「ほら、キリキリ歩け」
「くっそー、結局こーなんのかよぉ……」
製鉄所の外、所轄の局員に引っ張られて、ジュンイチさんに一蹴されたスピードキングがバインドで拘束されて連行されていく。
一方、メルトダウンはと言えば……気を失ったまま、運搬用の魔法で運ばれてる。まぁ、再三苦労させられた相手だ。荷物扱いされていても同情の念なんかこれっぽっちもわいてこないけど。
とりあえず……メルトダウン達についてはこれで一件落着ってことでファイナルアンサー?
「ですね。
けど……代償も、小さくはありませんでしたけど」
リインの言いたいことはわかる――その言葉に、僕らの視線がその“代償”へと集中した。
そう……メルトダウンに食いちぎられ、右足を失ったジュンイチさんに。
結果としてはそれがきっかけになってメルトダウンを倒しやすくなったワケだし、逆転の引き金ではあったんだけど……それで足一本は、確かに代償としては大きいかも。
痛みがないせいか、ジュンイチさんは平然としているけど……だからと言って軽く済ましていい話じゃない。特に、その原因とも言える、今回の事件のメイン被害者さん達にとっては。
「その……ごめんなさい。
あたしのせいで、右足をなくしちゃって……」
「別にサリちゃんのせいじゃねぇだろ。
事件を起こしたのはあのメルトダウンだし、オレはオレの意志と判断でメルトダウンと戦って、右足を食われたのだってその意志と判断の結果だ。
ほら、サリちゃんは何もしてないだろ?」
「でも……」
「まぁ、心配すんなって」
やっぱりあっさりと答えるジュンイチさんだけど……それでも気にするよね、普通は。
実際、納得がいかない様子のサリだけど、ジュンイチさんはそんな彼女の頭をなでてあげる。
「足がなくなったくらいなら、とりあえずはなんとかなる。
この程度でオレがダメになると思ってんなら、それこそ言ってやるよ。『オレをなめるな』ってな」
「間違いなく、なのはとかギンガさんとかクイントさんとかからはムチャしたことを怒られるだろうけどねー」
「………………恭文。
頼むからそういう実現の確率の限りなく高い不吉な予言はやめてくれるか?」
いや、だって実際限りなくありそうだし――
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
突然上がった、獣の如き咆哮――同時、視界の片隅で所轄の局員さん達がまとめてブッ飛ばされた。
その騒ぎの中央には、全身をウロコに覆われたゴリラっぽい体格の怪物……メルトダウン!? 意識が戻ったの!?
「よくもやってくれたな……っ!」
言って、こっちに向けて一歩を踏み出すメルトダウン……あれ? もしかしなくても、僕とジュンイチさん、ターゲッティングされてる?
「こうなったら……せめて貴様らだけでもぉっ!」
完全にヤケクソモード突入中だ。感情を爆発させて叫ぶと、メルトダウンが僕に向けて地を蹴った。その巨体からは想像もできないくらいの、ものすごいスピードでこっちに向けて突っ込んでくる。
対する僕もとっさにアルトをかまえ、周りのスバル達も戦闘態勢に入って――こっちの間合いに入るか入らないかのところで、メルトダウンはいきなりサイドステップ――って、ここに来てターゲット変更!?
その行く先には、さっきまでサリをなだめていたジュンイチさん――片足をなくしてるジュンイチさんを先に叩くつもりかっ!
けど――
「あ゛?」
不機嫌そうな声がしたと思った、次の瞬間――衝撃音が響いた。
「あ…………が………………っ!?」
信じられない。そんな表情を顔に張りつかせたメルトダウンの腹に突き刺さった――ジュンイチさんのヒジによって。
まぁ……普通は信じられないよね。片足でこの威力のヒジ打ちを、しかもカウンターで叩き込んだんだからさ。
しかも、それで終わりじゃない。左足で跳躍。メルトダウンの頭上を飛び越えて――その左足で、メルトダウンの背中を思い切り蹴り飛ばすっ!
空中に蹴り上げられたメルトダウンを追って、ジュンイチさんも飛翔――失速してきたメルトダウンに追いつくと、今度は地上に向けて蹴り落とす!
さらに、今度は全速力で急降下。メルトダウンの落下先に回り込んで――
真上に突き上げるようにして繰り出した右の手刀を、メルトダウンの腹に叩き込んだ。
ウロコの鎧をぶち砕き、貫手で作られた刃が腹部に深々と突き刺さる。噴き出した鮮血を浴びながら、ジュンイチさんはメルトダウンの身体を空いている左手で押さえて――ぅわっ! 突き刺した右腕でグリッと傷口抉りやがった!?
――――――いや、違う。
メルトダウンのお腹の中……何かを、探してる……!?
