「……つまり、だ。
 惑星ガイアのサイバトロンが交流を目的とした親善部隊を派遣して……」

「ヒロさん経由で六課に家電ロボットのモニター依頼が来て、それを受けた結果、向こうの会社のスタッフが来ることになってて……」



『どちらも六課入りは今日、と……』





『………………はい』





 腕組みして仁王立ち、にらみつけるように告げる僕らの前には、正座してうなずくなのはとはやて。



 なのははあわてて僕らに伝えようとした結果チンプンカンプンな言い回しをしてしまった罪。



 はやては、そんな予定が入ってるのをすっかり伝え忘れていた罪。



 それぞれの罪状によって、僕とジュンイチさんからお説教というワケ。





 ちなみに……お説教する側の僕らもちょっぴり黒コゲ。



 えぇ。はやてと同様に家電モニターの話を僕らに伝えずにいたヒロさんも一緒に怒ろうとした結果、二人そろって返り討ちにあいましたとも。理不尽だよね、ホント。





「まぁ……そこをこれ以上怒っても仕方ないか。
 時間的にもそろそろ来るんだろ? となりゃ、受け入れ準備がまず第一だ」

「せやね。そーゆーことやから……」

「あー、恭文。出迎えの陣頭指揮頼むわ。
 バトって戻ってきたばっかで疲れてるだろうとは思うけど、グリフィスあたりが手伝ってくれるだろ」

「ほーい」

「え? あれ?」



 ジュンイチさんにトントン拍子で仕切られて、はやてが目を丸くしてる……バカめ。ジュンイチさんがそんなに簡単に逃がすワケないじゃないのさ。



「……さて、これで受け入れの方は問題ないな」

「あれ? あれれ?」

「ジュンイチさん……?」

「お前ら二人は、オレからちょっとした“お勉強”だ。
 元財閥後継者、兼元“Bネット”筆頭議長が直々に伝える、組織運営のノウハウの数々だ。死ぬ気で受け取るがいい」

『………………え? 「死ぬ気で」?』





 …………うん。自業自得だから、ありがたく喰らっときなさい。

 

 


 

第27話

異文化交流は時として悲劇と喜劇をまき散らす

 


 

 

 と、いうワケで、はやてとなのはへの天誅はジュンイチさんに任せて、僕らは六課に来る人達のお出迎えです。



 二組いるので手分けしてのお出迎え。家電モニター云々の件はフェイトとジャックプライムがライトニング・フォワードを引き連れて依頼してきた会社に向かってる。



 で、僕は……イクトさんやスバル達スターズ・フォワードと一緒にクラナガンのポートターミナルへ。



 ただし、向かうのは転送ポートではなく、スペースブリッジのポートの方。なんでも、連中はこっちに来る前はセイバートロン星に滞在してたとか。なので、こっちに来るのもそのセイバートロン星からスペースブリッジを使って……ということらしい。



 そんなこんなで、現在スペースブリッジの転送ポート前。こちらのメンツの仕切りを任された僕がみんなよりも一歩前に出る形で、ヒューマンフォームのマスターコンボイと並んでお客さんを待ってる最中です。



「ていうか……転送ポート使えばもっと早く来れるのにね」

「バカ。セイバートロン星だって、なのはさん達の地球と同じ第97管理外世界なのよ。
 魔法文化ないんだから、転送ポートだっておおっぴらには使えない。公式に滞在してる親善交流部隊がそんなのを使って移動するワケにはいかないでしょうが」

「あ、そっか」

「ティアナ、かしこーい♪」

「キミ達の発想がストレートすぎるだけだと思うが……」



 スバルやティアナのやり取りにロードナックル・シロやジェットガンナーが口をはさむ――ホント、のん気なもんだよね。

 こっちは昼間暴れてきて、それなりに疲れてるっていうのにさ。



「ならば断ればよかったんじゃないのか?
 引き受けてしまった以上、どれだけ疲れていようと通すのが筋だろう?」

「わかってるんだけどね。
 でもさ、がんばってるそばでだらけた態度とられるとムカつくでしょ?」

「まぁ、な……」



 納得してくれるマスターコンボイだけど……うん、そっちの言ってることも一理あるよね。



 ジュンイチさんから唐突に出迎えの仕切りを任されたにすぎないけど、引き受けたからにはきっちりやらないと。今さら「疲れてるから」なんて言うくらいなら、最初から引き受けなければいいんだ。



「とはいえ……いきなりの話でどういう連中が来るのか、把握しきれていないのも問題だな。
 一応メンバーの資料は受け取っているが……」

「急な話で、目を通してるヒマなかったもんね……
 まぁ、イクトさんは別の意味で読めなかったワケだけど」

「放っておいてもらおうか」



 答えて、イクトさんが懐から取り出すのは、親善部隊の人達のデータをプリントアウトした束だ。

 機械音痴で僕らみたいに端末を使えないイクトさんのためにロングアーチのみんなが用意してくれたものだけど……この人、行きの道中、ビークルモードなマスターコンボイの車内指揮所で読もうとして見事に乗り物酔いに陥ってくださいました。



《でしたら、今から少しでも見ておきますか?
 テスト前のスーパー集中タイムみたく、ひょっとしたら覚えられるかも》

「あー、僕らはそれでもいいかもしれないけどさ……」



 アルトの提案にうなずきながらも、僕は問題の“懸念事項”へと視線を向け、



「若干名、それでも覚え切れそうにないのがいるからねー」

「そのセリフをどーしてあたしを見ながら吐くのかなっ!?」



 いやいや、別に豆芝がそうだとは言ってませんけど?



「ウソっ! 目が言ってるよ、目がっ!
 大丈夫だよっ! あたしだってそのくらい覚えきれるもんっ!」

「ホントに?」

残念ながら本当よ。
 この子、一応これでも、あたしと一緒に訓練校の主席とったのよ?」

「ティアもどうして何度も特定の意味合いのところだけ強調するのっ!?」

「つか、そんな主席取れる頭があるなら、どうして日頃の言動があぁもトンチンカンなのさ?」

「テストの点が取れるのと日常生活でまともかどうかなんて関係ないでしょ」

「あぁ、なるほど」

「ティアも恭文もひどいよーっ!」



 ………………さて、豆芝で遊んで時間をつぶすのもこのくらいかな?



「そうね、そろそろ到着の時間だわ」

「しかも二人してスルーしたっ!?」



 豆芝がなんか騒いでるけど、無視しておく。



 だって……スペースブリッジのエネルギーが活性化しているから。



 空間の歪みからパリパリと雷光がほとばしり、それが安全のためのシールドによって僕らの前で阻まれる。



 シールド越しからでもハッキリと見て取れるほどにエネルギーが上昇する中、空間の歪みの奥にポツンと影が見えた。

 影は見る見るうちに大きさを増していき、そして――











「………………っ、と……」











 歪みの中から飛び出し、その場に降り立ったのは――真っ白な毛並みの、一頭のライオン。



 もちろん、わざわざスペースブリッジを抜けて移動してきたのがただのライオンなワケがない。れっきとしたトランスフォーマーだ――つか、チラ見しただけの資料にきっちりあのライオンの写真があったし。



 で、白ライオンの後に続くのは、ワシなのかタカなのか……とにかくでっかい猛禽の鳥。

 さらに同じく巨大なウサギ、ペンギン、コブラにチーター、ネズミにはやて、もといタヌキ……ぅわ、ものの見事にビースト系のトランスフォーマーばっかりかい。











「よっ、と……」

「ようやく着きましたね……」











 ……でもないみたいだ。

 だって……最後に、女の子が二人、スペースブリッジを抜けて姿を現したからだ。





 ………………つか、思いっきり見知った顔です。





 だって、僕の友達の妹さん達だから。



「ここがミッドチルダか……」

「へぇ、けっこういい設備使ってるなぁ、オイ」

「ホント。セイバートロン星といい、オレ達のところとは大違いじゃねぇか……」



 周囲を見回す白ライオンの言葉が合図になったのか、ペンギンやコブラがポートの設備を眺めてそんなことを言い出す……ところで、もしもし?



