「いくぜいくぜいくぜぇっ!」

「フンッ、バカのひとつ覚えが」







 モモタロスが――ボクの身体を使って変身したモモタロスが斬りつけるけど、ネガタロスはものともしてない。ネガ電王のガッシャーで、モモタロスと互角に……ううん、それ以上に渡り合ってる。

 今も、真上からまっすぐに斬りつけたモモタロスの剣をかわして、胴を、胸を、立て続けに斬りつけてくる。

 仕上げとばかりに突き込まれて、吹き飛ばされる……うぅっ、アーマー越しなのにすごく痛い。



 そういえば、ボクとモモタロスだけでネガ電王と真っ向勝負するのって、初めてかも……前に戦った時はみんなや、キバの“オリジナル”、渡くんと一緒だったし……

 けど、今はボクとモモタロスの二人だけ……だから、こうして真っ正面から戦ってみて、アイツの強さがすごくよくわかる。

 そう……すごく強い。大ショッカーにも吸収されずに“悪の組織”として独立していられたのも、この強さがあってこそだったんだって、思い知らされる。

 侑斗やウラタロス……イクトさん達の援護は期待できない。みんな、それぞれの相手に苦戦させられてるみたいだ。

 つまりこの場は、ボクとモモタロスだけで乗り切らないといけない――たとえ、ネガタロスがどれだけ強かったとしても、だ。







「へっ、そんなの当たり前だろ。
 つか、オレひとりで十分だっての」







 うん……そうだn











「戦いの真っ最中に、特異点とおしゃべりか」











 ――――――っ! 来た!







「余裕だな――電王!」







 ネガタロスが勢いよく襲いかかってきた。反撃しようとするモモタロスだけど、防御で精一杯、どころかその防御も追いつかない。あっさりと防御を抜かれて、また攻撃を受けて吹っ飛ばされる。







「へっ、当たり前だろ……っ!
 オレ達のクライマックスは、まだまだ上があるんだよっ!」

「あぁ、そうかい」







 言い返して、モモタロスがボクの身体で起き上がるけど、ネガタロスはあっさりとそう返してきて――







「だがな、わざわざお前がその『上』まで上がりきるのを待ってやる理由もないんだ」







 その手のガッシャーは、いつの間にかリュウタが使うのと同じガンモード――まずいっ!







《Full Charge》







 ドスの利いた声が、ネガタロスのベルトから――ガンモードのフルチャージ、来るっ!







〔モモタロス!〕

「問題ねぇっ! あの程度!」

「そうか。
 なら――返してみろよ」







 ボクに答えるモモタロスに、さらにネガタロスが返してくる――デンガッシャー・ガンモードのフルチャージ、ワイルドショットを撃ちながら。







「野郎っ!」







 かわしてる余裕はない。迫ってくる真っ黒い光球を、モモタロスがデンガッシャーの刃で受け止める――すごい圧力。モモタロスはしっかり踏んばってるのに、その足が地面をえぐりながら押し戻されてる。







〔モモタロス、受け流して!〕

「簡単に、言ってくれるな、オイ……っ!」







 このままだと押し切られる――けど、モモタロスにもこれを受け流す余裕はないみたいだ。

 どうすることもできないまま、モモタロスの受け止めた光球がまるで力を溜め込むバネのように縮んで――





















 消えた。





















 ……うん、本当にそんな感じ。モモタロスのデンガッシャーと押し合いになっていたはずの光球が、突然解けるように散って、消えてしまったんだ。

 いきなり押し合っていた相手が消えて、モモタロスが勢い余ってつんのめってしまうけど……うん、そこはいい。

 問題は、今まさに爆発寸前だったあの光球が、何がどうなって消えてしまったのか、ということで……











「…………“支配者の領域ドミニオン・テリトリー”」











 ――――――っ!?







「こうも対象が少ないところでは、披露したところでインパクトもたかが知れているな」







 そう言って、舞い降りてきた巨体――その姿に、ボクは見覚えがあった。







「イマジンどもをぞろぞろ引き連れて、ずいぶん派手にやってるじゃないか……ネガタロス」

〔…………え……?〕







 けど……“彼”が口にした言葉は、意外なものだった。

 だって……この人は確かにネガタロスのことを、ちゃんと名前で呼んだから。

 この世界では、物語の存在でしかないネガタロスのことを……しかも、迷いなく相手をネガタロスと断定したその口調に、戸惑いとかそういうものは感じられない。

 フィクションの存在であるはずのネガタロスがここにいることに、一切の疑問を感じてない……ボクらやネガタロス達が現実にこの世界に存在しているということを正しく把握してる証拠だ。

 事情を知ってるのは恭文くん達機動六課のみんなとヘイハチさん……あとはスタースクリームさんだけのはずなのに……

 ボクらのことを、『電王』の物語のことを知らないってことはないと思う……だって、さっきの言葉はイマジンのことにも触れていたし。







「獲物の独り占めは感心しないな」







 そんなボクの疑問は相手には届かない――まぁ、声に出してないから当然なんだけど――ともあれ、そう言いながら、乱入してきた“トランスフォーマーは”ネガタロスに向けて一歩を踏み出した。







「この祭、オレ達も混ぜてもらおうか。
 そう、このオレ――」











「マスターギガトロン率いる、ディセプティコンも、な」

 

 

 

 

 

――時の列車、デンライナー。次の停車駅は、過去か未来か――

 

 


 

第30話

贖罪の紅炎プロミネンス

 


 

 

〔マスター……ギガトロン……っ!〕







 別に、その名前に聞き覚えがなかったワケじゃない。

 むしろ、聞き覚えがないワケがない――何しろ、命がけの実戦でぶつかり合った相手なんだから。



 前に、恭文くん達の密輸の摘発についていった時、乱入してきた相手。機動六課のみんなにとっては因縁の相手“ディセプティコン”――そのリーダーとして、あの時ボクらとも戦ったのが、このマスターギガトロン。



 でも、この戦いは別に“レリック”を取り合っているワケじゃない。いったい何をしにここへ……? それに、どうしてネガタロスのことを知っているのか……







「なんだ、貴様か……マスターギガトロン」







 って、ネガタロスの方も、マスターギガトロンのことを知ってる……?

 まさか、この二人、ボクらの知らないところで出会ってる……? だとしたら、ネガタロスがここにいるということに、マスターギガトロンが動じていなかったにも説明がつく。もうすでにネガタロスと出会っていたなら、ネガショッカーがミッドにいると知っていて当然だし、『電王』の物語のことを知らないまま出会っていたとすれば、そもそも疑問にすら思わないだろうし。



 でも、六課と戦ってる……言ってみればこの世界の“悪の組織”であるディセプティコン、そのリーダーがネガタロスの知り合い、ってことは……







「この場に現れたということは……オレ様の誘いを受けてくれるということか?
 オレ達ネガショッカーと共に、この世界で天下を取る気になったと?」

「…………フンッ」







 やっぱり、ネガタロスが同盟を持ちかけていたみたいだ……つまり、ネガショッカーに誘われてた、と。ココアちゃん達と、同じように。







「まぁ、確かに悪い話ではないな」







 って、この人……まさか、ネガタロスの誘いを受けるつもり!?







「貴様らのネガショッカー、確かに大した組織だ。
 手を組めば、我々ディセプティコンにとって得られる利益は計り知れない」

「だろう?
 オレ様のネガショッカーは天下無敵だ。手を組めば、こんな世界のひとつや二つ、簡単に手に入るってもんだ」

「あぁ、そうだな」







 まさか……この人、ネガショッカーと組むつもりなんじゃ……!?







「では、決まりだな。
 ディセプティコンとオレ達ネガショッカーの未来n











「だが」











 その瞬間――ネガタロスの言葉が途切れた。

 強烈な力によって、思い切りブッ飛ばされたから。

 そう――











 マスターギガトロンに、蹴り飛ばされて。











「カン違いしてもらっては困るな」







 『放物線を描いて』なんて生易しいレベルじゃない。文字通り一直線の軌跡を描いて、ネガタロスが近くのビルに突っ込む。

 ――って、何やってるの!? ここ旧市街じゃないんだから、あまり街を壊しちゃ……







「……何をとぼけたことを言っている?
 ここは機動六課の張った結界の中だろう?――だったら、いくら壊そうが現実の建物には被害はなかろう」







 あ、そっか……い、いや、でもだからって、少しは遠慮ってものを……







「カン違い、だと……?」







 あ、ネガタロスが起きてきた。







「そうだ――カン違いだ。
 確かに、貴様らネガショッカーと組むことは我々ディセプティコンにとって大きな利益となる。
 だがな……同時に不利益のことも、考えておかなければな」

「何……?」

「我らディセプティコンは、“このオレの手で”この世界を支配するためにオレが立ち上げた組織だ。
 わかるか? “このオレの手で”だ――オレが、オレの手で勝利できなければ、ディセプティコンの理念上、その勝利には何の意味もない。
 利用してやるならまだしも、他の組織と並び立つことなどできるものか……たとえその結果つかめる勝利を逃すことになろうとも、な」







 ネガタロスに対してそう答えて、マスターギガトロンがもう一歩前に。







「そして何より。
 貴様ら、この世界を支配してやろうとしているんだろう?――オレが支配するつもりの、この世界を。
 だとすれば、ますます手を組む理由などない――貴様らは我らディセプティコンにとって、“味方”になどなり得ない。
 むしろ、オレの獲物を横取りしようとする、敵だ」

「つまり、オレ達と組むつもりはない、か……」

「理解が早くて助かるな」







 ネガタロスの言葉に、マスターギガトロンは即答……とりあえず、この二つの組織が手を組むことはなさそうなのはわかったけど……だとしたら、どうしてここに?







