目指すはひとつ! ウー姉の“嫁ぎ遅れ”回避――」
次の瞬間――
再び修羅が降臨した。
第60話
交わる文、すれ違う想い
〜正しい(?)文通の進め方〜
それから数日が過ぎ――
「『グリフィスさん、私の手紙を拾ってくれてありがとうございます。
本当に届くとは、本当に返事が来るとは思っていなかったので、とてもうれしく思います。
これからもよろしくお願いします』……ね」
手元には、グリフィス宛に届いた手紙の返事――細かいところは割愛し、要点部分のみを読み上げ、霞澄はふぅと息をついた。
「よかったじゃない。
グリフィスくんの返事、おおむね好評みたいで」
「その後が“これ”じゃちっともよくないんですよ!」
手紙を奪われ、読み上げるのを阻止しようと動くも返り討ち――用意周到に持ち込まれていた縄でグルグル巻きに縛り上げられ、ミノムシ状態で床に転がったまま、グリフィスは霞澄に対し力いっぱい言い返した。
「文通ねぇ……また青臭いことしてるな、お前」
「い、いいじゃないですか、別に……」
霞澄の傍らから手紙を除き込んでくるのは、先日の騒ぎの際には合コンで不在だったヴァイスだ。ムッと口を尖らせて答えると、グリフィスはルキノに縄を解いてもらって立ち上がる。
「まぁ、何にしても、相手にも文通を了承してもらうことにもこうして成功したワケだ。
次はどうするんだ?」
「んー、そうですね……」
霞澄の手から手紙を取り上げ、尋ねるマスターコンボイの問いに、グリフィスが腕組みして考え込むと、
「そんなん決まっとる!」
突然の乱入者――声を上げ、現れたはやてが一同の間に割って入ってきた。
「はやて……?」
「はやてちゃん、何かアイデアがあるの?」
「当然!
この八神はやてにドドーンッ、と任せぇ!」
いきなり乱入され、首をかしげて尋ねるフェイトとなのはに対し、はやては自信タップリに胸を張り――
「黙れセクハラ大魔王」
「引っ込んでろトラブルメーカー」
「サボってないで仕事しろ」
「あれ!? なんか冷たい!?」
マスターコンボイ、ブリッツクラッカー、そしてイクト――冷たくあしらう3人に、はやては思わず声を上げる。
「3人とも、ちょっとひどくあらへん!?」
「そうは言うが、お前がリアルの男女関係に口出しして、ロクなことになった例がないだろう」
口を尖らせるはやてだったが、そんなはやてにイクトは苦虫をかみつぶしたような顔でそう答える。
「具体的に言おうか?
ハラオウン夫妻の一夫多妻婚の件――煮え切らないクロノに対しヴィータとエイミィを不用意にけしかけた貴様の行動のせいで、こじれにこじれた事態の収拾にオレ達がどれだけ苦労したと?」
「け、結果的にいい形に落ち着いたやないですか!」
「あー、そうだな。
貴様ではなく、柾木がお得意の力技理論で解決したんだったな」
「う゛………………っ」
あっさりと返してくるイクトの言葉に、はやては思わず言葉につまり――
「まぁまぁ、イクトくんもそのくらいで」
そんなイクトをなだめたのは霞澄だった。
「とりあえず、はやてちゃんの意見も聞いてみましょう。
アレな手段ならそこで止めればいいんだし」
「前回暴発した貴様が言うと説得力に欠けるが……まぁ、確かにその通りか」
「ほな、納得してくれたところで……」
霞澄の言葉に、イクトは渋い顔ながら納得する――そんな彼の姿に苦笑しつつ、はやては気を取り直して拳を握り締め、
「相手はグリフィスくんに興味を持った――せやったら、まずはグリフィスくんがどんな人間か、その辺をひたすら売り込んでアピールや!
向こうがこっちのことを知らんうちに、一気に攻勢をかけたろうやないの!」
「なるほど……先制攻撃からそのまま押し切るワケですね?」
「そういうことや」
うなずくギンガにはやてがうなずくと、
「つまりは、ロウランの紹介をしてやればいいのか?
そういうことなら、当人が書くよりも周りが書いた方がいいだろう」
そう一同に提案するのはイクトである。
「そいつのいいところ、というものは、案外当人よりも周りの方がわかっているものだからな」
「あー、なるほど……一理ありますね」
「だろう?
