マキシマスの甲板上、内側から爆発が巻き起こり、その中からトーレのマスタングが、チンクのブラッドサッカーが飛び出してくる――そんな彼女達を追って、ブレードもまた、マキシマスの甲板上に降り立った。
「おいおい、オレを見るなり逃げの一手かよ?
ずいぶんとビビってねぇか?」
「我々にとっても傷つけたくない相手が、あの場にいたのでな。
ディエチから、以前の貴様の戦いのデータは見せてもらった――あの時のような無茶苦茶な戦い方を、あの場でしてもらうワケにはいかない」
構図的には“逃げるトーレ達”と“追うブレード”――いきなり離脱を図った相手に対して告げるプレートだったが、対するトーレも挑発に乗ることなくそう答える。
「だが、それももう終わりだ。
私もチンクも、こうした開けた場所の方が本領を発揮できる――貴様に勝機はないと思え」
「なるほどねぇ……
てめぇらの獲物を巻き込まないと同時、自分達に有利なフィールドで戦えるように誘い出したってワケか」
告げるトーレの言葉に、ブレードは笑みを浮かべてそうつぶやき――
「けどよ……残念だったな。
場所を移した方が都合がよかったのは、こっちも同じなんだよ」
そう告げると、ブレードは肩に担いでいた斬天刀をかまえ、トーレ達に向けて告げた。
「お互い都合のいい場所に出てきたところで……改めて始めようじゃねぇか!
オレとてめぇら――真っ向勝負の大ゲンカをよぉ!」
第70話
最凶VS最速
〜それぞれの武器〜
「……オレの相棒の妹分が働く職場で、ずいぶんと暴れてくれたようだな」
突如として戦場に乱入してきたのは意外な相手――姿を現したスタースクリームの言葉に、ブラックアウトやショックフリート、そしてオットーは無言のまま身がまえた。
「スタースクリームだと……!?
セイバートロン・サイバトロンのトップが、一体どうして……!?」
「調べが足りないな。
これでも、六課の後見人に名を連ねている身の上でな」
うめくショックフリートに対し、スターコンボイはそう答えて視線を向けてくる――ただ腕組みをして上空に滞空するスタースクリームの何気ないその仕草だけで、ショックフリートはまるで空気にのしかかられたかのような強烈なプレッシャーをぶつけられていた。
「ここの連中に何かあると、フィアッセが泣くんだよ。
すでに手遅れな気がしないでもないが……とりあえず、“これ以上”は許さない。全力で叩かせてもらう。
個人的な事情で申し訳ない――事前に謝罪は済まさせてもらうぞ」
「ふざけるな!」
告げて腕組みを解いたスタースクリームの言葉に、ブラックアウトは自身にのしかかるプレッシャーを払いのけるように声を上げた。
「元マスターメガトロンの腰ぎんちゃくだったヤツが、偉そうにぬかすな!」
そして、咆哮と共に突撃、エネルギーミサイルでけん制の弾幕を張りながら距離を詰め、スタースクリームに向けて拳を繰り出――すと見せかけ、殴りかかるモーションで身をひるがえした。攻撃のタイミングを1テンポ遅らせ、防御のリズムを狂わされたであろうスタースクリームに本命の後ろ回し蹴りを放ち――
「いいフェイントだ。
タイミングも悪くない」
スタースクリームは少しも釣られていなかった。冷静に反応して一瞬で距離を詰めると、今まさに繰り出されようとしていたブラックアウトの蹴りを左手で抑え、
「だが――使い方が甘い」
叩き落とすように繰り出された右のヒジが、ブラックアウトをそのまま眼下に叩き落とす!
「それからもうひとつ。
『腰ぎんちゃく』云々はブリッツクラッカーのことだ――かつて同じジェット機型だったからと言って、同一視はしないでもらおうか」
大地に叩きつけられるブラックアウトを見下ろし、
「そんなものか?
なら、さっさと投降してくれるか?――貴様らへの温情以前に、時間のムダにしかなりそうにない」
「言ってくれるな……!」
静かに告げるスタースクリームの言葉に、ショックフリートがうめき――
「IS発動――レイストーム!」
そんな彼らのやり取りの裏でオットーが動いた。スタースクリームに向け、彼女のゴッドオンしたクラウドウェーブがISによって生み出した光線の雨を降らせ――
「その程度で、不意をつけたと思わないことだ」
「――――――っ!?」
スタースクリームの姿は自分の後方――移動する動きすら感知させずに自分の攻撃をことごとく回避、背後にまで回り込んでおきながら平然と告げるスタースクリームの言葉に、オットーは戦慄し、目を見開きながら彼の方へと振り向いた。
「やはり、大帝クラスでもなければこの程度か……
もう一度言う。投降しろ」
「だ、誰が……!」
告げるスタースクリームに答えるのは叩き落とされたはずのブラックアウトだ――地上で身を起こし、スタースクリームをにらみ返す。
「ブラックアウトの言う通りだ。
我らとて使命があってここにいる――いかに貴様が強かろうが、退くつもりは毛頭ない!」
「……まぁ、貴様らに戦士としての誇りがあれば、断るだろうとは思っていたがな」
キッパリと答えるショックフリートの言葉に、スタースクリームは肩をすくめてそうつぶやき、
「それに……そちらのお嬢さんもだ」
こちらも退くつもりはないようだ。自分に向けて身がまえるオットーの姿に、つぶやきながら息をつく。
「まぁ、いい。
それなら、3人まとめて叩くまでだ」
しかし、それでもスタースクリームには絶対の自信があった。戦闘態勢に入る敵を前に、静かに自身の“力”を高めていき――
「ちょぉっと待ったぁっ!」
新たな声が乱入した。
「何――――――?」
聞き覚えのない声だ。何者かとオットーは声の主の姿を探し――その時、戦場の真上をそれが駆け抜けた。
地球の旅客飛行機――ジャンボジェット機だ。
そして――
「オクトーン、トランスフォーム!」
咆哮と共にロボットモードへとトランスフォーム。スタースクリームより頭ひとつ分、合体戦士級の体躯を誇る大型トランスフォーマーへと姿を変え、スタースクリームの前に降り立つ。
さらに――六課に隣接した海上からも新たな乱入者が現れた。湾内を横切るように、大型クルーザーが六課に向けて突っ込んできて、
「ブロードサイド、トランスフォーム!」
こちらも大型のロボットモードにトランスフォーム。海上から跳躍すると、先に降り立ったオクトーンと並び立つ形で戦場に降り立つ。
そして――新たに乱入した二人は、スタースクリームを守るようにディセプティコンやオットーと対峙した。
「貴様ら……何しに来た?
戦闘後の救護のため、戦闘終了までは後方で待機するよう命じたはずだ」
しかし、彼らの乱入が意外だったのはスタースクリームも同様だった。眉をひそめ、自分の前に降り立った二人に尋ねるが、
「ジョーダンじゃない!
戦い方を教えてくれたことは感謝してるけど……あたし達だってこんな状況じゃ引っ込んでられないっての!」
「私達も手伝います!