「ん? キミは……?」

「えっと……ガイア・サイバトロンの、ライオコンボイ……だよね?
 みんなの滞在することになる、機動六課の……」





「なんだ、お前が迎えじゃん?
 またちっこいのが来たもんじゃん?」





 ………………ムカッ。





「ホントだねー。
 ねね、キミ、ちゃんと食べてる? でないと大きくなれないよ?」





 …………ムカムカッ。





「二人とも、そんなことを言ってはダメじゃないですか。
 こんな子供でも、ちゃんと自分の仕事を果たすためにここにいるんですから」











 ………………うん。



 チーター、ネズミ、でもってハヤブサ……お前ら、そこ動くな。











「アルト、セットアッ

「わぁぁぁぁぁっ! 恭文、落ち着いてぇーっ!」

「ファーストコンタクトからいきなり戦闘態勢に入るんじゃないわよ、このバカっ!」

「うるさいっ! 止めるな、スバル、ティアナっ!
 こいつらっ、そろいもそろって、誰が書道の達人でも文字が書けないほどの大きさの米粒みたいなマイクロドチビだってっ!?」

『いや、そこまで言ってないしっ!』



 そんなの関係ない。僕の身長に触れたヤツは誰であろうがブッ飛ばす。例外なくブッ飛ばす。



「ほほぉ、ではフェイト・T・高町が貴様の背のことに触れたらブッ飛ばすんだな?」











 ………………フェイト以外っ!



『なんかあっさりひるがえしたっ!?』



 マスターコンボイに答える僕にみんなが驚いてるけど……うん。そんなのは割とどうでもいい。





「……まぁいいや。ブッ飛ばすのは後でもできるし。
 とにかく……機動六課から迎えに来ました、蒼凪恭文です」

「蒼凪……?
 そうか、キミが……」



 ………………?

 白ライオンが、僕の名前を聞いて何やら考え込んでる……え? 何そのリアクション?





 ……あ、そーいやジンがそっちの地元に行ってるんですよね? ひょっとしてアイツから何か聞きました?



「彼だけではないのだが……そこはまぁ、後で話そう。
 とにかく、仲間が失礼した……私はこの親善部隊のリーダーを務めさせてもらっている、ライオコンボイだ。
 そして……」

「初めまして、蒼凪くん。キミの事は聞いてるわ……それとさっきはごめんなさいね。
 私はエアラザー。見ての通り、ビーストモードはハヤブサよ」



 ………………うん、ごめんなさい。

 「見ての通り」って……普通のハヤブサはもちろん、ワシやタカだってそんなにでっかくありません。ぶっちゃけ、サイズ比がおかしくて何の鳥かわかりませんでした。



「なら、次はオレだな。
 オレはブレイク! ビーストモードはペンギンだけど、ハートの方はギンギラギンに燃えてるぜっ! よろしくっ!」

「お前の場合はただ暑苦しいだけだ。
 ……っと、オレはコラーダ。ビーストモードはコブラだ」



 で、こっちは熱血系とクール系ね……ひょっとして二人でコンビ戦とかよくする?



『なんでわかった!?』



 やっぱりかい。熱血系とクール系でコンビを組むのはお約束だからね。



「オレはチータスっ! よろしくじゃんっ!
 ビーストモードは見ての通りチーター! チータスって名前もこっから来てんだぜ!」

「オイラはラットル! オイラも名前の通りラット、つまりネズミがビーストモードなんだよね。
 ま、とりあえずよろしくっ!」



 で、熱血系がもうひとりと……うん、ラットルって子は人当たりよさそうだね。こういうキャラはたいていお調子者だったりするのが定番だけど。



「僕はハインラッド。タヌキなんだなぁ。
 まぁ、よろしく頼むんだな」



 そう名乗るはやて……じゃない、タヌキのハインラッドだけど……うん、ツッコんでいいかな?

 キミのベース、確かにタヌキには違いないけど……なんで信楽焼のタヌキなのさ? タヌキつながりなだけでアレ、置物だよ?



 とにかく、これでトランスフォーマー組の自己紹介は終わり……かな?



「ううん。
 恭文……あそこ」



 終わりじゃなかったらしい。スバルが指さした方を見ると……何アレ。



 ビースト戦士組の最後のひとり、ウサギがモチーフの子が物陰からこっちをうかがっている……うん。明らかに緊張してるね、アレ。



「こら、スタンピー。
 そんなところで隠れていないで、あいさつしないか」

「は、はいっ!」



 ライオコンボイの言葉にも過剰反応。飛び上がらんばかりに驚いてそう答えると、ウサギの子はギクシャクした動きのまま僕らの前に出てきて。



「ぼ、ボクはスタンピー!
 よろしくおねがいしまじゅっ!?」





 ………………「じゅっ」?





 見ると、スタンピーは自己紹介の最後でおじぎしたその姿勢のまま。



 その表情をのぞき込んでみると……あれ、涙目?





 ひょっとして……





「最後の最後で……舌かんだ?」

「………………うん」



 タップリ沈黙した後でうなずいてくれた。



「アハハハハッ! スタンピー、緊張しすぎっ!」

「そ、そんなこと言ったってぇっ!」



 そして、そんなスタンピーの姿に、二人の女の子の一方、元気な方が笑い声を上げる。スタンピーも半泣きで応じるけど……その涙は舌をかんだ痛みで泣いてるだけっぽい。

 だって、嫌がってるとかそういう空気が感じられないから。日常的なじゃれ合いとかそんな感じかな?