とりあえず、試しにオレが書いてみるとしようか」
納得し、うなずくエリオに答えると、イクトは便せんとペンを手に取った。
『ボクはクラナガン郊外に本部をかまえる、機動六課という部隊で部隊長補佐をしています。
普段は部隊長の業務を補佐し、また交代部隊の指揮も任された重要な役職ですが、やりがいのある職務を任され、毎日が充実しています。
母も本局で提督として勤務しており、ボクもそんな母のような立派な局員を目指し、毎日を勉強と考えて日々精進しています。
そのための努力目標として、上の階級に立つ者として常に周りに気を配り、後輩や部下達の身上把握のために細かいところにまで気を配っています。
また、さまざまな資格の取得もがんばっていて、会計管理士のI-A、交通通信主任、1級通信士などを取得、II種キャリアの試験にも合格して――』
「ストップストップ、ストップ!」
イクトがスラスラと書き連ねていく文面に、グリフィスはあわてて待ったをかけた。
「…………どうした?」
「『どうした?』じゃないですよ!」
首をかしげて尋ねるイクトに答えると、グリフィスは彼の手から便せんを取り上げ、
「どれだけ長々と自画自賛に徹してるんですか! それじゃ完全にただのナルシストじゃないですか!
というか、途中からほとんど履歴書か面接の売り込みみたいになってきてますし!」
「む…………言われてみれば確かに」
「書いてる段階で気づいてくださいよ……」
ようやく気づいたイクトの言葉にグリフィスがため息をついてそう答えると、
「まぁ……確かにグリフィスさんを語る上で、そういう“レティ提督のような局員を目指して”というのは外せないと思いますけど……これじゃむしろ相手も引いてしまいますよ。
もっとシンプルにまとめないと……」
「むぅ……」
ルキノの言葉にイクトがうめくと、
「シンプルって言うなら、いいネタがあるんだな」
「アームバレット……?」
手を挙げたのはアームバレットだ――前回相方のガスケットが暴走しただけに、グリフィスは思わず眉をひそめる。
「まぁ……一応、聞いてみようか」
「フフンッ、聞いて驚くんだな!」
それでも、「ひょっとしたら」ということもある。尋ねるグリフィスに対し、アームバレットはそう前置きし――
『俺Tueeeeee!』
「どこの厨だぁぁぁぁぁっ!?」
全力でグリフィスはツッコんだ。
「確かにシンプルだけど、別の方向性でダメダメじゃないか!
というか、シンプルすぎて逆にワケわからなくなってるし!」
「まったく……ワガママなんだな」
「どっちが!?」
肩をすくめるアームバレットにグリフィスが言い返すと、
「じゃあ、私が書いてみようか?」
手を挙げてそう名乗りを上げるのはなのはだ。
「私なら、その辺の経験もあるし、少しは勝手もわかるから……」
そう告げるなのはだったが――
「……って、マスターコンボイさんはどうしてそんな難しい顔をしてるんですか?」
すぐ脇で、顔をしかめながらこちらを見返しているマスターコンボイに気づいた。
「何か私、変なことを言いましたか?」
尋ねるなのはだが、マスターコンボイはイスに上って足りない背丈を補い、そんな彼女の肩をポンと叩き、
「なのは」
「はい?」
「手紙で砲撃はできないぞ」
「どういう意味ですか!?」
迷わず告げたマスターコンボイに対し、なのはは思わず声を上げた。
「なんで文通しようって時に砲撃が来るんですか!?」
「貴様の場合、“会話”とはそれすなわち“砲撃”だろうが!」
「ち、違いますよ!」
マスターコンボイの言葉になのはが反論し――
「そ、そうですよ、マスターコンボイさん!」
そんな彼女を援護するのはスバルである。
「なのはさんはそんなことしませんよ!
話をしようって時には、ちゃんと話をしてくれます!」
そう告げるスバルだったが――マスターコンボイはやはり迷うことなく聞き返した。
「本当にそう思うか?」
………………
…………
……
「なんでみんなそろって沈黙するの!?」
スバルだけでなく、その場の全員が沈黙し、場が静寂に包まれる――なのはが思わず声を上げると、
「………………?