ケガ人も大勢いるようです――私達も戦って、早く終わらせた方が早く救護にかかれます!」
当の二人はかまいはしない。スタースクリームへと振り向き、口々にそう答える。
「…………しかたあるまい。
早く済ませられる、という点では確かに間違ってはいないからな……」
そんな二人に、スタースクリームは息をつき、
「お前達には連中のうち二人を任せる。
戦士としての“格”では、まだ新米の貴様らが劣るが……貴様らの“トランステクターの”性能ならば、押し切れるはずだ」
そう告げると、スタースクリームはオクトーンとブロードサイド、二人の間を抜けて先陣に立ち、
「こちらもまだ師としては新米でな――教え切れていないことが山ほどある。
教えることを残したまま、こんなところで倒れるなよ」
「りょーかい!」
「わかってます!」
激励するスタースクリームに答え、オクトーンとブロードサイドがかまえる――そんな二人に対し、ブラックアウトもまた二人の前に進み出て、
「今のやり取りからすると……お前ら、ゴッドマスターのトランスフォーマーか。
なら、こっちとしてもやり合う理由は十分ってワケだ」
「あたしらを甘くみんなよ!
お前なんか、あたしがオクトーンでボコボコにしてやるぜ!」
言い返すのはオクトーンだ。ブラックアウトに言い返すと、お互いに上空へと舞い上がる。
「なら……私は彼女を」
一方、もうひとつの対戦カードを決めたのはブロードサイドだった。言いながら、オットーのゴッドオンしたクラウドウェーブへと進み出る。
「スタースクリームさん。ショックフリートはお願いします。
私達じゃ、彼の特殊能力には対処できないので……」
「心配するな。
貴様が判断するまでもなく、最初からそのつもりだった」
答えるスタースクリームにうなずき、ブロードサイドはオットーとにらみ合いながらその場を離れる――残ったショックウェーブに対し、スタースクリームは静かに一歩を踏み出した。
「ずいぶんと、部下には甘いんだな。
あのナンバーズの小娘はどうか知らんが……ブラックアウトと戦うことにしたあの新米、墜とされるぞ」
「さて、それはどうかな?」
告げるショックフリートに答え、スタースクリームは余裕の――否、絶対の自信に満ちた笑みを浮かべた。
「確かに、ヤツらは戦いの世界に足を踏み入れて、オレの指導を受け始めてまだ一月程度。正直、この戦いが初陣なほどだ。
だが――」
そこで一呼吸おき、告げる。
「フィアッセと出会えたことに次ぐ幸運だったよ――」
「初めての教え子として、あれほど優秀な弟子と出会えたことは、な」
「…………っ、く……!」
ブレード達が外に離脱し、ひとまず脅威の去ったマキシマスの中央ホール――トーレに打ちのめされた痛みに顔をしかめつつ、シャマルはその場に身を起こした。
「シャマル先生、大丈夫?」
「うん。大丈夫よ……」
駆け寄ってくるヴィヴィオに答えると、シャマルは痛みの残る体にムチ打って立ち上がり、
「それより……ブレードさんが戦ってる……!」
「……ゆくのか? シャマル」
「えぇ」
自分と同様に身を起こすザフィーラの問いに、シャマルはうなずいて天井を見上げた。
「ブレードさんのことだから……きっとまたムチャしてるはずだから……
だから……私が、フォローしてあげないと……!」
「お互い都合のいい場所に出てきたところで……改めて始めようじゃねぇか!
オレとてめぇら――真っ向勝負の大ゲンカをよぉ!」
「おもしろい!
ならば私が相手をしてやる!」
ブレードの言葉に言い放ち、チンクが動く――彼女のゴッドオンしたブラッドサッカーが飛翔し、ブラッドファングを射出する。
「行け! ブラッドファング!」
そして、チンクの号令で一斉に飛翔――射出されたすべてのブラッドファングが、ブレードに向けて襲いかかる。
「何だ……?」
しかし、ブレードもそう簡単にやられるような男ではない。一瞬眉をひそめたものの、すぐに対応に移った。斬天刀で次々に飛来するブラッドファングを叩き落としていく。
「ミサイルじゃない、か……
柾木のヤツがやるみたいな、オールレンジ攻撃ってヤツか……」
「そういうことだ!」
ブレードに答え、チンクはさらにブラッドサッカー用のスティンガーTFを取り出した。次々に迫るブラッドファングを防ぎ、足を止めているブレードに向けて投げつけるが、
「悪いな!
オールレンジ系の相手は、柾木を再三襲撃してるうちに慣れちまったんだよ!」
ブレードはブラッドファングの相手をしながらもチンクへの警戒を怠ってはいなかった。素早く身をひるがえし、チンクの投げつけたスティンガーを斬天刀で叩き落とす。
「やるな……やはり柾木の仲間であるだけのことはあるな!
――しかし!」
そんな彼に向け、チンクは新たなスティンガーTFを取り出した。
しかし、それは先ほど投げつけたものとは違う仕様となっていた――先ほど投げたものが自分が生身の時に使う通常のスティンガーを純粋に大型化したものであるのに対し、彼女が今手にしているものは、形状こそ同じものの、その色は通常のもの鉛色と違い、ハッキリ違うとわかるほどに輝く白銀に染め抜かれている。
「さすがの貴様も、これは防げまい!」
「知るかよ!」
言って、チンクはそれをブレードに投げつけた。対し、ブレードは先ほどと同じようにそれを叩き落とそうと斬天刀を振り上げ――
投げつけられたスティンガーTFが弾けた。
白銀のスティンガーTFはただの外殻だったのだ――弾け飛んだ殻の中から飛び出してきた、大量の生身用のスティンガーがブレードに向けて降り注ぐ!
「何――――――っ!?」
驚きながらもすぐに反応――手にした斬天刀で飛び出してきた大量のスティンガーを叩き落としていくブレードだったが、巨大な斬天刀ではそのすべてを防ぐことはできなかった。しのぎきれなかったスティンガーがブレードの左腕に数本、さらに右足にも同様に突き刺さる。
さらに、スティンガーに気を取られたブレードに向けてブラッドファングが殺到――しかし、ブレードもこれには反応した。自らに刺さったスティンガーを抜くのは後回しにして回避。狙いを外したブラッドファングはブレードの周囲、マキシマスの甲板に突き刺さる。
「へぇ……やってくれるじゃねぇか。質より量ってか?