 なので……僕も安心して口をはさめるワケだ。



「なんつーか……相変わらずだね、メイル」

「うんっ!
 私はいつだって元気いっぱい100%勇気だよっ! もうやりきるしかないんだよっ!」

「えっ!?
 恭文、この子達と知り合い!?」



 僕と女の子のやり取りに、驚いて声を上げるのはロードナックル・シロ――まぁ、みんなは知らないし、当然といえば当然か。



「初めましてっ!
 メイル・スノウレイド、13歳ですっ!」

「なお、僕と知り合いなのは、僕の友達の妹だから。お兄さん経由で知り合ったってワケ」



 とりあえず、メイルが名乗るのにあわせて事情を説明。だってさっきからティアナやスバルが「またフラグ立ててたんかいお前」的な感じの視線を向けてきているから。



「で、同じく僕の友達の妹の……」

「ライラ・フレイホークといいます。どうぞよろしく」



 そして、続けてもうひとりの方、落ち着いた感じの子の方も紹介する。

 なお、ライラとメイルの“お兄さん”は同一人物。ファミリーネームが違うのは……まぁ、事情込みだということで。



「まぁ、何にせよ、だ……
 これで、そちらのメンバーは全員か?」

「あぁ、これで全員だな」



 そんな僕らのやり取りにまったくからむつもりがないのが我らがツンデレコンボイ。かまうことなく確認をとって、ライオコンボイもうなずいてみせる――そっか。なら今度は僕らが名乗る番だね。



「そうだな。まずはオレからいこう。
 オレはマスターコンボイ。機動六課に所属するコンボイだ」





 …………ざわっ……





 ……え? 何? この空気……



 マスターコンボイが名乗ったとたん、ガイア・サイバトロンのみんなに緊張が走ったような……?



「お前が……コンボイなのか?」

「そうだが?」



 恐る恐る尋ねるライオコンボイに、マスターコンボイは迷わずうなずいて……











「お前みたいなちっこいのが?」











「がはぁっ!?」



 あ、チータスのセリフがマスターコンボイに刺さった。



「見るからにガキじゃねぇか」

「がふっ!?」

「オイラよりちっちゃいよね?
 つーか人間だし、その中でもチビだし。ホントにトランスフォーマーなの?」

「ぐはぁっ!?」



 さらに、コラーダとラットルの言葉が追い討ち……つか、他人事とは思えなさ過ぎるんですけど。



「何言ってんだ、お前ら!
 コンボイってのは“守る者”! 要は心意気! ガタイの問題じゃねぇだろ!」



 そんな、グサグサと言葉のナイフで串刺しになっていたマスターコンボイに助け舟を出してくれたのはブレイクだ。



 そういえば僕の時も背についてはツッコんでこなかったっけ。暑苦しいけどいいヤツかも――







「たとえどう見てもガキにしか見えないようなドチビだって、心意気が熱けりゃコンボイでいいじゃねぇかっ!」



「ぐわぁっ!?」







 安心させといて背中から斬りつけてきたぁぁぁぁぁっ!?







「………………恭文」



 度重なる口撃にさんざんに打ちのめされ、倒れ伏していたマスターコンボイが、ボクの名を呼びながらゆっくりと立ち上がる。



 ただし……ひじょーに据わった目つきで。



「オレの言いたいことは……わかるな?」



 うん。すっごく。

 だから……



「殺っちゃえ、マスターコンボイ」



「おぅよっ!
 オメガ! セットアッ



「マスターコンボイさん、ダメぇっ!」

「アンタもアンタでGOサイン出すんじゃないわよっ!」





 スバルとティアナに止められました……無念。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ここ……だね?」

「うん。ここだよ」



 到着して、停車したビークルモードのジャックプライムから降りる私に、そのジャックプライムが答える――その言葉を聞きながら、私は目の前にそびえ立つ高層ビルを見上げた。



「サムダック・システムズ……?」

「ボク、聞いたことあります。
 工事用から作業用まで、ロボット開発で幅広く展開してる大企業ですよね?」



 ビルの看板に書かれた社名を読み上げるキャロにはエリオが答える……うん。エリオの説明で大体正解。

 サムダック・システムズはミッドにおけるロボット開発の最先端企業。トランスフォーマーの存在が明らかになる前から様々な分野にロボットを売り込んで、今でもかなりのシェアを保ってる。その規模は、ロボット工業だけで業績を比べたら、ヒロリスさんのご実家、クロスフォード財団すらも上回る。

 もっとも、ヒロリスさんによるとクロスフォード財団側は素直にこの分野での負けを認めていて、現在はけっこう友好的な関係を築いているとか。

 そんな関係から、今回の話もクロスフォード財団を通じて六課に来た。地上本部だけでなく聖王教会にも顔が利くクロスフォード財団を間にはさむことで話を通しやすくする狙いがあったんだろうね。

 それがヒロリスさんの耳に入って、「それなら」と六課を紹介されて……ということらしい。



「フェイトーっ。行くよー」

「フェイト隊長がいないとめんどくさいんですから、早くしてくださいよー」

「あ、うん」



 いけないいけない。考え事にふけっちゃった。



 ジャックプライムやアイゼンアンカーの声に、私はあわてて彼らに追いつき、一緒にサムダック・システムズに足を踏み入れる。



 受付には、受付嬢代わりの応対ロボット。さすがはロボット開発の最先端。ここにもロボットを配置してるなんて……



 ……と、感心してる場合じゃない。とにかく受付でアポの確認を……





「すみません。
 機動六課の者ですが……」

《あぁ、おうかがいしております。
 すぐにサムダック社長をお呼びいたしますので、そちらの応接ブースでお待ちください》



 …………すごい。応対要領までそつなくこなしてる……ほとんど人間と変わらない。



 聞けばこの水準を、トランスフォーマーの存在が明らかになる前から維持していて、デバイスの人格プログラムもここの技術からフィードバックされた部分がかなりあるとか……うん。やっぱりすごいね。



 またまた感心しながら、みんなで指定された応接ブースで待つことしばし……



「いやいや、お待たせして申し訳ない。
 サムダック・システムズ社長、アイザック・サムダックです」



 そう言いながらやってきたのは、ちょっと小太りな男の人。この人が、社長のサムダックさん……



「まず……この度は我が社の家電ロボットのモニター依頼を引き受けてくださって、ありがとうございます。
 社を代表して、この通り、お礼を言わせていただきます」

「そんな……お礼なんていいですから、顔を上げてください、サムダックさん」



 最初からいきなり頭を下げられて、あわててフォローして……





「ふふん、ま、それほどでもあるかなー♪」

「姫が参加するのでござる。問題などあるはずがないでござるよっ!」





 …………アイゼンアンカー、それからシャープエッジも、話が進まないから、口をはさむのは少し控えててもらえるかな?



「すでに、モニターしていただく家事ロボットは機動六課の方へ運ばせていただきました。
 ですから、みなさんはこちらからの人員のみを六課へ案内していただくだけでかまいません」

「そうですか。
 それで、その“人員”はどこに……?」





















「パパ!」





















 突然の声に振り向くと、そこには旅行バッグを肩から提げた、エリオやキャロと同じくらいの年頃の女の子。



 ひょっとして……サムダックさんの娘さんですか?



「えぇ。娘のサリです。
 サリ、ごあいさつを」

「あ、うん」



 サムダックさんに促される形で、女の子は私達の前に。緊張をみじんも感じさせない堂々とした態度で自己紹介する。



「えっと……初めまして。
 今回のモニター依頼の責任者の、サリ・サムダックです。
 どうぞ、よろしくお願いします」

「うん。こちらこそ」



 応えて、私はサリと名乗った女の子の頭をなでてあげて……





















 ………………あれ?





