おい、こいつぁ何の集まりだ?」
ヒマを持て余してぶらついていたところにこの集まりを見かけたのだろう。突然姿を見せたブレードが、首をかしげながらそう尋ねてきた。
「おい、シャマル。何してんだ?」
「えっと、実は……」
もう一度尋ねるブレードに、沈黙から復帰したシャマルが事情を説明する――だいたいのあらましを聞くと、ブレードは息をつき、
「まったく、何かと思えば手紙かよ……
まどろっこしいコトしてやがんなぁ」
「何言ってるの。
そのまどろっこしさがいいんじゃないの」
「そういうもんかねぇ……?」
答える霞澄の言葉にブレードがつぶやくと、
「そうですよ!」
グッと拳を握りしめ、力説するのはシャマルである。
「自分の心を筆に込め、想いをしたため相手に送る……
そして、相手からの返事を待つ時間……文通の醍醐味はそこにあるんですよ!」
「そうなのか?」
「そうなんです!」
聞き返すブレードに力強くうなずくと、シャマルは便せんと筆をとり、
「やはり男女のお付き合いということですから……自己紹介もそれに準じた内容を考えなきゃダメですね。
相手は年上みたいですから、自分に対して保護欲をかき立てさせるというか、母性を抱かせるような感じがいいと思うんですよ」
「たとえば?」
聞き返す霞澄に対し、シャマルはフッと笑みをもらし、
「そうですね……こういうのはどうですか?」
『まだ童貞ですがよろしくお願いします』
「それだぁぁぁぁぁっ!」
「どこがだぁぁぁぁぁっ!?」
拳を握り締めて絶賛する霞澄にイクトがツッコむ――同時に放たれたツッコミの炎が、霞澄とシャマルをまとめてブッ飛ばした。
「いきなりなんてことをカミングアウトさせてるんだ、貴様らっ!?
そんな手紙、ぶっちぎりでアウトだろうが!」
「何言ってるんですか!
“そういう段階”までいったら真っ先に気にする重要ポイントじゃないですか!」
「その間の過程を全力で無視するな!」
力説するシャマルにイクトが言い返す一方で、霞澄はグリフィスへと向き直り、
「で、グリフィスくん、実際のトコはどーなの?」
「えぇっ!?」
「貴様も黙ってろ、このエロ暴君が!」
「何言ってるのよ!?
このぐらいのネタを平気でかませなくて、どうしてウチの朴念仁に性教育ができようか!」
「あぁぁぁぁぁっ! 嫌味に対してもスルーどころか開き直るしな、この女っ!
柾木といい霞澄女史といい、相変わらずこの一族は本当に始末が悪い!」
ツッコむイクトだったが、霞澄にあっさりやり返された――思わず天井を仰ぎ、声を上げる。
「え、えっと……?」
「今の手紙って、どういう意味だったんですか?
わたし達、よくわからないんですけど……」
「わからなくていいのよ、二人はまだ」
「そ、そうそう!
エリオくんやキャロちゃんは、もっとゆっくりわかっていけばいい種類の話だから!」
一方、その幼さゆえに今のやり取りの意味に気づけなかったのがエリオとキャロ――尋ねる二人に、ティアナとギンガはあわててフォローを入れた。内心で、ヴィヴィオが寮で寝ていたのは幸いだったと心から安堵しつつ。
ちなみに、エリオ達の保護者たるフェイトはシャマルが問題の手紙を書いた時点で真っ赤になってフリーズ中である。
そんな彼らのやり取りに、マスターコンボイは思わずため息をつき、
「まったく、どいつもこいつも……マジメにやっているのか?」
「前回カミソリレター送りかけたアンタがそれ言うんじゃないわよ」
「何を!?