けどなぁ! こんな程度じゃ、オレは止められねぇぞ!」
「心配するな。
私も『こんな程度』で終わらせるつもりはない」
刺さったスティンガーを気にすることもなく言い放ち、斬天刀を振りかぶるブレードにそう答えると、チンクはブレードから距離を取って着地し、
「IS発動――“ランブルデトネイター”」
告げ、チンクはパチンッ、と指を鳴らし――同時、ブレードは一瞬にして爆炎に包まれた。
チンクのIS“ランブルデトネイター”によって、今までブレードを襲ったスティンガーやブラッドファングが全く同時に爆発を起こしたのだ。
「……私のIS“ランブルデトネイター”は、この手で触れた命の通わぬ金属を爆発物に変えることができる。
それを活かすためのスティンガーとブラッドファング――“ただのナイフ”であろうと、私にとっては必殺の武器となる。
六課にいたのなら戦闘機人のISのことは知っていたはず――私の能力を見極めもせず、ただ眼に映る力のみでこちらの力を測ったこと、それが貴様の敗因と知れ」
チンクが告げる間も、爆炎の中に動きはない――しかし、それもムリはないとチンクは考えていた。
周囲、しかも至近距離であれだけの爆発を受け、さらには彼の手足に突き刺さったスティンガーも彼に突き刺さったまま、すなわち彼の“手足の中で”爆発したのだ。仮に生きていたとしても、最低限左手の右足の機能は完全に奪ったはず。根性などの問題以前に、物理的に身動きの取れない状態なのは間違いないからだ。
それでも、そのまましばしの間警戒を続け――やはり動きがないのを見て撃墜したと判断した。息をつき、チンクはスティンガーをかまえた手を下ろし――
その眼前に、ブレードの姿があった。
「な――――――っ!?」
もう動けないと判断したところに飛び込まれ、完全な不意打ちの形――時間にすれば“一瞬”にも満たないであろう時間の中、斬天刀を振り上げたブレードを前にしたチンクは驚愕し、目を見開いた。
まさか、防いでいたというのか――視線は自然とスティンガーの突き刺さっていたはずの左腕、右足へと向いた。
結論から言えば――効いていた。それもこの上なく。
右足は大腿部の肉がごっそりとそぎ落とされ、筋肉どころか白い骨まで露出している――しかし、左腕などはさらにそんな右足よりもさらに重傷だった。骨も含めてほぼ完全に千切れかけ、わずかな筋肉によってかろうじて身体とつながっている状態だ。飛び込んできた勢いで宙で揺れている光景はヘタなスプラッタ映画よりもはるかに凄惨なものがあった。
もちろん、普通なら動けるはずがないどころか、激痛で意識を保つことも難しいはず、それほどの重傷にもかかわらず、ブレードは一瞬にしてチンクの懐へと飛び込んで見せたのだ。
しかも――彼は笑っていた。
意識がいつ途切れてもおかしくないほどの激痛の中で、ブレードはそれでも獲物を前にした肉食獣のような獰猛な笑みを浮かべていた。
その姿は、まるで――
「……狂戦士……!?」
次の瞬間――
ブレードの斬天刀は、チンクのゴッドオンしたブラッドサッカーを袈裟斬りに斬り裂いていた。
「が…………は…………っ!?」
回避も、防御も間に合わなかった――ブレードの斬撃に機体を深々と斬り裂かれ、衝撃で吹き飛ばされたチンクは背後の、マキシマスの外壁に叩きつけられた。
同時、トランステクターの安全装置が作動――チンクの身体が機外に放り出され、意識を失った彼女はその場に倒れ込む。
「……な………………っ!?」
いくら近接戦闘型ではないとはいえ、歴戦の猛者であるチンクが一撃で――トーレが呆然と声を上げる中、ブレードはガシャンッ、と斬天刀を肩に担いだ。
意識もなく、うつぶせに倒れているチンクを見下ろし、一言だけ告げる。
「言ったろ?――『止められない』って」
チンクからの答えはない――それ以上彼女に興味を示すことはなく、ブレードはトーレへと――彼女のゴッドオンしたマスタングへと向き直った。
「バカな……!?
チンクのランブルデトネイターが、効いていないのか……!?」
「バカかてめぇは。
オレのこのありさまを見て、なんで『効いてない』なんてセリフが出るんだよ」
うめくトーレだが、ブレードはあっさりと彼女の言葉を否定した。
「どう見てもメチャクチャ効いてるだろうが。
右足もえぐられてるし、左手だって千切れかけてる。
強がるつもりもねぇからあっさりバラすけどよぉ、ぶっちゃけメチャクチャ痛いぞ、今この時も」
「それほどの傷を受けながら、その痛みを抑え込んだというのか……!?
とてつもない精神力だな」
「悪いな、その指摘もハズレだ」
再びブレードはトーレの言葉を否定した。
「別に、ガマンしたとかそういうんじゃねぇよ――言ったろ? 『強がるつもりはねぇ』ってさ。
オレがかまわず突っ込んだのは――もったいなかったからさ」
「もったい、ない……?」
「あぁ」
聞き返すトーレにブレードはうなずいてみせた。
「簡単な話さ。
オレにこれだけのダメージを与える相手だぜ――そんなヤツを前に痛がってなんかいられるかよ。
痛がる1秒があるなら――オレはその1秒を相手と斬り合うために使いてぇ。それだけだ。
……っと……」
トーレに告げて――ブレードは千切れかけている自分の左手がプラプラと揺れているのに気づいた。斬天刀を甲板に突き立て、右手で押さえて左手の動きを止めると、千切れていたはずの筋肉組織が、爆発の衝撃でへし折れた骨が、傷口のあちこちでつながり始める。
ブレードの力場の固有効果――傷の回復を生命体としての限界を超えたレベルで加速させる“超速回復”である。
「とはいえよぉ……せっかくの相手が一撃で沈んじまって、オレとしちゃあ消化不良なんだよ。
で、アンタに聞きたいんだが……」
と、そこで一度息をつき、ブレードはトーレに尋ねた。
「アンタ……今のチビより強いか?」
「……どちらが強い、ということには興味はない。
ゆえに、その問いへの答えは『わからない』だ」
そんなブレードを前にしても、トーレはすでに落ち着きを取り戻していた。静かに答え――付け加える。
「だが……私は序列的にチンクより上、戦闘指揮官の立場にある」
言って、トーレは静かにかまえた。無言のままISを発動。四肢に発生したブレードを兼ねた翼が高速で震え始める。
「リーダーとして……そして何より姉として、チンクを倒した貴様をこのままにはしておけない」
「…………悪くない気迫だ」
そんなトーレに対し、ブレードもまた甲板に突き刺した斬天刀を引き抜いた。
「それに、こっちの傷が治るのを待たないっつーのも常在戦場って感じでなお良し、だ。
いいぜ、このまま相手してやるよ」
言いながら、ブレードも斬天刀を振りかぶり、改めて告げる。
「てめぇとなら……楽しいケンカができそうだ!
こっちが満足するまで、死ぬんじゃねぇぞ!」
「オォォォォォッ!」
ドランクロンが咆哮し、それを合図にブレントロンがそれぞれの火器を一斉発射――しかし、目標には届かない。ブレインジャッカーは、まるでその攻撃をあらかじめ知っていたかのようにそのことごとくをかわしていく。
と――
「だぁりゃあぁぁぁぁぁっ!」
そこへスキュラが飛び込んできた――その鎧、両肩と両腕のアーマーから2本ずつ飛び出した8本の触手が一斉にブレインジャッカーへと迫るが、
「甘い」
ブレインジャッカーはただその一言だけで片づけた――言葉そのままの意味で“四方八方”から迫りくる触手を、何の問題もなくかわしていく。
「けど――これならどうだ!」
しかし、スキュラにとっては想定の内。本命はこの後――腰の両側のアーマーがブレインジャッカーの方を向くと、そこからも2本ずつ、新たな触手を伸ばしてブレインジャッカーを狙う。
が――
「ムダだ」
「なぁっ!?」
ブレインジャッカーはすでにその攻撃を“読んで”いた。冷静に新たな触手をつかみ、驚くスキュラを投げ飛ばす!
