プロローグ
坂井悠二は、怪物に喰われつつあった。
怪物は2体。いずれも身の丈の倍はあろうかという巨体。
1体は某マヨネーズのマスコットキャラを模した3等身の人形。
1体は有髪無髪のマネキンの頭の集合体。
その内の一方――人形が悠二を捕まえ、今まさに喰らおうとしていた。
だが、ここで彼はひとりの少女に助けられ、数奇な運命の中を生きていく――
はずだった。
柾木ジュンイチは戦いの渦中にあった。
精霊の力を受け継ぐ転生者“ブレイカー”として覚醒、自分が「守る」と誓ったすべてのものを守るため、闇の種族“瘴魔”との戦いに身を投じる。
様々な想い、思惑が絡み合い、激化していく戦いの中、彼はその運命と向き合い、戦っていく――
はずだった。
だが、たったひとつの意志の介入で――
たったひとつの行為で――
すべてが狂った。
(初版:2006/01/22)