オレはちゃんとマジメに用意したというのに!」
「アレがマジメにやった結果だっつーならなお悪いわよ!」
自分のツッコミに全力で返してくるマスターコンボイにライカが言い返すと、
「ま、まぁ……とりあえず、まずは自分のことを知ってもらう、っていう方向性はよし、ということで……」
完全に事態に対して置き去りになっているグリフィスにフォローを入れるのはなのはだ。
「みんなの例は極端としても……職場で楽しくやってる、とか、家族のこととか書いてもいいと思うし……
私がグリフィス君の立場だったら、今ならヴィヴィオのことを書くと思うしね」
「そうですね……その方向でやってみます」
なのはの言葉にうなずくと、グリフィスは返事を書くべくその場を後にした――
――いや、言い方を変えよう。
未だ「あーでもない」「こーでもない」と騒いでいる霞澄達から逃げ出した。
(『……少し元気が過ぎるところがありますが、皆さんとてもいい人達で、まるでひとつの家族のような暖かい職場です。
こういった職場で日々を過ごしているボクですが……ウーノさんは、日々をどのように過ごしていますか?』……)
さすがに音読はしない――届いた返事の手紙に目を通し、ウーノは軽く息をついた。
「どうでした? ウーノ姉様」
尋ねるクアットロに、ウーノは迷わず便せんを差し出した。受け取ったクアットロの周りに妹達が集まり、みんなで手紙に目を通す。
「…………なんというか……本当にごくごく普通の近況報告だな」
「まぁ、こちらもいきなり内情を話してくれるとは思ってなかったし……今のところは、ちゃんと返事が返ってきてるだけで上出来よ」
手紙の内容に率直な感想をもらすトーレに答え、ウーノは頬杖をついて考え込む。
「次の手紙はどうする?」
「どうもしないわ。
当面は普通の文通をしていくだけ――まずは相手の信頼を勝ち取らないと」
尋ねるチンクに答えると、ウーノは「部屋で手紙の返事を考えるから」と席を立ち――
「………………」
不意に動きを止めた。
『少し元気が過ぎるところがあって手を焼かされることもありますが』――
『まるでひとつの家族のような』――
今しがた目を通した、グリフィスの手紙の内容が脳裏によみがえる――手紙につづられたそのグリフィスの想いが、どこか他人事には思えない。
チラリと手紙の内容に盛り上がっているウェンディやセインへと視線を向ける――下の妹達の中心に立って場の空気を作り出している二人の姿に、ウーノは軽く息をつき、
「………………よし」
この瞬間、ウーノの頭の中で書きたい内容が定まっていた。
『グリフィスさんは、とても楽しい職場で働いているんですね。
私も、家族みんなでひとつの職場で働いていますが、だからこその苦労もたくさんあります。
みんな、悪い子ではないのですが、個性の強い子ばかりで、その個性が騒動を巻き起こしてしまうことも少なくありません。
とはいえ、あの子達も悪気があってやっているワケではないこともわかってしまうのですが……どうしても相手をしてしまい、振り回されてしまう日々です。
グリフィスさん、やはりこういう場合は、毅然と叱った方がいいのでしょうか……?』
「…………なるほど。
“職場”と“家族”の話題にガッツリ食いついてきたワケね……」
「いや……あなたのその態度については、もう何もツッコむつもりはありませんけどね」
本人を完全に差し置いて手紙に目を通す霞澄の言葉に、今回はしばり上げられずに済んだグリフィスはため息まじりにそうつぶやく。
「にしても……」
そんな彼のとなりで、シャリオは霞澄の手の中の手紙へと視線を落とし、
「“騒動を巻き起こす身内に振り回されてる”って……」
そのつぶやきに、その場の全員が彼女の言いたいことを悟った。全員の視線が一斉にグリフィスに集まり――
『………………あぁ、類友』
「そのセリフからして、今現在この件でボクを振り回してるのが自分達だって自覚カケラもないでしょう、みんなそろって」
ポンッ、と手を叩いて納得する一同の言葉に、グリフィスはため息まじりにそうボヤくが、
「けど……これはマズイ流れね」
不意にそうもらしたのはライカだった。
「マズイ? どうして?」
「近況報告としてグリフィスが語った職場の話題に、向こうが便乗してきちゃった……しかも愚痴とか相談とか、そういうネガティブ方向で」
聞き返すアルトに答えると、ライカは難しい顔で腕組みしながら考え込み、
「このままヘタに会話に乗っていったら、最悪延々愚痴られる展開になりかねないわよ。
なんとかして、すぐに話題を切り替えないと……」
「けど……あまり強引に話題を切り替えたら、かえって相手の気分を害したりしませんか?」