「お前達が何を仕込もうがムダなことだ。
オレの思考リンクシステムにより、お前達の狙いはこちらに筒抜けだ」
大地に叩きつけられるスキュラ、そしてこちらに一撃も許させてないドランクロン達――対峙する者達を前に、ブレインジャッカーはそう告げて――
(しかし……ひとり、不自然な者もいるようだが、な……)
心の中で付け加えると、ブレインジャッカーは眼下のスキュラへと視線を向けた。
どうも、彼の思考を読む時に違和感を感じる。
別に、心の中が読めない、というワケではない。実際自分は読み取った通りにスキュラの攻撃をかわしている。
違和感を感じるのは――
(時折、思考に不自然なノイズが入ってくる……
と言っても雑音というワケではない。強いて言うなら……“混線”か?)
今までに経験したことのない類のケースに興味は正直あるが――戦闘中であることを思い出し、ブレインジャッカーは改めて眼下の敵達を見下ろした。
「わかったはずだ。お前達が考えてこちらに狙いをつけてくる以上、オレはそれを読み取り、攻撃をかわすことができるし、その気になればカウンターも容易だ。お前達に勝ち目はない。
だが――オレは別に聖王教会にも、管理局にも恩義はない。これ以上この場で戦闘を続け、不快な思念をまき散らすのをやめてもらいたいだけだ。
この場を退くならオレは何もしない――そのまま帰るなり、別の場所でやり合うなり好きにしてくれ」
「何だと……!?」
「なめてくれるな、貴様……!」
とはいえ、彼の目的は戦いに勝利することではない――能力を見せつけた上で提案するブレインジャッカーに、エルファオルファやラートラータはこめかみを引きつらせつつそううめき――
「そいつの、言う通りだぜ……!」
言って立ち上がったのはスキュラだった。
「オレ達の攻撃が読める、だと……? 言ってくれるじゃねぇか。
なら――これでどうだ!?」
言って――スキュラは鎧の懐からそれを取り出した。
イカを象ったレリーフ板だ。おそらく――
「デバイスか――!?」
その正体に気づき、ドランクロンが叫ぶ――かまわずスキュラはそれを頭上にかざし、告げる。
「喰らい尽くせ――」
「“貪食”!」
その瞬間――“闇”が生まれた。
スキュラを中心に、彼の周囲にリング状の何かが展開――次の瞬間、それは直径10数メートルほどの大きさまで広がり、その内側から漆黒の渦があふれ出したのだ。
それは瞬く間に周囲の空間を侵食していき、ブレインジャッカーも、ドランクロン達も――敵対する者すべてを、離脱も許さず呑み込んでいった。
(…………何だ?)
すぐに状況を確認するが――ブレインジャッカーはその結果に眉をひそめた。
闇に呑まれた“だけ”だったからだ。
それ以外は、スキュラが仕掛けてくる前と何も変わらない――座標も元のままだ。移動すらさせられていないらしい。
だが、それ故に逆にその意図がわからない。再びスキュラの思考を読み取ろうと、ブレインジャッカーはスキュラの姿を探し――
「どうだ? オレの“貪食”の中の具合は」
そんな彼にスキュラ本人が尋ねる――暗闇の中にその姿を隠したまま、彼やドランクロン達に向けて告げる。
「オレの“貪食”は“捕獲専用のデバイス”でな――個体としての形状は持っちゃいない。
強いて言うなら、今お前らのいるその空間自体が“貪食”そのものだ」
姿は見えないが――ブレインジャッカーはすぐに彼の思考を捉える事に成功した。
(当然、戦闘能力はないが――それはオレが補えばいいだけだ。
“貪食”で捕まえ、闇の中でオレがなぶり殺しにする――それがオレの、本来の戦法ってワケだ)
「当然、戦闘能力はないが――それはオレが補えばいいだけだ。
“貪食”で捕まえ、闇の中でオレがなぶり殺しにする――それがオレの、本来の戦法ってワケだ」
セリフそのままの思考が流れてくる――自分の捉えたものはスキュラの思考で間違いはないようだ。
「さぁ……話は終わりだ。
てめぇら全員……スクラップに変えてやるぜ!」
(まずは……オレをバカにしたあのガラクタ人形だ!)
「オレに来るか!」
敵の狙いは自分に向いている。攻撃に備え、ブレインジャッカーは身がまえ――
「ぐわぁっ!?」
「何っ!?」
悲鳴を上げたのはラートラータだった。予想外のところから上がった声に、ブレインジャッカーは思わず声を上げる。
「何だ……?
今、ヤツの攻撃の意思は明らかにオレに向いていた……!」
(次――トカゲ野郎!)
うめくブレインジャッカーが次の思考を捉える――今の誤認(?)のこともあり、慎重に周囲をうかがうブレインジャッカーだったが、
「ぐわぁっ!?」
そんなブレインジャッカーをあざわらうかのように、闇の奥から飛び出してきたスキュラの触手がブレインジャッカーを弾き飛ばす!
「どういう、ことだ……!?
ヤツの思考と、実際の攻撃が食い違っている……!?」
こんなことは初めてだ――感情の起伏の乏しいブレインジャッカーだったが、さすがにこれには戸惑い、声を上げ――
(次はトゲトゲの魚野郎!)
思考がラートラータへの攻撃を告げ――再び触手はブレインジャッカーを打ち据え、吹き飛ばす!
「大丈夫か? シャマル」
「私は、大丈夫……
それより、ブレードさんが……!」
ブレード達の飛び出していった道筋をたどりながら、シャマルは自分を支えてくれている獣形態のザフィーラにそう答えた。
「ブレードさんは、何よりも戦いを楽しむことを優先する……!
そして、ブレードさんの戦闘能力はオーバーSランク――そんなブレードさんが、あのナンバーズとぶつかったら、ただじゃすまない……!
どちらかが、どころじゃない……どちらも、間違いなくただじゃすまない……!」
「…………そうだな。
急ごう」
つぶやくように告げるシャマルに答え、ザフィーラは彼女を支えて先に進む。
そして、二人はようやくマキシマスの外に出て――その瞬間、二人の眼前に何かが叩きつけられた。
「きゃあっ!?」
「む――――――っ!?」
その衝撃で舞い上がった粉じんに視界を覆い隠され、シャマルは思わず声を上げた。ザフィーラに支えられ、何事かと目を凝らし――
「――――ブレードさん!?」
そこに倒れていたブレードの姿に、シャマルは悲鳴に近い勢いで声を上げた。
「…………へっ、やってくれるじゃねぇか」
チンクのランブルデトネイターの爆発によってえぐられた傷も筋肉の大半が再生。少なくとも戦闘行動に支障のない程度にはふさがった――しかし、代わりにその身体には新たな傷が大量に刻まれていた。それでも笑みを絶やすことなく、ブレードはその場に身を起こした。
上空に佇むトーレ――自身の機能ではなくトーレ自身の飛行スキルによって空中に留まっているマスタングに狙いを定め、再び地を蹴り、跳躍する――が、
「IS発動――“ライドインパルス”!」
トーレが咆哮し、その姿が一瞬にしてかき消えた。文字どおり“目にも留まらぬ”ほどのスピードでブレードの斬撃をかわし、背後からブレードへと一撃を叩き込む!