「決まっている。
 オレの獲物を横取りしようとしているコイツらを……叩きつぶしてやるためだ!」







 言うと同時に、マスターギガトロンが右手から光線を放つ――ネガタロスにはあっさりとかわされてしまったけど。







「状況が状況だ。機動六課に対抗するための備えはしていても、我らディセプティコンの乱入など想定していまい。
 となれば、この場は貴様らネガショッカーの脇腹を食い破る千載一遇の機会――機動六課を助ける形にはなるが、利用しない手はないさ」

「フンッ。
 だとしても、お前ひとりで何ができる?」







 マスターギガトロンに決裂の一撃を撃たれても、ネガタロスは余裕だ――確かに、いくらマスターギガトロンが強くても、たったひとりじゃ……







「……舐められたものだな」







 って、マスターギガトロン……?







「ネガタロス……貴様もまだまだわかっていないな。
 “悪の組織”とはすなわち力による支配を目指すもの。力によって正義を食い破ってこそなんぼだ。
 そして、組織の長たる者、そうした組織の理念を自ら体現するものでなければ、決して部下はついてこない。
 だがな――」











「だからと言って、わざわざひとりで出てくるほど、脳筋じゃないつもりなんだがな、オレは」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「オォォォォォッ、ラァッ!」

「消し飛びなさい。ルシフェリオンブレイカー……っ!」







 豪快に声を上げるブレードと静かに吼えるセイカ、テンションが両極端に最高潮な二人が、前線で大暴れしている――正直、敵側に同情したくなるほどに。

 ブレードのヤツはいつものこととして、セイカもセイカでかなり荒れている……雑魚相手にも容赦なくルシフェリオンブレイカーをぶちかますあたり、まったく出し惜しみする気配がない。よほど柾木がやられてしまったのが腹に据えかねたようだな。

 だが、そのおかげで私もシグナムも、それにピータロスやシャープエッジもうかつに前線に出られない。もし前に出すぎてしまったら――







「ヴぁあぁぁぁぁぁっ!?」

「みさちゃーんっ!?」







 ……“あぁ”なるからな。

 日下部め、また性懲りもなく前に出て巻き込まれたな……峰岸のフォローはこれで何回目だ?







「あー……もう好きにしてくれ……」







 そしてシグナムはいじけないでくれ。もう指揮もへったくれもなくなって、存在意義を見失いそうになってるのはわかるがな。

 というか、ここが廃棄都市区画で本当に良かった。あの様子では、ここが新市街だったとしても今のあの二人が手加減するとはとうてい思えないからな――ん?

 レーダーに反応……この反応は!?







「気をつけろ! ブレード! セイカ!」

「あん?」

「はい?」











「上から来るぞ!」











 私の警告とほぼ同時だった。

 上空から急降下、地面に直撃するか否かというところで軌道を変え、地面スレスレの低空飛行で飛び込んできた影が、戦場を豪快に“両断した”のは。

 巻き込まれたネガショッカーの怪人達が宙を舞う……おや、日下部は巻き込まれなかったか。







「ちょっ、スターセイバーの旦那! ちょっとひどくない!?
 私だって、そうそういつも巻き込まれたりしないってヴァ!」







 すまん、つい……







「だがな、日下部」

「何?」

「そこにいると……」











 ひぅうぅぅぅぅぅ……ちゅどーんっ!











「ヴァアァァァァァッ!?」

「今度こそ巻き込まれるぞ……って、遅かったか」

「遅すぎだってヴァァァァァァッ!」







 斬撃の次は爆撃がきた――悲鳴を上げている日下部だが、何だかんだ言いながらしっかり避けている。

 そもそも、さっきから再三ブレード達の大暴れに巻き込まれてもピンピンしてるのも、しっかり紙一重でかわしているから、余波に巻き込まれて吹っ飛んでいるだけにすぎないからだ。あぁ見えて、アイツもスタースクリームに鍛えられ、“JS事件”を戦い抜いたひとりなのだということを忘れてはいけない。







 それにしても、なぜ“ヤツら”がここで出てくる……!?

 出方によっては三つ巴もあり得る。警戒しながら、上空の乱入者達を見上げる――











「ジェノスラッシャー、トランスフォーム!」



「ラグナッツ、トランスフォームっツ!」











 翼竜から、爆撃機からトランスフォームした、ジェノスラッシャーとラグナッツの姿を。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「シャドー、サーヴァント!」







 橋本が叫ぶと同時――ヤツのまとう銀色の“装重甲メタル・ブレスト”、その背中の、まるでコウモリの羽……の骨組みを思わせる背中の飛行ユニットが分離した。

 具体的には、背中から直接伸びる基部だけを残し、残りの部分がバラバラに切り離された――切り離された角錐状のパーツ、その数3×2=6基。

 一瞬だけ落下しかけたそれらのパーツは、すぐに自ら飛翔、その先端に空いた穴から放たれたビームが、ネガショッカーの怪人達へと降り注ぐ。







「やるではないか、死神!
 これは私も負けていられないな!」







 一方で、そんな橋本のヤツに触発されたのがディアーチェ――ヤミだ。手にしたエルシニアクロイツを頭上にかざし、魔力を高め――って!?







「いかんっ!」







 とっさに相棒ヴィータを抱えて離脱。理由は簡単。







「デアボリック――エミッション!」







 さっきまでオレ達がいた場所も、ヤミのデアボリックエミッションの攻撃範囲の中だったからだ。







「おいコラ! あぶねぇだろ!」

「フンッ、そんなところでフラフラしているのが悪い」







 オレの腕の中で抗議の声を上げたヴィータにも、ヤミのヤツはいけしゃーしゃーと答えてくれた。







「この私が小鴉めと同じ広域型であることを忘れたか? そんな私の攻撃範囲内にいれば、巻き込まれて当然だろう。
 むしろこちらが『巻き込まれたいのか?』と抗議したいくらいだ」

「言ってくれるじゃねぇか……っ!
 はやてと同じ見た目だからってちょーしこいてんじゃねぇぞ……っ!」







 むぅ……いかんな。ヴィータの怒りがちょっと無視できないレベルに来てる。

 しょうがないので、少し助け舟を出そう。これで少しは溜飲が下がってくれれば……







「そうか。
 なら、ジュンイチのヤツに相談しておかないとな。アイツならお前との連携のコツを教えてくれそうd

「私めが悪ぅございましたお願いだからあ奴に報告だけは勘弁してくださいヴィータを巻き込んだと知られようものならコロされてしまいます」

「一転謝罪!? しかも土下座!? 挙句の果てにノンブレス!?」

「プライドよりもジュンイチへの恐怖が勝ったか……」







 ……思った以上の効果がありすぎたようだ。







「まぁ、いずれにせよフレンドリファイアは避けるべきだしな。
 少しは意識して立ち回るとしようか」







 ともあれ、ヤミが(ジュンイチへの恐怖で)謝罪してくれたおかげでなんとか治まりそうだ。気を取り直して、今後へと意識を向けて――











 突然の爆撃が、戦場に降り注いだ。











「ぅおぉっ!?」

「な、何事だ!?」







 またしてもヤミの仕業――というワケではない。むしろ彼女のもとにも爆撃が来てる。

 とっさにヴィータとヤミが背中を預け合い、警戒を強めるのを尻目に、オレも周囲を探る。

 攻撃はオレ達もネガショッカーも関係ない無差別攻撃――とりあえず、他の連中も無事だ。一番防御が遅れそうな万蟲姫一党も互いにカバーしあって爆撃をしのいだようだ。

 もちろん、難を逃れたのはオレ達だけではない。ネガショッカーの怪人達も未だかなりの数が生き残っていて――







「な、何だったんぶぎゃっ!?」







 今、目の前でそんなひとりが――おそらく牛か何かだろう、パワー系の動物の特徴を持ったオルフェノクが、煙の中から飛び出してきた“それ”に貫かれた。

 フォークを思わせる形状の、巨大なマシンアーム――まさか!?







「どうした、こんなもんかよ!?
 ネガショッカーってのも大したことねぇな!」







 ――ディセプティコンの、ボーンクラッシャー!



 ということは、さっきの爆撃は……







「……やはり、手を組むことを拒絶されたマスターギガトロン様の判断は正しかったな。
 こんな程度の戦力では足手まといになるのが関の山だ」







 空間が揺らめき、その中から声の主が姿を現す――やはり、ショックフリートか!







「お前ら……何のつもりだ!?」

「フンッ、そんなものは決まっている」







 オレと同様に新たな乱入者達に気づいたヴィータが声を上げるが、ショックフリートはあっさりとそう答えた。







「我らディセプティコンもまた、ネガショッカーと対立することになってな。
 こうして、マスターギガトロン様の命でこの戦いに名乗りを上げさせてもらったまでだ」







 言って、ショックフリートは頭上に右手をかざし、







「そういうワケだ。こっちはこっちで好きにやらせてもらう。
 巻き込まれても……文句を言うなよ!」







 告げると同時、右手を振り下ろし――ヤツの周囲に大量のエネルギー弾が生み出され、再度の爆撃がネガショッカーのヤツらへと降り注ぐ!