「返してもらうぜ――オレの“生体核”。
そいつぁな、お前が持っていていいものじゃねぇんだよ」
激痛に悲鳴を上げるメルトダウンにかまわず、返り血で全身を真っ赤に染めたジュンイチさんが右腕を引き抜く――その右手を開くと、そこには細長い八面体のクリスタルが握られていた。
ジュンイチさん……それが、“生体核”……?
「そうだ。
……よっ、と」
答えて、ジュンイチさんはメルトダウンを放り出す………………えっと、死んだ?
「まさか。
出来損ないとはいえ、オレの細胞を取り込んだんだぞ。この程度で死ねるかよ」
僕に答えて、ジュンイチさんは激痛で悲鳴すら上げられず、うつ伏せでピクピクと痙攣しているメルトダウンの後頭部を踏みつけた。
「なまじ生命力の強い身体に進化しちまったのは、今のてめぇにとって不幸だな。
死ぬことも、気絶することもできない中で、普通なら死んでるはずの激痛にせいぜい苦しみな――それが、オレ達だけでなくサリや万蟲姫にまで手を出したてめぇに降る天罰じゃ」
………………つくづく思った。
ジュンイチさんって……ホント。こういうダークヒーローのノリが似合うよなー……
第39話
とある親子の仲直りと再出発
「サリ!」
ジュンイチさんがブッ飛ばしたメルトダウンは、今度こそ厳重にバインドをかけられて運ばれていった……代わりにやってきたのは、シグナムさんに連れられてやってきたサムダックさんだ。
「パパ!」
「サリ……あぁ、サリ!」
駆け出したサリを受け止める形で、サムダックさんがサリを抱きしめる……うん。感動の親子の再会だね。
「また私を、『パパ』と呼んでくれるのか?」
「うん……うん……っ!」
サムダックさんの問いに、サリはサムダックさんの胸に顔を埋めたまま何度もうなずく……あの声の様子からして、たぶん泣いてる。
………………うん。なんかいいね、こういうの。
自分の親がろくでもない連中だったからかもしれないけど……こういう親身の絆というか愛情というか、そういうのが守られるとなんかホッとする。
と、そんな僕の頭に手が置かれる……フェイト?
「よかったね、ヤスフミ。
あの二人が、ちゃんと仲直りできて」
「………………うん」
フェイトも、同じ気持ちだったみたい。感慨深げにサムダック親子に暖かい視線を送っている。
と、抱きついたまま離れようとしないサリの頭をしばらくなでてあげていたサムダックさんだけど、不意に僕らの方へと顔を上げた。
「みなさん、うちのサリを助けていただき、本当にありがとうございます」
「そんな、私達は大したことはしていませんから。
私達よりも、むしろ……」
サムダックさんに答えたフェイトの言葉で、僕ら全員の視線がメルトダウンの返り血を拭いているジュンイチさんに集まった……なんか、さっきも似たような流れがあった気がするけど。
「本当に申し訳ない。
サリのために、その……片足を……」
「サムダックさんまで……
だから、気にしなくてもいいってのに……」
「そういうワケにはいきません。
その足は、私が責任を持って義足を作らせていただきます!」
頭を拭きながら答えるジュンイチさんだけど、当然サムダックさんも譲らない……まぁ、自分の娘を助けるために片足をなくしてるワケだし、責任感じるよね、どうしても。
そんなサムダックさんのご好意を真っ向からはねつけるのは、さすがのジュンイチさんも気がとがめたみたいだ。ため息まじりにサムダックさんに告げる。
「だったらさ……せめて一晩待ってくれ。
そうすりゃ……」
「義足なんか必要ないってわかるからさ」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そこから先がまた大変だった。
六課に帰ったら帰ったで居残り組がオレの右足を見て大騒ぎ。なのはは魔王化するわヴィヴィオには泣かれるわライカは阿修羅を凌駕するわジーナは伝説の金色の戦士に目覚めるわ連絡を受けたギンガまで天元突破するわ。
特にバーサークした面々がひどかった。「メルトダウンに制裁を!」と息巻くのを落ち着かせるのに四苦八苦。
まったく、そうやって怒ってくれるのは仲間や家族としてうれしいけどさ、もーちょっと冷静になってほしいもんだよ。
つか、ライカやジーナやギンガはオレの人外パワー知ってるはずなんだけどなぁ……? 心配ないってわかってるのに、なんであぁもキレたのやら。
まぁ、それはともかく、とりあえず今夜は家に戻ったワケだけど……
パァンッ!