「どわぁっ!」
そして、再びブレードがマキシマスの甲板上に叩きつけられる――再びブレードを上空から見下ろし、トーレは相手の次の出方を観察し――
「――どぉりゃあっ!」
ブレードが地上で動いた。斬天刀を勢いよく振るい、その軌跡からブレードの精霊力によって形作られた光刃が発生し、トーレに向けて飛翔する。
しかし、それもトーレのライドインパルスの前には届かない。再び発揮された超スピードで、トーレは迫りくる光刃のすべてをかわしきる。
「ムダだ。
チンクのブラッドサッカーを一撃で斬り裂いたその攻撃力は確かに脅威だが、貴様の剣はどう見ても力任せの“剛”の剣――ナンバーズの中でも最速の私をとらえることは不可能だ!」
告げると同時――トーレは再び高速機動状態に突入。一瞬にして距離を詰め、自分から見てはるかに体躯で劣るブレードの身体を殴り飛ばす!
すさまじい衝撃により、ブレードの身体は一直線に飛ばされ、マキシマスの外壁に叩きつけられる――今までの苛烈な攻撃によって亀裂の走っていた外壁はあっけなく砕け散り、ブレードはマキシマスの艦内に叩き込まれた。
さらに、砕け散った外壁の周囲で回路がショート、爆発を起こす――爆発の中に消えたブレードを、トーレは油断なく観察する。チンクの二の舞はゴメンだからだ。
そのまましばし、ブレードの叩き込まれた場所に動きはなく――
「――――来た――!」
収まり始めていた爆煙の中から光刃の群れが飛び出してきた。しかし、警戒していたトーレはそれを難なくかわしていく。
ライドインパルスの効果が切れ、トーレは通常機動に戻りつつ、未だ爆煙の中にいるであろうブレードへと向き直り――
「オラァッ!」
「何――――――っ!?」
ブレードの姿は自分のすぐ頭上にあった。驚愕しながら、トーレは飛び込んできたブレードの斬撃を回避する。
「チッ、外したか……
いいタイミングだと思ったんだがな」
「なるほど。
ライドインパルスは発動したままにはしていられない――発動と発動の間隙をついたか……」
舌打ちするが、その口調はまったく悔しそうには聞こえない――斬天刀を肩に担ぐブレードの言葉に、トーレはそう答えると軽く息をつき、
「だが……所詮は些細な抵抗だ。
貴様にしては知恵をしぼったのだろうが、それでも貴様は未だに私を捉えられない――それが現実だ」
言って、トーレは再びライドインパルスの発動体勢に入った。四肢の光翼が高速振動を始める中、ブレードに向けて告げる。
「私もチンクが一撃で撃墜されて、少々気が立っているようだ。
悪いが、貴様の嗜好に付き合ってやる気にはなれそうにない――全力を持って、叩きつぶさせてもらう!」
(……チッ…………いい線いってるテだと思ったんだがな……かすりもしねぇか)
一方、ブレードはそんなトーレの怒りなどどこ吹く風だった――斬天刀を肩に担いだその体勢のまま、今まさに高速機動に突入しようとしているトーレの姿を見上げ、今しがた失敗した奇襲のことを思い返していた。
(しっかし……どうしたもんかね。
オレの追いつけないスピード、っつーのは、光凰院やら高町七女やらがいたが……)
瞬間、トーレの姿が消える――ほとんど同時といってもいいタイミングで、背後からの衝撃がブレードを弾き飛ばした。
何度も甲板の上をバウンドし、ブレードはなんとか受け身をとって立ち上がる――見れば、トーレはすでに上空へと舞い戻り、再びこちらの様子をうかがっている。
(一番厄介なのは速さよりもアレだ。
どこまでも徹底したヒットアンドアウェイ――あれをやられちゃ、そう簡単にゃ捕まえられねぇ。
ブチキレてるっつったクセに、妙に冷静でいやがる……いや、ブチキレてるからこそ、徹底的に叩きに来てるってところか……)
心中で舌打ちしつつ、ブレードは再び斬天刀をかまえ、
(さて……ここまでおさらいしたところで、どう攻めるか……
アイツと斬り合うには、なんとかしてアイツを間合いの中に引き留めなきゃならねぇ。
とはいえ、オレのスピードじゃどうしようもねぇ……)
ふと、「他のヤツらならどうするだろうか」と考える――脳裏によぎったのは六課部隊長であるはやて、恭也を通じて刃を交えたこともあるなのはの姉・美由希、そして未だに彼の“獲物”であり続ける柾木ジュンイチだった。
――えっと……シグナムかフェイトちゃんにヘルプ!(by はやて)
(それじゃオレが斬り合えねぇだろうが)
――この場で“神速”に開眼、とか?(by 美由希)
(そんなに簡単に目覚められたら苦労しねぇよ)
――相手の土俵で戦ってやる必要ないんだし、ワナでも仕掛けてハメるかねー♪(by ジュンイチ)
(オレぁトラップなんざできねぇっての……)
そこまで考え――ブレードはふと気づいた。
(…………そうだよ。
“そう”なんじゃねぇか……)
「…………何だ?」
マキシマスの甲板上、自分の高速戦法の前になす術なく打ちのめされていたブレードの雰囲気が変わった――彼の口元に笑みが浮かんだのに気づき、トーレは眉をひそめた。
「この期に及んで、まだ戦いを楽しんでいるのか……?
私を相手に、ずいぶんとなめられたものだな!」
そんなブレードの態度はトーレにとって気分のいいものではなかった。心中穏やかならざるものを感じ、トーレは右腕の光翼をかまえ直した。
「もう、猶予はやらん……!
この一撃で――沈め!」
告げると同時にIS発動――瞬間的にトップスピードまで加速し、ブレードの眼前に飛び込んだトーレは両腕の光翼を振るい――
「――――よっ、と」
「何っ!?」
そこにブレードの姿はなかった。頭上を飛び越える形でこちらの攻撃をかわしたブレードに、トーレは驚愕の声を上げる。
反撃が来る――とっさに振り向き、トーレはブレードの姿を探し――
「よっ、ほっ、はっ……」
「って、おーい……?」
ブレードはかまうことなくマキシマスのブリッジを登っていく――完全にシカトされた形になったトーレは、思わず間の抜けた声を上げてしまう。
(単に、移動したタイミングが私の攻撃とかち合っただけか……?)