「それに、相手の――ウーノさんの肉親がからんでるんですから。
ここはワンクッション入れて、フォローしてからにした方が……」
ライカの言葉に、アルトやルキノが手を挙げてそう答えるが、
「簡単に言うけどさ……フォローっつってもどうすんのさ?」
「仮にフォローしたとしても、それで身内とか職場とかをほめたりすれば、相手は気を良くしてまたその話題で返してくるかもよ。
そんなことになれば、ますます本人同士の話から遠ざかってくことになる――めんどくさいでしょ、そんなの」
そう指摘するのはロードナックル・クロとアイゼンアンカーだ。二人の言葉に一同は顔を見合せて――
「ったく、じれってぇな」
そんな一同のやり取りに不満の声を上げたのは、シャマルによって半ば無理やりこの場に同席させられていたブレードである。
「ンなことでグダグダ手紙でやり取りするよりも、直に会うように仕向けてやりゃいいじゃねぇか。
直接顔を合わせりゃ、職場の愚痴だの身内への不満だの、そんな空気でもなくなるだろうよ」
「“らしい”理屈だけど……そんな簡単なもんでもないのよ」
あっさり言い切るブレードの言葉に、ライカはため息まじりにそう答える。
「まったく……これだから駆け引きガン無視の突撃バカは……」
「言ってくれるじゃねぇか。
オレだって、駆け引きのひとつや二つ、こなせるっつーの」
「だったらこの手紙もパパッと仕上げてみなさいよ」
「上等だ。
おい、紙とペンよこせ」
そう言うなり、ブレードはさっさと席に座り、
「見てやがれ。
オレにかかれば、剣以外でも相手の心を動かすなんざ簡単なことだって教えてやるぜ」
そうライカを挑発し、スラスラと便せんにペンを走らせる。
一切の迷いなくしばし筆を走らせ――やがてブレードのその手が止まった。
「………………こんなもんか」
「まったく迷いませんでしたね……どんなの書いたんですか?」
「ブレードさんの手紙、って……正直想像つかないんですけど」
「心配すんな。最高の出来だ」
尋ねるなのはとフェイトに答え、ブレードは自信タップリな笑みを浮かべる。
「オレの感性を総動員して、相手の心に訴えかける名文を仕上げてやった。
これを読んで心を動かされないヤツはいないと断言してやらぁ」
「ほほぉ、自信満々やねぇ」
「おぅともよ」
告げるはやてに答えると、ブレードは手紙を包むためのものだろう、白紙を新たに1枚用意し、その表に一筆書き加えた。
『果たし状』
………………
…………
……
一瞬、見間違いかと思った――目を閉じて心を落ち着け、はやてはもう一度ブレードの手の中の封筒へと視線を向ける。
『果たし状』
………………
…………
……
「よし、完璧だ」
「アホかぁぁぁぁぁっ!」
満足げにうなずくブレードの後頭部をはやてが全力で張り倒した。瞬時に起動、筋力強化までかまして振り抜いたシュベルトクロイツがブレードの横っ面を直撃する。
「……何すんだよ?」
「それはこっちのセリフや!」
だが、そこはブレード。吹っ飛ばされようとすぐに回復――持ち直し、聞き返すブレードに、はやては力いっぱい言い返した。
「どこの世界に、文通の返事に果たし状を送るヤツがいるんや!?」
「何言ってやがる。
要は、お近づきになりたいっつーんだろ? だったら、ド突き合いでもすりゃ一番手っ取り早いだろうが」
「うっさいわ! このバトルバカ!」
ブレードに言い放ち、はやては今さっきブッ飛ばされた際にブレードの手からこぼれた封筒を開封し、中身の手紙を改める。
予想通り、そこには相手の誇りに訴えかけ、勝負を挑む内容――確かに名文ではあるがあくまで“果たし状として”だ。趣旨がズレているにも程がある。
「任せてみれば案の定……
提案者がこのザマやし、とりあえず直接会うって選択はなしにしとこか――こっちから『会いたい』言うても、なんかがっついとるみたいでいい印象与えへんやろし」
《じゃあどうするの?》
「うーん……」
ロードナックル・クロの左肩のディスプレイに姿を見せ、尋ねるシロの問いに、はやてはしばし考え込み――告げた。
「…………応援、頼もか」
「で…………オレか?」
「そーです」
事情を聞き、渋い顔をするのはスバルやギンガの父、ゲンヤ・ナカジマ――聞き返す彼に対し、はやてはあっさりとうなずいてみせた。
「ったく、いきなり呼び出しやがるから何かと思えば……」
「そー言わないでよ、ゲンちゃん。
クイントちゃんとラブラブしてたゲンちゃんなら、こーゆー異性間の問題はお手の物でしょ?」
「ラブラブって言うな。そして『ゲンちゃん』って呼ぶな」
あっさり答える霞澄にため息まじりにツッコんで――ゲンヤはともかく今までにやり取りされた手紙に目を通して見る。
「……なるほどねー。