こっちもこっちで、平手打ちの音が響いていたりする。
ただし、被害者はオレじゃなくて……
「私、言ったよね? 『はぐれないように注意してね』って。
さらわれたって聞いて、どれだけ心配したと思ってるの?」
「す、すまぬのじゃ……」
そう。万蟲姫だ。事件に巻き込まれるそもそもの原因となった迷子になった件について、現在エイミィからお説教中。
「悪いと思ったら、もうこういうのはなしにして。
お願いだから……ね?」
「わかったのじゃ」
「ん。よろしい」
さすがに万蟲姫も悪いと思ってるのかいつになく素直だ……つか、エイミィ。
「ん?」
「お前……本当に母親だったんだな」
「ジュンイチくん、それどういう意味!?」
「いや、お前結婚前からハラオウン家の家事担当だったじゃねぇか。今さら子育てしたり家事とかしてるの見ても実感なかったっつーか……」
「いや、確かにあの家での役目的には結婚前と変わらないけどさ……
……って、話題そらそうとしてもダメだからねっ! ジュンイチくんだって今回はお説教だよっ!」
あー、やっぱこーなったか。
「当然よ」
言って、会話に加わってきたのはリンディさんだ。
「何も言われないとでも思っていたの?
右足をそんなにして帰ってきたのに」
「やれやれ、こっちでもか」
「何を落ち着いているの!?
両親からもらった大事な身体だっていうのに!」
「とっくに台無しにしちゃってますからねー。具体的には18年前に」
答えるオレの言葉に、リンディさん達の動きが止まる……まぁ、オレがどういう存在かは二人も知ってるからね。
「心配いらないですよ。
右足なくした程度でどうにかなるようなヤワな身体じゃありませんから」
「でも……不便じゃない?」
「そこはまぁ、否定しませんけど」
「でしょう? だから……」
………………?
リンディさん、いきなり赤くなってモジモジし始めて……どしたの?
「えっと……私が、お世話してあげようかしら?」
「あぁ、いいですよ。不自由って言っても、手伝いがいるほど不自由するワケじゃないですし」
「………………」
………………?
あれ? 今度は力なく崩れ落ちて……ホントにどしたn
「ジュンイチくんのバカぁーっ!」
「ぶべっ!?」
「このどあほーっ!」
「がふっ!?」
何の前触れもなくエイミィに張り倒され、万蟲姫のスカイダイブ頭突きがみぞおちに突き刺さる――いきなり何っ!?
「それはこっちのセリフだよっ!
ジュンイチくん、何義母さんの気遣いぶち壊しにしてるのっ!?」
「女心のわからぬヤツには鉄槌じゃっ!」
いや、そんなこと言われてもねー……
「だって、たかだか一晩の不自由で、リンディさんの手を煩わせるワケにはいかんでしょ」
『………………一晩?』
オレの言葉に、みんなの動きがイイ感じに停止する……待て。万蟲姫はともかく、なんでオレが人外だって知ってるリンディさん達まで止まる。
とにかく……そう。本当に大丈夫なんだ。手足をなくした程度、オレにとってはさほど問題じゃない。
さっきから、ブイリュウが(最近影が薄いにも関わらず)何も言わずにやり取りを見守っているのもそのせいだ……コイツは大丈夫だって、その理由も含めて知ってるからな。
「()の中はいらないんじゃないかなっ!?」
「だったらもっと出てきて自己主張しろよ。他のアンレギュラー組みたく空気化したいっつーなら別だけど。
とにかく、だ……ホントに大丈夫だから。
とりあえず……一晩待ってろ。明日になれば、その理由もわかるからさ」
オレの言葉に、とりあえずリンディさん達は納得したみたい……さて、明日みんなが驚く顔を見られるかと思うとワクワクするね。
………………読者のみんなは、とうに予想できてると思うけど。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
昨日は本当に大変だった。事件のアレコレはもちろん、ジュンイチさんなんか右足なくすし。
おかげでなのは達がキレまくって大変だった。しかもジュンイチさんはその理由についてまったくわかってないし。
まったく……あの人、自分は身内をとことん大切にしてるクセに、その逆、自分が大切に想われてるって自覚が薄いからなー。
大丈夫だからって言っても、ジュンイチさんが傷つけられたことに対するみんなの怒りまで収まるワケじゃないっていうところがわかってない。
《まぁ、わかっていないからこそギンガさんやら高町教導官を始めとしたみなさんとあれだけすれ違うんでしょうけど》
いや、まぁ、アルトの言う通りなんだろうけど……うん。あの人に文句を言う権利くらいはあると思うのよ。
とにかく、とりあえずはジュンイチさんの言う通り一晩様子見、ということになって、翌日の朝が訪れたワケだけど……
「右っ!」
「足っ!」
「ふっ、かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっつっ!」
『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?』
………………そんな感じで、ホントに一晩で右足を何とかしてきたジュンイチさんの姿に、みんなの驚きの叫びが響いていたりするワケですよ。
「ち、ちょっと待て!
