プロローグ
「召喚」

 


 

 

 

《Hyper Clock up!》

 

その日、彼らは世界に別れを告げた。

人が触れてはならないその“力”を、時の彼方に捨て去るために――

 

 

「アンタ誰?」
 才人に向けて最初に告げられたのは、その一言だった。
 声の主はルイズと名乗った。彼女は魔法使いメイジであり、“使い魔”を召喚する儀式の結果、才人が現れたのだと言う。
 訳も分からず、混乱する才人に対し、ルイズは契約の儀式として才人の唇に自分のそれを重ねる――

 だが、彼女も、才人も、そして儀式に立ち会った誰もが気付いていなかった。
 上空を飛び回りながら、その様子を観察していた者がいたことに――


 

(初版:2006/10/04)