「ちょっ、ムチャクチャやってくれるっスね!」

「そりゃあ、私達もアイツらの敵だもの。手加減する理由は、ない……っ!」







 もちろん、オレ達にも、だ――爆撃から逃れ、ひよりとみなみがこちらに合流してくる。







「シロちんクロちんやキンタロスさんは無事っスかね……?」

「反応は消えてない。無事みたいだけど……」

〈こらーっ! わたし達のことも心配しろーっ!〉







 ひより達の会話にメープルから抗議の通信……いや、お前ら心配しなくてもしぶとく生き残りそうだし。







「くそっ、シャドーサーヴァント!」







 ――――っ、橋本!?

 頭上で橋本が叫ぶのが聞こえた――直後、アイツの操作で動いたと思われる6基のビットがショックフリートに攻撃、爆撃を中止させる。







「いい加減にしろよ、お前!」

「フンッ、お前らとて我らの敵だ。遠慮する理由など――」

「ンなことぁどーでもいいっ!」







 ………………は?







「……何?」

「オレ達も敵。だから巻き込む――そこは別に文句ないんだよ! とっくに承知の上だからっ!
 オレが問題にしてるのは……」







 オレ同様に呆けるショックフリートに対して、橋本はビシッとヤツを指さして――











「せっかくオレが目立とうとしてるのに、それより目立とうとするなっ!」











 ………………



 …………



 ……







 ………………うん。







『知るかぁぁぁぁぁっ!』







 六課、ディセプティコン、ネガショッカー、全員からのツッコミが飛んだ。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「シグナルランサー! 下がれ!」

「おぅっ!」







 背後からの声に従い、バックステップで後退――そんなオレに代わって前に出るのは、ライと共に助けに来てくれた青木啓二その人だ。







「スティンガー、ファング!」







 すでに“装重甲メタル・ブレスト”は着装済み。彼の叫びに答え、両肩アーマーの先端に留められていた大型のシールドに見える武装が彼の両腕に装着される。

 そう――大型のシールド“に見える武装”だ。あぁ見えて実際のところはシールドではなく手甲ガントレット。防具ではなく武器としての運用が本命なんだとか。

 青木氏の“装重甲メタル・ブレスト”、“ファング・スティンガー”、その主武装“スティンガーファング”――左右それぞれの内部から駆動音がして、空薬莢やっきょうのようなものが排出される。

 ――否、実際に空薬莢だ。“ブリッド”と呼ばれる、魔力ではなく精霊力を込めたカートリッジで力の増幅を行う“装重甲メタル・ブレスト”版カートリッジシステム、その名もブリッドシステム。

 ブリッドに込められた精霊力を解放、高められた力をあふれ出させながら、ヌリカベの前に飛び出して――











「スティンガー、インパクト!」











 “撃ち抜いた”

 スティンガーファングを叩きつけた瞬間、ヌリカベの身体の表面、外殻が“かき分けられて”、露出した内部をスティンガーファングに備えられたビーム砲で撃ち抜いたのだ。

 前にあずさから聞いた説明によると、スティンガーファングは高位のブレイカーが共通して持つ特殊スキル“空間湾曲”の効果を増幅する機能があるんだとか――ブリッドのパワーで強化したその機能で相手の外殻をこじ開け、内部に直接攻撃を叩き込む技、それがあの“スティンガーインパクト”だ。

 自慢の頑丈さもまるで役に立たず、痛恨の一撃をもらったヌリカベがたたらを踏む――今だ!







「ライ! 電撃を頼む!」

「りょーかいっ!」







 ライの返事を聞きながら槍を投げつける――それは狙い違わずヌリカベの身体、スティンガーインパクトによって外殻をこじ開けられた部分に突き刺さる。

 さらにそこに、ライの魔法が落雷を叩き落とす。オレの槍を避雷針として、誘導された電撃がヌリカベの身体を撃ち抜く!







「やったね、イエイ♪」







 内側から黒こげになって倒れるヌリカベを前に、舞い降りてきたライとハイタッチ。

 さて、ヌリカベの死骸に突き刺さったままの槍を取りに行かなきゃな――む?



 何だ? 何か聞こえる……







「サイレン……? パトカー?」







 オレの幻聴ではないらしい。同じ音を聞いたらしいライも首をかしげている。そんなオレ達の前に、廃ビルの向こう、通りの曲がり角をドリフトしながら姿を現したのは一台のパトカー。

 管理局の車――じゃない! アイツは!











「バリケード、トランスフォーム!」











 オレの直感は的中。途中でガレキをジャンプ台に跳躍、ロボットモードにトランスフォームしたのはディセプティコンのバリケード!

 くっ、まさかこんなタイミングでアイツらディセプティコンが出てくるとは――







「フォースチップ、イグニッション!
 ホイール、ナックル!」








 さらに、そのまま空中でイグニッション。ビークルモードのタイヤを変形させたナックルを両の拳に装着し、その着地点にいたギガンデスヘルに鉄拳一発――って!?







「ネガショッカーに仕掛けた!?」

「え? 何? 敵じゃないの、アイツ!?」







 青木やライも驚いている。てっきり、ネガショッカーを相手に総力戦に挑んでいるこの機に便乗し、オレ達を叩きに現れたのだと思ったが――







「安心しろ。
 今のところは敵対するつもりはない――『今のところは』だがな」







 そんな声はオレ達の頭上から――見上げれば、そこには一機の武装ヘリコプター。











「ブラックアウト、トランスフォーム!」











 もちろん、ヤツもディセプティコンのひとり――咆哮し、ロボットモードとなったブラックアウトが、ネガショッカーの連中にエネルギーミサイルを叩き込む!







「攻撃目標確認――ネガショッカー大型戦力!
 ブラックアウト――作戦オペレーション開始スタート!」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「オォォォォォッ!」







 オレの手にした、新しいバルゴラ――バルゴラ・グローリーが装着している巨大な刃が、オレの咆哮に伴って輝きを宿す。

 オレの魔力を握り手側のパーツ、ブーストユニット(近接用)が増幅し、刃へと流し込んでいるんだ。その魔力を存分に込めたバルゴラを振りかぶって――横一閃!







《Slash Blast!》







 オレの振り抜いたバルゴラ、その刃の軌跡に光があふれる。それは見る見るうちに輝きを強めていき――炸裂。軌跡に残されていた魔力が解放され、衝撃波となってネガショッカーの怪人達を吹っ飛ばす!

 まともにくらって、連中の布陣が大きく乱れて――







「そこっ!」

「いっくでぇっ!」







 なずなが、いぶきが飛び込んだ。手にした得物で、怪人達を片っ端からブッ倒していく。







〈ジン! 二人を!〉

「はいよっ!」







 しかも、それで終わりじゃない。通信越しの指示にうなずいて、オレはなずなといぶきに合流。二人を捕まえると、レオーのジャッキを使って真上に大ジャンプ。上空に逃れて――







「どぉりゃあっ!」







 さっきの指示の主――つまり鷲悟さんの放った、真っ黒な精霊力の渦がネガショッカーを薙ぎ払った。

 砲撃と定義するにも値しないような、単に精霊力をぶちまけただけの広域攻撃――なのに、それでもその威力はさすがの一言。砲撃型のマスター・ランク・ブレイカーってのは伊達じゃないね、ホント。

 こりゃ、オレも負けてられないな!







「なずな! いぶき! 着地は自力でよろしくっ!」







 言って、抱えていた二人を放すと二枚のカードを取り出す。

 “LANCHER”と“BUST〔B〕”。それを、バルゴラの本体部分に読み込ませる。







《LANCHER!》

《BUST!》








 同時、バルゴラに装着されていた実体刃と反対側の握りが消滅する――代わりに現れたのは大型の砲身ユニットと銃尾ユニット。それが、改めてバルゴラに装着される。











《COMBO――“MAOU”!》











 …………ツッコまない。うん、オレはツッコまない。



 砲戦仕様のコンボの名前が“マオウ”。“MAOHマオー”ではなくあえての“MAOUマオウ”……明らかに何か言いたそうなネーミングだけど、ツッコまないったらツッコまない。



 というか……ツッコんでたらその間に着地しちまう。さっさとぶっ放すべく、完成した大型砲形態のバルゴラを地上に向ける。

 専用仕様ということもあって、急速に魔力がチャージされる――狙いなんかつける必要はない。眼下の敵集団に向けて。迷うことなくトリガーを引く!











《TAKAMACHI-Buster!》











 ……だからツッコまないからな、オレはっ! 犯人は魔法名とかコンボ名とかの登録を一括して請け負ったジュンイチさんなんだからっ!



 ともあれ、放たれた閃光は敵の一団へと突き刺さった。そのまま、バルゴラを振るうオレの動きにあわせて戦場をぶった斬って――“足元から”爆発。

 あー、なんか見たことあるわこの光景。具体的には『ナウシカ』とか平成版『ガメラ2』とかで。

 とはいえ、別にそこまで火力がトンデモというワケじゃない。タネを明かせば何のことはない。さっき撃った閃光はそれ自体が攻撃というんじゃなくて、地面に向けて炸裂性の魔力を流し込んでいたんだ。

 相手は攻撃と思って閃光の方に注意を払うけど、実際の攻撃は地面に流し込まれた魔力の爆発――閃光をやり過ごした、当たっても何ともないと思って安心した相手は地面からの爆発で不意打ち同然に吹っ飛ばされるってワケだ。

 まぁ、この光景を前にしたら若干の同情の念もないワケじゃないけれど……とりあえずは、オレ達にケンカを売るという自殺行為に出たアイツらの自業自得ということで――







《………………っ!?
 熱源発生! 来る!》

「な――――っ!?」







 何だ――そう声に発するよりも早く状況に気づいて、いぶき達と一緒に離脱――直後、飛んできた閃光が、難を逃れていたネガショッカーの怪人達の集団を直撃、吹っ飛ばす!