昨日、完全に右足なくなっていたよな!? その足はどうしたんだ!?」
「んー……」
おかげで、ジュンイチさんの身体のことを知らない組は大混乱。代表して尋ねるライオコンボイにジュンイチさんはしばらく考えるそぶりを見せて……
「生えた♪」
『生えたぁぁぁぁぁっ!?』
満面の笑顔で答えてくれたもんだから、またまたみんなの驚きの声が響くワケだ。
「おーおー、驚いてる驚いてる。
あえて詳しく説明しなかった甲斐があったってもんだねー♪」
「ねー♪」
で、そんな僕らのリアクションに、ジュンイチさんと付き添いできていたブイリュウは満足そう……この似た者主従め。
「……今朝エイミィ殿達を驚かせた時も似たようなこと言っておったのぉ……」
で、そんなジュンイチさん達を見て呆れているのが万蟲姫……いやあの。
「ん? 何じゃ?」
「いや、『何じゃ』じゃなくてっ! なんでいるのっ!?」
この子瘴魔だよねっ!? 今いろいろとアレな状況だけど、一応敵なんだよね!? なんであっさり六課に連れてきてんの!?
「いや、敵だろうが味方だろうが、今回の事件の関係者には違いないだろ。
事情聴取せにゃならん以上、連れてくるしかなかろうが」
「あ………………」
ジュンイチさんの言葉にそのことを思い出す……あー、そっか。曲がりなりにもこの子も関係者なんだっけか。
「つか、お前らだってオレの人外ボディのこと知ってんだろ。
今日び、強化人間だって再生能力のひとつや二つ持ってないとやってけないっつーの」
「いや、そんな特殊すぎるコミュニティの話をされても困りますからっ!」
「そうだよっ、お兄ちゃんっ!
それ言い出したら、あたしはどうなるの!? 再生能力なんか持ってないよ!?」
あっさりと言ってのけるジュンイチさんになのは達から抗議の声が上がる……うん、スバル。お前のツッコミはいろいろと自爆だと思うんだ。
つか、スバルとかライカさんとかジーナさんとかまで驚いてるのはちょっとビックリ。ジュンイチさんのセリフじゃないけど、このメンツだったらジュンイチさんの再生能力くらい知ってる方が当然のはずなんだけど。
「いや……そりゃ、確かに話としては聞いてたけど……」
「実際に見たのは、私達も初めてなんですよ」
そう答えるのはライカさんとジーナさん……まぁ、確かに、そもそもこの人がそんな再生能力を行使するくらいのケガをするような事態がそうそうあるワケじゃないからね。
「そっか?
“ゆりかご”決戦の時、チンクとの戦いで頭とか身体の一部吹っ飛ばされてるんだけど……あぁ、あの時もお前ら、傷が治った後の状態しか見てないんだっけ」
「いや、そういう問題じゃないですから」
首をかしげるジュンイチさんに答える僕のとなりで、こなたはじっとジュンイチさんの右足を見て……どうしたのさ?
「いや……“本当に再生したのかなって思って”」
………………ざわっ……
そのこなたの一言で、周囲のざわめきがその意味を変えた。
「言われてみれば、確かに……」
「服の上からじゃ、生身の足か義足かなんて見た目で判断できないものね」
「ジュンイチさんの場合、再生してなくても心配させないように義足で普通に振る舞いそうだよね……」
「でも……服の上からじゃわからないよ?」
「そうなると……方法はひとつね」
上からかがみ、ティアナ、キャロ、つかさ、ヒロさんの順。そして……みんなの視線が一斉にジュンイチさんに戻った。
「えっと……何?」
ジュンイチさんのその一言が……事実上の引き金だった。
「直接確かめるしかないっ!」
「みんな、ひんむけーっ!」
『オォォォォォッ!』
「えっ!? ちょっ、待っ!?」
こなたとヒロさんの合図で、みんながジュンイチさんに飛びかかる……ぅわ、ズボン直に脱がせるつもりかコイツらっ!
「待てっ! お前らっ! 落ち着けっ!
スバルっ! お前も機人モードで押さえつけてないで放せぇっ!」
「いーや♪」
「キャロ、ヴィヴィオ、コイツら止めてぇーっ!」
「え? あの、その……ごめんなさいっ!」
「………………ドキドキ」
「きゃーっ! 最後の良心までダークサイドに足突っ込んでガン見してるーっ!」
「ほらほら、観念しなさいって!」
「ちょっ! ヒロ姉ちゃんやめてっ!
ズボンはダメぇぇぇぇぇっ!」
……とりあえず、詳しい描写はカットした方がいいよね、うん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あー、みなさん、お久しぶりです。
ホント久々の登場なアギトです。
さて、どーして再登場早々こんな他人行儀な話し方かというと……
「ハァーッハッハッハッ!
おもしれぇっ! おもしれぇぞっ、てめぇらぁっ!」
心の底から現実逃避したいからだよっ!
というのも……現在、今のあたしのパートナー、ブレードの兄貴が全力で大暴れの真っ最中だからだ。
この人、暴れ出すとホント止まらない上に周りの被害完全度外視だからなー。すでに辺り一帯に建ち並んでいたはずの廃ビル群が建物としての形を留めてないし。
えっと、どーしてこうなったんだっけ……?