とりあえず、あちらさんが積極的にお前さんと距離を詰めてこようとしてるってのはよくわかったな」
「どういうこと? 父さん」
「まだ大して手紙を交わしたワケでもねぇってのに、いきなりこんな相談してきたからだよ」
スバルに答え、ゲンヤは最新のウーノの手紙――妹達に苦労している旨をグリフィスに相談したその手紙を彼女に見せた。スバルが手紙を手に首をかしげるのを尻目にグリフィスへと視線を向け、
「普通、相談なんて『ちゃんと答えてくれる』『答えられるだけの下地がある』っつー、ある程度の信頼を置いた相手にしかしねぇもんだろ。
お前さんとあちらさん、まだ大して手紙を交わしてないんだろ? ハッキリ言っちまえば、まだそうやって相談を持ちかけられるほどの信頼関係を築けてるとは、お前さんだって思わねぇだろ?」
「そ、それは……まぁ……」
「なのに、あちらさんはそういう付き合いの浅さをガン無視してこんな手紙を出してきた。
付き合いの長さと信頼関係を結びつけて考えられないバカじゃない限り――こいつぁお前さんに、相談に“乗らせようとしてる”ってことだ。
さっきも言ったが、相談なんてある程度信頼できる、ある程度距離の近い相手にしかしないもんだ――だからこそ、相談を持ちかけられた相手は、自分がそれだけ信頼されてるって思うワケだ」
「つまり……ウーノ殿はあえて相談を持ちかけることで、グリフィス殿に『自分はウーノ殿に信頼されている』と思わせようとした……ということでござるか?」
「そういうことだ。
わざとやってるのか無自覚なのかは知らねぇが、な」
聞き返すシャープエッジの問いに、ゲンヤは迷わずそう答える。
「理由までは知らねぇが、どうやらあちらさんはお前さんと仲良くなりたくてしょうがないみてぇだな」
「じゃあ、どうすればいいんでしょうか……?」
「どうもこうも、普通に答えてやればいいさ」
本題に触れたグリフィスに答え、ゲンヤは肩をすくめてみせる。
「あちらさんから距離を詰めようとしてくれてるんだ。突っぱねる理由はねぇさ。
ただ……お前さん達の恐れたとおり、延々あちらさんの悩みを聞かされる展開にもなりかねねぇからな。相談に乗りつつ、別の話題に誘導する必要もあるだろう」
「悩みに応えつつ、さりげない話題替え、ですか……」
ゲンヤの言葉を繰り返し、考え込むのはシグナムである。
《シグナム……何かアイデアがあるですか?》
「アイデア、というほどのことではないが……話題替えに使えそうな話題がひとつある」
尋ねるリインに答えると、シグナムは席について便せんとペンを手に取った。
『ウーノさん、いろいろと苦労をなさっているようですね。
しかし、あなたの家族が、あなたや他の家族のためを思って、自分達なりに気遣ってそれぞれの行動を起こしていることはあなたも気づいているのでしょう?
大丈夫。あなたの家族は優しい人達です。いつかきっと、本当の意味であなたに心を開いてくれることでしょう。
……あ、「開く」といえば、先日野外訓練で仕留めたクマの腹を開いたらなんと人の手が――』
「なんでそうなるんですかぁぁぁぁぁっ!」
とんでもない話を手紙につづろうとしたシグナムの姿に、あわててグリフィスが待ったをかけた。
「何か問題か?」
「不自然きわまってるでしょうが!」
本気で首をかしげるシグナムに対し、グリフィスは全力で反論した。
「なんつー血みどろの話題に話切り換えようとしてるんですか!
どれだけボクをワイルドな人間にしたいんですか!? 野性児ですかボクはっ!」
「ちゃんと共通項から話題を切り替えたのだが……」
「その“共通項”から方向性がほぼ180度反転してるでしょうが!」
シグナムに答え、グリフィスが深々とため息をつくと、
「やれやれ。偉そうなことを言っておいてそのザマかよ」
「やっぱりオイラ達の出番なんだな」
「って、すでにボツを食らってるお前らが言ってもなぁ……」
口をはさんできたガスケットやアームバレットの言葉に、ヴァイスはため息まじりに頭をかき、
「一応聞くが……ちゃんと相談に乗ってやってる形なんだろうな?」
「ンな心配いらねぇよ」
半眼でうめくヴァイスに対し、ガスケットはニヤリと笑みを浮かべてそう答えた。
「何もこの手紙で相談に乗ってやる必要はねぇんだよ。
さっきブレードが言ってたろ? 『直接会った方が早い』って――このウーノって姉ちゃんに協力するって口実なら、会う約束を取り付けられるんじゃねぇか?」
「おぉっ! お前らにしてはまともなアイデアじゃねぇか!」
ガスケットの言葉に、ヴィータが思わず声を上げる――満足げにうなずき、ガスケットは続ける。
「そういうことを踏まえて、今ここでベストなのは『自分に任せろ!』っつータンカを切ること!