 それだけじゃない。風切り音がすると思って見上げてみれば、飛来した多数の砲弾がヤツら目がけて降り注いでる。

 つか、誰だ……? ここにいるオレ達側のメンツの仕業じゃないのは確かだけど……ん?

 攻撃の飛んできた方向から何か来る。あれって……?







「装甲車……?」







 あぁ、そうだ。いぶきの言う通り、あれは装甲車……って!?







「まさか――アイツ!?」











「レッケージ、トランスフォーム!」











 やっぱり――レッケージ!

 飛び込んできた装甲車の正体はディセプティコンのフォワードリーダー、レッケージ。ロボットモードにトランスフォームするとネガショッカーの集団の中に飛び込んで、腕のブレードの一振りで数体の怪人を斬り飛ばす。

 つか、飛び込んできたのがレッケージってことは……







「ジン、上!」







 ――――――っ!?

 なずなの声に頭上を見上げると、ちょうど目の前の廃ビルの屋上から二つの影が、レッケージの暴れているすぐそばに落下――いや、“着地”したところだった。

 着地ついでに真下にいた怪人を踏みつけ、仁王立ちで立ち上がったのは――







「フンッ、ネガショッカーの怪人どもとはこの程度か!
 簡単な不意打ちですぐに浮き足立ってくれるとは――その程度でこのジェノスクリームの相手が務まると思うなよ!」

「ブロウル様もいるぞーっ!」







 そう、ジェノスクリームにブロウル――ディセプティコンの陸戦砲撃コンビだ。







「お前ら……なんで!?」

「そんなもの、決まっている!
 コイツら、貴様らのみならずディセプティコンにもケンカを売ってくれてな」







 とりあえず、狙いがネガショッカーなのはわかったけど、そもそもどうしてコイツらがネガショッカーに攻撃を仕掛けるようなことになってるのか……思わず尋ねたオレにはジェノスクリームが答えてくれた。







「コイツら、よりにもよって我々に傘下に入れと言ってきた。
 こちらを格下と見くびった……そして何よりマスターギガトロン様を配下にしようと、ひざまずかせようとした。
 その罪、論ずるまでもなく万死に値するっ!」







 あー……そいつぁまた、忠誠心の強いことで。







「貴様らの相手もしてやりたいところだが、今回は二の次だ。
 まずはコイツらを叩きつぶす――手伝ってくれるならかまわんが、ジャマだけはするなよ」

「誰がするかよ。
 オレ達だって、コイツらには頭に来てるんだ」







 そうジェノスクリームに答えたのはオレ――じゃなくて、上空から舞い降りてきて合流してきた鷲悟さんだ。







「つーワケで、今回はお互いつるんでネガショッカーをブッ飛ばすのを最優先に、ってことで」

「異議なし」







 鷲悟さんに答えて、ジェノスクリームがビーストモードにトランスフォーム。







「フォースチップ、イグニッション!」







 そしてフォースチップをイグニッション。大きく開いた口、その中に備えられた大型砲がチャージを始める。

 同時に、鷲悟さんもその手の中に漆黒のエネルギーの渦を作り出す――うん。







「なずな、いぶき。
 少し下がった方が――」







 言いながら振り向いて――とっくに後退済みかよ。抜け目ねぇな。

 とはいえ、なずな達の心配をしなくていいのは助かる。オレもオレでその場から後退して――











「グラヴィトン、スマッシャー!」

「ジェノサイド、バスター!」












 鷲悟さんとジェノスクリームのダブル砲撃が、戦場を貫いた。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



《FIRE》

《BULETTE》








 取り出したカードをギャレンラウザーに読み込ませて、効果を発動――炎属性の付加・及び弾丸自体の強化を施した銃撃、ファイアバレットでジョーカーと敵瘴魔を狙う。

 対して、敵さん達は散開して回避――けど、今はこれでいい。

 最優先はアイツらにいたぶられていた“こっちのあたし”の仲間……確か、こなたっていったっけ。あの子の安全確保。あの子から引き離せた時点でファイアバレットの目的は達成された。







《GEMINI》







 と、いうワケで、ここからが本番だ。ダイヤの9、“GEMINI”のカードを使用、あたし自身の分身を作り出す。

 ギャレンを受け継いだ直後は分身を作り出すので精一杯、ライダーシステム任せにあたしの動きをトレースさせるのが限界だったコイツも、今では任意にコントロールできる。あたしとは別に地を蹴って、あたしがジョーカーと、分身が瘴魔とにらみ合う。







「我々を連携させないつもりか……」

「だが、浅知恵だなっ!」







 そのあたしの動き、それがどういう意味を持つのか――こっちの狙いを読んできたジョーカーの声が聞こえたのか、瘴魔……ケンザン、だっけ。アイツがジョーカーの言葉に乗っかってくる。







「いくら分身して人数が増えようが、それを操ってるてめぇの脳ミソまで増えたワケじゃないだろ!
 分身をコントロールしながら、オレ達の相手ができるとでも思っているのか!?」

「さぁて、ね……
 そんなに言うなら、試してみましょうかっ!」







 ケンザンに言い返して、分身のあたしが銃撃――とはいえ、力場で威力を殺されてしまう瘴魔を相手に通常の銃撃じゃ通じない。ケンザンはかまわず分身のあたしに向けて突っ込んでくる。







「なら、こちらも始めるか!」







 って、ジョーカーも来たっ!

 分身のあたしの状況にも注意を払いながら、ジョーカーが手の平から放ってくる光弾をかわす。すかさず反撃。銃撃でジョーカーを後退させる。

 一方で分身のあたしもケンザンの突進をかわしてる。あたしがカードを読み込んで――







《FIRE》

《BULETTE》








 あたしのギャレンラウザーが解放した力を分身が受け取って、分身の方のギャレンラウザーからファイアバレット。さすがにこれはケンザンも警戒して回避。けど、







「しゃらくせぇっ!
 これならどうだ!」







 だからって向こうもやられてばかりじゃない。全身のトゲをおっ立てながら身体を丸めて、転がるように分身のあたしに向けて突進!

 当然、分身のあたしもそれをかわして――







「そっちばかり注意してて――いいのかよっ!」







 こっちもきた――大きく跳んだジョーカーの跳び蹴りを、あたしは前方に転がって、アイツの下をくぐるようにやりすごす。

 すぐに振り向いて、こちらに背を向ける形で着地したジョーカーの背中に銃げk――







「どこ見てやがる!?」







 ――って、ケンザ――きゃぁっ!?

 対応は間に合わず、振り向きかけたところを引っかけられる――直撃しなかっただけマシとはいえ、豪快に引き倒されて地面を転がる。



 つか、いったぁ……っ! 油断したわ……

 まさか、分身のあたしへの攻撃を外したあのまま、こっちに向けて転がり続けてたなんて……







「フンッ、浅知恵だと言っただろうが」

「オレ達相手に、分身使ってまとめて相手しようなんて、欲張りすぎなんだよ!」







 今の一撃でエネルギーの供給が断たれたか、ジェミニの分身が形状を維持できなくなって消滅する――勝ち誇るケンザンやジョーカーの言葉に「その通り」と心の中だけで同意しておく。

 そう――アイツらの言う通り。分身なんかでアイツらのレベルと対等に渡り合えるなんて、あたしだって“最初から思っちゃいなかった”

 けど、それでもよかったんだ――何しろあたしの狙いは別にあって、しかも“それはすでに達成されたから”



 だから――







《FIRE》

《BULETTE》








 こうする。再びファイアバレットの体勢――ただし、今回はそのまま撃たない。

 そこからさらに、ライダーではなくあたし自身の力を上乗せ。足元に魔法陣を展開、魔力のチャージに移る。もちろん待機状態で懐に忍ばせているクロスミラージュのサポート付きだ。

 そして、放つ魔法の術式は――







「砲撃魔法……?」

「へっ、頼みの分身攻撃が通じなくてやけっぱちか?」







 ジョーカーやケンザンが言ってくれてるけど――予想通りのリアクションなので放置。かまわず魔力を練り上げて――











「ファントム、ブレイザァァァァァッ!」











 放つ。トリガーを引き、ギャレンラウザーとラウズカードの力でパワーアップさせたファントムブレイザーを二人に向けてぶっ放して――







「はっ!」

「そんなもんっ!」







 かわされた。

 あたしの渾身の一撃を、ジョーカーとケンザンはあっさりと左右に散ってかわした。閃光は二人の間を駆け抜けて――





















 “狙い通り、その先の“降魔点”を木っ端微塵に爆砕した。”





















「な…………っ!?
 “降魔点”が!?」

「貴様……最初から、“降魔点”だけを狙って……!?」

「当然でしょう?」







 この辺り一帯の“力”を取り込み、“降魔陣”の他のポイントへと循環させていた“降魔点”がなくなって、周囲に立ち込めていた“力”が急速に霧散していく――驚く敵さん二名に、ちょっと勝ち誇って教えてあげる。