確か、ゼストの旦那から「たまにはブレードのところに戻ってやったらどうだ」って言われて、兄貴を探してたら……この人、なぜか再開発地区のスラムに居座ってた。
なんでも、ここの人達をスラム狩りとかバカなことをしてるチンピラどもから守ってほしいって頼まれたんだとか……まぁ、兄貴自身はただケンカがしたいから引き受けただけだろうけど。
で、そんな兄貴に久々にメシを作ってやってたら……チンピラとは別のヤツらが兄貴のところにやってきた。
そいつらは、兄貴に何か聞きたいことがあったらしいんだけど……相手が強いってわかったとたん、ブレードの兄貴が攻撃開始。で、向こうも受けて立って……現在に至る、と。
………………だぁぁぁぁぁっ! 本気でワケわかんねーっ!
なんでこの人、相手が強いってだけで何の脈絡もなくケンカ売るかなっ!? まぁ今に始まったことじゃないんだけどっ!
しかも、今回は最初から再開発地区からのスタートだったからいいようなものの、ヘタすると普通の街中でもこんな調子なんだぞ、この人っ!
その度に何か壊して、叱られるのはパートナーのあたしなんだから、勘弁してくれよマヂでっ!
だいたい、相手だっていきなりケンカ売られたら迷惑だってのっ! 兄貴の攻撃、ヘタに受ければ軽く死ねるんだからさっ!
今だって、兄貴が愛刀“斬天刀”から放った精霊力の刃を雨あられとぶちまけられて、相手は舞い上がった土煙で見えなくなっちまってるし……つか、むしろ死んだ?
「………………なるほどな」
「“剣”のマスターブレイカー、ブレード……ウワサ通りの実力と行動ということか」
………………はい?
ちょっ、まさか、ブレードの兄貴の攻撃をまともにもらったってのに……?
思わず身がまえるあたしと、すっごくうれしそうな兄貴の前で……
「まぁ、それでも“この程度なら”なんとかなるがな」
「おとなしく、柾木ジュンイチについて貴様らの持つデータを見せてもらおうか」
ブラックシャドーとブルーバッカス――傭兵コンビ“クロスフォーマー”を名乗る二人のトランスフォーマーが、土煙の向こうからその姿を現した。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……完全に生身の足だったわね」
「ホントに再生してたんですね……」
「なんだ、心配して損しちゃった」
結論から言うと、ジュンイチさんの足はちゃんとした生身の足だった。納得したような、だけどどこか物足りないような、そんな感じでヒロさん、ライラ、メイルがつぶやく。
食いちぎられた部分の傷跡は残っていたけど、そこから先の足もちゃんと健在で……本当に再生できたんだってことを証明したワケだ。
………………で、そのジュンイチさんはというと……
「うぅっ……汚された……汚されちゃったよ……」
………………いい加減乙女座りで泣き崩れるのやめてくださいよ、26歳(オス)。
「やかましいわっ!
何が哀しくて公衆の面前で女の子総出でズボン脱がされにゃならんのだっ! 軽くトラウマものだぞ、これっ!」
「いいじゃないの。パンツは見逃してあげたんだから」
「しっかり脱がそうとしてたヤツいたよなっ!? ちゃんと気づいてるからなっ!」
あっさり答えたヒロさんに、復活したジュンイチさんが力いっぱい言い返す……まぁ、確かに公開羞恥プレイもいいトコだしなー。
「だったら助けてくれよ、恭文も……」
「ゴメン、ムリ」
あの異常にエキサイトした女性陣を止めろって? いろんな意味でムリでしょ。
「で、でも……よく一晩でここまで再生できましたよね。
足一本丸ごとなくなったっていうのに……」
「脳みそ半分近く吹っ飛ばされても1時間かからずに再生できるオレにそれを言う?」
さっきの余韻でまだ若干顔の赤いなのはの問いに、ジュンイチさんは矛を収めることにしたみたい。気を取り直してそう答える。
確かに、脳みそみたいな複雑な器官も短時間で再生できることを考えれば、体積が大きいだけで構造的にはそれほど複雑じゃない足を再生させるのにはそれほど苦労はないのかも……僕は再生できるワケじゃないからよくわかんないけど。
「つか、オレ的にはもっと早く再生できるようになりたいんだけどねー。
具体的には、こう……一気にズバンッ!って感じで」
あー、そうですね。ジュンイチさんの憧れのキャラクターができますからね、それ。
「そういうことっ!
目指せ、ナメック星人式瞬間再生っ!」
「そこに憧れるんだ……」
「あー、気にしなくてもいいぞ、なのはちゃん。
やっさんが電王に憧れてるようなもんだから」
失礼な。サリエルさん。僕をジュンイチさんと一緒にしないでもらえますか?