つまり――最適な文面はコレだぁっ!」
『大丈夫です、ウーノさん。
あなたのご家族のことは、このグリフィス・ロウランが引き受けます。
どうぞ――』
『「俺Tueeeeee!」なボクに任せてください』
「離れろぉっ!
『俺Tueeeeee!』から離れろぉぉぉぉぉっ!」
ちょっといい方向に進んだかと思えば、オチはすでにボツになったアームバレットのアイデアの繰り返し――最後の最後でコケてくれたガスケットに、グリフィスは渾身の力でツッコミを入れる。
「…………ゲンヤさん」
「あー、まぁ……方向性は間違ってねぇんだよな。方向性“だけは”」
なんでゲンヤの絶妙なフォローがあってもコレなのか――ため息をつくなのはに、ゲンヤは苦笑まじりにそう答える。
「わかったよ。
ここはオレが引き受けてやるよ」
ともあれ、このままではまた際限なく暴走することになりかねない――頭をかきながらそう告げると、ゲンヤは席について便せんと向き合った。
『ご家族のこと、とても苦労なさっているようですが、ボクはそれは決して悪いことではないと思います。
だって、“振り回される”ということは、ちゃんと家族に付き合っていることの裏返しじゃないですか。
相手に悪気がないことを読み取れること、その上で放り出さずにちゃんと向き合ってあげられること――それは、あなたが家族のことをとても大切に感じている証だとボクは思います。
あなたも、家族の方も互いに相手のことを思いやっているのですから、いつかきっと歯車がかみ合う日が来るでしょう。
ただ、それでもお互いがかみ合わないのなら――ボクが新たな歯車になってあげます。
“家族”というひとつのシステムの中、“想い”という動力を伝える歯車としてその一部になってあげます。
自分だけで何とかする必要はないんです。ボクにも、あなたのその重荷を分けてはもらえないでしょうか?』――
「…………な、何て言うか……」
「一歩間違うとプロポーズとかに受け取られかねないね……
『“家族”というシステムの中の“歯車”になりたい』って……」
「さ、さすが、クイントさんとラブラブ全開の恋愛結婚しただけのことはあるね……」
ゲンヤに任せた結果、出来上がったのはクサイことこの上ない口説き文句のつづられた手紙――内容に目を通し、フェイトやアリシアはなのはのつぶやきに頬を赤く染めながらそう答えた。
「でも……今まで挙がった中じゃ、一番の傑作じゃない? コレ」
「今までのを比較対象にすること自体、間違ってると思うんですけど……」
アスカの言葉にティアナがうめくが、ゲンヤはかまわずなのは達から手紙を返してもらうと、折りたたんで傍らに控えさせ、一方で封筒を手にとって住所を書き入れる。
改めて折りたたまれた便せんを封筒に入れ、封をして切手を張り、
「ほらよ、ボウズ」
「ありがとうございます!」
手紙を受け取り、グリフィスは礼を言うとすぐにオフィスを飛び出していく――それを見送り、ゲンヤは大きく背伸びした。
「ったく……ラブレターなんて久しぶりだからな、つい力が入っちまったぜ」
「あ、ラブレターって自覚の上で書いてたんだ」
「こういうのはそのくらい積極的でキザな方がいいんだよ」
軽くツッコんでくる霞澄に答えると、ゲンヤは席を立ってスバル達へと向き直り、
「さて、と……
せっかく来たんだし、今日は家族で昼メシにするか」
「はい!」
「ここのご飯、おいしいから期待してていいよ、父さん!」
ギンガが、スバルが答え、彼らは親子水入らずといった様子でオフィスを出ていく――そんな彼らを微笑ましく見送ると、なのは達もまたお昼にしようと立ち上がり――
「………………む?」
ふとデスクに視線を向けたジェットガンナーが、そこに置かれた便せんに気づいた。
「テスタロッサ一等海尉相当官。
あれは……?」
「え………………?」
ジェットガンナーの指摘に、フェイトもまたその便せんに気づいた。手に取り、中を改めると、そこに書かれていた文面は――
「これ……今ナカジマ三佐が仕上げた手紙……?」
「え………………?」
フェイトのつぶやきに、それを聞きつけたなのはは思わず声を上げた。彼女達の様子に、はやて達もまたあわてて戻ってくる。