「あたしは『あんた達を倒す』ためにここに来たんじゃない。
 あたしの目的は、あくまで『“降魔点”を壊す』こと――アンタ達なんて、最初から二の次なのよ」







 そう。あの分身での戦いも、狙いはあくまでこの状況を作り出すこと。

 分身を駆使してアイツらにひとりで立ち向かうように、そしてそれが通じず、苦戦しているかのように装いながら、“アイツらを狙うフリをしながら“降魔点”を狙える位置を確保すること”にあったんだ。

 アイツらはそんなあたしの狙いにまんまと引っかかった。あたしの挑発に乗って、あたしさえ抑えておけば“降魔点”は無事だろうとたかを括ってあたしの相手をしてくれた。あたしの狙いが自分達じゃなくて、あくまで“降魔点”だけなんだということに気づかないまま。







「貴様……っ!」

「やってくれたな!」







 そして、狙い通り“降魔点”はブッつぶした。自分達の役目を果たせずに終わったジョーカーやケンザンがこっちをにらみつけてるけど――







「と、いうワケで……」







 ごめんね、まだこっちの策は“終わってない”のよ。







「ここからは任せたわよ――」





















「こなた!」





















「合点承知っ!」







 あたしのかけた声に、“どこからともなく”聞こえてきた声が答える。

 それと同時に、空間が揺らいで――











「こっちはとっくに、準備万端発射おーらいっ!」







 必殺技の発動準備完了。目の前に真っ赤に燃え上がる炎で形作られた鳳凰を控えさせたこなたが姿を現した。











 そう――彼女はとっくに、敵から受けた神経毒によるマヒから回復していた。

 そして、あたしが念話で提案した作戦に乗って、こうして必殺技のチャージをしながら隠れてもらっていたんだ。



 あたしの使った、オプティックハイドでその姿を隠しながら。



 いやはや、相手が怪人クラスで助かったわ。ジュンイチ達みたいな“力”を感知できるタイプが相手だったら、高めたあの子の“力”で気づかれてたところだわ。







「はぁっ!」







 そして、こなたが跳ぶ。炎の鳳凰の頭部に後ろから飛び込んで――







「紅蓮――蹴撃!」











「クリムゾン、ブレイク!」











 撃ち出された。



 鳳凰の口から、ジョーカーに向けて、勢いよく――鳳凰を形作っていた炎も巻き込んで、ジョーカーに向けて突っ込んで、渾身の飛び蹴りっ!



 さらに、そんな彼女の導いた炎もジョーカーに襲いかかった。炎の渦がジョーカーを包み込み、爆発。ジョーカーを吹っ飛ばす!



 一方で、こなたはジョーカーを飲み込んだ爆発、その爆風に乗るかのように再び宙に舞い上がって――







「……からのぉっ!」







 そのまま、続いてケンザンを狙って急降下っ!



 しかも、今の爆発から熱エネルギーをちゃっかり拝借していた。炎に包まれた彼女の盾剣型デバイスの刃を振りかざして――







「紅蓮――瞬閃しゅんぜん!」











「クリムゾン、スラッシュ!」











 空中で横向き、地面と平行ってくらいまで傾けた姿勢から全身を使って一回転。彼女にとっての水平斬り、実際には大上段からの唐竹割りで、ケンザンに必殺の斬撃を叩き込む!







「ぐわぁっ!」







 当然、彼女が刃に宿していた炎も一緒に叩き込む。炎が爆裂して、ケンザンを吹っ飛ばして――







「…………っ、がぁっ!」







 踏んばった。仰向けに倒れそうになったのをギリギリのところで耐えて、こなたをにらみつける。







「やっ……やってくれるじゃねぇかっ!
 だが、必殺技の連発ってのはやっぱりムリがあったか!? まだ生きてるぜ、オレはっ!」







 ダメージは確かにある。けど、撃破には至らなかった。勝ち誇った様子でケンザンが叫んで――







「うん。
 私もそー思って……」











「あんたへのフィニッシュはティアにゃんに譲ったから」











「…………は?」







 間の抜けた声を上げて――ケンザンはようやく気づいたらしい。



 そう。あたしだって伊達や酔狂でこなたの戦いを実況していたワケじゃない。



 こなたがジョーカーをブッ飛ばし、ケンザンに一撃を入れてくれるその間に、すでにフィニッシュの準備は完了よっ!







《GEMINI》

《FIRE》

《DROP》








 三枚のラウズカードをギャレンラウザーにラウズ――分身を作り出し、加えてそれぞれに炎属性付加、脚力強化の効果を追加。







《BURNING DIVIDE》







 間合いはバッチリ。分身と共にケンザンに向けて大ジャンプ。空中で前方に一回転して――











「バーニング、ディバイド!」











 左右の足による二連蹴り――分身の分も加えた計四発の蹴りが、ケンザンに叩きつけられる!







「がはぁっ!?」







 まともにくらって、吹っ飛ばされたケンザンが大地を転がる。それでもなんとか立ち上がるのはさすがだけど――











「……ぐわぁぁぁぁぁっ!?」











 そこまでだった。打ち込まれた炎のエネルギーが炸裂。内部からの爆発がケンザンを木っ端微塵に吹っ飛ばした。







「よし、終わりっ!」

「ま、ざっとこんなもんよ」







 これにてミッション完了――手を挙げるこなたに応え、パチンッ!と景気よくハイタッチを交わす。

 さて、こっちは片づいたけど……他のところのみんなは、うまくやってくれてるんでしょうね……?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「クロックアップ!」

《Clock Up!》







 ベルトの側面のスイッチを叩くと同時、世界が静止したのかと錯覚するほどにその動きを遅くする――そんな中で、私は同じくクロックアップ状態に入ったグリラスワームへと突っ込む。



 相手も突っ込んできて、交錯――すれ違った、加速した時間の中でもさらに刹那の一瞬、私とグリラスワームの拳がかすめ合い、衝撃で空気が弾き飛ばされたのがわかる。



 着地と同時、振り向く――その時には、すでに私は“得物”を手にしていた。グリラスワームの爪による攻撃を、両肩にマウントしてあった湾刀“ガタックダブルカリバー”で受け止める。



 何合か打ち合っても互いに一撃入れられない。埒があかないと距離を取り合って――







《Clock Over!》







 そこでクロックアップの時間切れ。私達の周囲で、世界が元通り動き始める。

 同時、私達の耳に聞こえてくるのは、刃と刃がぶつかり合う、耳障りな金属音――







「あー、もうっ、やりづらいっ!」

「そらそら、どうした!? 援軍が来てもこの程度か!?」







 “こっちの時間の私”の妹、ホクトと、瘴魔獣将ピアスとの一騎打ち。その中でお互いの得物がぶつかり合った音だ――けど、あっちは正直旗色が悪そうだ。

 ホクトもいい動きしてる……動き的にはピアスにも負けてない。でも、得物の相性が悪い。

 どちらも長物使いとはいえ、振り回し中心の大鎌では突き攻撃主体の槍の連続攻撃の前にはどうしても遅れが出る。うまくしのいでるけど、完全に抑え込まれてる。

 このままじゃ、まだ子供のホクトの方が先にガス欠を起こす。その前になんとか助けに行きたいけど――







「させるかっ!」







 こっちも、それどころじゃないっ!

 殴りかかってきたグリラスワームの拳をさばいて、間合いを離しながら蹴り――くっ、止められたか。

 早く倒して、ホクトの援護に行きたいのに、長引くのは避けられそうにない。このままじゃ……







「気にしないで、ギンガお姉ちゃん!」







 ――って、ホクト!?







「わたしだって……まだがんばれるんだもんっ!」







 言って、ホクトは突き込んできたピアスの槍を弾いてみせる。







「パパのためにも、負けられないんだ……っ!
 こんなヤツに、負けてたまるかぁっ!」







 さらに、ピアスに向けて思い切り斬りかかる――ガードしたピアスが、ガードの上から弾き飛ばされるほどのパワーで。







「コイツは絶対にわたしがやっつけるからっ!
 だから、ギンガお姉ちゃんはそいつを!」

「…………わかったわ。
 信じるわよ、ホクト」

「うんっ!」







 ……そうだよね。



 あの子は、生きてる時間こそ違っても、私達の“妹”なんだものね。



 その上“こっち”のジュンイチくんの娘でもある……そりゃたくましくもなるわよね。



 心配は無用。むしろ失礼なくらいだったみたいだ。気を取り直して、グリラスワームに対してダブルカリバーをかまえる。



 余計な心配はもうやめだ――目の前の相手に集中する。そして――倒す。







「いくわよっ!」

《Clock Up!》







 宣言と同時に相手も動いて――私達は同時に、クロックアップの加速世界の中へと飛び込んでいった。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「どうしたの?
 もっとボクを笑顔にしてよ」







 無邪気なセリフと共に無慈悲な一撃。自分を狙い、凶悪な意思が宿った拳がオレの腹に迫る――回避不能の速度・タイミングで迫るそれをなんとかガードするが、その衝撃はオレの身体を浮き上がらせて、







「がっ!?」







 気づき、視線を上げたオレの目に入ったのは、今まさにこちらに向けて迫ってくる拳――直後、顔面に衝撃。



 反対の拳による一撃をもらい、空中で踏ん張りのきかなかったオレの視界は高速回転。背中への衝撃が、地面に叩きつけられたことを教えてくれる。



 強烈な衝撃で身体がバウンド――すぐに立て直し、着地と同時に突っ込むと相手の脇腹に右のリバーブローを叩き込む。



 さすがに相手もたじろぐが――それだけだ。すぐに何事もなかったかのように、ただ腕を振り回すだけの反撃。まともにくらったこちらが逆に吹っ飛ばされる。



 またも視界がめちゃくちゃに回転して――何度かの衝撃。地面をバウンドしながら転がったようだ。勢いが死んで、停止したところでようやく視界も動きを止める。



 すぐに身体の具合を確認――よし、まだ動ける。立ち上がって、自分を圧倒する相手をにらみつける。







 というか……やはり、強い。



 瘴魔神将当代最強とうたわれたこのオレの力――年齢的に身体能力のピークこそすぎたが、それでも未だ鈍らせた覚えのないオレの力をもってしても、目の前の相手を揺るがすには至らない。