先ほどの回避はただの偶然か――わずかに落胆の色を見せたトーレだったが、ブレードは気にすることなくブリッジの上まで一気に跳び上がった。そのままグルリと周囲を見回し、
「……よし、ここならいいか」
そこは今のブレードにとって“最高”のロケーションだった。満足げにうなずくと、ブレードはようやく自分を追ってきたトーレへと向き直った。
そして――
斬天刀を足元に放り出した。
「何…………っ!?」
敵を前にしていきなり自分の獲物を手放したブレードの突然の行動に、トーレは思わず眉をひそめてみせるが、
「そうだよな……
何も、すばしっこく飛び回るヤツを相手に、こっちもすばしっこく追いかけ回す必要なんかなかったんだよな」
そんな彼女の困惑もなんのその。ブレードはひとりでうんうんとうなずいてそう告げ――続くブレードの行動に、トーレはまたしても眉をひそめることになる。
斬天刀を手放したそのままで、トーレに向けてかまえて見せたのだ。
いわゆる徒手空拳のかまえ――そのまま、いつもの獰猛な笑みを浮かべ、告げる。
「一緒になって飛び回んのはもうやめだ。
来な。撃墜してやるぜ!」
「ぐ………………っ!」
漆黒の中から飛び出したスキュラの触手が全身を打ちすえる――反撃もままならず、ドランクロンは触手にからめとられ、大地に叩きつけられた。
「くそ、どこにいる!?」
「出て来い!」
姿を見せないままこちらを翻弄するスキュラをなんとかしてとらえようと、闇雲に火器を乱射するラートラータとエルファオルファだったが、
「ムダだっての!」
スキュラには一発も当たらない。今度は背後から伸びてきた触手にからめとられた二人は互いにぶつけ合わされ、仕上げとばかりに先ほどのドランクロンのように大地に叩きつけられる。
「どうだ!? すぐ目の前にいるのにその姿すら捉えられずにただ打ちのめされる! 名高いユニクロン軍のお前らにとっても、初めての体験だろうが!」
懸命の反撃にもかかわらず相手に傷ひとつつけられず、力なく大地に倒れ伏すブレントロンの3人を前に、スキュラは勝ち誇ったような声色でそう告げ、
「さて……ジャマ者も片づいたところで、次はお前だ、ブリキ人形!」
告げて――スキュラは次の目標をブレインジャッカーに定めた。油断なくかまえるブレインジャッカーの集音システムが、スキュラの触手がうごめく、ジュルジュルという音を拾ってくる。
だが、音は四方から聞こえてきており、出所の特定は難しい――彼のセンサー類を総動員してサーチをかけても、捉える反応はドランクロン達だけだ。
(センサー類は正常。ヤツの反応だけが捉えられない――
ヤツのデバイスによるジャミングではないな――ヤツ自身が自らにステルス処理をかけている、ということか……)
冷静に考えながら、ブレインジャッカーは思考リンクシステムを起動。スキュラの思考を読んでみる。
(さんざんバカにしてくれやがったからな……ただじゃおかねぇ!
ジワジワいたぶって、額を地面に擦りつけるみたいに土下座させてやるぜ!)
読み取った思考はスキュラの嗜虐的な考えを伝えてくるが――やはり、先ほどから感じている違和感は消えていない。
(他のヤツらには見られず、ヤツの思考にだけ見られるこの特徴……
先ほどから、ヤツの思考の中での狙いと実際の攻撃の狙いが一致しない原因も、ここにあるのかもしれんが……)
推理を巡らせるブレインジャッカーだったが、そんな彼に思考リンクシステムがスキュラから背後からの攻撃の意思を伝えてきた。とっさに前方へと逃げるが――攻撃は正面から来た。まんまと飛び込んでしまったブレインジャッカーをとらえ、吹き飛ばす!
「ぐぅ…………っ!」
それでも、決定打だけはなんとか回避できた――急所への攻撃のみに防御をしぼり、なんとか凌いだブレインジャッカーはすぐに体勢を立て直してスキュラの姿を探す。
(まただ……思考の中で定めた狙いとは別の方向から攻撃が来る……!)
懸命に敵の攻撃のカラクリを探るが――現時点で得られている情報ではあまりにも手がかりが少なすぎた。
(動きに嘘をつくことはできても、思考に嘘をつくことなどできはしない……!
どういうことだ……? ヤツはどうやって、思考をごまかしている……!?)
次は左からの攻撃を伝えてきた。今度こそと上空に逃れるが、背後から襲いかかってきた触手に背中を思い切り打ち据えられる。
(このカラクリの正体を突き止めなければ、いずれやられる……!
こんなワケのわからない戦いでやられるなどまっぴらなんだがな……)
今度は正面から攻撃が来るが――闇の中から飛び出してきた触手を視認できたことが幸いした。とっさに跳び、迫る触手を回避する。
(まったく、シャレになっていないな……
これではまるで……)
「――――――っ!」
そこまで考え――ブレインジャッカーは“ある可能性”に気づいた。
(まさか……
だが……もし、本当にそうだとすれば……)
「試してみる価値は……ありそうだな!」
どうせこのままではジリ貧だ。賭けるしかない――そう判断すると同時、ブレインジャッカーは空中でその動きを止めた。
「へっ、覚悟を決めたか?
だったら――墜ちろよ!」
そんなブレインジャッカーに対し、スキュラが強烈な攻撃の意思を向ける――しかし、ブレインジャッカーはそんな彼にかまわず、自分のシステムの設定の一部に手を加える。
その内容は――
「思考リンクシステム――指向性設定、解除」
同時、スキュラやドランクロン達にのみ絞っていた思考リンクシステムが全方位に解放された。彼らの思考に集中するために締め出していた、周囲でスキュラ配下の瘴魔獣達によって蹂躙された教会騎士や信者の人間達の思考が一斉に自分の中へと流れ込んでくる。
膨大な情報の中、ブレインジャッカーは意識を集中、目的の情報を探し――
「――――――そちらか!」
見つけた。身をひるがえし――背後から飛び出してきた触手をその両手で捕まえる!
「何だと!?」
「残念だったな。
貴様の攻撃のカラクリ――見破ったぞ!」
闇の中で驚きの声を上げるスキュラに答え――ブレインジャッカーは捕まえた触手を思い切り引っ張った。単純な腕力では遥かに劣るスキュラはたまらずブレインジャッカーの前に引きずり出され――
「むんっ!」
ブレインジャッカーは渾身の力でスキュラを殴りつける――力場によって多少は衝撃を緩和したものの、それでもスキュラはものすごい勢いで吹き飛ばされた。
つかまれていた触手も難なく千切れ、“貪食”の闇の檻を突き破って外に飛び出したスキュラは教会の居住棟の外壁に叩きつけられる。
衝撃で全身の骨格がきしみ、裂けた肉の間から鮮血が吹き出し――そんなスキュラに、彼の開けた大穴から“貪食”の外へ脱出したブレインジャッカーは容赦なく追撃をお見舞いした。叩きつけた蹴りは居住棟の外壁を打ち崩し、直撃を受けたスキュラは居住棟の反対側へと吹き飛ばされる。
「…………意識が途切れんか。
ずいぶんと頑丈に“造られて”いるようだな」
「ぐ…………ぅ……っ!」
背後で、“力”の供給の断たれた“貪食”の闇が砕け散る音が聞こえる――告げるブレインジャッカーの言葉に、スキュラはうめきながらもなんとか身を起こした。
「ど、どうやって、オレの攻撃を……
お前、オレの思考を読んでいたんじゃ……!?」
「あぁ、読んでいたさ。
だからこそ、最初は気づけなかった」
歯噛みするスキュラだったが、ブレインジャッカーはあっさりとそう答えた。
「だがな……気づいてみればカラクリは簡単だ。
オレは他者の思考を読み取れる――だが、もしそれが無制限に思考を読み取れるものであったなら、オレは常に膨大な量の思考にさらされることになる。