「…………サムダックさん」

「ん? どうかいたしましたか?」

「今、自己紹介の中に聞き捨てならないフレーズがあったんですけど」

「…………と、いいますと?」

「いや、『今回のモニター依頼の責任者』って……
 まさか、六課に滞在するこちらのスタッフというのは……」

「えぇ、彼女です」



 やっぱり、そうなんだ……



「まだ子供なのに……」



 驚いているのは周りも一緒だ。エリオが呆然としたままつぶやくけど……



「あー、何? その言い方。
 自分だって、わたしと大して違わないじゃないの」

「そ、それはそうだけど……」



 それが向こうの気に障ったみたい。詰め寄ってくるサリさんに、エリオが完全に圧されてる。



「大丈夫。心配はいりませんよ。
 父親の私が言うのも何ですが、なかなか優秀な子でしてね」



 そんな光景に苦笑すると、サムダックさんはそう言いながら私へと向き直って――頭を下げた。



「では、娘のことをよろしくお願いします」

「はい。
 娘さんは、責任を持ってお預かりします」











「…………なんか、保母さんと子供を預けるお父さんの図式だねー……」











 ジャックプライム。それは言わないでくれるかな?







 ………………私も、ちょっと思ったから。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 さて、二人して制裁を阻止され、ちょっとふてくされ気味の僕らは現在、六課への帰り道。なお、ガイア・サイバトロンのみなさんの案内を兼ねるために歩きでのんびり移動です。



「こうして見ると、やはり惑星ガイアとは違うな……」

「まぁ、それはそうだろうな」



 周囲を見回すライオコンボイに、マスターコンボイが答える……ところでお二人さん。

 その、ライオコンボイのビーストモードにヒューマンフォームのマスターコンボイがまたがる構図は狙ってやってるのかな? ライオコンボイのビーストモードがビーストモードなだけに、さっきから通行人の注目を集めまくってんですけど。



「惑星ガイアがどういう星かは知らないが、それほど開発された星ではないと聞いている。ミッドの都市部と同じではないのは当然だ」

「あぁ、そういう意味ではない。
 これほど人の手が入った中でも、そこに生きる人々の活気があふれている。
 自然あふれる惑星ガイアとは別の形で命の力に満ちた星だ」

「…………そういうものか?」

「そういうものなんだ」



 …………そうだね。ライオコンボイはどうか知らないけど、マスターコンボイはそーゆーのを気にするタイプじゃなかったわね。そりゃ動じるワケないわ。

 まぁ、話してる内容はいたってまともだし、ツッコまないであげるけど。



「甘いぞー、恭文。
 ここは空気も何もかもぶち壊しにしてでもツッコミにいくところじゃん?」

「そーそー。
 基本オイラ達はバトルの間でもボケとツッコミが激しく飛び交うシリアスと笑いに満ちあふれる愛すべきキャラクターなんだし」

「はい、そこのじゃんじゃんネコとバカネズミは黙る。自分で『愛すべきキャラクター』とか言わない。
 つか、だったら自分達がツッコめばいいじゃないのさ」

「あー、それはムリだね」

「じゃんじゃん」



 僕のもっともな指摘に対して、ラットルとチータスは二人そろってそう答えて、



「オイラ達は基本的にツッコまれる側だし」

「ツッコミは恭文達に任せるじゃん?」

「任せるな、そーゆーのをっ!
 ただでさえ僕の周りは濃いキャラばっかりで常時ツッコみまくりだってのに、これ以上ボケ役に増えられてたまるかっ!」



「………………恭文だってツッコまれる側だよね?」

「ツッコんでばっかりで疲れるのはあたし達の方だってのに、まったく……」



 スバルとティアナが何か言ってるけど……無視っ!



「まったく、どいつもこいつも……」

「……苦労してるみたいですね、イクトさん」

「まぁ、な……
 だが、オレも自分の至らなさで何かとツッコまれているからな、この件については強く言えん……」

「………………ホントに苦労してるんですね」



 ……で、そこのハヤブサさんはイクトさんと意気投合ですか。なんか苦労人オーラが出まくりなんですけど。



「まぁ、エアラザーも惑星ガイアでみんなのボケに対してライオコンボイと二人でツッコみ通しだったもんねー」

「うんうん」

「へー、そうなんだ」

《確かに、なんか疲れてそうなオーラ出てるもんな》

「ですね。
 まったく、いちいち相手をするから疲れるんですよ。放っておけばいいのに」

「ライラ・フレイホーク……キミは放置しておしまいか」

「えぇ。
 いいですか、ジェットガンナー。世の中には、ツッコまないというツッコみ方もあるんですよ」

「なるほど……勉強になるな」



 で、トランスデバイスのみんなは我が友人の妹達、メイルやスタンピー、ライラと談笑中……うん。他はいいけどライラ、キミだよ。何ジェットガンナーにいらんこと吹き込んでくれてるかな?

 そーゆーこと覚えられるとツッコんでくれる人がいなくなって僕らの負担が増えるんだからやめてよね……いや、今でもジェットガンナーはあまりツッコミ手伝ってくれないけどさ。



 で、ブレイクとコラーダ、二人はどうなのさ? さっきから会話に加わってこないけ……ど……



「うー……さみー……ねみー……」

「しっかりしろ、コラーダ! 眠ったら死ぬぞーっ!」



 ………………うん。そうだね。

 現在11月。ビーストモードがコブラのコラーダには冬の寒さは天敵だよね。そりゃ冬眠しかけるよね。

 つか、こういう季節に来るんだから、変温動物なんかスキャンしたままで来るんじゃないよ。



「そんなこと言ってるヒマがあったら、コラーダを起こすの手伝ってくれよそこっ!」

「……だそうだけど……どうする?」

《どうしましょうか?
 気付けにアイシクルキャノンでも叩き込みますか?》

「明らかに氷結系だよなそれっ!?
 オレ的には大歓迎だけどコラーダ的にはぶっちぎりでアウトだっつーの! 寒さで冬眠しかかってるヤツを相手に追い討ちかけるようなマネすんなよっ!」

「いや、このままじゃ役に立ちそうにないから、いっそ一思いに戦線離脱させてあげた方がお互いベストかなー、と。
 ブレイクもそう思わない?」

「………………」

「いや、アンタもそこで悩むんじゃないわよ」



 僕からの提案に真剣に考え込み始めたブレイクにティアナがツッコんで……あれ、ハインラッド、なんかキョロキョロしてるけどどうしたの?



「ん……なんだか、さっきからおかしな感じがするんだな」

「おかしな感じ……?」



 僕は何も感じないけど……最近何かと電波なスバルさん、何かわかりますかー?



「電波じゃないよっ!」

「そこはいいから。
 で……何か感じる?」

「……うーん、どうだろ。
 変、って言ったら、変かも……」



 何さ、そのハッキリしない言い方。

 変なのがいるならいるで、ハッキリそう言えばいいじゃないのさ。



「あー、そういうのじゃないの。
 なんだか、そういう気配とかそういうのが、全体的にボヤけてるっていうか……」

「『ボヤけてる』……?」

「うん。
 サーチをかけてもそれがジャミングされてるような感じ……って言えば、アルトアイゼンとかには通じるんじゃないかな?」

《あぁ、それならわかりますね》



 そっか。ジャミングみたいな感じか……











『《ジャミングっ!?》』







 スバルの言葉に、話を聞いていた一同が声をそろえる。それどころじゃなかったブレイク達やカヤの外だったマスターコンボイ達がその声にギョッとして――





















 僕らの周囲で爆発が巻き起こった。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ――――――っ!?