 まったく通用しないワケではないが、いくら打ち込んでもすぐにそれ以上の力で反撃が飛んでくる。さすがはグロンギ最強の戦士、ン・ダグバ・ゼバといったところか。



 炎を封じればなんとかなるかと思っていたが、さすがにそこまで甘くはなかったか……



 野上達から離れ、一対一で戦える場に舞台を移して正解だった。オレが苦戦しているのを見れば、あのお人好しどもは必ず手助けに動くだろう――が、こんな怪物、ネガタロス達の片手間に相手などできるか。



 ヤツらにはヤツらの戦いに集中してもらわなければ。この戦い、何が何でも負けられないのだから。



 もちろん、負けられないのはオレも同じだ。この戦いにはクラナガンの命運だけではない。テスタロッサの……そして柾木や高町の時間もかかっているんだ。



 苦戦しているくらいで弱音を吐いていられるか――突破口、必ずや切り拓k











「んー……もういいや」











 ………………って、何?

 『もういい』だと……? ダグバのヤツ、突然何を……?







「なんか飽きちゃった。
 だって、お前と戦ったってちっともおもしろくないし」

「…………何……?」







 続けて放たれたダグバの言葉は、オレをさらに混乱させた。

 “オリジナル”と同様に戦いに楽しみを求めているようなことを言っていただろうが。それがここにきて『おもしろくない』だと?







「どういうことだ?
 『笑顔にしろ』と言うから、もっと白熱した戦いを希望しているのかと思っていたが……」

「は? 何で?
 そんなのどこが楽しいのさ?」







 思わず問い返すオレに対し、ダグバは本当に『何を言っているんだコイツは』と言わんばかりの声色でそう返してきた。







「だって、戦いだよ? 相手を殺せなきゃつまらないじゃない。
 強い相手を、それ以上の力でゴミのように殺すのが、最高に楽しいんじゃないか」







 …………コイツ…………



 あぁ、そういうことか。ようやく合点がいった。







「だから……殺せないお前なんかと戦ったってつまらない。
 もういいから……さっさとコイツらに殺されてよ」







 その言葉にあわせるかのように――集まってきた。



 ダグバが率いるグロンギ達だ。ズ集団、メ集団……ちらほらとゴのヤツらもいるな。



 ヤツの、ダグバの言いたいことは明らかだ――自分はもうオレと戦うのは飽きた。だから適当にコイツらに殺されていろ、か……







「なるほど……
 “原作”での戦いの楽しみぶりから、ある種の武人気質かと思っていたが……なかなかどうして、大した下衆のようだな。
 この違い、“原作”では描かれなかった本性が表れたと見るべきか、『あくまで“原作”とは別人』と割り切るべきか……」







 オレの言葉に、ダグバは軽く首をかしげる――別にとぼけているワケでもないだろう。ヤツの中では、本当に“戦いを楽しむ”ということが“なぶり殺し”とイコールなんだろうな。

 だが――







「……“おかげで助かった”

「………………え?」







 “むしろそちらの方が都合がよかった”――オレの言葉に、初めてダグバの表情に困惑の色が浮かんだ。







「貴様のような外道が相手なら……」







 だが、かまうことはない――右手を軽く右方へ、水平に払い、







「オレも、遠慮なく本気になれる」







 そんなオレを包み込むように、オレの巻き起こした蒼い炎が渦を巻く。







「“Bネット”機動部、独立機動部隊“ケルベロス”所属――“第二の牙セカンド・ファング”、“炎滅のイクト”。
 その真髄を……今から貴様に見せてやる」







 そう告げる、オレの周囲で――











 オレの炎が、蒼から赤へと変色した。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「はぁぁぁぁぁっ!」







 腹を狙った足刀をグリラスワームがガード。押し戻され、動きが止まったところに飛び込む――足刀のガードから復帰できていないその顔面を狙う。



 左フックをアゴに引っかけ脳をゆらして、さらにその拍子にガードの腕が解け、あらわになった脇腹に右のリバーブロー。



 相手がひるんで後ずさり。距離がいい感じに開いたのでそこからさらに左ハイにつなぐ――こめかみをライダースーツのつま先が打ち抜く感触とともに、グリラスワームの身体がプロペラのように一回転する。



 その場で上下がひっくり返り、グリラスワームの頭が地面に叩きつけられる――足刀からここまでの攻防に、一秒どころか一瞬すらかかっていない。



 言うまでもなく、クロックアップによる加速中の攻防だからだ――と、ここでクロックオーバー。時間が元通り流れ始める中、グリラスワームの身体が地面を転がる。



 その向こう側で――







「よっ! はっ! ほっ!」







 ピアスの繰り出す、槍による連続突き――そのすべてを、ホクトは防御すらせずにかわしていく。



 そう――『防御すらせずに』だ。最初はあの大鎌を使ってなんとか防いでいた攻撃が、今やかすりもしない。







「バカな……!?
 どうして、このオレの槍が見切られている――!?」







 そして、それはホクトがピアスの攻撃を完璧に見切っている証。ピアスがうめく声が私のいるところまで届く――えっと、ごめんなさいね。



 実は、ホクトがピアスの攻撃を見切れた原因は私にあったりする――もっと言うと、ガタックに変身しているおかげで出番のないブリッツキャリバーだ。



 ただし出番がないからと言って働いていないワケじゃない。実はちゃっかり、ピアスの動きをサーチャーで分析してもらっていたのだ。



 対峙している当事者視点では把握の難しいピアスの怒涛のラッシュも、距離を置いたところにいる私達からすればよく見える。オマケに一部はクロックアップによって超スローモーション。



 おかげで分析の材料に不自由はしなかった。きっちりデータをまとめ上げて、ホクトのデバイスへと転送。そのデータをもとにピアスの攻撃を先読みしたデバイスのサポートを受け、ホクトのあの動きにつながっているんだ。







「こんっ、のぉっ!」







 今も、ホクトが『×』の字に繰り出した大鎌の斬撃を回避。カウンターを狙ってるけど――







「はい、引っかかったっ!」







 残念ながら、『×』の字斬りはオトリだ。二撃目の勢いに乗ってそのまま一回転、カウンターよりも先にホクトが放った追撃の一撃がピアスを捉え、吹っ飛ばす。







「ピアス!」



「行かせないっ!」







 そんな向こうの攻防に、グリラスワームが援護に向かおうとする――ので、立ちふさがってシャットアウト。ちょうど、さっきホクトの援護に向かおうとした私をグリラスワームが止めた、あの逆パターンだ。







「ジャマをするな、ガタック!」



「それは」







 殴りかかってきたグリラスワームの拳をさばきながら、その外側へと回り込む。







「こっちの」







 その流れのままグリラスワームの、殴りかかってきたその手、手首をつかんでグイと引っ張り、







「セリフよっ!」







 手を引かれ、本人の認識以上の速度で前進することになったグリラスワームの顔面に、カウンターの手刀を叩き込む!







「あの子のジャマは、させないっ!」







 さらに、ふらついたグリラスワームの顔面を思い切り蹴り飛ばす――外骨格が砕けて、その中の柔らかい肉をつま先がえぐるのがハッキリとわかる。







「とどめっ!」







《One, Two, Three!》








 立て直しは許さない。このまま一気にフィニッシュまで――ガタックゼクターのボタンをテンポよく三度押し込み、ゼクターの角を閉じてエネルギーをチャージ。



 発生した強力なエネルギーが私の右足に流れ込んでいく中、グリラスワームへと跳んで――











「ライダーキック!」



《Rider Kick!》



















 跳び回し蹴りに乗せて、右足に集めたエネルギーを思い切り叩き込む!



 蹴りは先の蹴りで外骨格を砕いた、無防備な部位へと正確にヒット。何の抵抗もなくエネルギーが打ち込まれ、グリラスワームがブッ飛ぶ。



 しかも飛ばされたその先には“降魔点”。私が蹴り込んだエネルギーが火花を散らしている状態のまま、グリラスワームは“降魔点”を巻き込む形で落下して――爆発。



 当然、“降魔点”も巻き添えだ。グリラスワームの爆発でエネルギーの渦を崩されて、暴発。一緒になって吹っ飛んだ。







「そんな“降魔点”――がっ!?」







 そんな私の耳が拾う、驚愕の声と一体になった悲鳴――見れば、ピアスがホクトの大鎌を受けて吹っ飛ばされたところだ。どうやら私の“降魔点”破壊に気を取られたスキにホクトの一撃をもらったらしい。



 吹っ飛んだピアスが私の目の前に落下。バウンドして私の方へ。なので――







「返すわよっ!」



「がぶっ!?」







 蹴り返した。ホクトの方へと戻っていったピアスは、改めてホクトの大鎌を叩きつけられて地面に突っ込む。



 さて、このまま彼も倒して、他の応援に回らないと……







「………………あれ?」







 ……って、ホクト……?

 いきなり立ち止まって、どうかしたの?







「…………イクトさん……?」







 え? 何? イクトさん?