そしてそれは、戦闘の上ではジャマにしかならない――何しろ、思考を読みたい相手だけではなく、他のどうでもいい連中の思考まで、問答無用で流れ込んでくることになるんだからな。
だから、オレは通常は思考リンクシステムに指向性を持たせ、特定の思考以外は読まないようにしている――この程度は、オレの能力を知ったのなら、その使い方を検証する上で自然とたどり着く結論だ。
お前は、この戦場、すなわち民間人が大勢倒れているこの場でオレが自分やブレントロンの思考だけを正確に読み取っていたことから、そのことに気づいたんだ――そこで、本来捕獲専用の貴様のデバイスを使い、オレ達を捕獲した闇の中に姿を隠し、さらにもう一段階小細工を弄した。
すなわち――自分がオレへの攻撃の意思を示す一方で、オレがその存在を認識していない“別のヤツ”に攻撃させていたんだ」
「別のヤツ、だと……?」
「その鎧だよ」
うめくスキュラに答え、ブレインジャッカーは彼を――正確には彼の身にまとっている鎧を指さした。
「その鎧の触手は最初、お前自身がその手で操るのではなく、お前の意思に従って自分で動いて攻撃を繰り出していた――つまりそれは、お前の意思を命令として受け取り、それを実行する仕組みが備わっている証拠だ。
オレが貴様の思考を読み取った時に感じた妙なエコーや混線もそれが原因だ。貴様に思考リンクのターゲットをしぼっていたことで、ほぼ同位置にあったその鎧が読み取った貴様の思考や、入力値の判断やコマンドの実行といったプログラム上の“思考”をわずかながら拾っていたんだ。
話を戻すが、お前はそのシステムを利用し、その鎧に自動で攻撃させていた――結果、その鎧のシステムのことに気づいていなかったオレはその鎧の“思考”に気づけず、お前の攻撃の意識だけに気を取られてしまった。
オレの推理は以上――訂正はあるか?」
「ぐ………………っ!」
告げるブレインジャッカーの言葉に、スキュラは思わず歯噛みする――それは、ブレインジャッカーの推理が正解であることを言外に示すものだった。
「オレの思考リンクは、意識のある相手に対しては表層的な思考しか読み取ることができない――たとえその“表層的な思考”の中でその企みを考えついても、一度発動させて戦闘に意識を戻してしまえば、思考の片手間に認識されるその企みをオレが読み取ることは不可能になる。
お前がこの作戦を思いついた時にオレも思考リンクでその作戦を読み取っていれば、もっと早く対応できたんだがな。
オレも、まだこのシステムの使い方が甘いということか」
言って、ブレインジャッカーはスキュラに向けて右腕のビームガンをかまえ、
「“そういう身体”とはいえ、生身でトランスフォーマーの打撃に2発も耐えたのは称賛に値する。
だが――ここまでだ」
「く――――――っ!?」
告げるブレインジャッカーの言葉にスキュラがうめき――その瞬間、スキュラの足もとから光があふれた。
スキュラの足もとに、突如魔法陣が描き出されたのだ。
いや、それは魔法陣ではなく――
「108管理外世界独特の術式陣……お前の主の瘴魔神将か!」
転送回収の術式の刻まれた術式陣を見て事態を悟り、迷わずかまえたビームガンを発砲する――しかし、そのブレインジャッカーのビームは一瞬早く姿を消したスキュラを捉えることはなく、虚しくその向こう側の地面を吹き飛ばす。
「ヤツらの主が回収したか……
確かに、“聖王教会のミッドチルダでの拠点を破壊する”というヤツらの目的はすでに達せられた後――あの男の嗜好や意地に、いつまでも付き合うつもりはないということか」
つぶやき――ブレインジャッカーは後方のサーチを強化した。ワープで離脱したのか、ドランクロン以下ブレントロンのメンバーの反応がいつの間にか消えているのを確認し、視線をスキュラのいた場所へと戻した。
「……実戦闘能力よりも、警戒すべきは戦闘手段の特殊性……
ある意味、ナンバーズや他の勢力とは真逆の意味で厄介な相手かもしれんな……」
静かにそうつぶやき――ブレインジャッカーはきびすを返し、静かにその場を後にした。
「この私を……撃墜するだと……?」
何を思ったのか自らの大剣を放り出し、徒手空拳のかまえでそんなことを言い出したブレードに対し、トーレは明らかに気分を害していた。苛立たしげにつぶやき、四肢の光翼が高速振動を始める。
「空も飛べず、私のスピードに追いつけず……あげく武器も手放し、それでも私に勝てるとでも言うつもりか……!
私を見くびるのも、いい加減にしろ!」
咆哮し、トーレはライドインパルスで一気にブレードの眼前へと飛び込んでいった。そのまま一切速度を落とすことなく右の拳を繰り出し――
虚空を貫いた。
「何――――っ!?」
拳も、そこから伸びる光翼も、目標を捉えることはなかった――仕留めたと思った一撃が外れ、トーレは驚愕の声と共に一度離脱。距離を取ってブレードと対峙する。
対し、ブレードに動じる様子はない――ゆっくりと、こちらへと振り向いてくる。
「怒りで目測を見誤ったか……?
だが――幸運は二度はないぞ!」
今度こそ必殺を誓い、トーレは再びブレードへと突撃した。最高のスピード、最小限のスキと共に、ブレードをしっかりとその視界に捉えて一撃を放ち――
ブレードはそれを紙一重でかわしていた。
「何だと!?」
偶然外したのではない。明らかに回避された――全く想定していなかった事態に、トーレはブレードの脇を駆け抜けながら声を上げた。
「故意にかわしたというのか……!?
……いや、そんなはずはない!
先ほどまで、ヤツは私の動きにまったくついてこれなかったんだ……カンに頼って先に動いていたのが功を奏したに決まっている!」
スピードで明らかに劣るブレードが自分の一撃をかわせるはずがない――実際にこの戦いの中で何度も速さで彼を上回ってきた事実からかわされたことを認められず、トーレは咆哮と共に再びライドインパルスでブレードへと強襲を仕掛けた。一瞬にして彼の眼前に飛び込み、今度は水平に回し蹴りを放ち――
「よっ、と」
「――――――っ!?」
またしてもブレードはその一撃をかわした。迷うことなく素早く身を沈め、自らに迫っていたトーレの蹴りをかわしてみせる。
「バカな……!?
偶然ではない……明らかに、ヤツは私の動きに反応している――!?」
もう、認めざるを得ない――ブレードが自分の攻撃に確かに捉えていることを確信し、トーレは驚愕と共にブレードから距離をとった。
「どういうことだ……!?
先ほどまで、ヤツが手を抜いていたとでも言うつもりか……!?」
うめきながら、トーレはブレードへと視線を向け――気づいた。
「どうした?
いきなり攻撃がかわされて、ビビっちまってるのか?」
そうトーレに向けて告げるブレードは――両の目をしっかりと閉じていた。
「何、だと……!?
ヤツは、目を閉じたまま私の攻撃をしのいでいるとでも言うつもりか!?」
そんなことがあってたまるか――信じられないという思いに突き動かされ、トーレはブレードに向けて飛翔した。最大加速の中で拳を繰り出すが、ブレードはそれを半歩左に動くだけのステップでかわしてみせる。
「ちぃっ!」
しかし、トーレもその場でムリヤリ急ブレーキ。ブレードの背後で機動を停止すると、振り向きざまに足払いのように地面スレスレの回し蹴りを繰り出すが、ブレードは跳び箱のようにトーレの蹴りを飛び越え――
「ずぁりぁあっ!」
「むぅっ!?」
ついに反撃に転じた。空中で身をひるがえし、ブレードはトーレに向けて蹴りを繰り出す!