 何? 今の爆発音……

 まさか、バルディッシュやジャックプライムのサーチがいきなり利かなくなったのは……



《ジャミング……ですか?》

「かもね。
 もしあの爆発が攻撃なら……の話だけど。
 どうする? フェイト。確認に行く?」

「うん……」



 どうしようか……

 現場に向かう以上、サリさんを連れて、っていうのは……なしだよね、やっぱり。



 となると……



「エリオ、キャロ……アイゼンアンカーにシャープエッジも。
 彼女のこと、お願いできるかな?」

「はい!」

「大丈夫です!」

「めんどくさいけど、ま、しょうがないよね」

「心配ご無用でござる!」



 うん。いい返事だ。



「ジャックプライム」

「うん!」



 何があったかはわからないけど……できることがあるならやらなくちゃ。



 自分にできることに、ただ全力を尽くす……ジュンイチさんができてるんだ。私だってっ!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「…………つー……っ!
 みんな、大丈夫……?」

「オレは、な……」

「私もだ……」



 突然の爆発は直撃こそなかったけどけっこう至近――煙を吸い込まないように口元を押さえながらの僕の問いには、マスターコンボイとライオコンボイが答える。

 僕の位置から見える範囲では、トランスフォーマー組はみんな無事な感じとして……あれ、メイルとライラは!?

 あの二人に何かあってみろ、ジンが怒り狂って突撃してくるじゃないのさっ!



「ここだよ」

「なんとか、間に合ったわよ」



 その声に振り向くと、二人はスバルやティアナに抱きかかえられた状態で無事。

 スバルもティアナもぐっじょぶっ! これでジンに怒られないですむっ!



「しかし、一体何が……?」



 …………っと、いけないいけない。



 ライオコンボイの言葉に意識を切り替える――直前、スバルやハインラッドは「ジャミングを受けているような感じがする」と言っていた。もし、それが本当にジャミングだったとしたら……





















「久しぶりじゃな、蒼凪恭文っ!」











 ………………うん、帰れ。











「いきなりそれはひどいのじゃーっ!」

「うっさいわ、このバカ姫っ!
 お前らが出てきて、僕らが歓迎するとでも思ってんのかっ!」



 ………………えぇ、みなさんもうわかったと思いますが、現れたのは瘴魔の新たなるバカ軍団、“蝿蜘苑ようちえん”のリーダー、万蟲姫まむしひめ

 もちろん、その従者っぽい立ち位置の瘴魔神将、ホーネットもいる――自然体のかまえで、けれどこちらへの警戒を維持したまま、万蟲姫を守るように僕らと対峙している。



「瘴魔!」

「こりずにまた出てきたのか……
 それほどまでに我々を倒したいか」



 で、当然こっちも臨戦態勢。ロードナックル・シロやジェットガンナーが口々に言いながらかまえる。

 もちろん、僕達もそれぞれの相棒に手を伸ばして――



「『倒す』…………? バカなことを申すでないわっ!」



 ………………え? 何?



 目の前のバカ姫がまた変なことを言い出したんですけど。



 前回、思いっきりこっちを叩きに来たクセして、今度はその気がないって……どういうこと?



「ならば何が目的だ、貴様」

「そんなの決まってるのじゃっ!」



 いや……『決まってる』って言われても、僕らはその『決まってる』内容を知らないんだって。だからマスターコンボイだって聞いてるんだし。



「わらわが用があるのは……お主じゃっ!」











「蒼凪恭文っ!」











 ………………え? 僕?



 なんで? どうして?

 何がどうなって、あのバカ姫が僕に目ェつけてるのさ?

 そうなるようなことした覚えは……











 …………………………あ。











 ある。

 正確には「僕が」したワケじゃないけど……目ェつけられるのに十分すぎる出来事が。



「え? 何々?
 どしたの? 恭文さん、何かあったの?」

「あのね、メイル。実は……」







 ………………スバル。







「…………や、ヤだなぁ、恭文っ!
 話すワケないじゃないの! あははははっ!」



 うん。そうだよね。話すワケないよね。

 やっぱり持つべきものは物わかりのいい友達だよ。



「アンタ……それ、一瞬で間合いを詰めた挙句セットアップしたアルトアイゼン突きつけながら言うセリフじゃないわよ」



 ティアナ……それはきっと気のせいだよ?



 とにかく、これでスバルの口から先日の“アレ”がもれるのは避けられた。

 KYのスバルさえ黙らせれば……







「で……何があったんですか? あの二人の間に」

「大したことではない。
 ただ……オレが恭文を投げ飛ばしてあの小娘にぶつけたところ、小娘が恭文の股間に顔をうずめる結果に終わっただけの話だ」







 マスターコンボイぃぃぃぃぃっ! 何ライラにバラしてんのぉぉぉぉぉっ!?







 あー、そうだった、忘れてたっ!

 マスターコンボイ、あの一件に対して罪悪感ゼロだったっけねぇっ! そーゆー男女のアレコレに疎いからっ!



「…………そんなことしたの? 恭文さん」

「それは……責任をとるべきだと思いますが」



 待て待てっ! メイルもエアラザーもそんな冷たい視線向けないでっ!

 アレは僕がやったんじゃないんだよっ!? 言ってみれば、僕もバカ姫もマスターコンボイの被害者みたいなもので……って言ったところで聞くワケないよねこんちくしょうっ!







 けど、これで万蟲姫が現れた理由がわかった。

 なるほど、つまり“アレ”で恥かいた過去を清算すべく僕を亡き者に……って腹かっ!



《アレでフラグが立った、とは考えないんですね?》



 アルトも黙れぇぇぇぇぇっ! あえてその可能性を頭の中から排除してたんだからさっ!



「で……実際問題どうなの? 当事者として」

「やっぱ、恭文をGetするために来たんじゃん?」



 こらそこ、ネズミとチーターのバカコンビっ! 何フツーに万蟲姫にインタビューしてやがるかぁぁぁぁぁっ!



「うむ……実に見事なツッコミだ。
 私とエアラザーだけではツッコミ要員が少なくてどうしようかと思っていたが……こちらにも優秀な人材がいるようで安心したぞ」



 ライオコンボイも感心するところ違うからっ! そしてツッコミ要員云々言うならあなたもツッコんで! アイツら止めてっ!

 頼むから僕に全部押しつけてギャラリーに徹するなぁぁぁぁぁっ!



「まぁ、後ろの騒ぎはおいといて……どうなのさ?」

「もちろん、蒼凪恭文をGetするために来たん決まってるのじゃっ!」





 ………………そして万蟲姫はイヤな予感的中ですか、ちくしょうめ。





《…………おめでとうございます、マスター》

「おのれもいちいち祝福するんじゃないよっ!
 あぁ、もうっ! 一応言っとくけど、万蟲姫! 僕はそーゆーのはノーサンキューだからっ! お前とくっつく予定ないからっ! ありえないからっ!」



 そうだ。僕にはもう本命がいるんだ。フェイトのことが好きなんだ。

 なのに、マスターコンボイのせいで万蟲姫とゴールイン? じょーだんじゃないよっ!