「というか……この男が本気でそっち方向を目指し始めたら、その内腕を伸ばしたり生身で巨大化とかしてきそうな気がするんだが」
そしてマスターコンボイはちょっと黙ろう……なんかすっごくありそうだから。
「あぁ、みんなここにいたんだ」
そんな僕らに声をかけてきたのは、サムダックさんと一緒にフェイトに連れられてきたサリ……そっか。はやてへのあいさつ、終わったんだ。
「うん。
みんなも、お世話になりましたーっ!」
言って、サリは僕らに向けて頭を下げる――そう。サリはサムダック・システムズに戻ることになった。
家事ロボットのモニターが終了したから、とはなってるけど……本音がいろいろあった親子のコミュニケーションのためだっていうのは、たぶんみんな気づいてるだろうね。
「親父さんと仲良くしろよ」
「元気でやるんだなー」
「うんっ!」
そんなワケだからこの二人の見送りも――うん、なんつーかキャラじゃない感じになったりもするんだ。ガスケットやアームバレットの言葉にサリが元気にうなずいて――
「また遊びに来るとよいのじゃっ!
その時は歓迎するのじゃっ!」
「お前んちはここじゃないだろうが」
万蟲姫がジュンイチさんにツッコまれた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「おぉらぁっ!」
兄貴が吼えると同時、振り抜かれた身の丈くらいもあるでっかい剣から光の刃が次々に撃ち出される――ブレードの兄貴が攻撃をしかけるけど、クロスフォーマーの二人には当たらない。ヒョイヒョイっとかわされちまった。
そして、すぐに反撃が来る――ブラックシャドーの撃ってきたビームをかわす兄貴だけど、飛び込んできたブルーバッカスに殴り飛ばされる。
自分の3倍近い大きさの相手に殴られたら、いくら兄貴でもたまったものじゃない。まっすぐ一直線にブッ飛ばされて、近くの廃ビルに叩き込まれるけど――
「ハァーッハッハッハッ!
やるじゃねぇか、お前らっ! ますます楽しくなってきやがったっ!」
………………こーゆー人なんだよなー、兄貴って。全身からダクダクと流血してるってのに、本当に楽しそうに立ち上がってくる。
「お前ら相手なら……そろそろ本気で戦ってやってもよさそうだっ!」
しかも、ますますテンション上がってやがる……言いなが兄貴が取り出したのは、茶色に輝く手のひらほどの大きさの宝石。
って、おいおいっ! まさか兄貴、“アイツ”まで出すつもりかよっ!?
《お、ようやくの出番か!》
「あぁ、そうさ。
思いっきり暴れてやんな」
宝石の中から“アイツ”の声がする――あっさり答えて、兄貴は宝石をかまえて、
「とくと見やがれ。
これがオレのもうひとりの相棒――」
「螂刃皇――シュレッド・オブ・マンティス!」
その瞬間……“力”が荒れ狂った。
兄貴の周りで渦を巻いて、すぐに流れを変えると兄貴の後ろに集まっていく。
そして……そいつは姿を現した。
クロスフォーマーの二人と同じくらいの体格の、カマキリの姿をした異形の存在が。
コイツは、兄貴と契約している“精霊獣”。“剣”属性のシュレッド・オブ・マンティス……ジュンイチが連れてるフレイム・オブ・オーガにあたる存在だ。
普段は兄貴が持ってたさっきの宝石……精霊石“アイアン・ブラウン”の中に入ってるんだけど、戦いの時にはあぁやって外に出て戦う……ただ、外に出ているためには兄貴の精霊力をバカ食いするんだけど。
ただ……その消耗に見合っただけの強さは持ってる。まさに兄貴にとっての切り札のひとつってワケだ。
問題は……
《アイツらが獲物か……
斬ってもいいんだよな? 戦ってもいいんだよな!?》
「バカ言え。オレの獲物まで取るつもりかよ?
半々だ、半々」
《チッ、なんだよ、つまんねぇな》
………………ブレードの兄貴と似たり寄ったりのバトルジャンキーだってこと。
コイツが出てくると、ただでさえノンブレーキ状態の兄貴の暴走がさらに勢いを増すことになる。
理由は単純。二人で獲物の取り合いになるからだ。
《まぁいいや。
どうせ戦いになりゃそんな分担は関係ねぇ。まとめてぶった斬っちまえばいいだけだ》
「言ってろ。
そん時まとめてアイツらをぶった斬るのはこのオレだ」
………………ほらな。
《そういうことだ、てめぇらっ!