 イクトさんに……何かあったの!?







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



《KAMEN-RIDE!
 “BEAST”! “ABISU”! “O-DEEN”!》








 カメンライドのカードを使い、ライダーを召還――ビースト、アビス、そしてオーディーン。



 地の、水の、そして風の。エルロード三種の属性に合わせて呼び出した三人のライダーをエルロード達へと向かわせる……さて。







「こちらも、そろそろ始めようか」







 こちらもそろそろ本格的に開戦といこうか――言いながら、ここを守護する瘴魔獣将、ロブスタークロウフィッシュのシザーと改めて対峙する。







「フンッ、よくも言う。
 今の今まで、のらりくらりとこちらをあしらっておきながら」

「別になめてかかっていたワケではないんだがな」







 シザーの問いにそう答える――そう。オレは別に、コイツらのことをあなどってなどいない。



 まぁ、もっとも――そちらの戦力の観察に集中して、攻防に注力していなかったのは認めるがな。



 だが、それもここまでだ。ここからは勝ちに行かせてもら――











 ――――――











「――――――っ!?」







 この感じ……この瘴魔力は、この時間のオレか……!?



 だが、この感じは……







「…………そうか……
 とうとうなったか、本気に……」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「はぁぁぁぁぁっ!」







 一気に距離を詰め、腕の手甲に備えたニードルで敵怪人を刺し貫く。



 …………チッ、コイツも大した“力”を持っていないか。“力”を拝借して分身を作るにはまるで足りない。







〈ホーネットさん!〉







 っと、六課本部からの管制連絡か。この声は……クラエッタか。







〈今どちらに!?〉

「新市街から旧市街・南地区にかけての裏通りで、討ちもらしの掃除中……だっ!」







 全身真っ白の、伊勢海老のデザインを受け継いだかのような怪人を蹴り倒しながらそう答える。







〈なら、そのまま南の防衛線に合流してください。ちょっと苦戦してるみたいなので……〉



「了解だ」







 簡潔に答えて通信を終える。さて……











 ――――――











「………………む?」







 炎皇寺往人の、“力”か……



 だがこの発現の仕方は、“あの時”の……!?







「炎皇寺往人……」











「……とうとう、“アレ”を使うのか……」







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「これがオレの……本当の“炎”だ」







 周囲で燃え盛る炎は、いつものオレの炎ではない――普段の青い炎とは違う、赤々と燃えている炎で周囲へと威嚇しながら、オレがダグバや彼が率いる怪人達へと告げる。







「それがどうしたの?
 ただの炎じゃないか。そんなもので……」



「オレの炎がどうして普段は青いのか、教えてやろう」







 もっとも、“見た目には”ただの炎だ。誰も特に警戒していないようなので、ダグバの言葉に被せる形で説明してやる。







「オレの瘴魔力光の色は青色。故にその色が反映されて青色なのだと思われがちだが、実際にはそういうワケではない。
 ガスバーナーの炎が青いのと同じ。ただ単純に、それだけ温度が高いからだ。
 まぁ……同等以上の温度域を操りながらも精霊力光の色の影響で赤いままの炎を操る柾木がそばにいるからな、同じパターンだと誤解を受けるのもやむなしと理解はしているが、な」







 ここまでは、すでにオレを知る者にとっては敵も味方もよく知っている話……問題はここからだ。







「本来、オレは直接攻撃系の能力者ではない」



「…………何?」



「オレの真の能力は効果系――炎そのものではなく、その炎に付随する特殊効果によって戦うのが、本来の姿だ」







 ダグバではない。包囲している怪人の誰かが発した疑問の声にそう答える。







「だが普段は、その特殊効果に封印を施している。
 結果、本来その特殊効果を発揮させるために使われる分の瘴魔力は行き場を失い、火力に転化されることとなり――炎の温度が上がり、炎を青く変化させる。
 そしてその余剰瘴魔力は同時に、炎のチャージサイクルの高速化という副産物をももたらした――オレの“いつもの”炎が持つ固有能力“瞬間点火”がそれだ。
 ――――――そしてっ!」







 それは自分でもそう思うほどの、電光石火の速攻――オレの放った炎が周囲を駆け巡り、ダグバを除く全員を包み込む。



 突然のオレの攻撃に、連中の包囲網に動揺が走る――が、それだけだ。炎はすぐに勢いを弱め、消えてしまう。







 そう――“誰ひとり、その身体を焼き尽くされることなく”







「………………ハッ。
 何が『本来の炎』だよ。そんな弱い炎で、ボクを倒そうって?」







 包囲網から一歩前に出ていたおかげで巻き込まれずにすんだダグバはあくまで余裕の表情だが――バカが。気づかないのか。



 オレの炎に包まれ、上がった貴様の手下どもの動揺の声――あれを最後に、“周りがすっかり静まり返っていることに”



 まぁ、気づいたところで何が起きているかもわかるまい。かまわず、手を進める。







「貴様ら……」





















「全員、死ね」





















「はぁ?
 いきなり何を言い出すのさ? 『死ね』と言われて、誰が『はい、わかりました』って死ぬもんk







 ダグバの言葉は最後まで聞こえなかった。



 “周囲の怪人達が迷わず自らののど笛をかき切り”、鮮血がぶちまけられた音にさえぎられて。







「な…………っ!?」



「もう一度言う――これが、オレの本来の炎だ」







 一瞬にして行われた、手下全員の一斉自殺――驚愕するダグバにそう答える。







「お前……何をした!?」



「単純な話さ。
 “焼き尽くした”のさ――“そいつらの、オレに対する敵対心と、生への執着心を”
 そして同時に、“燃え上がらせた”――“そいつらの、他者に意思決定を委ねたがる依存心と、自己破壊衝動を”







 そう――これが、オレの炎の、本来の効果だ。







「オレの炎が本来焼くのは、相手の肉体ではない。
 情念焼火エモーショナル・ブレイズ――相手の精神、それも特定、任意の感情だけを狙い、焼くことができる」







 先に語った通り、普段は特殊効果自体に封印を施しているがために物理的な炎としての破壊しかもたらさないが、本来オレの炎に物理的な破壊力はほとんどない。



 その代わり、相手の精神に対して強烈な破壊力を発揮する――精神攻撃としての炎なのだ。







「しかもただ焼くだけじゃない――燃やし尽くすことで狙った感情を失わせるのはもちろん、逆に強く燃え上がらせることで、狙った感情を限りなく強めることもできる。
 今の場合で言えば、オレに対する敵対心を焼き尽くし、同時に他者への依存心を燃え上がらせた――そうすることで、彼らはオレの自殺命令に対し何の抵抗もなく従った。
 当然だな。オレに対し抵抗する意思がなくなり、しかも依存心が限りなく強まっていたことで他者の言葉に従わずにはいられなかったのだから。
 しかも、同時に生きることへの執着心を焼き尽くし、自己破壊衝動を燃え上がらせた――生きようと思わず、自分を破壊したくてしょうがなくなっていたところへの自殺命令だ。なおのこと抵抗する理由はないだろう」







 その結果、怪人達は自ら死を選んだ――オレの言葉に従って。



 このように、オレの炎は使い方次第で相手の心を自在に操り、支配できる。



 だがそれは、相手の意思をねじ伏せ、自分のいいように操るということ……相手の誇りを踏みにじる、邪悪な力だ。



 瘴魔の力なのだから、邪悪なのは当然と言われればそうだが――オレはそれが許せなかった。



 だから、オレはオレ自身の力を封じた。特殊効果を封印し、その結果余剰となった力を物理的な破壊力に転化させることであの“青い炎”を生み出し、その力で戦うことを選んだ。







 だが――こいつらが相手なら、正直「話は別」というヤツだ。







「人の心を弄ぶ邪炎……貴様のような外道が相手なら、ためらう理由は何もない」



「く………………っ!」







 言い切るオレの言葉に危険を感じたか、ダグバが地を蹴り、突っ込んでくる。



 だが――遅い。オレの腕の一振りと共に真っ赤な炎が放たれ――その炎に包み込まれたダグバが動きを止めた。



 オレの炎が、ヤツの中の感情を新たにひとつ焼き尽くし、同時にひとつの感情を燃え上がらせた。それは――







 ――パンッ。







 目の前で、手を軽く叩く――その音だけで、ダグバはビクリと身をすくませ、後ずさりする。







「どうした?
 笑ってみろよ――“笑うことができるなら”







 そう告げるオレの言葉にも、ダグバは驚き、さらに後ずさり。



 顔が顔だ。そこから感情を読み取るのは正直難しい――が、その瞳は明らかにひとつの感情に染まっていた。



 すなわち――恐怖。



 もちろん、オレの炎で感情を“燃やされた”結果だ――恐怖を乗り越える“勇気”を焼き尽くされ、同時に“恐怖心”を限界まで燃え上がらせた。



 今のヤツは、どんな些細な恐怖であろうが乗り越えることは不可能――それどころか、どんな些細なものにも、その恐怖心を限りなく刺激される。







 もはや、ヤツはグロンギの首領、絶対的な強者などではない。



 あらゆるものにおびえ、身を縮こまらせ、逃げ惑うしかない――絶対的な、弱者だ。







「貴様には、死すら生ぬるい」







 ただ一言、告げる――それだけで、ダグバは腰を抜かし、へたり込んでしまう。



 そんなダグバに対し、右手を掲げる。そこにいつもの、青い炎を燃やして――







「すべてにおびえ、自らの死すらも恐れ――」











「独りみじめに、生きていけ」











 宣告と共に、炎を足元に叩きつけた。轟音と共に地面を爆砕し――その衝撃は爆音はダグバの“限界”をいともたやすく振り切った。腰を抜かしていたのも忘れたか、無様によろめき、何度もひっくり返りながら、ダグバは一目散に逃げ出していった。







 …………ふぅっ……







「……『できれば、こんな勝ち方はしたくなかった』――そんな顔だな」



 ………………?