「と、ゆーワケだからおとなしくあきらめてっ!
 そしてさっさと捕まれっ! そうすれば僕らの負担が減るからっ!」

「そうはいかないのじゃ!
 お主はおとなしく――」





















「わらわの嫁になるのじゃっ!」





















 ………………

 …………

 ……



『………………はい?』











 待てマテ。何かまたおかしな会話があったような気がするんだけど?



「あー……ゴメン。
 今のセリフ、もう一回お願いできるかな?」

「何じゃ、また聞こえなかったのか? 前回の時といい、困った耳じゃのぉ。
 仕方がないのじゃ、もう一度言ってあげるのじゃ。
 蒼凪恭文。お主はおとなしく――」





















「わらわの“嫁”になるのじゃっ!」





















 ………………

 …………

 ……



 ………………聞き間違いではなかったらしい。残念ながら。



 つか……







『………………嫁ぇっ!?』



 マテ待て。なんでそこで“嫁”!? 普通“婿”でしょうがっ! 僕男の子よっ!?



「…………恭文。
 まさかミッドチルダでは、男も嫁入りOKなのか!?」



 って、ライオコンボイっ! 何バカ姫のたわ言を真に受けてるのさっ!? そんなのミッドでもNGに決まってるでしょうがっ!



「あー……ひとつ聞いていいか?
 なぜ“嫁”なんだ? 男の恭文の場合、そこは“婿”ではないのか?」



 そうだよ。そうだよね? マスターコンボイ、ナイスツッコミ!



「フンッ、そんなの決まってるのじゃ!
 なぜなら、わらわは“蝿蜘苑”の王なのじゃからっ!」

「………………で?」

「王の伴侶は王妃! つまり嫁じゃっ!」



 ちょっと待てっ! 何さその短絡思考っ!



 この場合王の性別ひっくり返ってるんだから、相方の性別もひっくり返そうよっ!



「あ、でも、恭文ってけっこう家庭的だし、性別はともかくスキル的には“嫁”なポジションかも」



 そしてスバルは少し黙れぇぇぇぇぇっ! 何バカ姫の言い分支持してんのさっ!?

 僕はあくまで男の子っ! フェイトを嫁にするつもりはあっても自分が嫁になるつもりはないんだよっ!







「そのくらいにしておけ、蒼凪」





 えぇい、放せイクトさんっ! 今僕の尊厳を賭けた大事な話の最中なんだからっ!





「わかったから落ち着け。話が進まん。
 ……それはそうと……万蟲姫、だったか」

「何じゃ?」

「蒼凪を嫁に迎えるのはいいとして……」



 いや、よくないからっ!



「いいから、少し控えていろ、お前は……
 さて、恭文がそういう扱いだとすると……オレ達はどうなるんだろうな?」

「そんなの、知ったことじゃないのじゃ!
 恭文以外はどうでもいいのじゃっ! さっさと消えるのじゃーっ!」

「ほほぉ……」



 …………あ、イクトさんの目が据わった。



「言うに事欠いて、『どうでもいい』とぬかしたか……
 言われているぞ、みんな」

「なめられたものだな、我々も」

「まったくだ」



 マスターコンボイやライオコンボイも……火が点いたっぽい?



「オレ達がその他大勢だなんて、バカにしてくれるじゃん?」

「ブッ飛ばして後悔させちゃるっ! 覚悟しろーっ!」

「ふふんっ、じょーとーなのじゃっ!」



 チータスやラットルも、さすがに無視されるのは気に入らないのかけっこうやる気。万蟲姫も迎え撃つ気マンマンな感じ……







 …………アレ? なんか僕、ついさっきまで当事者だったのにいつの間にかカヤの外?







「やる気なのはいいが、たった二人でオレ達全員を相手にするつもりかよ?」

「無視された全員でフクロ叩きにしてやるぜっ!」

「って、さすがにそれは卑怯なんじゃ……」

「やってやろうぜっ、みんな!」

『おーっ!』

「あああああ、聞いてない……」



 そんな僕をさておいて、話はどんどん進んでる……フクロ叩きに対して気が進まない様子のスタンピーだけど……うん、流されてるねー。

 けど、そいつら相手に「多勢に無勢」なんて考え持たない方がいいよー。僕らでも簡単に勝てないくらい強いし、その二人。



 それに、こういう時のパターン的に、チータスのセリフの後って……



「フッ、甘く見ないでほいのじゃっ!
 わらわ達が、わらわ達だけで来るとでも思うたかっ!」



 こういう展開になるんだよねー。

 と、ゆーワケで……頭上からの殺気に反応。飛び込んできたソイツの攻撃を、みんな散開して回避っ!



 轟音と共に土煙が舞い上がる――その中でゆっくりと立ち上がったのは、予想通り瘴魔獣。

 ベースはカマキリで、体格的には人間サイズよりも二回りほど大きめ……ちょうどライオコンボイ達と同等か。

 両手のカマをギラリと光らせながら、僕らをにらみつける。



「…………ディマンティスか……
 またなかなか上等なものを持ってきたな」

「強いの? イクトさん」

ハイパー瘴魔獣に比べれば劣るが……ノーマルの瘴魔獣の中ではかなりの上位クラスだ。
 全体でも十指、昆虫種だけなら三指に入るほどの相手だ」



 …………あのさ、イクトさん。

 それって、つまり……ハイパー瘴魔獣を持ってない、しかも昆虫種オンリーのアイツらの戦力の中じゃ、最強クラスってことじゃないかな?



「安心しろ。巨大化でもされない限り、この面々なら十分に倒せる相手だ。
 さっさと片づけて、自分達をみくびったアイツらを見返してやろうじゃないか」

「そういうことなら、あの怪物は我々に任せてもらおうか」



 そうイクトさんに言って、前に出るのはライオコンボイだ。



「これからキミ達にはいろいろと世話になる。我々の実力を知っておいてもらうのも必要だ。
 それでいいな? みんな」

「おぅよっ!
 やってやろうじゃねぇかっ!」

「要するに、アイツをやっつけちゃえばいいんだね?
 そーゆーことなら、がんばるぞーっ!」



 ライオコンボイの言葉に、ブレイクやメイルもやる気十分で……





「あのー……こちらで冬眠しかかってるコラーダさんは……?」

『ほっとけ! そんな役立たずっ!』



 その一方で、ライラの介抱するコラーダは戦力外通知。南無。



「じゃ、僕らでホーネットと万蟲姫か」

「いや……万蟲姫のバーサーカー状態は本人を追い込まなければ発動しない。こちらから仕掛けなければ、実質敵戦力にカウントしなくても問題はあるまい。
 オレ達でホーネットを集中攻撃。一気に叩く」



 まぁ、何はともあれ、瘴魔獣をガイア・サイバトロン組が相手するなら、僕らの相手は自然と決まってくる――僕に答えて、イクトさんは自分の剣を生み出し、かまえる。

 と――



「ヤスフミ! イクトさん!」

「みんな、大丈夫!?」



 あれ、フェイト、ジャックプライムも……?

 いきなりすっ飛んできて……まぁ、瘴魔獣が出たから当然なんだけど……そっちが迎えに行ったっていう人達はどうしたのさ?