ゲンヤの手紙は今グリフィスが出しに行ったはず。ではこの手紙は何なのか――そこまで考え、なのははふと気づいた。
さんざん書く途中でボツになってきたそれぞれの手紙の中、唯一最後まで書き上げられたボツ手紙があったことに。
「じゃあ、今グリフィスくんが出しに行った手紙って……?」
青ざめたなのはの言葉に、フェイトもまたすべてを悟った。二人で顔を見合わせ、叫ぶ。
『ブレードさんの“果たし状”!?』
「………………ほぉ」
ウーノの相談に乗ってくるかと思えば、返ってきた手紙の内容は悩みを抱えるウーノの心情を容赦なく刺激し、戦いを挑んでくる挑戦状――読み終えたウーノから手紙を受け取り、目を通したチンクは思わず声を上げた。
「思いっきり攻撃的っスね……
完全にケンカ売ってきてるっスよ」
「ウーノ姉のこと、バレたかな?」
「いえ、それはないと思われます」
手紙を除き込み、つぶやくウェンディとセインに答えたのはセッテだった。
「ウーノ姉様の正体に気づいたのであれば、むしろそのまま文通を続行し、我々の手がかりをつかもうとするはずです」
「クア姉がこの文通でグリフィス・ロウランから六課の情報を聞き出そうとしてるみたいにっスか?」
「はい」
聞き返すウェンディにも、セッテは静かにうなずいた。
「ですから、正体に気づいたのであれば、なおさら今まで通り友好的な手紙が届かなければおかしいはずです」
「じゃあ、この手紙は一体……?」
「そこまでは私にも」
首をかしげるディエチにセッテが答えると、
「グリフィス・ロウラン……」
そんな周りのやり取りは、彼女の耳には入っていなかった――眉をひそめて考え込み、ウーノは目の前に展開したウィンドウに、今まで集めてきたグリフィスのデータを表示した。
(どういうことなの…………?
私の調べたグリフィス・ロウランは、こんな好戦的な人物ではなかった……
どういうこと……? 私の情報収集が間違っていたというの……!?)
「ウ、ウーノ姉様……?」
考え込みながら、ウーノはグリフィスの写真に視線を固定したまま動かない――クアットロが声をかけるが、やはりウーノの耳には届かない。
「どうしたんでしょうか? ウーノ姉様は……」
「まさか、意外なグリフィス・ロウランの一面を見て、クラッときちゃったのか?」
「バカなことを言うな。
ウーノに限って、そんなことがあるはずがないだろう」
ディードに答えるセインにトーレが答えると、
「………………たい……」
ポツリ、とウーノがつぶやいた。
「………………?
今、何て……?」
自分達の聴覚をもってしても聞き取りづらかった、それほどまでに小声だったウーノのつぶやきにオットーが聞き返し――ウーノは、今度はハッキリと聞こえるほどの声でつぶやいた。
「会ってみたい……」
『………………へ?』
その言葉に一同が――感情の起伏の乏しいセッテ達新メンバー組も含めた、ウーノを除く全員が、思わず間の抜けた声を上げていた。
「直接会って……本当の彼の姿を知りたい……!
グリフィス・ロウランの……本当の姿を……」
そんな彼女達の様子に気づくことなく、ウーノはさらにつぶやいた。その意味を、全員が頭の中で理解して――
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』
スカリエッティのアジトに、驚愕の叫び声が響き渡った。
ルキノ | 「最近、私達の出番がイヤに多いような気が…… まさか『出番の少ない仲間に急にスポットが当たると、その直後に死んd』――」 |
グリフィス | 「ルキノ! それ以上しゃべるな!」 |
アルト | 「何不吉なこと言ってんのよ! あたし達は永遠に不滅なんだから!」 |
グリフィス | 「その発言も危ない……!」 |
アルト | 「次回、魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜 第61話『ラブ・アタック!〜ファーストデート防衛指令〜』に――」 |
3人 | 『ゴッド、オン!』 |
(初版:2009/05/23)