このオレ様がまとめてぶった斬ってやるから覚悟しやがれっ!》
「コイツが怖いなら逃げてもいいぜ。
そん時ゃ、オレがてめぇらをぶった斬るだけだっ!」
あー……ダメだ。こりゃもう止めらんねぇや。
ため息をつくあたしを完全に置いてきぼりにして……兄貴とマンティスはクロスフォーマーの二人に向けて地を蹴った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
……うーん……やっぱりダメだよねー。
《何がですか?》
「いや、最近の僕ら、どうもダメだなって」
尋ねるアルトに答えて、僕は晩ご飯のエビフライを一口。
時は夕食時。現在地、六課隊舎の食堂。メニュー、日替わり定食……今日はエビフライ定食でした。
帰るサリ達を見送り、くっついてこようとする万蟲姫をしばき倒していたらいつの間にか本日のお仕事終了……ちょっと出遅れた感じで現在晩ご飯中です。
なお、スバル達はもうとっくに晩ご飯を終わらせて宿舎に戻っていった……今頃はこなた達と一緒にガールズトークの真っ最中だろうね。
………………うん。エリオが巻き込まれて茹蛸騎士になっていると見た。
まぁ、そこはいい。そっちはエリオが超えるべき壁だから。
僕らは僕らで、問題があるワケだし。
《いったい何がダメだっていうんですか?
マスターがダメなのは今に始まったことじゃないでしょうに》
「ちょっと待てっ! お前は僕のどこをダメだと断じてるっ!?
僕が言ってるのは……最近の僕ら、どうもジュンイチさんに食われ気味じゃない?ってこと」
そう……なんか最近、ジュンイチさんにオイシイところを持っていかれっぱなしだ。
具体的にはラトゥーアから帰ってきてしばらくした辺りから……いつぞやの対AMF・対完全キャンセル状況の特別講習の辺りからだ。
あの後の痴話兄妹ゲンカは完全にあの人が主役だったし、サリがさらわれた一件も、あの人が勝利の鍵を握った。
メルトダウンの居場所を特定したのは僕らもそれを期待していたからいいとしても、その後の戦闘だ……メルトダウンがジュンイチさんの細胞を取り込んだことが、最終的に僕らの勝利につながった。それに、トドメを刺したのだってあの人だし。
……ほらね、あの人がずっと出ずっぱりじゃないのさ。
「正直、このままあの人に持っていかれっぱなしは性に合わないな、と」
《まぁ、それは確かに》
なんつーかね、こう……主人公の意地的なものもあるワケだし、ここらでガツンと立場を盛り返しておきたいのよ。
《私も、彼に見せ場を食われっぱなしだとは思ってましたし、そこは全面的に同意ですね。
なら……殺りますか?》
「何サラッと恐ろしいこと口走ってるっ!?」
《いえ、彼にはとりあえず草葉の影に退場していただこうかな、と。
そして、友を失った悲しみを糧にマスターはさらなる成長を遂げる、と》
「いや、確かにそれも美談ではあるけれども。僕が十分目立てるシナリオだけれども。
だからって殺っちゃダメでしょ、殺っちゃ」
僕はそんな某仮面ライダーカイザなマネはしたくないのよ。もっと穏便にいこうよ、穏便に。
《とは言っても……後はイクトさんのプランを形にするくらいしか思いつきませんけど》
「いや、そーゆーのでいいんだよ」
まったく、僕の相棒はどうして話を物騒な方へ物騒な方へと持っていきたがるのか。コイツが黙ってるだけで僕の日常は今の七割増しで平和になるに違いない。
………………だからって、手放す気は毛頭ないんだけどね。
《では、せめてプロジェクトの進行を速めますか。
さっそく、ご飯を食べたらフェイトさん達のところへ……》
「………………何の話だ?」
唐突に僕らに声をかけてきたのは、トレイを持ったヒューマンフォームのマスターコンボイ。
あー……ひょっとして今の話聞いてた?
「プロジェクトがどうのと聞こえたが、肝心のところはさっぱりだ。
何か……聞かれてはマズイ話だったのか?」
いや、そういうワケじゃないんだけどね。ただ単に、内緒にしてた方がみんなを驚かせられるかなー、ってくらいで。
《………………なら、いっそのこと巻き込みますか?》
「あ、それもいいかも。
実はね……」
スカウトに動いたアルトに同意する形で、かるーく事情を説明する。
で、一通り聞いたマスターコンボイのリアクションは……
「どうしてそんな興味深い話でオレに声をかけないんだ? お前は」
むしろ興味津々でした。
「恭文。
その話、オレにも一枚かませろ」
「マスターコンボイ……?」
「あの男に見せ場を持っていかれて、悔しい思いをしていたのは貴様だけではないということだ」
言って、マスターコンボイはニヤリと笑ってみせる……まぁ、確かにこんなナリでも百戦錬磨の実戦経験を持つマスターコンボイの助言があれば助かるかも。
「話は決まったな。
なら、全力をもってあの男に一泡吹かせてやろうじゃないか」
言って、右手を差し出してくるマスターコンボイに対し、僕も固く握手を返す。
やっぱり、マスターコンボイとはいい意味で気が合うかも。