「うん。エリオ達にお願いしてきた」



 そっか。それなら安心だ。



「まぁ、来てくれたのならちょうどいい。
 手伝え、テスタロッサ、ジャックプライム。集中攻撃でホーネットを叩く」

「わかりました」

「りょーかいっ!」



 ともあれこっちはフェイト達も参入。戦力は十分すぎるほどに整ったと思っていいかな?



「だからと言って油断はできんぞ、蒼凪。
 何しろ、今までの戦いと違い、ここは市街地だ。今までのように被害を度外視では暴れられん。
 被害が出る前に、速攻で決めるぞ!」

『了解っ!』

「ミッドチルダのみんなに遅れを取るワケにはいかないぞ!
 我々ガイア・サイバトロンの力、見せてやろう!」

『おーっ!』







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 フェイトさん達、今頃恭文達と合流した頃かな……?



「エリオくん……一緒に行きたかった?」

「え?
 …………あぁ、えっと……」



 キャロの言ったことはたぶん正解。



 ボクも、フェイトさんと一緒に行きたかった。

 行って……ボクもあそこで戦いたかった。



 誰かを、何かを守るために戦う。それが騎士だって教わったから……みんなを守るために、あそこで……





 ………………でも。



「大丈夫だよ、キャロ。
 ボクらの役目は、サリを守ること……だもんね」

「うんっ!」



 そうだ。ボク達にはフェイトさんから任された役割がある。

 フェイトさんがみんなを守りに行っている間、サリを守ること……これも、ちゃんとした騎士としての役目だよね。



「………………ねぇねぇ、それよりさぁ」



 ……って、サリ、どうかしたの?



「向こうで、フェイトさんが戦ってるんでしょ?
 見に行っちゃダメかな?」

「だ、ダメだよ! 危ないから!」



 僕らだけなら、まだ何とかなるかもしれない。

 けど……サリは魔導師でも特殊能力者でもないんだ。危なすぎるよ。



「うーん、やっぱりそうだよね……
 魔導師の戦いって見たことないから、興味あったんだけど……」



 そう言われても、サリを危険なところには連れて行けないし……



「…………あ、そうだ。
 直接見るのはできなくても、戦いの様子を中継することはできるよ?」

「そうか、キャロ、ナイスだよ!
 サリ……それでいい?」

「うん、いいよ」



 サリの同意を得て、さっそくキャロのケリュケイオンでデータを受信。ウィンドウを展開して、戦いの様子を映し出す。



 そこには、ホーネットと戦うフェイトさん達と、瘴魔獣と戦う見たことのないトランスフォーマー達……たぶん、ガイア・サイバトロンのみんなの姿が映し出されている。



「ぅわぁ……」



 とりあえず、サリはこれで満足みたいだ。ひとまずは安心かな?



 フェイトさん、恭文、イクト兄さん……それにみんな。

 こっちは大丈夫。だから……がんばって……!







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ハァァァァァッ!」



 裂帛の気合と共に、飛び込んできたホーネットが次々に突きを繰り出してくる――けどっ!



「フェイトより……断然遅いっ!」



 当たってやるワケにはいかない。そのすべてをかわし、あるいはアルトで弾きつつ、僕はホーネットとの間合いを保ちつつ後退して――



「恭文にばかり――」

「意識を向けすぎだっ!」



 マスターコンボイとイクトさんが左右から仕掛ける。直前で気づいたホーネットは上空に跳躍して逃れるけど、



「逃がさないっ!」

「いくよ――フェイト!」



 今度はフェイトとジャックプライム。待ち伏せていた二人の斬撃も、ホーネットはことごとくかわして離脱。少し離れた地上に着地する。



 くそっ、やっぱり素早い。こっちがどれだけ奇襲を仕掛けても、反応が十分に間に合ってしまうのが厄介だ。





 ………………とはいえ、打つ手がないワケでもないんだけどね。



 つか…………もう打ってる。



「確かに、速いことは速いけど……」

「それも、発揮できなきゃ意味ないのよっ!」



 そう。ティアナとジェットガンナーの射撃コンビだ。これでもかというくらいにばらまいた魔力弾が、ホーネットの周囲をグルリと取り囲む。



 もうわかったと思うけど、今までの僕らの攻防はすべてこのための伏線。

 ティアナ達の魔力弾を使って、逃げ場もないほどの密度でホーネットを包囲。一気に吹っ飛ばす……



 ただ、そこまでの数の魔力弾を生み出すとティアナの方も弾の制御が利かなくなる。

 なので、「ティアナに魔力弾で包囲してもらう」という案は却下。次善の策として、僕らの連携でティアナの用意した魔力弾の包囲網の中にホーネットを追い込む策に出た、というワケ。



 そして――動きを止めるダメ押しっ! シロっ!



「はいはーいっ!」



 僕に答えて動いたのはロードナックル・シロ。近くの車を上空高く放り投げ――その落下点にはホーネット。魔力弾に包囲されて離脱も叶わず、受け止める形になって完全に足を止める。





 これで仕込みは完了。フィニッシュはお任せするよ――スバルっ!



「うんっ!」



 うなずくスバルはすでに砲撃のチャージ済み――ティアナのオプティックハイドで隠れていたのがその姿を現す。



 さすがにこちらの攻撃の全貌を悟り、なんとか離脱しようとするホーネットだけど――そもそも逃がさないためのお膳立て。そう簡単に逃げられやしないよっ!



 そんなワケで――



「もう逃がさないよっ!
 ディバイン――バスタァァァァァッ!」





 スバルの砲撃は動きを封じられたホーネットへと襲いかかった。直撃し、爆発が起こり――それが周囲に配置されたティアナの魔力弾を巻き込み、さらに巨大な爆発を巻き起こした。








◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ブレイクアンカー!」



 咆哮と同時、ブレイクの右腕から放たれたのはワイヤーを伴ったアンカーミサイル。一直線にディマンティスと呼ばれた敵へと飛翔、その身体に巻きついて動きを止め、



「撃つべし、撃つべしっ!」

「このこのこのこのっ!」

「トックリガン!」



 そこへチータスとラットル、そしてハインラッドの攻撃が降り注ぐ。



 だが……相手もそう簡単にはやられはしない。ブレイクアンカーのワイヤーを両手のカマで断ち切って脱出。跳躍して上空からこちらを狙うが、



「空に逃げても……」

「私達がいるんですよっ!」



 残念ながら、エアラザーと彼女の背に乗ったライラが待ちかまえている。エアラザーから跳び下りるかのように宙に身を躍らせたライラが炎熱変換した魔力を込めた蹴りをディマンティスに叩き込み、エアラザーが両腕のダートミサイルの連射で追撃を叩き込む。

 ライラの蹴りとエアラザーの追撃による衝撃で、まるで弾丸の如く加速したディマンティスが地面に落下。衝撃によって生まれたクレーターの中心で、それでもなんとか立ち上がるが――



「メイル! 今だっ!」

「うんっ!」



 スタンピーの援護射撃を受けたメイルがそこへ飛び込んだ。手にしたロングソード型デバイス“ガネット”を水平に振るい、ディマンティスの腹に叩き込む!