「ホーネットか」

「貴様の“力”の気配が変質したのを見て、まさかと思ってきてみれば……」



 振り向くと、そこには予想通りの顔があった――言って、遊撃として自由に戦い回っていたはずのホーネットがこちらに向けて歩いてくる。



「そんなに嫌いか? その力が」

「まぁ……な……」



 ホーネットに答え、自らの右手に視線を落とす。

 オレの炎は、人の心を弄ぶ邪炎……外道に報いを受けさせるのにもってこいな力だが、正直この勝ち方だけは好きになれん。



 できることなら使わずに終わりたいのだが……



「確かに、後味の悪い勝ち方だしな……」



 オレが自分の力の何が気に入らないのか、ホーネットは察してくれたらしい。軽いため息混じりにそんなことをもらし――



「……だが」



 む…………?



「貴様は、その力をなんとかうまく使おうとしているじゃないか。
 実際……先日の集落での戦い、貴様はその炎で暴徒達を鎮めただろう」



 そう。

 大して付き合いのあるワケではないホーネットがオレの炎の真の力を知っていた理由がそれ――先日、ザインが集落を舞台に“降魔陣”を仕掛けたあの戦いで、ホーネットと共に暴徒の足止めと“サクラ”の排除に回ったオレはこの力を使った。



 柾木の心の傷を無遠慮に踏みにじってくれたヤツらが、それにまんまと踊らされている暴徒達が許せず……怒りに任せ、思わず使ってしまった。



 暴徒達の敵愾心を焼き尽くし、その全員を無力化――おかげで人的被害は最小限に留められたが、やはりいい気分はしなかった。

 彼らは確かに暴れるのをやめた……だがそれは、自らの意思で思いとどまったワケではない。オレの炎で心を変えられ、暴れる理由を失っただけの話だ。



 そう。オレは彼らの心に土足で踏み込んだ。この炎の力をもって、ムリヤリ彼らの意思を捻じ曲げた。

 それは、彼らの意思を踏みにじる行為――その意思の是非、それ以前の問題。彼らの意思を意思と思わず、自分のいいように操る、最低の行いだ。



「だから、テスタロッサや蒼凪恭文にも教えないのか? その力のことは」

「知れば、必ず気を遣うからな、あの二人は」



 ホーネットに答えて、ため息まじりに天を仰ぐ――そう。あの二人にはこの力のことを教えるつもりはないし、知るべきだとも思わない。

 『水臭い』『一緒に背負う』とあの二人なら言うだろう……だが、これはオレがひとりで背負うと決めたことだ。

 蒼凪が背負っているのと同じだ――これはオレ自身に課せられた業。だから、オレ自身が越えなければ意味がない。



 今回の……あのダグバのようなヤツらを討つためなら、外道のそしりも甘んじて受けよう。

 あえて外道の中に身を投じ、生粋の外道を闇に葬る――すでに一度悪に堕ちた身だ。汚れ役にはちょうどいい。



 テスタロッサや蒼凪と共に歩むと決めた今でも、これだけは譲るつもりはない。











 それが……10年前の“瘴魔大戦”で世界に敵対したオレの選んだ、贖罪の道なのだから……







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……来たわね。



 戦場を見守る私の耳に聞こえてくるローター音……見上げれば、そこには予想通り、こちらに向けて飛んでくるスプラング。

 私のいる廃ビルの屋上、ヘリポートとして使うにはギリギリ、くらいの広さのそこに器用に着陸。そして……



「お待たせっス、シャマルさん。
 予備のカートリッジ、持ってきましたよ」



 操縦席から顔を出して言うのは、もちろんスプラングのパートナーのヴァイスくんだ。



「それで……みんなの様子は?」

「うん……まだあちこちで戦ってるわ」



 ある程度は本部とのやり取りで把握しているだろうけど、それでも断片的にしか聞いていないだろうヴァイスくんにそう答える。



「けっこう派手にやってるみたい……カートリッジの激発と思われる魔力反応を、クラールヴィントが何回もキャッチしてる。
 ティアナなんて、そろそろ手持ちが尽きそうな感じ。“降魔点”の破壊が済んだら、一度戻ってきて補充した方がいいとは思うんだけど……」

「相手、手強いのがそろってるみたいっスからね……」



 ヴァイスくんの言葉にうなずいて、クラールヴィントから送られてくる情報に意識を向ける。

 今回は状況が状況だったから、戦いは長丁場、且つ激戦が予想された――だからこうして戦場から遠すぎず、近すぎずなところに支援拠点を設けたのだけど、今のところ誰も補給や負傷の手当てのために戻ってきていない。



 その理由が「戻る必要もないくらいの楽勝だった」なら、まだ安心もできるんだけど……「戻る余裕もないくらいの苦戦・激戦」だったりするものだから、こちらとしても気が気じゃない。



 戦闘開始から今まで、何度ここを放り出してみんなを助けに行こうかと思ったか……



「ま、大丈夫っスよ、アイツらなら。
 何しろ、あの“JS事件”を戦い抜いてここにいるんですからね、オレ達みんな」

「だけど……」

「それに。
 後ろでシャマル先生がこうして待機していてくれるから……後ろを支えてくれてる人がいるから、アイツらも安心して思い切り戦えるんです。
 機能的な意味では出番はなくても、ちゃんとアイツらの支援っていう役目は果たしてますよ」

「なら、いいんだけど……」

「ま、この荷物降ろしたら、オレ達も空中から狙撃でもして支援でもしてやろうかと思って……ん?」



 荷物を次々に降ろしていたヴァイスくんの手が止まった。どうしたの?



「いや……オレ、確か荷物はきっちり、すき間なく積んだはずなんスけど……」



 首をかしげるヴァイスくんの様子が気になって、私もスプラングの機内に入って……







 ヴァイスくんの持ってきてくれた荷物の山――その一角に、私から見ても明らかに不自然なすき間が空いていた。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ………………よし。



 ヘリのおにーちゃんやお医者さんのお姉さんには、気づかれなかったね。



 段ボールってすごいね。かぶっただけでみんなから見つからなくなっちゃうんだから。ゲームでやってた通りだよ、うん。







 けど……問題はここからだ。

 なのはお姉ちゃんやフェイトお姉ちゃんをいじめてる悪い人をやっつけて、お姉ちゃん達を助けないと……

 やすーみおにーちゃんはぼくに『フェイトお姉ちゃん達を頼む』って……ぼくに、お姉ちゃん達のことを頼んでいったんだもん。



 だから……







 悪い人達と戦うなんて、ほんとうは怖いけど……それでも、やるんだ。











 ぼくが……お姉ちゃん達を、助けるんだ!







(第31話に続く)


次回、とコ電っ!

 

「いくよ、ティア!」
「OK!」

 

「ネガショッカーの一員にしちゃ、なかなか気の利いたことしてくれるじゃねぇか!」

 

「やすーみおにーちゃん達を、いぢめるなぁっ!」

 

「よせ、ローズイマジン!
 ヤツをこれ以上刺激するな!」

 

第31話「リターン・オブ・超破壊大帝」

 

「いい度胸だな、貴様」

あとがき

マスターコンボイ 「前半はディセプティコンの参戦、後半は炎皇寺往人の真の能力にスポットがあたった第30話だな」
オメガ 《前話からすさまじく間があきましたね。
 かろうじて『事実上の2年越し』と言われずに済んだものの、それでも実質的にはほぼ2年越しですからね》
マスターコンボイ 「次の話で苦労していたらしいからな。
 相変わらず、次回のダイジェスト形式であるこのシリーズの予告が完全に足を引っ張っているようだな」
オメガ 《とはいえ、仮面ライダーとのクロスオーバー作品としては絶対に外せない要素ですしね……
 まぁ、その辺は今後作者がどうにかしてくれることを期待するとして、今回の話ですが》
マスターコンボイ 「あの馬鹿作者め、また『ブレイカー』原作では未公開の情報を平然と公開しおって……
 炎皇寺往人の炎についてなんて、原作ではまだカケラも言及していまいに」
オメガ 《それ、今更じゃないですか? 作者も完全に開き直ってますからね。
 むしろこのシリーズのような本編外のシリーズをキャラクターの掘り下げに活用してる部分ありますし》
マスターコンボイ 「……否定できんな」
オメガ 《というかボス、他人のことを気にしてる場合ですか?
 次回のサブタイトルって……》
マスターコンボイ 「あぁ、そうだな……
 何が原因でサブタイトルのような事態に陥るかはだいたい想像がつくが……問題はどういう経緯でその“原因”に行きつくか、か……」
オメガ 《そこはまぁ、『次回をお楽しみに』というヤツですよ……いつになるか、という問題はありますが》
マスターコンボイ 「結局そうなるんだな……そして次の公開がいつになるかわからんというところまでデフォルトというのがまた何とも……
   ……と、そんなことを話しているうちに、今回もお開きの時間だ。
 では、次回も楽しみにしているがいい」
オメガ 《次回もよろしくお願いいたします》

(おわり)


 

(初版:2015/11/25)