フェイトとも、リインとも違う……もっと別種の一体感というか、つるんでいて安心できる感じがする。
《あぁ、それはきっと「同類相憐れむ」というヤツでしょう》
『どういう意味だっ!』
とにかく……さらにマスターコンボイまで加わってアレコレした結果はまだ先の話……年をまたいだその先に姿を現すことになる。
まぁ……他にもヒロさんとかサリさんとか、師匠とかの助力も受けることにはなるんだけど、それについて語るのはまた別の機会ということで。
そう。巨人の騎士と無限の騎士は……こうして生まれることになったんだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「………………チッ、逃がしたか」
《みたいだな》
ブルーバッカスもブラックシャドーも……クロスフォーマーの二人は逃げたみたいだ。ブレードの兄貴もマンティスも不満そうにつぶやくけど……あの、二人とも。
「あん?」
《何だよ?》
「ここまでやらかしたら、そりゃ逃げられるって」
言って、あたしは周りを見回す。
……うん。なんつーか、逃げられて当然って感じ。
何しろ、兄貴とマンティスが廃ビルをかたっぱしから切り倒すもんだから、辺りは土煙がもうもうと立ち込めていて、未だに視界がほとんど利かない。
これじゃ、向こうが逃げようと思ったらいくらでも逃げられる。ホントに考えなしに暴れるからなー、この二人。
「チッ、つまんねぇな。
せっかく楽しくケンカしてたってのによぉ」
《まったくだぜ》
「いや、あの二人はケンカをしに来たワケじゃないし……」
言っとくけど、ケンカを売ったのは兄貴達だからな? それがなきゃ、もっと違った形で話が進んでいたかもしれないのに……
……っていうか、アイツら……
「なんか……ジュンイチのデータを欲しがってたよなー」
あたしのそのつぶやきに……兄貴とマンティスが動きを止めた。
あー……ひょっとしてあたし、地雷踏んだ?
「そうか……アイツらの狙いは柾木か」
《だとすれば、柾木のヤツにくっついていれば、またアイツらと殺り合えるってことだよな?》
なんか、笑顔が危ないんだけど……かまわず兄貴は斬天刀を元の刀に戻して鞘に収めると、マンティスも精霊石に戻して歩き出す。
…………って!
「ちょっと待ってくれよ、兄貴っ!
どこ行くつもりさ!?」
「『どこ』って……柾木のところに決まってるだろ」
あー、やっぱり……
「確か、アイツは今機動六課にいるんだったな?
ちょうどいいな……久々に、アイツらとも遊ぶか」
………………あー、ゴメン、六課のみんな。
近いうちに……バーサーカーがひとりそっちに行くから。
これ……あたしが悪いワケじゃないよな?
(第40話へ続く)
次回予告っ!
マンティス | 《おいおいおいおい。 せっかく出てきたのに、オレ様の戦闘シーンはカットかよ?》 |
ブレード |
「いいんだよ。 アイツらはオレの獲物なんだからな」 |
マンティス | 《よかねぇよっ! もっとオレにも暴れさせろぉっ!》 |
マスターコンボイ | 「そんな貴様にはサリ・サムダックとのエキシビジョンマッチをプレゼント」 |
サリ | 「え゛っ!? ちょっと!?」 |
マスターコンボイ | 「いいじゃないか。 貴様も前回の予告で暴れ足りないと不満をもらしていただろうが」 |
サリ | 「いや、この人達の相手したら軽く死ねるからっ!」 |
第40話「人間、誰だってその気になれば空なんて
簡単に飛べる……と思いたい」
あとがき
マスターコンボイ | 「と、いうワケで第3クール最終話。 メルトダウン戦の後始末と次回以降へのつながりとなる話だったな」 |
オメガ | 《結局、メルトダウンへのトドメはミスタ・ジュンイチに持っていかれましたか……》 |
マスターコンボイ | 「まぁ、ヤツのコアを回収しなければならないという理由があってのことではあるがな……とりあえず、また見せ場が奪われたことは否定しない」 |
オメガ | 《本編中でもとうとうその辺が問題視され始めましたからね。 で、このまま食われっぱなしでいられるかとボスとミスタ・恭文が一念発起……ただ、現時点では水面下での動きなんですが》 |
マスターコンボイ | 「とはいえ……そちらばかりにもかまけていられなくなりそうだがな」 |
オメガ | 《えぇ。 例のクロスフォーマーがまたまた動きだしていますしね》 |
マスターコンボイ | 「いや、そっちではなく……」 |
オメガ | 《はい………………?》 |
マスターコンボイ | 「ブレードの方が」 |
オメガ | 《………………あー……》 |
マスターコンボイ | 「なんというか……ヤツが来るというだけで、騒動のフラグな気がしてしょうがないんだ」 |
オメガ | 《いえ、実際フラグでしょう》 |
マスターコンボイ | 「かんべんしてくれ…… ……と、そんなことを話しているうちに、今回もお開きの時間だ。 では、また次回の話で会うとしようか」 |
オメガ | 《また次回も見てくださいねー》 |
(おわり)
(初版:2011/03/26)