 その衝撃で、ディマンティスの身体はクレーターの外に放り出されて――



「ライオコンボイ!」

「今です!」

「あぁ!
 ライオンクロー!」



 仕上げは私によるフィニッシュだ。両腕のクローを展開、ヨロヨロと立ち上がるディマンティスへと距離を詰め、



「はぁぁぁぁぁっ!」



 連続斬りを叩き込み――仕上げに相手のヒザを足場に跳躍。そのアゴを蹴り上げるようにサマーソルトキックをお見舞いする!

 たたらを踏み、後ずさりするディマンティスを前に、私は静かに着地して……ディマンティスは爆発を起こし、四散した。







◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ディマンティスが……!?」

「あぁ。
 倒されたようだな」



 結果として……ホーネットはしぶとかった。爆発の中からその姿を現したけど、ちょうど同じタイミングでディマンティスがライオコンボイ達に倒された。気づいて声を上げるホーネットにはイクトさんが答える。



「ど、どどど、どうするのじゃ!?
 ディマンティス、やられてしまったではないかっ!」

「ご心配なく。
 すべては我らの“予想の通り”ではないですか」



 瘴魔獣をやられて、大慌てなのはバカ姫だ。そのそばまで後退して、落ち着かせるホーネット……だけど、『予想通り』……?



「どういう意味だ? それは」

「聞いたままの意味だ。
 やはり、貴様らを相手にするにはノーマルの瘴魔獣ではもはや役不足のようだ」



 マスターコンボイの問いに、ホーネットは自分の口元から流れた血をぬぐいながら答える……なるほど、そういうことか。



「貴様……こちらの戦力を測ったな?」

「そういうことだ。
 戦力が全員そろっていなくてもこの強さ……まともに戦えるのが私と姫だけでは、この先少々厳しいようだな……」



 イクトさんの言葉にもあっさり答えるホーネットだけど……そうやってぺらぺらしゃべるその余裕が気に入らない。

 そう。まるで……



「この先が厳しいのがわかった割には、ずいぶんと落ち着いているじゃないか。
 まるで……“こうなった時の対策がすでにできているように感じる”」

「さて、それはどうだかな。
 ともあれ、今回の最低限の目的は果たした……姫、離脱を」

「ま、待つのじゃっ!
 まだわらわは恭文を頂いてはおらぬぞっ!」

「頂かれてたまるかっ!
 もういいから、さっさと……ブッ飛ばされろぉっ!」



 あのバカ姫、この期に及んでまだ僕のこと狙ってたんかい。

 けど……申し訳ないけどノーサンキューだ。というワケで、さっさとブッ飛ばすべくアルトをかまえて突っ込んで……消えた。



 僕の刃が届く直前、転送魔法で逃げられた……くそっ、前回といい今回といい、ムカつくくらい素早く転送してくれるよ。



「逃げた……か」

「まぁ、こんな街中での戦いだ。捕まえようと欲張るよりも、ここはむしろ逃がした方がいい。
 今後捕まえやすい場所で対峙した時を狙うのが、被害を抑えられる一番の方法と見るべきだろう」



 マスターコンボイに答えて、イクトさんが自分の剣を“力”へと還す――まぁ、イクトさん的にはそれでもいいかもしれませんけど、僕にとってはちっともよくないんですけどねぇ?



「あ、そっか、恭文、万蟲姫からこくは







 ………………スバル。







「…………や、ヤだなぁ、恭文っ!
 また何も言ってないよね? あははははっ!」



 うん、よろしい。



「………………なんか、さっきも見たような光景が……」



 シロくん、それは気のせいというものだよ、うん。



 つか……あー、くそっ、結局あのバカ姫、僕のことあきらめてなんかいないみたいだし……また僕のことを「嫁にするっ!」とか言いながら出てくるんだろうなー。




 とりあえず、覚悟だけはしておこうか、うん。











「………………で、そんな覚悟も吹っ飛ばすような厄介な形で事が起きるワケか」







 マスターコンボイもそういうコト言うなっ! なんかホントにそうなりそうな気がするからっ!





















(第28話へ続く)


次回予告っ!

恭文 「あー、疲れた疲れた。
 ただいまー」
ジュンイチ 「おぅ、お疲れ」
恭文 「あれ、ジュンイチさん……?
 なのはとはやてへのお説教、終わったんですか?」
ジュンイチ 「いや、あまり長々と話してもアレなんで、ちょっと宿題渡しといた」
恭文 「『宿題』……?」
ジュンイチ 「とりあえず、組織運営の基本として……ドラッカーの『マネジメント』の全文書き写しを指示しておいた」
恭文 「鬼かアンタは」

第28話「好きな子の前では、誰だってカッコつけたくなったりする」


あとがき

マスターコンボイ 「以上、新年一発目にして新展開突入1話目となる第27話だ」
オメガ 《ボス、その前に読者のみなさんへ新年のごあいさつを》
マスターコンボイ 「おっと、そうだったな。
 新年、明けましておめでとうございます。本年も『とまコン』をよろしくお願い致します」
オメガ 《……信じられない。
 ボスが、ボスが……まともにあいさつをしているなんてっ!?》
マスターコンボイ 「貴様がやれと言ったんだろうが、貴様がっ!」
オメガ 《それはともかくとして、今週はDarkMoonNightさんのところで活躍しているガイア・サイバトロンが本編参戦なお話ですね》
マスターコンボイ 「氏には感謝しなくてはな。
 そして、同時に“蝿蜘苑”の面々が再び姿を現した話だな」
オメガ 《ですねー。
 万蟲姫がミスタ・恭文に対し愛の狩人と化したお話ですね》
マスターコンボイ 「その発言はいろいろと危なくないかっ!?」
オメガ 《でもあながち間違ってないでしょう?》
マスターコンボイ 「そう言われると、オレには何とも言えんが……恋愛云々はよくわからんからな」
オメガ 《……そうでしたね。
 ボスは恋愛経験ゼロのさびしい青春を送ってるんでしたよね》
マスターコンボイ 「巨大なお世話だこの野郎っ!」
オメガ 《残念。私は女性人格なので『野郎』という表現は適切ではありませんね》
マスターコンボイ 「またそういう上げ足を……っ!」
オメガ 《まったく……こんなことで大丈夫なんでしょうかねぇ?
 ミス・ティアナとのフラグも放置状態ですし、この先さらにフラグが増えていくというのに》
マスターコンボイ 「その話だが……作者は本気か?
 オレで恋愛話なぞ、やってもおもしろくはなかろうに……」
オメガ 《何言ってるんですか。
 ボスみたいな恋愛音痴が恋愛するから、おもしろい話になるんじゃないですか》
マスターコンボイ 「そういうものか……?」
オメガ 《そういうものなんです。
 あと……『男主人公たるもの、ハーレム展開は必須条件っ!』とも力説してましたが》
マスターコンボイ 「あのバカ作者、今すぐぶった斬っていいか!?」
オメガ 《私で斬るのはやめてくださいね。刀身が汚れますから》
マスターコンボイ 「………………斬るのはいいのか……?
 ……おっと、そろそろお開きの時間というヤツか」
オメガ 《そのようですね。
 それではみなさん、また来週お目にかかりましょう》

(おわり)


 

(初版:2011/01/01)