「そんな……!?」
ブレードの蹴りは惜しくもトーレの鼻先をかすめただけ――再び彼女の操るマスタングが距離をとったのを見て、シャマルは思わず声を上げた。
「ブレードさん、目を閉じてるのに、どうやって……!?」
「違う……
“目を閉じているからこそ”だ」
しかし、そんなシャマルに対し、ザフィーラは冷静にそう答えた。
「目を閉じているからこそ、ブレードはあの戦闘機人の高速機動に惑わされずにすむ。
視界から消える戦闘機人の姿を視認しないからこそ、追い切れないことに焦ることもない。
後は、自分の制空権に飛び込んできた敵や、敵の攻撃にのみ反応すればいい」
「でも、それだけであの反応は……」
「その答えは、お前もすでに知っているはずだ」
聞き返すシャマルに答え、ザフィーラは痛みからかわずかにふらついた彼女の身体を自らの身で支えてやる。
「確かに、ヤツは“スピード”は決して速くはないが……」
「“反応速度”のみに絞って言えば、シグナムやテスタロッサすら容易に捕捉できるほどの速さを有することを」
「ちぃ――――っ!?」
またしてもカウンターを狙われた――自身の拳を受けることなく受け流し、懐にすべり込んできたブレードのヒジ打ちを、トーレはムリヤリ身体をひねり、マキシマスの甲板上を転がりながら何とかやり過ごした。
(なぜだ……!?
なぜ、こうもかわされる……なぜ、こうも返される!?
相手は私よりもスピードで劣る。増してや目を閉じているというのに!)
トーレは知らない。ブレードの速さは移動のスピードではなく、反応の速さにその神髄があることを。
目を閉じていることで、その“神髄”が最大限に発揮されているということを。
だからこそ――ブレードが自分の動きについてこれている、その事実が信じられなかった。認めることができなかった。
そして何より――
(私は……負けるワケにはいかんのだ……!
ドクターのために……私は私達に割り当てられた“作業”を完遂しなければならない……!)
自分達の“創造者”であるスカリエッティに対する使命感が、彼女に退くことを許さなかった。
「こんなところで……貴様ごときに手を焼いている場合ではない!
いい加減――墜ちろ!」
プライドと使命感、二つの感情に突き動かされ、トーレはブレードに向けて一気に加速、飛翔した。
今回の戦いの中で最高の加速の中、ブレードに向けてやはり最高の体さばきで拳を打ち放ち――
「残念だったな」
その拳は、ブレードの“いた”場所に突き刺さっていた。
頭上から打ち落とすように放たれた拳を、ブレードはそのさらに上に跳ぶことで回避していた。しかも――
「ようやく、てめぇを斬れるぜ」
跳躍の瞬間、ブレードは足元に転がしてあった斬天刀をつま先で蹴り上げ、空中でキャッチしていた。身をひるがえしつつ頭上へと振り上げ――
「おぉりゃあっ!」
繰り出された一撃が、トーレのゴッドオンしたマスタングを深々と斬り裂いていた。
「………………っ!」
生身であれば、“肺から空気が漏れていく感じ”とたとえられたであろう――自分の身体から力が抜けていくのを感じつつ、トーレはゆっくりとその場に崩れ落ちていく。
同時、ゴッドオンが解除される――マキシマスの甲板上に放り出され、意識もなく倒れ伏すトーレの背後で、マスタングは轟音と共に崩れ落ちていった。
「………………フンッ」
そんなトーレに対し、ブレードは斬天刀を肩に担いだ。トーレに対してそれ以上何をするでもなく、静かに告げる。
「シャマルの借りは……返したぜ。
次はてめぇの番だ――」
「次会う時は今の負け分と、あの“小さな妹”の借りを返しに来るんだな」
「『頭を冷やそう』ですか……」
自分の前に対峙した相手の発した一言を繰り返し、息をつく――静かに一歩を踏み出し、ディードは“アスカ・アサギ”としての仮面をはぎ取った柾木あずさの前に進み出た。
「それは、あなたひとりで私と戦う……そういう意味と解釈してもよろしいですか?
もしそうであれば……いささか軽断と言わざるを得ないと思われますが」
言って、ディードは周囲を見回した。
自分と、自分のゴッドオンしたトランステクター“マグマトロン”の戦闘能力の前になす術なく打ち倒されたカイザーズや機動六課の面々――
機能を停止したマスターコンボイや、両脚と右腕をつぶされ、傷の痛みに苦しみながらあずさを見守るスバル――
「この光景を前にすれば、こちらの戦闘能力は明白と考えられますが」
「ま、そうだね」
だが、告げるディードの言葉を、あずさは動じることもなくあっさりと肯定した。
「機体的には、そうだなぁ……SSSランク級、ってところか……
で、操り手であるキミ自身はSランク前後……能力値的には、十分S+も狙えるところにいると見たけど、どう?」
「正確な見立てで何よりです」
確認するように尋ねるあずさに対し、ディードは満足げにうなずいてそう答えた。
「ドクターの測定したデータの上で、私の能力値はSランク相当と確認されています。
そして、マグマトロンのカタログスペックはSSSランク相当レベルのトランスフォーマーに匹敵すると聞いています」
そう告げると、ディードはあずさに向けて静かに言葉を重ねた。
「そこまでわかっているなら、退くべきでしょう。
Bランクのあなたでは、到底勝ち目は……」
「よかった」
しかし、あずさはそんなディードに対し笑顔でそう言葉を重ねた。
「『よかった』……?
発言の意味がわかりかねますが」
「そのままの意味だよ」
首をかしげるディードに答え、あずさは左手に装着した、弓型の新デバイスへと視線を落とした。
背中に装着したもうひとつの新デバイス――炎の翼が消え、その中から現れた本体、金属質の翼を広げながら、ディードに向けて告げる。
「トランステクターがSSS級で、その上ゴッドマスターの子まで同じぐらいだったらどうしよう、って思ってたけど……」
「乗り手のキミがSランク“ごとき”なら、なんとかなりそうかな?」
「………………っ」
いきなり“ごとき”呼ばわりされ、さすがのディードもわずかに唇をかむ――そんな彼女にかまわず、あずさは右手のレッコウを肩に担ぎ、
「とはいえ……キミと同じで、あたしもデバイス頼みの戦いしかできないんだけどね、今の段階じゃ。
そんなワケで――」
「始めようか。
装備に頼った者同士――未熟者同士の、茶番劇をね」
トーレ | 「不覚だ……あのような男に敗れるとは……」 |
チンク | 「私などは一撃で退場だ。 油断したとはいえ、あの扱いはないんじゃないだろうか……」 |
シャマル | 「あなた達なんかまだマシよ…… 私なんて、今回ブレードさんが私について言及してくれたの、たった一言だけだったのよ! 恋人なのに!」 |
チンク | 「…………あー……がんばれ」 |
トーレ | 「次回、魔法少女リリカルなのは〜Master strikerS〜 第71話『四神咆哮〜あずさ、いきます!〜』に――」 |
3人 | 『ゴッド、オン!』 |
(初版:2009/08/01)